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【迷い込む獣は仮面を求めるのか?】後編

これまでの話

<オープニング>

「……来たかぁ」
 扉の前に立つ複数の気配の、狡猾な笑みを浮かべるマスカレイド。獣とは違う気配は懐かしい気配だった。懐かしさと共に沸き起こるどす黒い感情。
 マスカレイドは扉が開くのをゆっくりと待っていた……。

 エンドブレイカー達は、扉の中の光景に息を呑む。部屋は凄まじい量の鎖でマスカレイドを束縛していた。その鎖はゆっくりと消えていく。どうやら、この鎖は封印の一部のようで、この鎖でマスカレイドを封印しているのだろう。だが、この封印はエンドブレイカー達にとっても邪魔であった。この鎖のために、マスカレイドに攻撃する事が出来ない。
「久しぶりの人間だなぁ、少し話しでもしねぇか? 長い間退屈してたんだよぉ」
 独特のアクセントのある声は、それだけ異種の雰囲気を作り出す……だが、それは思いのほか不快には感じないのだった。

 マスカレイドから『話をしよう』などと言うとは思っても居なかったエンドブレイカー達。だが、すぐに戦いの布陣を組む。半日同行したアサルトバグ達にも指示を出すと、アサルトバグ達は迅速に指示に従い、油断せずにマスカレイドの行動を監視するのだった。
 そんな張り詰めた空気が流れる……が、状況を確認するとマスカレイドはしばらくは行動出来ないし、逆にエンドブレイカー達も攻撃出来ない状況を把握する。
 エンドブレイカー達は、お互いに目で合図を送り、今後の作戦を練るのだった。


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 【!重要!】
 このシナリオの参加費用は「★1.5」となります。
 前編に参加したキャラクター以外の人が、このシナリオに参加する事は出来ません。

 前編のリプレイと後編のオープニングを良く読み、後編のプレイングを行いましょう。

 シリーズシナリオの運営後、このシナリオは『更にボリュームアップした小説』化されて、株式会社パピレスが主催する『エンドブレイカー!リプレイコンテスト』にノミネートされる予定です。
 このシナリオを元にした小説がコンテストで入選した場合、参加したお客様には、参加費用の一部キャッシュバックが行われます(トミーウォーカーより、該当シナリオの参加者に★を付与いたします)。

 このシリーズの運営スケジュールは、以下を予定しています。
 http://t-walker.jp/eb/html/notice/2012_upppi_scenacon.htm
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マスターからのコメントを見る
参加者
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
なまくらジェーン・マリアベル(c22282)
霧氷の城塞騎士・エミリオ(c31551)
猫好きな地進星・アイル(c32747)

<リプレイ>

 エンドブレイカー達は、扉の中の光景に息を呑む。部屋は凄まじい量の鎖でマスカレイドを束縛していた。その鎖はゆっくりと消えていく。どうやら、この鎖は封印の一部のようだ。だが、この封印はエンドブレイカー達にとっても邪魔であり、マスカレイドに攻撃する事が出来ない。
「久しぶりの人間だなぁ、少し話しでもしねぇか? 長い間退屈してたんだよぉ」
 その言葉を聴きながら、阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)は霧氷の城塞騎士・エミリオ(c31551)に目配せをする。すぐにエミリオは扉に非戦闘アビリティのゲートエンブレムを使用する。
 そして、ルーンが慎重にマスカレイドに言葉を返す。
「封印の力を秘めた呪縛の鎖を求めて遺跡を突破して着いてみれば、お前は何者だ?」
 ルーンは鎖に封じられたマスカレイドに、そう問いかける。まずは、自分の正体を隠して様子を見る作戦だ。
「……まずは名乗るかぁ。俺の名はハーメノ・レン。まぁ、ハーメノと呼べゃ」
 独特のイントネーション。普通であれば、嫌悪感を抱きそうだが、それが何故か不快に感じない。
 その不快に感じない不自然さにルーンは他の仲間に声に警戒するように目配せをする。猫好きな地進星・アイル(c32747)はその目配せに反応して、リュウジ達、アサルトバグ達にも警戒させる。
「ハーメノですか、なら私も名乗りましょうか。私はルーン・ワイズマン」
「了解だぁ、ルーン。それで、俺がぁ何者かぇ……か」
 ここで一呼吸、ハーメノが間を置く。仮面の動きを注目していたなまくらジェーン・マリアベル(c22282)は気が付いた。この目の動きは何かを企む目。
「俺はぁ、罪人だったのさぁ。俺の声と歌は人を引きつけるぅ。それも病的になぁ。だから、俺はこのぅ音が消える牢獄に封印されたのさぁ」
 明らかに嘘が混じっている言葉だ。だが、すべてが嘘であるとは思えない……『声と歌は人を引きつける』という言葉には、自分の能力への自信が感じられる。
「封印の力を持つ鎖を外せば俺は自由になる。だが、俺は罪人だ。そんな俺を解放していいのか?」
 ルーンの目を見つめながら、ハーメノは相手を挑発するような言葉を吐く。
「長年禁固刑を受けていることですし、私はあなたの罪を許します」
 そう、はっきりとルーンは宣言するのだった。だが、ハーメノはそんな言葉に不信感を抱いている様子で、態度を決めかねているようにも見えた。
「随分と変わったアクセントだけど、マギラントの出身なの?」
 会話が一段落したところで、マリアベルが質問をする。そして、その仮面を注意深く観察する。
「……マギラント? 何だそりゃ?」
 ハーメノはマギラントを知らない様子だ。その表情は嘘を言っているように見えない。しかし、狡猾なマスカレイドだ。何の目的があって、本当の事を言っているのだろうか。
 その考えに至ったとき、マリアベルはハーメノと視線が合う……そして、その目が笑ったように感じた。
(「本当の事を言う事で私の混乱を誘ったのかな?」)
 そして、その視線の意味を理解すると……再度、仮面の目が笑う。マリアベルは軽い感傷を感じる。もしかしたら、このマスカレイドは人間を憎む理由があったのかもしれない、どんな敵であっても相手を想う、マリアベルの行動だったが、その行動を逆手に取っての歪んだ行動に、切り捨てる覚悟を決めるのだった。
 そんなマリアベルの感情の動きに気が付いたのか、キラリがマリアベルとマスカレイドとの間に割ってはいる。そして、マスカレイドを睨み付ける。
 別に想いを口に出した訳でもない、相手に悟られぬために、表情も変えてない。でも、キラリは、何か悪意を感じた様子でマリアベルを守るように動くのだった。
「ありがとう、キラリ」
 そんなキラリの態度を察したのか、マリアベルはキラリに言葉をかける。すると、キラリはマリアベルの隣へ移動し、鎌を構えるのだった。

 少し話しをしただけだが、分かる事は色々あった。ハーメノは人間に対して悪意を持っているような雰囲気は無い……悪意というべきモノですらなく、はっきりとした区別だった。ハーメノにとっては、人間は何処にでも転がっている小石なのだ。拾って道具として使う場合もある。蹴って遊ぶ場合もある。蹴って壊れても次を探す……そして、今回は蹴った石が自分にあたり怪我をしただけなのだ。だから、小石に怒りや憎しみは抱かない。ただ、次に蹴るときは自分に当たらないようにするだけなのだ。
「あなたは……犬派と猫派、どっちかしら?」
 アイルの油断を誘う質問にマスカレイドが面白そうな顔をする。小石が変わった方向に跳ねた……そんな顔だ。
「初めて会った人には、いつもしている質問なの」
「そうかぁ、俺は犬だなぁ。犬はいいぜぇ」
 犬の何がいいのか言わないのが気になる。
「そう、私は猫派よ。猫って凄く可愛いのよ? 具体的には……」
 ハーメノが嫌な答えを返しそうな気がしているアイルは自分の猫愛について語る。ハーメノはそれを面白そうに聞いている。
 その間に、密かに封印の鎖の解除を試みる。時間と共に消えかかる封印の一部を破壊する……すると、鎖が両手の幅ほど取れる。だが、その鎖はゆっくりと消えていく……別の場所を壊すと、それはすぐに消えていく。マスカレイド自身を束縛している鎖が、少しでも残れば戦いが有利になるかもれない。だが、その方法はまだ見つかっていない……。

「まあぁ、いいかぁ。封印を解除してくれよぉ、方法は教えてやるぅ」
 ハーメノは急に態度を変えて素直に封印の解除方法についての説明を始める。
(「何を考えているのかしら?」)
 アイルは不信感を抱く。ハーメノにとっては、少しでも早く自由になりたいと考えているのかもしれない。エンドブレイカー達にとっては、過去に封印されたマスカレイドから情報を聞き出すチャンスではあったが、最優先事項はマスカレイドを消滅させる事。チャンスだからといって、優先事項を間違えたりしたいのだった。
「これを壊せばいいのですか?」
 エミリオはハーメノから聞いた、封印の解除方法を試してみる。封印は、鎖の一部にある刻印を壊すことによって、消滅する。
「この鎖は回収出来ないのですか?」
「それは俺は知らねぇなぁ」
 エミリオが訪ねるが、ハーメノも知らない様子だ。
「おっと、その表面に何も凸凹のない場所は触るなよ、何が起こるか分からねぇ」
 鎖は刻印以外にも、隙間無く文字のような物が彫られている。だが、一部だけ何も彫られてない場所がある。
「……」
 マリアベルは他の人に目配せをして、凹凸の無い場所を一斉に破壊する合図を出す。
「おい、なにしてやがるぅ!」
 凹凸の無い場所は複数あった。それを一斉に破壊すると、鎖は一斉に激しい音を立てて……すべて崩れ落ちた。
「……ちぇ、やられたか……」
 エンドブレイカー達が陣形を整えているのを見て、ハーメノは呟く。
「おまえ等の目的は、この封印の一部を残したまま、俺を倒す事か……」
 ハーメノの左手、右足には鎖が残っている。左手は、そこまで邪魔では無いようだが、右足の鎖によってハーメノは移動する事は出来ないだろう。
「……まあ、おまえ等を全員殺して、ゆっくりと外せばいいか」
 ハーメノは左足で軽く地面を踏む。すると、靴から何かが飛び出して右手に握られる。それは、手のひらサイズの弦楽器だった。
「さあ、始めようか。衝撃の序章を!」
 弦楽器を鳴らして衝撃波を発生させる。その衝撃波は激しい音と土煙を生み出す。土煙が晴れたときには、そこには十体の獣型マスカレイドがハーメノを守るように陣形を組んでいた。戦いの始まりだ。

「さあ皆さん、そしてアオリ、全員無事で帰りましょう。巡回騎士エミリオ、いざ参ります」
「エミリオか、お前の名前も覚えたぜ。だが、最初から帰りの相談とは、早すぎだぜ」
「これは帰りの相談ではありません、決定事項です」
 ハーメノの中傷を決意で受け流し、アオリとタイミングを会わせて、横薙ぎに渾身の一撃を放つ。その一撃で、ハーメノを守るように立ちふさがる獣を大きく跳ね飛ばす。
 その一撃でよろめいたところに、アオリの鎌が大量の衝撃波を放つ。衝撃波は、部下の動物型マスカレイドにダメージを与える。
「敵にとどめを刺さないように注意してね」
 マリアベルは事前に説明してあった事を再確認させる。敵は部下も含めてすべてがマスカレイドだ。だから、アサルトバグ達が止めを刺してしまうと、マスカレイドはソーンに戻ってしまい、滅する事が出来ない。キラリは触覚だけを動かして了承の反応を返す。

「そういえば、俺が何で犬が好きだか言ってなかったなぁ」
 ハーメノはアイルに向かって悪意ある視線を向ける。
「聞く必要ないわ」
 アイルは悪意ある表情から察してハーメノの言葉を遮る。
「そうかい、残念だなぁ」
 ハーメノも嫌な気分にさせる事に成功しているので、あえて口には出さない。
「いいから黙りなさい」
 アイルは分身を作り出し、分身がハーメノを羽交い絞めにする。そして、正面からアイル本人が炎の衝撃波を叩き付ける。部下のマスカレイドはあま強力ではないが、ハーメノはかなり強力なマスカレイドのようだ。
「踊り狂う獣の宴!」
 ハーメノの攻撃は楽器の演奏に合わせて歌を一節だけ歌い、かなりの広範囲に衝撃波を放つ。さらに、その歌には部下を鼓舞する効果もあるようだ。
「……」
 ハーメノの攻撃にマリアベルは苦悶の表情に耐えながらハーメノを睨み付ける。
「何で虫を狙うのかって顔だなぁ」
 ハーメノの攻撃はアサルトバグを狙っていた。
「決まってんだろ、弱いからだよ!」
 ハーメノは挑発するように叫ぶ。そんなハーメノに、太刀の刀身が飛来する。
「弱いかどうか……それは、戦いの結果が教えてくれますよ」
 ルーンの矢の代わりに放つ太刀の刀身がハーメノと周囲の獣を貫く。
「その無駄に回転のいい頭が気に入らねぇ」
 ハーメノは怒りの表情を浮かべ、持っていた弦楽器を地面に叩きつける。そして、折り畳まれた『何か』を取り出す。それを展開すると……大きなヴァイオリン……いや、チェロだろうか……が現れる。
「撃滅の第二章だ!」
 より大きい武器に変えて、ハーメノはさらの大きい衝撃波を放つのだった。

 戦いは数で勝るマスカレイ側が押していた。
 戦いながら気が付く。最初にアサルトバグと……キラリとコミニケーションを取っていたときに感じた違和感。それは、コミニケーションが取れすぎるのだ。あまりにも言う事を理解しすぎる事だった。どんなに強化されていても、やはり兵器としての側面を持つのがアサルトバグ。だから、最初のコミニケーションは、ただの条件反射の一種だったのだ。
 だが、その違和感が消えていく。少しの間だが、一緒に命の危険に晒されながら戦った友情というべき物なのだろうか。ただ、命令に従うのではなく自分で考えて行動しているように見える。
 その証拠に、時々指示に従うのを渋る場合がある。それは、マリアベルやエミリオがキラリやアオリに無理をさせないようにするための指示だ。
「大丈夫だから、下がって」
 マリアベルの指示に渋るキラリ。獣の数が多く、押され気味だ。自分が下がればマリアベルに向かう攻撃が増えるだろう。だけど、最終的には指示に従う。それはマリアベルが親身に接した結果だろう。

 流れがエンドブレイカー側に傾き始めたのは……獣マスカレイドがエミリオのランバークラッシュでハーメノの側に弾き飛ばされ戦闘不能になったときだった……。
「……!」
 急に態度を豹変させるハーメノ。
「お前ら、変な能力を持っているんだなぁ」
 今までに感じられないほどの動揺を表すハーメノ。
「そういうことだったのかよぅ……」
 エンドブレイカーはマスカレイドを滅ぼす事が出来る。マスカレイド以外の者がマスカレイドを倒しても、ソーンに戻ってしまい滅する事が出来ない。そんな、当たり前の事をハーメノは知らなかった。だから、部下から消えたソーンの気配を感じて驚愕したのだ。
「だが、お前等を殺せばいいだけだ!」
 ハーメノの動揺は少しの時間だけだった。だが、その少しの間は大きなチャンスとなった。連携で放つ太刀の刀身、流水のオーラを纏った斬撃、渾身の一撃、分身との連続攻撃で、獣マスカレイドの大量撃破に成功する。アサルトバグ達は、羽を鳴らして皆の傷を癒す。
 両手の指を数えるほどの間だったが、エンドブレイカー達は体勢を立て直したのだ。
「アオリ、ありがとう。まだ、倒れるわけにはいきませんから……」
 エミリオはアオリの羽を優しく撫でるのだった。 

「抹殺の最終章!」
 それでもハーメノは抵抗を続ける。その抵抗の中で、脱出の機会を伺う……が、足に絡んだ鎖がそれを邪魔する。
「無名だが名刀だお前の墓標代わりににくれてやる」
 ルーンの放つ太刀がハーメノの胸を貫く……。
「最後に教えろぉ……お前らは何者だ」
 崩れ落ちながらハーメノは呟く。
「我々はエンドブレイカーだ」
 しかし、その言葉はハーメノには聞こえなかった……。

「べ、別に心配している訳じゃないけど……」
 戦いが終わって、迷宮の入り口まで戻ってきた。これで封印された『見えざる者』の討伐は完了だ……そして、完了したということは、アサルトバグ達との別れを意味する。
「……」
 リュウジはアイルを寂しそうに見つめている……気がする。
「その、元気でね」
 アイルは素直(?)に寂しい顔をしている。口調は突っぱねる雰囲気だけど、そこに込められる想いはリュウジへの心配が溢れてる。
「後、私の事絶対に忘れちゃ駄目よ! 忘れたら承知しないんだから!」
 強がりながらも、少し泣きそうになっているアイルだ。
「それじゃあ、忘れないように……」
 エミリオはアオリのネームプレートに何か書いている。
「これなら忘れないよね」
 アオリのネームプレートには『冒険仲間:エミリオ』と書いてあった。
「それはいいですね」
 ルーンもアカリのネームプレートに自分の名前を書く。マリアベルもアイルもそれに倣う。
 アカリ達は、それに対して、どう反応していいか分からない様子。嬉しいなら踊ったりするはずだけど……それでは表せない想いを感じているのだろうか。
「忘れたら承知しないんだから!」
 そんなアイルの言葉を背に受けて、アサルトバグ達は去っていった。
 途中、何度も何度も振り返りながら……。
 ただ、その光景を眺められるのは四人がアサルトバグ達を仲間として、守りながら……戦った証拠であろう。
 そうでなければ、背中を見送るアサルトバグの数は、減っていただろう。無事に見送る事が出来た事を一つの成功の経験として胸に刻み、次の戦いへ進んでいくのだった。



マスター:雪見進 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:4人
作成日:2013/01/04
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冒険結果:成功!
  • 生死不明:
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