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祈種のエトワール

<オープニング>

●魔法の煌めき
「ふう……」
 深い森を駆け抜けて疲れたのか、肩で息をしつつチルダは息を零した。
 春の訪れを感じ、大分温かくなってきた。寒暖の差は激しいけれど、今日は気候も良く心地良い。こんな日はピクニックが気持ち良いのだろうが――。
「だめだめ、今日はやることあるんだから!」
 彼女が首を振れば、蜂蜜色のブロンドが光に当たりきらきらと輝いた。そのまま道を進み茂みを抜ければ、目の前に広がるのは大きな泉。野原には花が咲き誇り、『何か』が輝いている。
「よーし、今日こそ見つけるぞ」
 真剣な色を鳶色の瞳に宿し一歩進み出る。そのまま野原に座り込むと、彼女は地面を見つめつつきょろきょろと首を動かす。そう、それはまるで何かを探しているように。
 ――何かに真剣な彼女は、近付く怪しい影に気付く事は無かった。

●癒しの種
「そのままチルダさんは、森の中の狼達に襲われて死んでしまうの」
 『何か』を懸命に探す少女の元に訪れる、不幸なエンディング。――鮮明に見えたその終焉を語ると、勿忘蝶の星霊術士・ミルティーユ(cn0116)は最後にそう付け加えた。
 普段は平和な森なのだが、運悪く狼達の群れが近くに居る時に、少女が訪れてしまうらしい。飢えた獣にとって、子供の血肉はご馳走かもしれない。それが自然の摂理だ。
 けれど、そのような結末を視てしまったからには放っておくことは出来ない。
 だから、皆で彼女を助けに行きましょうと。ミルティーユは微笑みながら語った。

 場所はラッドシティの森の中。泉が近くにあり、花々の咲き誇るとてものどかな風景だ。陽当たりも良く、木々の隙間から零れる陽射しが泉に反射して、きらきらと輝く光景はとても綺麗。
 木々が茂ってはいるけれど、戦闘の際に邪魔になるような物は無いだろう。
「現れる狼は全部で8体よ。マスカレイドじゃないから、苦戦はしないはず」
 エンドブレイカーが辿り着いた時には、既にチルダは泉に到着している。少し言葉を交わす時間はあるが、直後に狼達が現れる事になる。よって、少女を守りながらの戦いになるだろう。
 ――そう、さほど難しい話では無いだろう。けれど。

「えっとね、お願いがあるの。チルダさんは何かを一生懸命探しているみたいなの」
 だから、それを皆で一緒に探してあげないかと。ミルティーユは言葉を添える。
 その探し物こそ、少女がこの泉に訪れた理由。なかなか見つからないらしく、毎日のように訪れているらしい。このまま見つからなければ、また同じような事件が起きる可能性もある。
 その事件を防ぐ為にも。そして困っている少女を助ける為にも。エンドブレイカー達で協力をして探せば、きっとその探し物も見つかるだろう。
 そしてその探し物とは。
「チルダさんが探しているのは、『星の種』と云う物らしいわ」
 エンディングで少女がそう呟いている様子が視えたと、ミルティーユは語る。けれどその種がどんな物かは分からない。
 ――彼女がそれを探し求める理由。それは、その星の種が何かの治療薬に使われているらしい。そして、彼女の母親がその治療薬を欲しているという流れの様だ。
 今分かる情報はそれだけ。どんな形、色、大きさ。その情報は無い。どこにあるかも分からない。
 けれど、これだけの人数が集まり辺りを探せば、きっと見つける事が出来るだろう。いっその事宝探しの感覚で楽しんでしまっても問題は無い。見つかりさえすれば良いのだから。
「茂みの中、木の上、野原に転がっている……あ、もしかしたら泉の中かもしれないわ」
 ざっと大雑把に場所を挙げてもこれだけの範囲がある。
 各自である程度絞って、どんな形かを予測して探す必要があるだろう。チルダに見せれば、本物かは彼女が判別してくれる。事前に情報を聞く事も出来なくはないが、彼女は説明下手なので大した役には立たないだろう。
「この森には色んな植物があるんですって。ちょっと変わった物もあるみたい」
 もしかしたら変わった形をしているかもしれない。もしかしたらすごく普通のものかもしれない。
 何が正解か――分からないままの宝探し。それはそれで、楽しいだろう。
 どんな物があるのか……それを考えるだけでもワクワクすると、ミルティーユは無邪気に微笑みながら語る。皆がどんな物を見つけたかは、是非私にも教えて頂戴ねと。そう零した。

 ちなみに。チルダの母親は命に別状は無いようなので、慌てる必要は無いだろう。


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参加者
新緑のフルール・オレガノ(c00187)
花渉風・シャルロッテ(c13732)
海辺のエトワール・ステラ(c14274)
白秋桜・ティナ(c21185)
夢雲・モルラ(c32051)
夜が訪れる刻・シキミ(c32374)
天光の騎士・フィン(c32563)

NPC:勿忘蝶の星霊術士・ミルティーユ(cn0116)

<リプレイ>

●愛しき想いの為に
 きらきら零れる木漏れ日の陽射しの中。鮮やかな緑に移り変わる景色は、春の訪れを感じさせる。
 幸せそうに笑みを零し、花渉風・シャルロッテ(c13732)は片側だけ結ったミルクティブラウンの髪を揺らしながら歩を進める。
「ミルティーユちゃん、今回もよろしくね。あなたが居るなら頼もしいわ」
 はりきっちゃうと零す言葉と共に、繋ぎ合った手をきゅっと握る力を強める。張り切る友人の様子に、勿忘蝶の星霊術士・ミルティーユ(cn0116)も嬉しそうに微笑んだ。
 ふわりと辺りを舞う妖精のプリムを菫色の瞳で追いつつ、白秋桜・ティナ(c21185)はチルダの心配を心に想う。――大好きな母の事を心配して訪れた少女。その優しさが、母の悲しみに変わる事は絶対に食い止めなくてはと……普段と変わらぬ表情だが、きゅっと結んだ唇から真剣な様子が伺える。
「あーん、見つからないー!!」
 近くで聞こえた声にエンドブレイカー達は足を止める。音の発生源を辿るように夜が訪れる刻・シキミ(c32374)が辺りを捜索すれば、振り返り仲間達を手招きした。
 彼女に従い近寄れば、大きな泉の側で屈みこむ1人の少女の姿。――蜂蜜色の綺麗な髪は、確かにエンディングで視た少女だとミルティーユは頷いた。

 パキリ――小枝の折れる音が響き、少女は俯いていた顔を上げた。並ぶ人影に、大きな鳶色の瞳を瞬き首を傾げる姿を見て、新緑のフルール・オレガノ(c00187)は微笑み挨拶を零す。
 木漏れ日の零れる泉はきらきらと輝き、春の香りと共に水を含んだ風を運ぶ。美しいその景色にシャルロッテは瞳を輝かせ、本を片手にいつまでも此処に居てしまうと語る。そんな彼女の言葉に頷きつつ、ティナは一歩踏み出すと少女と目線を合わせ口を開く。
「私達も、星の種を探しに来たの」
 淡々と語られるその言葉に、座り込む少女はそうなんだと零し素直に納得した様子。
「私、チルダ。星の種はね、いっぱいはないから見つけるのは大変だよ」
 ふわりと笑み、小首を傾げる少女。自己紹介をした彼女に倣うように名を名乗ろうとすると――草を踏み締める音が耳に届いた。ガサリガサリ、音が響いたかと思うと、狼の群れが現れる。
「狼!? なんで」
「チルダ様、危ないですわ! さぁ、私の後へ……貴女を護ってみせますわ」
 悲鳴を上げるチルダを庇うように、夜が訪れる刻・シキミ(c32374)は前へと進み出る。追うようにティナが一歩踏み出すと、細剣を構える。――きらり、自然纏う氷のLilinoeが光に輝く。
「追い払うから、待ってて……」
 そう呟くと、颯爽と彼女は駆け出した。プリムと共に繰り出したその攻撃は、狼を倒す為では無く威嚇する為のもの。緩やかな髪を揺らしオレガノが突撃をすれば、きゃん! と悲鳴が響き渡る。
「狼さん達に悪気がある訳じゃ無いと思うけど……ごめんね?」
 繁る緑と同じ色の瞳を悲しげに伏せ、彼女は静かに微笑んだ。
 一瞬相手は怯んだように見えた――しかし1体が、真っ直ぐにチルダへと駆け鋭い牙を向け襲おうとした――が、その間にすかさず夢雲・モルラ(c32051)が入る。
「……狼さん、ごめんね?」
 両耳の羽飾りを揺らし、彼は勢いよくハルバードを振りかぶる。放たれた横薙ぎと同時に聞こえる悲鳴。――君達が来るのは、こっちじゃない。その想いを、彼は武器に宿し1撃を放った。
 ふわりと舞うシキミの妖精が狼達を眠りへと誘うと、海辺のエトワール・ステラ(c14274)の召喚したバルカンとミルティーユのジェナスが戦場を駆け巡る。
 そんな星霊達の様子を見て、シャルロッテは笑みを浮かべると――。
「今日があなたのデビューね。ライラ、春霞に凍らせて」
 優しい声色で紡がれる言葉。その声に反応をするように呼ばれたのは、真白の熊、クリンだった。氷を纏う星霊は、身体を大きくさせるとそのまま狼向けて氷塊を投げつけていく。
 戦況は、始終こちらの有利だった。
 相手の数は多いけれど、しっかりと前衛陣が守る事を考えたからだろう。襲いくる牙を、天光の騎士・フィン(c32563)は仕込み杖で弾き返すとそのまま武器に光を宿す。
 眩い光が戦場に広がる。――それは降り注ぐ太陽よりも強き光で、野生である狼達には驚くべきものだったのだろう。刃を振り下ろすまでもなく、「きゅ〜ん」と鳴くと彼等は駆けて行く。
「がおー! ってね。私達は恐いんだぞ!」
 そんな狼達の姿を見送って、オレガノは軽やかな身のこなしでくるり回ると微笑んだ。

●アステール探し
 一瞬の出来事に、守られるがままだった少女は大きな瞳を瞬いている。
「怪我、ない?」
 ティナが屈みこみ尋ねれば、彼女は静かに頷いた。そんな彼女に笑むと、シャルロッテは柔らかな金の髪を優しく撫でる。――安心をさせるように。そして、健気な彼女を応援するように。
「私たちにも探すのを手伝わせてもらえるかしら?」
「本当! 手伝ってくれるの?」
 撫でられてくすぐったそうに笑うと、彼女は頬を染めつつエンドブレイカー達を見る。彼女の言葉に彼等は静かに頷く――一生懸命なその姿が健気で素敵だと。そう想ったシキミは、是非とも彼女に協力してあげたいと、心から想っている。
「一緒に、探そ……」
 純白の手袋纏う手をティナが差し出せば、その掌に小さな手が添えられた。

 と云っても、この場は広い。
 この泉の辺りにあると云う事だけは、確かなようだ。これはチルダも自信有り気に語る。
 僅かだが傷を負った仲間を癒していたモルラは、少女のその言葉を聞いて頷いた。
 再び視線を野原に向け、落ちている種を1つ1つ手に取り確かめるチルダ。そんな彼女の姿を見て、モルラは優しげに瞳を細めた。もしも自身に母親が居たら、きっと同じように必死で探すだろう。
 その気持ちが分かるから、頑張って探そうと思う。
「星の種って、どんなものなんだろう、ね」
 隣を歩くコヨーテのソアヴィとディノのリディ、肩に止まるファルコンのトニカへと語り掛ける。彼等はモルラの言葉に反応を示すかのように首を傾げた。――お目当ての物は隠されている物では無い為、3種のスピリットと行動を共にする事に有利は無い。けれど、家族同然の彼等と一緒なのがモルラにとっては当然の事なのだ。
 名前の通り、単純にお星様の形をしているのか――と思う。けれど、木陰でひっそりと揺れているかもしれない。ちらりと彼は、大きな木の根元を見つめる。
「蒲公英みたいに、きらきらお空を飛べるものだったら面白い、ね」
 そう呟きしゃがみこむ。共に居るスピリット達の真っ直ぐな眼差しは、彼にとっては同意に感じた。

「『星』と云う位だもの……星っぽい形をしてる筈!」
 茂みに目星を付けたオレガノは、咲き誇る白やピンクの春の花に目移りをしつつ、それらしきものを探していく。――植物が好きな彼女にとって、自然溢れるこの場は誘惑が多い。
 興味を惹かれる度に目的を思い出し、首を振り捜索を開始する。
 五芒星型の木の実を見つけ、これかと手に取ってみる。いや、しかしこれではまんま過ぎる。本当は丸だったり、流れ星みたいだったりするのかもしれない。
「こう云う蒲公英の綿毛の集合体みたいなのや、花が雫型のとか。可能性があるんじゃないかしら」
 花を手に、うんうんと頷きながらオレガノは推理を繰り広げた。

 星の種はどんな物か――頭に描きつつ、ティナは草木を見つつ茂みを掻き分けていく。
 こうしていると、幼い頃を思い出す。色んな草花を示して、色々と母に教えて貰った事を思い出し、ティナの顔には僅かに笑みが浮かぶ。
 何かに隠れている可能性を考えて、草木の陰、土の下、花の中。傷付けないように丁寧に掻き分け彼女は探す。真白の服が土で汚れてしまう事も気にせずに。
「お空の星みたいに、小さくて……きらきら光ってるのかも……」
 どう? と問うようにプリムを見たが、彼の妖精はふわりと舞い軌跡を描くだけだった。

「星の種……素敵な名前よね」
 泉から離れない程度の距離で、森の中を散策しながらシャルロッテは呟いた。腕の中のぷぅちゃんが、めーと鳴いたのは同意だろうか。その様子に、くすくすと笑い声を零す。
「この辺りかしら? みんな、お願いね」
 腕の中からぷぅちゃんが飛び降りると、星霊兎のクロスと星霊人魚のアスカが頷く。戦闘で頼りになる彼等――隠された物を見つけるのは得意だが、答えが謎のものを探すのはどうだろうか。
 けれど、森の中の彼等の様子を見るだけでシャルロッテは笑みを零し幸せそう。
 さくさくと草を踏み締める音を響かせて、彼女は辺りを見回す。――だが突然足を止めた。
「ハートを連ねたシロツメクサのような葉の中に、星を想わす白い花」
 僅かに雫を帯びた花弁に、すっかり魅了されてしまったシャルロッテ。
 見つけた――そんな呟きが、聞こえた気がした。

●ステルラの在り処
「かならず見つけてあげますので、大丈夫ですわよ」
 柔らかく微笑み、ぽんっと少女の頭に手を乗せるシキミ。そのまま彼女が目指すのは、木漏れ日で水面輝く泉だった。そっと水面に細い足を伸ばすと――彼女はそのまま歩を進める。
 透き通る美しい泉は、水上からでも中が十分見える。ふわりと辺りを舞う妖精に視線を一瞬移すが、そのまま水の中をまじまじと見つめる。
「星って名の付くくらいですから、きっと星形をしているでしょうかね?」
 小首を傾げると、シキミの長い菫色の髪もふわりと揺れる。
 手を添えられた頭に手を乗せ、泉を歩くシキミをじっと見つめるチルダ。
 本来の目的を思い出したのかはっとすると、慌てて地面を凝視しつつ見逃しは無いかとぺしぺし叩く。そんな彼女と共に、ステラも地面を丹念に見まわす。
 大きな瞳を更に大きくして探し物をするチルダの姿に、フィンは僅かに瞳を穏やかに細める。
「チルダさんは、お母さんが大好きなんですね……」
 真剣な少女の姿。――それは本当に、母親の事が好きだと云う証でもある。
「うん、大好きだよ! だっていつもいっしょで、あったかいもん!」
 顔を上げ、母の事を語る彼女は満面の笑み。その言葉と少女の姿に、フィンの瞳が僅かに潤む。
 慌てて彼女が俯けば、水流のように真っ直ぐに流れる美しい髪が顔に掛かる。
「お姉さん……?」
 その様子に不思議に思い、チルダは首を傾げて伺うように覗き込む。しかしフィンの顔は、長い髪に隠れて見えない。彼女はなんでもないと首を振ると、顔を上げた。
「……すみません。私の母様の事を、思い出しました。お母さんのこと、大切にしてあげて下さい」
 僅かに頬を緩めるフィン。彼女のその言葉に、少女は元気よく返事をした。
「チルダさんー! これはどうかな?」
 両掌に花を沢山乗せ、オレガノが少女へ語り掛ける。少女は瞳を輝かせると、1つ1つ手に取り星の種を探す。――蒲公英の綿毛に雫型の花。そして五芒星型の種等々。
 全てを見た後、少女は首を振るう。そっかー……と少しがっかりするけれど、オレガノは変わらず明るい笑顔を浮かべる。様々な花や実を拾ったけれど、知らない物も多いから。
「これはなんて云うお花なのかな? あ、こっちの木の実は食べても大丈夫なのかしら……?」
「花の名前は分からないけど、その木の実は食べれるよ。身体にすっごく良いんだって」
 紅色で光沢を持った木の実はまるで果実のよう。ふーん……と零しオレガノが口を開けると――。
「すっごく苦いんだって」
 満面の笑みでチルダは語る。既に口に入れてしまったオレガノは、口に広がるあまりの苦さに瞳を見開く。慌てて泉の水へと駆ける。――甘く無かっただけ、彼女にとっては良かったのだろうか。

●星探しの終点
 それぞれがこれだと思うものを見つけた時は、幾分か光の射し込む角度が変わっていた。
「ミルティーユさんはどんなのを見つけたの?」
「きらきら七色に輝く、トゲトゲの種を見つけたの。星っぽいかなって」
 オレガノの質問に微笑み、金平糖のような種を見せるミルティーユ。わー……と感心する彼女に、逆に何を見つけたかと問えば――葉と花弁が5枚ずつの星型をした、淡い青色の花を見せた。
「……趣味、です……」
 苦笑を零すけれど、可愛いとミルティーユは笑った。彼女達の会話を聞き、ティナも覗き込む。
「どれも、綺麗……。こんな可愛いのも、あったよ……」
 小粒な種を見せるティナ。きらきらと光を放つその種はどこか神秘的な印象――。
「あー! それ、それ!」
 ティナが種を見せると、突然少女が大きな声を上げた。――背の低いチルダにも見えるようにと野原に座り込み、エンドブレイカー達は皆が持ち寄った物を広げて語っていた。
「どう、したの……?」
「それが私の探してた、星の種! お姉さんたち知らなかったんだね」
 そう……と小さく呟くと、ティナはその種を彼女の小さな掌にころりと落とした。
「お薬効いて……早く良くなると、いいね」
 そっと少女の頭を撫でると、彼女は嬉しそうに笑った。大切そうに巾着の中に仕舞う様子を見ながら、シャルロッテは微笑みつつそっと両手を合わせると、祈りを告げる。
「きっとあなたの優しい気持ちが、ご病気の治りを助けるわ」
 優しげな笑みを浮かべるシャルロッテに、ありがとうとチルダは笑った。
「これは、余ってる?」
 同じ形をした星の種を指差し、モルラは尋ねる。1つあれば十分と彼女が言えば、彼のそっと1つを手に取った。――モルラも、母が見つかったらこの種を渡したいから。
「チルダさんも、お母さんを大事に、ね」
「あなたこそね!」
 年近い少年少女は視線を交わし笑い合う。家族を想う気持ちが、親近感を宿しているのだろうか。
 そんな2人の様子に、エンドブレイカー達も幸せそうに笑う。
 無事に任務が終わった事で胸を撫で下ろし、フィンは鞄の中から袋を取り出した。
「ミルティーユさんは甘いものがお好きと聞きましたので、フィナンシェを作ってきました」
 彼女の言うように、そこには黄金色のお菓子が。
「わあ……! わざわざ嬉しいわ」
 美味しそうなお菓子に、ミルティーユは瞳を輝かせる。皆で頂きましょうと言うフィンの言葉に、皆嬉しそうに笑う。――何せ、集まったメンバーは女性と子供。甘い物は好きに決まっている。
 春の匂いを感じて。
 温かな絆を感じて。
 甘い心地に包まれた今日の日。締めくくりはお菓子を頂きつつの談笑。
 口の中に広がる上品な甘みと共に、彼等の胸に今日の日の事は刻まれるのだろう。
 宝探しの『宝』は、きっとこの瞬間の事だから――。



マスター:公塚杏 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:7人
作成日:2013/03/27
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  • ハートフル10 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
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