ステータス画面

ギルバニアを討て:その手で全てを掴み取れ!

<オープニング>

●壊滅の報せ
「それにしてもまた、やべーのが出てきたもんだな……」
 声を掛けておきながら、にわかに沈黙。
 どうやらその態度から察してもらいたい様子の、扇の魔法剣士・タリスカー(cn0024)。
 しかたなく誰かが、尋ねる。
「ジャグランツの王、ギルバニア……か?」
「そうそう。その『王』と精鋭のマスカレイドジャグランツとやらのせいで……」
 ――遠征に来ていた討伐隊が壊滅させられた。
 ショックを隠そうともせずに告げるタリスカー。
 彼なりに討伐隊の騎士団には、ちょっとした思い入れがあったらしい。
 漂う沈んだ空気に言葉を発せずにいると、たっぷりと間を持たせてからタリスカーが顔を上げる。
「けどな。俺たちはこれを絶好の機会に代えなきゃならないんだ。
 つまり、俺らは王自らが乗り出さなきゃならない状況に追い込んだってことだろ?
 ならここで、撤退する『王』を討ち取っちまえば、この一件は万事解決に向かうって訳だ。
 勿論、危険にゃ違いないだろうが……どうだ? お前たちの命、賭けてみちゃくれないか?
 全てをその手に掴み取るために……」

●その手に掴み取れ!
 その誘いに、幾人かがさっそく頷くのを見て、タリスカーは満足げに話を続ける。
「壊滅させられたとは言え、討伐隊もただやられた訳じゃない。
 向こうにだってそれなりの被害と共に混乱をきたしている筈だ。
 今なら少人数に分かれて動くことで、撤退する『王』に追いつくのも不可能じゃない」
 ――つまり。
「ジャグランツ軍の目を欺き、王直属の護衛を排除、そして……『王』の首を取る。
 誰でもいい。一人でも『王』に辿りつき、首を取る事さえできれば、俺たちの勝利だ。
 とは言え、1人じゃさすがに討ち取れないだろうけどな」
 最後にさらりとオチをつけつつも、真剣な表情で耳を傾けだした面々に対し、話はようやく核心に向かう。
「王を討ち取る為の障害は、以下の4つだ」と。

 1つ、王の撤退路を見つけて追跡する事。
「肝は、的確な情報収集の方法と、各部隊の情報を他の奴らにどう伝えるか、ってことだな。
 それさえ上手くやれば『王』の撤退路を見つける事自体は難しくない筈だ」

 2つ、ジャグランツの残存戦力。
「混乱してるとは言っても、見つかって戦闘にでもなれば一軍の戦力だ。ただじゃ済まない。
 そいつらに見つからない移動方法なり、見つかった後の行動を取れるかがポイントだな。
 いっそ見つかった場合は、他の仲間の移動を助けるために陽動、ってのもアリかもな。
 もちろん生きて帰れる保証はないが、な……」

 そして3つ、王の親衛隊でもある精鋭のジャグランツマスカレイド。
「聞きかじった話じゃ、相当のヤリ手ならしい。そいつらが『王』にくっついてるうちは、
 とてもじゃないが、『王』を討ち取るなんて、ムリムリ。
 だから、どうやって『王』から遠ざけるか、が勝利の鍵ってとこだな。
 何なら、他の部隊が『王』を討ち取ってくれる事を信じて、『王』から引き離す作戦に集中、って手もありかもな?」

 最後に4つ目、これは当然ジャグランツ王・ギルバニア自身の戦闘力。
「これまでの3つが全て上手くいき、直接戦闘に持ち込めたとしても、勝てるとは限らない。
 むしろ、負ける可能性の方が多いかも知れない。
 いかにリアルに戦闘をイメージできるか、そしてどう実行に移すか、それが鍵じゃねぇかな」

●覚悟のススメ
 ここまでを一気に語ると、タリスカーは、これで最後だ……と前置きしてから語る。
「いいか。何度も言うが、今回の作戦は、無事に帰ってこれる保証は無い。
 だから……充分な覚悟ができた者だけで参加してくれ。
 撤退とかって甘っちょろいことを考えてんなら、倒すなんて夢のまた夢だ。
 この作戦は、命を賭けた大勝負。全てを掴むか、全てが零れ落ちるか、だ。
 お前さんたちの覚悟ってやつを……見せてやってくれ」
 そう言って、タリスカーは掌の上に置いたダルク金貨を、力強く握り締めた。   


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参加者
強さの先にあるは栄光か破滅か・アクロ(c00707)
自称クールなお人好し・ナオ(c01199)
御盾・リュコス(c01481)
アンティークディーラー・カルル(c02151)
笑顔のタワシ少女・ミルフィ(c03562)
ペルソーナの翠・フォン(c03598)
アイスレイピアの星霊術士・ファイナ(c03790)
歪曲詐欺師・マルシャンス(c05246)
星煌ク空ノ破片・ラス(c05348)
疾風怒濤・エルティス(c10202)

<リプレイ>

●王の行方
「まさか背負って頂く事になるとは……」
 ペルソーナの翠・フォン(c03598)は少しだけ気恥ずかしそうに呟いた。
 その彼を背に負うは、御盾・リュコス(c01481)。
「気にすんな。それより、しっかり見ててくれ。その『目』が頼りなんだから、な」
 狩猟者のみに備わった、遠くを見通すその力が。
「任せてください。絶対に見つけ出してみせます!」
 柄じゃない、と思いながらも力強く告げるフォン。
 スラムを救った筈だった城塞騎士団――それを根本から瓦解させた相手を、ただ見過ごす訳にはいかなかったから。

 今ここには、彼らを含む300人のエンドブレイカーが傷つき退いてゆく『王』の姿を追いかけている。
 だが、この遺跡全体で、王に付き従うべく離脱を図っているジャグランツの群れの数は、それ以上とも……。
 そんな状況の中、彼らは『王』と思しき痕跡を探し、ひたすらに追跡を試みる。
「ずいぶん厳しい作戦だよね。だけど……絶対成功させないとね」
 自称クールなお人好し・ナオ(c01199) が周囲に気取られぬよう、小声で告げた。
 危険に晒されるスラムの人々のため。そして、まさに死力を尽くした騎士団のため。
 ここで逃がしたら、まだ見ぬ人々が更なる不幸に見舞われるかも――その想いがナオを突き動かしていた。 
「本当に、この遺跡に居るのか……ジャグランツ達の『王』が……。どこだ、一体……」
 時折見かけるのは、王どころかマスカレイドですらないジャグランツばかり。
 極力戦いを避けてはいるものの、中には避けられぬ事もあって――今も出会い頭の一体に止めの一太刀を浴びせながら、星煌ク空ノ破片・ラス(c05348) は自らの内に、小さな苛立ちを感じ始めていた。
(「戦闘に手間を掛ければ、それだけ遅れる。かと言って、隠れてやり過ごせば無為に時間が過ぎてゆく……」)
 しかも、崩れた壁が通路を塞いでいたり、逆に崩れたところから行き来できたりと、思う通りには進めない所ばかり。
「痕跡を探す言うてもなぁ。そんで闇雲に向かっても、埒あかんやろ」
 と、アンティークディーラー・カルル(c02151) が、周辺で最も高い壁にロープを放つ。
 ピタッ。
 壁に貼り付いたそれを伝い、高所から見回すカルル。その視線の先に気になるモノが。
「フォンさん、ちょっと登ってきてくれんやろか」
 快く頷くフォンを、リュコスと協力して引き上げる。そしてその鷹の目で見た先には――。
「見つけました。たぶん『王』です!」
 まだいくつもの壁だか瓦礫だかを越えたその先に、複数のマスカレイドらしきジャグランツを従えた一団。そして、その中央には、戦場に似つかわしくない風雅な傘。
「――さ、やってやろうじゃないの。王を倒して、勝利をこの手に掴み取ってみせるわ!」
 意気込みながらも、疾風怒濤・エルティス(c10202)は、用意してきた道具で旗を立てる。
 後から通る筈の同胞に向けて。
「我々より先に進んだ方々も、きっと合図を残してくれている筈です。それを、見逃さぬよう」
 ――分かりきったことでしょうけど。
 歪曲詐欺師・マルシャンス(c05246)はニヒルな笑みを浮かべて言った。
「待て……この先で剣戟の音が聞こた……」
 警戒を兼ねて少し先まで様子を窺ってきた、強さの先にあるは栄光か破滅か・アクロ(c00707)が告げる。
 かと言って、いつまでも1ヶ所に留まっている訳にはいかない。
 そこで『王』が見えた方向を見失わないように、迂回する道を探りながら追跡を続ける。
 時にランタンの光量を絞ってやり過ごしたり。狭い道を選んで全力で逃げ切ったり。
 それも無理なら、不意を打って一気に決着をつけたり、と。
 それでも、他の部隊の合図などを探しながら、暫くは順調に進んでいた。
「待って!」
 途中、シーッと指を立てる笑顔のタワシ少女・ミルフィ(c03562)。
 後方で、何かが蠢いたような気が……。
 物陰に身を隠し、暫く様子を窺う。
「そう言えば、私たちの痕跡は消しておかないとね」
 アイスレイピアの星霊術士・ファイナ(c03790)がドローブラウニーで足跡を消し去る。
(「誰も、あの女性が王だと呼んでも名乗ってもいないのよね。やはり、あの下半身にいる『ぼうや』だか何だかが王なのかしら」)
(「ギルバニアさん、歌だけならまだマシな内容なんやけどなぁ。
 赤ちゃんはお腹の中でも言葉を聞いてる言うし、案外マトモなのが出てきたらええなぁ」)
 やり過ごす間に、何となく思いを巡らせる。
 下半身がどうのと言う考えが、そもそも杞憂であればと祈りながら。

 が、再び追跡を開始して暫くした頃、他の部隊の合図を、久しく見ていないことに気付く。
「……気付かないうちに、方向が逸れていたようね」
 小声で呟くナオ。
 確かに、僅かなズレに気付くのは難しい。
 ズレは歩けば歩くほど広がり、気付いた時にはもう、斯くも大きく隔たって……。

●連戦
 再び上に登り『王』の居場所を確かめようと試みるも、既にその姿を捉える事は適わない。
 そもそも先ほどのが偶然だったということか。
 代わりに、最初に見た方角を確かめつつ修正を図る。
「ここからは、戦闘も已む無し……か」
 ラスが、半ば諦め顔で呟いた。
 ――それは1つの真理。
 迷わず進み、撃破できるなら、ズレはしない。そう、一切の被害に目を瞑るなら。
「ま、そんでも、行くしかないやろけどな」
 カルルが呟く。このままじゃ、何もせんままに終わってしまうやろ、と。
 結局、避けては通れぬ道と、覚悟を決めて突き進む。
 皆より少しだけ先行するナオの掌から、迸る雷光が敵を正確に狙い撃つ。
 機先を制したのを見て取り、ラスが一気に距離を詰め、敵の前衛すべてに斬撃を喰らわせた。
「ここにオマエさん達の出番はないんだ、ご退場願おう」
 大剣を思い切り振りかぶるようにして薙ぎ払うアクロ。吹き飛ばされた敵は、軒並み壁に激突し戦闘不能。
 が、勿論そんなに上手く運ぶことばかりじゃない。
 不意を突いて姿を見せたマスカレイドジャグランツが、横合いから彼らを襲う。
「危ない!」
 リュコスが身体を張ってフォンを庇う。その屈強な身体に幾本もの剣や爪が突きたてられ、鮮血が流れ落ちる。
 しかしそんな傷すら気にせずに、背中を守って、魔獣の右腕で切り裂き、抉り、喰らいつく。
「フォンさんには手ぇ、出させへんよ」
 離れていたカルルが空を蹴る。Luftschuheの爪先から衝撃が飛んで、敵を打ち据える。
 続いてマルシャンスの翳した手から、黒炎が2つ……そして更にもう1つ。より強大な炎。
「スピカ! 回復を頼むわよ!」
 ファイナの元から星霊が飛び、傷口を優しく撫でる。
 しかし戦闘を繰り返す限りは、どれほど速やかに片付けたとしても、どうしても幾許かの時間を取られてしまう。
「あっ! 後ろからも敵が!」
 ミルフィの悲痛な叫び。少し前に逃げ切ってきた筈の一団が追いついてきたのだ。
「でも、こっちはわたしが抑えて見せるよ!」
 悲痛さから一転、明るく元気な声音を装って、大鎌【ほのか】をぶんと振り回す。
 乱舞する大きな刃は攻防一体。更に衝撃波が別の個体をも斬って捨てる。
 とは言え、1人でそうそう抑えきれる筈もなく、近付く敵に対抗すべく、ナイフに持ち替え攻撃を捌き、同時に刃先で細かく突き刺して反撃を加える。
 それでも、じわじわと傷つき、次第に後ずさるように退がるミルフィ。
「はい、交代!」
 前方から取って返してきたエルティスが、その肩を叩いて交代を告げる。
「ありがとう。じゃ、遠慮なく」
 軽く手を合わせながら、位置を入れ替える2人。
 そして両手で高々と振り上げた大剣、白牙が一気に敵を両断。
「さ、今のうちに一気に突っ切るわよ! もう、キリがないんだから!」
 後顧の憂いを断ったこの一瞬に。そう思うと、迷わず叫んでいた。

●未来を仲間に託し
 ジャグランツどもの中を力ずくで突破する面々。
 敵味方、双方の血風が迸る中を、大剣や大鎌を振り回して、敵を振り払いながら駆け抜ける。
 が、その途中、ジャグランツに非ざるものが倒れているのを見つけ、一瞬、足が止まる。
「他の……部隊の面子?」
 それは、直接は知らないものの、力尽きて斃れたものと思われるエンドブレイカーの姿。
 地面に赤い染みが広がっており、まだ息があるのかどうか……。
「可哀想やけど助けてる暇はないやろ。わいらは、止まってる訳にはいかんのやから……」
 それ以上は確かめることもせず、再び一歩を踏み出す。しかし程なくしてまた、ジャグランツの群れが姿を見せた。
 今度のは、いずれも手負い。
 他の部隊と戦った後なのか、戦意の高い個体と低い個体とが入り混じっている模様。
「懲りないのね……」
 幾匹が剣を抜くのを確かめると、ナオも躊躇うことなく、腰の太刀に手を掛ける。
 次の瞬間、鞘走る刃が滑らかに1匹目の身体を断つ。
 そして並ぶように間を詰めたのはファイナ。氷の刃で鳥のような脚に斬り付け、そのまま脇を駆け抜ける。ジャグランツは、血を噴出しながら激昂するも、その脚は凍りついていた。
 更に続くラス。彼の太刀がバチバチッと雷を帯びると、一足飛びに敵の目の前へ。
 上段から守りごと断ち切る一太刀、二太刀。
 このまま一気呵成に切り抜けられるかと思いきや、他からもまたジャグランツが現れ、更に囲まれる。
 次第に消耗を余儀なくされる面々。
「まだ……まだ戦えるよ」
 ミルフィは近付く敵に拳を叩き込むと、できるだけ距離を取ろうと試みる。
(「倒れないよ、絶対……『王』を倒すまでは。わたしの全てを出し切るんだから!」)
 守って勝つ。その心情は乱戦で囲まれた今こそ、真価を発揮していた。
「降ろしてください……」
 その時、フォンが負われたままの背中から降り、戦闘に加わる。
「エル、行きますよ!」
 振り仰いだ硝子の扇。
 その表面が、まだ見ぬ空のような水色を映すと、現れた鷹が一気に上昇。急降下と共に敵を翼で切り裂いた。
「それじゃ手当てはわいに任せといてや」
 カルルが蜻蛉の飾りのついた檜扇を振るうと、舞い散る桜花が傷を癒してゆく。
 ――だが。
 彼に限った事じゃなく、この先を考えるならば。治癒はもう、限界と言えた。

「これほどの軍を組織するなんて。ギルバニア……とんでもないわね」
 思わず呟いたエルティスは、絶えることのない敵の数に辟易しながら零した。
 でも、だからこそ倒す必要がある。
「命を賭けろ、ね。――上等よ、賭けてやろうじゃない」
 大剣とナイフ、大小2本の刃から繰り出す怒濤の攻撃。考えない、ゆえに諦めもしない、と。
 そんな彼女の戦う様は、他を寄せ付けない圧倒的な迫力に溢れていた。
 しかし。
 戦いに集中するあまり、傷の痛みを忘れて?
 いや、そうじゃない。交代する余裕すらなかったのだ。
 挙句、気付いた時にはもう、辛うじて立っているような状態で。
 ――癒しを試みるその前に皆が目にしたのは、エルティスの背に剣が突き立つ、その瞬間。
「まだ……。こんな所で……終われない……終わるワケには、いかないのよ……!」
 その、前のめりに倒れる彼女の姿を見たマルシャンスは、一瞬だけ俯いて首を振る。
 そして再び顔を上げると、何かを振り切ったように皆に告げた。
「ここは私が引き受けます。彼女を連れて後から行きますから……先に……先に『王』の元まで行っててください」
「ふざけるなよ!」
 自らの命を捨てるかのようなその言葉に、アクロが激昂。
 しかし、それじゃ他に皆で王の元にたどり着く手立てがあるのかと問われると――。
 二の句を継げずにいる彼の肩を、リュコスがポンと叩く。
 2人して道を切り拓く――それが今できる最大の貢献だろ、と告げるように。
 仕方ない、と頷きアクロが大剣を思い切り薙ぎ払う。そこに盾を構えたリュコスが突進。
 残る8人は、切り拓いた『道』を走り抜けて、その先の崩れた瓦礫の奥へと走る。
「待ってるから!」
 最後に聞こえたミルフィの声に、無言で片手を上げて応える。
(「あとは頼みましたよ……」)
 そうして、仲間が行った道を塞ぐように立ち、更に数を増す敵に向き直る。
 どこか、スッキリとした表情で。
「こんなに大人数がめかし込んで……今夜はパーティーでもあるんですか?」
 皮肉めいた台詞も襲い来るジャグランツには届かない。
 それでもマルシャンスは、1つの覚悟を胸に、邪剣の群れを召喚していた。
「残念ながら……仮に私が倒れたとしても、まだ終わりじゃないんですよ……」

●その手の届く先は
 難関を突破した8人は、限界を超えたその先を目指して走る。
「まだ終わりなんかじゃないわ。王を倒し、生還する為には全力で戦わないとね」
 言いながら前方に雷光を放つナオ。越えねばならぬ壁はまだ其処彼処……。
 激しい戦闘は更に続き、他の部隊が戦った痕も含めるならば、辺りはまさに死屍累々。
「こんな理不尽な戦争、終わらせてやる! これ以上不要な血が流れるのはまっぴらだ!」
 ラスが昂ぶる感情を吐露。それは今や誰もが抱く正直な想いでもあった。
「まだ、ここで倒れる訳には行かないのでございますよ。沢山の方から、帰って来る様に言われておりますので……」
 今度は自らの足で、共に走りながら告げるフォン。
 その胸に去来するのは先に残してきた2人のこと、そして先だって見知った若手騎士、エイミーのこと。
(「生死は分からない、と言っていましたけれど……」)
 ほんの一瞬、目の前から意識が逸れたところに、再びジャグランツが姿を見せる。
「させないわ!」
「邪魔や!」
 ファイナのアイスブラスト、カルルのソニックウェーブが飛ぶ。
「王ガ……我らの王ガぁぁぁ……」
 意味深な言葉と共に倒れ行くジャグランツ。が、その言葉の真意は分からない。
     ・
     ・
     ・
 こうして、半ば命を捨てる覚悟で抜け出したその先には。
「届かなかった……」
 両手に斧を携えたまま倒れ伏す、一際大きなジャグランツと、達成感と虚脱感に包まれたように、座り込む他部隊のエンドブレイカーたち。
 8人には、何故か倒れているソレこそが真の『王』だと分かる。ギルバニアと呼ばれていた女性でもないのに。
 でもそれは、紛れもなくエンドブレイカーたちの勝利。
 ――彼らが直接手を下した訳ではないけれど。『理不尽な戦争』の終焉だった……。



マスター:千咲 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/06/17
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  • せつない20 
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