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いとしのマチルダ

<オープニング>

 ラッドシティ外れにある、エンボシ村。
 寂れたこの村の隅には、うち捨てられた要塞がある。
 かつて作られたらしいそれは、長いこと顧みられることもなく放置され、荒れ放題になっていた。
 住民の誰も気にする事のなかった場所が、今悲劇の舞台になろうとしている。

「うーん……」
 車座に座った人々が、腕を組み、うなり声を上げている。
「我慢できねえ。俺、やっぱり行ってくる!」
「ケイ、よせ」
「あのおっかねえ番人にやられちまうぞ」
 立ち上がった青年が、なだめられて渋々座る。
「マチルダ……」
 無念そうな声。その言葉を聞いた周囲の男も、沈痛の表情を浮かべた。
 要塞に、どこからかやって来た盗賊団が住み着いたのは少し前。作物を盗むぐらいならかわいいものだったが、次第にエスカレートし、とうとう村の若い娘をさらって、奴隷にするという暴挙に出た。
 ケイはさらわれたマチルダの恋人。その心配はいかばかりか。
 できればすぐに取り戻したいところだが、盗賊団は体も大きく、腕っ節のたつやつばかり。普通の民衆では、とても敵わない。
「しっかし、領主様がいないのでは、奴らに対抗もできん」
「領主様か……」
 人々は、苦々しい顔で話し合っていた。

「ラッドシティの長老衆から、事件解決の依頼がきました」
 梓弓の星霊術士・ネリカ(cn0079)が語りかける。ラッドシティの戦いの結果、貴族領主がほぼ全滅したため、その領地は領主を失い、十分な統治がなされていないようだ。その機に乗じて、盗賊やバルバが跋扈している。
 その状況を憂えたハンクス長老をはじめとする長老衆から、問題解決とその地の統治の依頼が来たとのことだ。
 統治するかどうかはともかくとして、混乱は解決すべきだろう。
「今回の事件ですが……エンボシ村という村からの依頼です。近くにある要塞跡に、盗賊団が住み着いたそうです」
 盗賊団と言うより、山賊のようなものと言った方がいいかも知れない。数と腕力を頼りに、やりたい放題に生きるならず者達だ。
「盗賊団は村の作物を盗んだり、道ゆく人から金品を奪いとったり、住民に迷惑をかけていました。それだけでなく、人さらいまでやったようです」
 さらわれた女性の名はマチルダ。20歳の美人だ。
「さらわれてからまだ日は浅く、今は召使いのようなことをさせられているようです。しかし、放置すればマチルダさんが傷つけられかねませんし、他の方にも被害が及ぶ恐れもあります。どうか盗賊団を倒し、マチルダさんを助け出して下さい」
 ネリカの言葉に、エンドブレイカー達は頷く。
「ありがとうございます。では、場所を説明しますね」
 ネリカは簡単な地図を示す。山を背にして、築かれた要塞。
「要塞はもう大分崩れていますが、まだ壁は強固です。正面から入るしかないでしょうね」
 そして、正面には見張りが立っている。
「斧を持った大男が2名、番人として周囲を見張っています。交代しながら、常時詰めていますので、まずはそれを排除する必要がありますね」
 番人を倒せば、中に入ることができる。
「中にいるのは、大剣とハンマーを持った首領、杖を使う副官、それに剣や斧で武装した子分が4名です。マスカレイドではありませんが、侮れない相手です」
 話が通じるような相手ではない。倒してしまう必要があるだろう。
「エンボシ村は静かな村ですが、農業と林業で成り立つ、のどかな村です。その村の平穏を守るよう、何よりマチルダさんを助け出せるよう、よろしくお願いします」
 ネリカは言って、頭を下げる。
「それから、望むならこの村の領主など、地位につくこともできます。その為にも、頑張って下さい」
 ネリカの言葉に、エンドブレイカー達は力強く頷いた。


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参加者
ギ・ア(c01635)
ニンジャ・クライアード(c02864)
深淵なる薄氷・ミケ(c07900)
辰星・ルイシュ(c16527)
雷光戦鬼・アカツキ(c30989)
夜が訪れる刻・シキミ(c32374)
ナイトストーカー・グレ(c33978)
双眸に宿す紫水晶・アラレズ(c34367)

<リプレイ>

●要塞
 エンボシ村の外れ。半ば朽ちた要塞の周囲は、のどかな村には似つかわしくない、緊迫した雰囲気に包まれていた。
 要塞の前に立つのは、斧を持った屈強な大男2人。見張りの番人を排除しなくては、マチルダの救出は不可能だ。
「山賊っつーのか? 頭悪いよな」
 距離を取り、気付かれぬよう慎重に観察していた辰星・ルイシュ(c16527)が、率直な感想を述べた。
「いつになっても、この手の小悪党は後を絶たないのね」
 双眸に宿す紫水晶・アラレズ(c34367)がため息。まあこういう相手の方が楽でいいけど、とぽつり付け加える。
「好き勝手に悪事を働く者は許せないですわね」
「あー……でもまぁ……こういう生き方もあるよね……」
 憤りを表す夜が訪れる刻・シキミ(c32374)の言葉に対し、壮絶な過去を経験している深淵なる薄氷・ミケ(c07900)は複雑な表情。以前、犯罪で生計を立てていた時期がある彼だ。何か間違っていれば、倒される側に回っていたかも知れない。
「悪に堕ちてしまったならば、裁きを受けさせるまで」
 雷光戦鬼・アカツキ(c30989)は目をいつも以上に鋭く光らせ、番人の姿を見据える。
「報酬の方は、期待しても良いですよね?」
 冗談めかして、しかし目は笑わずにナイトストーカー・グレ(c33978)。
「ま、いっちょさっくとアレすっか」
 ギ・ア(c01635)の軽い言葉が、合図となった。
「任務、如何にしても果たすべし」
 ニンジャ・クライアード(c02864)が呟き、動く。建物の影に隠れて要塞から死角となる位置を取り、身を低くし、番人の目を避けながらの高速移動。隠密としての熟練がなしえる動きだ。要塞近くに陣取ったクライアードが手招き。彼のたどったルートを参考にして、一行は要塞に接近する。
 アカツキが遠目の能力を使い、要塞の中へ目をこらす。あわよくば要塞内部の構造、特に囚われのマチルダと敵の位置関係を知りたいところだったが、内部にも扉があるようで、その向こうまでは見通せない。
「そううまくはいかぬか……」
「まあ、その分外の音も聞こえづらいんじゃねえか?」
 残念そうなアカツキに、ルイシュの指摘。番人を倒す際、中の敵に気付かれるのは避けねばならない。その点からすれば、かえって僥倖かも知れない。
「では……参る!」
 先陣を切るのは、やはりクライアード。持ち前の爆発的なスピードを活かし、まさに風のように隠れていた物陰から飛び出す。
「なんだおまえ……グワーッ!」
 番人の顔が苦痛に歪む。クライアードが手を一振りすると、出現した高重力場が番人達を押し潰したのだ。
 押し潰された番人の苦悶の呻きが、悲鳴に変わろうとしたとき。
「しっ」
 ミケの手が、番人の口を押さえる。その腕が、みるみる巨大化。魔獣のものと化した腕が番人の顔面をわしづかみにし、熱を帯びていく。口を塞がれて叫ぶ事もできずに、番人は悶絶した。
 敵襲を理解したもう1人の番人が、味方に知らせるべく、要塞の中へ入ろうとする。そこに飛びこんで――文字通り空中を跳躍し、軽やかに番人の頭上を越えて、進路を塞いだのはルイシュだった。
「悪いな、行かせるわけにいかねーんだ」
 跳躍の高度差による、体重をかけた斬撃が番人を見舞った。切られた番人が膝をつくその横では、顔面が焼けただれた番人が崩れ落ちている。
「こんにちは、小悪党さん」
 番人を前に、アラレズは静かな口調で挨拶。
「まだお日様も元気な時間だけど……眠って頂くわ」
 口調は淡々としたまま、表情が一気に鋭くなる。破壊の力を持った刃が、番人の胴を切り裂いた。
 傷を受けながらもなんとか立ち上がり、反撃に転じようとする番人。しかし、斧の攻撃は大振りで、命中しても致命的なものにはならない。そもそも、彼我の能力差を判断し、仲間を呼ぶ事すらできない程度の者が番人をしていること自体、盗賊団の限界かも知れない。
 一方のエンドブレイカー達の、最大火力をぶつけることで、迅速に敵を排除する方針は、理にかなったものだった。
 シキミの呼び出した妖精が、番人の周囲をけたたましく飛び回る。番人の神経を刺激しながら、隙を作り出し連撃につなげる動き。妖精の働きに満足げに笑んだシキミが、追撃を狙うアカツキに眼差しを向ける。ぶつかり合う視線と視線。頷きあうと、アカツキはトンファーをくるりと回した。
「平和を乱す者は、排除するのみ」
 凄まじい勢いで打ち出される拳。番人の顎を捉え、体ごと吹き飛ばした。倒れた番人は、そのまま意識を失う。
 残されたもう1人の番人に、アの紫煙銃剣が突きつけられた。本能的な恐怖に、逃げようとする番人。その足下に、別の方向から飛んできた銃弾。怯んだ番人の動きが、足を地面に縫い付けられたかのように止まる。
「卑怯なんて言いませんよね」
 銃弾を発したカチューシャを構え、冷たい笑みを浮かべるグレ。
「ああ、勝ちゃなんでもいんだ」
 銃弾をばらまき、番人の意識を刈り取りながら、アも物憂げな笑みで答える。
 実際の戦闘時間は、ほんの短時間。僅かの間に、一行は番人を無力化した。

●潜入
「じゃあ……」
 番人を始末した一行は、要塞の中へと目標を移す。その後方、クライアードとルイシュは隊列を離れた。
「ええ、よろしくお願いします」
 シキミが言って一礼。彼らは本隊を離れた別働隊として動き、捕らわれたマチルダの解放を担当する。
 彼らの動きを助ける為にも、残る6人は敵を引きつけ、迅速に対処せねばならない。ミケが中から聞こえてくる音に耳をそばだて、アカツキは扉の隙間から中の状況を観察する。タイミング良く、今盗賊団は宴会中。マチルダは盗賊達とは少し離れているようだ。
「さ、ダルクとついでにエンドブレイカーの役目のため、いきますか」
 好機とみたグレが、扉に手をかける。あえて大きな音を立てて開け放つと、盗賊達は突然のことに動揺したか、その場で固まったまま扉を見つめていた。
「大の男が揃いも揃って……、やっているのがこんな小さな事なのね?」
 アラレズが挑発、というよりむしろ嘲笑にも聞こえる響きで盗賊を煽る。
「さっさとご退場願おうか」
 ミケが言って、声と同様に冷たい視線を盗賊に向けた。
「なんだてめえら、やっちまえ!」
 首領の怒号のもと、慌てて武器を手にとった盗賊団が襲いかかる。
「刀の錆になりたいか……そっか」
 ミケが漆黒の刃をすらりと抜きはなつ。突進してくる斧をもった巨漢に、鋭い刃が突き刺さった。
 一方のアラレズは、背負った大剣を抜く。彼女の背丈以上もある大剣に、さしもの巨漢盗賊も怯んだ。それも構わずね跳び上がっての上段斬り。受け止めた音が金属音を立てる。身長でも体重でも大きな差がありながら、アラレズの躍動感溢れる動きは盗賊をたじろがせた。
 突然の敵の突入に、盗賊団は混乱の極地にある。
「この機をおいて他になし」
 クライアードが素早く身を翻し、広場に入った。ルイシュも続く。目指すのは、部屋の奥で呆然と立ち尽くしている、マチルダの確保。クライアードは風のような動きで物陰を渡り歩く。ルイシュは空中に足場を生み出し、軽やかに駆け上がった。
「人は自分より上へは目線が行かないものらしいからな」
 勢いと冷静さが同居した動き。目前の敵に気を取られている盗賊達は、気付いた様子もない。慎重に、着実に。2人はマチルダのもとへと急ぐ。
 前衛と救出班を助けるのは、グレの銃弾とシキミの妖精。敵の動きを牽制し、味方の攻撃を引き出す。シキミの執拗な攻撃に、副官の神経は崩壊しようとしていた。
 激しさを増す戦いの間を縫うように、クライアードとルイシュはマチルダを目指す。遂に、クライアードが彼女のもとに到達した。
「ケイ殿に代わり、御助けに参上致した。もう大丈夫でござるよ」
 ケイの名前を聞いて安心したのか、マチルダはクライアードの手をとる。
 その瞬間、剣を持った子分が、救出班の存在に気付いた。人質を逃がされては大変と、巨体を揺らしマチルダに駆け寄る。
 そこに響く銃声。痛みを感じた子分が手をやると、肩に銃弾が突き刺さっていた。
「おぅアカツキ、そっち頼むぜぇ」
「任せろ!」
 銃口から吹き出る煙をふっと吹きながら、アが言う。アカツキはトンファーに気を込めると、子分に突撃した。体当たりを喰らい、巨大がよろめく。アカツキは子分の進路を遮る位置に立ち、その顔を見据えた。
「クライアード、こっちへ!」
 ルイシュが空中の足場から、クライアードに方向を指示。クライアードはそれに従ってマチルダを部屋の外に連れ出すと、彼女の盾となる位置に向き直った。
 統制のとれた連携により、マチルダの救出は成功。あとは、盗賊団を討伐するのみ。

●戦況
 戦いの行方を、物言わぬ要塞が見守っていた。救出に成功したクライアードとルイシュも加わり、エンドブレイカーの攻撃はさらに激しさを増す。
 シキミがラベンダーの旋律をポロロンと弾き鳴らす。優しい音色とともに、表れたのは妖精の姿。周囲に満ちるラベンダーの香りが、今は盗賊を死地へ誘う香りとなる。剣の子分が、2人同時に理性をなくした。
「お2人とも、今ですわ」
 声をかける対象は、アカツキとミケ。アカツキは神速の拳を、子分の体に叩きつける。彼の意志を乗せた渾身の拳は、子分の厚い脂肪と筋肉を打ち抜き、決別の印となって体内を突き抜ける。巨体が、ゆっくりと崩れ落ちた。
「噛み殺されたい? 握り潰されたい?」
 正気を失った子分はミケのその言葉を理解すらできず、ミケは噛む方を選択。鋭く生えた牙が、子分の首筋を切り裂き、子分は地面に倒れ伏す。
 マチルダを助けたルイシュが狙ったのは、斧を持った子分。共に傷だらけになっている。ルイシュは跳躍し、回転しながらアサシンナイフで子分を切り裂く。1人を地に沈めると、再び跳躍。空中の足場を蹴って高々と跳び、勢いに乗った頭突きを見舞った。目を回す子分の背後から、もう1人跳躍する人影。アラレズだ。
「まだ立っていられる?」
 壁を足がかりに、剣の重さなど感じていないかのような跳躍。落下の勢いを加えて振り下ろされた大剣は、触れた瞬間本来の重量を伴って子分の体を切り裂く。倒れ意識を失う子分を、アラレズは嘲るような笑みを浮かべ見下ろす。
 副官が杖を振りかざす。シキミの妖精によって正気を失っていても、攻撃本能は失われていない。発生した重力場がアを押し潰す。
「んな事ぁどーでもいんだよ」
 重力に絡め取られながら、アは紫煙銃剣を抜き撃つ。高速の動きが、重力の軛を打ち破った。魔術使いには珍しい巨体の副官がよろめく。
 そこにすかさず、グレがカチューシャを構えて突っ込む。迸る魔力の渦が、副官を飲み込んでいく。魔力が晴れたあと、意識を失った副官が、倒れたまま取り残されていた。
 残すは首領のみ。怒り狂いながら振り回すハンマーと大剣を、ミケは華麗なステップでかわす。
「おっと今のはいい攻撃……でもハズレ」
 反撃は月穿雪影ノ鬼の一閃。冷たい刃が、首領の胴を薙ぐ。
「ふふ……ねぇ楽しい? 私は今とても楽しいよ」
 追い打ちに向かうのはクライアード。忍者刀の刀身を露わにして、雑念を持たない迷いのない一撃が首領の肩を切り裂く。さらにルイシュ。アサシンナイフの刀身が首領の頬を切り、一筋の血が流れ落ちる。
「やろうっ……」
 突っ込んでくる首領をいなしながら、アはコヨーテのスピリットを召喚。人獣が一体と化し、喉元に食らいつく。
「んだよ、めんどくせーな」
 強力な攻撃を浴びせながら、アの表情はあくまで気怠げ。牙傷を押さえ、首領が悶絶する。
 アカツキの拳が首領の防御を砕き、膝をつかせた。その体に突き刺さるのは、魔獣と化したミケの腕。アラレズは首領の体を蹴りつけると、その勢いをもって空中で一回転。蹴飛ばされた首領の体に、靴跡が刻まれる。
 既に傷だらけの首領の体に、さらに打ち込まれる銃弾。グレの放った弾丸は攻撃であると同時に、首領の動きを封じ、攻撃のタイミングを教える一撃。視線を仲間に向けると、頷いたのはシキミだった。
 奏でる旋律は、戦歌かそれとも鎮魂歌か。呼び出された妖精が殺到し、首領の体に針が突き刺さる。無数の針に刺され、首領の体が崩れる。
「全く、女を盾に取ろうなんて奴は莫迦だね」
 ミケがため息を吐くように呟いた。

●村の行方
 マチルダを助け、誰も倒れることもなく、盗賊団全員を捕らえた。完璧な戦果にも、アはいつも通りだった。
「んじゃ、おじさん帰るわ。後は任せたぜ」
 状況の確認もそこそこに、立ち去るア。それもまた、彼のスタイルということだろう。
 グレは、倒れた盗賊団を縛り上げながら、1人1人を確認する。賞金首や名のある悪党が含まれていたら、褒美に繋がるかも知れない。
「大丈夫? 怪我はない?」
 アラレズが、普段よりも少し温かさを感じさせる口調でマチルダに問いかける。恐怖から解き放たれた彼女の瞳から、涙があふれ出した。女性陣に支えられて、マチルダは恐怖の舞台となった要塞を後にする。
 要塞を出ると、ケイを筆頭にした村人達が、一行を待ち構えていた。マチルダはケイに抱きつき、ケイはしっかりと受け止める。
「本当に、ありがとうございました」
 深々と頭を下げるケイを、エンドブレイカー達は優しく見守った。
 救出と盗賊団の捕縛を知った村人達から歓声が上がり、一行は万雷の拍手と歓喜の声で迎えられる。
 村人達によって、祝賀と御礼の宴が開かれた。ケイはマチルダと寄り添いながら、感謝の歌を披露し場を盛り上げる。
「ところで、領主のことだが……」
 アカツキが切り出した。
「未だ若輩者だが、領主としてこの地を治めたいと思う。此度のような悪漢共が現れぬように、皆が平穏の日々を送れるように」
 アカツキの瞳は、戦闘時と同じように真剣な光がやどっている。
「どうか、よしなにお願い申し上げる」
 アカツキの言葉に一瞬静まりかえった村人達だが、すぐに地を揺らすかのような拍手と歓声が巻き起こった。その姿を見守っていたシキミが、続いて立ち上がる。
「わたくしも植物が好きですし、林業にも興味がありますわ。木造建築物とか、その良さを皆とも分かち合いたいですわ」
 林業の経理に携わり、村を支えたいというシキミの言葉に、これまたわれんばかりの拍手が起こった。アカツキとシキミ、戦友であり村を守る仲間ともなった2人が、がっちりと握手する。
「領主としての初仕事は……盗賊団の身柄の引渡しか」
「報酬の方は、貸付にしてあげましょうか」
 縛られた賊を見て思案顔のアカツキに、グレがにやりと笑って一言。渋面のアカツキの表情は、すでに領主のそれだった。
 エンドブレイカーの手によって平和を守られ、村の夜は過ぎていくのだった。



マスター:佐枝和人 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2013/10/09
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