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彩々刀華

<オープニング>

 霊峰アマツのお膝元に広がる東方の都市国家、アマツカグラ。
 悪政を強いていたマスカレイドは居なくなり、わずかに居た、権力を持っていた人間の領主達も静粛され、今では無法の領地が広がる。
 かつて、反旗を翻す者達を粛清するため、マスカレイド達が保護していたならず者達が居た。
 またあるところでは、絶望を集めるため村の傍に、バルバの集落が作られていたり。
 人々が安心して暮らせるようになるためには、各地で起きている問題を解決することが先決。
 まだまだ、奪還までの道のりは長かった。
「今回、皆さんに解決して欲しいのは、毎晩通行人からお金や、金目の物を奪う盗賊退治です」
 花守蜜蜂・スズ(c24300)は、集まった仲間を見渡す。
 彼らが縄張りにしているのは、四季折々の花が楽しめる美しい川の流れる、四彩河の街。
 その立派な川には、美しい三つの兄弟橋が架けられており。朱塗りの欄干には夜になると、灯りとして燈篭が灯され彩られる。
 当然、この街にとっては、橋は生活の命綱。対岸にしかない店や、別の街に向かうのにも役立っていた。
 そこに目をつけたのであろう。
 盗賊達は、その三つの橋全てをおさえてしまったのだ。
 通り抜けようとする人々から、金品や食料を強奪し。時には、気に入った若い娘を捕まえ橋の下で悪さをしていた。
 街の人達は、何とか盗賊を追い払おうと、腕っ節の強い男衆で退治に向かったが、そこに想定外の人物がいた。
 かつてマスカレイドの公家が、その技量を認め、用心棒として傍に置いていた浪人が、彼らの用心棒についていた。
 背が高く体格のいい兄、焔と、女性にも見まごう美貌の弟、雪崩。
 彼らの腕は確かで、半端なものでは即座に斬り殺されてしまうだろう。
 彼ら二人が居る限り、街の人達は盗賊の脅威にさらされ続けるしかないのであった。
 事件は、お昼過ぎ。
 小間物問屋の亭主が、最も上流にある桜花橋を、西から東へ渡ろうとしたとき、一人の盗賊と雪崩に襲われます。
 真ん中の紅葉橋を東から西へ渡り、茶屋に向かおうとした、五人の娘達が四人の盗賊に襲われ捕まります。
 下流の白梅橋では、西から東へ病気の母のために薬屋に急ごうとした子供が、二人の盗賊と焔に襲われる。
 三つの橋で同時刻に起こるこの事件は、どれも最終的には殺されてしまうという無残な結末を迎える。
 この街に着く頃には、それぞれ橋に向かっており、当然のことながら橋には、既に盗賊達が控えている。
 橋はそれぞれ走って一分程で駆けつけることが出来る程度放れている。それぞれの橋も見えるような流れになっているので、合図を出すのは簡単だ。
 焔は雪崩を大事に思っているので、雪崩の戦況が崩れると彼を助けに向かう。
 用心棒の彼らは、雇われているだけなので、安定した衣食住を得られれば善悪は関係ないようだ。
「もし、希望する方が居るのでしたら、領主などの地位に着くこともできます。この街の人々を護る為にも、皆さんよろしくお願いします」
 そう言って、スズは皆を送り出した。


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参加者
斧の城塞騎士・フラン(c00997)
竜剱・ノイズ(c08532)
艶獣・ガルド(c13422)
楓・ラン(c15073)
背き進む・ヴリトラ(c16787)
赤案山子の・ジュリア(c17193)
日日是好日・マーズ(c34336)
黙っていればお嬢様・クラリッサ(c34521)

<リプレイ>

●桜花
 美しく流れる水面に、突撃する緑色のメイガスの姿が朱塗りの橋を駆け抜ける。
 マジックマッシュの煙が橋いっぱいに広がり、進む日日是好日・マーズ(c34336)とは逆に、斧の城塞騎士・フラン(c00997)が亭主を庇いながら飛び出してくる。
 直前に聞こえた獅子の咆哮と衝撃が盗賊の動きを、僅かに抑えた。
「まっすぐ走って戻れ! 動けなければ我らの陰に隠れろ!」
 振り返らず振り上げた斧の上に舞い散るのは、雪。いや、氷の華。
「いいから、早く行け!!」
 何度も礼と共に頭を下げ、立ち止まっていた亭主を背に庇うように立ち塞がりながら、黙っていればお嬢様・クラリッサ(c34521)抜き放った銃を連射する。
「オラオラ! 踊れ踊れ!」
 煙の中に飛び込んだ三つの弾丸が、弾かれるような音が響き、吹き荒れる吹雪が煙を引き裂きエンドブレイカー達に襲い掛かる。
 飛び出した盗賊は亭主を狙おうとし、フランにその刃を受け止められ。もう一人、その倍の勢いと速さで飛び出した刃を、楓・ラン(c15073)の、仕込み杖の月影楼が受け止めた。
 吹雪の良く似合う結い上げた長い銀髪をなびかせ、雪崩は彼女を見据える。
「力だけを持余し、労せず人の金品を奪っているのは許せない!」
「言いたいことは……それだけ……?」
 雪崩は槍ごと身体を沈め、ランを前方に引き込み槍の持ち手で突き返し、大きく回転させると地面に突き立てる。
「下がれ!!」
 クラリッサの叫び声があがると、ほぼ同時にランの足元一帯から、鋭い氷のの槍が剣山の如く生えた。
 全ては避けきれず、ランの白い肌に朱の筋が何本も通り。攻撃に移るために踏み込んでいた方の足には、しっかりと氷の一部が突き刺さっている。
「旦那、あんまり女の肌は傷つけないでくださいよ。売りもんにならなくなっちまう」
 力量差を悟ったのか、盗賊はさりげなく雪崩の後ろに下がりながら、ぶつぶつと女性陣の値踏みをしながら睨み付ける。
「どこの国でも、どうしようもない奴はいるのだな。そして私がやる事は同じ」
 斧を構え、フランは真っ直ぐ正面から相手を見つめた。先ほどの攻撃は僅かにだが、彼女にも届いている。
「これほど腕が立つのに賊の用心棒で終わる気か?」
 その問いかけに、雪崩はつまらなそうに一言応える。
 ――死ぬため。
 再び吹き荒れる吹雪に、マーズが魔鍵の鍬鍵を頭上高くより振り下ろそうとする。それは飛び交う氷の戦輪の起こす風と雪で、柄空きになった胴体部にむかって回転しながら氷の戦輪がメイガスの胴体部に突き刺さっていく。
 いくつかは、回転する魔鍵で撃ち落しそのままマーズは突撃する。
「中々平和に、とはいかんのう。マスカレイドじゃなくとも平穏の為には頑張らにゃ」
 後方からの銃弾が彼を援護したが、当たる瞬間、雪崩は後方に飛び逃れ欄干の上に着地する。
 互いにダメージはある。だが雪崩は涼しげな表情で、槍を構えなおした。
「……四対一……悪くない」
 そう雪崩は飛び上がった。

●紅葉に白梅
 中央に位置する紅葉橋では、盗賊達が娘達を、囲むようにして捕らえようとしていた。
 一人が娘の腕を掴もうと手を伸ばしたところ、その腕を褐色の手が掴み思いっきり捻り上げた。
「い、ででででで。何をしやがる!」
 言葉だけは威勢がいいが、盗賊のその表情は涙目だ。
「駄目だろう。女を乱暴に扱ったら」
 盗賊の親玉ではないかと思うような、鋭い目つきと大柄な体格で、艶獣・ガルド(c13422)は盗賊を見下ろす。
 笑みを浮かべるその瞳は笑っておらず、盗賊達は本能的に刀を抜いた。
「誰だ貴様! 俺達に手を出すと痛い目を見るぞ!!」
 吼えてはいるが、完全に彼らは逃げ腰である。
「人殺しまでやる盗賊団なんてほうって置けないね」
 気だるげに反対側からやってきた、赤案山子の・ジュリア(c17193)は、既に弓を構えている。
 挟撃されたと気づいた盗賊達は慌てて娘達を人質にしようとするが、ガルドが立ちはだかりそうはさせない。
「下がっていな」
「危ないから、早くここから離れて」
 娘達は言われるまでも無くガルドの後ろの方へと逃げて行き、逃げ場を失った盗賊達は形振り構わず一斉に斬りかかって来た。
 最初の一太刀は、捕まえていた盗賊を投げるようにぶつけて解放し、次の一太刀は棍の煉で軽々と受け止める。
「殺さずか」
 そのまま棍を回転させ刃を弾き返し、ガルドは、盗賊のわき腹に強力な一撃を叩き込む。
 あばらの数本が折れたかもしれないが、生きているのだ。充分に加減はしているだろう。
 女性ならば大丈夫と、ジュリアに突撃した盗賊の二人は、無数の矢を浴び、結局元の位置にまで戻されてしまった。
「改心してくれれば一番いいんだけど」
 盗賊とはいえ、彼らは人だ。穏便に治めたいところではある。だが刀を抜いたまま喚き散らしている様子を見る限り、もう少しお灸を据える必要がありそうである。
 上流で巻き起こる吹雪を視界の端に捉えながら、二人は一気に片付けるべく次の攻撃を放った。
 オーラの刃が切り裂く音と橋の上に形成された鋼鉄竜の咆哮が響いたとき、白梅橋では、竜剱・ノイズ(c08532)と背き進む・ヴリトラ(c16787)が奮闘していた。
 ゆらりと揺らめく陽炎から再び斬撃が繰り出されてくる。
 焔の一撃は重く、ハンマーの数有内一で受け止めたノイズの指先は軽い痺れを感じた。
 彼女の周りを吹き抜ける風が激しく、陽炎を掻き消していく。
 子供はどうしても橋を渡りたいのだろう。今にも泣きそうな顔をしながら、巾着を握り締めヴリトラの後方から事態を見守っている。
 守らなければならない分、僅かに彼の動きが制限されてしまうのが少し痛いが、それも想定の範疇。
「投降すれば……命だけは、取らない」
「何を言う。戦いたくて仕方がないという顔をしているじゃないか?」
 その体格とは裏腹に、落ち着いた声でゆっくりと述べながら、焔は再び陽炎を纏う。
 ほんの一瞬、子供と上流の方を気にしたが、目の前に相手が居る以上余所見ばかりもしていられない。
「最近は、マスカレイド化してしまうこともあるし、穏便に終わるならそれでいい」
 人のまま治められるなら、それが一番とヴリトラは凍気を宿した戦輪を飛ばし、盗賊達を撹乱する。
 彼の猫であるウメさんは子供を守っているかのように、後ろに控え大人しく控えている。
「何、訳の分からないことを言ってるんだ。いいから殺ってしまえ」
 焔の少し後ろから、やけに大きな態度で一人の盗賊が命令をすると、一斉に攻撃が始まった。
 力量では決して劣っていない。
 だが当然のことながら、焔の攻撃を受け止めれば、空いた胴を狙い盗賊共が殺到してくる。
 子供から迂闊に離れられないことを見越し、ノイズへと攻撃は集中した。
 怒り……いや戦闘の熱気か。ノイズの周りのオーラが吹き荒れ、超高速で叩きつけるハンマーは容赦なく盗賊の太刀を折り蹴散らしていく。
 後ろで喚き散らすだけの盗賊は間違いない。彼が頭なのだろう。心なしか、攻撃がそちらに抜けそうになると、焔が庇っている。
 再び受け止めた刃は、火炎でその火の粉が舞いノイズの髪を焦がしそうに燃え上がっていた。
 すかさず召喚された冬の嵐が熱を奪ったが、少し遅ければ髪が短くなっていたかもしれない。
 同時に戦闘が起きていることには気づいたのだろう、時折焔の視線は目の前の相手ではなく完全に上流の方を向いている。
「よそ見している場合ではないぞ、こちらが相手をするからな」
 再び冬の嵐を呼ぼうとヴリトラが構えたときだ。
 上流から聞こえていた吹雪の音が、突然途切れた。
 まるでそれが合図で合ったかのように、平静だった焔の形相が変貌し、力任せに炎剣を振るい二人の間を突破する。
「どこへ行く!!」
 頭と思しき男が怒鳴り、焔は足を止め振り返った。
「契約違反になるぞ」
 戻れと有無を言わさない圧力をかけようとする。だが焔は止まらなかった。
「では、これで終い。契約は破棄で構わない」
 落ち着いた声で、短く告げると、もう立ち止まることなく上流を目指し走り去っていった。

●氷と炎
 河に沈んでいく氷槍の切っ先を眺め、マーズが勿体無さそうに見送っていた。
 戦いの最中気になっていたので、出来れば戦闘が終わったら調べさせて欲しいと思っていたから、余計に惜しく思える。
 怪我を恐れずに向かってくる雪崩は、大きく肩で息をし、切っ先のなくなった槍を手に静かにエンドブレイカー達に向けた。
 先に倒すつもりはなかったが、盗賊の方は既に伸びて橋の上に転がっている。
 止血も回復も終えているランとは違い、雪崩は消耗していくばかり。大した気力、いや余程死にたいのだろうか。
 このまま追い詰めるべきか、攻撃の手を弱め持久戦に持ち込むか。その狭間で、両者は橋の上で睨み合っていた。
 当然、他の橋から盗賊が来ることも充分警戒していたが、場所は橋の中央。敵と対峙している以上背中が開いてしまうのは仕方が無い。
 いち早く、クラリッサは気づき背を向けていた状態から振り返り際に銃を撃ち放つ。
 向かってきたのは、焔。だが彼は弾丸を防ぐことなくその身に受け、止まることなく一気に炎剣を振るった。
 炎の羽が広がり、エンドブレイカー達の間をフェニックスが飛びぬける。いや、この場に相応しく鳳凰とでも呼んだほうがいいだろうか。
 その炎は雪崩を包むように癒し、消え去った。
「雪崩、まだ終わりじゃないだろ?」
「……分かってる」
 雪崩を中心に桜橋の上に、再び吹雪が巻き起こる。そして焔を中心に熱が集まり炎の蜃気楼が揺れる。
 咄嗟にエンドブレイカー達は攻撃に転じる。どちらも避ける意思は無く、真っ向から攻撃が向かってくる。
「悪いな、まだそいつを死なせるわけには行かないんでね」
 振り下ろされた透明化した刃を受け止め、ランは焔を見上げる。
「私も昔はならず者でした。でも恩人が変えてくれた。だから、あなた達も……」
 そこで焔は背後の気配に気づき、力任せにランを押し戻すと、刃を弾きながら左腕を犠牲にし振り返った。
 叩き込まれた棍の一撃が、腕に嫌な音を上げさせる。ひびが入ったかと顔をしかめ、睨み付けた相手はガルド。
 紅葉橋の盗賊はどうやら、無事に片付けられたようだ。
「お前らをこのまま殺すなんざ、マジ勿体ねぇ。それよりか、もっとそのガタイと美貌を活かせるコトしたくねぇかよ?」
 挑発的にだが真っ向から言葉をぶつけてくるガルドは、体格、態度共に焔に引けをとらない。
 その様子が気に入ったのだろう焔は、始めて笑みを見せる。
「なら分かっているだろう。俺たちのような者を従わせるには、どうすればいいか?」
 焔は、炎剣で薙ぎ払い両者はいったん離れた。そこに飛んでくるのは、ジュリアの射る無数の矢。
「抵抗するなら保証しないけど……どうする?」
「勿論、とことん最後まで!」
 再び炎が剣から燃え上がった。
 雪崩の方はというと、氷で再生させた切っ先を振るいながら地面に槍を突き立て、橋を氷の槍でいっぱいにしていた。
 彼も戦いにくいかと思えば、器用に合間をすり抜け攻撃してくる。
 召喚したオーラの城壁と共に突撃し、氷を破壊しながらフランの重突進が雪崩を押し戻す。
「我々を退けようと……正式な討伐軍が組まれればそれまでだ」
「そうだろうね……その時は、その時だよ……」
 いつの間に放ったのか、無数の戦輪が囲むように襲い掛かり。それを撃墜するようにマーズのマジックマッシュルームと別の戦輪が飛んでくる。
「また会ったね、でかいの」
 今度は雪崩の後方から、ノイズとヴリトラが駆けつける。
「彼らは、全員縛って置いて来た。残るはお前達だけだ」
 挟撃したところを、さらに挟撃したような、妙な陣形になった。
「なるほど、これは不利だな」
 だが楽しそうに焔は剣を振るい続けた。雪崩は、本能のままに攻撃を繰り返した。
「これで終わりだぜ!」
 ガルドの放ったオーラの刃が、焔の生み出す炎を切り裂き、炎剣を弾き飛ばし。
 反対側では、ノイズの神火を宿した一撃が、雪崩の槍を薙ぎ払い飛ばした。
 二つの刃がぶつかり合い。上空で爆発するような音がし、吹雪と炎が散った。
 それはヒラヒラと舞い散る桜のように、彼らの上に静かに降り注いでくるのであった。

●彩
 盗賊達は、並べられランとヴリトラの方で、処遇について話し合っていた。
 幸い頭も捕らえられたので、話は早い。
「協力するか、組織ごと街から出て行くか。二つに一つかしら?」
「やってしまった罪は消えないぞ、善悪関係なしはお前らの考えだからな。取りあえず聞きたいのは、今までどれくらい襲ったか、といったところか」
 話し合う二人の言葉に、ジュリアが難しそうな表情で言う
「街の人の心情もあるから難しいね。その時は街のルールに任せるしかないかな」
「重要なのは再犯させないことだな。それが満たせれば他のモンに任るぜ」
 クラリッサの言葉に一同は頷き、後は新領主の采配では無いだろうか。そんな話に落ち着いた。
 その一方で、ノイズとマーズは少しガッカリしていた。
 一度は蘇ったと思われた雪崩の武器は完全に柄の部分を残して、何処かにふっとんでいってしまった。
「それはどこで、みつけたんやろか?」
「同じようなものは持っていないの?」
 矢継ぎ早に質問が飛び交う中、雪崩は眠そうに欠伸をした。
「……お腹すいた……眠い」
 どうやら、彼は戦闘以外には興味が極端にないようだ。
「折角なら日の当たる場所で兄弟揃って暮らせるよう望まんか?」
「それはどうだろうか? 殺してなくとも、俺達がやってきたことを快く思わない者は多いと思うぞ」
 そうフランに応える焔の背を、ガルドが思いっきり叩く。
「働き口は任せろ。焔は用心棒、雪崩れは……解ンだろ?」
 その前に常識を教えないといけないかと、首を捻りながらも戸惑う焔に彼は笑いかける。
「話飲んでくれんなら生活の保障は任せろ。ちょっくら、ここの領主に立候補してくるからよ」
 景気良く話すガルドの言葉に驚き半分、感心半分で、適わないなと焔は密かに苦笑した。
 普通なら先ほどまで刃を向け合っていた人間を迎え入れようとするだろうか。
 お礼を言いに戻ってきた娘達にも、さっそく彼は声を掛けに向かった。
「もし叶うなら、道場を持たせてもらい、自警団を作るつもりよ。行く所がなくなったら、来るといいわ」
 腕の立つ者と共に力を合わせたいと、切に願う。そう、ランは告げて橋の周りを見渡した。
 まだ上空に舞い散った氷があるのだろう。雪の華となった欠片は静かに降り続けている。きっと、いつか本当の桜が満開になる日もくるだろう。
 輝く欠片に前足を伸ばしていた黒猫を抱え上げ、ヴリトラは笑みを浮かべた。
 きっとこの街は変わっていく。そう信じることが大事なのだ。
「帰るぞ、ウメさん」
 主人の優しい声に、黒猫は満足そうに短く返事をするのであった。



マスター:凪未宇 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2013/09/17
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