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巨獣荒野の海賊団:敵地に入らずんば

<オープニング>

「聞いたかい? アクスヘイムを襲う巨獣マスカレイドの事件を調査するために、巨獣の荒野に向かっていたエンドブレイカーの一人、影姫・アレクサンドラ(c01258)さんが帰ってきたんだ」
 アクスヘイムの貴族領主・ピエールはそう言って、集まったエンドブレイカーに得られた情報を話していった。
「アレクサンドラさんからの情報に寄れば、巨獣マスカレイドを操っていたのは『魔神の斧』というマスカレイドの海賊団であるそうだね。残念ながら、調査に向かった残りの9人は、その海賊の手に落ちてしまったみたいなんだ」
 だがその情報により、巨獣マスカレイドを使ってアクスヘイムを攻撃する海賊団を撃破し、アクスヘイムの危険を取り除くという作戦が動き出したのだとピエールは言う。
「巨獣マスカレイドを止めるだけでなく、生死不明となった人達の救出や、海賊達の目的に関わる情報を得ることも、上手く行けば叶うかもしれないね。巨獣の荒野は危険な場所だし、巨獣マスカレイドを操る海賊マスカレイド達の戦力も正確には分かっていない。けれど、せっかく敵の拠点が判明したんだから、事件の解決に向かって動くべきだと僕は思うな」
 ということで、巨獣の荒野の海賊マスカレイドを退治して欲しいと、ピエールはエンドブレイカー達に告げるのだった。
「アクスヘイムを出てから巨獣の荒野までは、それほど大きな危険は無い筈だから問題はないよね。巨獣の荒野に入ったら、巨獣の襲撃を警戒しつつ巨獣の水場に向かうようにお願いするよ。その巨獣の水場にある滝の裏が、海賊団『魔神の斧』の拠点の入り口となっているんだ」
 だがしかし、問題はそこからだとピエールは表情を険しくする。
「調査に向かった方々が既に見つかっているという状況的に、警戒されている可能性は高いだろうね。けれど、多少強引にでも突破しなくちゃならない。拠点の入り口から先の情報は全く無いけれど、そこは君達の知恵と勇気と気合で、臨機応変に切り抜けておくれ。僕も健闘を祈っているよ」
 ピエールはそう言ってエンドブレイカー達を激励し、事件の説明を終えたのだった。


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参加者
雪消初花・スーリア(c00156)
アヴァロンの蒼騎士・ガウェイン(c00230)
影姫・アレクサンドラ(c01258)
城伯・サクラコ(c02942)
思いを貫く銀槍・ベイン(c04116)
鬼綱・ライデン(c04776)
守護騎士・ミルカ(c06334)
月光蜘蛛・メシュティアリア(c08445)
配達任せて一安心・アダマス(c14767)
狂咲黒桜・シズ(c20429)

<リプレイ>

 巨獣の荒野を突破し、マスカレイド海賊団のアジトとなった滝の洞窟へと突入したエンドブレイカー達。
 待ち構えていた巨獣と海賊のマスカレイド達の迎撃を激戦の末に打ち破り、内部へと侵入することができた。
 そこにあったのは三つの道。広い通路か、下への道か、それとも上に登る階段か。
「天然の地形を利用したって所か……」
 巨獣が移動する程の規模ではなく、小ぎれいにされた階段。配達任せて一安心・アダマス(c14767)らはその様子から幹部は上層に居ると予想し、そちらへ向かう判断を下した。
 階段を昇るエンドブレイカー達を、またしても阻む海賊達。多くの仲間達が戦い傷付く中で、何とか階段を越えたメンバーは、一つの大きな部屋へと辿り着く。
「消耗した状態で討てる程、敵は甘くないです」
「……っ」
 影姫・アレクサンドラ(c01258)の言葉に守護騎士・ミルカ(c06334)も頷き、手にした剣の柄を強く握り締めた。
「アクスヘイムに巨獣を向かわせていたなんて、絶対に許せない」
「一刻も早く団長を探し出し、倒そう!」
 その首謀者が、この先に居るかもしれない。意気込む雪消初花・スーリア(c00156)に、アヴァロンの蒼騎士・ガウェイン(c00230)も準備は良いかと仲間達に視線を送る。
 扉を開けると目に入る、大きな丸テーブル。
 会議室のようなその部屋の正面には、可愛いらしい少女の肖像画が飾ってあった。
 これが海賊団の団長の肖像画だろうか。
 今の所、この部屋に人影は見えないが……。

 ウウゥゥゥウウウ!

 部屋に足を踏み入れた瞬間、突如として警報が鳴り響く! 同時に四方の壁が崩れ落ち、重量感のある影が突撃してきた。
「ゴ、ゴルバック!?」
 現われたのはあの『鋼熊』ゴルバックに良く似た姿。しかもその数……六体。
 咄嗟にミルカが刃を抜き、神火を宿した斬撃で迎え撃つ!
「けったいなやっちゃ」
 ミルカが斬り付けた奴に向かって踏み込んで、狂咲黒桜・シズ(c20429)が爪を突き出す。
 黒き爪の一撃をがきんと阻む、鋼の装甲。硬く重いその手応えに、奥歯をぎりっと噛み締めた。
 ばごっ!
 次の瞬間、ゴルバックモドキが両腕を振るう。ただそれだけの動きで、丸太で打たれたような……否、それ以上の衝撃が二人に叩き込まれた。
「ウラガン、もう今回は遠慮は要りませんよ?」
 グランスティードに跨り、猛スピードで突撃するアレクサンドラ。だがそこに別の個体から放たれた鋼の拳がめり込んで、体の奥がみしりと響く。
「以前ラッドシティを襲った海賊……量産型って感じか。同じ顔しやがって気味が悪い」
 言葉を吐き捨てながらもアダマスは神楽舞を使用し、仲間達の傷を癒してゆく。
 ここまで辿り着いたのは4チーム。それで六体の量産型ゴルバックと戦わねばならない。
「私は負けない、諦めない、絶対に!」
 苦戦は必至。しかし退く訳にはいかない。
「これ以上何も奪わせません」
 スーリアが魔曲を奏で上げ、思いを貫く銀槍・ベイン(c04116)が魔力のカードを投げ放つ。
「こやつらも身体に歯車が埋まっているのではなかろうな?」
 響き渡る魅惑のメロディを背景に鬼綱・ライデン(c04776)がハンマーを突き出すが、量産型はそれを片手で受け止める。
 何というパワー。
「わたしは壁、わたしの役目は決して倒れない事!」
 城伯・サクラコ(c02942)が斧を振り上げ、鋼の身体にがきんと叩き付ける。
「お前らに構ってる時間はねぇ、団長は何処だ!」
 別の個体に殴られながらも、ガウェインは神火斬妖剣で斬り返す。そのまま隙の無い足運びで、もう一体にも斬撃を繰り出した。
「これで片が付くと良いが……何にせよ全力で戦うだけだな」
 月光蜘蛛・メシュティアリア(c08445)が拳を振り上げれば、ガントレットが刃に変形する。
「まとめて斬り散らす!」
 笑みを深めて斬り付けるメシュティアリアだが、量産型は一撃を肩で無造作に受け、至近距離から拳を撃ち出す。
 ががががががっ!
 一瞬で何十発もの機械的な打撃が、メシュティアリアの腹に、胸に刻み付けられる。こぽっと喉奥から鮮血が溢れ出した。
「守りたいし、助けたい!」
 その意志を歌に込め、スーリアが勇敢な旋律を紡ぎ始める。他のチームも同様に、量産型のパワーを前に深く傷付いている。
 癒しの力が何処まで保つか……スーリアは胸中で闘志を燃やしながら、声を張り続けた。

 次から次へと倒れていく仲間達。
 乱戦となっていた戦いは、しかし。ここにきて、相手をするゴルバックが固定されてきつつあった。
「絶対に負けない。その為にも」
 シズが黒き爪を立て、闇の翼を召喚する。
「邪魔をするなっ!」
 ワタリガラスの群れに紛れ、ミルカが鋭い突きを繰り出した。
 がきん! と掌で受け止める量産型。しかしミルカは勢いを止めず、魂を奪わんとする程の気迫で突き入れる!
「きっちりと畳ませて貰おうか、今後の為にもな!」
 魔道書を開き、アダマスが力の軌跡を描き出す。
「貴方達を滅ぼす為、再び舞い戻って来ましたよ」
 両手に大剣を携えて、アレクサンドラが嵐の如く斬撃を繰り出す。それに量産型も立ち向かい、鋼の両腕で高速回転を始めた。
 がががががぎんっ!
 鋼の嵐と鋼の嵐がぶつかって、互いに弾かれる。
「貴方達が奪ったもの、返して頂きますよ……」
 その間にベインがリングスラッシャーを召喚し、量産型の周囲に展開していた。一気に襲い掛かる光輪が、敵の体に傷を刻み付けてゆく。
「最後まで立っていればわたしの勝ち!」
 正面から踏み込み、サクラコが勝利の印を叩き付ける。胸に刻み付けられた「V」を狙い、メシュティアリアは野太刀を振り上げた。
「全力の一撃……受けてみな!」
 ぎぃん!
 鬼気を纏った斬撃が、量産型の胸に亀裂を刻みつける。ボタボタと身体から血を落としながら、愉悦の笑みと共にメシュティアリアは着地する。
「いざ勝負!」
 すかさず踏み込んだガウェインが、その傷口に神火を纏った大剣を突き立てる。
 信念を込めて、全てを貫くべく。
 みしみしと鋼が軋む音が響くが、量産型は怯まない。まるで痛みなど、どこかに忘れてきたかのように。
 ごんっ!
 量産型はガウェインのみぞおちを抉るように、鋼の腕を振り上げる。そのまま捩じ上げられた拳が顎を砕き、跳ね上げる。
 更に仰向けに倒れるガウェインに、追い討ちの拳を振り下ろす。飛び散る返り血を浴びながら、量産型はゆっくり身を起こした。
「これ以上は!」
 重い一歩を踏み締めて、サクラコが一撃を振り出す。しかし量産型は拳を立てて斧を受け止め、サクラコを押し下がらせた。
「おっさんの舞だが……少し見てもらうとするぜ!」
 アダマスが神聖な舞を刺し始め、清らかな波動が癒しを生み出す。しかしエンドブレイカー達の消耗は激しい。一気に決めないと、総崩れもありえる状況だ。
「援護します、一気に行きましょう!」
 それをスーリアも、他のメンバーも認識していた。紡ぎ出される柔らかな子守唄が、量産型の鋼の身体に響き渡る。
「この一瞬に、全てを賭けましょう」
 シズの体に集まったワタリガラスが解き放たれ、世界を一瞬『黒』で覆う。その只中にミルカとメシュティアリアが飛び込んだ。
「さて……ワタシに付き合ってもらおうか? もちろん、地獄までなぁ!」
 叩き付けられるような鬼斬剣が、量産型の右腕をガキンと叩く。
「先に進ませてもらう!」
 ミルカのアックスソード『レグルス』が左腕を打ち、ミシミシと破壊してゆく。
「海賊なら、奪われる覚悟もありますよね?」
 そこからベインのリングスラッシャーが脇腹から胸に掛けて、次々に投げ込まれる。
 遂に量産型の鋼の装甲が裂けて、ガラガラ崩れ落ちていった。
「この手で止めて……憂いを断つ。其れがワタシの責務です」
 真っ直ぐに突き進み、アレクサンドラが渾身の力で大剣を振り抜いた。
 敵の胸を交差して駆け抜ける、白銀の斬撃。仰向けに倒れた量産型が、ずしんと地面に横たわる。
「…………コード、確認……」
「!? 離れっ……」
 ぽつりと呟かれた、量産型の最後の言葉。咄嗟に叫ぶアレクサンドラだったが……次の瞬間!
 どぉん!
 大爆発が辺りを包み、戦っていたエンドブレイカー達を呑み込んだのだった。

 …………。
 爆炎が鎮まったその場所で、最初に動いたのはサクラコだ。

 体が、重い……。
 如何に私の鎧が強固と言えど、六体ものゴルバックを相手にしたのですから、無傷という訳にはいきません。
「まだ動ける人はいますか? いるなら、奥に向かいましょう!」
 それでもまだ、辛うじてであっても動けるのは、死力を尽くして戦った仲間達の力があってこそです。その想いを無駄にせぬ為にも、私は、私達は先へ進むべきでしょう。
「わしの肉体はまだまだ壮健だ。まだまだいけるぞ」
 ずしん、と地面を踏み締めて立ち上がったのは、ライデンさん。
「あたしの鎧も大丈夫なんだよっ!」
 フランシスカさんの鎧も流石だ。続いてクロスさんが、軽く手を挙げながら応えてくれた。
「私は、まぁ、大丈夫だね。うまく立ち回ったから」
「きっと、この先に団長がいるのだろうね。最後の戦いの前に。僕の癒しが必要な人はいますか?」
 それからレクサスさんも、顔を上げて立ち上がる。
「私のチームで戦えるのは、私一人のようです」
 最後に辺りを見回して、残念ながらと付け加えながら、ローゼリィさんが歩み寄ってきてくれた。

「助けたい……けど」
「お前達は先に行け!」
 辛うじて声が出せたのは、スーリアさんとガウェインさんだった。他のチームも消耗が激しく、動けるのはこの六人を残すのみ。
 ここから先は、六人で協力して先に進むことになりました。
 先頭がライデンさん。
 その後ろに、壁役として私とフランシスカさん。
 回復役のレクサスさんを中央にして、ローゼリィさんとクロスさんが後方を警戒する……という布陣です。

 会議室を出てしばらく進むと、船長室と書かれた立派な扉が見つかりました。
「陸の拠点で船長室……ですか」
 というツッコミはあったものの、他に扉も道も無く、ここが魔神の斧の団長の部屋に間違いありません。
「ここは、わしが」
 ライデンさんが流れるような足運びで扉に近付き、注意深く調べてゆきます。
「はっ!」
 そして張り手を一発! 扉をぶち破ると同時に、マスタームーブで雪崩れ込むように、船長室へと突入していきました。
 私も遅れを取る訳にはいきません。守りを固めねば。
 フランシスカさんと共に部屋へ進めば、クロスさんとローゼリィさんも後に続いてきます。レクサスさんは扉の前から、中の様子を窺う位置取りです。
「あの姿は……肖像画の人なんだよ!」
 フランシスカさんの声が響きました。そこにいたのは、一人の少女。
 赤や青、金を散りばめたかのような服装と、ウェーブの掛かった長い髪。
 可愛らしい筈の少女の微笑みは、圧倒的な威圧感と共に、私達へと投げかけられます。
 蒼く透き通った仮面に、死を象徴する海賊帽、更にその背には、刃のように鋭い翼が、禍々しく両腕を広げていました。
「エンドブレイカーの力といっても、この程度なのね。でもまぁ、無理してまわしてもらった量産型ゴルバック6体が3分持たなかったのだから、褒めてあげても良いのかしら」
 私達を前にしての、この落ち着き、この余裕が、圧倒的な実力を……かなり上位のマスカレイドであることを窺わせます。
「先手必勝」
 こんな所で、止まっていられるか。少女が海賊団『魔神の斧』の団長なら、戦いは避けられない。
 そう判断したのか、ライデンさんがハンマーを突き出し、闘気と共に突撃しました。
「勝利をと、頼まれました……。勝たせて貰います!」
 咄嗟にクロスさん、ローゼリィさんも追撃を仕掛けます。
「直撃……した筈です」
 私の喉が、ひとりでにゴクリと鳴りました。認めたくはありませんが、この先が予想できてしまうのです。
「でもまぁ、副長の仇でもある事だし、あなた達は死んで貰いましょう」
 三人の攻撃が、まるでそよ風だったかのように、少女の様子は変わりませんでした。
 そして少女が、炎を宿した剣を構えます。それはまさしく、炎の魔剣――。
「ぬぅっ!?」
 大柄なライデンさんが易々と押し払われ、少女はフランシスカさんとぶつかります。その瞬間に私も全霊を込めて攻撃を仕掛けましたが、少女は一瞬でフランシスカさんを押し倒して蹴り、私に向かって炎の刃を振り抜きます。
 私達が消耗していることを差し引いても、その力は圧倒的で。
 とても勝ち目が無い事は、その場にいる全員が思い知らされることとなりました。
「まず、ひとつ」
 倒れたライデンさんへ、振るわれる炎の剣。そこにあるのは明らかな『殺気』。
「やめっ……!」
 それだけは、私も止めようと駆けますが、足が言う事を聞きません。いいえ、仮に聞いたとしても、間に合わなかったでしょう。
 しかし、悲劇は寸前で止められます。
 突然大きな物音と共に、部屋の端にあった本棚が砕け散りました。
「あんたら、正面からあれだけ人数を繰り出した上に、抜け道の捜索までしてたのかい」
 あきれたように振り向いた少女の前に、抜け道からやってきた別チームが現われたのです。
 彼らもまた、何者かと戦ったのか無傷とはいえないですが、十名の援軍は心強いものでした。彼らが攻撃を仕掛けている隙に、私はライデンさんを守る位置に移動します。
 しかしそれでも尚、少女の余裕は崩れません。焦った様子はまるで見せず、やれやれといった様子で溜息をつきました。
「エンドブレイカーは、やはり、脅威だね。でも、まぁ、海の上ではこうはいかないよ。それに、アレが動いたら、陸も海も関係無く海賊の天下になるんだからね」
 そう言って、少女は何かを呟き始めました。我々には理解できない言葉……そう思った次の瞬間、地面が大きく震動を始めます。
「これは……!」
 崩れる、と。誰もが直感しました。その間に少女はひらりと姿を消しますが、追っている暇はありません。
「完全に崩壊する前に、早く脱出を!」
 まだ中には、戦いで傷付き、動けぬ人が大勢居る筈です。彼らを救出し、脱出すること。それがこの戦いで課せられた、私達の最後の役目になったのでした。



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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2012/06/29
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  • カッコいい14 
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