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独りの夜の果てに

<オープニング>


 三塔戒律マギラント、銀の領地はタリスの街。
 草木も眠る深夜に、リファナは孤閨の侘しさに悶え、ベッドの上で転々と寝返りを打っていた。
(「いくら待ってもウルガは来ない……あの女のところへ行ったのかしら……」)
 熱い吐息を零して想うは、浮気性の恋人ウルガの事。
 自分が独りで狂おしい夜を過ごしている間にも、彼は他の女の家で腰を振っているに違いない――そう想像するだけで、胸を掻き毟りたくなるほどの息苦しさに襲われ、目頭がカッと熱くなる。
(「私でなく他の女を愛するウルガなんて、死んでしまえば良いんだわ――!」)
 そうなれば、毎晩こんな物思いに悩まされる事もない。
 煩悶に疲れ果てたリファナが外へ飛び出した時、彼女の胸には真円の仮面が貼りついていた――。

 そうして、普段からウルガが使っている連れ込み宿に乗り込んだ時、彼女は神経がキリキリと冷めていくのを感じていた。
「リファナ!? なんでお前がここに……!」
 定番の言い訳すらできない状況で馬鹿みたいにうろたえるウルガの声が遠い。
「やだ、ウルガってばやめないで……離れないでってばぁ」
 鈴を転がすような声で男を咥え込んだまま離さない小娘の声も、頭の上を通り過ぎていく雑音にしか過ぎない。
 部屋に響き渡る全ての音が、リファナにとっては耳障り以外の何物でもなかった。
 やけに心が凪いでいる自分を不思議に感じながらも、リファナは目の前で蠢く物体に照準を合わせる。
 そう、目の前にいるのは、ただの肌色をした質量だ。
 既に暗示ですらない認識のもとに、紫煙銃から弾を乱射して。
 安宿の一室を血に染めたのだった。


「銀の領地のタリスの街で、マスカレイドによる殺人が起こりそうですの……」
 庇蔭魔想紋章士・レフルティーヴァ(cn0144)は、淡々と説明を始めた。
「マスカレイドのお名前はリファナさん。リファナさんは深夜に恋人のウルガさんの泊まる宿屋へ押し入って、ウルガさんと一緒にいたミミルさんのお2人を撃ち殺しますの」
 リファナは物思いの末に自らマスカレイドの力を欲したために棘が反応し、マスカレイド化に至ってしまったという。
「既に完全なマスカレイドとなってしまったからには、そんなリファナさんの凶行を止めるべく戦うしかありませんわ。どうか宜しくお願い致します」
 情報屋は頭を下げた。
「今回皆様が遭遇なさるマスカレイドはリファナさんお1人です。彼女は紫煙銃を携え、クイックドローで攻撃してきます」
 自らマスカレイドになっただけあって、一発一発の威力が高いのへ注意が必要だ。
 また、射程が自在な上に被害が1人に留まらない可能性もある。
「リファナさんの家は住宅地の南の方にありますわ。そこで彼女が深夜に飛び出してくるのを待ち伏せるのが宜しいかと」
 そして、蛇足ではあるが、ウルガのいる連れ込み宿は街全体の北西部にある。
「それでは、マスカレイドの討伐、何卒宜しくお願い致します。今回は深夜なので心配はありませんでしょうが、どうか街の方の目に触れないよう処理なさって下さいましね」
 レフルティーヴァは再度お辞儀したのだった。


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参加者
槍花繚乱・ミユキ(c01656)
蒼穹を翔る風・ランディ(c04722)
ぴよたん刑事・キサラ(c05188)
廻るセントウレア・ナギサ(c21540)
柳風・ウンスイ(c26077)
折れぬ大樹・ユーフィ(c34276)
双眸に宿す紫水晶・アラレズ(c34367)
星詠の炎剣・ツバキ(c34798)

<リプレイ>


 タリスの街。
「寂しさ募って……棘にそそのかされたか」
 ある意味被害者やけど、うちらには倒さな止められんって、歯痒いもんやないつも。
 槍花繚乱・ミユキ(c01656)は、リファナの自宅へと向かう道程を歩きながら、複雑な心境をぼつぽつと漏らした。
 銀色のロングヘアと赤い瞳が美しい妙齢の女性である。
「寂しさと不満から棘にとりつかれるなんて……悲しいことだけど、彼女を憂鬱から解放するためだと思ってがんばろう!」
 ぴよたん刑事・キサラ(c05188)は、元気よく皆へ語りかけた。
 いつも男の子のような口調で面差しも中性的だが、母親譲りの女らしい趣味を持つ内面が外見にも現れているのか、一目でとても可愛らしい少女だと判る。
 だが、今はフードつきのマントすっぽりと被り、他人から顔が見えないように隠していた。
「なるほど、これが修羅場なのですね。原因はさておいて、棘憑きになった以上斃されるのも仕方ないのです」
 折れぬ大樹・ユーフィ(c34276)は、予め調べておいたひと気のない場所を頭に浮かべつつ、緊迫した状況に感心している。
 気ままにのほほんと月日を送ってきたため修羅場から縁遠く、これから初めて見るだろうそれに興味津々のようだ。
「また色事絡みなのね……」
 一方、最近とみに修羅場の絡む依頼を体験している双眸に宿す紫水晶・アラレズ(c34367)。
「考えてみれば、恋情ほど嫉妬や憎悪に変わりやすい感情も無いのかもね?」
 などと、既に修羅場で一家言打てるほどに達観してしまったようだ。
(「……そういえば私、好きな人すら出来た事無いわ」)
 その実、胸の内で自身の恋愛経験の少なさを嘆いている事は、秘密である。
「他人様の恋路も、棘が絡むのであれば首を突っ込まざるをえませんね……」
 星詠の炎剣・ツバキ(c34798)も、思慮深そうな黒い瞳を伏せて、悟った表情。
(「恋路を邪魔するわけではなく、棘を刈りにきただけ……」)
 それでも人殺しだけは……させません……。
 正義感の強い彼女らしい決意を胸に秘め、視界に入ってきた目的地を見据えるツバキだ。
「彼氏の浮気かぁ……ピュアリィは浮気に入りますか?」
 廻るセントウレア・ナギサ(c21540)は、相当不機嫌な態でボソっと呟いた。嫌な経験を思い出したものか。
「――まぁいいや。その男も最低だが、はいそうですかと殺させるわけにもいかんし。しかたないわね」
 そう自分に言い聞かせるナギサから軽く目を逸らすのは、彼女だけでなくその恋人の事もよく知っている柳風・ウンスイ(c26077)。
「ったくねぇ、覚悟も無ぇ奴が連れ添い居んのに女遊びとかするもんじゃねーですよ」
 その点ウンスイちゃんってばその辺しっかり割り切って、楽しく暮らしてますから、ええ。
 こちらはこちらで何やら言い訳めいた事を口走っているのは、友人の彼女が纏っている空気の冷たさに、同じ男として耐えられないからであろう。
 だが、その手には羊皮紙を携え、連れ込み宿からリファナの家までの道筋を現在進行形で書き連ねている。
 あくまで依頼へは真剣に取り組むウンスイなのだった。
(「……原因は寧ろウルガの方にありそうだし、必ずしも本人の責任だけで凶行に及ぶって訳でも無い方を殺すってのは、やりきれないな……」)
 神妙な面持ちで溜め息をつくのは、蒼穹を翔る風・ランディ(c04722)。
「実はウルガとミミルは恋人同士、リファナは思い込みの激しいストーカーで恋人だと思っているのは本人だけ、なんて可能性は……」
 マスカレイドでも実際に殺人を犯さない限り手にかけたくないと考える彼は、ふと思いつくままに願望を口にしていた。
(「……レフルティーヴァが調べ間違うとも思えないし、まず無いだろうな……」)
 当人はすぐに意識で打ち消した推測だが、彼の後ろでは、ナギサが串を回す手を止めて妙な顔をした。
「……それ、アタリかも」
「は?」
 ぎょっとして振り向くと、ミユキもどこか遠い目をした。
「せやな……リファナにとってウルガが恋人なのは間違いなくても、向こうにしたら浮気相手の1人かもしれへんし」
「そういえば、ミミルについて浮気相手だとは、一言も断定してなかったわね」
 アラレズに至っては、納得顔で首肯する始末。
(「まさか……?」)
 ツバキもふと口を挟みたくなったが、ここはグッと堪えて、ユーフィと共にウンスイの地図を覗き込む。
「この並木道にある公園はいかがでしょうか」
 指さしたのは、囮役のキサラがリファナを誘導するのへ都合の良い場所として目星をつけていたものだ。
 住宅地と歓楽街の間にあり、連れ込み宿へ向かうリファナは必ず通るだろうと予測できる道から入れるため、深夜の戦場とするに最適と思われた。
「いいんじゃないですかね、ひと気も少なそうですし」
 ユーフィがうんうん頷くと、豊満な胸も一緒にぷるぷると揺れた。
 その様子に視線を吸い寄せられつつ、ウンスイも同意した。
「んじゃま、この公園で決まりだな、広さもそこそこありそうだねぇ」
 かくして、皆が事前に目をつけていた公園へミユキにランディ、ツバキが潜伏してリファナを待ち受ける運びとなった。
 ユーフィ、ウンスイ、アラレズ、ナギサ、そしてリファナをおびき出す役のキサラは、公園へ向かう3人と別れて、このままリファナの家へ直行する。
 キサラ以外の4人は、リファナの誘導が成功したのを見計らって、背後から尾行する算段である。


 ばたーん!
 リファナの家の扉が荒々しく開いた。
「いよいよだな」
「ええ……」
 気配を断って壁に張りついたウンスイ、その後ろで身を潜めているナギサが頷き合う。
「今から修羅場になるのですね……」
 小さく呟くのはユーフィ。
 アラレズも気配を殺して、相変わらず冷静に成り行きを見守っている。
「はぁ、はぁ……!」
 勢い込んで駆け出すリファナの背に、こっそり透明な印を投げつけたのはキサラだ。
 5人はそれぞれに目配せし合うと、そっとリファナの尾行を開始した。
 そして、公園が視界に入ったところで、しかと気配を感じさせずに移動していたキサラが足を速めて、リファナの前に立ちはだかる。
「あなたがリファナさん?」
「そうだけど、今急いでるの」
 にべもない対象の気を引くために、普段とは違う女らしい物言いで、キサラはせせら笑ってみせた。
「残念ね、ウルガは私に夢中なの。ずっと一緒にいると約束してくれたのよ」
「何ですって、貴方一体……!」
 リファナは一瞬絶句したが、すぐに鬼のような形相になって。
「どきなさい。私はウルガに会うのよ!」
 キサラへ紫煙銃の銃口を向けて、脅しにかかった。
 どうやら、彼女の怒りを余計にウルガへ向ける結果となったようだ。
「それなら、仕方ないね」
 公園へ誘う前に戦うのを避けられないと踏んだキサラは、重棍棒を振り回して応戦する。
 重い一撃を腹に受けたリファナは、ようやくキサラへ気を取られ、容赦無く発砲してきた。
(「作戦変更ね……」)
 アラレズは一旦身の丈程もある大剣を仕舞うと、待ち伏せている仲間達を呼ぶために公園へ急ぐ。
 とはいえ、深夜の並木道に人の往来は皆無なので、戦場が公園から並木道に変わろうと大して影響はなかった。
「さてさて……お嬢ちゃんそんな格好で夜道歩いたら危ないで、ちょっとお話とかしいひん?」
 ミユキは念を入れて待機中にも棘を公園内へ振り撒き、一般人が来ないよう工作をした上で、リファナの前へ現れる。
「あんたはほんまに悪くないんや……苦しむのはもう終わりにしよ……ほんますまんな」
 悲哀の滲んだ声音で諭すように言うと、紅椿で水月突きを見舞うミユキ。
 彼女がウルガの所へ行こうとしたら、身体を張ってでも押し留める覚悟の一突きである。
「ゲホッ」
 腹に強烈な痛みを食らい、リファナは血を吐いた。
「これが修羅場なのですね。でもマスカレイドは退治しませんとね!」
 目標へ気取られないようにかなりの距離を保って追跡していたユーフィだが、常ならざる聴力を発揮して、2人の会話は聞いていたようだ。
 それゆえ、戦闘が始まるや否や走り込んで来て、戦士の剣で十字に斬りつける。
 ザシュッ!
 剣を振り抜く刹那、やはり褐色の胸がぽよんと震えた。
「こんな時間に散歩ですかい、お嬢さん? 良けりゃちょいとお付き合いいただけませんかねぇ」
 こちらも戦闘開始と看て取ったウンスイが、ナンパしながらリファナへ飛びかかり、馬乗りになった。
 なかなか積極的な光景である――が、当然目的は戦闘なので、遠慮なくボコボコ殴りつける。
「痛いわね、何すんのよおっさん!」
 三十路男のグラスハートを的確に粉砕する一言を発して睨むリファナ。
「相手されなかったわね、おっさん」
 ナギサも姿を現し、ミラージュ・スカイを構えて冷たく言い放った。
「感情移入はできるけど、悪いわね。くたばってもらうわ」
 横に疾った一閃が薄いネグリジェを切り裂き、血を噴き出させる。
「次から次へと!」
 苛立たしげに銃を乱射するリファナ。
「やれやれ……」
 その弾が自分の脇腹を抉って初めて、公園から沿道へゆっくりと歩みを進めていたランディが戦闘態勢に入る。
 風牙に暁の輝きを纏わせ、まずは精神集中を測った。
「好きになった相手が悪かったのです、貴女は悪くない…………」
 アラレズの報せを受けて公園の繁みから飛び出してきたツバキは、そうであって欲しいという祈りを口にのぼらせ、星霊を召喚する。
「いらら、頑張ろう……」
 可愛い事は可愛いのだが、何だか他の子達と趣の違う名前は、クロノスである。
 そんな自分の名前をどう思ってるかは知らないが、ともあれいららは逆回転する懐中時計を抱えてダッシュ。血に染まった胸へ蹴りを入れた。
「随分と薄着の様だけれど……アレで寒くないのかしら?」
 戻ってきたアラレズは、いささかズレた事を考えながらも、リファナを抱えて跳躍し、頭から地面へ叩きつけた。
「い……ッたぁ……!」
 憎悪に澱んだ眼が、さらなる怒りを宿す。
「私も旦那がピュアリィと戯れたりしてるからね。さすがにやつれたけど、あんたみたいに殺そうとは思ってないわ!」
 ナギサはそんな懊悩をぶちまけつつも、リファナの殺意をはっきりと糾弾して、回転突撃をかます。
「ぐっ……ウルガが、ウルガが悪いのよ――!」
 背中を強く打って地面へ倒れ込むも、未だウルガの名を繰り返すリファナの想いを察して、ウンスイの言葉に憐憫が篭る。
「惚れた弱みとは良く言ったもんだよ、全く」
 ホント、拒絶体なら良かったのにねぇ……。
 遣る瀬無い気分を吐露するも、ガンナイフから紫煙弾を連射する手は決して緩めない。
「終焉と一緒に、辛い思いをブレイクしてあげる!」
 マントを脱ぎ捨てたキサラも、朱き妖刀で斬りつける。
 ――ザクッ
 ランディも電刃兜割りを仕掛け、脳天を庇ったリファナの腕に剣を減り込ませる。
 ユーフィは奪命剣で脇腹を突き刺し、精気を吸い取った。
「好きすぎたんやな、辛かったんやな……好きも行き過ぎれば苦痛になるもんな……ゆっくり眠り、最後まで綺麗にな」
 ミユキは同じ女として気持ちが解るのか、殊更リファナの煩悶を斟酌した口振りで話しかけている。
 勿論、痛苦の棘を浴びせるのも忘れない。
「それでも…好きになったなら……貴女はやり方を間違えた……」
 棘に飲まれることなく……彼に、やめて欲しいと言うべきでした……。
 ツバキは沈痛な面持ちでリファナを諭すと、足元から炎を湧き上がらせ、爪先から下腹まで焼き尽くしてトドメを刺した。
「来世は、一途なヤツとくっつくといいわね」
 物言わぬ身となったマスカレイドを見下ろして、ナギサがそんな事を言った。
「ほんまやな……」
 ミユキは膝をついて祈りを捧げ、亡骸を消滅させる。
 すると、地面からするすると芽が出て茎が伸び、まるで血を思わせるような色の薔薇が咲いた。
 それを見届けて、ランディがくるりと背を向ける。
「ちょっと野暮用があるんでな。お先に失礼」
 そうスタスタ歩くのは歓楽街の方向。
「さて……用事って同じとこやったかぁ……ほんならちと行きますか」
 薔薇を簡素な柵で囲ってやってから、すっくと立ち上がるミユキ。
「私も行くわ。報告する義務はないけど、どんな色男か見てやろう……」
 ナギサも右手で串をくるくる回しながら後へ続いた。
「うん、皆殺気立ってて怖ーい。俺ぁ門限あるから帰ろうかねぇ、夜遊びし過ぎると怒られちゃうしー」
 ウンスイはそうおどけてみせて、歓楽街へ行く仲間達を見送った。
(「最期までリファナはウルガを強く思い続けてたから、その思いに応えて俺ぁヤツになんもしねぇ」)
 女好きを自認する彼は、敵として相見えたリファナへ対しても彼女の気持ちを尊重する――そう思い極めているのだった。
「長居は無用ですね。でもまあ、ウルガがどうなったかは気になりますかね」
「ウルガさんには一言言いたいけど……一件落着ならこのまま帰るのもありかな」
 ユーフィとキサラは顔を突き合わせ、皆へついていこうか逡巡している。

 そして、連れ込み宿の窓が外からそっと開けられた。
 無駄に気配を殺したまま到着した、アラレズの手によって。
「なっ……アンタ誰?!」
 突然のギャラリーに驚愕したウルガが、慌ててシーツを引き被ろうとする様も、全く動じずに眺めているアラレズ。
「……どうぞ気にせず、続けて良いのよ?」
 とまで声をかける余裕っぷりだが、胸中では。
(「もし貴方みたいなのが恋人だったら……屋根の上からエリアルツイスターをお見舞いしているわ」)
 こんな事を思っていたりする。
「夜分失礼……ウルガやな、ちと話があるんやけどな……あ、そこの娘はちと離れてた方がええよ」
 と、部屋の扉を開けたミユキが言い終わらないかの間に、スルリと中へ入り込んだランディは、素早くローキックをかました。
 狙ったのは、ウルガが今まさに使っていた部分である。
 当然声もなく苦悶し倒れ込むウルガを見下ろすと、抑揚のない声を投げるランディ。
「俺はリファナの気持ちが分かるなんて言い切れる程傲慢じゃないし、他人の為に怒れる程善人でもない」
 ただの八つ当たりだよ、と。
 べキィッ!
 そして、無言でウルガの頬に拳を見舞うのはナギサだ。
 普段はクールに振舞っていても、やはり女である。自分で口走っていた通り、リファナの気持ちは痛いぐらい解っていたのだろう。
「手酷くやられたなぁ……」
 他人が口出すのもあれやけど、リファナにはもう逢えんとだけ伝えにきたんよ。
 ミユキが徐に手当てを始めるのを見て、ツバキが静かに進み出る。
「もう貴方は自由なのですよ、何をするのもね……御気分は、如何でしょう?」
 そう淡々と告げるツバキは、日頃の彼女よりも幾分冷たい表情をしていた。
(「恋は……1人でも出来る……でも、愛は……いえ、それも自分の心の持ちようひとつ、ですね……」)



マスター:質種剰 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2013/10/25
  • 得票数:
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冒険結果:成功!
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