ステータス画面

SO・I・YA

<オープニング>

●ソイヤ!
「ソイヤッ!」
「ソイヤッ! ソイヤッ!」
 新緑の中にボアヘッドたちの声が響くと、
「キャアアー!」
 そこへ若い女性の悲鳴が重なる。
 ボアヘッドたちはお弁当を踏み荒らすと、女性たちを斬り、そして酒瓶を蹴り上げた。
「ソイヤ! ソイヤ!」
 楽しいピクニックが、あっという間に血みどろの現場に変わる。
「ソイヤ! ソイヤ!」
 ボアヘッドは最後に残った女性を見た。
「ひ……誰か助けて……」
 彼女の声は誰にも届かない。
「ソイヤッ!」
 ボアヘッド海賊団は、最後の女性を斬り付けると、更に村の中へと行ってしまった。

●酒場にて
「いやー最近何か、海賊マスカレイド多いよね、ソイヤッ!」
 ――あ、しまった。うつっちゃったよ。と柑橘系自由農夫・マヌカ(cn0146)は口に手を当てる。
「このボアヘッドたちも海賊マスカレイドなんだ。こいつらが出るのは、アクスヘイムのある村の外れの辺り。季節柄、花が咲いていて結構綺麗な所なんだよね。襲われる女性たちは8名で、昼ごはんをかねてピクニックをしてるんだ。そこへボアヘッドたちがやってきて、彼女たちを襲うっていうのが、僕の見たエンディングだよ」
 そう言うとマヌカは集まったエンドブレイカーたちを見た。
「ボアヘッドは総勢6名で、全員がランバークラッシュとアクスブーメランで攻撃してくるんだ。他には配下として4体のオークがついて来るよ。こっちはマスカレイドじゃなくて、攻撃も乱舞脚だけ。襲撃のタイミングは、女性たちが昼ご飯を食べている時で、バルバたちはこの女性たちを襲った後、更に村の中へ行くみたい。でも、出来たらこの女性たちに被害が出る前に倒せたらいいなあと、僕は思うよ」
 マヌカの言葉にエンドブレイカーたちも頷いた。
「今回はボアヘッドたちが『ソイヤ、ソイヤ』うるさいかもだけど、だからこそ倒してやろうよ。僕も一緒に行くからさ」
 マヌカは彼らにソイヤ! と拳を握って見せた。


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参加者
スイカランナー・カヘル(c03172)
天空故色・チセ(c03338)
オルレアンを駆ける聖少女・ジャネット(c05732)
銀雷閃・ツルギ(c08167)
流浪の紅煉・レン(c22646)
堕落できない放浪士・アミナリス(c24448)
獣の標榜・ゲイン(c30356)
大剣の魔獣戦士・カキョウ(c30905)
冒険商人見習い・シルフィーナ(c31269)

NPC:柑橘系自由農夫・マヌカ(cn0146)

<リプレイ>

●ソイヤ!
「到着〜! わぁ〜♪ すご〜くきれいなところですねっ! よ〜しっ、楽しいピクニックを邪魔するわるものはやっつけちゃうっ!」
 一面広がる緑の中で、天空故色・チセ(c03338)は、ぐーを作って振り上げる。
 辺りには草や木、そして花ばかりでピクニックをしている女性たちの姿はすぐに見付かった。エンドブレイカーたちはそれぞれの足取りで、彼女たちに近付く。
「お楽しみの所悪いけど、うちらはエンドブレイカーや!」
 最初に話しかけたのは、冒険商人見習い・シルフィーナ(c31269)だった。女たちはコップを片手に振り返り、彼女たちを見る。
「この辺りにバルバが出ることが判っています。それから、あなたたちの命が危ないことも。此処は私たちに任せて、しばし席を外しては頂けないでしょうか?」
 オルレアンを駆ける聖少女・ジャネット(c05732)がそう言うと、女の一人は慌てて立ち上がった。
「えっ! そうなんですかっ!」
「なにそれこわい!」
 すると他の女たちも驚いて、いそいそと弁当や酒瓶を袋にしまう。昼食はまだ食べていないようだった。
「バルバたちはあたしらが倒すから、あんたらは逃げなさい」
 銀雷閃・ツルギ(c08167)の真剣な目に、女たちはうなずくと全員立ち上がる。
「此処から離れて、良いと言うまで待っていてください。――チセさん、シルフィーナさん、マヌカさん、お願いします」
 スイカランナー・カヘル(c03172)の言葉に、柑橘系自由農夫・マヌカ(cn0146)たち3人は肯くと、手分けして女性たちの荷物を持ってやった。そこへ、カトレード家侠客・カナリア(c29017)も加わって
「村に避難しましょうね」
 と言うチセを先頭に、足早にこの場を立ち去る。
「うちらが戻ってくるまで、もうこっち来たらあかんで。お花見はまた今度やなぁ……」
 嬉しそうに咲く花をメガネのレンズに映すと、シルフィーナは溜息を漏らした。
 どんどん小さくなって行く女性8名と、4名のエンドブレイカーたちの背中を目に、大剣の魔獣戦士・カキョウ(c30905)は
(「ここは颯爽とマスカレイドを倒して、お嬢さんたちにキャーキャー言われるチャンスだっ!」)
 と、ぐっと拳を握って、敵の襲撃に備えていた。

●ソイヤ! ソイヤ!
 堕落できない放浪士・アミナリス(c24448)は、避難した女たちに背を向けて辺りを見回していた。彼女たちはまだ弁当を食べていなかった。しかし、そう遠くないうちにバルバたちは現れるだろう。風がアミナリスの髪を揺らしたその時、微かに
「ソイヤ! ソイヤ!」
 と言う声が彼の耳に届いた。草原の上に視線を転がすと、バルバの群れらしきものが見える。その姿は声と共に少しづつ大きくなって、こちらに近付いてきた。
「やたら目立つ奴らだな……主に声が……。ソイヤって俺達も言えば仲間と思われたりしないもんかね……。それなら楽なんだが」
 やる気あるんだか、ないんだか。アミナリスは気だるそうな口ぶりでそう言うと、バルバの方へ足を踏み出す。そして手の平を彼奴らに向けて、電撃を発した。
「ソイヤアアッ!」
 それを受けた先頭のボアヘッドが、声を震わせる。
「中々悪くない掛け声だけど使いどころが違うわね。本来楽しい祭りでやるもの……血祭りであげるものじゃないわ」
 と言いながらツルギが剣を構える隣で、カキョウは
「よっしゃー! 始めようぜー♪」
 と、大剣を振るいながらボアヘッドに向かって走って行った。剣から巻き上がる竜巻が、前列2体のボアヘッドを巻き込むと
「ソイヤアーッ!」
 風の中から叫び声が漏れる。
「主の加護があらん事を……」
 ジャネットはそう小さく呟くと、ソイヤと聞こえる方を見据えて電撃を放った。すると電撃に囲まれたボアヘッドはまた――ソイヤアァ! と声を震わせる。
「ソイヤ!」
 今度は掛け声と共に斧が飛んできて、それはカキョウを斬り付けた。腕を抑えて、彼はバルバを睨む。
(「また変なのが現れたものだ……。面倒くさいが、さっさと片付けてしまおう……」)
 草原の上にこだまするソイヤの声にゲンナリした様子で、流浪の紅煉・レン(c22646)はフレイムソードの剣先を、バルバの方へ向けた。
「燃え尽きろ……」
 ほどなくすると、炎がボアヘッドを包んで火達磨にしてしまう。
「ソイヤ!」
 と、今度はあの掛け声が背中の方から聞こえる。――まさか!? と思って驚いたジャネットが、盾を構えて振り返ると、そこにいたのはカヘルだった。
 掛け声と共にくるくる回ると、カヘルは突風で砂とか板とか色んな物を巻き上げて、ボアヘッドにぶち当てる。
「ソイヤ……」
 すると早くも先頭にいたボアヘッドが倒れてしまった。
「ソイヤ!」
「ソイヤーッ!」
 他のボアヘッドたちが、その亡骸を何度も揺する。
「ソイヤ!!」
 だけど、起き上がらないことを確信したのか、バルバたちは武器を振り上げ一斉にこちらに向かって駆け出した。
(「また暑っ苦しそうな、バルバが出たもんだな、おぃ? 女殺そうとするとか、全くどうしようもねぇ奴らだなぁ。さくっと、ぼこぼこにしてやるとしましょうかね」)
 舌打ちを一つ吐き出すと、獣の標榜・ゲイン(c30356)は、拳に女神の紋章を浮かべて、ボアヘッドに向ける。
「俺の拳で裁いてやらぁ! ソイヤァ! って、うつっちまったじぇねぇかよ!」
 彼のナックルはどす黒いオーラを放ちながら、先陣を切って現れたボアヘッドの腹にめり込んだ。
「ソイヤァ」
 弱弱しくボアヘッドがうめくと、そこへ今度はツルギの刃が何度も突いては灼く。だがボアヘッドもやられてばかりではない。
「ソイヤッ!」
「ソイヤッ!」
 彼奴らは斧を振り上げ、力いっぱいスイングすると、横に薙いだりマキ割りのように一撃アタックしたりしてエンドブレイカーたちを襲う。前に出て戦っていたゲインやツルギ、それからカキョウとカヘルたちはその攻撃を正面から受け止めざるを得ない。
「ソイヤ!」
 そこへ便乗するように、ボアヘッドの後ろに隠れていたオークも駆け出して、短い足で華麗にハイキック、ローキックと彼らを蹴り付けた。
「ソイヤーッ!」
 痛みに耐える彼らに背を向け、やりきった! という表情でオークたちはハイタッチをする。が、その後頭部を2枚のカードが狙う。
「ソイヤッ……」
 カードはオークの頭の上で爆発を起こした。振り返ると、そこには金ピカのカードを手に乗せるシルフィーナが居る。
(「今回はバルバ退治やけど、直接金にならん仕事やからって軽くみたらあかん。信用ってもんは金じゃ買われへん価値ある貴重な財産や。ましてやエンドブレイカーって肩書き自体に付加価値がある今、この機会に失敗はできへんで……!」)
 鋭い視線でバルバを見据えると、シルフィーナは唇を固く結んだ。
「ソイヤ! あー、うつっちゃうね」
 と言いながら、マヌカもキノコをぶん投げる。ボアヘッドはキノコの煙に包まれると、ぼんやりとした表情で
「ソイヤ……」
 と呟いた。
「そいや!」
 今度はチセの番だ。彼女はカキョウの足元に、魔法円を生み出して、彼の身体を癒やした。
「ソイヤ……ソイヤ……そーいや、なんでこんな事してるんだっけ……?」
 気だるそうにそう言って『蒼桜』を構えると、アミナリスはボアヘッドに向かっていく。太刀から発した稲妻は、ボアヘッドだけじゃなくその仮面をも斬り裂いて、そしてボアヘッドの動きを止めた。
「ソイヤ?」
「ソイヤーッ!」
 転がる仮面と崩れ落ちる仲間を前に、バルバの声がこだまする。
 残るバルバは8体だ。

●ソイヤ! ソイヤ! ソイヤ!
 ソイヤ、ソイヤと響く中、彼らは確実に海賊バルバたちの数を減らしていた。
「ソイヤソイヤうるせぇなぁ!? ちったぁ、黙ってろや」
 ゲインのワッパーで引き回されても尚、ボアヘッドはソイヤ! と受ける。
「全力でいくぜー!ソイヤッ!……うおっ!? ソイヤソイヤと言うからうつっちまった!!」
 魔獣になったカキョウの腕が、ボアヘッドを殴り打つと、
「ソイヤ!」
 飛び上がったカヘルが、回転しながらボアヘッドに突撃した。その衝撃で倒れたボアヘッドは、そのままもう動かなくなってしまった。
「ソイヤ……」
「ソイヤ……」
 風向きの悪さを感じたのか、残ったオークがそわそわし始める。
「ソイヤ、ソイヤとやかましい…せめてヨイショにしろ…」
 それを見たアミナリスはオークにチェイスで印を付けた。
「ところで『ソイヤ』って何なん……? うち、どっちか言うたら『セイヤ!』のが言いやすいわ〜」
 と言うとセイヤ! の掛け声でシルフィーナは呪殺のカードを投げつける。カードをくらったオークは
「セイヤ!」
 と言うとその場に倒れた。
 氷凛姫・サネリア(c01850)がボアヘッドの上に氷の花を描くと、人付き合いは苦手で不器用・ナナリー(c12891)は業焔で薙ぎ払う。
「これが主の裁きです!」
 そしてジャネットがオーラをまとった剣先をバルバに向けて、下から思い切り斬り上げた。
「……ソ、ソイヤ」
 最後のボアヘッドも倒れて、もう動かない。
「セイヤ? ソイヤ?」
「ヨイショ!」
 どよめくオークの前へツルギは立ち塞がると、
「悪いが誰一人逃がすつもりはない!」
 超高速で何度も何度も斬り付ける。
「消し飛べ……」
 そしてレンがフォースを放つと、オークはその場で絶命した。
「ソイヤーッ!」
 その姿を見て、最後に残ったオークが踵を返して短い脚で走り出す。しかしそこへ邪剣の群れが現れて、オークは取り囲まれてしまった。チセが呼び出した剣たちは、オークを次々斬り付ける。
「うっしゃ! とどめだ! ソイヤ!!」
 カキョウは勢いよく駆けつけると、魔獣の爪でオークを引っ掻く。その爪はオークの上で乱舞して、止まらない。
「ソイヤ……ッ」
 オークは最後に一声残して、その場に崩れ落ちた。

●So I ya
 ボアヘッドの屍骸に印を刻んでチセが祈ると、その屍骸は消え失せる。カヘルやジャネット、ツルギが屍骸を一箇所に集めたお陰で、戦闘の跡は早く片付いた。最後のオークに祈りを捧げ、死体が消えるのを見届けるとチセは、
「それじゃピクニックにしましょうか!」
 と顔を上げて、嬉しそうに3人を見る。
 先に場所取りをしていた、アミナリス、マヌカ、サネリア、ナナリー、カナリアと合流するとチセは早速みんなの前にサンドイッチを広げた。
「お昼にと簡単なものですが、用意してきたのでみんなで食べましょ〜♪ サンドイッチと〜サンドイッチと〜サンドイッチと〜」
 彼女の袋からは無限にサンドイッチが出てくるようだった。様々な種類のサンドイッチを前に、マヌカは思わずツバを飲む。
「これ、気に入ってもらえるといいけど……」
 と言って今度はツルギが持ってきた弁当箱のフタを開けた。中にはおにぎりや出汁巻き玉子に焼き魚、唐揚、野菜、牛蒡巻、蓮根などがぎっしり詰まっている。
「右から鮭、タラコ、塩、おかか、炊き込み御握り、味噌を塗って焼いたけんさん焼きよ」
 彼女はおにぎりを順に指し終えると
「緑茶も多めに持ってきたからね」
 と水筒も出した。
「お茶なら私も。リラックスできるようにハーブティーを淹れて来たので、みなさんでどうぞ。料理は苦手なので作って来ませんでしたが」
 そう言ってジャネットは微笑むと、水筒を出す。
「私はですね……」
 今度はカヘルがバスケットの中から、お菓子やサンドイッチを取り出した。
「飴とクッキーとチョコレート、それからサンドイッチもありますよ。マヌカさんもひとつどうです?」
「わーいありがとー! じゃあこれっ」
 と言うとマヌカは早速チョコレートを一つつまむ。
「やれやれ……疲れたな……ソイヤ、あ……まあいいか」
 未だソイヤの抜けないアミナリスに、くすっと笑うとジャネットは彼にハーブティーを差し出した。
 その様子を耳に
(「皆で楽しくピクニック、って柄じゃねぇしな」)
 と、ゲインは木陰で酒を片手にウトウトし始める。
「よっし! さぁ、可愛いお嬢さん達! オレ達と一緒にピクニックをー!!」
 草原の中にカキョウの声が明るく響いた。彼はシルフィーナと一緒に、避難していた女性たちを連れて帰ってきたのだった。
「やっぱり皆で騒いだほうが楽しいだろ〜」
 ピクニックを始めている仲間たちにそう言って笑うと、彼は女性たちのピクニックの準備を手伝いに行く。
 草原の上を風が撫で、鮮やかな色の花を揺らした。その風をレンは頬で感じると、一人煙草を手に取る。
「いい天気だ……。たまにはこうやって……、日を浴びるのも悪くは無い……か……」
 そして煙草を咥えて火を点けると、彼女は煙を空に吐き出した。



マスター:森谷友貴 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2012/05/18
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