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上げて落とすは悲劇を紡ぎ手

<オープニング>

 アマツカグラ、山間に作られた小さな集落。マスカレイドの支配から解放され、ゆっくりとではあるが復興の進む小村、そこを見下ろす山中に数人の男達がたむろしていた。
「気に入らないですねぇ……」
 ぽつりと、村の様子を見て呟く男。鎧などは纏っておらず、着物に身を包んだ姿はどこか公家風にも見えた。半ばほどで折れてしまった筆を手に、黄ばんだ紙にさらさらと文字を書いてゆく。
「英雄が現れて助かりました、なんて結末……陳腐で退屈すぎる」
 そう言うや、男は書きかけの紙をくしゃくしゃと丸め、後ろに放り投げる。男の背後には、同じように丸まった紙が山を成していた。
「あの村を支配していた頃には、幾らでも悲劇を紡げたのに。親と子、恋人同士、幼子と老人。殺し合わせ、罵り合わせ、閉じこめ、埋め立て、沈めて……最高の物語を演出することが出来たというのに」
 ざっ、と砂利を踏みしめながら男は立ち上がる。それに従うように、武士姿や忍者姿、農民姿の者達が後ろに立つ。
「でも、これではこれで良しとしましょう。幸福は味わえましたか、平穏を楽しみましたか、解放を満喫しましたか?」
 上げて、上げて、上げて。最高の頂で落とす。
「さぁ、悲劇を紡ぎにゆきましょう」

「今までなりを潜めていたアマツカグラのマスカレイドが動き始めた……やっこさん、どうやら痺れを切らしたようだぜ?」
 アマツカグラの茶屋の一角で、悲劇を許せぬデモニスタ・クロウ(cn0025)はそう話を切り出した。
「アマツカグラのマスカレイドは、俺たちエンドブレイカーの手によって主要な町や村から撤退していった。そのマスカレイド達を回収すべく、サイリス率いる艦隊が滅びの大地からやってきたのは記憶にも新しいよな?」
 もっとも、その艦隊はアマツカグラ沖海戦にて撃退され、輸送船も奪取した。これでアマツカグラのマスカレイド達は本格的に孤立を深めることとなった。
「何時までもこない救援、不自由な暮らし。欲望によって棘を身に受けたヤツラだ、我慢なんざ出来るはずもなかった」
 限界に達したマスカレイド達が、再び近場の村や町に姿を現し、欲望の赴くままに暴れ始めるようになった。
「ま、そのお陰でエンディングで察知できるようになったんだけどな」
 今回事件を起こすマスカレイドは四体。
「物書きのマスカレイド、ハザマル。こいつが他の三体を率いている」
 このハザマル、村を支配していた頃に人々を争わせたり、拷問したりして苦しめ、その様子を悲劇として書に纏めていたらしい。今回動き出したのは、村の人々が幸せそうに暮らしているのが我慢ならなかったようだ。
「手下の三人、武士、忍者、農民はハザマルの物語の引き立て役……ハザマルの手足として動いていたらしい」
 ハザマルは手にした筆で絵や文を書き、その書かれた内容で攻撃してくる。魔想紋章士のようなものだろう。手下の三人はそれぞれの技を使ってくるが、それほど強くはない。
「彼等は山を下って村へと向かってくる。村までの道は一本しかないから、待ち伏せや奇襲が狙えるかもな」
 そこまで語り終えると、ふぅとクロウは一息吐く。
「ようやくアマツカグラは静かになったんだ。それをこんな所でぶち壊される訳にはいかねぇよな?」
 ヤツの紡ぐ悲劇こそ、思いっきりぶち壊してやろうじゃないか。そうクロウは話を締めくくるのであった。


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参加者
破城鎚・アイネアス(c00387)
多色のアスター・クィ(c03420)
鳴弦の巫女・アサキ(c07497)
勇者リリオス・リリナ(c21124)
夜が訪れる刻・シキミ(c32374)

NPC:悲劇を許せぬデモニスタ・クロウ(cn0025)

<リプレイ>

●悲劇の幕は
 アマツカグラの山間、その中にぽつんと立つ小村。今までマスカレイド達に支配されていた村は、静かに復興へ向けて動き出していた。しかし、そんな村に、今再び悲劇の幕が上がろうとしていた。
「アマツカグラもマスカレイドの支配から解放されたと思いましたのに、未だに人々に脅威を与えているなんて、許せないですわね。」
「マスカレイドの非道……ここで、もう二度と何も起こらないよう、滅して終わらせましょう。もうあの方達が苦しむ必要は無いのですから」
 二つの間をつなぐ細い山道。木々の間に身を隠しながら、山の方を窺う夜が訪れる刻・シキミ(c32374)と勇者リリオス・リリナ(c21124)。近くには他の仲間達が同じように身を隠していた。ここを通る敵を待ち伏せし、先手を取るためだ。
「古書店に勤める関係上、古今の文人に奇妙な方が多いのは承知していましたが……流石にこれは、放っておくわけには行きませんね」
 緑の袴で周囲に溶け込もうとしながら、鳴弦の巫女・アサキ(c07497)は小さく溜息を漏らす。樹の幹に背を預けつつ、弓を張り具合を確かめていた。
 一方、悲劇を許せぬデモニスタ・クロウ(cn0025)は傍らの多色のアスター・クィ(c03420)の格好に苦笑を浮かべていた。黒で統一された服装に背中の羽根飾りを身に纏った彼女は、さながら蝙蝠の様にも見える。
「収穫祭にはちと早いんじゃ……」
「にゃ?」
 クロウの指摘に照れ笑いを返すクィ。どうやらこれで押し通すつもりらしい。
 と、その時。山の方から微かに足音が響いてきた。一気に緊張が高まるエンドブレイカー達の視界には、三人のマスカレイドを従える男の姿が映った。あれがハザマルで間違いないだろう。エンドブレイカー達は一行が近づくのをギリギリまで待ち……射程圏内に入った瞬間、木立より飛び出し先制攻撃を仕掛けた……が。
 ギィンッ!
「おっと、危ないですねぇ」
 放たれた妖精や矢、斧剣や鎚が弾かれた。空中に剣を構えた侍の姿が一瞬だけ浮かび、煙のように霧散する。こちらの攻撃に反応し、即座に迎撃してきたのだ。自らの前に姿を見せたエンドブレイカー達を見つめ、ハザマルは愉快気に喉を鳴らす。
「なんの工夫もなく漫然と身を隠しただけならば、戦士でない私でも感ずることは出来ますよ、エンドブレイカー殿?」
 このタイミングで襲ってくる者など、エンドブレイカーしか居ないと気付いたのだろう。ばらりと紙束を懐から出し、筆を握り直すハザマル。それに倣うように、配下もそれぞれの得物を構え、臨戦態勢に入った。
 それに応じ、破城鎚・アイネアス(c00387)が一歩前に踏み出る。初撃が防がれたことになんら動じていないように、ゆっくりと山道に仁王立つ。
「……足掻くのは自由である」
 全て金属で作られた巨大な戦鎚を展開するアイネアス。仲間達も、すぐさま陣形を整え村への道を閉ざした。
「無駄な事だが、な」
「ふむ、ではひとつ試してみましょうか。救世主たるあなた方の首を持ってゆけば、彼等の絶望もより深い物になるでしょうからねぇ!」
 詠うように号令を掛け、配下を動かすハザマルと悲劇を食い止めんとするエンドブレイカー達。ぶつかり合った剣戟の音が、開幕の合図となった。

●筋書き無き物語
 マスカレイドとエンドブレイカー、動き出したのはほぼ同時。しかし、少ない動作で攻撃を放てるシキミが僅かに先んじ、先手を取った。
「さぁ、まずは厄介な手合いから片付けてしまいましょう」
 爪弾かれる竪琴の音色と共に、幾人もの妖精が呼び出される。彼等は木々の合間を縫って飛翔し、農民へと針を突き立てる。また、一部はその周囲をやかましく飛び交い、相手の気勢を削いだ。
「良い、良いですよ。弱者を嬲るのも良いですが、あなた方にはそれでは不十分!」
 一歩遅れて、ハザマルが筆を走らせた。暴力による圧政の物語が実体化し、無数の兵士となって飛び出してくる。それらは陣形を整えつつ、アイネアスへと突撃した。更に集団に紛れ込んだ忍びが、呼び出した霊犬を疾駆させる。犬は前衛の間をすり抜けると、忍者刀でシキミの右足を擦れ違いざまに切り裂いていった。
「初撃を貰ったか……ならば、返礼しよう」
 突撃を受け止めていたアイネアスが両足に力を込める。兵士達をはね除け霧散させるや、一歩前に踏みだし戦鎚を振りかぶる。狙いはシキミの攻撃からまだ体勢を立て直しきれぬ農民。強烈な衝撃を伴った一撃が叩きつけられ、全身を痺れさせた。
「ま、数を減らすのが最優先ってな!」
 そこですかさず、クロウが追撃をかける。ムーンブレイドの魔力に呼応し、農民の周囲に月の結界が出現する。月光の光が結界内で乱反射し、農民を蝕んでゆく。連撃を受け早々に虫の息となるも、最後の悪足掻きとばかりに農民は毒キノコを取り出す。僅かばかりに回復しても無駄と悟ったのだろう。しかし、痺れと月光に侵された身体は思うように動かず、間近にいたクロウのみを巻き込んだ。胞子を吸い込んだ瞬間、全身から力が抜けてゆく。
「そうだね。1人ずつ、確実に倒していこっ!」
 自由のきかなくなったクロウと入れ替わるように、クィが前に出る。斧剣の刃に奪命の魔力を注ぎ込むや、もぞもぞと身体を動かす農民へと突き立てた。その一撃は、虫の息となっていた農民の命を完全に刈り取るのであった。ばったりと倒れ伏す農民、その姿に一瞥もくれず、今度は武士が太刀を手に斬りかかってくる。
「せやぁっ!」
 大上段からの振り降ろしがリリナへと叩きつけられた。技量こそ並ではあるが、棘によって強化された腕力は彼女のマントを引き裂き、左肩へとめり込む。紅い飛沫がマントを汚した。
「私は、勇者リリオス。貴方達の非道、見過ごすわけにはいきません……ここで倒れてもらいます!」
 無事な右手で氷突剣を抜き放ち、痛みに耐えながら太刀を上へと跳ね上げた。思わずたたらを踏む武士へ、リリナは氷突剣を突き立てる。突き立てた箇所から血も流れることも無く凍りつき、片足を凍結させた。
「ちぃっ! 小賢しいヤツらめ!」
 身軽さを活かし、木々の間を飛び回って隙を窺っている忍び。絶えず移動し風景に溶け込もうとしていたが、その姿はアサキの強化された瞳がしっかりと捉えていた。
「そちらがが連携を乱して来るなら、此方は『一は皆、皆は一の為』の精神で行かせて貰います」
 キリリと矢を引き絞り、アサキは狙いを定める。木々から木々へ飛び回る際、幹に足を触れさせる一瞬。それを見逃さず、アサキは矢を放つ。風切り音と共に放たれた一矢は狙い違わず忍びの足を射抜き、幹へと縫い止めた。不様に落下する配下の姿に、ハザマルは思わず舌打ちをする。
「間抜けですねぇ……農民がやられ、貴方までやられたら役者が足りなくなってしまいますよ」
 追撃を試みるエンドブレイカーへ、ハザマルは素早く悪代官についての話を記した。実体化したいかにも悪人そうな顔が哄笑を上げ、クィやリリナの身体を震わせる。
「私としては、これは飽くまで前座……さっさと終わらせて、村へ行きたいのですがねぇ?」
 クツクツと笑うハザマル。戦闘中にもかかわらず、それはまるで面白い物語でも読んでいるかのような態度であった。

●かくて悲劇は幕を引く
 農民が倒れ、エンドブレイカー達の半分に減っても尚、マスカレイド達は士気を維持し続けていた。対して、エンドブレイカー側はまだまだ油断することは出来ない。もし彼等が形勢不利と判断し逃走を図り、一体でも村へたどり着いてしまえば惨劇は免れないからだった。
「お命頂戴!」
「ちぃっ!」
 足を射抜かれた忍びは地面に降り立ち、足を止めての接近戦を挑んできていた。本来ならばこうした傷は農民が治すはずだったのだが、既に倒されている為それは不可能。不本意な選択ではあったが、それでも素早い刀捌きでクロウを翻弄していた。
「速さで劣るってんなら、こいつでどうだ!」
 刻まれた幾つもの傷口、そこから勢いよく鮮血が溢れ出すと猟犬の姿となって足下から忍者に食らいつく。幾つもの爪牙から逃れるように、思わず飛び退く忍び。だが生彩に欠けたその動きは恰好の的でしかなかった。
「先ほどのお返しですわ、行きますわよ!」
 妖精と一体化し、背中に生えた羽を羽ばたかせながらシキミが忍びへと肉薄する。空中で流れるように振るわれるソードハープは忍びに避ける事を許さず、正確にその心臓を貫いた。力を失った忍びは、受け身を取ること無く地面に墜落した。
「……気に入りませんねぇ。上げたのは良いですが、そのまま落とせないのは実に苛立ちますよ」
 手下の半数をやられ、徐々にハザマルから余裕が消えてゆく。状況が自身の手から離れてゆくのが不快なのか、その表情は能面の如く感情の色が無くなっている。
「ですがまずは、首の一つでも落とさなければ気が済みませんよぅ!」
 猛烈な速さで筆が動き、辻斬りについての文章が紙に記される。そこから飛び出した侍の幻影が猛りながらアサキの首元を狙い、横薙ぎの一閃を振るう。アサキは咄嗟に扇を間に挟み直撃を避けるも、殺しきれなかった衝撃によって皮膚が裂け、血が滲んだ。
「残るは二人だけだけど、ちょっと雲行きが怪しくなってきたかな?」
 敵の動向に気を配りながら、まずは目の前の武士を相手取るクィ。斧剣にオーラを纏わせ斬りかかる。それを見た武士は太刀を構えたまま精神を統一させ、反撃の体勢を取った。
「来るが良いッ!」
 ぶつかり合う刃と刃。振るわれた斧刃を防ごうと武士が突き出した太刀が、左上から振り下ろされる一撃でねじ伏せられ、返す刀で跳ね上がった二撃目が武士の脇腹から左肩を深々と抉っていった。
「この程度!」
 しかし、負けじと踏ん張った武士の口から、衝撃波と化した大音声が放たれる。至近距離から放たれた雄叫びにもんどりうって倒れ込むクィ。
「此処で貴方達を止めてみせましょう! 勇者の名にかけて!」
 それを飛び越え、炎剣と氷突剣を手にリリナが入れ替わった。間髪入れぬ攻撃に、手傷を負った状態の武士が反応することはほぼ不可能と言えた。すれ違うように相手の後方へ着地するリリナ。一拍の間を置いて、氷漬けになった武士の生首が地面に落ちていった。
「さぁ、これで残るは貴方一人です」
 びしりと双剣を突きつけるリリナ。それを受け、ハザマルの頬に汗が伝い始めていた。
「やれやれ、目論見が外れてしまいましたねぇ……」
 筆を手に、じりじりとすり足で後ずさるハザマル。それに合わせるようにエンドブレイカー達もゆっくりと間隔を詰める。手負いの獣と同じ、追い詰めたときこそ最も注意しなくてはならない。
「悲劇を紡げなくて非常に残念ですが、私自身の物語をこんなところで終わらせるつもりもさらさら無くでですねぇ……結末はひとまず預けましょう」
「あ、待ちやがれっ!」
 踵を返し逃走を図るハザマル。慌ててクロウが月の結界を作り逃すまいとするが、それを叩き割って足を止める様子はない。そんな再び山へ戻ってゆくハザマルの背中へ、静かにアイネアスが言葉を投げかける。
「逃げるのか……ならば再び逃げるが良い」
 お前は、良い喜劇の紡ぎ手になれるだろう。ぼそりと、決して大きくはない声で呟かれた言葉。しかし、それにハザマルは敏感に反応し足を止めた。
「喜劇ですって? いけません、いけませんねぇ。私は飽くまで書く側で、見る側で」
 筆をへし折りかねない勢いで握りしめるハザマル。先の一言がよほどかんに触ったらしかった。
「誰かを喜ばせる、笑われるなど……どうしても我慢なりませんねぇ!」
 筆先から現れる無数の兵士達が、ハザマルの殺意に反応しアイネアスへと殺到する。幻影とはいえ無数の兵士の突撃の威力は高く、今まで蓄積したダメージも相まって意識が暗転しかける。
「アイネアス様、無茶はなさらないで下さいませ!」
 しかし、幾ら威力が高くとも、エンドブレイカー達は一人ではない。シキミの呼び出した妖精は幻影の間を弧を描くように飛び回り、痛みを和らげた。アイネアスは仰け反り倒れかけた体勢を立て直すと、その反動を利用して飛び出す。
「物書きであるならば、もう少し冷静であるべきだったな」
「ひっ!」
 雄叫びを放つ獅子のオーラ。アイネアスの全身から放たれたそれが、ハザマルの全身を噛み砕く。戦士ではないという言葉通り、術の威力は高くとも身体は鍛えられているわけではなったのだろう。容易く吹き飛び、地面を転がる。
「く、こんな所で幕引くわけには……!」
 ハザマルはよたよたと起き上がり、震える手で筆を紙につけようとする。しかし、それよりも早く、光の柱が男の身体を貫いていた。その攻撃の主は、弓を構えたアサキ。
「薔薇咲きて、いずこにおわす、我が主……」
 問いかけるように紡がれる短い歌。死を目前としてもなお、文に対する欲求だけは残っているらしく、途切れ途切れにハザマルの口が動いた。
「散りゆく花に……開くくちなし」
 紙は光に灼かれ、筆は折れ、ばらばらと紙片が舞い散る中。ハザマルはそれだけ口にすると、力なく崩れ落ちるのであった。

●終わりよければ全て良し
 さわさわと枯れ枝が風に揺れる。先ほどまでの戦闘音が嘘のように消え、後に残ったのは四つの骸とエンドブレイカー達だけであった。
「ディー大丈夫? 他のみなさんもお怪我はありませんか?」
 連れの妖精の無事を確認しつつ、リリナは仲間達の状態を確認する。みなそれぞれ大なり小なり傷を負っていたものの、そこまで致命的な傷を負っている者は居なかった。
「ふぅ、一安心したら疲れましたわ」
 緊張を解き、思わず息が漏れるシキミ。汗を拭いつつ、秋風の冷たさに身を震わせる。戦闘中は気にならなかったが、山中だけ合って辺りは大分寒い。
 各々傷の手当てと休息を終えると、遺体の処理を始めた。このままにしておくのも忍びなく、さりとて恐怖の対象を村に持ってゆくわけにはいかなかったからだ。
「村人には余り見せたくないものだな」
「こんな領主はここには来なかった……そうだよね?」
 念のため辺りを警戒するアイネアスにクィはそう念を押す。再び圧政が始まるかも知れなかったなど、余計な不安を掻き立てるだけだ。村人達が知らないならば、それに越したことはない。
 アサキは黙祷を捧げた後、遺体一つ一つを検分し始めていた。命令を受けていたという以上、何らかの手掛かりを持っていまいかと期待したのだが。
「何もありませんね……」
 それらきものは何もなく、あったのは陰惨な内容の書物のみ。有力な情報は得られないようだった。
「ですが、これにて一巻の終わり……ではありません。アマツカグラのことは、まだこれから」
 クロウの刻印によって消滅してゆく遺体を前に、そっと呟くアサキ。そうして、枯れ葉舞う秋風を全身に感じながら、エンドブレイカー達は帰路につくのであった。



マスター:月見月 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:5人
作成日:2013/09/29
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冒険結果:成功!
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