ステータス画面

見つめちゃいけないキノコ達

<オープニング>

「助手君! さあ、あれは何だと思うかね?」
 じめじめっとした森の奥、いやにハイテンションな声が響き渡る。
「キノコですね。赤くてまだらで、白い模様があります」
「その通り!」
 冷静、かつ、抑揚のない声のトーンを気にすることなく、ハイテンションな声は続く。
 見れば確かに、白衣のハイテンションな男、眼鏡の冷静な男の周りにはキノコ、キノコ、またキノコの山。
「さて、我々はそんなキノコの調査に来たのだが、助手君!」
「はい」
「今日の課題は!?」
「目撃されたやたら大きなキノコの採取です」
 イエースザッツラーイト! と、ついていけないハイテンションの白衣の男に溜息を吐く眼鏡の男。
 噂ではここで、肥大化した新種のキノコがあると彼らは聞いていた。学者として、研究者としての魂が揺さぶられた2人の男はこうして現場に赴いている訳だが、足元に生えているのはいつも通りの小さなキノコばかり。
 ハイテンションな男を放置して、眼鏡の男が顔を上げた、その時。
「……あ」
「んん!?」
 眼鏡の男が真っ直ぐ見る先に、何か居た。
 自分達と同じくらいのキノコが、目と口なのか、3つの空洞をこちらに向けている。
 じっと見つめる。成る程、これが噂のキノコかと眼鏡の男がにじり寄った、その時。
「キノ―――うっ!」
「助手君!?」
 キノコに毒があるのはよくある話。もし大きなキノコが毒を持っていたのなら、人を死に至らしめる量を有していても不思議ではない。そう思ってしていたマスクも意味を為さず、眼鏡の男はもがき苦しみ始めた。白衣の男が慌てて駆け寄る。
 それがいけなかった。
 冷静さを失って、キノコの領域に踏み込んでしまった白衣の男もまたキノコ畑に倒れ込む。その目線にあるのは、見続けていた小さなキノコ達の姿。
(「嗚呼、キノコ畑……」)
 白衣の男もまた、毒に蝕まれてその視界を閉ざしていった。

 エンドブレイカーの皆さまには男達が向かう前日の夕暮れに向かってもらいます。
 場所は森の奥ですが、沼地が近く、地面には少し水が染み出し、空気もじっとりと湿気ています。
 鬱蒼と茂る森の中、キノコがずらっと生えそろう、ある小さな広場が戦う場所となります。足元にはキノコがそこかしこに生えている事もあって、やや足場が安定しないでしょう。
 マタンゴはキノコの広場を囲う木々の裏に6体がそれぞれ隠れています。木は広場の入り口を除いて、10本、円形に生えています。チラっと覗いて見つけたり、近くで物音を立て続けると、向かって右側に顔を出し、そのままじっと見つめていると攻撃を仕掛けてきます。目を逸らすとしばらく様子を見ているだけで攻撃はしてきません。
 戦っている最中、マタンゴ自身は木の影の姿を現した場所から動くことはありません。
 また、1体と戦い始めるとその物音で2ターン目に近くの2体、3ターン目に3体が顔を出します。
 見つけて顔を出させても、放っておけば攻撃はしないので、戦闘開始の数をエンドブレイカーの皆さまで調整することは可能でしょう。ただし、マタンゴは4体が見つかった時点で攻撃を開始します。また、1体と交戦を始めると、その時点で顔を出していたマタンゴ達も戦いに参加します。2〜4体の場合も、同じペースで残りのマタンゴ達は参戦してくるでしょう。
 今回の敵はマタンゴが6体です。今回は6体全てを討伐しなければ成功となりません。4体を倒し、残り2体となると逃げようとしてしまいますが、逃がしてしまうと依頼は失敗となってしまいます。
 マタンゴとは、人間と同程度の大きさをした、キノコのような外見の植物類です。マタンゴには太く短い2本の足が生えていて、歩くことが出来ます。手はありません。
 マタンゴの攻撃方法は、遠くへ胞子を飛ばすものです。時々広範囲に散布し、プラスワンを発生させ、更には毒や痺れ胞子が混ざり【毒】や【3マヒ】も発生します。
 エンドブレイカーの皆さまは男達に会うことは出来ません。ある意味で研究を台無しにしてしまう今回の依頼ですが、命には代えられないでしょう。
 でこぼこな2人組の未来を、皆さまの手で守ってあげてください。


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参加者
旅人・オニキス(c00211)
蒼風と星屑・ルリハ(c00710)
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
炎の紋章・ファム(c20441)
黒と白の騎士人形・カムイ(c25088)
静かなる暴風・ミアン(c25632)

<リプレイ>

●キノコの森
 エンドブレイカー達が踏み入れれば、水の音が跳ねる。
 足元から広がる湿気は、踏み入るにつれて強くなる。同時に、辺りに生えているキノコの量も増えてくる。
「やはりこういったじめじめと湿気た森の奥では、キノコが等身大にすくすく育ってしまうのですね……」
 広場に着く前から阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)は思わず呟いた。
 踏み入れば踏み入るほど納得する。湿気も日当たり具合も、キノコにとって住み良さそうだ。しかし人間にとっては、そうではない。
「さて、キノコの分際で何を勘違いして木の陰に隠れているか知りませんが、さくっと倒して帰るとしましょう」
 悪い足場に湿った空気。不快指数が上がってしまう。それを隠そうともせず炎の紋章・ファム(c20441)は髪を掻き揚げる。
 旅人・オニキス(c00211)はふっと口端に笑みを浮かべた。
「変わった敵ですが、習性を利用して上手く事を進めれるよう頑張りましょう」
 落ち着きをもった口調で視線を向けた先には、静かなる暴風・ミアン(c25632)。顔なじみであるミアンに言葉をかけたが、返されるのは無表情。
「仕事開始だ……」
 背中に背負った大きな鉄の箱を抱え直し、オニキスに返したのは最低限の言葉。けれどそれに呼応したのは、蒼風と星屑・ルリハ(c00710)。
「後々のために……犠牲者を出さないため、容赦しません!」
 心に抱えた決意。それは固く、味方すら鼓舞する誓いとなる。嗚呼、と頷いた黒と白の騎士人形・カムイ(c25088)だったが、ふいと口元を抑えて小さく呟いた。
「かくれんぼとか……この歳でさすがにやらないんだけど。敵を探し出すとはいえ、ちょっと恥ずかしい気分もあるな」
 キノコの広場へは、あと、もう少し。

●チラ見するキノコと目逸らすエンドブレイカー
「さて、それでは作戦は――」
 オニキスが改めて口にすれば、にゃああと声が返る。見れば、ファムの腕の中に二匹のバルカンが現れていた。
「3体見つけるまで目を合わせない、ですね」
 隠れている木は10本。対してエンドブレイカー達は6人。時計回りに見回り始める。
 1本目を覗いたのはルーン。すると、
「―――!」
 素晴らしいスピードで顔を背けた。1本目からの遭遇で静まり返るエンドブレイカー達。
 気持ち的には『見るなよ、絶対見るなよ!』というコントが聞こえてくるようだ。
 なにせすぐそこにまん丸に見つめてくる等身大のキノコがいるのだ。気配もしている。でも見てはいけない、この空気。
 ルーンの隣へカムイが歩む。
「次は俺だな。まさか2本目になんてことは―――うわっ!?」
 2本目、いた。
 まさか自分の時に当たるとは思わず、一歩引いてしまうカムイ。やはり、目を逸らす。
「次は私だな。3体目が出れば、先制に入るのだが」
 そうして3本目の木に近付くミアン。見たい。隣のキノコを見つめたい気持ちを抑えていることも一切秘めて突き進む。
「………」
 3本目にはいなかった。心なしか落胆するミアン。次いでどきどきと4本目に手を掛けるのは、ルリハ。
「では次、わたしですね。なんだか、だるまさんが転んだをしているみたいです」
 緊迫する空気の中――。
「いません」
 これも外れ。次と名乗りあげるのはバルカンの声。2匹を抱くファム。
「次は私達。としまる、あきひめ、目を凝らして。あ、でも見つめるのはダメですよ」
 5本目の木の裏には、
「「にゃにゃっ!」」
 ひょっこり現れる3体目。報せるように鳴くバルカンも指示の通りに目を逸らす。
 6本目前に待機していたオニキスはそれを見て、仲間へ促すように武器を構えた。
「いましたね。1本目、2本目、5本目ですか。少しばらけていますが先制攻撃といきましょう」
 エンドブレイカー達が頷き合う。
 目を合わされないマタンゴは木の陰からじっと見つめようとしてくるばかり。
 各々が武器を手に、各配置に歩むのを見てオニキスは小瓶を取り出した。蓋を開けると愛酒の香りが広がり、自分の集中力を高めていく。そして瞳を開ければがらりと雰囲気を変え、不敵な笑みをマタンゴに向けた。
「はっ、キノコ退治と洒落込もうか!」

●胞子、胞子!
 ルーンがきりりと弓を引いた。そして、放つ。
 矢の代わりに太刀の刀身が打ち出されると一気に2体を貫いていく。不意を喰らったマタンゴが右に傾くと、今度は凍った衝撃で左に揺れた。それはカムイの一撃。
 ゆらゆら揺れるマタンゴの1体は凍るような一撃で動きが鈍る。
「よし、鈍ったな」
 手応えにカムイが頷くと、続けてドドスッと音を立ててマタンゴの傘に弾丸が撃ち込まれた。後方に控えたミアンの一手。
 ようやく見つめることが叶ったマタンゴを正面から見据えると、かわいい。何を考えているのかわからない3つの空洞が何とも言えない。
 相も変わらず表情に出さず、そればかりか、次々と手裏剣を手に取りながら、やはりミアンはそう思う。
 その隣ではルリハがふわりと星霊を呼んだ。
 呼ばれた星霊は羊のようなふわふわのヒュプノス。
「宜しくね」
 名前こそ付けていないものの、愛情のこもる声で優しく送り出す。
 めぇっと一声、ヒュプノスはぽふんぽふんとこれまた2体を巻き込んで駆け回る。
 対抗するようににゃにゃっと鳴いた2匹のバルカンを撫でて、ファムはフレイムソードを振り上げた。
 ごうっと上がった炎はマタンゴを焼きながらバルカンの火も強めていく。
「としまる、あきひめ、次からはお願いしますよ」
 その優しい声を掻き消すような銃の音。
 見ればオニキスが零距離から撃ち抜いたマタンゴの1体が、力を失くして倒れていく。
「1体だな、反撃が来るぜ! 皆、気を引き締めな!」
 オニキスの声にミアンが泥を踏みしめて振り向いた。携えた灯りに照らされたマタンゴが、背後に2体。
「来た。8本目と9本目にいる」
「ならさっさとこっちの2体を倒してしまおうか。ほら、こっちも動きを封じてやったぜ」
 2体目のマタンゴもカムイのレイピアで凍らされてしまう。
 ムーンの弓もルリハのヒュプノスも2体の体力を均等に、そして確実に削っていく。そこに広がったのが、ファムの連れ添うバルカンの炎。
 ごうごうと広がり燃やせば、しなびるように悶えて倒れ込むマタンゴ達。
「さあ、皆さん配置に―――けほっ」
 振り向こうとするファムに胞子が襲い掛かる。ただでさえ不愉快なこの場で、更に服や髪に纏わりつく胞子。
 ファムはまたも不快を表情に露わとした。
「大丈夫ですか? では、私はオニキスさんと……そのまま切り込みをお願いします!」
 ルーンが柔らかな風を手に宿しながらファムに問う。そのまま視線はオニキスへ。
 最後の1体がまだ出ないものの、エンドブレイカーの勢いは止まらない。
 おうと駆け込むオニキスは8本目の木から顔を出したマタンゴを、木に押し付けるように斬り込んだ。ぶわりと広がる胞子に痺れる感触を感じたが、その勢いを殺すことはない。
「では俺たちも行こうか、ファム。動きは封じてやるから、後ろは任せたぜ」
「もちろんです!」
 ばしゃんと泥が跳ねあがり、9本目のマタンゴをアイスレイピアで薙ぐカムイ。氷の後には炎――ファムが後方から容赦なくけしかけた。
「最後の1体は私達だな。まだ出て来ていないが、奇襲と行こう。――私が叩き出す」
 残りは10本目の木しかない。ならば、最後の1体はそこにいる。
 ミアンの言葉にヒュプノスを抱えるルリハは向き直って頷いた。
 とはいえ、近接手段の無いミアンはすっと銃口を10本目の木に向ける。そして、銃声。
「よし、出た!」
「人に害をなすならば……排除するまで!」
 驚いて飛び出たマタンゴをヒュプノスが追撃する。怒ったようにぶわっと胞子をまき散らすマタンゴ。
「順調ですね。後は逃がさないようにするだけ――」
 オニキスが剣を振るうマタンゴへとルーンは無数の罠をばら撒いていく。捕獲網 がうまい具合に喰い込んでぶるぶるっと震える8本目のマタンゴ。
「巻き込むのは吉と出るか、凶と出るか、だな」
「一網打尽です。一気に片を付けてしまいましょう。としまる、あきひめ!」
 カムイが光輪を召還する。燃える二匹のバルカンの炎が舐めるようにマタンゴを飲み込んでいく。
「終わりだな」
 10本目のマタンゴにまで襲い掛かったその攻撃に乗じて、ミアンの射撃が撃ち抜いた。
 どうっと倒れるマタンゴの前、ルリハはヒュプノスを撫でて、優しく労った。
「……ありがとう」

●キノコの森、完
 むっとするキノコ広場。
 倒されたマタンゴは全て、6体。
 倒れてしまったマタンゴは周囲のキノコを押しつぶして、ある個体は仰向けに、ある個体はうつ伏せに倒れている。炎で萎びた個体もいる。何ともシュールな様子を晒していた。
「お疲れ様でした。……これは片付けなくても大丈夫?」
 飛んできた胞子をはたきながら、ファムは仲間たちに問い掛けた。一面のキノコ畑。もしかしたらこのマタンゴの死体すら、キノコが分解するかもしれないと思いながら、怪訝に首を捻る。
「それとも皆さん、このキノコ食べますか? 毒があっても私はブイヨン使えますから安全に食べられますよ」
 ルーンは好意からそう告げた――の、だが。
「え、やっぱり食べれな……、えっ?」
 ルリハが思わず聞き返す。
「いりませんか?」
「……遠慮しておきます」
 ルリハは断りを申し出た。その後ろ、すっかり平素の様子を取り戻したオニキスが肩を竦める。
「それじゃ、帰りましょうか。皆さん。……ミアン、手伝いましょうか?」
 見れば、戦闘中に次々と使い捨てたガンナイフと手裏剣を回収しているミアン。
 ミアンは緩く首を振って、大丈夫だと言う意図をオニキスに示す。
「そうだな、帰ろうか」
 かくれんぼは終了。マタンゴ退治も無事終了。
 カムイが頷けばエンドブレイカー一同は揃って、キノコ畑を後にするのだった。



マスター:斗間十々 紹介ページ
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いまいち
参加者:6人
作成日:2012/06/14
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