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黒の塔奪還作戦:反撃へのアインザッツ

<オープニング>

●帰還の報、それは
「勇者マギラントが、銀の塔主と共に帰還したという話は、皆様すでにお聞き及びですね?」
 旅人の酒場に集うエンドブレイカー達へと、十二律の魔曲使い・ヤコフ(cn0040)はそう話を切り出すが――その表情は、かつてないほど険しい。
「……銀の塔主と共に行動していた仲間達の報告ですが、この勇者マギラントが『マスカレイド』であることは間違いありません。
 勇者マギラントがマスカレイドとなったのか、それとも、マスカレイドが勇者マギラントを騙っているのかは分かりませんが、私達が今、とてつもなくまずい状況に置かれているのは確かです」
 固唾を呑む仲間達を見遣り、ヤコフはこの勇者マギラントが黒の塔でクーデターを起こしたマスカレイド勢力を支持しており、黒の領内で活動していた黒の塔主にも危機が迫っていたことを話してから、
「幸い、エンドブレイカーと黒の塔主を信じてくださった領民により、最悪の事態は逃れましたが――このままでは悪化するばかりの状況を打開するため、黒の塔主から、黒の塔の奪還作戦に協力して欲しいという要請がありました」
 いつになくつよい意志を秘めた青い目を、エンドブレイカー達へと向けていた。
「敵がマスカレイドである以上、頼まれずとも黒の塔のクーデター勢力とは、決着をつけねばなりませんでしたし――この協力要請は、まさに渡りに船の話です。
 黒の塔主の作戦では、好意的な領民達の協力を得て偽情報を流し、黒の塔の戦力を塔からおびき出し、塔が手薄になったところを、黒の塔主を含む少数精鋭の部隊で制圧する――というものです。
 この作戦の目的は黒の塔のマスカレイドを撃破することと、そして黒のマスターメイガスを取り戻すことにあります。ここで黒の塔主がマスターメイガスの奪還に成功すればクーデターは失敗となり、黒の塔主が再び実権を掌握することもできるはずです」
 そこまで話すと、ヤコフは真摯な面持ちで、
「勇者マギラントを名乗るマスカレイドの野望、それを挫くためにも、この黒の塔の奪還作戦は成功させなければなりません。
 少数精鋭の部隊での制圧作戦となるため、危険は伴いますが――どうか、皆様の力を存分にふるっていただければ、と思います!」
 よろしくお願いします! と頭を下げていた。
 そんな彼へとかけられる作戦の詳報を求める声に、ヤコフはひとつうなずいてから、再び口を開く。
「黒の塔の戦力の多くが偽情報により塔から離れたとしても、塔を守る守備部隊までいなくなることはありません。
 そこでまずは、守備部隊のメイガスと戦う必要があります。
 守備部隊のメイガス乗りはマスカレイドではないものの、勇者マギラントが支持し、マスターメイガスを動かすクーデター派を完全に信用している者達で構成されているため、説得はほぼ不可能です。
 そんな守備部隊の隊長は、『鉄壁』の異名を持つ守備に優れた騎士です。攻撃に転ずると必ず負けるというジンクスがあるようですが、粘り強い防御作戦では右に出る者はおりません。
 また、彼の右腕である守備部隊の副長は、隊長の命令を全く聞くことなく、それでいて隊長の意図通りに作戦を遂行すると言われており、その連携には注意が必要です。
 ――とはいえ幸いなことに、この守備部隊からも、クーデターに批判的であるために外された者が多く出ており、人員不足は黒の塔主時代に冷遇されていた、素行の悪い騎士達を配属することで補っています。彼らは他の守備部隊との連携が悪く、実力も伴ってはおりませんので――もしかすると、作戦の突破口になるかもしれません。
 守備部隊の構成ですが、メイガス50体から成っており、中央に隊長、右翼に副長、左翼に素行の悪い騎士達を配し、黒の塔の入口を守っています」
 そこでヤコフは息を整え、話を続ける。
「黒の塔制圧に向けて、塔正面からの攻撃を行うと同時に、黒の塔主を救出した時に利用した通気口からの潜入も実行します。
 前回の事もありますので敵も警戒しておりますし、重要地点は封鎖されているでしょうが――通気口の構造上、完全に封鎖するわけにはいきませんので、塔内のそこそこのところまで潜入することは可能と思われます。
 潜入部隊は正面から突入する友軍の状況を確認しつつ、援護や偵察、後方のかく乱などを行なうことができます――が、この方法で潜入する部隊が5部隊を超えた場合、敵に発見される可能性は大きくなってしまいます」
 真剣な面持ちの仲間達へと、ヤコフは大きな青い目を向ける。
「黒の塔の守備部隊を突破した後は、本隊による塔の内部の制圧を行います。
 第一目標は、黒のマスターメイガスの奪還。 
 第二目標は、クーデター派のマスカレイドの撃破。
 第三目標は、クーデター派の悪事を示すような証拠の獲得。
 ……となります。
 ここで勇者マギラントについて、何らかの情報が得られれば、なお良いかもしれません。
 それから黒の塔主ですが、この部隊に同行しますので、黒の塔主の警護も必要になります。もちろん、黒の塔主と一緒に動き回るだけでは効率的な捜索もできないので、役割分担が必要になるでしょう。
 そして塔内部の敵の多くは、マスカレイドであると想定されています――容易ではない戦いが待ち受けているのは必定ですが、皆様の悲劇を打ち砕く力をもってすれば、この状況を打開できると信じております!」
 ご武運を……! 
 そう祈るように、ヤコフはもう一度、深々と一礼していた。


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参加者
わんぱく戦士・コンラッド(c00353)
紅衣の報復者・クウィル(c03503)
朱い小鳥・セシリア(c03521)
快足ジェット・クレス(c03636)
軍獣単位・オズワルド(c09213)
サイドポニーの弾丸令嬢・ノエミア(c21871)
翠風蒼雷・カエデ(c22472)
人民と共に歩む者・ルア(c28515)

<リプレイ>

●闇を剥がす
「……ったく、自分達の塔主を信じられなかった挙げ句が、このザマかよっ!」
 黒い鎧をまとう衛兵二人が体勢を立て直す隙を与えず、快足ジェット・クレス(c03636)は高速の嵐にも似た回転蹴りを叩き込むと、
「よっし、見敵必殺っ!」
 紅布が闇をよぎった次の瞬間、わんぱく戦士・コンラッド(c00353)のハルバードが、黒鎧をまとう衛兵の仮面を叩き割っていた。
 黒の塔への入口をこじ開けてくれた仲間達に応えようと、そして後に続く仲間達の一助になればと、八人のエンドブレイカー達は暗々とした廊下を馳せながら、次々と現れる衛兵マスカレイドを倒していく。
 だが、その胸中どこかで、未だ棘の影響下にないものがいたら、と願う想いは――
「あなた達もマスカレイドに……ですが、その戦意を刈り取るより」
 新たに姿を現した衛兵達の顔を覆う仮面に、純白の大鎌の切っ先を突きつけていたサイドポニーの弾丸令嬢・ノエミア(c21871)だが、
「妖精さん、お願い」
 今は敵の動きを即座に、一人でも多く止めることが先決と、妖精を召喚する。眼前で舞われたかわいいダンスに目を奪われている敵を、紅衣の報復者・クウィル(c03503)は真っ直ぐに見つめ、
「スッと行って、パッと倒して、サッと取り戻す……そんな感じで行こう!」
 三日月を描く肉厚の刃のもと、衛兵は仮面ごと斬り捨てられていた。
「塔への侵入者は生きて帰すな!」
 同胞が倒されてもなお、黒い鎧姿の衛兵はなおもハルバードを突きつけてくる。果たして彼らの根城は何処かと、廊下の先へと目を細めていた軍獣単位・オズワルド(c09213)の視界をかすめた――天井のダクト。
「……ここで、やり残した仕事が多すぎる」
 それに、再会を願う男もいるしな。そう胸中で独りごち、オズワルドは衛兵達の仮面を狙って月光煌星砲を放っていた。
「そうですね……この都市国家を、混乱の渦に巻き込むことのないように」
 頑張ります、と情を込めて、朱い小鳥・セシリア(c03521)が歌う魔曲から創り出された幻獣が乱舞し、衛兵の動きを止めると、
「さっさと道を開けろ――今すぐにだ」
 その脇から翠風蒼雷・カエデ(c22472)がもう一人の衛兵を流水斬で薙ぎ払い、とどめを刺していた。
「ここまでは順調だけど……でも、慎重に、慎重に」
 自分に言い聞かせるように呟く、人民と共に歩む者・ルア(c28515)へと、
「ええ――まだまだここで、足止めされるわけにはいきませんもの」
 うなずきながらノエミアは、廊下の奥を見つめる。
 闇の奥に輪郭を浮かび上がらせるのは、上階へと続く階段。
 その先に待つのが、いかなる敵であろうと。
「行くしかないだろ!」
 駆け出すコンラッドにうなずくより先に、彼は走り出していた。

●敵影を求め
 階を蹴り捨てるようにして辿り着いた先は、まるで幾多の戦い手が行き来した後のように雑然としている。だが、彼らがそのことに思惟を巡らせるより先に、またも黒鎧をまとう衛兵が襲撃してきた。
「次から次へと、俺達の邪魔すんな!」
 その仮面ごと弾き飛ばしてやる! と言いたげに、クレスが先制の体当たりを衛兵へとお見舞いすれば、
「――大事な仲間達のために戦う、私達の誇りは君達に、けして砕けはしない!」
 よろけた敵に照準を合わせ、クウィルは手中の得物を勢いよく振り下ろす。
「させるか!」
 深傷に構わず、衛兵がハルバードを投げつけてきたが、
「ボスの口車にやすやすと乗った下っ端の罪……後悔してください」
 ノエミアの呼び寄せた妖精が散布する眠りをもたらす粉のもと、覚めぬ昏睡へと導かれていた。
「何としても、貴様らをここで止める!」
 だがすぐさま、ハルバードを頭上にかざして駆け込んできた新たな衛兵へと、
「引きません――わたし達にはまだ、成すべきことがたくさんあるのですから」
 セシリアが歌う、静かな子守唄。その残響が未だ廊下に漂うなか、
「マスカレイドがオレ達の行く手を阻むってんなら、容赦はしねぇ! この先に待つ相手が、たとえ七勇者の一人だろうとな!」
 コンラッドもハルバードを回転させながら突撃していた。
「慎重に……だけど攻め時には、私にやれるだけのことはするの!」
 己に気合を入れ、駆け寄ろうとした衛兵目がけて、ルアはワッパーシュートを放つ。捕縛具がもたらす苦痛に身じろぐ敵へと、オズワルドは得物の切っ先を向け、
「首謀者の儚い夢には、一時でも早く幕を引かねばならんからな」
 俺達を止められはせん、そう言外に物語るように月光の結界へと衛兵を封印していた。
「出でよ、『麒麟』」
 今度は穂先に雷の紋章が刻まれた槍を手に、カエデは凶暴なその眼光に相応じるような声音とともに、麒麟撃を放つ。白光を放つ幻獣の角に突かれた衛兵を、
「こんな所で立ち止まってるヒマはないんだ!」
 風に乗ったクレスが、バックスピンキックで敵の息の根を止めていた。
 綾目も解らぬ闇の先であろうと――仲間達のために、そして彼らが守るダークアイのために路を切り拓く、そんな気迫を込めて歩を踏み出していた彼らを前に、
「ぐっ……」
 ハルバードの穂先を震わせた衛兵は、即座に踵を返して逃げ出していた。
「逃がしませんよ!」
 上下する黒鎧の背へと、すかさずルアが透明な印を投げつけ、
「廊下の奥に向かっているようね……追いましょう!」
 そうと聞くよりも先に、彼らは闇の奥へと走り出す。
 なるたけ数多くの敵を倒しつつ、一階でも、一歩でも先に進むために。

●闇に浮かぶ白
「少しは待てよコンラッド! 不意討ちされたらどうすんだよ!」
「そん時はそん時でぶっ飛ばす! それよか、お前には負けねぇぞクレス!」
 元気な少年二人の声が、暗い廊下へと響きわたる――どこか、仲間を鼓舞するように明るく、力強く。
「……大丈夫、君達と一緒なら、どんな相手だろうと勝てるさ!」
 それを聞いたクウィルは笑みを浮かべつつ、黒い背を捕らえようと足を速めていた。
 ――だが次の瞬間、その鎧の色は。
「退き時を過った上、敵の群れに背を向けるなどとはな」
 ぎらりと光った太刀の一振りに、首を落とされた衛兵の撒き散らした血に赤く染まっていた。
「……何奴だ」
 その声を聞きつけたオズワルドは歩を止め、
(「背後を取られてはかなわんからな」)
 ソーンリングを展開しつつ、新たな敵へと視線を転じる。
 先刻よりは幾分かは強そうな、マスカレイド化した五人の衛兵、そしてそんな彼らの後ろで、左手に握る炎剣を突きつけてきたウォーマスターは――まとう装束のすべてが白。
(「なんだかこいつはヤバそうだな」)
 そう見て取ったクレスは気取られぬよう、ウォーマスターへと透明な印をそっと投げつけていた。
「ネズミ風情がちょこまかと、小うるさい真似を」
 肩口から生えた右手で、先刻、衛兵の首をすげなく刎ね落とした太刀の切っ先をエンドブレイカー達へと向け、
「まあいい……ダークアイの前に、まずはお前達からだな」
 ウォーマスターはすぐさま、空間を断つ一撃を放ってきた。
「あの子を絶対に、お前らなんかに殺させてたまるか!」
 頬にひとすじの傷をはしらせてなお啖呵を切ったクレスは、ウォーマスターの右肩口を狙ってスピンキックを浴びせかける。
 だが、初撃で首領格を狙われたことに衛兵達もすぐさま反応し、槍とハルバードを手に防護を固める。
「塔主さんと仲間達を苦しめる側に荷担したその罪――その身に思い知らせます!」
 この先に待ち構えているだろう存在を想起し、声を張り上げていたノエミアだが――今はまだその時ではない、そう言い聞かせるように愛用の純白の大鎌の柄を撫でてから、ダンシングフェアリーで衛兵達の目を釘付けさせる。
「守るべき者を違えた者になど、私達は決して負けない!」
 はっとして槍を構え直した衛兵の黒い鎧に、クウィルの三日月斬りが深々と傷をつける。
「真実を突きとめるために……勇者マギラントを名乗るマスカレイドのもとへ!」
 それに呼応したセシリアの魔曲が生み出した幻獣は群れを成し、衛兵達へと疾駆する。
 だが、仲間に続けと足を踏み出そうとした彼らの前に――衛兵の振るうハルバードから撃ち出された大量のオーラの刃が雪崩れ込んできた。

●道切り拓くため
 敵の放った刃は前衛のみならず、中衛に布陣したカエデまでも強襲する。手傷を負わされたその攻撃にぐっ、と歯を噛みしめていたエンドブレイカー達の頭上で、ウォーマスターは軍配を一振りし、
「まだ、ネズミ如きが足掻くつもりか?」
 彼らを見下すようにうそぶいた。
 だが、戦いの手練れとおぼしき敵の顔を覆う仮面をカエデは睨みつけ、
「止まりも引きもするものか……この行動が正しいと信じているからな!」
 ウォーマスターへと見せつけるように手中の野太刀を振るい、深傷を負った衛兵を、凪と荒波の緩急つけた薙ぎ払いで息の根を断つ。
「そうよ、大義はこちらにあるのだから!」
 そのためにはどんな手段だって、そう胸の内で強く呟くと、ルアは負傷した衛兵目がけて断罪ナックルを叩き込んで、止めをさした。
「下らん御託を!」
 ウォーマスターの号令一下、衛兵の一人がすぐさま地面から大量の槍を生やし、エンドブレイカー達の行く手を阻む。
「オレ達の力、あなどるな!」
 負傷した仲間を庇うように跳躍したクレスは、お返しだと言わんばかりに衛兵の頭上から勢いよく蹴りかかる。動きを止めた敵をちらりと見、コンラッドも負けじとハルバードをかざして突撃していた。
「俺達が目指すは、この塔のさらに上――首謀者どもの居場所、吐いてもらう」
 ウォーマスターと傍らの衛兵を巻き込み、月光の結界に捕らえようとしたオズワルドだったが、
「血飛沫をあげる暇たりと、与えてなるか!」
 そんな彼を、高熱で透明化した炎剣が狙いを過つことなく切り裂く。
「間に合って!」
 躊躇うことなくセシリアが歌っていた勝利の凱歌は、負傷した仲間達を再び戦いへと駆り立てるように、暗い廊下へと響き渡る。だがウォーマスターも衛兵を促し、癒しの鷲掴みを放たせて、双方共に戦況をならそうとした。
「妖精さん、寝かしつけてくださいな!」
 だが、敵に消耗した体力を補う暇は与えまいと、ノエミアが召喚した妖精がフェアリーパウダーを振りかける。その威力に抗えず、ぐったりと眠り込んでいた敵を見下ろし、
「勝機はこの手で引き寄せる!」
 クウィルはうなずくと、断罪の女神の紋章を浮かべた拳で衛兵を殴りつけ、その仮面を粉々に砕いていた。
 しかしウォーマスターもまた太刀を鋭く振るい、報復の殺気を放って応戦してくる。
「俺はダークアイを血潮の名残すら留めず、殺し尽くさねばならぬというのに」
 左手の炎剣を突きつけ、そう口にしていた敵に、
「ふざけるな! 今まで黒の塔をまとめて、頑張って引っ張ってきたのはあの子の力だろ!」
 黒の塔主――ダークアイへと掌を返す仕打ちを見せた大人達への怒りをぶつけるように、クレスはその仮面を思いっきり蹴り飛ばしていた。

●潮目を読む
 ダークアイのために道を切り開くべく、黒の塔を馳せるエンドブレイカー達。だが、その途上で出遭ったウォーマスターが今、彼らの壁となって立ちはだかる。、
「二度と歌えなくさせてやる!」
 静かな子守唄で戦意を鈍らせようとしたセシリアに、肩口から生えた腕を駆使して太刀を振るい、空間ごと切り裂いて襲いかかっていた。
「つらい思いを誰かにさせたくないから……絶対に……諦めません……!」
 立てぬほどに体力を削がれながらも、そう告げていたセシリアへとノエミアがうなずき、
「私達のこの力、後悔も追いつかないほど見せつけてあげます!」
 ウォーマスターをダンシングフェアリーで足止めしていた。
「風よ! ……オレの命を糧に吹け!」
 道を切り開くために、ここで負けるわけにはいかないと――カエデが呼び寄せていた海原に歌う風が、最前線の仲間達の傷を癒す。
「ならばこの太刀で、命の穂を刈り取るまで!」
 しかし、ウォーマスターは半月を描く太刀でクウィルを斬りつけていたが、
「どんな窮地だろうとも、諦めなければ勝機はある……勝利する自分をイメージしろ!」
 己を叱咤するように振るった彼の断罪ナックルが、ウォーマスターの頬にめり込む。それを見たルアは前に出、続けざまにワッパーシュートを投げつけるものの、
「蹴散らしてやる!」
 敵の無影斬りを浴びせられ、膝をついていた。
 戦況は必ずしも芳しくはないが――かと言ってこのまま、ウォーマスターを行かせるわけにはいかない。
「あの小さな暴君を、みすみす殺させる事態を招来させてなるか……!」
 オズワルドがムーンブレイドで空間を斬り裂き、傲然と前に歩を踏み出していた敵へと月の魔力を撃ちだし押し返す。そこにすかさず、蹴りかかっていたクレスの一撃に虚をつかれ、ほんの一瞬、ウォーマスターの左腕が止まる。
「オレ達の目にする状況がどんだけ変わろうと……マスカレイドの企みは、きっちりブレイクしてやるぜ!」
 それを見逃さなかったコンラッドの、ハルバードの柄に巻かれた紅布が滝さながらに視界をかすめていた、次の瞬間――ウォーマスターの左腕がごとりと廊下に落ち、鮮血がその白装束を赤く染め上げていく。
「ぐっ……よくもやってくれたな、このチビどもが……っ!」
「チビって言うな!」
 ハルバードを突きつけるコンラッド、そして居並ぶエンドブレイカー達をウォーマスターは睨みつけていたが、
「左腕の代価は――ダークアイのみならず、お前らの仲間達の命だ……!」
 ここは退き時と見定めたのか、口惜しげな捨て台詞ひとつ残して踵を返す。
「……待て!」
 後を追おうとしたエンドブレイカー達へと、ウォーマスターは振り向きざま太刀を鋭く振るい、遠間より斬りかかってきた。
 赤く染まった白鎧が闇の奥へと消えていくのを、彼らはじっと見つめる。ここまでの途を切り開いてはきたが――動けぬほどの怪我を負った仲間達を抱え、この先に足を踏み入れるのは無謀でしかない。
「マクガフィンに会い、借りを返したかったが……」
 そう判断していたものの、ぽつりとそう呟かずにはいられなかったオズワルドに、彼らはうなずきを返すと――その場にたたずみ、仲間達とダークアイの無事をただひたすら、祈り続けていた。



マスター:内海涼来 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2013/03/11
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