ステータス画面

未来へと続く道

<オープニング>

●変わりゆくエルフヘイム
 かつて魔女の住んでいた沼地は、泉や湖として美しさを取り戻しつつあった。
 沼地を造り出していた元凶を退治した者、領主として土地を治める者。
 もちろん、移住してきた人々、エルフ達の努力もある。
 遠くアクエリオの戦いによって天守閣連峰が現れたりもしたものの、人口は着実に増えていった。
 もちろん、多くの悲しい物語も綴られた。
 現れた予言の戦士、エンドブレイカー。
 妖精騎士たちの手によって封印された密告者の復活。
 そして起こった、エルフヘイムの戦い。
 その後にエンドブレイカーたちやエルフ達が歩んだ道のりも、決して平らなものではなかった。
 それでも、それを乗り越えるようにしてエルフヘイムは……永遠の森は変わっていったのである。
 開拓された沼地も、そのひとつだった。
 住む場所や身寄りの無いエルフ達が新たな集落を作るようになり、森の主の聖域にあったレジスタンス村の人々も聖域に住み続ける訳にはいかないと、こちらに移り住んできた。
 沼の近くに作られた小さな開拓村も、そんな元レジスタンスたちが作った村のひとつである。
 移住からまだ一年しか過ぎてはいないが、幸い移住者は再来年の収穫までは援助が受けられる。
 来年のために、そして村の発展の為に。
 村人たちは力を合わせて頑張っていた。老若男女、それぞれがそれぞれの役割を果たす。
 みなの顔には希望があった。未来があった。

「……おねえ、ちゃん? こんな……かんじ?」
「……よし、大丈夫。じゃあ、ここからここまでね?」
 組み合わされ蔓草でしっかりと縛られた枝を確認すると、じゃあ、同じように全部をと説明して。
 カノンにがんばってと声を掛けてから、アリアは出来た分の柵を担いで沼の方へと足を向ける。
 沼近くの湿地だった場所も、村人たちの手によって灌漑が進んでいた。
 張り巡らされた水路が土地の水はけをよくし、集められた水は農業のために利用される。
 灌漑された土地はねばりけのある湿地から普通の地面に変わる。
 歩きやすい道は、多くの物を早く、楽に運べるようになる。
 他にも農地として使ったり、さらに地盤を固くして建物を立てるのにも利用したり。
 それに湿地が減ればボウフラも減って、病気の予防にもなる。
 がんばれば頑張っただけ何かが変わっていく。
 それに自分が関われる。
 昔はそんな事はなかった。
 生れて来るべきではなくて、知られてしまえば処刑されてしまう。
 アリアも、カノンも……かつては、ハーフエルフと呼ばれる存在だった。
 けれど、それも……もう、過去の事だ。
「……あの人たち、頑張ってるかな?」
 いつか再会できたら、こんなに幸せになれたよって見せられるように。
 今の、未来の自分を。
(「……や、でも、ちょっと恥ずかしいかも」)
「あの2人だったら素直に言えるんだろうけどね」
 今は別の場所でがんばっている二人を思い出し……呟いて、苦笑して。
 作業している大人たちに声を掛けようとした所で……アリアはそれに気付いた。
 沼地から現れた、小さな子供のようなそれ。
 けれど、子供ではないのは見れば分かる。
 ぼろを纏って、がりがりに痩せてて、頭から角が……、
「おねえちゃん、わすれものって……」
 後ろから聞き覚えのある声が聞こえて、何か叫ぼうとした次の瞬間。
 その子共のような何かが、さらに2人増えて。
 さらに、吼えるような呻くような声と共に……地面から、沼から、動物の骨のようなものが……もがきながら、姿を現した。

●未来の為に
「どうか皆さんの力を貸して下さい」
 エルフヘイムの代理者であるクライブは、そう言ってエンドブレイカーたちへと説明し始めた。
 最近エルフヘイムでは、小鬼のような姿のイマージュマスカレイドと沼地から這い出して来たアンデッドマスカレイドが、開拓中の村を襲撃するという事件が起こっている。
「事件が起こっているのはアクエリオから飛ばされてきた天守閣連峰に近い村で、かつては沼地の魔女が支配していた地域です」
 沼地の浄化や移住による開拓によって、ようやく復興が軌道に乗り始め、平和になってきたという地域だ。
 その村のひとつが、マスカレイドたちによる襲撃を受けてしまう。
「皆さんの手でそのエンディングを、打ち砕いて頂きたいのです」
 クライブはそう言って、マスカレイドたちについて詳しく説明し始めた。

 小鬼のイマージュマスカレイドは、天守閣連峰の一部領域に現れる餓鬼のような外見をしている。
 手に鋭い鉤爪が生えており、爪のアビリティに似た攻撃を行ってくるようだ。
「また、同時に地面や沼地などからアンデッドマスカレイドが現れ戦闘に加わってきます」
 アンデッドマスカレイドは沼地に沈んでいた死体から作られるらしい。
 今回現れるのは全て、動物のスケルトンのようだ。
 攻撃方法は咬み付きや、体当たり。
「皆さんにとっては危険な相手ではありませんが、数が多いのが問題です」
 クライブはそう言って、表情を曇らせた。
 村人たちにとっては、それらは充分に危険な相手なのだ。
 急いで向かえばマスカレイドが現れた直後くらい、まだ犠牲者が出る前に現場へと到着する事ができる。
 だが当然、戦い始まるの前に村人たちを避難させる時間はない。
「沼近くの作業をしている場には、大人たち6人、子供たち3人がいるようです」
 多少の荒事に慣れている者もいるが、戦力と考えるのは難しい。
 それでも、動ける範囲で指示に従ってはくれるだろう。
 ある程度離れてもらう事さえできれば、戦いに専念する事ができる。
 戦場そのものは沼地に近いというくらいで、特に戦いの障害となるようなものはない。
「エルフヘイムの為に、皆さんの力を貸して下さい」
 そう口にして、クライブは深々と頭を下げた。


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参加者
蒼嵐の騎士・セルティア(c01165)
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
氷凛姫・サネリア(c01850)
水天武侠・ソーヤ(c03098)
オンリーマイウェイ・リート(c03448)
絶壁冥土・アリッサ(c05846)
瀬間の渡を結ぶ流れ橋・ミナト(c11391)
誓いの剣・ユウキ(c12862)
バトルガントレットの城塞騎士・ヘレナ(c27908)
断罪の金狼・ヴィラン(c31492)

<リプレイ>

●平穏を、守るために
 エンドブレイカーたちは、村への道を急いでいた。
(「棘から解放されたエルフヘイムでまたマスカレイドによる事件が起こるとは……」)
 断罪の金狼・ヴィラン(c31492)は今回の事件に想いを馳せたものの、すぐにかぶりを振った。
「棘による理不尽な終焉は打ち砕かせてもらうとしようか」
 その言葉をもっと激しく直接的にして、蒼嵐の騎士・セルティア(c01165)は叫ぶ。
「せっかく立ち直りかけたのに殺させてたまるかよ!」
 少年の叫びに、阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)も静かに同意した。
(「いつまでたっても、事件は無くなりはしないと嘆いているわけにもいきません」)
「助けられる命は助けなければ」
 その為に……今は、唯。
 10人は村への道を急ぐ。
「せっかく棘や戒律から自由になれた子達が、また危機に見舞われるとは……見過ごせません、ね」
 誓いの剣・ユウキ(c12862)も軍馬の星霊グランスティードを只管、駆けさせた。
 周囲の風景はやがて、ゆっくりとその様を変え始める。
 沼地の村が近付いてきたと実感した一行は、更に速度をあげた。
(「復興へと、やっと前進し始めているエルフヘイムの民達の想いを、こんなことで頓挫させるわけには参りませんっ」)
 この作戦を成功させ、この沼地を美しく、人々の暮らしの糧となるものにする為に。
「『氷凛姫』の名、そしてカトレード家の名に恥じぬ戦いを致しますの!」
 自身に誓うように、氷凛姫・サネリア(c01850)が忽然と口にする。
 話に聞いた村らしきものが見えてきたのを確認した、オンリーマイウェイ・リート(c03448)も自分に言い聞かすように口にした。
「久し振りの依頼だな。ドジらんように気を付けていくか」
(「まあ、妄想と死体なら壊してもそうそう文句は言われんし」)
「しかし結局死体相手か……なんで私が依頼受けようとすると相手が死体になるのだろうな」
 今回の敵となるであろうマスカレイドたちの事を考えてから、彼女は呟いた。
 死体相手に慣れるというのは良い事なのか難しいところである。
「エルフヘイムの沼地も、結構通ったな……そういえば」
 沼の臭いも、懐かしい。
「ただ、私の演奏が楽しめない奴に聞かせるのが残念だな」
 仲間たちと共に村の入口へ到着すると、リートはそこで気持ちを切り替えた。
(「ともあれ、無事に怪我人もなく終わらせたいもんだ」)
「その方が後に飲む酒が美味いからな」
 どうせなら、美味い酒が飲みたい。
 その為に。彼女は沼へと駆けながら呟いた。
「美味く飲めないのは、酒への冒涜だ」

●未来を守るために
 水天武侠・ソーヤ(c03098)と絶壁冥土・アリッサ(c05846)は村に到着するや直ちに、沼から離れるように村人たちへと呼び掛けた。
 エンドブレイカーたちはそのまま沼の岸辺近くで作業していた村人たちの許へと駆ける。
 急いだ甲斐はあった。
 一行が到着した時、マスカレイドたちは現れたばかりで、村人たちも怯える前……驚きで動きを止めているという状況だったのである。
 バトルガントレットの城塞騎士・ヘレナ(c27908)はそのまま、小鬼の一体に向けて距離を詰めた。
「遅くなってすいません! 『予言の戦士』です、助けに来ましたよ!」
 ユウキは最も年下の子の位置を確認しつつ、かばう様に前に出る。
 瀬間の渡を結ぶ流れ橋・ミナト(c11391)もヴィランの元へと集まって欲しいと村人たちへと呼び掛けつつ、ユウキをフォローするように前に出た。
 混乱していた村人たちはエンドブレイカーたちの呼びかけを受けて、動転しつつも指示に従おうと動きだす。
 一般人の誘導や保護は皆に任せ、ルーンは素早くばら撒いた罠を作動させる。
「骸骨には、マキビシは意味無いかも知れんが、トラバサミや捕縛網にかかっては追いかけることも出来まい」
 セルティアも小鬼たちと村人の間に割って入ると、双頭の鷲の紋章が刻まれたナイトランスを振りかぶった。
 合わせるようにミナトが子供たちのフォローに向かい、ヴィランも落ち着いた態度で村人たちに自分の許へと集まるよう呼びかける。
「強面のおっさんの方へ逃げろ」
 リートは村人たちにそう言いながら、スケルトンを抑えるために移動した。
 奪命の力を籠めたハープソード、弓状の刃に弦を張った竪琴をマスカレイドに向けて振るう。
 ソーヤもスケルトンを抑えるため、足元に注意しつつ前進した。
 壁となって敵の移動を阻止する位置を取りつつ、『竜』を帯びさせた拳と蹴の連打によってスケルトンたちを牽制する。
「よく頑張ったな。後はこっちのお兄さんが君を安全な場所まで護ってくれる」
 皆の元へ辿り着くまで、もう少しだけ俺達と一緒に頑張ってもらえるかい?
 子供らへと近付いたミナトは安心させるように話しかけると、そっと頭を撫でた。
 ユウキは仲間たちを信じ、幼子の避難に専念する。
 問えば頷きが返り、青年は幼子をそっと抱きかかえると、村人たちの許へと向きを変えた。
 村人たちを出来るだけ安全に避難させる為にと、サネリアもマスカレイドたちを遮るように位置取りを行いながら、スケルトンの一体へとアイスレイピアを向ける。
 氷の華を描くが如き連続攻撃から放たれた死之剣・朱氷によって、傷付いていたスケルトンは力を失い砕け散った。
 アリッサは小鬼たちへと向かう為、避難する村人たちとすれ違うように前進する。
 メイド服のロングスカートを翻し、守るべき者をその背に負うように。
 凛と背筋を伸ばした、マスカレイドたちの進路を阻むように立ち塞がった。
 ヘレナも残る1体の小鬼と対峙し、バトルガントレットを構え戦闘態勢を取る。
 足止めの者たちがマスカレイドと対峙し村人たちへの接近を妨害する間に、ヴィランとユウキが誘導を行い避難を完了させるというのがエンドブレイカーたちの作戦だった。
 アリッサは対象の小鬼をまっすぐ見据え、自分に釘付けにするようにと対峙する。
 ヘレナもバトルガントレットを振り被りながら、仕込んだブレイドを出現させた。
 小鬼たちは近付いてきた3人にそれぞれ鉤爪を振り被り、スケルトンたちも前進してきたソーヤやリート、サネリアらへと標的を定める。
 マスカレイドたちは、もう目の前の相手しか見えていないという様子だった。
 足止め、引き付けは成功したといえる。
 だが、まだ作戦は第一段階とでもいうべき状態だ。
 この状態で避難が終わるまで何とか凌がねばならない。
 戦いはまだ、始まったばかりだった。

●それぞれの戦い
 直接の護衛がなくとも大丈夫だろうと判断したミナトは、村人たちの事を避難誘導の2人に任せ、直接スケルトンを抑える側に向かう。
 ユウキは庇うように子供を抱えたままヴィランの許へと駆け寄り、全員が集まったのを確認したヴィランは村人たちに纏まったまま戦場から離れてもらう為に指示や誘導を行い始めた。
 幸いマスカレイドたちは、仲間たちの手によって完全に足止めされている。
 足止めが出来ている、村人たちに近づけさせない事に成功しているという事が、村人たちを落ち着いて避難させる上で役に立った。
 村人たちは幾人かが子供たちの手を引きながら、怯えつつも一纏まりとなって沼の岸辺から離れていく。
 その間も戦いは続いていた。
 隙を見て仕掛けておいた罠をルーンが連鎖的に作動させ、動きを鈍らせた一体を、ソーヤの手甲が打ち砕く。
 不退転の決意を銘に刻んだ護法手甲、そして藍銅の小具足に『竜』を帯びさせたソーヤは、嵐のような打撃でアンデッドたちを圧倒していた。
 前進したリートは充填した無数の音の爆弾を次々と放出し、連鎖爆発させる事でスケルトンたちの感覚を破壊していく。
 カードシャッフルによって術力を高めたサネリアは、アイスレイピアで冬の嵐を召喚した。
(「あんた達が何を求めここに現れたのかはしらない」)
「ただ、自分達の手で道を切り開こうと頑張ってる彼らの妨げをするというのなら……こちらも手を抜くつもりはない」
 ミナトが大きく花開かせた鳳仙花から、弾かれるようにして鋼鉄の種子弾が発射される。
 数と質の対決は、徐々にではあるものの質の方に戦局が傾きつつあった。
 対して小鬼たちとの戦いは、互角に近い状態で激しい攻防が交わされていた。
 猛毒を受けたセルティアは浄化の螺旋で毒素を排出しながら、ドリルに変形させたランスの回転速度を上昇させ攻撃体勢に入る。
 形見のガントレットブレイドを振るいながら、アリッサは抜かれない事、後方に攻撃を行わせない事を第一に考えながら位置取りを行っていた。
 周囲の空間ごと切り裂くような斬撃を受けつつも表情は歪めず、涼やかな笑みを崩さず。
 苦でもないと一歩も引くことなく、バトルガントレットを振るい続ける。
 鋭い鉤爪によって深い傷を負ったヘレナは、態勢を立て直す為に戦神の防具を召喚した。
 装着したマントの力を利用して鎧を纏うことで傷を癒すと、彼女は再びガントレットブレイドで斬撃を放つ。
 そして、戦い続ける8人の許に援軍が訪れた。
 ユウキとヴィランの戦線参加。
 それは、村人たちの避難が完了した事を意味していた。

●マスカレイドを倒すため
 グランスティードを駆り皆の許へと到着したユウキは、即座に戦況を確認しながらの援護射撃を開始した。
「さてと……始めるとするか」
 白のダブルスーツの上に羽織った黒のロングコートを風になびかせながら、ヴィランはサングラスを掛け紫煙銃に手を伸ばす。
 空間を把握するように射撃を開始した彼に続くようにして、セルティア、リート、ミナトが動いた。
 無数の連続突きを放ちつつ狙いを定めていたセルティアは、強引に動きを変えると小鬼へと突撃し、渾身の力を籠めたチャージをマスカレイドへと直撃させる。
 リートはスケルトンの動向に注意を払いつつ、音の爆弾を量産し続けることで堅実にダメージを蓄積させていった。
 負傷によっては攻撃を変更する事も考えていたが、今の所はその必要はなさそうである。
 ミナトもそのままマスカレイドたちに向かって、弾丸鳳仙花の種を種子をばら撒き続けた。
「無事に逃がすことが出来たようだな、これで気兼ねなく攻撃に集中できる」
 村人たちの避難誘導が終わったことを確認したルーンは、使い慣れている弓を構えながら呟いた。
 天鹿児弓から放たれたライフエナジーが骨の獣へと命中し、その戦意を奪っていく。
 ソーヤは戦いつつ周囲を確認し、離れたスケルトンを竜の弾丸で狙い撃った。
 避難を確認したサネリアも、安堵し戦いへと意識を集中させる。
 彼女は貴族として、民を守るという事に強い想いを抱いていた。
 同時に子を持つ母として、子供を守るという事にも強い想いを抱いている。
 自領の民であるか如何かなどは関係ない。自分の子でなかろうと、関係ない。
 唯……守りたいのだ。
 力を増した吹雪がスケルトンを完全に凍結させ、氷壁へと閉じ込める。
 護衛組が加わった事を確認したアリッサも一気に勝負を掛け、敵の数が減少した事を確認したヘレナもバトルガントレットの仕様を変更した。
 重量のある横薙ぎの斬撃が、ボディーブローからストレートへのコンビネーションが、マスカレイドを打ちのめす。
 小鬼たちも鉤爪によって3人を攻撃し続けたが、ルーンの呼び寄せた海原に歌う風が蓄積されかけた傷を癒すように駆けぬけた。
 再びセルティアが放った浄化の力を帯びた乱れ突きで、小鬼の1体が倒される。
 ナイトランスで貫かれたイマージュは、霧か何かのように薄まり、かき消されるように消滅した。
 ほどなくスケルトンたちは全て倒され、残った2体のイマージュたちも……エンドブレイカーたちの総攻撃によって、逃げる間もなく打ち倒された。

●そして、続く道
「終わったな……」
 サングラスを外し煙草に火を付けながらヴィランが呟く。
 ソーヤは念のためにと周囲を見てから、村人たちの様子も確認してみた。
 特に子供たちが心配だった。
 幸いというべきか、とくに何かあった、傷付いたという者たちはいないようである。
 安心させるように、もう大丈夫だよ、と……不器用ながらも頭を撫でる。
 まだ緊張の解けない様子でお礼をいう子もいれば、安堵から思い出したように泣いてしまう子供もいて……
「必ず、とは言えないけど。約束する。君たちが幸せだって、君たちを助けた人達に伝えるってことを」
 幾つかの言葉を交わしたユウキは……こどもたちと、そんな約束を交わした。
 しばらくは沼地について警戒して欲しいと村人たちに話しながら……セルティアは、最近の事件について色々と想いを馳せる。
 エルフヘイムでは最近また、マスカレイドが出現するようになり始めたのだ。
 彼は先日も事件をひとつ、解決しているのである。
 早く原因が突き止められればと思いながら……少年は村人たちと言葉を交わす。
 ルーンも沼について考えたものの、潜るにしても視界等が効かないだろうと直接の調査は諦めた。
(「ブリージングで呼吸は何とかなるかも知れないが……」)
 独自に調査を行っている者もいると聞くし、それらに期待するべきだろうか?
 一方でヘレナは、倒したスケルトンたちを適当に離れた場所へと埋めてから作業等の手伝いを申し出た。
 干拓作業をしていた所を踏み荒らす事になっちゃったから、その修復と作業の手伝いを……という申し出に、村人たちはお礼を言いつつ、そこまでして貰う訳には……と、申し訳なさそうに口にする。
 そんな村人たちにミナトも、少しでも何か手伝えればと申し出た。
「なんか見つかるかもしれんし、原因が」
 リートも手伝いを口にしつつ言ってから、一言付け加えた。
「労働の後に飲む酒は美味いし」
 そんな一言に、緊張していた村人の幾人かが噴きだし笑顔を見せる。
「大したお礼もできませんが……それでは、お言葉に甘えさせて頂いて宜しいですか?」
 そう言った村長に、エンドブレイカーたちは頷いて。

 自分はラッドシティから合流した、まだまだ新参だから。
 そんな風に思っていたヘレナは、気付かなかったかもしれない。
 村人たち、子供たちの……感謝の、敬意のこもった視線に。
 もっとも、気付いていても気付かなくても……彼女も、皆も。
 行うべき事に、変わりなど無い。
 マスカレイドのもたらそうとする悲しい終焉を……打ち砕かずにはいられない。
 それが、予言の戦士。
 エンドブレイカーなのだから。
 緊張が、恐怖が訪れていた村に……ふたたび日常が取り戻されつつあった。
 それは彼らが、彼女らが、悲劇の終焉を打ち砕いたという確かな証だった。



マスター:メロス 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2012/07/16
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