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ワームパイプ・ホロウの冒険:淵源の先

<オープニング>

●若草の乙女
 樹海を抜けワームパイプ・ホロウへと辿り着いたエンドブレイカー達。
 困難な断崖絶壁の中、唯一とも言える道程を歩む事数日――崖の向こうから女性騎士が現れた。
 鮮やかな若草色の鎧を纏った女性。長い髪が、風に合わせてゆらゆらと揺れる。美しいと思う者も居るだろう。しかし彼女には、確かにマスカレイドの仮面が輝いていた。
 身構えるエンドブレイカー達に向かい、彼女は自らの名を名乗る。
 若草の乙女アリッサム。
 それは七勇者の名前――彼女はエンドブレイカー達が問う間も与えず、再び口を開く。
 ここから先は山斬烈槍ランスブルグの領域。ランスブルグの支配者たる、このアリッサムの許可無く立ち入ることは罷りならぬと。そう告げると同時に、彼女の手のランスが光り輝きワームパイプ・ホロウの道に崖崩れを起こす。すると、一部に開いた穴からマスカレイドが這い出して来た。
 彼女は言葉を残すと、花びらを残し洞窟の奥へと消えていく。
 ――お前の目的を果たす方法は無くなった。
 ――ランスブルグのエンドブレイカー達は、すぐに全滅させよう。
 ――この戦いに間に合う事は有り得ない。引き返すのが合理的な選択。
 ――それでもランスブルグに向かうのならば、待ち受けるのは死のみだと。

●崖崩れの戦
 消えた女のマスカレイド――その後を追おうにも、目の前に立ちはだかるのはマスカレイド達。透き通るような青色の海月のような身体を持つピュアリィや、獰猛な鳥が近付いてくる。
「ちっ! ここじゃ足場が悪い」
 崩れ落ちた崖では、不利にしかならない。そして混戦になれば危険なのは明白。
 エンドブレイカー達は声を掛け合い、それぞれの武器を振るい敵を迎え撃つ。相手も攻撃を仕掛けてはくるが、しっかりと連携し攻撃を仕掛けるエンドブレイカーの敵では無い。
 サイの持つ斧が地面に落ちる音が響き、それと同時に倒れ込む音が聞こえる。
「……勇者は、マギラントだけではないのですね」
 消えた若草色の人影を思い出しつつ、ぽつりと呟いたのは誰だったのだろう――。

●洞穴の奥へ
 ――そして周囲は、静寂に包まれる。
 全てのマスカレイドを撃破した後は、傷を負った者に回復を施す者。辺りを伺い、他に敵はいないか探す者。出来上がった洞窟を覗き奥を見渡す者。
 洞窟は覗いただけでは何があるか分からない。どうやらかなり深いようだ。
「……どうする?」
 仲間に尋ねる声。この洞窟が何処に続いているかは分からない。けれど、アリッサムと名乗るマスカレイドがこの奥に向かったという事は、ランスブルグに通じている可能性は高いだろう。そしてワームパイプ・ホロウの道が途絶えた今、この洞窟以外ではランスブルグに向かう手段は無い。
「行こう」
 きゅっと唇を結び、頷くエンドブレイカー。意を決した、そんな様子が見える。
「けど、あのマスカレイドはこの先に進めば命は無いって……」
 おろおろと戸惑うエンドブレイカーも居る。その言葉通り、この奥には沢山のマスカレイドが待ち望んでいる可能性は否定出来ない。さて、どうするか――。
 引き返し勇士号を使えば、海を渡りランスブルグに辿り着ける可能性も無くは無い。けれどそれでは、ランスブルグの危機に間に合わないだろう。
 ランスブルグを救うには、今先に進むしか無い事は確か。
 ならば――エンドブレイカー達は、大きな選択をし足を一歩踏み出した。


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参加者
月の剣に導かれし騎士・ローゼリィ(c00261)
気高き薔薇の槍姫・ロゼッタ(c00618)
魔剣・アモン(c02234)
黒櫻・ノアリィ(c03173)
月舞桜花・リディア(c03397)
夢壌の壁・エルヴィン(c04498)
紫刻の幻影・クトラ(c16568)
荊纏い・ロサ(c27508)

<リプレイ>

●進軍
 剣の交わる音が、閉ざされた洞窟内に響き渡る。一際甲高い音が響いたかと思えば、悲痛な叫びが木霊する。同時にどさりと倒れ込む音。――それは襲いくるマスカレイドに、トドメを刺した証。
「よし、進もう」
 黒の刀身持つ剣を下ろしつつ、魔剣・アモン(c02234)は仲間を振り返り口を開いた。そのまま彼等は、同行するメンバーと前後を入れ替え次の戦闘へと備える。
「危険とは分かっていますけど、逃げてばかりではキリが無いですもの」
「ここまで来て撤退、ってのもないだろうし、進むしかないわね」
 足元を照らしつつ、気高き薔薇の槍姫・ロゼッタ(c00618)が勇気を出して突破をする意思を示せば、それは仲間も同様だった。辺りを警戒しつつ、黒櫻・ノアリィ(c03173)は言葉を返す。
 次々と現れるのは全て仮面憑き。剣を持つ女に赤いオーラを纏った屍。巨大な岩のような身体をした巨獣――それはどれも強敵だった。
「勇者さんは全員マスカレイドなのかな。七勇者の物語通りなら、元は人の筈なんだけど」
 進むべきを道を切り開くよう、猟犬の群れを呼び出し敵を倒した後、紫刻の幻影・クトラ(c16568)は入り口で出会った自身を『若草の乙女』と名乗る女を思い出す。本人かどうかは分からない……けれど、既にマギラントと対峙した事のあるエンドブレイカーにとって、その存在は重く伸し掛かる。それと共に興味を抱いてしまうのは仕方が無い事だ。
 少年の言葉に、荊纏い・ロサ(c27508)もその時のことを思い返す。
 警告。そしてその後放たれた強力な1撃。
「1撃で崖をも切り崩したとなれば、洞窟を崩す事くらい朝飯前かもな」
 少し口元に笑みを浮かべ、そんな事を言ってのける。――この進軍自体が敵の罠かもしれない、そんな不安が過ぎる。けれど彼等には、『進む』と云う選択肢以外は存在しなかった。
 そんな信頼するロサの言葉を聞き、月舞桜花・リディア(c03397)は穏やかな笑みを浮かべる。
「今回は何が起こるか分かりません。けれど、信頼できる仲間とだからきっと大丈夫」
 そう零しつつ、頼もしい兄のような存在を見つめた。仲間と協力して、気を引き締めて挑めばきっと大丈夫だと。自身を、そして仲間を勇気づけるかのように。
 彼等の会話を耳にし、夢壌の壁・エルヴィン(c04498)もまた冷静に口を開く。
「しかし、毎度毎度の妨害が有るって事は、逆に言えば俺達が行くと面倒だと相手も思っているということだな。さっさと抜けて、存分に嫌がられるとしよう」
 両の漆黒の瞳を瞼で隠しつつ、微かに口元に笑みを浮かべて。この洞窟を抜けた先には何があるのか――それはまだ分かってはいないけれど、救えるモノがあると信じて、彼等は突き進む。
 細身の剣を翼に変え薙ぎ払う敵を。太刀による居合いを。彼等は連携の取れた動きで倒していく。道を切り開く最低限の撃破は、誰よりも早く突き進むと云う今回の方針に沿ったもの。
 目の前に居る最後の敵を月の剣に導かれし騎士・ローゼリィ(c00261)が、妖精を纏ったソードハープで斬り伏せれば進むべき道が開かれる。
「さぁ、行きましょうか。目的地も目標も明確です。これだけの心強仲間が居るのです」
 その穴を抜けるように彼等は一斉に駆け出す。彼女の言葉に頷いた後、乙女と名乗る女にロクな奴はいない――そう呟く仲間の声が聞こえた。
 先陣を切って駆ける彼等には、何かを恐れる暇も無い。

●石楯の獣
 道を塞ぐように現れるマスカレイドを、最小限で倒しエンドブレイカー達は先を進む。事前に選ぶ道は決めてあった為、16人が集まっているにも関わらずすんなりと進む事が出来ている。――これは全て、全員が最低限の情報を共有していたからだろう。
 道中アモンやクトラが壁や足元を照らし警戒を。ノアリィが妖精を用い何かを探そうとするが、何も見当たらない。――そもそも誰よりも先に奥へと突き進む彼等に、ゆっくりと探索する時間は無い。
「何とも不気味な洞窟ですわね。背筋がゾクっとしますわ」
 金の巻き毛を揺らしながら、ロゼッタは息と共に言葉を零す。
 尚も警戒し、深い傷を負わぬようにと隊列を入れ替え。洞窟内を進むと、道が折れている。
 何かが飛び出すかもしれない――そう想い、ロサが真紅の薔薇が描かれた斧Avalanche+を握り締め構えれば、リディアも彼の様子を見て淡桜色の魔道書、桜花恋姫を抱き締める。
「どんな脅威が待っているか分かりませんわ、決して油断しないで下さいませ」
 薔薇の蔦が巻き付く槍、塩薔薇の槍を前に掲げ。真紅の瞳に真剣さを宿し。ロゼッタが後ろを振り返りつつ語り掛ければ、彼等は一斉に頷いた。
「僕達全員で一つの槍になって、この洞窟を貫くんだ!」
 先陣を切ってアモンが進み道を折れれば――そこに広がっていたのは、ぽっかり空いた空間。そこには一目で認識出来る、楯のような身体をした巨体が佇んでいた。
「巨獣……!」
 待ちわびていたと言わんばかりのその獣に、クトラは声をあげる。壁に反響して、その声は通常よりも深く深く響き渡る。戦闘を開始しようと身構える敵。だが一瞬、エンドブレイカーが早かった。
 漆黒のコートを靡かせて、エルヴィンは敵との距離を一気に詰めると巨大な戦旗を作り出し一気に薙ぎ払う。追うように、ローゼリィが妖精を宿したソードハープを振るう――その隙の無い素早い対応は、常に警戒をして歩みを進めたが故。そして、仲間の想いが繋がっている証。
 けれどそれも、全員が繋がらなければ万全の策とは言えない。
 ひとつ重い唸り声を上げると、そのまま巨獣は自分の周りを動く小さな人影に向け、岩作りの尻尾をぶんぶんと振り回した。その仕草だけならば可愛らしいのかもしれない。けれど巨大な堅く覆われた尻尾が振るわれれば、地面に強くその身が叩きつけられる。
「くっ……!」
 重い一撃にエルヴィンとローゼリィが顔をしかめれば、敵の注意を惹こうとロサが煌めくエネルギー纏う斧で敵と対峙する。続き傷を癒す為、リディアが星霊オラトリオを呼びノアリィが歌を口ずさむ。
「それ、これでも食らって倒れて下さいませ!」
 ロゼッタが手をかざせば、その掌からは電光が生まれる。敵の身をマヒさせ動きを封じる――その拘束は、敵の攻撃する手数を減らす意味を持つ。変わらぬ笑みを浮かべたままクトラが暗黒の門を開くと闇の腕で敵を包み込み、アモンが頭上で剣を回せば光輪を作り出すと敵目掛けて放る。
「――爆ぜろ!」
 その言葉を合図にするように、その光輪は巨体に当たり大きな爆発を起こす。
 続く攻撃。相手からしたら、小さな傷に過ぎないのかもしれない。けれどイライラが募ったように身を震わせ、大きな声を上げると――太い足を踏み締め、一気に駆け出した。
「ローゼリィさん!」
 巨体の激突を直撃したローゼリィが、その場に倒れ伏せる。名を呼び直ぐに癒しを施そうとノアリィは弦に指を掛けるが、既に間に合わないだろう。
 相手は巨獣。その一撃は、運が悪ければ致命的な一撃になる。
 直ぐに倒れた彼女を庇おうとエルヴィンとロサが進み出て、それぞれ敵の気を惹くよう動く。リディアが衝撃波を作り出せば、援護を受けたクトラの闇手が敵を飲みこんでいく。ノアリィの呼び出す妖精達が敵の冷静さを奪いつつアモンを援護すれば。
「足止め食ってる暇はないんだ!」
 金瞳で真っ直ぐ敵を見て、アモンは光輪を敵へと投げつける。鋭い斬撃を与え勢いよく爆発するその光輪。追い打ちを掛けるようにロゼッタの雷光が光り輝けば、敵は悲痛な叫びを上げる。
 ――16人。いくら巨獣と云えど、これだけの人数を相手にしては勝つのは難しい。
 けれど最後の力を振り絞るように、敵はぐっと身構えると真っ直ぐにノアリィに向けて突進する。その攻撃が他の仲間へ及ぶ事は避けられたようだが、重い一撃と衝撃に彼女の繊細な身体は一気に壁際へと吹き飛ばされる。がくりと意識の遠のく仲間を見た後、ロサは敵に最後の1撃を与えんと斧を振るう――が、それは僅かに足りなかった。その隙を見て、言葉を零すのはクトラ。
「もっと遊んでいたいけど、生憎時間も限られてるのが残念だね」
 深き闇色の魔鍵、黄昏の鍵を握り締めたまま、クトラは口元に笑みを浮かべる。
 ――それじゃあ、さようなら。
 笑みを浮かべたまま、少年はそれだけを呟く。言葉の後、爆ぜるのは深紅の猟犬達。
 ずん……。
 敵の倒れる音は大きく響き渡る。ぴくり、僅かに脅威を見せた尻尾が動いた気がしたが、そのまま動きが止まる。完全に倒した。彼等はそう思っただろう。
「行こうぜ」
 乱れた息を整えるように深い呼吸をした後、ロサが仲間へ告げればリディアが頷く。そのまま彼等が、更なる奥へと進もうと足を動かすと――。
「オヤオヤ、みなさんもうコンナところマデ!」
 不意に洞窟内に響く声は、とても聴き覚えがあった。声の出所を探そうと辺りを見回す。
「あそこです!」
 リディアの菫色の瞳が真っ直ぐ見つめる先――そこには巨獣の上に立つ存在が。
「あれは、ジェスター!?」
 姿を凝視し、エルヴィンが声を上げる。
 禍々しい容姿に、仮面を宿す杖を持つ姿は何度か対峙したジェスター本人だった。

●カーニバル
 予想外の存在。下ろしていた武器を再び構え直し、エンドブレイカー達はじっと敵を見据える。
「まさに匹夫の勇というべきデショウカ。ですが、ここまでデス。このジェスター自ら、引導を渡してアゲマショウ! 『寄ってらっしゃい見てらっしゃい。愉快なカーニバルがやってきたよ!』」
 何度か出会った時と同じように、ジェスターは芝居がかった仕草で言葉を口にする。そのまま仮面が敷き詰められた杖を掲げると――マスカレイド達が姿を現す。
 開けた空間に、ジェスターとエンドブレイカーの間を塞ぐように現れる敵。けれどその奥には、逃がし続けたジェスターが居る事は間違いない。ならば――。
「そっちは頼む! 俺達は左側から!」
 黒衣の裾を翻し、エルヴィンは目の前の細剣を持つ女へと駆ける。彼を追うように、ロサやロゼッタも敵へと近付き一斉に攻撃を仕掛けた。――まずは暴走を持つ敵から。
 距離が離れる際に、アモンはシシィ(c03556)へと一瞬視線を送ったが、直ぐに光輪を作り出し同じ敵に狙いを定める。リディアの蛇影が敵を拘束し、クトラの猟犬が戦場を駆け巡る。
 先ほどの巨獣との戦いとは打って変わり、今度は数多の敵を相手している。それ故、彼等の攻撃手段も数多に渡る手段を用いており、次々と敵を倒していく。
 此処までの道程で、傷は確かに蓄積している。けれど目の前に、強大な敵が居るのだ。気を抜いてなどいられない――。その強大な敵は余裕有り気に。まるで鼻歌を歌うかのような軽い足取りで、巨獣の上から降り立った。開けた道から、ジェスターの抑えをしようとロサが近付く。黄金に煌めくエネルギーを薔薇の斧に乗せ、重い一撃を与えるが……相変わらずジェスターに傷を与えた様子は無い。
「これでオシマイですか? では、反撃デスヨ」
 仮面の杖を振ると、そこから現れたのは巨大な雲。禍々しい赤と黒が混在するその雲は、まるでジェスターを体現したかのよう――その雲がロサの身を拘束するように包んだかと思えば、戦場に広がりカタリナ(c01060)の身を包む。
 それは重い、重い一撃。けれど、彼は必死にその場に踏み留まる。
「ロサさん!」
 緩やかに波打つ髪を揺らしながら、リディアが叫ぶ。直ぐにギリギリの状態の彼へと祈りを捧げれば、その間に仲間達が一斉にジェスターへと攻撃を繰り出していた。
 アモンの爆ぜる光輪。ロゼッタの残像を伴う超高速斬。銀槍による突撃。大剣による斬撃――。最後に、アルカナ(c02976)の強大な手が敵の身を握る。
 響くジェスターの悲鳴。そのまま地面へと叩き潰せば、地面に倒れた敵は尖った靴の先をピクピクと力無さ気に動かした後、その動きも止まる。
 愉快とは言葉ばかり。不愉快な声も同時に止まった。
「やったか……?」
 動かなくなった敵を見下ろし言葉を零すスノーサ(c01027)。その声に合わせて、荒い息を零しつつ敵を見つめた後――クトラは長い漆黒の髪を揺らし、更に奥を見据える。
「アリッサムを追おう」
 普段の柔和な様子とは打って変わり、隙の無い様子。更なる奥を目指そうと、彼等は足を向けた。

●終幕
 新たに隊列を入れ替え、彼等は奥へと進もうと足を進める――が、聞こえる筈の無い声が届いた。
「今のは少シ、驚きマシタ。が、ワタクシには効かヌ届かヌですヨ!」
 一斉に振り返ると、そこにはぴょんっとまるで楽しげに跳ねるように起き上がるジェスターの姿。確かに一斉攻撃を仕掛けた筈なのに、その身には傷ひとつついていない。くるり、エンドブレイカー達を見回せば、彼の背負う風船がおちょくるようにふわふわ揺れる。
「さァ、楽しいショウの本番はコレからデス」
 一礼の後楽しげな声を響かせ、道化師は禍々しい杖を握り直す。一斉にエンドブレイカー達は構えたが……僅かに遅かった。巨大な杖の一撃が1人、また1人と繰り出され地面へと倒れ伏す。
 2人の女性に続き前線を支えていたロサとエルヴィンが倒れる。地に投げ出される長い髪と武器。けれど彼等を庇う暇など無く、ロゼッタが電光を生み出し拘束しようと試みるが、その攻撃も素通り。杖から生み出された禍々しい雲が彼女の薔薇の髪飾りを包み込み、前衛の空いた場所を埋めようと前線に出たアモンの身をも包み込む。
「アモン先生!」
 ――愛しい人の声が聞こえた。けれどアモンは、伏せたその身を起き上がらせる事など出来ない。
 癒しは既に、間に合わない。漆黒の魔鍵を握り、きゅっと唇を噛み締めるクトラ。リディアも桜色の魔道書のページを捲り、衝撃波を撃ち出すが――敵に隙を与える事も出来ず、次々と倒れる仲間達を見つめる事しか出来なかった。
「それではソロソロ、終幕と参りまショウ」
 愉快な事でもあったかのように、道化師は言葉を零す。
 地に倒れ伏す14人。全てが終わりだと、2人は悟った。途中で倒れたローゼリィとノアリィと、同じ場所で倒れる事は不幸中の幸いなのだろうか。運が良ければ、仲間に助けて貰えるかもしれない。
 けれど、少しでも反撃をしようと。――クトラは暗黒の門を開くが、闇手は敵を素通りし鋭い杖の1撃を頭に受け、その流れに乗せて敵はリディアの身体を赤と黒の雲が包み込んだ。
 ずるり。身動きの取れなくなった手足。魔道書と扇が地に落ちる音が響き、彼女の身体も地に倒れる。投げ出される髪と身体。
(「ロサさん……皆さん……」)
 薄れる意識。ぼやける視界。ゆるゆると閉じる瞳。
 五感が鈍っていく中、地響きと共に誰かの声が響き渡った気がした――。



マスター:公塚杏 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2013/06/17
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