ステータス画面

訓練中の事故には気をつけよう

<オープニング>

「ニクスー、本当にここで良いわけ?」
 カリンは呆れ顔で周囲を見回した。
 崩れた壁に、壊れた水路から流れ込んだ水、頭上を見上げれば穴の開いた屋根から昼の天井が見える。
 完全に廃虚だった。
「……ここでいいはずだよ。後は、この家のどこかに手紙があるはず」
 ニクスが地図を睨みながら答える。
「アンタのお爺さんの課題、どんどん無茶になってきてない?」
「それは否定できないけど、これも修行だよ」
「修行ね……」
 カリンの幼馴染であるニクスは、彼の祖父からスカイランナーになるための訓練を受けていた。最近は、簡単な地図を渡されて、そこに描かれている場所へ行き、品物を取って来ると言う課題をよくやっている。
 迷路のような通路の奥にある家の軒先だったり、綱渡りを繰り返さなければ辿り着けない屋根の上だったりと、だんだん難易度が上がって来ているのだが……。
「いくらなんでも、放棄領域ギリギリの場所ってのは危なくない?」
「運び屋になったら、こういう場所に来ることもあるんじゃないかな? それに、危ないと思うなら、ついて来なければいいのに」
 訓練を受けているのはニクスだけで、カリンは無理矢理同行しているだけなのだが、カリンはちょっとムッとした。
「バーカ、危ない場所だからアンタ一人で行かせられないんじゃない。それに……」
「お、あった! たぶん、これだ」
 ニクスは床板の一つを外そうとしている。無視された形になったカリンが半眼で睨みつけるが、ニクスは全く気付いていないようだ。
(「こういう、空気が読めないところが、あのお爺さんの孫よね……」)
 ため息をつくカリンの前で、ニクスが床板をめくり上げる。
 そこには、ぽっかりと下の層への穴が開き、そこからにょろりと白い紐状のものが出てきた。
「何だ、これ?」
「ニクス、下がって!」
 不思議そうな顔をするニクスをカリンは強引に後ろに引っ張る。
 すぐに紐の正体が判った。
 触手である。その持ち主は直立歩行するイカのバルバ……、
「何でクラーリンが出てくんのよ!?」
 思わず叫ぶ。
「ちょっと、ニクス! これもお爺さんの課題!?」
「まさか、そんな訳はないと思うけど……」
 後ろに下がる二人の前に、穴からぞろぞろとクラーリンが出てくる。
「課題か事故かを考えてる暇はなさそうね……。ニクス、アンタのほうが身が軽いから、先に逃げなさい!」
「そ、そうもいかないよ!」
 口論しているうちに、逃げ道も無くなっていた……。



 エンドブレイカー達がテーブルの席についても、大剣の城塞騎士・ルド(cn0117)は考え込んだままだった。
 声をかけると、やっと気づいたように、テーブルを見回す。
「すまないな。ちょっと、修行時代のことを思い出していた」
 ルドは苦笑して頭を下げると、今回の依頼の内容を話し始めた。
「アクエリオの放棄領域に近い廃墟に、二人の子供が出かけるんだが、そこでクラーリンに襲われるようなんだ。その二人を助けて欲しい」
 現れるクラーリンは全部で七体。本体の触手の他に鞭を持っていると言う。
 事件現場は廃墟で、瓦礫が転がっているが、戦闘の障害になるほどの大きさのものはない。入り口が二つある広間で、クラーリンの出てくる穴は、同時に二体が出てこられる大きさがあるようだ。
「二人はそこにスカイランナーの修行で出かけたらしいが、こういうトラブルに遭うとはなあ……。まあ、子供の夢がダメになるのは見たくないからな。よろしく頼む」


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参加者
鳴弦の巫女・アサキ(c07497)
マレフィカの灰兎・コハネ(c10655)
形のない宝を探す怪盗七級の男・ルーファス(c11413)
魔鍵の天誓騎士・タンゲット(c17858)
天響鈴音・ゼフィーリア(c21831)
伝承と物語の探求者・チャンドラ(c26564)
幾万の悪夢を絡め取る者・ファイト(c31917)
エアシューズの群竜士・タオ(c31954)
夢雲・モルラ(c32051)
笑み曲ぐ極楽トンボ・ヤハウェ(c32137)

<リプレイ>

●廃墟
 空気の中に澱んだ水の臭いが漂っている。
 水路を流れる水の音も、どぼどぼと重く、ひび割れた石畳に浸み出しているのか、足元にぬるぬるとした感覚があった。
 魔鍵の天誓騎士・タンゲット(c17858)が硬い表情で足早に進んでいく。
 水路沿いの道は細く、手入れが悪い事もあり、ひどく歩きにくかった。
 エアシューズの群竜士・タオ(c31954)が道の先を見つめる。
(「目指す道を真っ直ぐに見つめ、常に研鑽に励むとはお若いながら、なんと立派な! 頭の下がる思いです……」)
 この先の廃墟でニクスとカリンの二人が殺されようとしていた。二人はここにスカイランナーの修行のために来ており、入り込むのが難しい場所を訪れたのも、訓練の一環のようだった。
「絶対に、二人を護らないとだね」
 天響鈴音・ゼフィーリア(c21831)が呟く。
「子供が危害に遭うなど、もってのほかですからな」
 伝承と物語の探求者・チャンドラ(c26564)が頷き、一行は足を速めた。
 やがて崩壊寸前に見える廃墟にたどり着く。
「この家でしょうか?」
 鳴弦の巫女・アサキ(c07497)が屋根を見上げると、そこは大きく崩れており、確かに事件現場のようだった。
 タンゲットが、さっと開き放たれた入り口をくぐる。
 そこには二人の少年と少女がおり、ちょうど、少年が床板を外そうとしていた。
 その下に、二人を殺すクラーリンが潜んでいるのだ。
「ちょっと待って下さい!」
 マレフィカの灰兎・コハネ(c10655)が叫び、同時に進み出た、形のない宝を探す怪盗七級の男・ルーファス(c11413)が、二人を床板から引きはがした。
「アンタ達、誰よ?」
 少女がキッと睨んで来る。この子がカリンだ。
「わたし達はバルバ退治の冒険者です」
 アサキが言った。
「この辺り、最近バルバが出るって聞いたから見回りに来たの」
 夢雲・モルラ(c32051)はちらりと床板を見る。
「とにかく、外に出てね」
 ゼフィーリアがカリンを見上げた。
 カリンはゼフィーリアを見下ろし、
「何で子供に偉そうに言われなきゃなんないのよ」
 不満を隠そうともしない。
「私達は修行のためにここに来たの。バルバがいるなら、それも私達二人で何とかしないと」
 少し修行を積んだくらいなら、こんなものかもしれない。アサキは、カリンの態度に苦笑をもらした。
「カリン、ここはこの人達の言う通りにしよう」
 むっとしているゼフィーリア――彼女は背が低いため、年下に見られるのを嫌がっていた――をちらちら見ながら、ニクス少年がカリンの袖を引く。しかし、カリンはなおも不満そうに動かない。
 と、
「向こうから来るみたいだよ」
 床板の様子を警戒していた、笑み曲ぐ極楽トンボ・ヤハウェ(c32137)が仲間達を振り返った。
 ニクスが外そうとしていた床板がガタガタと揺れ、下から押し上げられて横にずれる。
「二人とも、早く離れて下さい」
 タンゲットが微笑して静かに告げた。
 床にぽっかりと穴が開き、そこから白い触手がのぞく。すぐにクラーリンが二体、互いに絡みつくようにして、狭い穴を潜り抜けて来た。
「ひっ!」
 カリンが悲鳴をもらした。
 クラーリンに向き直ったタンゲットの顔は再び硬いものに戻っている。
 コハネがニクスに叫ぶ。
「ここからはもう修行ではありません!」
「大丈夫だ。後は俺達に任せてくれ!」
 足が竦んでいるらしい二人に、幾万の悪夢を絡め取る者・ファイト(c31917)がにやりと笑いかけた。

●溢れ出すもの
 二体のクラーリンは、気色の悪い動きで一行の方を向いた。
「練磨に励む若い獅子、その尊い志を折らんとする者には一遍の容赦も不要! いざ勝負!!」
「おお、ここから先は俺達本業の出番だ! 二人には傷一つ付けさせやしねえよ!!」
 タオとファイトが一歩前に出る。
「さあ、こっちだ。ニクス、手を引いてやりなさい」
 ニクスとカリンを廃墟の入り口に誘導したルーファスは、自身は立ち止まり、二人を護る壁になった。
 アサキも二人のそばに立って弓を引く。ニクスを横目に見て、
「入り口の陰に……何が飛んで来るか分かりません」
 と指示を出すと、ニクスはカリンを壁の陰に押し込んだ。
 同時にアサキが矢を放つ。狙いすました一撃が、クラーリンの鞭を持つ触手を撃ち抜いた。
(「クラーリンにとっては、こちらこそ棲家を荒らす侵入者かも知れません。でも……此処はヒトの領域なんです」)
 クラーリンを見つめる。
 一行は二組に分かれてクラーリンを攻撃することにしていた。
「凍るのと、燃えるの、どっちが好きかな」
 モルラがアイスレイピアとフレイムソードを交互に見る。一瞬迷い、モルラはアイスレイピアを、矢を射受けていないほうのクラーリンに向けた。切っ先から冷気が吹き出し、氷の柱が降り注ぐ。その触手が凍りついた。
 すかさずコハネがイチイの杖を掲げる。
「動けなくして差し上げます!」
 蜘蛛の網が二体のクラーリンに絡みついた。
 その状態で、クラーリンも反撃してくる。突き立った矢や、凍りついた腕で動きが鈍いが、一体がタンゲットに鞭で打ちかかり、もう一体は廃墟の瓦礫に鞭を絡ませ、投げつけてきた。
 抱えるほどの瓦礫が飛んだのは、入り口から顔をのぞかせるニクスの方であり、そこにルーファスが立ち塞がる。
「むっ……!」
 重い衝撃がルーファスを襲うが、ここを通すわけにはいかない。ルーファスは未来につながる者達を護っているのだから。
「いっくよーっ!」
 ゼフィーリアが飛び出し、ガントレットを打ち込む。杭打ち機が作動してクラーリンが衝撃に震えた。
 だが、その隣のクラーリンを攻撃したファイトの一撃は空を切る。クラーリンはイカらしく異様に柔軟な動きを見せた。
 ヤハウェが魔鍵を投げる。
(「僕の役割はサポートだからねぇ」)
 廃墟は天井に大穴が開いている。そこから差し込む光で、床にクラーリンの影が出来ており、魔鍵は不気味な形の頭の影を、狙い過たずに貫いた。
 クラーリンの片割れが無防備に動きを止める。
 ちらりとそれを見たタンゲットは、しかし、最初の狙い通り、別のクラーリンに向かった。身体ごと高速回転し、クラーリンを乱打する。
 クラーリンがたたらを踏んだ。
 チャンドラが魔道書から呪いの蛇を放って追撃する。
(「修行時代は、遥か遠い昔になった」)
 横目で隠れるニクス達を見た。
 チャンドラはもう壮年である。だからこそ、子供達を護らなければならず、彼からすれば、仲間達も護るべき若者だった。全員無事である事こそが、真の成功である。
 呪いの蛇がクラーリンに絡みついた直後、タオが拳を打ち込んだ。
 足許が重い音を響かせ、床を砕くような踏み込みから体重の乗った拳を放つ。
 タオの瞳は怒りに燃えていた。
(「一生懸命努力する者を邪魔することは、絶対に許しません!」)
 しかし、クラーリンの目には何の感情も見えず、穴からはさらに二体が湧き出して来た。さらに次のものも、穴の闇の中に潜んでいる。
 クラーリンが際限なく湧き出してくるのではないか? 
 そんな疑いを持ってしまいそうな光景だった。

●押し戻す
 床の穴から五体目と六体目のクラーリンが現れる。
 コハネの放った蜘蛛糸により一体ががんじがらめになり、最初に現れたものはモルラの火炎放射により火達磨になっていたが、クラーリンは一行が倒すより速く新たなものが出現し、そのうちの一体は一行の包囲を破っていた。
 ルーファスがそれを足止めし、チャンドラもニクス達のところに行かせまいと太刀を抜いている。
 ルーファスのトンファーがクラーリンの判りにくい顎にめり込み、その身体がぐにゃりと潰れた。
 ルーファスもまた重傷を負っているが、アサキが神楽を舞い、澄んだ鈴の音が響き渡る。ルーファスの身体に力が戻り、癒しの力はゼフィーリアやタンゲットの傷も消し去った。
「ありがとね!」
 ゼフィーリアが笑う。
 しかし、クラーリンは津波のように押し寄せてきた。モルラが新たなクラーリンに冷気を叩きつけ、手足を凍らせる。クラーリンはアサキの矢や、ヤハウェの魔鍵によって動きが鈍っていたが、それでも鞭を振るい、瓦礫を投げつけてきた。
 タンゲットとゼフィーリアの足に、死角から回り込んだ鞭が蛇のように絡みつく。
 タンゲットの表情がさらに不機嫌に歪んだ。
 ゼフィーリアが神鏡を手元に召喚する。
「悪霊じゃないけど、退散してね。……するよね?」
 鏡から閃光が走り、直撃を受けたクラーリンが倒れた。
 ファイトもガントレットを変形させ、杭打ち機を起動する。
「お前ら、これで打ち砕かせてもらうぜ!」
 轟音を上げて杭打ち機が作動し、クラーリンの身体に穴を開け、体勢を崩した。そこにヤハウェの投げた魔鍵が飛ぶ。
 タンゲットもまた、強引に身体をねじ込むようにして対峙したクラーリンの懐に突っ込んだ。
「さっさと終わらせてもらうぞ!」
 床下に落そうとするように、鍔迫り合いを始める。クラーリンの白い顔が、さらに青ざめたように見えた。
 チャンドラが再び呪いの蛇を放ち、クラーリンの触手が石に変わる。
「隙あり!」
 タオが間合いを詰め、身を沈めると同時に足払いをかけた。クラーリンの身体がくるりと上下逆さまになり、タオはそのまま掴みかかるとクラーリンを頭から床に叩きつけた。
 クラーリンも鞭を長くのばし、前衛に立つタンゲットやタオをまとめて打ちすえたり、ファイトに瓦礫を集中して投げたりして来る。
 だが、七体目のクラーリンが完全に姿を現した時、戦況が一気に傾き始めた。
 アサキの矢が七体目の触手ごと首の付け根を撃ち抜き、その身体がこわばる。
 モルラがすっと右手を掲げた。ファルコンのスピリットが出現する。モルラの背中には、ヤハウェが呼び出した赤い蠍が張り付いており、モルラに力を与えていた。
 ファルコンが天井の穴を抜けて高く舞い上がる。
 ひるがえって急降下する先にいたのは、タンゲットにはね飛ばされて無防備になったクラーリンで、それはファルコンの爪で八つ裂きになった。
 コハネが顔を上げる。
「あれはモルラさんのコですね? おぉ、素晴らしい飛行! 格好いいです!」
 モルラが恥ずかしそうに目をそらした。コハネは笑顔を見せ、
「よーし、ポラリスも行っておいで!」
 真っ白い翼の鷹を呼んだ。鷹は矢のように飛び、その翼でクラーリンを切り裂く。すでにファイトによってボコボコにされていたそれは、ばったりと倒れた。
 残り二体のクラーリンが最期の抵抗とばかりに、タンゲットとタオに鞭を振るう。
 だが、タンゲットは無造作にそれを打ち払い、タオも踏み止まった。
 ゼフィーリアのガントレットがうなる。
「一撃、ひっさーつ! 貫けー!」
 杭打ち機がクラーリンの身体の真ん中に大穴を開け、
「これで、終わりだっ!」
 最後の一体の腹にガントレットに覆われた拳を叩き込んだ。えぐるように拳を打ち抜くと、クラーリンの頭がガクリと後ろに折れた。

●修業は続く
 チャンドラが魔道書を閉じた。
 ニクスとカリンはまったくの無傷で、仲間達も負傷はしているが無事である。タオが重傷だったが、ゼフィーリアが治療を始めている。
 モルラがコハネに近寄った。
「あの、かっこよかった、よ……」
「えへへ、照れちゃいます♪」
 コハネも元気に答える。
「モルラさんも格好良かったですよ! 後ろを見る暇はなかったですが、扱い方で分かりますよっ!」
「う、うん。トニカっていうの。ぼくのファルコン」
 モルラが顔を赤らめた。
「……いいなあ」
 アサキはニクスが呟くのを聞いた。
「どうしたんですか?」
「仲が良さそうだったから……」
 しかしアサキがカリンを見ると、カリンは無言でうつむいている。
 ニクスがそれに気付かず、ルーファスを見上げた。
「あの、大丈夫ですか?」
 ルーファスも少年達を護って手傷を負っている。
「問題ない。君達を護るのも仕事のうちだ」
 タオの治療を終えたゼフィーリアが、ルーファスの治療を始める。
 ゼフィーリアはニクスの方を向いた。
「こう言う場所って、どんな危険があるかわからないから、常に周囲に気を付けないとだよね。仕事なら尚更に」
「退くのもまた勇気。十人がかりで倒せたが、二人だったら正直敵わない相手だった」
 チャンドラも口を挟む。
「はい!」
「うん……」
 ニクスが頷き、カリンは、先ほどとは別人のようにしおらしくなっている。
「私もスカイランナーとして、いろいろと修行をしたものだよ」
 少女の様子に、ルーファスが言った。カリンが顔を上げる。
「例えば、歌とかな。自然との調和、これも一つの鍛錬に繋がる。その成果をお見せしよう。さぁ、遠慮はいらない存分に聴きたまえ、私の歌を」
 ルーファスが呼吸を整え……、
「うわ……」
 凄まじい不協和音に、全員が耳を塞いだ。倒れていたクラーリンの身体が心なしか縮む。だが、カリンは困惑しつつも笑顔になった。
 と、床下を調べていたタンゲットとヤハウェがそばにやって来た。
「下の部屋にはもう何もなかったよ、狭い道があったけど、そっちは進めそうもないね」
 ヤハウェが報告し、タンゲットが一通の封筒をニクスに差し出した。ニクスが受け取るのを確認して、タンゲットは微笑み、仲間達の輪から下がる。
「手紙を回収するのは君達の仕事であろう? どんな形であれ、依頼をきっちりこなす。これが修行のなんたるかというやつだ」
 ルーファスが歌を止めて、封筒を見つめるニクスに言った。
 ニクスが手紙を開く。
「えっと……、よくここまで辿り着いた。二人で協力することこそが、真の宝であることを……」
 何か、定番と言えば定番の事が書かれている。
「いかにもお爺さんらしいわね。二人でどうにかなる状況じゃなかったのに」
 カリンが呻いた。
「あんまり恨まないでやってくれな。多分お爺さんも立派なスカイランナーになってほしいっていう一心だったんだ」
 ファイトがニクスの肩を叩く。
 手紙には、地図が同封されており、『次の宝の場所』と書かれていた。修行は続くらしい。
「すみません、祖父はこう言う人なんです」
「分かりました。わたしが一筆啓上しましょう」
 アサキが苦笑して、ニクスの祖父当ての手紙を書き始める。
「今後、危険が予測される訓練には熟練者の監督が必要かと……。依存心を無くすのも大切ですが、命あってのことです。こんなところでしょうか……」
 ニクスが手紙を受け取った。
「これからも訓練頑張って、立派なスカイランナーになってくれ!」
 ファイトがにやっと笑う。
「精進は決して人を裏切りません。自身のこうと決めた道があるのならば、どうか真っ直ぐに己が道を見据えて歩んでください」
 タオも正面からカリンの目を見つめた。
 二人がしっかりと頷く。
「さあ、帰りましょう!」
 コハネが廃墟を出る。
 次の修行が始まる前に、今は休息のときだろう。
 天井の光が少年達を照らした。



マスター:灰色表紙 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2012/07/23
  • 得票数:
  • カッコいい1 
  • ハートフル8 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
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