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【苛烈の肖像】後編

これまでの話

<オープニング>

 明りに満ちた部屋の中央で、小柄なハイティーンくらいの少女が泰然と立っている。
 肩で切り揃えられた髪は燃えるような赤毛。ツリ目気味な青い瞳を爛々と輝かせ、艶やかな仮面を側頭部に、まるでアクセサリのように身につけていた。
 エンドブレイカーならば、ヒリヒリするほどの強大なプレッシャーを誰しもが感じているはずだ。
 このマスカレイドを野に放ってはならないと。
 高まる緊張の中、人民と共に歩む者・ルア(c28515)が口火を切る。
「あなたが『烈華』さん?」
「そう、わたしが『烈華』コンスタンツァよ。で、あなたたちは誰なのかしら? ……いえ、答えなくてもいいわ」
 コンスタンツァと名乗った少女は、エンドブレイカーたちの顔を見渡して鼻先で笑った。まるで大したことはないというように。
「……私達には興味がありませんか?」
「名乗りたいなら名乗ればいい。好きにしなさいな」
 玲瓏の月・エルス(c00100)の咎めるように問いには、肩をすくめて応じるのみ。
「コンスタンツァ、君は自分が何故ここにいるのかわかっているのか?」
 調べる者の代行者・ヴァン(c15390)は、少し踏み込んだ質問を投げかけた。
「悪い事して封印されてました、ごめんなさい。……とでも言わせたいわけ?」
「悪い事してたの?」
 幻想を揺蕩う眠り姫・アリシア(c31077)の端的で容赦がない言葉に、コンスタンツァは笑った。
「面白いお嬢ちゃんね。悪いことなんてしてないわ。忌々しいマギラントが、わたしの才能に嫉妬しただけ。世を救おうとしたわたしが邪魔だったのかしらね。ほんとクズ」
 教え諭すようにそう言うが、それが客観的な事実とはとても思えない。主観的には真実なのかもしれないけれど……。

(「……どうしよう?」)
 エルスはルアに視線で問いかける。気付いたルアは小さく首を横に振った。
 コンスタンツァが腰に履いた剣を抜いて、突然襲いかかってくる、なんてことだけはなさそうだけれど、ではどう振舞うのがいいのか。
 少女の態度からは己への圧倒的な自信と、そこから生まれる余裕が見て取れた。下手な追従などすれば逆効果に思える。
 おそらく相手の記憶は、封印が為された時点で止まっているはずだ。今がいつなのかも判らないだろう。相手に与える情報も考えなければならないか。

 ヴァンはマスカレイドから視線を外し、部屋の様子を確認した。目前の少女にばかり視線が引き寄せられて、部屋に入ったときには気付かなかったが、背後に4体の木製人形がひっそりと佇んでいる。
 纏った可愛らしい服が殺風景な部屋になじまないそれは、コンスタンツァの配下とするウッドゴーレムなのだろう。ただ彼女本人と比べれば、そこまでの脅威とは思えない。
 再び静かになった部屋の中で、コンスタンツァだけがニコニコと楽しそうに笑っていた。自分が生み出す圧力を判った上で、それに対する反応を楽しんでいる。そんな底意地の悪さが、そこに感じられた。
 やがて、それに飽きたか、コンスタンツァは行動を促すように両手を開く。
「憎たらしいことに、まだしばらくこの部屋からは出られないみたい。それまで話し相手にでもなってちょうだいな。それとも……」
 クスと嗜虐的に笑い、続ける。
「わたしのフレイムソードに焼かれてみる? それも暇つぶしには良さそうね」



 【!重要!】
 このシナリオの参加費用は「★1.5」となります。
 前編に参加したキャラクター以外の人が、このシナリオに参加する事は出来ません。

 前編のリプレイと後編のオープニングを良く読み、後編のプレイングを行いましょう。

 シリーズシナリオの運営後、このシナリオは『更にボリュームアップした小説』化されて、株式会社パピレスが主催する『エンドブレイカー!リプレイコンテスト』にノミネートされる予定です。
 このシナリオを元にした小説がコンテストで入選した場合、参加したお客様には、参加費用の一部キャッシュバックが行われます(トミーウォーカーより、該当シナリオの参加者に★を付与いたします)。

 このシリーズの運営スケジュールは、以下を予定しています。
 http://t-walker.jp/eb/html/notice/2012_upppi_scenacon.htm


マスターからのコメントを見る
参加者
玲瓏の月・エルス(c00100)
調べる者の代行者・ヴァン(c15390)
人民と共に歩む者・ルア(c28515)
幻想を揺蕩う眠り姫・アリシア(c31077)

<リプレイ>

●軽い鞘当て
 幻想を揺蕩う眠り姫・アリシア(c31077)は、抱えた真紅の大鎌の陰で唇を歪めた。
(「……焼かれてみるか、とは面白いことを言ってくれるの」)
 コンスタンツァの表情は自信に満ちあふれていて、そうであればこそ、血に沈めた時の喜びはよりいっそう増すというものだ。
(「血溜まりの中に倒れ付すのは、あなたなの……。ふふ、とっても、楽しみなの……♪」)
 コンスタンツァは、わざとらしく腰に提げた剣へ手を伸ばしている。
 調べる者の代行者・ヴァン(c15390)は、前に突き出した手のひらでそれを制した。
「いいぜ、話し相手になろうじゃないか」
 深く被った帽子のつばを指先で持ち上げ、ニヤリと笑って続ける。
「まぁ、焦ることはない。どうせ力は既に、全部戻ってるんだろう? なら最期に話をしたっていいじゃないか」
「……さいご? 最後、最期、さいごねぇ、ふふっ」
 もとよりからかい半分だったのだろう。あっさりと剣から手を離し、コンスタンツァは両腕を組んだ。
「いいわ、わたしから誘ったのですもの、断る理由はないわよね」
 そのままヴァンの横に立っていた、人民と共に歩む者・ルア(c28515)に視線を向け、
「もっとも、そっちの子は不満そうよ」
 唇の両端をつり上げる。
「……」
 ルアはその眼を真っ正面から見返した。両手で握った槌を離さず、いつでも戦闘に移行できる構えのまま。
 ルアはマスカレイドと一切の言葉を交すつもりがなかった。けれど、仲間が会話をするというのならそれを妨害する気もない。
 ヴァンは肩をすくめて見せた。
「ま、いろいろあるのさ。酒はいけるクチか? 飲めないなら水しかないが」
「どっちにせよ、遠慮しとくわ。そんな怖い眼で見つめられたら、喉を通りそうにないし?」
「そうか」
 戯けるコンスタンツァに、ヴァンは無理には飲み物を勧めない。振って見せた小瓶をポケットにしまう。
 無駄を嫌ったかのように、玲瓏の月・エルス(c00100)が口を開いた。
「いくつか、聞きたいことがあります」
「あなたもそんな怖い顔をしないで?」
 戯れ言は無視して、続ける。
「あなたは封印前の環境を覚えてる?」
「わたしは見た目通りに若いわよ? まだ惚けてないわ」
「それはどんな時代で、どんな環境だったの?」
「性急ね。ふぅん、そんなことに興味があるんじゃ、封印の間にずいぶんと時間が経ったみたい」
「……そうだったら、あなたはすっごくおばさんなの」
 コンスタンツァがもったいぶった様子で崩さないものだから、アリシアはつい茶々を入れる。
「あなたの眼には、どう見えていたかが知りたいだけ」
 エルスは肯定も否定もしない。コンスタンツァは、にやにや笑って答えた。
「最初は、とーっても怖い時代だったわ。でも最終的には、とっても楽しい時代だったかしら」
「どういう意味なの?」
「マスカレイドになる前となった後、ということかしら」
 アリシアは先を促し、エルスは思うところを確かめる。だが、コンスタンツァはにやにや笑い続けるだけ。
「で、そんな時代に『忌々しいマギラント』に封じられた訳か」
 ヴァンがそう聞くと、途端につまらなそうな顔になる。
「そういうことになるわね」
「言いたいことがあるなら聞くぜ。悪口を言うとスカッとするだろう?」
 コンスタンツァは、じっと眼を見つめ返す。そのまましばらく口を閉じていたが、やがて首を横に振った。
「……やめておきましょう。『忌々しいマギラント』は死んでしまったみたいだもの」
「さて、それはどうかな?」
「韜晦しても無駄。少なくとも、あなた達はマギラント本人をしらないでしょう?」
 このままこの話題を引張っても、時間の無駄になりそうだと、エルスはまた別の話題を振る。
「世を救おうって、どういうことなの? どうやって?」
「簡単よ。みーんなマスカレイドになっちゃえばいいのよ」
 ふざけた調子の回答だが、あの瞳はきっと本気だと、ルアは感じた。またひとつ、感情のボルテージが上がりそうになる。
「それがあんたの才能ってわけでもないんだろ?」
 ヴァンは、先ほどからずっとくだけた調子で喋っている。
「マギラントが嫉妬するのよ。勇者としての才能以外にないじゃない?」
「……あなたはマスカレイドなの」
「最初は勇者になってあげようと思ってたのよ。クズにはそれが理解できなかったみたい」
 アリシアの言葉に、今度はコンスタンツァが肩をすくめた。
 エルスは、自分の心が冷えていくのを感じる。マスカレイドになるのだから、所詮この程度なのだろう。どれだけ強かろうと、どれだけ頭が回ろうと、本質的に愚鈍なのだ。

●火花が散るとき
 しばしの沈黙のあと、今度はコンスタンツァから口を開いた。
「あなたたちの話も少しは聞かせてくれないの?」
「さて、どんな話がお好みかな。魔王ゼルデギロスと戦った話がいいかい? それともニニギアメツチを倒したときの話なんてのもあるぜ」
 ヴァンは大仰な身振りつきで、話のさわりを話す。それはもちろん、おおぼらに過ぎないが……
 あはは、あっはっはっは。
 それを耳にしたコンスタンツァは、突然腹を抱えて笑い出した。
「それはすごいわね。アレを倒せるだなんて。今の時代の人間って、そんなに強くなったの? わたし、怖くて怖くて泣いちゃいそうよ」
「……そんなに圧倒的だったの?」
 口を挟んだアリシアに、コンスタンツァは目尻の涙を拭いながら、
「倒したんでしょう? どんな相手か、よく知ってるはずじゃない」
 笑いを堪えた声音で答えた。
 それで満足したのか、コンスタンツァは、そろそろ終わりにしようと水を向ける。
「ところでね、その子、限界じゃない? さっきから、ずっとわたしのこと見つめちゃって。ぱぁあん、って破裂しちゃうんじゃないかしら」
「……」
 ルアは明らかに自分のことを言われているのだと判ったが、表情は変えない。マスカレイドの言うことなどに心を動かしても仕方がない。
「そうだな、終わらせるか。所詮、俺たちとあんたは相容れることのできない存在だ」
 ヴァンも粗方、話題の種は尽きている。時間はまだあるが――、もういいだろう。
「頭を垂れて、わたしにかしづけばいいのに」
「そんなことできるわけないわ」
 間髪を入れず、エルスが否定した。
「命を無駄にするだけよ?」
「……ほんとにそうかは、戦えばすぐにわかるの」
 アリシアは血の予感に胸を高鳴らせているのか、頬が赤い。
 ヴァンはレッサーデモンへ指示を出してから、コンスタンツァに告げる。
「あんたもゴーレムを動かせ」
「それなら、お言葉に甘えて。わたしの人形たち、踊りなさい」
 コンスタンツァの言葉に従い、胸に魔鍵を抱いて、ウッドゴーレムたちが立ち上がる。
 それを見て、ヴァンは懐から1枚のコインを取り出した。
「合図はこのコインだ。いいだろ?」
 コンスタンツァは微笑んで、小さく頷く。

 ヴァンが指で跳ね上げたコインは、すぐに大地が恋しくなった。
 地面に落ちていく様は、どんどんゆっくりに感じられ。
 時間が静止しようかという刹那、小さな音が響いた。
 ……コツン。
 ――そして全てが動き出す。

●気高い意志
 先手を取ったのはコンスタンツァだった。
 踏み込みからの流れるような抜刀。焔を撒き散らしながら繰り出される斬撃は、紅の牡丹を鮮やかに咲かせ、ルアとアリシアを切り刻む。
「速い……、でも!」
「チッ、邪魔よ」
 一拍遅れて、エルスが手にする氷剣から吹雪が巻き起こった。吹雪はコンスタンツァを押し包み、思うがままに斬撃を振るおうとしていた彼女を牽制する。
 ヴァンはその間に、コンスタンツァの横をすり抜ける。狙いは奥で魔鍵を構える、木製の人形たち。
「そっちはしばらく任せるぜ」
 背後の仲間たちを信頼して、ヴァンは人形と斬り結ぶ。人形の可愛らしい衣装に、咲き乱れる斬撃の雪華が映えた。
「ええ。皆で無事に帰らないとね」
 ルアは手にした槌を肩に載せ、コンスタンツァに迫る。
(「どんなにマスカレイドの攻撃が激しくても、怖くないわ。不幸なエンディングを叩き壊すのがエンドブレイカーでしょ?」)
 ここでコンスタンツァを取り逃がせば、無辜の民に被害が及ぶ。ひいては、アマツカグラからの避難民たちまで。そのようなことを許容できるわけがない。
 だからルアは全てを守る為に、力を奮うのだ。
 想いを乗せた打撃で、相手の力を押さえ込みにかかる。
 その横から共に、アリシアがコンスタンツァへ斬りかかった。
「さぁ……、赤い綺麗な血に塗れて、殺しあうの……」
 マスカレイドを討つ。その意志にズレはない。
 だがアリシアは、ルアとは正反対と言えるまでの負の感情を撒き散らしていたのだけれど。
「あは。見所あるわよ、お嬢ちゃん。がっかりさせないでね」
 アリシアが振り回す真紅の刃がコンスタンツァの血を舞わせる中、コンスタンツァは自らに向けられた黒い意志を受けて楽しそうに微笑んだ。

 エンドブレイカーと共に戦うレッサーデモンは、早速コンスタンツァが振るう技を模倣して、黒い炎を撒き散らす。
 けれど、その技にコンスタンツァほどの冴えはない。力を取り戻したマスカレイド。その全てを模倣できるようなポテンシャルは、レッサーデモンにはないのだ。
「わたしの技を真似しきれると思って? ……舐めるなッ!」
 コンスタンツァは斬り結べば結ぶほど、自らの感情を爆発させ、まさに燃えさかる炎の如く刃を振るう。
 ルアはとっさにハンマーを打ち当てて斬撃を逸らそうとするが、間に合わない。
(「……くっ」)
 刃が纏う炎に焼かれる熱さ。切り裂かれた傷の痛み。それらがない交ぜになった苦痛を、歯を食いしばって耐えた。負けじと、心中の正義の炎を高ぶらせる。
 このまま押し込まれてなるものか!

 ヴァンが引き連れるレッサーデモンは、次々と黒く染まった牡丹を咲かせた。それはコンスタンツァが繰り出した技の数々。
「ゴーレムが木製だったのが運の尽きだったな」
 エルスが撃ち出した邪剣の群れが嵐のように襲いかかる下で、氷剣の力を解放しながらヴァンはそう嘲った。
 そして、薔薇の意匠を持つ氷剣から解き放たれた凍気が、燃える人形の身体を急冷し氷の中へと閉じ込める。これでまずは、1体。
 けれどマスカレイドの従者たちはひたすら寡黙なままに、主へと無限の忠誠を示し続ける。魔鍵の写し身をばらまく中で、必ずと言っていいほどそのうちの1体は、主の傷を癒す役割に回っている。
(「……早く倒してしまわないと、面倒ね」)
 視界の中にいるコンスタンツァを気にしつつも、エルスはゴーレムを穿つ次の邪剣を呼び出すために意識を集中させた。

●狂気渦巻く
 エルスはアリシアが心配だった。幼い少女は自らの傷を省みず、引くことを知らずにひたすら愚直にコンスタンツァと切り結んでいる。
 どんなに傷が深まろうとも、いや、深まれば深まるほどに爛々とした笑みを浮かべ、自らがこぼした以上の血をコンスタンツァから奪い去ろうと刃を振るう。
 そして、その傷を癒す手段を唯一持っているヴァンは、人形の相手で手一杯だ。
 先が焦げた前髪をかき上げ、口端についた血を舐めとって、アリシアは凄絶に笑った。
「あなたの血、とっても綺麗。もっと、もっともっと見せて欲しいの」
 それから弾かれたように駆けだし、コンスタンツァの懐に潜り込む。
 肉を切り裂く感覚を、より身近に、より生々しく感じようというのだろうか。振われたのは禍々しいは爪。
「わたしの血だかあなたの血だか、区別がつかないけどね」
 コンスタンツァもまた、狂おしく笑っている。懐のアリシアを弾き出すように剣の柄で殴りつけた。
「アリシアちゃん、下がって!」
 アリシアの状況が限界に近いことを見て取って、エルスは邪剣の召喚を取りやめて前に出る。けれど、その声はアリシアに届かない。アリシアは戦場の狂気に魅せられて、ひたすらマスカレイドのみを見つめ続けているのだ。
 レッサーデモンもまた、ぼろぼろだった。現状はルアだけ損耗が低い。途中から明らかにコンスタンツァは、ルアを攻撃対象から除けている。唯一、回復手段を持ち合わせているからだろう。
(「守れないだなんてっ」)
 ルアにはそれが恨めしく、歯がゆい。

 追い詰められた状況なのは、コンスタンツァのほうを見ずとも分かりきっていた。ゴーレムに仕掛ける筈だったエルスの攻撃が、しばらく止まっている。
 ボォォッ!
 レッサーデモンから放たれた黒き炎の渦に巻き込まれ、最後のウッドゴーレムが跡形も無く燃え上がるのを確認してから、ヴァンはコンスタンツァに向き直った。
 その目前で、横一文字に振るわれた刃にエルスが切り裂かれた。エルスは地面に膝から倒れ込む。
(「……ゴーレムは全部片付けたが」)
 アリシアはすでに倒れ伏している。1体いた筈のレッサーデモンは影も形もなく、ただルアだけがひとり、コンスタンツァに対峙していた。
 ゴーレムの全滅まで、戦線を支えきることが出来なかったのだ。コンスタンツァとて愚かではない。体力の減ったものから順々に狙われて、削り落とされた。
 今からアスペンウインドを用いても、すでに遅いだろう。先にレッサーデモンへアスペンウィンドを覚えさせておけば、また展開も違ったかも知れない。
 ヴァンはコンスタンツァ側の惨状に奥歯を噛みしめた。
 けれど、全てが遅い。
 悲壮な表情を浮かべたルアに炎剣を突きつけ、コンスタンツァは艶やかに笑った。
「口ほどにもない。ま、真っ向から斬り合ったのは褒めてあげるわ。守りに入った相手と戦うの、嫌いなのよ」
 コンスタンツァも、傷ついていないわけではない。だが、ゴーレムたちからの厚い支援を受け、一方では戦力を確実に減らし続けた結果、エンドブレイカー側とは損耗の度合いがあまりに違う。
 そうして十分に余力を残したマスカレイドに、2人と3体で立ち向かうのは到底無理に思えた。
 ――決断するしかない。
「最後の命令だ。……壊れようが攻撃を続けろ」
 重い声で残る3体のレッサーデモンたちに指令を出しながら、ヴァンはエルスの確保に走る。
 ルアはひどく思い詰めた顔でレッサーデモンと入れ替わり、アリシアを抱え上げた。自分ひとりならば、朽ち果てるまで戦い続けたに違いない。しかし仲間の安全もまた、ルアの願いだった。
 倒れた仲間を確保した2人は、一目散に扉へ動いた。
「あれだけ啖呵を切っておいて、逃げるつもり? ……この木偶がッ! 邪魔よッ」
 戦場に向けた背中を、コンスタンツァの罵声が叩く。
 ――けれど応じられる言葉は、持ち合わせにない。



マスター:Oh-No 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:4人
作成日:2013/01/04
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