ステータス画面

<オープニング>

●遺跡の奥から
 ――音がした。奥の奥から、目指す遺跡の先の先から。
 遺跡に眠る宝を求め、この場に足を踏み入れたトレジャーハンターはその音のする方角に向かって歩き出す。
 今まで罠らしい罠もなく進んできた矢先に聴こえてきた音。その音に誘われるように。
 音は聴こえてくる――否、響いてくる。振動が響く。遺跡に響く。
 通路を進む度に、奥へ進む度に、その音は大きくなる。
 不安がある。期待がある。好奇心が疼く。警戒心が騒ぐ。
 相反する感情を抱いて、トレジャーハンターは、その音源の位置に辿り着いた。
 そこは広間だった。二体の石像が、ゴーレムが二本の棍棒を持ち地面を叩いている。
 まるで太鼓のように、音が響く。振動が伝わる。
 そして――二体の石像はトレジャーハンターの方を向いた。色無き石像の瞳に見据えられる。
 視線が交錯したのは刹那の出来事。石像は棍棒を振り上げて……一際強く、地面を叩いた。
 瞬間、音は衝撃波となってトレジャーハンターに襲い掛かる。先程までの単なる音とは異なり、確かな威力を伴って。

●響
「アクエリオの地下にある広大な地底湖の事は知っているか? この地底湖では、最近、水位が少しづつ下がってきているらしく、水中に沈んでいた遺跡が次々と探索可能になっている。そのため、地底湖の周りには、古代の遺跡で宝探しをしようとするトレジャーハンターが集まってきているらしい……しかしトレジャーハンティングは危険な仕事でもある。実際、私は遺跡のゴーレムに襲われて命を失う男のエンディングを見たのだから」
 鎧のデモニスタ・メッザノッテ(cn0115)は自身が見た悲劇の内容を語る。
 どうやら遺跡にある古代の邪悪な星霊建築によって生み出されたゴーレムが、トレジャーハンターの命を奪ってしまうらしい。実際に命を失うと判ってしまった以上――立ち上がらねばエンドブレイカーの名が廃るというものだろう。
「遺跡内部に然したる罠は無い。しかし落とし穴などのトラップは多少あるので、気をつけねばゴーレムのところに行くまでに負傷してしまうだろう。それだけは気をつけてもらいたい。そして肝心のゴーレムなのだが……数は二体。どちらも棍棒を、まるで太鼓のバチのように持ち地面を叩き音を鳴らしている。音のする方に行けばいいので迷う事は無いだろう」
 問題なのは、その後の話。
 広間で音を響かせる二体のゴーレム。そのゴーレムに発見された途端、ゴーレムは威力の持つ音を――つまりアビリティを使用してくる。遠距離まで届く音の衝撃波が襲ってくるのだ。
「しかも接近戦が不得手と言う訳ではないだろう。ゴーレムが棍棒で殴打すればかなりのダメージを受けてしまう筈だ。安全な距離が無い……厄介と言えば厄介だ」
 だが、いかに厄介と言えど悲劇は砕かねばならない。
 このゴーレムが宝を護っているのは間違いない。トレジャーハンターに迫る悲劇を回避するためには、このゴーレムを倒しハンターより先に宝を入手して諦めさせなければならないのだから。
「だが、エンディングで見たゴーレムの広間には、扉も宝箱も見当たらなかった。おそらく広間のどこかに隠されているのだろうが……このゴーレムの行動が何かのヒントなのかも知れんな。無事にゴーレムを倒した後は、宝探しの謎解きもしてくるといいだろう」


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参加者
千撃の真紅・シア(c00709)
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
赤き瞳の黒龍・エクシエク(c03124)
赤髪の運び屋・シヴィル(c07933)
調べる者の代行者・ヴァン(c15390)
凶星氷蝶・リン(c17201)
進撃の・アリサ(c17846)
狂彩灰狼・ズィヴェン(c20573)
人魚の踵・ファラーシャ(c29228)
秋桜の祈り・ルチル(c31314)

<リプレイ>

●その道中
 トレジャーハンティングは浪漫。その熱く燃える情熱は、エンドブレイカー達の胸にも宿っている。千撃の真紅・シア(c00709)もその内の一人。遺跡内を歩みつつ、まだ見ぬ宝に心躍らせていた。
「思いのほか遺跡内は明るいし、進むのは苦じゃないな。こうなれば、問題は奥にいるゴーレムの相手だけ……ふふん、ゲットしたら旅団で自慢しよう……って駄目か。こういうこと考えると手に入らないものだし」
「ははっ、まあお宝って得てしてそういうもんだよな。ただ、自分もこういう子供心をくすぐるイベントっぽいの大好きなんだよね。はりきって探してみよっと」
 隊の最後尾。後方の警戒を行いながら、赤き瞳の黒龍・エクシエク(c03124)は笑いながら自身の心情を口にする。彼も、この奥にある宝への期待に胸を弾ませている。
 何があるのか――罠や、奥に居るゴーレムへの警戒心とは別に、自然と口元が緩んでしまう。
「マ、その通り。獲物とお宝ナンて冒険の醍醐味ジャナイカ、ナァ?」
「……おい。罠らしい罠は無いが、前を向いて歩けVII。用心しずぎでとやかく言ったが、用心するなとは一言も言ってないぜ?」
「心配スルナ。スピリット達と一緒に警戒シテルんダ。簡単に罠には掛カラナイ……マァ、物品を探スようにはいかないカラ、ドコマデ効果アルのかは知ラナイがナ?」
「おい……ま、気をつけていれば避けられるだろうさ」
 先頭を行く調べる者の代行者・ヴァン(c15390)と狂彩灰狼・ズィヴェン(c20573)は、会話をしながら通路上にある罠の有無を調べる。スピリット達の効果は芳しくないが、ヴァンの言うように注意して進めば、それほど見つけにくいものではない。
 所々を武器で突きながら歩く。時折、落とし穴も作動したが安全紐を胴体に巻きつけていた為、穴底まで落ちる事無く済んだ。
「……うつ伏せになって寝っ転がってマスタームーブで移動しようと思ってましたが……良く考えたら床から槍とか突き出してきたら、大変じゃないですか。串刺し雀になってしまいますよ」
 進撃の・アリサ(c17846)は、時たま飛び出してくる罠に、若干怯えながら進んでいる。
 当初は天井や壁から槍が出て来ても大丈夫なように、マスタームーブ走法を考えていたが……床から発動する罠が多くて断念。あのまま進んでいたらと思うと……それだけ身が震える。
 数は少ないものの、確かにここには罠がある。つまりそれは、奥に何かがあるという事。
 エンディングの内容で、既にここに宝があるのは確定していたが、このような罠を見ると、その事実を改めて実感してしまう。
(「宝探し、か……しかし……まだこのような場所が在ろうとは。ゼルデギロス地下神殿なんぞあったら大爆笑よな」)
 笑えない冗談を胸中で浮かべて、凶星氷蝶・リン(c17201)は聞き耳を立てる。
 ヒアノイズによる罠の探索。何か変わった音は無いかと彼女は耳を澄ました。
 しかし――聴こえてきたのは罠の音では無かった。何かを叩くような、奥から響いてくる音。
 リンに遅れて、他の者もその音に気付く。そして伝わる振動にも。
「……すごいねっ、本当に響いてきた。これが酒場で聞いた、例の……んー、何だか少しワクワクしてきたよっ」
 秋桜の祈り・ルチル(c31314)は聴こえてくる音源を捜すように、遺跡内部に視線を巡らせる。
 響いてくる音は、伝わってくるこの振動は、何処から発せられているのかと。
 一同は進む。音の鳴る方へ。響いてくるその方角へ。
 通路を進むその姿は、奇しくもエンディングでのトレジャーハンターと同様の姿。期待と好奇心と……違うところがあるのなら、それは戦闘を控えた緊張感。
 やがて見えた広間で、床に棍棒を叩き付けるゴーレムを視界に納めた時――エンドブレイカー達は己が役目を果たすべく、ゴーレムに向かって動き出した。
「歴史を刻んだ建築物も、遺跡に眠る宝物も、とっても浪漫ですけれど……まずは、気合を入れてお仕事しなくちゃですね! ヌール、今日もどうぞよろしくね。皆さんも、頼りにしています……さあ、あのゴーレムを倒し、宝探しと参りましょう!」
 人魚の踵・ファラーシャ(c29228)は、傍を舞う妖精と、同行する仲間達に声を掛け、戦闘を開始する。竪琴を構え、無数の妖精を召喚し、両陣の力がぶつかり合う。
 遺跡の奥にて。二体の石像と、十人のエンドブレイカーが、激突する。

●二体の石像
 音が響き、波が踊る。ゴーレム二体が石床を叩いたその振動が、そのまま衝撃となってエンドブレイカー達に襲い掛かってくる。音の衝撃に晒されて、体が軋むような痛みが。
 その痛みにも怯まず、阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)は弓を構える。
 狙いを定める。あの石像の体を射抜く意思を込めて。
「我の、魂籠もりしこの一撃に貫けぬものなど無い――」
 ライフエナジーを込めた一矢が放たれる。後衛からの正確な射撃。その射撃に続き、飛び出し駆け抜けるは赤髪の運び屋・シヴィル(c07933)。
 床を蹴り、宙空を舞って、頭上より強襲する。ガンナイフの切っ先がギロチンのようにゴーレムの首を切り――けれどもまだ、切り落とすには至らない。
「まあ、そうだよな。そう簡単に倒せるわけはないって……おおっと!?」
 シヴィルのすぐ真横を通り抜ける、ゴーレムの棍棒の一閃。空を切り裂く轟音が、耳元で聴こえてくる。当れば人の体など、簡単に吹き飛ばしてしまいそうな風切り音。
 どうやら事前に得た情報通り、接近戦も油断ならぬ相手らしい。
「だからと言って、離れていては倒せませんし――突貫です!」
 アリサが野太刀を手に、ゴーレムの至近距離まで接近。どの道相手は遠近両用の敵。ならば己が得意とする距離で戦うと、アリサは野太刀の刀身に破壊の力を宿して斬り付ける。
 闘気が爆砕し、ゴーレムの体に確かな斬撃が。
 しかして敵は二体居る。片方が攻撃され、もう片方が座している理由は無い。
 棍棒を振り上げて、再び床に。生まれる衝撃波は変わらずの高威力。
「高威力で、距離の不得手も無いゴーレムが二体……厄介だ。早に方をつけさせて貰おうかの」
 リンは攻撃が集中されている一体とは別の固体を抑えるべく、自らの影を巨大な魔人と化し殴り付けた。二体同時に相手にしていては効率が悪い。集中攻撃で一体を倒す事が最善――そう仲間達とそう決めたが、だからと言って、残りの一体を放置する愚は犯さない。
 片方が倒れるまで相手を仕る、と――リンは仮面越しの瞳をゴーレムに向けた。
「今の内ダナ。一体ずつ集中で確実に狩ルゾ」
「おう……援護するぜ、突っ込みな」
 氷剣を掲げ冬の嵐を巻き起こしたヴァンに続き、ズィヴェンが飛び込みゴーレムの弱点部位を破壊する。氷嵐によって凍て付いたゴーレムの四肢。そのゴーレムの脚部と表面が破壊される。
 狩猟者二人の連携。それはゴーレムの動きを麻痺させ、同時に防御まで封じさせた。
「隙だらけだよ。まあ、そうじゃなくても、こっちはそう簡単に倒れないけどね」
 にぃと笑い八重歯を見せながら、エクシエクが奪命の斧剣でゴーレムを斬る。いかにゴーレムの一撃一撃が重く痛かろうと、此方も攻撃の度に体力を回復させれば、それ程恐れる事は無い。
 回復と攻撃の両方を行いながら、エクシエクが攻める。
 勿論、ゴーレム達とて黙ってはいない。棍棒を振るい、衝撃波を生み出して応戦してくる。
 しかし、傷を癒す存在が此方には居るのだ。
「ゴーレムさんの思い通りにはさせないよっ……今、癒すね!」
 ルチルが魔法円を描き拡大させ、傷付いた仲間達をその治癒の呪紋に包む。
 負傷した体が癒えて行く。傷付いた身体が浄化されて行く。その様を見て、ルチルが花咲くような笑顔を浮かべる。けれどまだ、全員を癒すには手が足りない。
 ルチル一人の癒しで足りぬのなら――ファラーシャもまた、妖精を呼び出し輪を描く。
「後ろからの支えはルチルさん一人ではありませんので……支援はお任せくださいね。そう易々と崩させません」
 海原の如き青き瞳を宿したファラーシャは、微笑みつつ後衛より文字通り仲間を支えた。
 癒し手が居る。敵を抑える者も居る。態勢は万全。ならば後は集中砲火――。
「遠近技はどっちも得意なのは、お前だけじゃないんだぜ!」
 俺もな――そう笑ったシアが、己の心を媒介に、白銀に輝く鎖をゴーレムに伸ばした。
 包囲し、絡み付き、追尾する銀鎖。その鎖に絡め取られたゴーレムは捕縛され、完全に倒れ伏す。これで、もう戦闘に復帰する事は不可能だろう。
 残るは一体。勝利は目前だった。

●石像の墓所、宝の寝所
「生命を運ぶ風よ我が戦友を癒す息吹となれ」
 ルーンの齎す癒しの風が、傷を負った前衛陣を回復させていく。
 ゴーレムが残り一体になったからと言って、油断する事は無い。想定以上のダメージを負ったその時点で、後衛が癒しの力を仲間に届ける。
 残った一体のゴーレムは、相変わらずの怪力で攻撃を繰り返すが、エンドブレイカー達は危なげなくその攻撃に対応する。前衛が攻め、後衛が援護し、傷を負えば回復する。
 いかに遠近両用のゴーレムとは言え、たった一体でこの数を相手取るのは無理と言うもの。
 シアが、己の体を不死鳥の炎で包み、空を飛翔しゴーレムへと突撃する。石像を焼き尽くすべく鳳凰が駆ける。燃え盛る炎翼の羽ばたきに巻き込まれ、ゴーレムはその体をふら付かせた。
 空より駆けるのは不死鳥だけではない。シヴィルもまた、赤髪を靡かせて、天空より急降下。回転しながら穿った強烈な一撃は、ゴーレムの体に多大な傷を。断頭台さながらの勢いと威力を持って、石像の膝を地に着かせる。
 そして――アリサが疾駆する。
 刀身が帯しは破壊の闘気。全てを爆破爆砕させる、デストロイの名に負けぬ渾身の一閃。
「お勤めご苦労様です! お休みなさい!!」
 ――響くは轟音。遺跡の奥の広間にて、爆発音が響き渡った。
 音を響かせていた石像に叩き込まれたのは、これまた広間に響くアリサのデストロイブレイド。
 動くものは無い。爆破された石像は、物言わぬ骸となって、遺跡の広間に横たわるのだった。

 ――その後、一同は宝探しに夢中だった。
 ルーン等は、倒れた動かなくなったゴーレムを叩いて思案している。
「ゴーレムが太鼓のように叩いていたのは意味がある行動だと思うのです。侵入者を呼び寄せる意味合いもあるでしょうし、この音そのものが宝を見つけ出す手掛かりになっている可能性もあります。わざわざ音を立てて呼び出すより石像の振りをして奇襲をかけるほうが効率がいいような気がするのです……」
 この広間に来る途中、そして戦闘中に聴いた音と拍子を真似しながらあちこちを叩く。
 しかしそれでも収穫は無い。何かが違うのか――あるいは足りないのか。
「ファラちゃんは、どう思う? 私はね、ヒントは音だと思うの。ゴーレムさんが叩いて音を響かせてた辺りで、かかとで地面をトントン叩けば何か解るんじゃないかなぁ?」
「う〜ん……わたし、謎解きとかは得意じゃないのだけれど……太鼓……音、反響? ……考えても解りませんね。とりあえずルチルさんの言うようにこつこつ叩いたり、隙間がないか調べてみたりしてみましょう。何か解るかもしれませんし」
「うん! それじゃ、探そ探そ!」
 ルチルとファラーシャの二人も頭を悩ませながら会話して、宝物探しに夢中。
 音が響くところは無いか。空洞は無いか。床に隙間は無いか。
 期待に胸膨らませながら探す。けれども目ぼしい物は見つからない。
「ふむ。誰が見付けても恨み言無しと決めてはいたが……そもそも本当に見つかるのかの。そも、そこが心配になってきた」
 床や壁を叩いて、音が違う所を探しながらリンは呟く。
 恨みっこ無しの宝探しなのは、全員承知の上だが肝心要の宝が見つからなくては恨むものも恨めない。このだだっ広い広間全ての床と壁を叩いて探していたのでは時間が掛かりすぎるし……中々厳しい状態だ。
「俺が宝を守るゴーレムなら……普段は宝を見守る。つまりここだ、でりゃ!」
 シアは広間に来た時に二体のゴーレムの視線が交差していた所に狙いを定めて、衝撃を加える。さながら太鼓のように。ゴーレム達のように。
 しかし――変化は無し。若干、シアの瞳が潤んでいるような気がするが、気の所為である。
「……ここはアクエリオです。そして水位が下がったものの、この下にはまだ水が流れている筈……ならば!」
 そう言ってアリサは、雀のキグルミ姿で寝転がり、床に耳を付けながらマスタームーブで徘徊し始める。床下に流れているであろう水の音と、それにぶつかるような異音は無いかと探る。音に変化があれば何かが隠れている証拠――そう思って探しているのだが、でけぇ雀の徘徊は全然止まる気配が無い。そもそも音が聴こえていないのだろう。なんかシュールな光景だが、仲間達は見なかった事にして探索を続ける。
 ただ、同じように床下が怪しいと思っていたシヴィルは、やはりゴーレムの居た辺りの石床を重点的に調べていた。隠し部屋の一つもあると睨んで。
「でも、何も無ぇか……あー、くそ。床下が怪しいと思ったんだがなぁ」
 多くの者が床を探している。けれど床には何も無い。
 ならば壁かと、ズィヴェンが他と異なる音がする壁を探している。
 その結果――異なる壁はあった。だが。
「……音が違ウだけダナ。押シても叩イても、変化ネェ……ドウイウコッタ?」
 他とは異なる壁の音。しかしそれを調べても宝のたの字も出てこない。
 謎がますます深まる――その時、エクシエクとヴァンの目が光る。
「ゴーレムは二体居たよね。そして音を響かせていた……二つの音が響くってことは……?」
「ああ、共鳴だな。よし手伝ってもらえるか?」
「勿論。むしろこっちから手伝って貰おうかと思ってたところだよ」
 ヴァンの提案に、エクシエクは笑みと共に応える。
 そして二人は同時に、異なる音を放つ壁を叩いた。音は響いて共鳴する。
 広間内に広がるその音に皆は集中し――ただ一人、ヴァンが素早く壁や床に視線を巡らせる。振動によって変化のある部分があるかと睨んで。
 はたしてその結果は……ある部分の石壁に。一部分が震えている。
 近寄り確かめてみれば、壁の一部分、ほんの僅かな部分が「引き出し」のような役割を果たしている。亀裂だと思っていた石壁の割れ目が、取っ手の役割を果たし……宝が姿を現す。
「……こりゃ隠す訳だ。随分おっかない呪符だな。どこの誰の品だこれ?」
 ヴァンは手に取った呪符を見て苦笑。誰の、どこの呪術師の品から解らないが寒気のする一品。宝を目にした皆が歓声を上げるのも忘れて息を呑む程の。
 ともあれ、これで仕事も宝探しも終わりである。
 もう、鳴り響く音は無く、広間を護る石像も居ない。
 あるのは役目を失ったゴーレムの残骸だけだった。



マスター:哀歌 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2012/06/23
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