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緑色のぬめぬめしたやつ

<オープニング>

●とあるトレジャーハンターの末路
「いってぇ! なんで、こんなぬめぬめしてんだ!」
 地面に尻餅をついた男が忌々しげに声を荒げる。
「まぁ、そういう遺跡なんだろう」
 尻餅をついた男に手を貸して立たせてやりながら、もう一人の男が小さく笑う。
 そう言う所だからと言ってしまえばそれまでだが、転ぶなどと言う無様を晒した側としては、それでは納得できない気持ちなのだ。
「それにしても不思議な遺跡だよな」
 手を貸していた男は立ち上がった男が、まだ何やらぶつぶつと文句を言っているのを聞き流すと周囲へ視線を向ける。
 彼らが居る遺跡は、整備された城の中のように床や壁に石が敷き詰められている。
 その隙間からは青白い仄かな光が放たれ、更に、遺跡の中は程よく暖かくとても快適な環境で……油断すると睡魔に襲われてしまいそうだ。
 もっとも、その床あ壁の隙間からは、彼の相棒が転びまくっている原因でもあるぬるぬるとした水が流れ出ており、若干湿度も高かったりするのだが。
「まぁ、こうしていても仕方が無い先へ行こうぜ、あいぼ――」
 まさに不思議な遺跡……としか言いようが無いなと、男は相棒へと振り返り、
「あいぼおおおおおおおおお!?」
 絶叫した。
 そこに居たはずの相棒の姿は無く、代わりに人より一回りは大きいカエルの姿があったからだ。そしてその口の端からは、相棒のものっぽい足がジタバタしていた。
「なんてこった相棒! お前の死は無駄にしないぜ……」
 誰がどう見ても「私、今食べられてますよー?」な姿の相棒を背に、相棒の死を胸に男は駆け出そうとするも、床はぬるぬるしている訳で、
「にぎゃっ! ……ぎゃー!?」
 案の定ぬるぬるに足を滑らせた男は、潰れたカエルのような悲鳴を上げて……相棒とともにカエルの腹の中に納まったのだった。

●緑色のぬめぬめしたやつ
「カエルって……可愛い……よね?」
 ハンマーの城塞騎士・グントラム(cn0009)は遠くを見ながら、ため息混じりに誰にとも無く問いかける。
 カエルは可愛いといえば可愛いような気もする……苦手な人は苦手なのだろうが……、
「アクエリオの地下にある例のアレな遺跡で、トレジャーハンターが犠牲になるエンディングが見えたのだ!」
 で? それが? と言った視線を投げかけてくるエンドブレイカーを前に、グントラムは説明を始める。
 つまり、その遺跡とカエルが何か関係あるのだろう。恐らくは、遺跡の中にカエルが住んでるとかそんな感じで。
「うむ、察しがいいな。この遺跡には大量の巨大カエルが住み着いていてな、非常に危険なのだ」
 カエルというとあまり危険度は高くないような気もするが、それでも巨大なら脅威になるのだろう。
 そして、トレジャーハンターに危険だから止めるように言った所で聞く耳を持って貰えないのも先刻承知済みだ……ならば、先んじてお宝を手に入れ、トレジャーハントの意味をなくしてしまうしかない。
 グントラムは、大体の事を理解した様子のエンドブレイカーに大きく頷き、先を続ける。
「目的のお宝は、一際大きなカエル……カエルダディの腹の中にあるようだ。たこ殴りにして吐き出させるなり、口中に飛び込んで取ってくる必要があるだろう!」
 もちろん倒してから腹を捌く選択も可である。
「カエルダディは遺跡の一番奥に居る。遺跡の奥へは暖かい空気の流れてくる元を探せば辿り着けるだろう」
 つまりダディは一番暖かいところに居ると言うことだ。
「ダディの元へ向かう道中には、人よりも大きなカエルを蹴散らす必要があるだろうが、このカエルたちは強くない上に、ある程度叩きのめせば勝手に逃げて行くからそれほど脅威ではないだろう。ちなみに、ダディを含むカエルたちは舌を伸ばして鞭のような技を使ってくる」
 油断しなければ遅れをとることは、まず無いとグントラムは断言し、
「古代の遺跡、隠された宝。可愛いカエルの巣窟、そして何より悲劇のエンディングを回避するために、是非力を貸して欲しい!」
 そして力強く拳を握り締めると、ともに冒険に出てくれる仲間を募ったのだった。


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参加者
竜の掌握・フリオ(c01043)
真理の探究者・ルーシー(c03833)
吹き飛ばせ僕らの・ヴァンド(c04783)
縄の巫女・ユエ(c23486)
鰐娘・ジョディ(c23880)
兄想い・エリナ(c26549)
オーディナリィ・ラナテス(c26730)

NPC:ハンマーの城塞騎士・グントラム(cn0009)

<リプレイ>

●足元注意
 生暖かい空気が流れてくる。
 季節感を無視したその空気は体に纏わりつくような湿り気も帯びており、この場所に居るだけで不快度数が一気に上がって行くようだ。
 だが、その空気もこの場所に生息している敵……つまりはカエルたちにとってはすこぶる住みやすい環境と言えるだろう。
「今回は何とも緊張感に欠ける敵ですね」
 この奥に行くと言うカエル、そしてそれのボスのような存在であるカエルダディを思い浮かべ、真理の探究者・ルーシー(c03833)は下唇に人差し指をあてる。
「だが油断は禁物だ」
 そんなルーシーの言葉に、竜の掌握・フリオ(c01043)が年長者らしく注意を促す。緊張感が無いと言えば無いが、奴らとて生存競争を勝ち抜いてきた種族なのだ、侮ってはいけない。油断していると何に足元をすくわれるか解らないのだ。
「そうね、油断しちゃ駄目よね」
「気を引き締めていきましょう」
 フリオのオーディナリィ・ラナテス(c26730)がほんわかと笑い、縄の巫女・ユエ(c23486)が自身に言い聞かせるように大きく頷く。
「それと、皆、足元に気をつけようぜ。うっかり油断してると転んじまうぞ」
 自分の言葉を肯定されて嬉しくないものは少ない、特にそれが美しい女性であるのならば、男としては可也のものである。フリオも御多分に漏れず少しばかり気分を良くし、ニヒルに笑いながら人差し指を立てて警告する。
 そして、ラナテスとユエの方を見ながら、一歩踏み出して……、
『ゴン!』
 案外早く足元をすくわれた。つまりは、床のぬめぬめに足を滑らせ盛大に転んだのだ。
「流石フリオさんです。身を挺して危険さを知らしめるなんて」
 呻き声を上げながら後頭部を抑えているフリオに対し、兄想い・エリナ(c26549)は感心したように掌を叩く。
 何が危険なのかなど、百の言葉を連ねるより一つの事実を見せれば簡単に解らせることが出来るのだ。フリオはそれを身をもって教えたのだと、エリナはフリオの退路を断ってゆく。
「本当ですか!? 今のはわざとだったんですね!」
 若干白々しいエリナの言葉を真に受け、吹き飛ばせ僕らの・ヴァンド(c04783)は感心した様子だ。エリナと違い、ヴァンドに他意は無い……が、純真さは時に人の心を深く抉るものである。
「え? 今のは普通に転んだだけですよね?」
 それは、鰐娘・ジョディ(c23880)にも言える事で、その可能性を口にしたら、もう言い逃れは出来なくなってしまうのだ。
 わざとなのか……そうではないのか……どちらなのかと何故か期待と不安の混じった視線を向けてくるヴァンドとジョディの前でフリオは立ち上がり、
「……ふっ、それは、お前たちが判断することだ」
 ちょっと恥ずかしそうに、それでいてダンディズム溢れる表情で、そう口にした。
「「えー」」
 どちらの可能性も示唆しつつ、具体的な結論は出さない。誰も傷つかない大人の回答を出したフリオに対し、ヴァンドとジョディは若干不満そうだったが、ハンマーの城塞騎士・グントラム(cn0009)は親指を立てていたものである。

●ぬめぬめ
「ひゃうっ」
 可愛らしい声を出して転んだルーシーが、そのまま床に座り込んでいる。
 どれだけ気を付けていても滑る足元で、転ばずに進むのは難しいようだ。ルーシーだけで無く、エリナも転んでは立ち上がり、転んでは立ち上がりと言った様子でガッシャンガッシャン音を立てている。
 何かそういう装置だと言われても違和感のない位にガシャガシャしているエリナから、再びルーシーへ視線を戻せばルーシーは座ったまま何かもじもじしていた。
「? 大丈夫〜?」
 そんなルーシーへ、ラナテスが手を差し出し立たせようとしてやるが……手を差し出した拍子に前のめりに転んだ。
「……ふえ〜ん」
 結果的にルーシーを押し倒す形で圧し掛かってしまったラナテスは慌てて立ち上がろうとして、ルーシーを巻き込んで更に尻餅をつく。
 ぬめぬめな液体とルーシーとラナテスの紫と桃色の美しい髪が混じり合い、何とも混沌とした様相を挺してきたが……何かお尻の辺りがぬめぬ……ここでラナテスはあることに気付いた。
 そして、ルーシーへと視線を向ければ、ルーシーはそこはかとなく頬を染めて視線を逸らし、それを見たラナテスも気恥ずかしくなってもじもじと俯く。
「ぬしら、気を付けよ……おっと!」
 二人向かい合ってもじもじしているルーシーとラナテスから色々な事を察した鎧が、手を差し伸べて二人を立たせようとするも、やはり前のめりに滑った。
 これは不可抗力。このまま二人に圧し掛かる形になったとしても、それは幸運助平と言うものであり、鎧に一切の非は無い……のだ! いぃやっほおおい! と、次に来るであろう、恐らくは甘美で柔らかな感触に期待を膨らませる鎧であるが……想像以上に固い腕によって鎧は抱き止められた。
 サポートで来ていた、棍の天誓騎士・カイラス(c23006)と、碧之神奈備・カナト(c02601)が鎧が転んではいけないと待ち構えていたのだ。見事に鎧をキャッチした二人は、「無理しないで下さいね」とか「二番煎じは命取りですぞ」とか言って去って行った。
「お二人とも、気を付けてください」
 去って行く二人を茫然と見送る鎧を余所に、ヴァンドが片膝を付いてルーシーとラナテスに手を貸したのだった。

「ひょっとしてグントラムさんもカエル好きなんですか? 私も大好きですよ……ウフフフ」
 眩しい笑顔で語るジョディの頭の上には、ウシガエルほどの大きさの緑色のカエルが乗っていた。その笑顔に鎧と、その横に居たエリナが頷く。
「わたくしも小さいカエルさんは、とても好きですよ? かわいいですしね」
「ですよね! つぶらな瞳や、このぬるぬるした表面とか、ぷにぷに感が……」
 そして更に続けたエリナの言葉に、ジョディは同志を得たとばかりに瞳を輝かせながらカエルの良さについて語り……、
「ただ、問題はサイズなのです。大きいと少し……断罪したくなってしまいますわ」
『ゲ……ゲコ……』
 ぐももももと鎧の奥から明らかな殺意を滲ませるエリナの視線に刺され、ジョディの頭の上のカエルがダラダラとぬめった液体を出し始めた。今すぐこの場所から逃げなくては! でも動いたらやられる! そんなカエルのジレンマが、謎のぬめぬめとなって流出したのだろう。
「カエル愛好家にとっては楽園だな 」
 頭の上から染み込んでくるぬめりに「こういうところも可愛い!」と、狂喜しているジョディを見ながらフリオは呟いた。
 フリオは先ほど転んだ拍子に体に纏わりついたぬめぬめが未だに取れず若干気持ち悪いのだが、カエル愛好家からしたらそれすらも喜びなのだろう。
 いや、ぬめぬめが喜びって……たしかに色々喜びかもしれないけれど……と、一瞬思考が別の方向へ逸れそうになった所で視線の先に、緑色の大きな物体が見えた。
 フリオは大きく息を吸い、口元を小さく歪めて大人の男の格好よさを演出しながら宣言する。
「やっと、ぬめぬめのお出ましだ」
「カエルですよ?」
 若干それまで考えていた事が混じってしまい、ついでにユエに即突っ込まれていたけれど、
「さぁ、俺たちの力を見せつけてやるぜ!」
 聞こえないふりをして、格好良く構えたのだった

●巨大カエル
「さぁ、やってやりましょう!」
「やーもー、ケロケロ!!」
 人を丸のみに出来そうな程に巨大な、三体のカエルを前にヴァンドがやる気を見せる横で、ジョディは両手を頬に当て、体をくねらせる。
 ジョディの体からはハートのエフェクトが見えんばかりだが、流石にこの大きさになるとあまり可愛げが無い。普段見慣れているものとの差による違和感か、それとも相手が自分たちを捕食対象として見ているのが解るからかは不明だが。
 ともかくカエルたちには道を譲る気は無いようだ……ならばと、フリオは一足でカエルの懐へ踏み込むと、竜を帯びた正拳突きを叩き込む。
「破ぁッ!」
 拳の威力に仰け反ったカエルの腹へ肘を捻じ込むフリオの横から、縄を先細りに組んだ形態の槍で無数の残像を伴う連続突きを放ちながらユエが突撃する。
 連続して放たれるユエの突きは、腹を見せたカエルだけでなくその横に居たカエルの顔にも当り、突きが当たるたびにカエルたちはゲコゲコと小さく鳴いて、
「眠っててね〜」
 ラナテスが奇術師ゼペットの紋章から鳩の群れを呼び出すと、鳩の群れに啄ばまれたカエルはその場にぐったりと倒れ込んだ。
「さぁ、次は貴方ですよ!」
 倒れたカエルの横に居たカエルの真上は飛び上がったヴァンドは、そのままカッパード・ランパート【サンテンダキアワセ】の上に乗ってカエルの脳天を押しつぶす。
『グゲゴ』
 文字通りヒキガエルのような声を上げたカエルを中心に、エリナは封神満月結界を作り出し、絡みつく月の光の中へカエルを封じた。
 速攻で戦闘不能に陥った二体のカエルを目の当たりにしてなお、最後のカエルは果敢にも攻めてくる。
 果敢にと言っても、そもそも仲間意識だとか目の前の敵の力量だとかをカエルが理解するかは謎だが……とにかく舌を鞭のようにしならせルーシーの体に巻きつかせた。
「ちょ、あん……だめ……」
 先ほど転んだ拍子に浴びたぬるぬると、カエルの舌のぬめりけが混じり合い粘度を増して纏わりつき、更に締め上げるカエルの舌がルーシーの体の線をはっきりと浮き上がらせる。その舌の圧力にルーシーは少し鼻にかかった苦しそうな声を上げる。
「だめだって……ば!」
 もがけばもがくほどぬるぬると服と言わず肌までも絡みついてくるカエルの舌から何とか手を抜いたルーシーは、装丁も中身も漆黒の大きな本を開いて、太陽の如き光を発生させる。
 発生した光は確かな熱線となってカエルの表面を焼き払い、その威力でカエルは舌を引っ込ませた。
「はい、これで御終い」
 そして、頬を赤らめて荒い息を吐くルーシーの横から、ジョディがトラバサミと捕獲網を無数にばら撒いて……カエルの体を捕縛したのだった。

「暖かいからカエルちゃんも元気いっぱいなのかな〜?」
 動かなくなったカエルたちを突いてラナテスが首を傾げる。大人しく冬眠していれば痛い目を見ずに済んだものを……とも思うのだが、先に居たカエルの住処に踏み込んだ自分たちの方に非があるような気がしないでもない。
 ラナテスは暫しの間、そんな事を考えてみるが、どっちでも良いかぁと結論付け、今度は動かなくなったカエルに頬ずりしている鎧へ視線を向けた。
「で、グントラムさんはカエルちゃんの感触どうですか〜?」
 鎧は無言で親指を立てた……どうやら良い感じらしい。
「勢い余って殺してしまわず、良かったです」
 っていうか戦わないんだ、この人……と考えていたラナテスの後ろからエリナがほっとした胸を撫で下ろす仕草で不殺に出来て良かったと言う。
 仕草の割に声色が残念そうなのが気になるが、突っ込むと怖い回答が返ってきそうなので踏み込まない方が良いだろう。
「あ、で、ぬめぬめって……」
「先を、急ぐぜ!」
 そして唐突に先ほどの会話を思い出したらしいユエの言葉を遮る様に、フリオはダンジョンの奥へ拳を向けると、先を急ぐように歩き出したのだった。

●カエルダディ
「わぁ、おっきぃ♪」
 ダンジョンを進んできた一行の前に現れた、人の二倍はありそうなカエルを目にしたジョディが恍惚とした表情を浮かべる。
 この大きさ、間違いなくカエルダディだろう。
「このカエルから、お宝を奪えばトレジャーハンターの皆さんを助けられるんですね!」
 そしてヴァンドの言うように、このカエルからお宝を奪えばお宝を探す必要が無くなり、トレジャーハンターが不幸を迎えるエンディングも回避できると言う寸法なのだ。
「そうですね……ですが、どうしましょうか」
 ヴァンドの言葉に……ユエは唸って考え込む。確かにこのカエルから宝を奪えばいいのだが、目的の宝はカエルダディの腹の中に在るらしいのだ。
 倒して腹を裂けば簡単にとれるだろう。だが、ユエたちはカエルを殺したくは無い、殺したら食べないともったいないし、でもこの大きさのカエルを食べる気にはならないのだ。
 食べる……食べる? と、ここでユエは自分の考えが一つの結論へ向かうのを認識した。そうだ、要はお宝へ手が届けばいいのだから、あえて食べられてしまえば良いのだ!
 ユエはカエルダディの目の前へ進み出ると、カエルダディを優しく受け入れるように両手を広げる。その姿たるや、昔話に出てくる生贄の少女のような献身的な姿だ。
『ゲコッ』
 だが、カエルダディにそんな感傷は無い。目の前の餌をペロっと飲みこむようにユエを口に含むと、そのまま飲みこんだ。
「ユ……ユエさん!?」
 その様子に驚いたヴァンドは盾を構えてカエルダディの腹へ突進すると、盾で腹を殴りつけ、
「おら、さっさとゲロしちまいなさいませ」
 エリナが断罪の女神の紋章を浮かべた拳でナックルを腹へ三連続で叩き込む。
「あ〜、その手があったのね〜」
 オラ! 吐きだせやオラ! と、カエルダディをボコボコにする一行の後ろで、ラナテスはにっこりとほほ笑む。あえてカエルに飲み込まれたユエの作戦に感心したようだ。
『ゲコ……ゲ……ゲコ……』
「でも、ユエさんが入ってる、お腹をあんなに殴って大丈夫なのかな?」
 絵面としては集団でカエルをボコボコにしているだけの一行を余所に、ジョディはもっともな疑問を口にするが、
「何、問題あるまい」
 鎧は問題ないと鷹揚に頷いて見せる。エンドブレイカーたるもの、多少ぼこぼこにされたところでどうと言う事は無いのだ。
『……ゲ……ゲオヴァ!』
 そうこうしている間に、ボコボコにされて涙目になったカエルダディがついに口の中からユエを吐きだして――、
「とってきました」
 全身どろどろの液体塗れになりながらも、ユエは手にしたゴーグルを高々と持ち上げたのだった。

「宝はもう無いぜ。この遺跡は既に、巨大なカエル達の巣窟でしかねえぞ」
 ダンジョンから出た一行は、正面から来たトレジャーハンターたちへ向き合うと、この先に宝の無い事を教えてやる。
「お、おう。そうなのか……なんか大変そうだな」
 フリオの言葉を一瞬疑ったトレジャーハンターたちだが、ユエが戦利品を見せつけてやると納得したようだ。そして何故か労うような目で見られた。
「うう……何か気持ち悪ぅいい」
 大半がぬめぬめ塗れで、ラナテスとルーシーに至っては内股で何やらもじもじしているのだから、トレジャーハンターたちにもダンジョンの大変さが伝わったのだろう。
 しかも、ダンジョンの中と違って外は寒いのだ。冷たくなったぬめぬめなアレがアレしてアアなって大変な事になっているのである。
「早く帰って、体を洗いましょう!」
 無事に冒険が終わって満足そうなヴァンドの提案に、一行は頷いて――帰路へと着いたのだった。



マスター:yawa 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:7人
作成日:2012/12/22
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