ステータス画面

ギルバニアを討て:戦う者の掟

<オープニング>

●緊急の話
「皆さん、大変です。ジャグランツマスカレイドを統率する王が、ついに姿をあらわしたのです!」
 鞭の魔曲使い・アンナ(cn0055)は、動揺する気持ちを抑えるように、ゆっくりと話し始めた。
「ジャグランツ王の名はギルバニア。突然に現れた王と精鋭マスカレイドジャグランツによって、遠征に来ていたジャグランツ討伐隊は壊滅させられてしまいました」
 酒場がざわめき、様々な憶測や意見が飛び交う。
「大損害を受けているのに、チャンスというのも憚られるのですが……、ジャグランツ王自らが乗り出して来た事は、私たちだけで無く、相手も追いつめられている事を意味します」
 今ここで、ジャグランツ王を討ち取る事が出来れば、一連の事件は、解決に向けて大きく動き出す。だからこそ、危険な任務になるけれど、皆さんの力を見せて欲しいと、アンナは続け、作戦について話し始める。

●作戦
「王によって討伐隊が壊滅させられた事は大きな痛手ですが、ジャグランツの軍勢も大損害を受けて、目下混乱中です」
「そこに付け入る隙があるって訳だな」
 そう言って、立ち上がったエンドブレイカーの顔を、アンナはじ〜っと見ると、悲痛な表情で頷きを返す。
「その通りです。そこで私たちは、少人数の部隊を編制し、撤退するジャグランツ王を狙います」
 酒場が静まりかえる。少人数の部隊に課せられた目標が、途方も無いことであるのは、明らかだから。
「王の所在を突き止め、ジャグランツの軍勢の目を欺いて接近し、護衛のマスカレイドジャグランツを排除する。そして、たとえ一人になっても、ジャグランツ王の元に辿り着き、首を取る事が出来れば……作戦は、成功と、言えます……」
 酒場に集まったエンドブレイカー達の視線に強いプレッシャーを感じる。依頼している内容は、伸るか反るかの大勝負で、生半可な覚悟では到底達成出来ない。その意味の重さに、アンナは言葉をためらい始めた。
「……すなわち、ジャグランツ王を倒すには4つの障害をクリアする必要があるのです」
 だが、どんな辛い内容であっても伝えなければならない。
 この危機的な局面を打開する事が出来るのは、純真にして勇敢、恐れや打算を持たない気力あるエンドブレイカーしか居ないのだから。
「1つめは、王の撤退路を発見、追跡する事です。的確な情報収集の手段によって、知り得た情報を……例えば、誰にでも分かる目印なんかで、他の部隊に知らせる工夫ができれば、ジャグランツ王の撤退路を見つける事は、難しくは無いかもしれません」
 他の部隊と連絡を取る事は出来ないが、他の部隊に有利になる情報――危険や進行方向などを、一方的な情報として残す工夫は出来るかもしれない。
「2つめは、ジャグランツの残存戦力です。大混乱に陥っているとは言え、強力なジャグランツのとの戦闘を繰り返せば、10人ぐらいの部隊なんて、あっという間に消耗してしまうのは目に見えています」
 見つからない様に移動する方法や、見つかった後の行動を、工夫する必要がある。あるいは他の部隊の成功を信じて、出来るだけ大きな騒ぎを起こして、敵を引きつけるという命がけの作戦もあるかもしれない。
「3つめは、王の親衛隊である精鋭ジャグランツマスカレイドの存在です。精鋭ジャグランツマスカレイドに、がっちりガードされた状態で、王に戦いを挑むなんて、攻撃を当てるだけでも至難の業だと思われます」
 いかにして精鋭ジャグランツマスカレイドをジャグランツ王から引き離すかが重要な鍵になる。ジャグランツマスカレイドがどれほどの戦闘能力を持っているかまでは分からない。勿論、他の部隊に連絡を取る事も出来ない。だが、他の部隊を信じ、助ける為にしなければならない事もあるかも知れない。
「4つめ、――最後は、ジャグランツ王ギルバニア自身の戦闘力です。どれほどの強さかも分からないジャグランツ王との直接戦闘に持ち込む事が出来たとしても、勝利に持ち込める可能性は高くはありません。どのように戦って、勝利の為に何を為すべきかの道筋を見いだせれば……ひょっとすれば、その先に僅かな勝機がみえるかもしれません」

●お願い
 アンナは素直に頭を下げるしか出来なかった。送るも、征くも今生の分かれになるかも知れないから。
 でも、最後まで、伝えなければならない。それが役目だから。
「皆さん、この作戦には、無事に帰って来れる保証は、全くありません」
 撤退などを考えていては、任務を達成する事は不可能である。これは、人間が人間に対して命を懸けろ――命を捨てて下さいと頼んでいるのも同然である。依頼するアンナも話しを聞いた者も万感が胸に満ちて沈黙が続いた。
「ぜひ、僕にやらせて下さい」
 一人が立ち上がると、集まっていたエンドブレイカー達が、我も我もと立ち上がった。
「皆さんに、お願いします。どうか……成功してください」
 立ち上がった者の一人一人の顔を、しっかりと見つめると、アンナは深々と頭を下げた。


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参加者
リターニングマン・バルダス(c00250)
茫・カイユー(c00575)
終焉の蒼騎士・レイフォン(c01685)
折剣の・ベリアス(c02155)
一刃の星・レイジ(c02370)
盾の城塞騎士・オロア(c02685)
梟爪闇翼・フェイ(c03258)
克己卿・ジェオ(c04283)
拷獄の鷹・ガンホーク(c08583)
九龍娘娘・シンルー(c10380)

<リプレイ>

●行軍
 廃墟には死が蔓延していた。
 赤黒い臓物を晒して息絶えた兵士や無数の刃に突かれて穴だらけになったジャグランツの遺体が、弔われる事もなく放置されたままなっている。
 そんな風景が続く中を、一行はひた走る。
「討伐隊の皆さんの無念も……これから生み出されるであろう悲劇も此処で断ち切ります」
 終焉の蒼騎士・レイフォン(c01685)は、まるで死者に向かって語る様に呟く。
 敵の目と耳から、自分たちを守る為に、廃墟の色合いに馴染む様に装備に迷彩を施し、靴音を立てぬ様に靴底にまで加工を施していた。
「帰って来られる保証は、全くありません、か……まあ戦いってのは元々そういうもんだ、慣れてるさ」
 リターニングマン・バルダス(c00250)は、唇を噛む。この地獄のような場所で、一人の人間の出来る事は限られている。
「……ついに、王が。……何としてでも、倒さなきゃ……」
 茫・カイユー(c00575)は、汗ばむ手をぎゅっと握り、気持ちを奮い立たせる。ジャグランツ王・ギルバニアは、侮れない能力を持っているに違いない。だから覚悟を決めた。自らの力が尽きるまで、仲間を癒し続ける事に戸惑わないと。
「遂に『王』と決戦か……これ以上、皆を傷つけさせるわけにはいかない! だから、絶対に勝たないとね」
 一刃の星・レイジ(c02370)は思う。ここに来た以上は、敵を屠る為に力を尽くすのみ。
「行って倒して大団円。って感じになれば楽なんだけどな……」
 折剣の・ベリアス(c02155)は、軽口を叩く。楽ではない事を分かっていたから。
 先行した仲間が、後に続く者の為に残してくれた目印がある。
 盾の城塞騎士・オロア(c02685)は、静かに一行の進むべき方向を指差す。
「行こうか、終わらせるために……」
 フードを目深に被った梟爪闇翼・フェイ(c03258)は呟くと、止めていた足を動かして駆け始める。
(「天啓を授けし者は、言った……」)
 克己卿・ジェオ(c04283)は、ある教典の一節を呟く。
(「功績ある英雄なら兎も角……野蛮なだけのバルバの王じゃ誇り高き竜には敵わないんだよ?」)
 九龍娘娘・シンルー(c10380)は思う。
 そんな中、拷獄の鷹・ガンホーク(c08583)の頭は、どこまでも冷えていて、戦いの末に作り出された狂気を誘う光景にも心惑う事は無かった。

●攻撃開始
 間もなくフェイが遠目に白いドレス姿の貴婦人を発見する。それがギルバニアであった。
 リスクを恐れずに王を目指した一行の勇気と、自らの役割を全うした他の部隊の成果が合わさって、一行にギルバニア攻撃への一番槍の栄誉をもたらしたのである。
「見つけた、追撃する」
 己も鼓舞する様に、前進を続ける仲間達にフェイが呼びかけると、緊張が一気に高まる。そして、ギルバニアの姿は、直ぐに誰の目にもハッキリと見える様になる。
 周囲の空気が変化した事、襲撃の気配を感じ取って、ギルバニアは敏感に反応した。ギルバニアの視線を感じて、バルダスは鬨の声を上げると、すぐに大剣と共に獣と化した腕を振り上げ、緩やかな斜面を一気に駆け下る。
「俺も全力を尽くそう」
 その動きを援護しようと、ガンホークは、掌に全てを吸い込み、焼き尽くすが如き特大の黒炎を集めて放つ。そして10人のエンドブレイカーは、ギルバニアの進行を阻む様に同時に展開し、攻撃の間合いを測る。
 そんな中、いち早く動いていたバルダスは、ギルバニアの側面に肉薄する事に成功する。
 そして、獣と化した腕を振るう。だが、期待した手応え無く、下半身の球体を掠るに留まった。直後、彼の頭上に跳ね上がったギルバニアは落下し、脈打つ肉塊が、周囲の瓦礫と一緒にバルダスを押し潰す。
(「流石は王と言ったところですね」)
 そう簡単にがやられる筈は無い。そう信じてオロアは静かに祈り、光る拳を打ち出して、倒れ伏したバルダスに癒しを与えた。
 直後、ギルバニアは無造作に飛び跳ねて動き始め、囁く様な美しい声で歌いながら、傘を振るって次々と光線を放つ。光線は輝く度に、岩を砕いて砂塵を巻き上げ、鉄を溶かすが如き熱さをも感じさせる。
「それなりだと思うけど……故郷の母様の方が綺麗だし、ボクが崇める主様の方が強そうだね〜」
 ギルバニアの歌声にシンルーは、懐かしい故郷の記憶を呼び起こして呟く。
「教典にあった、神の大宴会の如きであるか?」
 両手に得物を持って、接近を試みたジェオが、一歩を踏み込んで身を固める。そして、繰り出した渾身の一撃は脈動する肉瘤の一つに傷を刻む。
 近づけば腹で押し潰され、間合いを取れば変幻自在な光線の餌食になってしまう。いまや戦士達は圧倒的なギルバニアの戦闘力の前に劣勢を強いられている。
「負けたくない! 負けられないんだ! 僕達の後ろには帰りを待ってる人が居るんだから!」
 レイフォンは鼓舞すると、ギルバニアの元へと駆けて防御を固め、両手に構えた剣――星剣『グラム』と滅剣『レーヴァテイン』を鋭く降り下ろす。
 レイジの燃えたぎるような闘志に呼応して、フェイが咄嗟に無数の毒針を吐き出す。その鋭利な軌跡を追ってバルダスが猛牛の如きに駆け、獣と化した腕を振るってギルバニアの肉塊を殴打する。
「これが――『坊や』か?」
 バルダスの眼前、赤黒い膜の内側で、瞳のようなものが動いた気がした。
 無数に脈打つ肉瘤の一つを足場にシンルーは駆け上がると、ただ前だけを見据えて、豊かな胸を目がけて拳を突き出した。温かな人の乳ではない。化け物のただ大きいだけの虚乳である。それは拳を受け止めてぷるんと揺れた。
 鮮やかな連続攻撃であった。ギルバニアは、何度も受けては不味いと感じたのか、間合いを整えようと動き始める。
「おっと、どこに行くんだい」
 ベリアスは、自信に溢れた様子で掌から雷光を連射する。それは追い打ちとなってギルバニアに襲いかかった。
 行ける。誰もがそんな希望を持ち始めた。
 だが、ギルバニアは少し態勢を崩したに過ぎなかった。間合いを仕切り直すと、今までとは比べ物にならない規模の光線を放ち始め、怪しげな歌声も大きさを増す。
「……ボクの身が……尽き果てるまで……」
 カイユーは、ひたすらに皆の無事を祈るように、力強く歌い続ける。
「何が目的か知らないが、此処で潰させていただこう。その腹の化け物ごとな!」
 ギルバニアの周囲の空間が黒く揺らめき、無数に現れた邪剣の群れが乱舞し、血を吸った様な赤色に変色して行く。ガンホークは召還した邪剣であった。
 だが、無造作に動き回るギルバニアに対して、遠距離のアビリティを撃ち合っても目に見えた効果は少ない。
「これじゃ埒があかねぇな」
 バルダスは言って、降り注ぐ光線をその身に受けるも止むなしと駆け出す。オロアもディフェンスブレイドで守りを固めると、その後に続く。やがてバルダスは、巧みな身のこなしで、地を蹴って脈打つ球体の上に飛び乗ると、踏み込んで大剣を振りかぶる。同時にギルバニアの顔に己の顔を肉薄させ――。
「ほう、良い女だな、殺すにゃ惜しいが……」
 言いかけた瞬間、身体に押し当てられた傘先から光線が放たれた。
「バルダス!」
 オロアの呼ぶ声は届かない。
 縁がなかったって事か……続きを言う事は許されずに、身体は光条に包まれて吹き飛ばされる。視界の全てが光に満ちて行くのを感じながらバルダスの意識は塵の様に飛散して消えた。

●激戦
 ギルバニアの圧倒的な攻勢の前に、一行は正に全滅の危機を迎えていた。
「ギルバニア! これ以上お前の好きにはさせない、決着を付けようか!」
 急激にダメージが積み重なってゆく。この危機を打開しようと、レイジは剣を振り上げて駆け始める。直後、正面からの閃光が後ろに通り抜けた。
「皆一緒に帰るんだ……だから、こんなとこで死ぬもんか!」
 傷口の焦げた匂いが鼻をつき、刹那、喉の奥から鮮血が吹き出し、膝の力が抜ける。抗い難い痺れと目眩に次第に意識が遠のいて行く。
「レイジ兄ーっ!」
 シンルーは絶叫する。その彼女の目と鼻の先で、倒れたレイジは赤黒い肉球で踏み潰された。
 泣いている暇は無い。今なら光線が止んでいる。レイフォンの癒術によって力を取り戻したシンルーは、レイジの思いを継ぐかの如くにギルバニアに肉薄すると、側頭部に肘打ちを食らわせ、顔面に怒りを込めた正拳を打ち込む。刹那、ギルバニアの身体は前後に揺れ、傘を持った腕がぐるりと回る。
「絶対あきらめないんだよ!」
 確かな手応えを感じて、着地したシンルーが見たものは光に包まれて行く風景であった。小さい少女の身体は、背後から放たれた光に飲み込まれ、刹那、幻想的な光芒の中で、全てが塵と消えて行くように見えた。
「貴様の撒き散らすその災過、切り払う……!」
 レイフォンは叫ぶ。そして、食いしばる歯から火花を散らすが如き勢いで、ギルバニアに向かって走る。
「この一撃で極める……零距離……墜ちろ!」
 レイフォンは至近から、横薙ぎに振るう刃の動きと、下から上へと斬り上げる軌跡とを描き、傷を刻み付ける。直後、その脈打つ肉壁が眼前に迫ってきて、レイフォンは仰向けに押し倒される。
「危ない! 避けろ!」
 ベリアスが精一杯の声を張り上げながら、見えざる爪を飛ばし、ギルバニアの肉を切り裂いた。
 だが、飛び上がったギルバニアは、無防備に横たわるレイフォンを真上から押し潰した。
「……」
 阻止出来なかった。ギルバニアに向かって踏み出したフェイは、レイフォンを押しつぶしている肉塊に稲妻の闘気を込めた長刀を、ただ無言で振り下ろすしか出来ない。
「……みんな、無事に……帰るんだよ」
 満身創痍のカイユーが立っている仲間を鼓舞する。疲れなどおくびにも見せずに透き通るようなアルトの声音と竪琴の響きで雄大なメロディを奏でる。それはギルバニアの歌声を打ち消すが如き力強い歌声となって絶望的な戦場を駆け抜けた。直後、カイユーの真上から天の怒りの如き特大の光線が降って来て、閃光が弾けた。
 カイユーの歌声はもう聞こえない。地面には大きな穴が開き、白煙を漂わせているだけある。そして、ギルバニアの歌声だけが戦場に響き、そこから放たれる輝きが戦士達を追いつめて行く。

●最後の攻撃
 ギルバニアは去り際の駄賃と言わんばかりに光線の雨を降らせると、再び移動を始める。
 戦場のあちこちからは白煙が上がり、引き裂かれた名も無き兵士やジャグランツの遺体が、瓦礫と一緒に混ぜこぜになっている。
「たとえ勝てる可能性が無くても、戦いが続いている限り、俺は可能性を見つける為に戦うんだ!」
 動ける仲間は5人しか居ない。
 次の一撃を耐えきれる確信は誰も持てなかった。そして、このまま黙っていれば、無事にやり過ごせるかも知れない。
 だが、引こうとする臆病者は居ない。
「俺が引きつける。だから、皆で攻撃を集中させるんだ!」
 最期の攻撃になるかもしれない。ベリアスは言うと、オロアは最後の力を使って、癒しの拳を発動し、瞬間、輝く掌が、優しく鷲掴む。
「ベリアス君は運が良いですね」
 オロアが、目を細めて微笑む。
「命とは生きている限り互いに喰い合うものなのさ」
 ジェオも最後の癒しの拳を発動すると、お前も幸運だよとオロアの肩を叩く。
「必ず戻ると、約束した……だから、成功させよう」
 ガンホークが続けると、フェイは無言で頷いて、仕方ないな〜と言った様子で、ぽやんと微笑む。刹那の間、集まった5人の胸に万感が満ち沈黙が流れた。
「行きましょう。変えられる終焉ならば、真に終焉とは呼べないでしょう」
 オロアは静かに、そして覚悟を決めて言った。
「行くぞ、ギルバニア! その悪趣味な仮面、俺たちの終焉ごと打砕いてやる!」
 ベリアスの振るった得物から生み出された六連の衝撃波が立ち去ろうとするギルバニアを捉える。
 瞬間、振り向きざま、ギルバニアが振るった傘から、放たれた渦巻く光条がベリアスを直撃した。続けて傘が振るわれ、光線が次々と放たれる。
「これでもな、譲れないモンがあるんだよ」
 ガンホークの掌から射出された巨大な黒炎と、正面から現れた螺旋を描く光条が交差し、光条は真っすぐにガンホークを捉え、掌を引き裂き、肉を焦がした。
 さらに、次々と射出される光線は、教典の文言を口ずさみながら進むジェオを薙ぎ払い、弾ける砂塵はオロアを打ち倒した。
 全力を出し切った。もはや追いすがる力を残している者は居ない。
「我が身、刃にして、ただ死をもたらす者也。この身、ただ鋼となりて、我が前に立ちふさがりし者、悉くを屠る也。故に、我に恐怖は無く、絶望も無し。故に、我、不滅也」
 フェイは感情を押し殺すように静かにつぶやくと、四つん這いに身体を起こし、フードを被り直す。直後、細い目から一条の筋が零れ落ちた。
「決して逃がさぬよ、ギルバニア……。獣の王は、滅ぼされるがよい」
 軍勢は自分たちだけではない。遠ざかって行くギルバニアの背に向かってジェオが言った。



マスター:もやし 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/06/17
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  • せつない10 
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