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我が帝国を築かなイカ?

<オープニング>

「ヌフフフフ、ここに我が帝国を築いてやるイカ」
「ウヒョー! 流石はヌルッカ王イカー」
 ヌルヌルべちゃべちゃと足音を立てながら、白い怪物たちは歩いてゆく。
 二足歩行に腕が八本。白い体に赤い目を付けたそいつらは、クラーリンというバルバであった。
「うわっ、何だこいつらは?」
「クラーリンだ、クラーリンの群れが襲ってきたぞ!」
 ラッドシティの町に住む住民たちは、そのバルバの襲撃に直前まで気付くことができなかった。
 かつては貴族領主によって統治されていたその土地では、城塞騎士たちが警邏し、クラーリンなどのバルバの襲撃を未然に防いでいたのである。
「だ、誰か! 誰か助けてくれー!」
 しかし領主は今は居ない。誰の治める地かが有耶無耶になったこの付近の村々は、大戦後のラッドシティの混乱に埋もれ、誰も守護する者が無い状況に陥っていたのであった。
「ヌフフフフ、ここがヌルッカ帝国の、最初の侵略地イカー!」
 村人たちの亡骸を踏みつけ、クラーリンのボスは高らかに笑うのだった。

「ラッドシティには、まだまだ片づけなければならない問題が残っています」
 鋼の城塞騎士・ナクモ(cn0141)はそう言って、酒場に集まったエンドブレイカー達に協力を要請していた。
「ラッドシティの戦いに、マスカレイドとなった貴族領主が多く参戦していたことは皆さんもご存じの通りです。奴らがあの戦いで命を落としたことにより、領主不在の土地が数多く発生してしまいました」
 マスカレイド化していたとはいえ、それまでは領主の名によって統治されていた多くの機能がある。それが麻痺し始めているのだとナクモは言う。
「監獄から解放された長老衆や引退していた老齢の貴族達が復帰することで、何とか体裁を保とうとはしていますが……圧倒的に手が足りず、盗賊やバルバの被害から市民を守る救済の措置が遅れています。人々が脅威に晒されているこの現状、放ってはおけませんよね」
 ナクモは自分たちにもできることがある筈。と力強く言って、話を続けた。
「長老衆からの依頼は、クラーリンの襲撃を受けている地方へ赴き、被害から人々を救うことです。それだけでなく、その土地の新たな領主として、統治して貰えないかという打診を頂きました」
 自分が領主になるかもしれないと聞いて、話を聞いていたエンドブレイカー達も顔色が変わった。
「領主うんぬんはひとまず後で考えれば良いでしょうが、クラーリンの被害は食い止めなければなりません。その為にも、皆さんの力を貸して貰えないでしょうか?」
 ナクモの言葉に、エンドブレイカー達は力強く頷くのだった。
「ありがとうございます。エンディングからの情報によって、次にクラーリンが襲撃を仕掛けてくる村がどこかは分かっていますので、そこに向かってクラーリンたちを撃退するようにしましょう」
 それからナクモは敵の戦力について、詳細を説明していった。
「現れるクラーリン達は全部で八体です。あ、それとご存じの方もいらっしゃるでしょうが、クラーリンというのは直立歩行するイカのバルバで、顔には赤い二つの目が付いています。脚は二本で、触手のような腕が八本……という奴ですね。こいつらが槍やら盾を手に、村へ襲いかかってきます」
 村へ侵入されないように食い止め、倒してしまいましょうとナクモは言う。
「中でも一体、三叉の槍を備えたクラーリンは仲間たちから『ヌルッカ王』と呼ばれ、群れのリーダーとして幅を利かせているようです。戦闘力も高く、槍を使った激しい攻撃はかなりの威力を持っているようなので、十分注意してください」
 あと、村人たちに被害が出ないようにも気を付けてくれとナクモは付け加えた。
「少しなら、村人たちにも事情を説明する時間はありそうです。しかしながら村ごと避難するほどではありませんので、戦闘のある方へ近づかないように、家でじっとしているようにといった程度でしょうか」
 怪我人が出てしまうと悲しいですからと、ナクモは表情を曇らせた。
「人々が平和に暮らせるよう、私も尽力するつもりです。共にクラーリン退治を、しっかりと果たしてみせようではありませんか。……あと、話にありました領主の件ですが、無事に事件を解決できたあかつきには、そういった地位につくことも可能でしょう。もしそれを望むのであれば、住民たちへの呼びかけ等を積極的に行い、存在感をアピールしておくと、より良いでしょうね」
 それでは一緒に頑張りましょうと言って、ナクモは話を終えるのだった。


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参加者
黒柩と紅いリボン・リネア(c00018)
銀瓏の響狼・ラーナシェイラ(c00343)
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
真銀のトロバイリッツ・アルメイア(c02067)
ディアボロスの黒わんこ・ビオフィール(c02428)
穏やかに咲く月見草・ウィスタルテ(c03467)
不変蒼刃の軍士・フリューゲル(c08174)
緑風の騎士・カレン(c11214)
黒と白の騎士人形・カムイ(c25088)

NPC:鋼の城塞騎士・ナクモ(cn0141)

<リプレイ>

「マスカレイドの危機は落ち着いたとはいえ、まだまだ事件は起きてしまうようですね」
 阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)を始めとしたエンドブレイカー達の一行は、ラッドシティのとある農村を目指し、先を急いでいた。
「クラーリン達も無害なら捨て置いてもいいですが、野心的に侵略をするというならそれ相応に対処させてもらいましょう」
「侵略を許すわけにはいかない。ラッドシティの問題はまだまだ山積みだな」
 ルーンの言葉に応え、不変蒼刃の軍士・フリューゲル(c08174)は小さく頷く。
「少しずつでも解決していけたらいいな。今まで巡ってきた都市にも問題が発生してきただけに……な」
 何でもその農村に、クラーリンが襲撃を仕掛けてくるという情報が入ったのだ。
 領主不在となり、城塞騎士の護りも及ばぬその村を救うべく、エンドブレイカー達は現地を目指していたのである。
「村程度の領土で帝国など言われてもねぇ。……所詮は烏賊というところか」
 やれやれと息を吐く銀瓏の響狼・ラーナシェイラ(c00343)だが、その視線だけは真っ直ぐに前を見据えていた。
「さて、イカ退治だ。平和な村を脅かすなんて感心しないな、やっぱり」
「残念ですがお帰り頂けなイカ? と言うわけで、村は守りますよ〜!」
 村を襲うクラーリンを放っておく訳にはいかないと言う黒と白の騎士人形・カムイ(c25088)に、黒柩と紅いリボン・リネア(c00018)も村を守ってみせると意気込みを見せる。
 そうこうするうちにエンドブレイカー達の一行は、問題の村へと辿り着いたのであった。

「クラーリンが来るから、家から出ないようにね〜。ついさっき奴らを見たよ」
 リネアの呼び掛けを受け、それは一大事と村人達が騒ぎ始める。
「クラーリン……イカのバルバが襲ってきます。私達で退治しますが、戦闘に巻き込まれないよう、皆さんは家に隠れていてください」
 緑風の騎士・カレン(c11214)は村人達に安心して貰えるように、自分たちがクラーリンを退治するのだと強調し、説明して回っていった。
「口に出す以上、責任重大ですが、やらないわけにはいかないですよね」
 自分たちが敵を倒せなければ、この村は悲劇に襲われることになるだろう。腕に圧し掛かるその重圧を受け止めるかのように、カレンは小さく拳を握り締める。
「バルバがこの村へ向かっていることを察知しました。俺達が迎撃します。戦闘に巻き込まれないよう家に閉じ籠ってください」
 外で作業をしていた農夫たちに、フリューゲルも声を掛けてゆく。
「クラーリン達の襲撃がある、家に篭って出歩かないでいてくれ」
 ディアボロスの黒わんこ・ビオフィール(c02428)もそう言って、外に居る者に退避を呼びかけていった。
「クラーリン達が攻めてくるので家から出ないようにしてくれ」
 カムイは村人達に退避を呼びかけると共に、他にも外に出ている者が無いかチェックしてゆく
「家に隠れて外に出ないようお願いいたしますね」
 そこでは穏やかに咲く月見草・ウィスタルテ(c03467)が、子供たちに家に戻るようにとお願いしていた。
(「戦闘の巻き添えなんかになられたらたまらないからな」)
 カムイは胸中だけで呟いて、ウィスタルテと共に子供たちの背を見送るのであった。
「村に残って護衛役に着くんだよ〜。見張りは任せてくれるかな?」
 避難が完了した所でサポートに駆け付けてくれたメンバーらに見張りを任せ、エンドブレイカー達はクラーリンの迎撃の為、その方向へと移動していった。

「被害が出る前にあの世にお帰り願わないとね」
 小さく口の中で呟いて、ラーナシェイラは槍を構えた。そこに凝縮された光が掲げられ、夜明けの如く輝き始める。
「閃光の一撃で消え去りなさい」
 踏み込み、光の一撃を繰り出す先には白いバルバ。クラーリンだ。
「ヌハハ……ヌァッ!?」
「い、一体何事イカ?」
「敵襲イカ! 蹴散らしてやるゲソ」
 クラーリンは驚きながらもブンブン盾を振り回し、ラーナシェイラへと投げ付けて攻撃してきた。
「侵略をしてきた以上殺される覚悟は当然あるのだろうな」
 その時、指示をしていた奴を見逃さずにルーンは弓を引くが、そいつは手にした三叉の槍で一撃を叩き落とす。
「ヌフフ、このヌルッカ王の力。今こそ見せるイカ」
 ヌルッカと名乗ったそのクラーリンは八本の触手をデタラメに振り回し、嵐の如き烈風を繰り出してきた。風に巻かれてルーンの体が捩じれ、ビオフィールも動きを阻害され始める。
「この地を、守る……ために」
 微かに奥歯を噛み締め、痛みに耐えながら、ビオフィールは黒き翼を羽ばたかせる。
 群れを為して鳴くは闇鴉。その影が白いヌルッカの体を覆い、ザクザク傷付けていった。
「これ以上は進ませはしませんよ」
 扇を広げて風を纏い、ウィスタルテがヌルッカの前へと立ち塞がる。その背を見送りながら、真銀のトロバイリッツ・アルメイア(c02067)は、帽子のつばをぐっと押し上げる。
「……おいでなすったようだな。大人しく水底に居ればいいものを」
 アルメイアの喉から紡ぎ出される妖しいメロディが、ヌルッカの闘志をじわじわと蝕み始めるのであった。

「俺の隠し技だ。見切れるか?」
 野太刀を抜いて逆手に構え、一気に振り抜くフリューゲル。解き放たれた斬気がクラーリンの胸を薙ぎ、大きく仰け反らせる。
「ヌワッ!?」
「ま、ちゃっちゃと成敗しますかね」
 間髪入れずにカムイがそいつの懐に踏み込み、氷の刃を抜き放つ。同時に舞い散る薔薇の花弁と共に、鋭い斬撃で斬り上げた。
 腹部を裂かれ、倒れるクラーリン。しかしそいつの後ろから、別の奴が盾をカムイに押し付け、プレス攻撃を仕掛けてきた!
 これは流石に避け切れず、カムイの頭部に衝撃が叩き付けられる。
「我等の力、見せる時イカ!」
 べちゃべちゃ音を立てながらクラーリンが槍を回転させ、起こした風の刃でリネアの動きを縛り付ける。そこに別のクラーリンが盾を投げ付け、リネアの胸部をがつんと叩いた。
「最近のイカは『イカ』とか『ゲソ』とか付けるのがトレンドなんですか? ……なんか嘘くさい」
 しかしリネアはその場に踏み止まり、じゃきっとバトルガントレットを展開・変形させていた。そこに仕込まれたボウガンから、連続で矢が射出される!
「ギャーッ!」
 ざくざく刺さる矢に、悲鳴を上げるクラーリン達。しかしその標的にならなかったクラーリン達が、槍を携え突っ込んできた。
「これでも喰らうイカー!」
 一体は鋼の城塞騎士・ナクモ(cn0141)に、もう一体はカレンに向かって槍を連続で突き出してくる。
 その連撃を受けつつも、ナクモは好機を待ってナイトランスを構え、戦線をこじ開けるべく突進を仕掛けた!
「突破します!」
 目前の槍クラーリンでは無く、リネアの矢を受けた盾の奴がそのターゲットだ。猛烈な勢いの突撃を受け、一瞬そいつの体が浮いた。
 その隙を逃さず、カレンは剣を手に踏み出していた。刃に纏うは輝く闘気。オーラセイバーが敵の盾を砕き、体を二つに両断する。
「村を蹂躙させるわけには、いきませんから……」
 倒れた敵に一言だけ告げて、カレンは剣を構え直すのだった。
「よくも同胞を! 許さんイカ!」
 クラーリンの起こした風の刃がルーンに襲い掛かる。激しい風に動きが阻まれるが、ルーンの瞳に青き炎がぼっと灯った。
「まぁ、覚悟が無かろうが狩ることにはかわりはないがな」
 研ぎ澄まされた精密射撃がヌルッカの腕を射抜く。その直後に、ウィスタルテも扇を突き出し力を集中させていた。
「王ならば、民を守ることをお考えなさい」
 手の平の上に凝縮された陽光が、灼熱の風となってヌルッカを包み、駆け抜けてゆく。
「ヌググ……熱いじゃなイカ!」
 じゅうじゅう肌を焦がしながらも、ヌルッカは触手を振り回す。そこに握られた槍が触手の間で縦横無尽にパスされて、様々な方向からウィスタルテに襲い掛かった!
「随分と面倒な足だな」
 ビオフィールが体内の棘を実体化させ、ヌルッカの体を刺し貫いてゆく。
「そんな未来で満足か? 私だったら……嫌だね!」
 その間にアルメイアが勝利の戦歌を唄い、傷付いたウィスタルテの戦う意志を前へと駆り立てるのであった。

「剣術だけだと思うなよ?」
 フリューゲルが手裏剣を投げ付けるものの、クラーリンは盾に隠れてその衝撃をやりすごす。そいつはそのままジャンプして、リネア目掛けて圧し掛かってきた。
「っ!?」
 頭蓋に一撃を受け、リネアの意識が揺れる。咄嗟にカレンがオーラの斬撃でそのクラーリンを引き剥がすものの、暴走したリネアは槍のクラーリンに向かってダッシュし、ライジングレオの咆哮を浴びせかけていった。
「ようこそ烏賊風情。そしてさようなら」
 ラーナシェイラがくるり、と槍を翻し、白銀の軌跡を宙に描く。穂先を地面に突き刺せば、無数の槍が地面から伸び、クラーリン達を貫いてゆく。
「イカッ!?」
「ヌゥゥッ」
 盾クラーリンは力尽きるも、槍の方は急所だけは避けたらしく、果敢にリネアへ突きを繰り出してくる。
 敵の槍がびしびし鎧を叩くが、リネアは退かない。
「援護します!」
 その背を支えるように、ナクモが癒しの拳を打ち出していたのであった。
「ヌォー、我等の底力、見せてやるイカ!」
「ウォォッ!」
 仲間達をやられて怒ったのか、クラーリンが吠えて烈風を打ち出してくる。風の力でカムイの防御を崩し、別の一体が槍の連打を突き出しながら飛び込んできた。
 この状況では防ぎきれない。カムイの体が槍に打たれ、僅かに揺らいだ。
「イカの炭焼きとかにしたら美味しいかな……無理そうだけど……」
 一歩だけ下がって地面を踏み締め、カムイは体勢を立て直す。同時に軽く振られた氷の刃が、儚く美しい華の輪郭を描き出す。
 ふっ、という一息の呼気と共に、氷華はクラーリンの胴を包み、咲き乱れる。僅かに遅れて体が薙がれ、敵は大きく仰け反った。
 別のクラーリンが起こした槍の烈風が、ルーンに襲い掛かる。しかしルーンは動じずに、癒しの風をその場へと呼び込んでゆく。
「生命を育む風よ、癒しの旋律となり、我を蝕む鎖を解き放て」
 涼やかな風に包まれて、ヌルッカの攻撃で受けたマヒと、ここまでのダメージが癒されてゆく。生命の鼓動を確かにその身で感じながら、ルーンは敵へと視線を向ける。

「さぁ、踊り狂いなさい。じゃないと串刺しね」
 ラーナシェイラが敵陣へと踏み込み、槍地獄を使って敵を貫いてゆく。但し深入りはせずに、すぐにバックステップで後退った。
「派手に行こうぜ、大将!」
「合わせるぞ。一気に殲滅だ!」
 アルメイアが斧を振り回し、無数の気刃をばら撒き始める。その刃の嵐の中へ、フリューゲルが手裏剣を次々投げ込んでいった。
「ガッ、ヌッ、ヌァッ!」
「これはイカッ、イカンッ」
 触手が薙がれ、胴が裂け、傷口に手裏剣が刺さって炸裂する。鋭い斬撃の嵐に揉まれ、二体のクラーリンが微塵に砕けて地面に散った。
「イカイカイカイカー!」
「……」
 クラーリンの繰り出す槍の突きを、一つ残らずカムイが叩き落とす。同時にぶわりと舞い上がるは、薔薇。
 ざんっ!
 薔薇の剣戟がクラーリンの頭を三つに捌いて、花弁の中で静かに散らすのであった。
「手早く片付けていきましょう」
 リネアのボウガンが、クラーリンの体にどすどす突き刺さる。敵はその中でも槍を構えようとするが、それよりも先に、カレンが剣を手に駆け抜けていった。
「私の剣で、守るために……」
 闘気を身に纏い、必殺の構えを取るカレン。胴を薙がれてクラーリンは大きく体勢を崩し、がくりと膝を着いた。
「往生際が悪いぜ、散れよ!」
 ビオフィールの全身から溢れ出すように『棘』が放たれる。それはクラーリンの体を包んで縛り、刺し貫く。
「イ、カ……」
 全身を穿たれたクラーリンはその場に崩れ落ち、二度と動き出すことは無くなったのであった。

「く……」
 ウィスタルテの脇腹からポタポタと、鮮血が滴り落ちる。ヌルッカ王の変幻自在の突きによって、全身の至る所に三つ並んだ刺し傷が刻み付けられていったのだ。
 このままでは、まずいか。――脳裏に浮かぶ不安を掻き消すかのように、背中に活力が殴り付けられた。
「民を守れぬ王などに、負ける訳にはいきませんよ」
 癒しの拳を打ち込んだのはナクモであった。ウィスタルテはその一瞬で風を爆発的に起こし、扇を振って突撃を仕掛ける。
 ――!
 体の中央を打つ、渾身の一撃。敵が揺らいだその直後に、真っ赤な魅了の一撃が頭部に命中した。
「さぁ、畳み掛けますよ」
 ルーンのハートクエイクアローだ。魅了の力で足元がふら付くヌルッカの間合いに、ラーナシェイラが踏み込んで槍を突き入れる。――地面へ。
「さよならは済んだでしょ」
 足元から襲い掛かる槍地獄にその身を穿たれながらも、ヌルッカは触手を振るって闘気を放つ。まともに喰らったラーナシェイラだが、まだ倒れはしない。槍を引き抜き跳び退り、その場で身を伏せた。
「さぁて、海産物め……貴様等の未来を置いていけ!」
 入れ替わりにフリューゲルの手裏剣が、アルメイアの気刃がヌルッカに投げ込まれてゆく。体を裂いて突き刺さる刃の群れを前にして、流石のヌルッカも大きく揺らいだ。
「ば、バカな……このヌルッカに負けは無いイカ……」
「負ける訳にはいかないんです!」
 人々の平和な暮らしを守る為に。その為に、この力を振るう。決意と共に、カレンは全身の闘気を解き放った。
 雄々しく吠える獅子の気が、ヌルッカに喰らい付いて噛み千切ってゆく。そして断末魔の悲鳴が上がる一瞬前に、リネアが地を蹴っていた!
「終わらせる……!」
 じゃきん! と生まれるガントレットブレイド。その剛剣を大きく掲げ、真っ直ぐに振り下ろした!
「……普通のイカなら……」
 ずばんっ!
 倒れたヌルッカの最後を見届けて、リネアは小さく呟く。見た目はイカだが、中身はバルバ。何だか少し勿体無いと思いつつも、戦いの終わりに小さく息を吐き出すのであった。

「こいつらは煮ても焼いても干してもダメかな……」
 まぁ、バルバだし。やれやれと言いながらも、アルメイアは仲間達と協力し、クラーリンの亡骸を片付けていった。
「こういった地方の混乱を改善する為に、皆で力を合わせていかないとな」
 村への報告に向かう途中で、ビオフィールは辺りを見ながら自身に言い聞かせる。
 治安維持の要となる、城塞騎士団の再編や警邏。領主が健在であった頃には存在していたであろう、公共施設や街道、城壁の整備など、やるべき事は沢山ある。
 自分に出来ることを……自分ひとりでは出来ないでも、誰かの力を借りて出来るように……。
 そんな風に考えながら、ビオフィールはこれからも復興に尽力しようと、決意を新たにするのであった。



マスター:零風堂 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2012/05/13
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  • カッコいい12 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
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