ステータス画面

おかしなマシュマロ・ラビリンス

<オープニング>

●不思議な不思議なラビリンス
 白い遺跡があるという。
 ふわふわと柔らかな、檸檬風味のマシュマロみたいな壁。
 ミルクとココアのスクエアクッキーを交互に敷き詰めたような床。
 感触はどちらも堅いけれど、行き止まりでマシュマロの壁に身を預けたなら、不意にふわふわふわふわと吸い込まれるように壁の反対側に抜け出せることもある。おなかが空いてしまいそうな、とても可愛らしい遺跡だけれど、通路を歩むトレジャーハンター・ミランダは泣いていた。
「う、うう……」
 仲間を見捨てたくはなかった。
 なかったが、おまえだけでも先に行けと見送られて彼女はひとりここまで来た。
「こんなに無茶苦茶なトラップばかりの遺跡は初めてよ……!」
 遺跡に入った当初、ミランダはチームで動いていた。
 しかし、仲間たちはすでに全員脱落した。
 壁に手を触れたらカチッと音がして、壁に無数の穴が開き、キャンディのような色とりどりの弾丸が轟音と共に撃ち込まれたり、マシュマロの壁に呑み込まれたまま戻って来なかったり、底なし沼――もとい無駄に鮮やかなグリオットチェリーピンクのゼリープールに消えた者もいる。
 天井からプリンが降ってきて仲間のひとりが呑み込まれたこともあった。
 仲間は必死にもがいていたが、あまりの事態にミランダたちは、ぷるんぷるん左右に揺れるプリンをただ眺めるしかできず、そのうちプリンが動きを止めたのであわてて仲間を救出したものの、そのときにはもう彼は意識を失っていた。
 全体的にお菓子の罠は美味しそうな見た目だが、古代からそのままの姿で在り続けているという時点で明らかに魔法的な罠である。食べようという気にはなれなかった。
「……し、しまった!!」
 ミランダは絶望の声を上げる。
 通路の向こうから、子供くらいの背丈のゴーレムが現れたのだ。
 赤い軍服姿に黒帽子を被り、小振りなサーベルを提げた人形は、侵入者であるミランダに向け、迷わず攻撃を仕掛けて来た。
「こんな、ところで……!」
 彼女はすでに知っていた。
 この人形が自分ひとりで敵う相手ではないことを。
 そして――。

●遺跡の目覚め
「みんなも『水神祭都アクエリオ』の地底湖の話、聞いたことある?」
 ショコラの錬金術士・パルフェ(cn0133)が、クリームたっぷりのアイスキャラメルオレを、ハート型のストローでくるりと混ぜながら問いかけた。
 地底湖は徐々に水位を下げ、今までは底に沈んでいた遺跡も、最近は湖面に現れ始めている。
「だからね、遺跡を探索しにトレジャーハンターさんたちが集まってるらしいの」
 もちろん目当ては古代遺跡に眠る財宝だ。
 しかし、遺跡には邪悪な星霊建築により生み出された危険な罠が多数存在する。
「それでね……」
 パルフェは、ううん、と少し悩むように首を傾げてから、やがて微笑む。
「ある女性の悲劇が見えたのね。このままだと遺跡の探索に出かけて命を落としてしまうの。悲しいエンディングを防ぐために、みんなの力を貸してもらえない?」
 確実に零れる命を見過ごせはしない。
 とある遺跡で死に至るのは、ミランダという女性トレジャーハンターだ。
 彼女らは危険を承知で宝探しに向かうため、こちらがいかに遺跡が危険であるか説いたとしても探索を取りやめようとはしないだろう。だが、あの遺跡の宝ならすでに手に入れてあると、宝を見せつけて宣言したのなら自ら遺跡探索を断念するはずだ。

「お菓子みたいなトラップがたくさんなの。いろんな意味ですごく危険だからね、心を強く持って誘惑に負けないようにしないとなのね」
 でも、罠にかかること自体は有意義なのよとパルフェは瞳をきらめかせた。
 宝を守るために設置された罠なのだから、罠が多い通路ほど、宝に近づいているという証。
 遺跡はまさしく迷宮だ。通路は無数に分岐しているため、基本的には全員で虱潰しにあちこち進んでみるしかないだろう。
「でも、完全にバラバラで動き回るのは危険なの。トラップよりもずっと怖い、くるみ割り人形みたいな姿のゴーレムが遺跡を守っているからなの」
 罠と遺跡守護者の襲撃に備えながら、なんとしても遺跡の宝を手に入れなければ!

「ね。私も遺跡に行ってみたいなあって思っていたの。だからね……」
 パルフェは少しはにかむように頬を染め、にこりと笑った。
「いっしょにトレジャーハントしましょ!」


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参加者
灼靴円舞曲・シャポリエ(c00974)
ホーリーオーダー・アルトゥール(c01890)
毒芹の粮・ラグランジュ(c02051)
まいにちほのぼの・エリー(c06477)
紅揚羽・シルヴィア(c12998)
宵の口・マルコ(c15900)
茜牙・ヴィクトール(c18090)
虹雫の飾人・コプリ(c30006)
喜び夜駆け回る・サツキ(c31518)

NPC:ショコラの錬金術士・パルフェ(cn0133)

<リプレイ>

●迷宮探索
 彼らは白い遺跡に潜入した。
 ふわふわ柔らかなマシュマロ壁に、スクエアクッキーを敷き詰めたような床。
 しかも、聞く話によると待ち構える罠さえ甘いお菓子を彷彿とさせるものらしい。
「お菓子に守られてンだもの、お宝もきッとおかしなもの!」
 灼靴円舞曲・シャポリエ(c00974)は頬を緩めてマシュマロの通路を行く。
 最初の分岐で他班とはすでに別れ、A班は3人で迷宮探索を続けていた。
 甘いお菓子を見ればどれから食べようなんて迷いはするものだけれど、まさかこんな形で迷わされることになるなんてと踏み出した途端、滑らかなクーベルチュールチョコレートが艶々と流れてきて彼を呑み込んだ。
「――わッ」
「シャポリエ!?」
 茜牙・ヴィクトール(c18090)は蓮花揺れる深紅の明かりを片手に持ち替え、もう片手でチョコの波からはみ出した片足を捕まえる。
「なにこの楽園!」
 チョコに染まった男が歓声を上げたので無事を確かめる手間は省けた。これが苺ジャムなら自分も抗え切れなかったかも、と他人事ではない恐ろしさにヴィクトールはごくりと喉を鳴らす。
「『チョコ』、と」
 こんな罠に掛かると地図が台無しになりそうだとやや不安を抱きながら、ホーリーオーダー・アルトゥール(c01890)は作成中の迷宮図に罠の位置を書き記した。通路に残る甘い痕跡を確かめて、目印をつける必要はなさそうだなァとシャポリエが笑う。
 頷きかけたヴィクトールの足元でカチリと音がした。
 次の瞬間、傍にいた男たちを左右の壁がばふっと包んだ。見た目も音もかわいらしいが、衝撃は相当のものらしく挟まれたふたりは声もない。
「……『マカロン』」
 苺色の罠を前に、アルトゥールは新たな情報を地図に書き足す。

「もしラスボスに遭遇したら全員揃って挑みたいわね!」
 紅揚羽・シルヴィア(c12998)は薔薇色の刃を荒々しく横薙ぎに振るう。
 動きを鈍らせているくるみ割り人形ゴーレムへ向け、開いた紅蓮の門から流れ出る地獄の炎で攻撃しながらまいにちほのぼの・エリー(c06477)は首を傾げた。
「ボスがいるとしたら、どんなゴーレムかな?」
「きっと美味しそうなゴーレムだよ!」
 喜び夜駆け回る・サツキ(c31518)は背後から楽しげに答えると、忍犬の魂を解き放つ。
 広げた達筆の巻物から力を得た心霊は咥えた刃でゴーレムを強引に斬り伏せた。
 戦闘を終えたエリーは改めて聴覚に集中する。周囲から怪しい物音はしない。安堵混じりに探索を再開しようとしたら、足首の高さに、ピンと張られた糸のようなものを発見した。発見を手振りで知らせると、罠は掛かって踏み潰す方針のシルヴィアが頷く。
 思い切って踏みつけてみると、一拍の間を置いて、通路に氷の嵐が吹き荒れた。
「わー!?」
 魔法の氷雪に全身を覆われて人間カキ氷になれそうだ!
 悲鳴を上げて駆け出したエリーたちが通路を抜けると、今度は頭上からメロンシロップのような色の、確実に体力を削る毒性の液体が降り注いだ。
「珠のお肌が……」
 髪をまとめる真紅のリボンも白黒ぶち模様のメイド服も可哀想なことになっている。
 ため息をついたシルヴィアの横で、面白い遺跡だねとサツキが声を弾ませた。鮮やかな緑に染まった紙を取り出すと自作の地図に加筆する。

 どんな罠が待ち受けているのだろう。
 どんな宝が眠っているのだろう。
 お菓子の迷宮に期待に胸を膨らませながら、虹雫の飾人・コプリ(c30006)ができるだけ離れないよう注意を促した。
 頷いたショコラの錬金術士・パルフェ(cn0133)は手を繋ごうかと少し悩む。
 でも、地図を書く邪魔になりそうだからやめた。
 甘い誘惑が潜む通路を迅速に進みながら、宵の口・マルコ(c15900)は通路を確認する。
 不思議な遺跡は経年劣化の痕跡を欠片も見せないけれど、迅速に進みながらもまだ罠に掛かっていないという事実だけ見て取れば現状は安泰だ。耳も澄ましているものの、今のところ、特に怪しい物音は聞こえない。少なくとも壁の反対側に他班がいるということはなさそうだ。
 そのとき、マルコは靴裏に違和感を感じた。
 素早く反応した彼は足元と四方を確認し、頭上の異変を察知して身構える。次の瞬間、天井から降り注いだのはきらきら輝く熱々水飴の雨。
「危ねぇ!」
 毒芹の粮・ラグランジュ(c02051)はとっさに邪悪極まりない星霊建築の罠から、パルフェを抱いて守ろうとしたが、
「ごめんね!!」
 覆い被されただけでは逃れられない気がして彼女は素早く跳び退った。
 せっかくの心遣いを無下にしたとパルフェは重ねて謝罪したが、どろどろになったラグランジュは悪戯に片目をつぶる。
「菓子も滴るいい男、だろう?」
 渋い彼も今日は特に甘い。
「……罠に怯んでいる暇はありませんよね」
 身を溶かすような攻撃に耐えたマルコも、気を取り直すと先頭に立って探索を再開する。
 罠の範囲に至らずに済んだコプリは、罠の地点を丁寧に自作の地図へ書き記しながら、探索を終えたとき、この地図こそが自分にとって最高の宝になるような予感がするのだった。

●お菓子な罠
 小気味良い発射音で撃ち出されたキャンディステッキたちがシャポリエを壁に縫い留めた。
 普通に刺し貫かれてすごく痛いが、気を失うより早く通路には静寂が戻る。どうやら弾は撃ち尽くしたらしい。安堵の息を吐き出した彼の耳にカチャカチャと不穏な物音が届いた。
 何かが接近している。
 この遺跡の特性を考えれば正体の予測は容易い。
 接近の可能性を事前に警戒していたアルトゥールは、曲がり角からくるみ割り人形が姿を見せた瞬間、美しい金髪をなびかせて距離を詰めた。すかさず籠手に仕込んだ圧縮挟でゴーレムを捕らえると、間を置かず、褪せた砂色の外套をひるがえしてヴィクトールが焔の竪琴を奏でる。すると彼の血より生まれ出でた猟犬の群れが人形に向けて殺到した。
 やがてキャンディの罠から抜け出したシャポリエが遅れ馳せながら接敵し、魔獣の尾を振るえばゴーレムはついに壊れて通路に転がる。ふうと息をついた途端、
「きゃー!?」
 悲鳴を上げたB班の3人が前の通路を横切って行った。そして、狐色の巨大バウムクーヘンが凄まじい勢いで転がりながら、そんな3人を追い駆ける。
 向こうも向こうで大変そうだが、頻発する罠の様子を見るに、お互い本命の道を辿れているのかもしれない。
 これまでの傾向から、アルトゥールが大まかな罠の集中する方角を割り出すと、B班の探索方面を補う形で分岐路を潰していこうかとシャポリエが頷く。
 耳を澄ませても、もう彼女らの悲鳴は聞こえない。
 たとえ万一のことがあったとしても、こうも広大な遺跡だと、笛程度の合図では捉えきれないと思わざるを得なかった。
 慎重に光でマシュマロ壁を照らしていたヴィクトールが、何かに気づいた。よくよく見れば、檸檬色がほんの微かに濃いような。
 確かめようと触れた瞬間、彼の身体は壁に吸い込まれた。
「……ヴィクトール!?」
 あわてた2人も壁の中に飛び込むが、ヴィクトールの身体はすでにフレッシュクリームの海に囚われている。たっぷりの白から赤茶の頭だけが出ている様は、生クリームで飾られた苺ショートを彷彿とするような、しないような。
 もちろん白い海に沈んでいる間は着々とダメージを受けている。急ぎ救出された彼は、白のふわふわで全身を染めながら、複雑そうな眼差しでケーキを振り返った。もう立派な大人だから摘み食いはしないけれど、つい引き寄せられそうになる罠のなんと多いことか。

 一方、B班は恐怖のバウムクーヘンから逃れた後、続けざまに転がるドーナツに襲われた。
 必死に逃げ続けたり、時に轢かれたりを繰り返していたもので、どこをどう走ってきたのか、書いていた地図を覗き込んでもさっぱりわからない。悩み顔のサツキを見て、それぞれ罠を起動させたエリーとシルヴィアは思わず眉尻を下げた。
 とにかく、すでに罠と遭遇した通路を見つければ現在置も読めるはず。
 逆に、なかなか印に巡り合えないとすれば未踏の地を進んでいることは間違いないわけで、それはそれで目的に沿っている。
 気を取り直して歩み出したとき、今度はサツキが怪しいスイッチを踏んでしまった。
「わー!?」
 天井から降り注ぐのはパパーンと派手な音を立てて爆発する、白いふわふわ。
 ポップコーンのような見た目は愛らしいが攻撃の威力は侮れない。
「えっ?」
 火花散る通路から脱出しようと駆け出した3人の前に、黄金の床が広がっていた。
「こ、この甘い香りは……!?」
 シルヴィアは最初、グミか何かだろうと思っていたのだが、黄金を踏んだ瞬間に身体が深く沈み込んで体勢を崩した。
 なんと膝丈まである蜂蜜トリモチが全力で3人の動きを阻んでくる。
「あわわっ」
 強引に足を前に出したら倒れ込んでしまいそう。ポップコーン爆弾はこの通路までは及ばないらしく、それだけは唯一の救いだが、
「!!?」
 直後、エリーの視界が闇に包まれた。ちょうど頭の高さを狙って、無数のクリームパイが左右の壁から射出される。凄まじい精神汚染に自身が消耗していくのを感じながら、やがて3人は命辛々蜂蜜の罠を抜け出した。
 しばらくして。
「これは……蜜路?」
 C班のコプリたちが同じ場所に辿り着いた。
 クリームパイが蜂蜜のあちこちに浮いている姿に初めは警戒もしたが、どうやら誰か他班がここを通過したらしいと判断できた。
 このような状況も事前に予測していたマルコが提案する。
「では、罠の発動量を確認してより多いほうへ向かいましょう」
「はい」
 頷いたコプリが地図を広げ、これまでの情報を整理する。少し時間が必要だから今のうちに休憩でも、とフルーツジャムを閉じ込めたビスコッティを取り出した。ふわりと花のように微笑んだ彼は、どうぞお召し上がりくださいと皆に差し出す。果物好きのマルコはありがたく受け取り、ラグランジュも茶の支度を始めると堅焼きクッキーを振る舞う。パルフェは差し入れられた金平糖を食べて、にこにこしている。
「……しかし……」
 発動済みの蜂蜜罠を眺めてラグランジュは首を横に振る。
 我慢だ。菓子の星霊などいない!
 実は先程から好奇心旺盛なマルコも黄金の輝きに惹かれてならないのだが、大丈夫です、と誰にともなく呟いた。こんなものに引っかかるわけにはいかない。

●宝の眠る場所
 綺麗な金平糖が頭上から降り注ぐ。
 問題は大きさと速度だろうか。目の前に星が散るような衝撃に耐え切ったA班は、なんとか再びの探索を再開した。すると、何やら甘い香りが漂ってくるではないか。
 アルトゥールが盾を構えて警戒しながら開いた扉の先には、壁にも床にも天井にも、くるくると緩やかに巨大ロールケーキが回転している。まるで揺り籠の中に落ちたような気分だ。
「これは、魅惑的過ぎる……!」
 超甘党のヴィクトールは激しく動揺した。
 しかも、ただのロールケーキではない。中央に大きな苺、さらに苺色のクリームをくるんと巻いた苺ロールだ。これは抗えそうもない。
「ティータイムがもう一度訪れるまで迷いてェ」
 いかにも幸福そうにシャポリエは感嘆の息を洩らす。
 もちろんただのかわいい部屋、というわけはなく確実に精神汚染が始まっている。
 長く留まれば命も危ない危険な空間だ。男性2人の様子を眺めた紅一点は、この部屋のKO効果は魅了に違いないと確信しながら彼らを引きずって反対側の扉を開けた。

 あまり罠に掛からず進んでいたC班の状況は、罠を目指して方向転換した途端に一変する。
 怪しげなスイッチをすかさず押したコプリがプリンに包まれてぷるぷるしたり、そこだけ柔らかな床に飛び込んだラグランジュが抜け出せなくなったり、罠を解除するため、マルコがゼリーのプールを泳いで渡ったり。
 それでも分断されずに済んでいるのは僥倖か。
 マシュマロ壁の隠し通路も発見し、迷宮を奥へ奥へ進んでいく。
 くるみ割り人形ゴーレムには出会い頭から怯むことなく、金の瞳を細めながら豹のように馳せたマルコはドリルと化した騎士槍を携え、敵と女性の間に割り込んだ。
 容赦のない乱れ突きに続き、星霊ノソリンに騎乗したラグランジュが赤紫の光を宿す大鎌を振りかぶり、星霊に突撃を指示する。
 さらにパルフェが解き放つ白銀の鎖により、人形の動きが阻まれたと見るや否や、コプリが生み出した黄金蝶が輝ける竜巻となり敵を呑み込んだ。
 無事にゴーレムを撃破した後、C班は何やらおかしなものに遭遇する。
 白い部屋にて、白い壁と白い天井に挟まれた色とりどりなものたちはフルーツサンドのようにも見えるが、見間違えたのはあくまで一瞬。ぐったりしているのはB班の面々である。
 なんとか意識があるエリーとシルヴィアの語るところによると、先程3人揃って落ちた穴の先には、しゅわしゅわと人を溶かすクリームソーダが待ち受けており、身も心もぼろぼろになりながら脱出した次の部屋で天井がズガーンと音を立てて落ちてきた、ということらしい。
 意識もなく壁に封印されてしまったサツキは、コプリがティアキッスで解放する。
 すぐに動ける状態ではないため、合流して動こうかと判断したところ、通路の反対側から歩いてくるA班の姿も見えた。3班がこうして自然と集まってきたのは、罠が集中する方向――宝のありかが近づいているからに他ならない。白い部屋を丹念に調べたところ、ラグランジュのかざす明かりの下にスイッチが見つかった。
 そして、一行の前に最後の隠し扉が現れる。
 扉の向こうには、探し求めていた遺跡の宝が来訪者を静かに待ち続けていた。

「お菓子はもう懲り懲り?」
「まったく、酷い目に遭った……」
 シャポリエが笑んで尋ねれば、ヴィクトールは何故かちょっと幸せそうに答える。
 誰より罠を発見し、結果、誰より罠の被害も受けたエリーが宝を手にした。そして、街の酒場で遺跡探索の計画を練っていたミランダたちのもとに出向き、
「あの遺跡の探索は終わったから、他を当たったほうがいいよ〜」
「お宝もいただいたわよ?」
 ボロボロの彼女とシルヴィアが告げると、トレジャーハンター魂に溢れるミランダはとても悔しがったのだが、あまりにボロボロな様子を見て、どんな恐ろしい遺跡だったのだろう、とちょっと心配そうな顔もした。
 かなりの元気を取り戻したサツキはお疲れ様とみんなの苦労をいたわり、おなか空いちゃった、とパルフェに笑いかける。
「ねぇ、オヤツ食べに行かない?」
「うん!」
 即答する彼女にアルトゥールも頷いた。
「罠と再戦と行きましょうか」
 たくさんのお菓子の罠を見てきたのだから、次は食べて楽しむ番。
 おなかを空かせていた者、甘いものが好きな者、気が向いた者など、彼らはスイーツが評判の喫茶店などの情報を語り合いながら、和やかに酒場を後にするのだった。



マスター:愛染りんご 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2012/07/25
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