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魅惑の姉妹を守りたい♪

<オープニング>

●人魚村にて
「オーウ、貴方タチ、村ニ何ノ用カ?」
 貝殻の家に珊瑚の木が立ち並ぶ、可愛らしい人魚の集落。
 珊瑚の林が垣根を作る村唯一の出入口に立ちふさがった守衛達は、突如として訪れ人間達は、三又の槍を構えそう尋ねた。
 貝殻のように頭の上で盛った髪に、色とりどりの貝殻や珊瑚で飾り付けた髪が特徴の姉妹は、花型の飾りを付けた方が姉のマリナ、星型の飾りを付けた方が妹のマリカという。
「何黙ッテル? 痛イ方ガイイカ?」
 堂に入った構えで槍を操り、ぐいと槍を突き出す妹人魚。
 だが、男達はニヤニヤと笑うばかりで、斧を携えたリーダー格がひょいと手を挙げると、一斉に動き出して姉妹を取り押さえてしまう。
「オラッ、今のうちに人魚を攫っちまいな!」
 おうっと声を上げたならず者達は、そのまま小さな集落へと押し入っていく。
「……!! ……!!」
 押さえられた口から声にならない悲鳴が漏れる。

 人魚の村は、海賊達の襲撃に平和を破られようとしていた。

●人魚村を救って
 息せき切って逢菫の星霊術士・ペルフメ(cn0036)が酒場へ駆け込んでくると、エンドブレイカー達へと声を掛ける。
「みんなみんな、大変なの! あのね、人魚さん達の村がね、海賊達に襲われるエンディングが見えたんだ」
 そう言って、ペルフメは口早に事件のあらましを語った。

「場所はね、人魚海の領主さんが治めてる地域の、沿岸沿いの小さな集落。人魚さん達が10人ぐらい住んでるんだって。
 珊瑚の垣根に囲まれてて、入口はひとつだけ。そこに守衛さんとして戦いが得意な人魚さん2人が守ってたんだけど……海賊達に一斉に襲いかかられて、それで押し入られちゃうらしいの」
 ペルフメは真面目な表情で語りつつ、エプロンのポケットから緑色の手帳を取り出すと、図を描いた。
 集落を囲むよう珊瑚の垣根がとりまき、二つの黒い点が描かれた場所が守衛の居る村の入口になると説明する。
 村の入口辺りは浅瀬で、下は硬い岩盤が張り出し、白く細かい砂がそれを覆っている。辺りにはぽつぽつと珊瑚の木が立ち並ぶが、視界を遮るものではない。
 また水深は踝辺りまでと浅いので、戦闘には支障がないだろう。
 入口は二人の人魚が通せんぼ出来る程度の幅である事から、海賊とほぼ同時の到着になる事を考えると、入口の前にて防戦をするというのが予想される展開であろうか。

「みんなには、守衛さんのいる入り口の所で、海賊達が……ええと、人質? 人魚質? を取る前に撃退して欲しいの。今から行けば、海賊達が守衛さんを押さえる前ぐらいには駆けつけられると思うから」
 守衛の人魚にはエンドブレイカーであると言えば助けが来た事を理解して貰えるだろう。が、残念ながら、人魚達の退避の時間などの余裕は無いだろう。 
 次にペルフメは、敵の戦力について話した。

「ええとね、海賊は親分って呼ばれてるマスカレイドに率いられているの。「オグゥ海賊団」って名乗ってるみたいだよ。
 連れられてる部下達はマスカレイドじゃないけど、数も多いし乱暴者だから注意してね。……それに、親分の言うことは聞く、つまり統率が取れてるってことで、集中攻撃をしてくる事もあるみたい。くれぐれも気をつけて。
 斧持ちの体格のいいのがマスカレイドのオグゥ、9人の配下はナイフを持っているよ」
 マスカレイドは倒さなければいけないが、配下らはひとまず無力化すればいいだろう。捕まえた後は、人魚又は領主に引き渡し、処遇を決めて貰えばよい。

 説明は以上だよ、と顔を上げたペルフメは、スミレの瞳に信頼の色を浮かべて、皆へと微笑み掛け。
「お友達が大変な時なら、助けに行かなきゃね! マスカレイドなんてやっつけて、人魚の村を守っちゃおう? みんななら、人魚さん達を助けられるって信じてるから」


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参加者
悠久の騎士・ショウ(c00212)
野太刀のソーンイーター・クリストファー(c00489)
活人拳・ウァッド(c02372)
害獣モグラ・パトリック(c02456)
ぱぺぴぷ・ペンペロン(c03137)
高機動重弐刑事・キルミツ(c06427)
真銀のアリア・リセリル(c07186)
アッシャレ・ジーユ(c16905)
ブレイブハート・ユート(c27247)
雷光戦鬼・アカツキ(c30989)

<リプレイ>

 広々とした海が広がる場所に、その村はあった。
 しっかりした岩盤が支える浅瀬を渡ってゆけば、珊瑚の並木の先に、珊瑚の垣根に囲まれた、こぢんまりと可愛らしい人魚達の住まう貝殻の家並みが見える、筈であったのだが……。
 そこにはむくつけき男どもの姿が、在った。

 ぱしゃん。水をかき分ける音が、控えめに響く。村への道は浅瀬とはいえ水がひたひたと寄せて、10名からなる行軍、その音をかき消す事は難しく思えた。
(「……っと、こりゃぎりぎりだったか? 危ない危ない」)
 おやとフードの陰で眉を跳ね上げるのは害獣モグラ・パトリック(c02456)。
 海賊ら10名の位置は、村から見て入り口の右手。左手より寄せたエンドブレイカーらの到着は、ほぼ同時である。
「貴方タチ、村ニ何ノ用カ?」
 総勢20名からなる集団に、守衛の人魚は困惑の様子。三又の槍を構えるも、どちらに向ければよいかと、悩みがちの挙動だ。
 守衛の人魚が誰何の声を挙げるのが速いか……。
(「あらやだ、海賊も、もう村の目の前じゃないの。これは迷っている時間はなさそうね。足の速い子達を送り込みましょ」)
 根がオカンのアッシャレ・ジーユ(c16905)は、娘達の身の安全を考え、率先して行動へ出た。
 素早い動作で放り投げるのは、危険なキノコ。放物線描き投げ込まれた先で、それは幻覚作用の煙を広げた。
(「さて、ふざけた事する連中には、痛い目見て貰いましょうか」)
 機を見た遠距離組がそれに続いた。パトリック、野太刀のソーンイーター・クリストファー(c00489)、悠久の騎士・ショウ(c00212)の攻撃も続く。
「皆さん、今です!」

「……っ! げほっ、な、何だ!?」
 人魚らに気を取られていたのが仇となったか、ジーユらの先制はあっさりと決まり、海賊どもは僅かだが浮き足立った。
 機を逃さず、二人の男達が動く!
「勝手ながら助太刀させて貰うぜ」
 活人拳・ウァッド(c02372)が人魚らの前へ滑り込み。
「待て!」
 と、ぱぺぴぷ・ペンペロン(c03137)がボス格のオグゥと思われる体格の良い男の目前へと盾構え迫って、制止の声を挙げる。
「何だぁ、手前?」
 振り上げた肉厚の斧が頭上より降り落ちる。ぎしり。斧と盾が切り結び、ぎろり、睨み据える血走った目は狂乱の気配を含んでいた。
「貴様らに名乗る名前はない!」
 それをしっかと睨み返し、ペンペロンは飄々とした様子で立て板に水と語る。
「生まれた時間の違いはあれど、その差を問わずにお互いを想い助け合う。肉親の中でも最も近い女たち……人それを『姉妹』という」
 美女を虐げる男など、全く以て許し難き存在だ。それがマスカレイドならばより捨て置けぬ。
「麗しきかな姉妹愛、ってな。それを助けて寄るは男気ってもんだ。さあ、見せてやろうじゃないか? 男ってやつをよ」 
 ペンペロンは、にやりと笑った。

 初夏を迎えた海は、明るい日差しと青色に満ちて。
 燦々と照りつける陽光に、いまだ冷たさを残す海水は、心地よくも感じる。
 わっ……!
 にわかに活気に満ちた人魚村の入り口、殺到する男どもの姿は、何とも威勢のよいものである。
 ギィン……!
 殺気だつ海賊どもの得物は見るからに安物で、ぼろい刃は錆び付いてすらいたが、それでも戦慣れしているのだろう、傷を付けることは容易いようで。
 掠る刃に、新たな血潮が青い水面に花を咲かせた。

(「ここにも、女性は居るんですけど……」)
 熱闘の間際、真銀のアリア・リセリル(c07186)はこっそりため息を吐いた。
 男所帯に花一輪、とはいえ、魅惑の人魚姉妹が今回の護衛対象であり、状況は混戦。護って貰える状態ではない。けれど、と、僅かながらに己を助く王子様を求めてしまうのは女心というものか……。げに難しきは乙女心である。
 村の手前へ向け駆け寄り、まずは下っ端と槍を舞うように振り回す。ひらり揺れるはドレープをたっぷり取った漆黒のドレス。裳裾を揺らして踊り掛かる姿は華麗にして美麗。
「か弱い乙女を襲おうだなんて、最低ですね」
 そんな存在に、軽蔑のまなざしを向けられるのは男として何とも……効く。ゲオルギウスに薙ぎ払われ倒れるは、単純にその威力でこそあったが、傷心のまま倒れ行く下っ端の目には涙。
 ばしゃあん!
 上がる派手な水音に、鳴り響く戦火の音に、今度こそ不覚を覚えたか。
「うおおっ!」
 海賊達は、エンドブレイカー達へ怒りの声を上げたのだ。

● 
「オーウ、一体何ガ起コッテルカ?」
 かくりと首を傾げて、姉妹達は目前に迫る戦いに、困惑していた。
 右手より寄せた如何にも悪党じみた男どもに、左手より押し寄せた年格好の様々な男達が、戦闘を仕掛けている。というのが、彼女らが分かる状況である。
(「久しぶりに人魚と会えるのは嬉しいでござるが……これが仕事でなければなぁと、つくづく思うものでござるなぁ」)
 高機動重弐刑事・キルミツ(c06427)は断罪の拳を海賊へと振るいながら、しみじみ心に思う。人魚との逢瀬を喜ぶ間もなく戦わねばならぬとは、何とも情緒のないことよ……。溜息すら出てきてしまいそうだ。

 その頃、積極的に村の防衛にと駆けつけた者らは、村の入り口や姉妹を守るよう、村の前に陣形を組みつつあった。
 ひたひた寄せる海のみぎわで、攻防は続いていた。
 攻め入ろうとする海賊の数は、各個撃破を狙うエンドブレイカー達の手によってすでに2名程減っている。
 村前へと守備が集結し、幾ばくかの余裕が生まれた頃、戦いの間を縫うようにして、ようやくエンドブレイカーは姉妹への説明に口を開いた。
「我らはエンドブレイカーだ」
(「思いの外に、娘らへの声掛けが出来なんだ……が、今は護るが先だ」)
 雷光戦鬼・アカツキ(c30989)は人魚姉妹へと簡潔に言った。何せ、到着して即戦いへと持ち込んだ格好であったから、なかなか話すタイミングを掴めなかったのだ。
「奴らはこの村を襲いに来た海賊でござる。宜しければ、しばし拙者らと共闘して貰えませんかな?」
「オウ、アナタ達、エンドブレイカーダッタカ!」
「ワカタネー、私達モ槍働キネ! イツモ通リネ!」
 アカツキとキルミツが眼前を睨みつつ簡略に告げれば、青い瞳を丸くして、事態を理解したよう姉妹が頷く。
「それと、集中攻撃を受けたら危ないからな、単独行動は避けてくれ」
(「マスカレイドを放って置けないのはもちろんだけど、海賊行為そのものも到底看過出来る事じゃない」)
 この悲劇、止めなければならないな……。
 ブレイブハート・ユート(c27247)もまたカドゥケス・ライトを身に引きつけるようにして構えながら姉妹へ言えば、少年の決意に満ちた声に何か感じたのか、オーケーと、姉妹は真剣な表情で言葉を返した。

(「……護ってみせる!」)
 決意と共に振るうショウの斬撃は、水飛沫を上げて暴風を起こした。嵐に揉まれたようふらつく海賊に、うおおと声を上げ破れかぶれ、村へ突進する敵影を、むんずと掴む男の手があった。
「……?」
 ばしゃん! 大きな水飛沫が上がる。自らが投げられたと理解したのは、意識が刈り取られるその瞬間だ。
「村に近づくは、我が悉く投げ飛ばしてくれよう」 
 すと挙げたアカツキの手は、相手を把握せんと再び開かれる。
(「苦戦とはならぬが、しかし……数が多いというのは、面倒ではあるな」)
 一つ、また一つ。協力して当たれば、むしろ脆い程の相手であったが、それでもいまだ半数は残っている状態だ。


「姉妹殿、ここはそろそろ大丈夫でござる。村人に注意を呼びかけて頂けないでござろうか?」
 そして、また一つ飛沫が上がる。キルミツの放つ断罪の拳に、虚脱した男がみぎわで膝を突いたのだ。 
「……? ワカタネー、私達イクヨー」
「皆ガンバテネー、アリガトネー」
 姉妹は気遣いの視線を投げかけながらも、村へと連絡へ向かう。女性との接触が苦手なクリストファーは、彼女らの気配が遠ざかったのに緊張を解き、こっそり胸をなで下ろしながらも、未だ数の多い海賊に、僅かと眉を寄せ憮然とした表情を向けた。
「海賊、先日の戦いでもそうだったけど、ほんとどこにでも出てきますよねー。1人見たら30人いると思えって感じで」
 ついと挙げた手より、実体化した棘(ソーン)が現れ出て敵を刺し貫く。本当にまあ数が多いと、嘆息するクリストファーは仲間らの背を眺めながら手を下ろす。全くなぁ、と同意する声に、少年はふと隣を見た。
(「統制の取れた相手は厄介だな、数は漸く半分、てとこか」)
 パトリックはふうむと唸る。こちらも一体ずつ確実にと手を加えて、ここまでは順当に来た。
「オグゥは発音しづらい、どこの地方の出身だ? 田舎の食い詰め者にくれてやる女はいねぇよ、帰ってママのおっぱいでも吸ってな」
 嘲笑するよう、パトリックは海賊団の団長、オグゥへと声を上げた。魔道書Feliciaを広げて放つ蛇は呪いの力となり、男の足を石化させる。
「じいさん、俺ぁ気が短ぇのよ?」
 仮面を額に浮かべたオグゥは、にたりと笑う。未だ余裕の表情のマスカレイドは、むしろ紅一点のリセリルの姿に目を引かれているようだ。
(「……正直、海賊に好かれても」)
 ここは女扱いされて喜ぶべきなのだろうか。ハルバードの柄を握りながら、リセリルは複雑な胸中にそっと息を吐く。
 その意識が逸れたのを引き戻すよう、更に挑発の声は掛かる。
「おいおい、俺一人相手に出来ないようで良く船長が務まるな」
「なにぃ……?」
(「そうそう、お前は俺を狙ってりゃいいさ」)
 ぎろり、睨みつけるオグゥに、ペンペロンは不敵な笑みを返し。
「そりゃ無理やり掠わなきゃ女にも相手されない訳だぜ」
「っ……! 手前ぇらッ、こいつをたたきのめしちまえッ! いいか、絶対ぇ生きて返すなッ!」
「「へ、へいっ」」
 箍が外れたよう、オグゥは斧を振り回し、ペンペロンと押さえに加わっていたショウを弧を描く斬撃に打ち据える。
「……くっ!」
(「流石に、重いっ。ここで一斉攻撃は……まずいっ!」)
 ショウは冷や汗を浮かべた。怒鳴り散らすオグゥの声に、すくみあがった手下どもが慌てて駆けつけてくる。
 その、先は……。
「避けろおっ!」
 どっ!
 初手は盾にて防いだが、続く利き腕を封じられると、殺到する刃に、男の足下がふらついた。オグゥとの攻防に続いて、回復を挟む間もない攻撃は、強かにペンペロンの体力を削り取る。
「……っ!」
 くらりと視界が揺れる。男がみぎわに膝を突こうとした、その時。
 爽やかな潮風に乗せて、ふわり、甘い果実が香る。
 落ち着いた声が、その背に掛かると同時。癒しの力が確かな形で届いた。
「敵も動揺している。今が攻め時だろう」
(「手数の多い攻撃を選んだ子が多かったからね。半数って言っても、あそことかあそことか、もうボロボロだし」)
 フルフェイスの下、後方に位置するジーユは視線を水平に流した。相手の動きを制限する為、暴走やマヒの効果を与えるように動いた事もあって、多少遅滞したが、同時に多数を相手する攻撃を行った者も多かった為か、敵の体力も減っている。
「そうだな。まあとりあえず、さっさと倒しちまうか」
 軽く頷き、縮地の歩法にて悪漢を捕らえると、ウァッドが豪快な蹴打を繰り出す。
 ……ばしゃあん!
「おっと。ここらも海賊がゴロゴロ転がってて邪魔になってきたな。うっかり蹴っちまいそうだ」
 みぎわに転がされた二人に一瞥くれると、ちょいとフードを直して、ウァッドは憎々しげとこちらを睨むオグゥへ、にやりと精悍な笑みを向けた。


 リセリルの黒いハルバードの一閃に、黒い裳裾が踊る。ジーユの放るキノコは煙を巻いて、それに巻き込まれた悪漢は、もんどり打ってみぎわに突っ伏した。
「大分、綺麗に片付きましたね」
「……残るはボスのみ、か」
 むくつけき男どもがわらわらと争った跡は、水際で大の字を並べる海賊どもの姿に見えたが、視線を上げれば切れ目のない青い空を見上げる事が出来る。
 静かさを取り戻しつつある初夏の海は、美しい青色を湛えていた。

 どすん!
 憮然とした表情を浮かべたマスカレイドが、意識なくみぎわに浮かぶ配下どもの不甲斐ない姿に怒ってか、それを蹴りつけていた。
「何を……それはお前の部下だろう!」
「ちっ、うるせえっ! 役立たずなんかいらねぇっ」
 ユートの制止に、往生際悪くオグゥは斧を振り回す。
「うるせぇ、うるせぇっ!!」
 負けを認める事など許しがたいとでも言うように、肉厚の斧を振り回しては、近づく者をぶっ叩く。
「くっ……! でたらめだ」
 やぶれかぶれの攻撃に、ユートは眉をひそめる。腕も足も、石化の呪いに封じられたというのに、それでも暴れる事を、誰かを傷つける事を止めない。そんな性根だからこそ、この男を止めねばならないのだろう。
「や、めろっ……!」
 悪鬼の如き振る舞いに、捻じ込む勢いで少年はショートレンジからのスクリューブロウを放つ。
 どっ!
「まだまだでござるっ」
 腹部を押さえ上体をぐらつかせるオグゥへ、キルミツが鬼気迫る勢いで斬り込んだ。
 斬ッ!
「そこ、がら空きです」
「な、何っ……」
 キルミツの作った僅かな隙へ、クリストファーは棘をしのばせる。たたらを踏んだオグゥは、棘山の真ん中へと倒れ込んでいた。
「〜〜〜ッ!!」
 声にならない悲鳴が、みぎわに響く。びしり、額に浮いた仮面に亀裂が走り……。

 音もなく、砕け散った。


「……まあ、こいつらの処遇は人魚と領主に任せるとして……って、大丈夫か?」
 気絶したままの配下達を適当に珊瑚の生け垣に凭れさせ、話を聞いたところ。所詮は下っ端、何も知っている事はなく。ひょいと肩を竦めたウァッドは、後ろを振り返って、片眉を跳ね上げた。
 そこには可愛い子好きの姉に抱きつかれ完全に固まっているクリストファーがいた。
「……ええ、と」
 奥手なショウやユートも、既に熱烈な歓待を受けたか、何やら赤い顔。
「貴女モ強カッタネー、ホレボレスルネ!」
「あ、有り難うございます」
 手強い敵を倒した戦士達へのお祝いと、皆を称えていた妹人魚にむぎゅっと抱きしめられて、リセリルは複雑な心境。
 その隣で、アカツキも思いもよらぬ大胆なハグに、戸惑った表情をしている。

「あらあら、仲のいいこと。ね、どうせだから村の人達とパーティしない?」
 常の口調に戻ったジーユが、くすくす笑いながらそんな提案をする。
「おお、いいな。今回の件とか抜きで、俺も一緒に酒をって思ってたしな」
「賛成でござる! 拙者もしばらく逗留したい位ですしな」
「お、楽しそうな話だな、一つ俺も混ぜてくれよ」
 パトリック、キルミツ、ペンペロンらも乗り気の様子でそれに頷き。
「オウ、イイネー、皆デ勝利ノ祝イヨ! ジャンジャン飲ンデネー」
 乗り気の姉妹も彼らを導くように、平和な村へと皆を招き入れたのだった。



マスター:伊家メグミ 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2012/06/04
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