ステータス画面

狩りに行こう

<オープニング>

 放棄領域の一角に、大きな音が響き渡った。
 地を震わすようなその音は、アクスヘイムの外壁周辺から聞こえてきている。
 周囲に人気はなく、それを目撃する者はいないけれど、
 誰かそれを見る者がいれば、直ぐにでも解ったことだろう。……ランドホエールだった。

 巨大なランドホエールは、何度も何度も外壁に突撃を繰り返す。
 ガツン、ガツリと、体当たりを繰り返すたびに外壁が軋み、ぱらぱらと石が砕けて落ちていった。
 無論ランドホエールとて無事ではない。外壁が削れるたびに、その身体も傷付き削れていく。
 しかしそれも長くは続かなかった。渾身の一撃と共に、壁は飛び散る。
 開いた穴は大きく、その向こう側には放棄領域が広がっていた……。

「……ほら、座って、早く」
 群竜士・ベル(cn0022)はそう言って目の前のテーブルを示した。
「大きいんだよ、でっかいの」
 たしたしとテーブルを叩き一同を促した。それから熱い珈琲を手繰り寄せ、彼等の目の前に紙を広げる。
「……つまり」
 最後の一人が席に着くのを待つのも惜しいと、ベルはとても真剣な顔をして紙の上に絵を描いた。
「ランドホエール、です」
 ものすごく力を込めていったところを見ると、どうやらとても好きらしい。ランドホエールが。
 正確に言うと、ランドホエールと闘うことがとても好きなのだが、その辺はさておき。ベルは早口で話を続ける。
「アクスヘイムとエルフヘイムの間にある『巨獣の荒野』から、マスカレイド化した巨獣がアクスヘイムを目指してやってきてるみたいなんだよね。どうにも彼等は、アクスヘイムの外壁に体当たりして壊そうとしてるみたい。このままじゃ穴があいちゃうと思うんだ」
 後巨獣マスカレイドがアクスヘイムに入っちゃったりなんかすれば、そりゃあもう大変だよね。とベルは両手を握りしめる。
「まあ僕はちょっと楽しそうだなそれもって思うけれど!」
 無意味にでっかいものとかでっかい敵とかに憧れるお年頃らしい。でも、と彼は話を続け、
「まあでも、被害が出るのはおよろしくないよね。一般の人が死んじゃったら、それこそ物語の中じゃともかく現実だと目覚めも悪いし、外壁が破壊される前に、撃退して欲しいんだ」
 因みに現れるのはランドホエール一体だよ。と、ベルはそう言ってその能力を書き出していく。
「まず、体当たりをしてくる攻撃。結構重いし、ぺしゃっと潰されちゃうかもしれない。後、あの……尻尾? あれでひっぱたかれてもかなり痛いと思う。その風だけでも結構強いんじゃないかな。……最後に、鳴き声だね」
 ものすごく大きな声で吼えるみたいに鳴くよ。と、ベルはそう付け足して肩を竦めた。
「油断していい相手じゃないのは確かだね。……尤も、それも作戦しだいなんだけれど」
 彼は言う。ランドホエールはアクスヘイムの外壁に体当たりをしているのだ。体当たりをすればするほど、巨獣はダメージを受けていく。
 外壁が壊れない程度であれば、ある程度体当たりをさせてから外壁を仕掛ける作戦も有効かもしれない。
「ただ、気を付けてね。戦闘が始まれば、ランドホエールは戦闘を優先するから体当たりはもうしない。……どのタイミングで攻撃するかは、みんなで話し合って欲しいんだ」
 というわけで、行こう。と、ベルは話を締めくくった。
「え、うん勿論僕も行くよ。好きなんだ、ああいうおおきなの」
 当然のことのように彼はそう言って、気を付けていこうね。なんて言って頷いた。


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参加者
緑風の守護騎士・ステラ(c01833)
森の妖精・ホリー(c02029)
靡く千の藁・ヨゼフ(c04167)
夜霧の舟・エルナンド(c04241)
弓士・ソアネラ(c04705)
飄飄蒼空・キドー(c05202)
護法の戦姫・マナ(c08375)
アオトラメ・ニニル(c12516)
蒼穹の調・リリィ(c13168)

NPC:群竜士・ベル(cn0022)

<リプレイ>

●開幕
 青空の下泳ぐようにその巨獣・ランドホエールは姿を現した。
 瓦礫を粉砕し、木々をなぎ倒しそれは進んでいく。外壁の所まで来ると、周囲を窺うようにぐるりと尾を揺らしながら円を描くように巨体は一度回った。
「……来ましたね」
 弓士・ソアネラ(c04705)がそう呟いて弓を弾く。物陰に隠れた蒼穹の調・リリィ(c13168)も小さく頷いた。
「おっきい、ですわねー」
 視界内離れすぎないようにばらけて隠れていた一同だったが、多少なら声を上げても大丈夫だろう。なぜなら巨獣が動くたび、その身体の下で瓦礫の砕ける音がする。
 そんな彼等が見守る中で、巨獣は数歩後退した。一度おぉぉぉぉ、と咆吼を上げて尾を振ると、外壁へ向かって突撃した!
「……っ!」
 勢いと共に爆風が走る。森の妖精・ホリー(c02029)が慌てて帽子とリボンを抑えた。風は走り抜け巨体は壁に激突する。……しかし壁は壊れることなくその一撃に耐えた。
「大きいね。なんて言うか凄く大きい」
 群竜士・ベル(cn0022)がしみじみと、とても感慨深そうに呟くと、アオトラメ・ニニル(c12516)も武器を構えながら大きく頷く。
「大きいは浪漫だよね。闘う前から心が躍るよ」
「二人とも、なんか心なしか目ぇキラキラしてんぞ?」
 飄飄蒼空・キドー(c05202)が思わず笑う。そう言いながら彼の声も楽しそうだ。夜霧の舟・エルナンド(c04241)も、
「私もちょっと好きかな、ランドホエールが。大きい物はいいと思うよ?」
 そう言って微笑むと、その巨体に挑むにしてはあまりに小さすぎる太刀を両手に構えた。
「それに、戦い甲斐もあるし、ね」
 エルナンドの声音が弾んでいる。そんな一部心の底から楽しそうな者の傍らで、
「俺、この戦いが終わったら、アニスが用意したパインサラダとリフィンが焼いたマフィンとリーレの作ってくれるお菓子を食べるんだー」
 などと全然甘酸っぱくないフラグを立てているのは靡く千の藁・ヨゼフ(c04167)だった。
「それは……欲張りすぎてアウト」
 しかもベルにあっさりだめ出しされた。
「え!? えっと、じゃあ……、失われないものというのが何か、少しだけ分かる気がしてきた。この思いがあるなら戦える……!」
「それなら可。思いっきり散ってくると良いと思うよ」
「散ってどうする。散って」
 護法の戦姫・マナ(c08375)が無愛想な口調で呆れたような台詞を言う。
「ここは私の故郷、家族との思い出の地だ……。そして……ここには命を賭して守りたい人が居る。それに害を及ぼすと言うのなら、巨獣は勿論喩え神であろうとも許しはしない!」
 高らかに格好良くマナが宣言したが、偶々手伝いに来ていた姉のセレスが顔を出した。
「ん?命を賭して守りたい人……ってボクの事?」
「……っ、いえ、あの、姉様……」
 言葉に詰まるセレスに、ヨゼフがぽんとその肩を叩いた。
「なかなか巧いやり方だな。俺も見習うよ。さあ、共に散ろうじゃないか」
「ち・が・う!」
「くっ……。やはり困難な闘いに赴くには、それほどの心構えを持って行かなきゃいけないんだね……! 私も負けてられないよ。私は市民を守る城塞騎士。どんな敵でも必ず倒し、街の人々を守ってみせる。……騎士として!」
 緑風の守護騎士・ステラ(c01833)が高らかに宣言したとき、巨獣の咆吼がもう一度周囲に響き渡った。彼等の気付いたのではない。力を溜めた巨獣がもう一度、壁に向かって突進していったのだ。渾身の体当たりで外壁にぶつかり、壁が軋む。ソアネラが瓦礫の隙間からきりきりと矢を引き絞った。リリィとホリーが笛に唇を宛てる、
 キドーがにやりと笑って軽く腕を鳴らした。
「んじゃま……いっちょ豪快に行くとすっか!」
 声と同時に矢が走りその背に突き刺さった。笛の音が鳴り響く。その音を合図に残りの者は一斉に、物陰から巨獣へ向かって飛び出した!

●巨獣
 矢を受け音を聞いて巨獣は壁からゆっくりと振り返る。それが大きな口を開く前にエルナンドが雷光纏った太刀を構え、
「さてどこまでこの太刀で斬れるか……勝負と行こうか」
 その巨体を切り裂いた。オォォォォ、と咆吼が周囲に響き渡ると同時に尾が大きく振られた。
「……っ」
 その風圧に、ニニルがバランスを崩しかけるも堪える。普段は表情少ないその顔が、楽しげに歪んだ。
「相手にとって、不足はないね。……さて、何本使うことになるかな」
 ニニルはそう言いながらも術式を込めた手裏剣を投げつける。それを身に受けのたうつように再び尾を振り上げようとした巨獣に、
「貴方の相手は私だよ!」
 獅子のオーラと共にステラが突っ込む。振られる尾をかいくぐり、その衝撃波を叩きつけた。
「……参る。今回は、手加減は必要ないな」
 マナが巨体をかいくぐり、ハルバートを回転させながら突きつけた。サポートするように姉のセレスが斬鉄蹴を叩き込む。
「ベル君行くか?」
「……遅れないでね」
 キドーの言葉にベルもそんな軽口を叩き、共に地を蹴る。
「そいつは面白い冗談だ!」
 キドーが笑うと二人同時に、その腹へ拳を叩きつけた。
「いけいけいっくよーっ! ウィスちゃんっとっつげきーっ」
 リリィも息つく暇も与えずに妖精を召喚する。針を持つ妖精がその巨体に殺到した。
「く……っそ。殴りたいけど」
 ここは我慢! ヨゼフが無数に分裂する雷撃をその巨体に走らせる。打たれた巨獣を電流が包み込み……しかし、
 おぉぉぉぉぉぉ!
 地の底から響くような声にとっさにヨゼフは耳を覆った。
「そう……簡単には、行かないか」
「落ち着いて……ね。長期戦、になるかも……」
 ホリーが小さく呟いて、五芒星の描かれた魔道書をぱらぱらと捲る。その音に導かれるように、妖精が弾丸となって巨体へと突撃する。
 攻撃を受けた巨体は一度身じろぎすれど健在。……強い。見た目も相まって此方もまた巨大な壁に突撃するような気分になってくる。
「雨垂れ石を穿つってな! じっくりいこうぜ!」
 キドーが励ますように声を上げ、ヨゼフは頷いた。
「ああ。この壁の向こうには沢山の誰かの暮らしがある。……ここをこれ以上、傷つけるわけにはいかない!」
「絶対、街に傷なんて付けない。ここで終わらせるよ! 騎士として!」
 ステラがそう叫んで、再びその巨体へ衝撃波を飛ばした。

●激突
 巨体が吼える。度重なる攻撃によってその肌は切り裂かれ様々な武器が突き刺さっていた。
「……やったか!?」
 キドーが傷付きながらも見えざる爪を振るう。その一撃に確かに手応えを感じた。ひときわ高い巨獣の悲鳴。そして……、
「お兄さん……!」
 珍しく焦るようなベルの声音。顔を上げた彼の目の前に巨大な尾が迫っていた。
「……っ」
 とっさに腕を前に突き出すもそれも甲斐無く。巨大な尾が思い切りキドーに叩きつけられた。
 オォォォォ。声と共に爆風が吹く。遠く彼は吹き飛ばされ瓦礫の中へと突っ込んだ。
「くそっ!」
 ヨゼフがとっさに前に出る。尾はその勢いのままにもう一度振るわれて彼の体を打った。込んで勢いを止めようとするも叶わず、全身を打たれて彼もまた瓦礫の中へと叩きつけられる。
「危ないですわ!」
 吠え声と共に巨獣の体が滑り、傷付いたヨゼフに更に突進しようとする。思わずリリィが走って彼を庇うように巨獣の前に立った。
「……パパ……!」
 風が吹き、挽き潰されると思ったけれど、それでも彼女は退かなかった。衝撃を予想して彼女は目を閉じる。……しかし、
「……そんな儚げな少女より、もっと潰し甲斐がある者がいるだろう。ここに」
 衝撃はいつまで経っても来なかった。目をあけると目の前には、その攻撃を何とか受け止めるニニルの姿があった。
「大きな獣を狩るのは戦士の誉れ」
 盾で受けるも突撃の勢いは殺しきれず、見知りと重みに体が悲鳴を上げる。頑張る。と彼女は小さく呟いて、
「早く、援護を」
「はい……!」
 リリィが答えると同時に尾が旋回した。もう一撃、来る。逃げるか、一瞬ニニルは迷って……、
「良いだろう。勝負だ!」
 真っ向からその攻撃を、花で彩られた盾槍で受けた。槍に貫かれ尾は血を流すもその勢いは衰えず、体が浮いて弾き飛ばされる。瓦礫に叩きつけられた。
「大丈夫かい!」
 エルナンドが更に追撃しようとする巨獣を止めるように回り込んで、その巨体の鼻先に太刀を突きつけた。
 巨獣が此方を見ている。エルナンドも負けじとそれを見つめる。
 全身から血を流しながらも巨獣の身体は尚も大きく。
 紅く光る目はここにいたって未だ勝利を確信しているように見えた。
 対する己のこの刃は、なんと小さいことだろうか。……それでも、
「……でも、負ける気もしない」
 あくまで彼が悠然と、そう言って笑えるのは、
「エルは本当に、無茶しすぎなんだよ」
 手伝いに来ていたレクサスが、戦歌を奏でて勇気をくれるからだろうか。返事の代わりにエルナンドは思い切りその鼻先に刃を突き立てた。
「待って……て、今、傷を……」
 ホリーが妖精を召喚する。その表情にも焦りが見えた。間に合うか。
「さーちゃん、お願い。一緒に頑張って……!」
「落ち着いて。まだまだみんな、戦える! 騎士として……絶対に退いたりなんてしない!」
 ステラが叫んで、V字型に敵を切り裂く。その援護を受けてソアネラが風を起こした。
「援護しますわ」
 手伝いに来ていたグローが、シーダが傷を癒していく。
「……暫くなら、持ちこたえられる」
 マナがハルバートを巨獣に突き立てながら呟いた。吹き飛ばされた者に癒しを施そうと思っても、瓦礫でその姿が見えない。
「大丈夫だ。任せろ」
 その呟きと同時に、ベルの姿が一度戦場から消えた。

●幕間
「くそう俺まだ何にも女の子の手料理食べてないよー」
「あはははは。俺もいつも作ってる側だしなー」
「よくわからないけれども男性っていうものはそんなに女の子の手作りの料理が食べたいの?」
 ヨゼフとキドーのぼやきにニニルが言った。瓦礫を避けて立ち上がろうにも力が入らない。思わずそんなばかな話が出てしまう三人に、
「……ほんと、ばかな話してないで起きて」
 ベルの声が聞こえて、瓦礫で塞がってた視界に光が差した。見上げた空は青かった。
「ベルさ〜ん。ほらほら鷲掴みですよ〜」
「え、えっとー。後もうちょっとだよ〜。大きいのを倒すのってロマンだよね〜」
 ファルゥやアイシャが瓦礫を避けるのを手伝って、セルティアも傷を癒す。
「……ほら、大丈夫? 男連中は自分で起きてね」
「うん」
 ベルに手を引かれて、ニニルは立ち上がった。
「ひっで。差別反対ー」
「ええと、敵はどうなってる?」
 笑うキドーに真面目に問うヨゼフ。
「あと少しだよ。壁は壊れやしないさ」
 ランポが癒しの妖精円を描きながら答える。シャオリィもシールドバリアで彼等の傷を治しながら、
「行くのか? 未だ傷、治りきってないけど……」
 問うも答えは分かり切っていた。三人は顔を見合わせて、
「勿論」
 にっと笑った。
「……まるでお祭りにでも行くみたいな顔だね」
 呆れたような、ベルの声。けれど彼も同じような顔をしていた。
「こんなお祭り、滅多にないから。……行こう、遊びに」
 獣の如く唸るように笑ってこたえ、ニニルはそう言って駆けだした。

●ピンチ
 ホリーが妖精を召喚する。その表情は一生懸命そのものだった。
「……まだ、大丈夫……」
 必死に彼女は妖精と共に傷を癒していく。目の前に巨獣が突進してきた。
「させないよ!」
 けれど届かない。ステラが割って入るようにしてホリーを守ってくれるから。だから彼女も徐々に疲労は蓄積されていくけれど、その手を休めることは出来ない。
「大丈夫……」
「そうですわ、大丈夫です」
 不意にその緊張する肩を誰かが叩いた。振り返ると、リリィが明るい笑顔で笑っていた。
「まだまだいけるよね? がんばってこーっおーっ」
 それだけ。ただそれだけの明るい仕草だった。特別なことは何も言わなかったけれどもそう言ってリリィは明るく笑ったのだ。そして、
「おおおおおぉぁあああぁ――!!」
「まけない! ぉぉぉぉぉぉぉーっ!」
 ヨゼフとニニルが巨獣に負けじと叫び声を上げながら突進する。
「へっへー。そんじゃま、ガンガン行くか!」
 キドーとベルが同時に戦場を駆け抜けて、拳を巨体に叩き込む。
「全くもって……」
 ソアネラが苦笑するように呟いて左手で髪を掻き上げ、
「頼もしい人達です!」
 毒針を吹き付ける。それが目に当たり巨獣は吼えるような悲鳴を上げた。尾が振られる。それをマナは避けずに白銀のハルバートで受けた。
「……っ。負けられないな……私も!」
 吹き飛ばされそうになるのを何とか堪え、再び槍を突きつける。セレスがその後に続くように巨獣を追撃した。
「全く、みんな本当に無茶をするものだ」
 先ほどまで仲間が抜けた分、攻撃を受け続けていたエルナンドはそれでもそんな涼しい顔で一度肩を竦める。後ろから相方が溜息をついているのが解ったけれど、
「マスカレイドではもう荒野には帰せないしね。……良いじゃないか最後まで、楽しもう!」
 舞い散る薔薇の幻影と共に巨体へと立ち向かう。そんな仲間の様子にホリーは一つ息をつき、
「沢山食べるとあんなに大きくなるのかなぁ……? 大きいってだけで本当にみんな楽しそう」
 一生懸命見守る方の身にも、ちょっとだけなって欲しかった。首を傾げる彼女にリリィは思わず声を上げて笑って、
「みんながたのしくたたかえるように……ごーごー、ウィスちゃんっ!」
「……うん、がんばろ、さーちゃん」
 二人の妖精が癒しの魔法円を描き出した。疲労がないわけではないけれど……、
「……」
 みんながするように、ホリーは少し笑顔を浮かべてみる。
 まだちょっと、戦える気がした。

 そしてついにその巨体が傾く。幾度となく攻撃を浴びて尚倒れぬその姿にステラは一度顔を上げてその姿を視界に納める。
「騎士として、その姿忘れないよ! 私も……ランドホエールみたいになる!」
 これから幾度となく攻撃を受けることになっても、それに耐え、最後まで闘う力を持てますように。
「みんなと力をあわせれば! どんな相手でも絶対無敵だよ!」
 咆吼に負けぬようステラは声を上げて剣を振るい、
 勝利を祝うように高らかとその巨体を切り裂いた。

●閉幕
 どうと音を立てて巨獣は倒れる。僅かに息があったようだがそれも暫くすると消えていった。
 一同はしばし呆然とその場所に立ちつくす。
 ニニルが注意深くその巨体の頭部に近寄って息があるのかを確認する。暫くして彼女は顔を上げ、
「勝った」
 と、小さく言った。一呼吸置いて後、
「……勝ったよ!」
 今度は大きく、ステラが天へと届くかのように声を上げて、
 それであちこちから歓声が響き渡った。……勝ったのだ。
 壁は健在荒野は快晴。雲一つ無い青空の下、互いを褒め称える声は何時までもその場に響いていた……。



マスター:ふじもりみきや 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2012/05/01
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