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【領主館潜入】紡がれた糸の先に

これまでの話

<オープニング>

 エンドブレイカー達は先日カードゲームをした空き部屋に全員が集って情報の交換していた。
「このまま使用人の仕事を続けながらではこれ以上の情報収集は難しいですね」
 夜偵察に出ようとしてフルアーマーの騎士達の巡回を見た翠玉の狩人・ユーラティア(c00678)が切り出す。
「……動く……か?」
 最年長である護り手の・ダリオ(c00982)が切り出すと、
「夜動き回れたらもう少し情報を集める事が出来るだろうけど、昼間仕事をしながらだとこれ以上は厳しいね」
 凍てつく大地に一輪の花・アス(c00487)が同意を示し、ほぼ全員が頷く。
「強硬調査と脱出……失敗すると捕まって翌日の御館様の朝食は俺達か?」
 黒影の重騎士・ジョルディ(c00919)が軽口を叩いて見せた。

「しかし、調べる箇所は多く、調べられる事は限られています。吟味する必要がありますね」
 光に従属する者・アルバート(c01917)の提案に全員が顔を見合わせる。
「一度騒ぎを起こしてしまえば、続けての調査は難しくなりますからね、仮面を出しているマスカレイド達も警戒して仮面を潜めるでしょうし」
 剣の魔法剣士・カナト(c02601)の言に見習い衛犬・エキュー(c10551)が続く、
「けど、あまり分散してマスカレイドと戦闘になって負けると意味ないよね?」
 ジョルディがその通りだ。と賛同する。
「『調べる対象の選択』と『戦力配分』……重要ですね、しっかり決めないと」
 太刀の魔法剣士・クリュウ(c02651)が腕を組んで考え込む。
「どんな情報を得ても、脱出出来なければ意味が無くなるよ。方針は慎重に決めないとね」
 アイスレイピアの星霊術士・ライ(c03661)の言にクリュウ以外の全員も腕を組む。

「再確認します。今、仮面が確認出来てるのが『ホフマイスター』『コック2名』『貯蔵庫番の爺さん』『買い付け担当の使用人』の5名、仮面は出てないがマスカレイドであろう事が濃厚なのが、御館様、コック長のイアーゴ、ホフマイスター配下のフルアーマーの騎士達となる。間違いない?」
 そう言って千刀狩の守人・ルーン(c01799)は全員が頷くのを確認する。
「ここは知恵の絞りどころですね、絶対に成功させますよ」
 ダリオの言葉を最後にエンドブレイカーは強行調査と脱出について話始めた。


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参加者
凍てつく大地に一輪の花・アス(c00487)
翠玉の狩人・ユーラティア(c00678)
黒影の重騎士・ジョルディ(c00919)
護り手の・ダリオ(c00982)
千刀狩の守人・ルーン(c01799)
みんなのお母さん・アルバート(c01917)
剣の魔法剣士・カナト(c02601)
隠神刑部・クリュウ(c02651)
アイスレイピアの星霊術士・ライ(c03661)
見習い衛犬・エキュー(c10551)

<リプレイ>

●成す為の布石
 ジャン爺の許可を貰い中庭に咲いた花で花束を作った、凍てつく大地に一輪の花・アス(c00487)は、御嬢様のお慰みにと笑顔を浮かべて白い長髪のメイドに花束を渡し、周囲に聞かれない小声でメイドに伝える。
(「どうかご無事で、また自由な空の元会いましょう」)
 アスの持つ剪定された枝の中にはメイドからの情報が、渡された花束にはこちら側の情報があった。エンドブレイカー達は情報を共有し、しかるべく『刻』の為、動き始めた。
 翠玉の狩人・ユーラティア(c00678)は枯れ枝を運ぶ際、人目に付きにくそうなところにわざと枯れ枝を落としていた。何本かは別の使用人やメイドに拾われたが、3日に渡って3本の枯れ枝が置かれた場所がいくつかある。
(「ここは盲点という事ですね」)
 拾われないと言う事は見つからないという事、いくつかの候補から脱出経路を考慮してユーラティアはポイントを絞り込み、黒影の重騎士・ジョルディ(c00919)が用意した油を染み込ませた薪を火種用として受け取る。そのジョルディは薪割り用の斧を自室に持ち込み、戦闘用に簡単な加工を施していた。
 みんなのお母さん・アルバート(c01917)とアイスレイピアの星霊術士・ライ(c03661)は騎士の巡回について調べていた。巡回は常に2人、涼みに出てきたと言ってもフルアーマーの2人組の時は武器を向けられ問答無用で追い返されたが、そうでない騎士の時はライが酒瓶を渡すと雑談に応じてくれた。2〜3雑談を交わし、巡回時間を上手い事聞き出すと労を労って階段を下りる。翌日、剣の魔法剣士・カナト(c02601)を加えて脱出ルートも調査する。屋敷は塀と掘で囲まれており正門である南門、そして東西に門がある。北側は中庭に面しており他の方角で門のある位置に塔がある為、出入り口はない。囚われている女性を連れて塀と堀を越えるのは難しそうだ。
「出口は3ヶ所、何処から逃げるのかよいでしょうか……」
 アルバートが顎に手を当てて考える。
 翌日、カナトと隠神刑部・クリュウ(c02651)は食糧庫で荷物を運んでいた。クリュウは運びながら扉の鍵を確認する。扉の錠前は閂錠であった。クリュウは心の中でガッツボーズをする。閂錠であれば特に鍵を必要としない、貯蔵庫番さえなんとかすれば開ける事は容易だった。
 皆が調査をする間、護り手の・ダリオ(c00982)と見習い衛犬・エキュー(c10551)は他の使用人達と仕事をこなしていた。全員が仕事を疎かにすると怪しまれるので、仲間を信じ使用人の仕事を黙々とこなす。それもまた1つの戦いであった。
 こうして集められた情報を元に、決行の日時などについて千刀狩の守人・ルーン(c01799)が買い出しの用聞きの際に黒いツーテールのメイドに伝えられたのである。

●決行の刻
 決行当日、エンドブレイカー達は3手に別れた、メイドとして潜入した者達も動いているであろうが、連絡を取り合う余裕は無い、各々成すべき事を成すだけだ。

 御館様が西棟へ戻ったのを確認し巡回の合間のタイミングを計ると、3人が3階への階段を音も立てずに上がりダリオとエキューが執務室に滑り込む。アスはそのまま廊下で執務室の扉にもたれかかるが、中庭を挟んで西棟の窓からこちらが見えるのに気付いて慌てて腰を下ろす。
 アスは中の二人に全てを任せ、足音が近付いて来ないか全神経を集中した。
 執務室の中には大きな机、2体の甲冑、そして蔵書の収められた本棚がある。
(「長らく生きて参りましたが、よもや部屋を荒らす事になるとは、人生何があるか最後の最後まで分からないものですねえ」)
 ダリオは呟きながら机の上にある手紙に目を通す。領主宛の開封された封筒、領主が出そうとしたと思われる封のされた封筒も封を切って中を見てみるが、内容的には領主として真っ当なものが多く、特におかしなところは見当たらない。ダリオは本棚を調べるが、多くの蔵書は埃をかぶっており、最近読まれた痕跡はない……が、一冊だけ、まったく埃の被っていない本があり手に取ってみる。背表紙には『詠われる騎士達』とある。中を見てみると地方の騎士や村の英雄などの伝承などを吟遊詩人が纏めた物の様だが、特におかしなところはない。
「何を企んでいるか分かれば一番いいんだけど……」
 エキューは日記やメモ書きを探したが、日記は見つからず、ゴミ箱に入っていた丸められた紙を見つけ広げてみる。メモには3人の名前が書いてあり、ローウェン、レディック、アスフォードという名が書かれており朱線が引かれている。
(「なんだろう? アスフォードは確か2階にいたフルアーマーの騎士に居たが……」)
 エキューはその後。引き出しを調べると大きめの手帳を見つける。パラパラとめくると人の名前が沢山書いてあり、カイル・バーレイ、ファルセ、エオドゥンといった名前に朱線が引かれている。先程の紙はこの手帳の一部らしい。
「あぶない!」
 突然のダリオの叫びにエキューは確認するより早く横へ飛び退く、エキューの居た位置にハルバードが振り下ろされ斧の部分が叩き付けられる。部屋に飾られていた2体の甲冑にマスカレイドの仮面が浮かび侵入者を排除しようと迫って来たのである。
「人の気配はしませんでしたが、警備は万全という訳ですか……有益な情報は得られませんでしたが時間的にも潮時ですね、逃げますよ」
 もう1体を牽制しながら言うダリオにエキューは頷いて扉から転がり出る。
「どうしました? 中で何か?」
 中の物音に突入するか迷っていたアスが問うと、
「甲冑が動き出した。マスカレイドだ、逃げよう」
 エキューが手帳を手に状況を説明する後ろで、ダリオが執務室の扉を閉める。
「火を点けるのに成功した様です。煙に乗じて逃げましょう」
 アスの説明と共に漂ってくるキナ臭い匂いと煙を感じながら、3人は脱出を図る。

 同じ頃、主棟地下の食糧貯蔵庫にアルバートとジョルディが訪れていた。
「貯蔵庫番殿、御館様が食材の事でお話があるそうです」
 伊達眼鏡を直しながらジョルディが言うと貯蔵庫番の爺は御館様が? と問い返し思案に更ける仕草を見せる。
「ここでしたら私が暫く番をしていましょうか?」
 アルバートの言に、お主がか? と再び考える。
「御館様はコック長もお連れせよとの仰せです」
「イアーゴもか? なんであろうな」
(「食材の管理者と料理人が呼ばれるんだ、何かあると思うだろう、行け、行け」)
 ジョルディの後押しにアルバートが心の中で念じる。
「御館様のお呼びとあらば仕方ない、本来なら人に任せる事はせんのだが、お主は良く働いておったのも知っておるし、暫くここを頼む。……が、くれぐれもその扉は開けてはならんし、近づいてもならん、良いな?」
 爺の念押しに判っていますよと笑顔で返し、二人を見送る。二人が階段を上がって足音が遠ざかるのを確認してアルバートは物陰に合図を送る。
「上手く行きましたね」
「気付かれないかとひやひやしましたよ」
 クリュウとカナトが物陰から現れ合流する。カナトは手に騎士像からくすねた斧をm持っている。
「小火まで時間がありません、急ぎましょう」
 アルバートに急かされ、3人は扉の閂を外しに掛る。閂はそれほど労力を掛けずに外れ扉が開く。
「ひぃぃぃぃ」
 中から数名の女性の悲鳴がする。
「お静かに、助けに来ました」
 クリュウが呼び掛けると悲鳴が治まり暗がりの中から鎖の音を鳴らして一人の女性が進み出る。
「本当ですか? 貴方達はどなたですか?」
 ボサボサの髪、薄汚れた服だがしっかりと姿勢を正した女性が問い掛ける。
「ここの領主の不正を暴こうとする者です」
 クリュウの言葉に逡巡と安堵の笑みを浮かべた女性はエマーソンと名乗った。この館のメイド長だったらしく、コック長がイアーゴに変わった際に文句を言い、辞めたとされていた人物であった。他の2人も元メイドらしく、最初は10人近く居たのだが1人、また1人と連れ出され、今残っているのは3人だけだった。
 エマーソンがクリュウと話す間、カナトがメイド達の足に付けられた鉄球のついた鎖を斧で叩き斬り、手の拘束具を外し、アルバートは扉の外をドローブラウニーの描いた箒で無用の痕跡を消す。
「走れますか?」
「なんとか」
 クリュウの問いに女性達が応えると、斧や拘束具をシーツでくるんだカナトが焦げた臭いを嗅ぎ付ける。
「始まった様ですね、逃げますよ」
 アルバートが偽装の為、閂をもう一度閉めるのを確認すると、先行したクリュウが様子を伺いながら6人は脱出を開始した。

●炎煙と脱出
「イアーゴ様、御館様が食材の件でお話があるとの事です」
 髪をオールバックでビシッと決めたジョルディが、厨房で一人仕込み作業らしき事をしていたコック長のイアーゴに呼び掛ける。
「俺をか?」
 鍋から顔を上げたイアーゴはジョルディの後ろに、貯蔵庫番の爺が居るのを見て何か納得したらしく、火の始末をつけてから合流して西棟目指して歩き始めた。
 熱気だけが残り誰も居なくなった厨房に3人の人影。ライは用意していた水気を多く含んだ木の束を無造作に鍋の近くに置く。
「さーて、上手い具合に行きましたね。直ぐに掛ります?」
 ライが準備しながら2人に問う。
「いや、次の巡回までまだ時間があるし、イアーゴ達がなるべく離れている方がいいな。もう少し待とう」
(「メイド達の方は上手くやっているだろうか?」)
 ルーンはライに応えながら同じ様に動いているであろうメイド達に思いを馳せていた。
「では、俺様は他のポイントで火を点ける準備をするよ、ここからの煙をホークアイで見て行動に移すから宜しく」
 ユーラティアがそう言い厨房を後にする。残ったルーンとライは厨房にある油なども使い、混乱が大きくなる様、細工を続ける。
「そろそろですかね?」
「そうだな」
 頃合いを見計らいルーンが火を点けると炎と煙が上がる。2人は厨房から出て一呼吸置き、大きく息を吸い込んで、
「火事だー!」
「火が出てるぞー!」
 と叫び始めた。たちまち煙が廊下を覆い、あちらこちらから人が掛けてくる足音が響く、使用人、メイド、騎士などが集まって来る。何が起こった? と尋ねられると、
「厨房で火の不始末があった様で小火が起こっています、皆で消火しましょう」
 ルーンが冷静に諭すと、バケツなどを取りに各々八方に散る。そこにアス、ダリオ、エキューの3人が掛けてくる。
「首尾は?」
 ライが尋ねると、
「あんまり……部屋にマスカレイドが潜んでたよ。あと何か判らないけどこれだけ持ってきた」
 手帳を見せながらエキューがざっくりと説明する。そこにホフマイスターが数名のフルアーマーの騎士を連れて来るのと時を同じくしてジョルディとイアーゴ、貯蔵庫番も戻って来る。
「これはどうした事だ!」
 ルーンは厨房の火災を説明する。
「俺はちゃんと火は消したぞ」
 汗を流しながらホフマイスターに説明するイアーゴを後に、我々も消火をとエンドブレイカー達も煙に紛れてその場を離れる。
「どこから逃げる?」
 問うダリオに先頭を走るルーンが応える。
「正面だ、東はこの騒動で人が集まり過ぎている。西はメイド達が使うだろう、敢えてここは正面から逃げる!」
 6人は煙に紛れて東棟から主棟に駆け込んだ。そこに居た人影が身構え、6人もとっさに身構える……が、それはクリュウ達であった。お互いの無事を確認し一息ついたところで、正面口から門を守っていた騎士が急ぎ足で入って来る。
「早く早く、御館様が消火を手伝えとの事です」
 見れば声を上げているのはユーラティアである。別の場所にも煙が大量に発生する様に火を点け、厨房を避けて回り込んで、正面の騎士を引き離していたのである。煙の隙間に一行を確認すると、水を探してきます。と叫んで騎士達と離れてこちらに向かってくる。
「手際がいいな」
 ルーンが笑みを浮かべると、でしょ? とユーラティアも灰色の髪を揺らして笑う。13人になった一行は煙の騒乱の中、手薄になった正面より脱出した。小火による騒乱の為か別の理由かは判らなかったが、懸念していた追手は来なかった。

 少し離れた路地で屋敷を見上げると煙が出ているのが見える。
「暫し待たれよ……必ずや解放して見せようぞ!」
「今宵は逃げさせて頂きますが、次に会う時はその仮面を叩き割って差し上げますよ」
 それを見上げ、伊達眼鏡を外したジョルディとダリオが決意を口にする。
「生き証人という証拠があれば次に繋がるでしょう」
 アスがそうつぶやいた時、館に向かって掛けて行く男とぶつかる。
「あぁ、ごめん。急いでいるので!」
 男は一礼してそのまま館の方へ走り去ってしまう。
「今のはピエールじゃないのか?」
 カナトがライに確認を取るも、逆側に居たライには顔がはっきり見えなかった。ピエールの顔を知っているのは2人だけなので他の者にはピエールかどうか判らず、脱出中という事もあり、それ以上は詮索するのを諦める。
「何か落として行ったよ」
 ユーラティアが拾い上げたのは紋章の描かれた鞘に入ったナイフであった。
「だれかこの紋章について知ってる人が居るかもしれませんね」
 アルバートが紋章を見ながら呟く。

 エンドブレイカー達は領主の館を脱出した。メイド達は無事脱出できただろうか? 手に入れた物は今後に繋がる手掛かりとなるのだろうか? 次はマスカレイド達も警戒を強めているであろう、紡いだ糸の先が何処に繋がっているのか? 答えは未だエンディングの見えぬ彼方にあった。



マスター:刑部 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/06/18
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冒険結果:成功!
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