ステータス画面

絡繰の遺跡

<オープニング>

「くそっ、どうなってんだ!」
 地底湖の遺跡の1つ。入口を見つけ喜び勇んで探索を始めたトレジャハンター達は、宝箱のある部屋で次々と湧いてくるアンデッド達に苦戦していた。
「おいジェフ。聞いてんのかジェフ。壁の絵の謎は解けたのか!」
 骸骨の振り下ろす錆びた剣に肩口を斬られたアロンソは、その骸骨を蹴り飛ばし叫びながら振り返る。……ジェフは地に伏しており、そのジェフの体を踏み付けた骸骨がアロンソに迫っていた。
「ちっ、こんなところで……」
 アロンソは、迫り来る5体の骸骨を前に舌打ちする。壁に描かれた絵が何か意味を持っているのは明らかだったが、次々と湧いて出る骸骨達に手間取り、1人……また1人と倒れ、残っているのはアロンソだけだった。
「こうなりゃ1体でも多く道連れだ。来やがれ!」
 出口も閉じられ、アロンソはやけになって骸骨に剣を叩き付けたのだった。

 地下にある広大な地底湖は相も変わらず水位を下げ続け、水中に沈んでいた新しい遺跡を探索可能にし、トレジャーハンター達を喜ばせている。
 だが、トレジャーハンティングは危険な仕事でもある。遺跡には、古代の邪悪な星霊建築によって生み出された、ゴーレム達や、危険な罠が存在し、まさに命がけといって間違い無いだろう。
 そんな危険を乗り越えて事こそ、獲得できる宝には価値はある。トレジャーハンター達は、瞳を輝かせてそう言うのだ。しかし、実際に命を失うエンディングを見たとなっては話は別だ。
「遺跡探索中に命を落とすトレジャーハンターを助ける為、一肌脱いでくれない?」
 噂詠の魔曲使い・ルトゥン(cn0053)は、集ったエンドブレイカー達にそう切り出したのだった。

「今回命を落とすエンディングが見えたのは、アロンソさん達4人組のトレジャーハンターよ。命の危険があると言っても引き下がらないだろうから、先回りして宝を手に入れてしまおうって訳ね。宝が無いんじゃ彼らも手を引くでしょ」
 ルトゥンは、悪戯な笑みを浮かべる。
「宝の部屋まではそう問題無く行けるんだけど、部屋に入ると扉が閉まっちゃうの。だから一斉に入らないと部屋の外に取り残されちゃうから注意してね。部屋は沢山の骨があり、中央に台座があってその上に宝箱があるんだけど、扉が閉まると、骸骨達が襲い掛かって来るわ。
 この骸骨達はやっつけてもやっつけても次々と湧いて来るの。おそらく魔法的な何かだと思うんだけど、部屋の壁面にそれぞれ、動物とバルバの壁画があってその中に1ヶ所だけが欠けてるの。
 で、その下にそこにはまるサイズの石片があるんだけど、どうも正しいものをはめると止まるみたいなのね。アロンソさん達は、それに挑んでる最中にやられちゃったからどれが正解か分らないけど、描かれている画は見えたわ」
 ルトゥンは言って手帳のページをめくる。
「バルバの壁は、ラットマン(鼠)とジャグランツ(ジャガー)の間が空いてたわ。石片に描かれていたのは『オーク(豚)』『ヴォルフル(狼)』『タウラス(牛)』『ムジナ(狸)』『クワガタ人(クワガタ)』よ。
 動物の壁は鎧コウモリ(蝙蝠)と剣豪カマキリ(蟷螂)の間が空いてる。石片の描かれていたのは『スコープアウル(梟)』『ポイズンヴァイパー(蛇)』『熔岩タイガー(虎)』『バルーンフィッシュ(魚)』『大トカゲ(蜥蜴)』ね」
「もう一度言ってくれ」
 エンドブレイカーの一人がそう言ったので、ルトゥンは同じ事を紙に書いて見せた。

「古代の遺跡で宝探しって、ワクワクするよね。どんな宝が手に入るか判らないけど、きっと、記念になると思うよ! 
 探索が終わったら、後から来るアロンソさん達に挨拶して『この遺跡は探索済み』と教えてあげれば、彼らも諦めて悲劇のエンディングを迎えないだろうしね、じゃ、宜しくね」
 ルトゥンは立てた人差し指を左右に振るのだった。


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参加者
黄昏の鎮魂歌・ナユタ(c00026)
剣の舞姫・シェラーナ(c00057)
キングオブハート・ゼロハート(c00225)
緑の観測者・ゼロ(c00611)
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
氷凛姫・サネリア(c01850)
戦神無宿・フェリアル(c02753)
火眼黒装の騎士・グスタフ(c03553)
面白求道者・サンタナ(c04809)
紫電清霜・キール(c06094)

<リプレイ>

●部屋
「特に何もない……様だね」
 星霊達を喚んで扉の周りを丹念に調べていた緑の観測者・ゼロ(c00611)が溜息をつく。
 部屋の中の絵なら、扉付近にヒントになる様なものがないか調べていたのだ。
「ぬぅ……頭使うのは苦手なんだが……」
 その様子を見ながら火眼黒装の騎士・グスタフ(c03553)は、石板の動物たちが描かれた紙に視線を落とし、ボリボリと頭を掻く。
「ま、いいか。こういう頭を使う仕掛けは個人的には興味をそそられるよね。今回はどんな答えが観測結果になるのかな?」
「そもそもトレジャーハントで『こういう謎解きがある』と分かっているのはエンドブレイカーじゃない人達から見たら『ズル』に当たるのかな?」
 笑うゼロに紫電清霜・キール(c06094)が肩を竦め、一緒に扉をくぐる。

 ゴォーン! 重い音を立てて扉が閉まる。
「どういう絡繰なのでしょうか? 古い遺跡……失われた素晴しい技術ですね」 
 阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)が念の為、扉を押してみるが、酒場で聞いた通りビクともしなくなっていた。
「トレジャーハントか、いいねいいね浪漫だねぇ」
「俺……宝持って帰れたらトレジャーハンターになるんだ……」
 愛槍をハルバードに持ち替えた面白求道者・サンタナ(c04809)が、咥えた草花を揺らす隣で、ZtoAを構え直し、ロールした髪を揺らしたキングオブハート・ゼロハート(c00225)が、
「なんてな」
 と付け加えておどけたポーズをとる。
「確かにお宝探しって心が躍るよねー! もっとも、僕はギミックの答えが全然わかんないんだけどね」
 黄昏の鎮魂歌・ナユタ(c00026)も笑い、編んだ髪に括られたリボンが揺れる。
「さて、動き出した様です。スケルトンが相手とは……新しいアビリティを試すのに丁度いい」
 部屋の奥、骨の山の中から骸骨達が立ち上がるのを見て、戦神無宿・フェリアル(c02753)が眼鏡を光らせた。5人は得物を構え、左……バルバの姿が描かれている壁側に寄る。

「私達はこちらですね。ビシッと決めていきますわね」
「このムシムシした空気もあんまり好きじゃなのよね、手早く片付けるよ」
 旨の谷間からカードを出した氷凛姫・サネリア(c01850)がそのカードを構え、グスタフ達と右側……動物の姿が描かれた壁側に寄ると、剣の舞姫・シェラーナ(c00057)が纏わり付く様な湿気を含んだ空気に眉を顰め、サードアームで掴んだ扇で自分の体に風を送っていた。

●右壁
「謎解きは任せたよ!」
 グスタフは胸の前に【Siegbringer】を掲げると、心頭滅却し骸骨供の弱点を探る様に目を凝らす。そのグスタフの前、トラップを撒いたゼロは、
「で、こっちの石板は何が正解なのかな? ボクは大トカゲだと思ってるんだけど」
 肩から翼誓弓を外して言うと、
「あぁ、私もそう思っていましたよ」
「私も自信はないけど大トカゲかなって思うのよ」
 雷撃を飛ばしたキールと、太刀を鞘から抜いたシェラーナが同調する。
「うーん、私は違うと思うけど、みんながそう思うなら試してみたらいいと思うですの」
 サネリアは異なる見解を持っている様だが、3人が押すのでそれに任せ、ゼロの撒いたトラップに掛りつつも近寄って来る2体の骸骨を、大きな胸を揺らしグスタフと共に迎え撃つ。
「では、シェラーナ君お願いします」
 キールが雷撃を飛ばし壁への道を確保し、グスタフと切り結ぶ骸骨にゼロが矢を放つと骸骨が崩れ落ちた。……が、奥の骨の山からまた骸骨が現れ、錆びた剣を向けて迫って来る。
「じゃあ、入れるよ」
 駆け寄ったシェラーナが、石片を見比べ大トカゲの描かれた石片を嵌め込んだ。
 キーンという頭が割れそうな音が部屋に響く。
「正解だね」
 言ったグスタフの期待を裏切る様に、骨の山から新たに5体の骸骨が現れた。
「ハズレた? 倍になっちゃったよ」
「とりあえず大トカゲの石片を外しましょう」
 シェラーナがおろおろと石片と骸骨を見比べ、Verde alaを揺らし次々と矢を放つゼロが声を上げる。
「と、取れない……」
「なん……だと……ですの。代わります」
 シェラーナの声に、眼前の骸骨を氷壁に閉じ込めたサネリアが場所を入れ代わる。
「はっ、何体来ようが一緒だ」
 グスタフが振るわれた錆剣をガントレット-Type【悪鬼】で掴み、その頭に神火を纏った剣を振り下ろす。
「ある意味壮観だね」 
「外れの石片なら壊しちゃってもいいですわね」
 苦笑しながら矢を放ち続けるゼロの後ろで、スカートの端を翻してしゃがんだサネリアは、レイピアの柄の部分を叩き付け、大トカゲの石片を割って取り除き、自分の推測する石片を手に取った。
「更に倍になって20体になるというオチは勘弁ですよ?」
 リングスラッシャーを飛ばしたキールが、冗談ともつかない調子で言うのに、
「大丈夫ですわ」
 笑ったサネリアは、『熔岩タイガー』の描かれた石片を嵌め込む。
 再びキーンという高い音が部屋中に響く。
「どう、なのかな?」
 ゼロが骸骨の動きを固唾を飲んで見守る。
 次の瞬間、5体の骸骨が操っている糸を斬られたかの様に、骨を撒き散らして動かなくなった。
「正解なのね」
 サードアームで掴んだ扇で錆剣を受け、骸骨に雷撃を纏った太刀を浴びせたシェラーナは、そう言って息を吐き、
「おめでとう。君が解いていなかったら予知したエンディングを、我々が迎えている所だったね」
 キールがサネリアに微笑み掛けた。

●左壁
 同じ頃、こちらへは3体の骸骨が迫って来る。その機先を制する様に天鹿児弓から放たれ分裂した矢が、2体の骸骨を穿つ。
「大して強くはない様ですね」
「石の方はさっぱり故、任せます」
 その手応えにルーンは呟き、その隣、腕に鎌を生やしたフェリアルが、雪駄で地面を蹴り、ルーンの放った矢が刺さる個体を薙ぎ斬った。その一撃で骸骨はバラバラになり、奥からもう1体が現れる。
「ほーら、好物の骨だぜー。ガシガシ齧ってOKだ」
「あはは、ずっと水に浸かっていたから美味しくないでしょうけど」
 ゼロハートの足元の血が盛り上がり、猟犬に姿を変えると、ナユタの足元からも猟犬達が起き上がり、大群となって骸骨達に踊り掛ってゆく。崩れ落ちる骸骨達の向こう、骨の山から7体の骸骨が起き上がった。
「うおっ、向こうが失敗したのか?」
 サンタナが驚いて右の壁の方を見ると、シェラーナが嵌めた大トカゲの石片を、バンバンと叩いているのが見える。
(「ありゃ、大トカゲじゃなかったのか……じゃあこっちも触るのやめとこう」)
 サンタナは自分の予想が外れたのを見て、
「で、誰が石を入れるんだ? 俺は前に出るから任せたぜ」
「私もお任せ致します」
 宙を舞って得物を突き付けるサンタナと、カマキリの鎌を振るうフェリアルは他人任せで骸骨を討つ事だけに専念し、
「あ、私もお任せです」
 次々と猟犬を繰り出すナユタも、ひらひらと手を振る。
「もう、しょうがないな。この絵が問うているのはサイズだ。既に描かれているものは、どちら壁も小柄と大柄のモンスターだ」
 ゼロハートが石片を拾い上げ、お目当ての石片を探す。その間にも次々と骸骨が湧き出て、錆剣を振り上げ迫って来る。
「邪魔はさせないのです」
 ゼロハートに迫る骸骨に、Geheimnisを開いたナユタが見えざる衝撃波を飛ばし、
「まったく、無粋な輩で」
「おっ、向こうが正解を嵌めたかな?」
 フェリアルがその射線を遮り、緑の鎌を縦横無尽に振るい骸骨達を押し留める。その骸骨達の内何体かが急に崩れ落ち、サンタナが声を上げた。
「そして石片にその中間である普通サイズの種族は1つだけ」
 新たに立ち上がる骸骨に矢を放ち続けながら、ルーンが後を続ける。
「だからこれ、『ヴォルフル』だぜ」
 ゼロハートが、選んだウォルフルの石板を、嵌め込んだ。
「おそらく生物の大きさを並べていくことで食物連鎖を示してるので……」
 ルーンの言葉が、キーンという甲高い音に掻き消される……音が止まると、骸骨達は糸が切れた様に全て崩れ落ち、背後でガコン! と大きな音が響き渡る。おそらく扉が開いたのだろう。
「なんだ、石片を嵌めると動いてるのも止まるのか」
 グスタフは骸骨が崩れた事で空を斬った剣を引き戻し、残念そうに呟いた。

●宝物
 骸骨達は動かなくなり皆が宝箱の周りに集まった。
 事前の取り決めで、謎を解いた者が獲得するという話だったが、謎を正確に解いたのはルーンとゼロハートとサネリアの3人であった。
「私に似合う可愛い物か、セクシーな物なら譲って欲しいな」
 少し甘えた表情でサネリアが言うと、
「ふむ、それはいい案だな。とりあえず宝を見て、3人の中で一番相応しい者が貰うと言う事でどうだ?」
「私は別に異論ありませんよ」
 ポンと掌を叩いたゼロハートが言うと、同じ旅団の仲間でもあるルーンが同調し、サネリアもそれでいいと頷いた。
「罠とかは無い様だよ」
 念の為調べたゼロが言い、皆が覗き込む中、ゆっくりと箱が開かれる。
「これは……帯?」
「いや、ベルトだな」
 フェリアルが小首を傾げるのに、グスタフがソルレット-Type【武神】を固定する革ベルトを指して言う。
「ねえねえ、どんなのを見つけたの? 僕にも見せてくれない?」
 その後ろで影になって見えないナユタが、一生懸命首を伸ばす。
「これは荷物固定用のパーツだね。ジェシカとか似合いそうだな」
 手に取ったシェラーナが固定部分を指す。確かに運び屋をしているスカイランナーに似合いそうなベルトで、一行の中ではしいて言うならサンタナが似合いそうだったが、
「『答え』も判らなかったし、一目見せてもらったので十分だ」
 と、ボトルホルダーから出したD.O.Dを口に運ぶサンタナ。
 結局紆余曲折を得て、ベルトは3人の中では一番似合いそうなルーンが貰う事になった。
「しかし、これはこれで酷い罠だね。骸骨となったからしょうがないのかもしれないが生前の人権はどこへやら」
 キールが散らばった骨片を集めながら呟く。
「全部は無理だけと、運べるだけ運んで共同墓地に埋葬してはどうか?」
「えー、まぁ別にいいけど」
 誰かの提案にゼロハートが少しイヤな顔をするも、提案自体は受け入れる。
 一行は持てるだけの骨を集め、
「あなた達も後で運んでさしあげます」
 ナユタが残った骨に頭を垂れ遺跡を後にした。
「古代人の残した遺跡に触れ太古に思いをはせるっていいですよね」
 ルーンが呟いた時、遺跡に入って来たアロンソ達と出くわした。両手に袋に入った荷物満載な一行を見て、アロンソ達は心底悔しそうな顔をするが、それが骨だと判ると脱力してへたり込む。
「ベルト1本でこんな数の骸骨を相手しないといけなかったのです。正に労多くして益少なしです」
「まーそう言う事もあらーな。まったく、一番乗りだと思ったんだがなぁ」
 フェリアルが肩を竦めると、アロンソが苦笑を浮かべその肩をバンバンと叩いた。
 エンドブレイカー達は彼らの悲劇のエンディングをブレイクし、遺跡を後にする。
 願わくばこの多くの骨達にも、安らぎがあらん事を祈って……。



マスター:刑部 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2012/07/04
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  • 知的6 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
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