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終わらない夢を二人で

<オープニング>

 屋敷の見事な庭で、満点の星空を見上げながら、フローラは物思いに耽っていた。
 明日は、顔も見たことのない許婚との結婚式だ。親同士が取り決めた政略も絡む結婚に、貴族の娘であるフローラが反発できるわけもない。
 はぁとため息をつき、フローラは目を伏せた。
「フローラ」
 聞こえるはずのない恋人の声を背後に聞き、フローラはハッと振り向く。
 恋人であり、庭師のジョルジュがそこに立っていた。
「ジョルジュ、どうして?!」
 ここに来る前に使用人に止められるだろうに。
「みんなには眠ってもらったよ。フローラ、行こう。僕と一緒に」
 近寄ってくるジョルジュに、フローラは無意識にあとずさる。
「だ、だめ! 所詮あなたとは、結ばれない運命だったのよ……」
 そこまで聞くと、ジョルジュは顔を真っ赤にして叫ぶ。
「フローラ、君が僕を思う気持ちはそんなものだったのか! 許さない、許さないぞ、君を誰にも渡すものか!!」
 取り出した杖から雲が立ち込める。吸い込めば永遠の眠りにつく、魔法の雲だ。
「あ……う…………」
 フローラは抗えぬ眠気に負け、倒れかける。それを抱きとめ、ジョルジュは夜の街へ消えていった。
 彼の顔には半欠けの仮面があった――。

「拒絶体の男性が、道ならぬ恋を成就させようと、恋人をさらうエンディングが見えました……」
 節制の魔想紋章士・ヒヨリ(cn0139)は、酒場にてエンドブレイカーにそう切り出した。
 ヒヨリが語って聞かせたのは、禁断の愛故に歪んでしまった悲しい顛末。
 貴族の娘フローラと使用人ジョルジュ。
 結ばれない運命をなんとかしたいがあまりに、ジョルジュは棘に囚われてしまった。彼女を愛していたからこその悲劇だ。
 ジョルジュは無理矢理駆け落ちしようと、フローラの家人や使用人を昏睡させ、フローラをさらいに来る。
「今から行っても、フローラさんを助けられるかどうか、ギリギリなのですが……。アクスヘイムの棘が弱いおかげで、まだジョルジュさんは完全体ではありません……。今ならば、元に戻せます……」
 つまり、家人や使用人の被害を未然に防ぐことは出来ない。フローラの誘拐を阻止できるかできないか、というタイミングでの到着が精一杯なのだ。
 しかし、ジョルジュが正気に戻れば、使用人たちの昏睡を解除するだろう。
 つまり、フローラの無事を確保しながらジョルジュを倒せば、全て丸く収まる寸法だ。
 ジョルジュは、屋敷の庭にいるフローラを眠らせてでも、連れて行こうとする。
「配下は五匹の亀です……。フローラさんを誰にも渡したくないという主人の強い思いに応えて、配下マスカレイドは動きます……」
 ジョルジュは追い詰められると、フローラを永遠に我が物にするべく、彼女を眠らせるだけでなく、殺してしまうだろう。
 それだけは防がねばならない。
「正気に戻った彼は、してしまったことを覚えているので、きっと落ち込むでしょう……。フォローをしてあげた方が良いかもしれませんね……」
 しかしフローラをジョルジュから奪って、親元に戻してしまえば、彼女は望まない結婚を強いられることになる。
「マスカレイドは何とかしなければなりませんが……。そこからどうなさるかは、私は皆さんにお任せしたいと思います……」
 と、含みのある言い方をするヒヨリであった。


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参加者
花昏・シラベ(c00041)
黒月ノ銀狼・ルナ(c01436)
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
一刃の星・レイジ(c02370)
一刀・グラディウス(c03243)
月光・ユエ(c17467)
楽しくやりましょ・ハルナ(c20456)
蒼の貴姫・レノール(c21020)
黎明の武芸者・ミナタ(c25097)
月夜見の黒傘・ユウカ(c27954)

<リプレイ>

●薔薇の香り漂う庭園に
 満天の星空の下、フローラは目を伏せ、肺の底からため息をついた。
 その息が終わる刹那、
「フローラ」
 彼女の名前を呼ぶ、優しい声に彼女は振り向き、愛おしい男を認めた。
「ジョルジュ、どうして?!」
 驚きに叫んだ瞬間であった。
 彼女とジョルジュの間に割り込む一人の男は叫ぶ。
「待て、そこまでだ!」
 なにがそこまでなのだろうか、とフローラは首を傾げて短髪の男、一刀・グラディウス(c03243)の背を見つめる。
 しかしジョルジュの顔は怒りに歪んでいる。
「貴様ら……。まだ僕とフローラの仲を裂こうとする連中がいただなんて!」
 と杖を構える彼が呼び出すは配下の亀共五匹。
 そう、グラディウスの後に続いて九人もの男女が庭に侵入していたのだ。
「ふぅ、何とか間に合ったな」
 一刃の星・レイジ(c02370)はニィと口端を上げて笑い、ジョルジュに闇夜に輝く剣を突きつける。
「ふざけんじゃねえぞ! 待ってろ、二人が後悔しない未来を俺達が紡いでみせる!」
「あ、あなた方、なんですか!?」
 見知らぬ男女がどやどやと現れ、フローラは不審と恐怖に声を震わせた。
 エンドブレイカー達は拒絶体マスカレイドたるジョルジュに夢中で、彼女に何も声をかけない。
「悪いけど、フローラには近づけさせないわよ」
 と言いつつフローラを庇うべく、彼女の前に立ちふさがる月光・ユエ(c17467)の背をにらみ、フローラは気丈に叫んだ。
「急に現れて、ジョルジュに攻撃しようとするあなた方は何なのですか!!」
 フローラが攻撃を受ける前に割って入るならば、ジョルジュだけでなく、フローラにも事情を話し、宥める言葉を与えるべきであった。
「はぁ……だらしないわね。ま。勝手になさいな、と言いたいのだけど」
 ちょこちょこと幼い少女が、怒りに震えているフローラに近づいた。
 少女は年不相応の落ち着き、いや一見面倒そうにも見える気だるげさで、フローラを視線だけ上げて、見る。少女の名前は、楽しくやりましょ・ハルナ(c20456)といい、七歳の武芸者だ。
「この男、あなたをさらおうと、いえ挙句に殺そうとしているのよ。駆け落ちしたいがあまりにね」
 ハンマー鉄塊を担ぎ、ハルナは淡々と言い放つ。
「そんな……」
「信じられないでしょうね。ま、これはあの男の本心からの行動じゃないの。私達はあなたの彼氏を正気に戻すため、ちょっと荒っぽいことをするだけよ」
 だからおとなしくしてなさい、とハルナは言い捨て、ハンマーを振り落とす。激しい振動が亀に襲いかかった。ハルナは気だるい視線をマスカレイドに向け、低く言う。
「その棘は砕かせてもらうわよ」

●満天の星空、輝く刃の軌跡
 銀が闇を裂く。走り寄る男のなびかせる銀糸が幻想のよう。
 黒月ノ銀狼・ルナ(c01436)の漆黒のアイスレイピアがジョルジュを凍りつかせる。
 ルナはモントリヒト家次期当主、つまりフローラと同じ貴族だ。故に、二人の恋路に思うところは多々ある。しかし、せめて『棘のせい』で、不幸なエンディングを向かえぬようにと、彼はレイピアを振るう。
 亀がグラディウスに突っ込む。亀は全てフローラを奪い返さんと動くので、彼女を庇うグラディウス、ルナ、ユエを狙うのは当然だ。
 そして、ジョルジュも当然、この三人を狙うのである。
「っ、抑え班が持つかしら……早く亀を撃破しなくちゃ!」
 花昏・シラベ(c00041)は焦りながらも、彼女の身体分もある大鎌、毀月を振り上げ、頭上で旋回させる。
「明けない夜も、覚めない夢も、ないんだからっ!」
 と亀に鋭い刃先を振り下ろす。衝撃波が発生して、二体の亀の緑の皮膚が破れた。
 ジャラララッと金属音が奏でられ、亀の体を雁字搦めに縛るシルバーチェーン。
 それの先端を、尚も鎖を錬成する賢者の石を光らせる手でギリリと引き、月夜見の黒傘・ユウカ(c27954)は穏やかな顔を厳しく引き締める。
「どのような結末になるにせよ……まず、邪魔な端役にはご退場願います」
「ですが、悲劇で終わらせたくはありません」
 美しい赤の光放つ天羽羽矢を放ち、阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)は呟く。
 身分違いの恋を題材にした物語は多々あるものの、やはり喜べる終焉で結びたい。
「人のものになるぐらいなら、殺すというか。それでは思い通りにならないと癇癪を起す子供と変わらん」
 ルーンはさり気なく自分もフローラを庇える位置に立った。三人だけに、フローラの護衛を任せておくと危ないと判断したのだ。
 ルーンの隣、同じようにフローラを庇う黎明の武芸者・ミナタ(c25097)は目を伏せ、呟く。
「このような恋がどこでもうまくいかないのは……当然といえば当然、なのですけど」
 とミナタは自分の哀しい記憶を辿って胸を痛めた。
 自分も身分違いの絆に切ない思いをしたのだ。そして、自分も拒絶体として大切な人を――。
「っ!」
 振り切るようにミナタは太刀をひらめかせた。神の火宿す刃が亀を断つ。
 傷を負った亀達が丸くなって自らを癒す。
「ふん。体力を削る分、それもまたいいが、手間取るのもくだらんからな」
 と蒼の貴姫・レノール(c21020)は、妖精グウィネスを始めとする妖精の群れを呼び出して、亀にけしかけた。うるさく飛び回る妖精たちが亀を攻撃一辺倒に、そして狙いの対象すら無差別に変えていく。
 ジョルジュが使用人たちと同じ目に合わせんと、杖から眠りの雲を呼び出す。
「あら、眠らせるのはこちらも得意よ」
 対抗してユエが子守唄を紡ぐ。
「貴方のフローラとずっと傍に居たいって気持ち、分るわ。だけど」
 ユエは憐れむように、必死の形相の拒絶体を見つめる。
 大事な女を取られまいと、ただただ必死なだけの男。普通の恋愛と変わらない。ただ手段が物騒すぎるだけ。
「だけど無理やりは駄目。お互いが悲しい思いをするだけよ」
 そう、それもまた普通の恋愛と変わらない。
「あなたは今、運命への焦りを『棘』に利用されているだけ。どうか、彼女への本当の想いでその焦りを、『棘』を、断ち切って!」
 ユウカが願うようにジョルジュへ訴えかける。彼の必死の真摯な想いは、ある種、尊いもの。それを人の運命を嘲笑する棘に利用されるのは、エンドブレイカーであるユウカには許せない。
「此処から先は行かせんぞ!」
 グラディウスはジョルジュに千の打撃蹴撃を浴びせ、一喝した。
「彼女を愛しているのだろう!? ならば、彼女を悲しませるような事をしてどうする! お前なら棘ごとき、いくらでも追い出せるはずだ!」
「愛しているさ! 愛しているがゆえに、世界が僕らには冷たいことを思い知るんだ! 彼女を幸せに出来ないなら、彼女と一緒になれないなら、僕は、彼女をこの世界から逃すために……!」
 彼の絶望交じる悲鳴のような訴えを、愛らしい声が遮った。
「もしも未来を思い描くとして」
 シラベは歌うように、そして祈るように、自分の想いを紡ぎだす。
「隣に大好きな人がいたら。それはきっととっても幸せなことだと思うの。私だってそう。大好きな相手の隣にいたい」
 夜明け色の髪を夜風に揺らし、シラベは赤い瞳をジョルジュに真摯に向けた。
「だからあなたの好きでたまらない、その気持ち、わかるよ。泣き出したくなるような、切ない気持ちだよね。恋することは悪いことじゃないんだよ」
 でも、その気持で大好きな人を傷つけるのは悪いことだから、止める。
 シラベは亀の思考を乱す悪夢を繰り広げて、亀の狙いをフローラから逸らす。
「きっとこれは実らない恋じゃないって信じるよ。二人の描く世界、私は見てみたいから!」
 亀を永遠の眠りに誘ったあと、シラベはジョルジュに必死に訴えた。
「実らない……恋じゃない……?」
 ジョルジュが呆然と呟く。
 彼の手から杖が落ちる。ジョルジュの気持ちが仮面を凌駕して、破壊行動が止まった。
 ルナの歌が響く。冬の歌だ。
 巻き起こる吹雪にジョルジュが包まれる。
「叶うのなら、二人には幸せになって欲しい。同じ貴族として色々なしがらみや事情があるのは分かる。それでも、それでも二人の気持ちがあれば……」
 愛しあう気持ちがあれば困難を乗り越えられると、貴族として身分の差による障害を知るルナは、知っているがゆえに信じたかった。
「くっ、綺麗事を! そんな夢物語でなんとかなるなら、僕はこんなことをしていない!!」
 ジョルジュは昏い目に戻り、杖を拾い上げる。
 亀がシラベやルナ、レイジにぶち当たる。
「ち、邪魔者つうか出歯亀はとっとと退場願おうか!」
 レイジは跳躍し、一刃の星となる。流星の如き空中からの刺突で一匹の亀が息絶える。
「でも、血で赤く染まった手で築いたその赤い道で……果たして幸せになれるのでしょうか。あなたがフローラさんのためにしようとすること、それはフローラさんを幸せにしてくれるのですか?」
 尋ねながらミナタが神火まとう太刀と野太刀の双剣で舞う。優雅な軌跡が亀の甲羅を割る。
 名家の巫女たる姉と、拾われっ子の自分……。ミナタは、貴族の令嬢フローラと使用人のジョルジュに自分を重ねる。
 ミナタのそれは恋ではない、でも大切な絆という点では変わらない。
 他人ごとに思えないからこそミナタの剣戟には力がこもる。
 仮面に操られた結果は、誰も幸せにしないと誰よりも知るミナタは、悲痛に叫んだ。
「今なら引き返せます! 貴方は間違いを犯さないで!」
 感情の高ぶりで取り乱しかける彼の思考を途切れさせる一矢。
 ドスリと重たい音を立てて、刀身のような凶悪な矢が最後の亀を貫いて、地面へ縫い止めた。
「我が弓に射抜けぬものなし、亀の甲でも防ぐこと叶わず」
 矢の主、ルーンはつぶやき、天鹿児弓を静かに下ろした。

●柘榴の花散る静かな夜暗
「身分違いに、政略結婚……しがらみや葛藤も、あるのでしょうけれど。できることなら、幸せになって欲しいものです」
 ユウカは静かに言い、白銀の鎖で独りきりになった拒絶体を包囲した。
「祈るだけで、全てがうまくいくなら、こんなことにはならないんだ! 僕は、そんな綺麗事なんていらない。僕の望みは!」
「あら、望みは? 何なのかしらね?」
 叫び続けるジョルジュに冷静な幼い声が問いかける。しんと静まってしまった夜闇。
 業焔まとう鉄塊で彼を何度も薙ぎ払いながら、ハルナは冷笑すら浮かべて言うのだ。
「あなたの望みは殺すこと? 逃げること? 目的のために手段は選ばないというけど、手段のために目的を忘れるともいうわね。今の貴方がそれかしら」
「ううううるさいぃいい!!!」
 ぐうの音も出ないのか、ジョルジュは怒りに顔を歪めて、闇より黒い破壊球を杖から撃ちだす。
 すかさずレノールが妖精の輪を描いて、小さな体の一部を消し飛ばされたハルナを癒す。
 ジョルジュの次の攻撃はおそらくフローラの命を狙うものだろう。その前に仮面を砕いてしまわなければ。
「そうね、綺麗事は卑怯かもしれないわね」
 ユエは誘惑の魔曲を歌いながら、苦く笑った。
「身分違いの恋……それはとても厳しいものだと思うし、多くの人達が引き裂かれることもあるでしょう。無理やり駆け落ちしたって幸せにもならない。それが現実だわ」
 ユエの歌は切なく心揺さぶるように響く。
「だけど、はじめから諦めることでもないわ。二人が想い合っているなら、ね」
 ユエがクスリと笑ってウインクを送るのが見えた瞬間、ジョルジュの視界に割り入るナイトランスの無数の残像。
「っ!?」
「終わらせるとしようか」
 グラディウスの輝くナイトランス『夜明』がまさに夜明けを、そして仮面の破滅をもたらした。
 軽い音を立てて、半欠の仮面が落ちる。
「……ぼ、くは……」
 がくんと膝をつくジョルジュ。
 もう限界だった。フローラは、自分を取り囲む見知らぬ男女をかき分ける。
「ジョルジュ!!!」
 泣き叫んで走りよって、フローラは愛する男を抱きしめた。

●朝露滴る前に此処から
「フローラ……短慮な僕を許してくれ。僕は、君を失いたくないがあまりに、君のご両親や、同僚、を……」
「いいの、いいのよ。まだやり直せるわ。それに、そんなに想ってくれるあなたを許さないわけがないじゃないの!!」
 ジョルジュの肩に顔を埋め、フローラは泣きじゃくる。
「そうね、貴方のした事は間違っていたかもしれない。けれど、それだけフローラの事を愛していたのよね。ねぇ、フローラ。貴女は愛していない人と結婚して本当に幸せになれるのかしら」
 ユエが優しく声をかける。
「フローラ……きっと苦労ばかりかける。それでも君が、いいならば」
 屋敷を見つめフローラは考えこむ。
「でも、私は貴族の娘として、家のために生きなければならなくて……。ずっとお世話をしてもらっていた身分だからお菓子以外のものは作れなくて……それであなたと逃げて、なんとかなるのかしら……」
 悩む彼女をジョルジュは不安げに見つめる。
「一度きりの人生、好きにおやりなさいな。じゃ、ごきげんよう」
 言い捨てるように告げ、ハルナはくるりと踵を返す。
「私は二人に幸せになって欲しい。二人が選んだ道ならそれでいいと、ううん、それがいいと思うの」
 シラベが訴える。
 ルーンが二人の脇に立って、見下ろし言う。
「今までの生活を全て捨ててでも二人で生きていく覚悟があるなら他の都市を紹介してもいいですよ、それなりに地位のある知り合いも居ますから紹介もできますし」
 だがこれは二人の問題だ。エンドブレイカー達は二人の決断を静かに待つ。
 静寂を破るように、一人の青年が一歩踏み出す。レイジである。
「あ〜、これは知り合いの話なんだが……」
 頬を掻き掻き、口を開くレイジ。知り合いと言いつつも、自分のことである。
「あんたらと同じように身分違いの恋をしてる奴を知ってる」
 ジョルジュとフローラの視線がレイジに向けられた。
「だがそいつは今すごく幸せなんだよ。何故なら二人で結論を出したからだ。ホントにあんたらがお互いを想い合ってるならどんなことでも逃げ出さないでくれ、そいつもきっとそう言う筈だ」
「にげ、ださない……」
 フローラはぽつんと呟く。レイジは深く頷いた。
「ああ。どうにもならない運命なんてないんだ。だから後悔しないようにな」
 フローラは真剣な目でジョルジュを見つめ、彼の手を握った。
「……行きましょう。私は後悔したくない。あなたを諦めて泣き暮らすっていう人生は、やめるわ」
「フローラ……!!」
 ジョルジュの顔がぱあっと明るくなった。
 エンドブレイカー達は一様にほっとしたように微笑む。
「ではお手伝いいたしましょう。私達は皆、あなた達の決断を尊重し、全力で助けたいと思っていますよ」
 ユウカが慈愛に満ちた笑顔で二人に手を差し伸べた。

 そして、その朝、屋敷街から一組の男女が何処へともなく消えたという。



マスター:あき缶 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2012/06/10
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  • ハートフル10 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
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