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シャルムーン電撃戦:速き刃、黒き女王を穿たん

<オープニング>

「西方都市国家調査隊が帰還したぞ。彼らが新たな都市国家を発見してくれた! その名は砂月楼閣シャルムーン……大方の予想はついていたが朗報だ」
 ランスブルグの酒場の一室で、集まってきたエンドブレイカー達へ喜劇を謳う天誓騎士・ジュフティ(cn0202)が説明を始めた。
「砂月楼閣は勇者シャルムーンによって支配されているらしい。砂月楼閣のエンドブレイカー達は勇者シャルムーンによって壊滅、生き残りは殆ど居ないとのことだ。しかし、それでも僅かに残っていたエンドブレイカーと接触に成功、その一人のアジェンドが代理者となり、シャルムーンに移動することが出来るようになった」
 幸いにも、これらの動きは勇者に察知されてはいない。勇者はエンドブレイカーが外部より攻めてくると考え、戦力を防御へと優先的に回しているらしい。
「この機を利用し、シャルムーンの最大戦力の一つである、ピュアリィの女王を討ち取るというのが今回の作戦である」
 速度重視の電撃戦だな、とジュフティは呟く。
「詳しいことは現地のエンドブレイカーから聞いて欲しい。彼ら以上に土地勘のある者は居ないだろうからな」

 砂月楼閣シャルムーンに向かったエンドブレイカーを出迎えたのは代理者でもある、魔鍵のソーンイーター・アジェンドだった。
「よく来てくれた。早速だが、説明に移らせてもらう」
 この砂月楼閣は一度薔薇が咲き、エリクシルを入手した勇者によって『シャルムーンの民がエンドブレイカーに目覚めず、エンドブレイカーによる外部からの干渉を受けない』という結界が張られており、それを維持するマスカレイドがいる。
「今回みんなに討伐して貰いたいのが、そのマスカレイド……放棄領域を支配しているピュアリィの女王だ」
 女王とその配下達は勇者シャルムーンの重要な戦力であるが、女王以外のマスカレイドは殆ど居ない。つまり女王を撃破すれば結界を破壊するだけでなく、敵の重要戦力を削ることが出来るのだ。
「あなた方に討って欲しいのは、スノーリリィの女王だ」
 女王は無数の配下達と共に、砂月楼閣の一角に存在する洞窟を拠点にしているらしい。最も、真正面から突撃すれば撃退されるのが目に見えている。
「女王は涼しい夜間、活発に活動する。が反対に、日中は洞窟の中に引きこもっているようだ。ここの気候は温暖だからな、暑いのが苦手らしい」
 日中、女王が洞窟に籠もっている間は配下達は洞窟の外に出て、雑用を行っている。涼しい洞窟内はスノーリリィ達にとって、一種の特権的な場所となっているらしい。この時、女王の周囲には護衛が数体居る程度の戦力しかない。
「この洞窟、二人程度が通れる小さな抜け道がある。出口が蔦に隠されている為、ピュアリィ達には気づかれてはいない。一撃……先制攻撃も狙えるかもしれんな」
 洞窟内に存在する敵戦力は、女王一体と護衛が四体ほど。一応、護衛は集団の中では腕利きに類するのだが、それでもエンドブレイカーの敵ではない。
「問題の女王だが、こいつは一体だけ黒いから一目で分かるだろう。主な攻撃方法は三つ。氷で創造した剣による斬撃、周辺を冷気で凍らせる範囲攻撃、氷の種子を飛ばす技の三つだ。接近戦も遠距離戦もそつなくこなすな」
 また、護衛をそのまま放置しておくと外の仲間を呼びに向かってしまう。周辺に散らばっている為到着するまでに時間がかかるだろうが、それでも厄介であることには変わりない。数で押されれば、撤退を余儀なくされる可能性もある。
「女王の暗殺が作戦目的だが、先制攻撃で配下を狙うのも悪くはないだろうな」
 この戦いは砂月楼閣を解放する為の最初の戦いとなるだろう。この作戦が成功すれば、後々の展開が有利に進む可能性もある。
「なによりも、この都市国家の人々の為……どうか頼む」
 そう一礼しながら、アジェンドは話を締めくくるのであった。


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参加者
天上の月・ノクス(c00524)
夢見る暴力・フィグ(c00731)
アサルトシールド・ペンペロン(c03137)
千夜一夜・モルティ(c10075)
真実の嘘・ラシッド(c15062)
鋼鉄獣・リコルト(c24370)
菫青石の魔法剣士・リデル(c26678)
風切羽根のカナード・ファイト(c31917)

<リプレイ>

●突入、女王の寝所
 勇者によって造られた都市国家、砂月楼閣シャルムーン。勇者に制圧されたこの街の奪還を目指し、エンドブレイカー達は敵の主戦力であるピュアリィ女王の暗殺作戦を展開していた。ここ、狭く薄暗い抜け道を進む八人も、その一つ。
「光源が無ければ視界もままならないね。最も、出口直前には消さないといけないだろうけど」
 カンテラを掲げ足下を照らしながら、天上の月・ノクス(c00524)は洞窟内に目をやる。目的地の広間はさておき、この抜け道は酷く暗く、狭さもあって鬱々とした気持ちにさせられた。
「この都市国家をシャルムーン姫−−いや、大魔女の好きにはさせない」
 その一つ前を歩む菫青石の魔法剣士・リデル(c26678)の声音はどこか沈んでいる。彼女の脳裏にはアジェンドの語った『砂上楼閣のエンドブレイカーは全滅した』という言葉が響いていた。散っていった顔も知らぬ仲間達を思い、軽く目を伏せる。そんな二人を見かね、アサルトシールド・ペンペロン(c03137)が声をかけた。
「まぁまぁ、そんなに思い詰めなさんなって。千里の道も一歩から、まずはこの作戦を成功させようぜ?」
 気心の知れた仲同士、心の機微には自然と聡くなるもの。ニッと陽気に笑い掛け、仲間の緊張をほぐすペンペロン。とその時、前方から風切羽根のカナード・ファイト(c31917)の静かな、だがしっかりと聞こえる声が響いてきた。
「出口を見つけたぜ、灯りを消してくれ」
 声に応じてノクスが明かりを消すと、前方から木漏れ日のような白い光が射してきた。出口に掛かる蔦の隙間から、広間の灯りが漏れてきているらしい。
「……まだ気づかれては居ないようね。護衛が四体歩き回っていて、奥で女王が横になっているの」
「やれやれ、油断大敵とは良く言ったものだね。ま、機先を制せるから良いのだけれども」
 蔦の隙間から千夜一夜・モルティ(c10075)が広間の様子を伺い、敵の様子を仲間達へと伝える。それを聞くと、最後尾で真実の嘘・ラシッド(c15062)は軽く肩を竦めた。シャルムーンの意識が都市外部に向いているとはいえ、警戒心はかなり薄いようだ。
「えーとえーと、あいつらを静かに素早くボコボコすればいいんだな! どんとこいだー!」
 敵を間近にし、否応にもやる気を漲らせる鋼鉄獣・リコルト(c24370)。相手は油断しきっており、こちらも作戦は十二分に周知している。エンドブレイカー達は互いに頷きあうと、蔦を破って広間へと次々と飛び出してゆく。
 突然の侵入者に対し、呆気にとられる護衛達。夢見る暴力・フィグ(c00731)は右往左往するそれらを見渡すと、ぽつりと呟きを漏らした。
「スマートに、とはいかないけれど。この熱情は疾くキミらへ届くだろう」
 口元に笑みを浮かべつつ、愛用のハンマーを引き抜くのであった。

●出口あれども、出る者は無く
 抜け道から飛び出したエンドブレイカー達はそれぞれの役割に応じて散開しつつ、周囲の雪百合たちへと攻撃を仕掛けてゆく。
「ア、アワワ……侵入者、侵入者!」
「あなた達を残しておくと後々厄介なことになるから……早々に片づけさせて貰うのね?」
 奇襲に浮き足立つ雪百合、その中でも正規の出入り口の近くに立つ個体へとモルティは素早く肉薄する。周囲に漂う棘を具現化させ指先に纏い、相手の下腹部から胸元にかけてを撫で切ってゆく。
「にがさねーぞ! みんなのこらずボコボコだー!」
 体勢を崩し無防備な雪百合へ、一歩遅れてリコルトが飛びかかる。重力を帯びた岩塊が頭上から振り下ろされ、相手を地面へと押しつぶす。その一撃は容易く雪百合を圧殺し、更に地面を震動させた。
「追い立てるのは慣れていてよ。羊とどちらが容易いかしら」
 奇襲の驚き、リコルトの攻撃の余波を受けふらつく身体。その小柄な愛くるしい姿にフィグは笑みを浮かべつつも、瞳に宿る光は凶暴そのもの。白き百合を純白の鎌が薙ぎ払い、広間の奥へと叩き返した。
「何を狼狽えているのかしら。さぁ、私を護りなさい?」
 広間の奥へと押さえ込まれた護衛達へ、横たわったままの女王が言葉を投げかける。抑揚が無く、氷の如き冷たい命令によって護衛達の動揺が瞬く間に収まってゆく。奇襲を受けても尚動じぬ姿、これが女王たる者のカリスマなのか。
「私とシャルムーン様の為に、戦いなさい」
「ハッ! 我ラガ女王様ノ為ニ、しゃるむーん様ノ為ニ!」
 護衛の二体が凍結させた花弁を手に切り込み、残った一体が氷柱群を投擲する。先ほどまでとは打って変わった整然とした動きで放たれた氷柱群は、フィグや女王班を狙い打った。
「あら、足下が……」
「こっちはまかせろフィグ!」
 足が封じられたフィグの代わりに、ファイトが花弁を手に迫る二体に応じる。両腕に生成された大鎌を振るい、突き出される花弁を受け止めた。冷気が腕を凍らせてゆくも、強引に相手を押し返し斬撃を叩き込む。それにより、先ほどフィグの攻撃を受けていた個体が真っ二つに切り裂かれていった。
「護衛はこっちが引きつける、二人は女王の抑えに回ってくれ!」
「了解した。こちらは任せろ」
 護衛の雪百合たちの相手をファイトとフィグに任せつつ、リデルとペンペロンは女王の元へと向かう。一段高くなっている場所、そこで身を横たえている黒き女王は二人を睥睨する。
「女王様のお相手は、私たちが。しばらく遊んでくれるかな?」
「いきなりな上に無粋な誘いで申し訳ないが、ダンスにしばらく付き合ってはいただけないでしょうか?」
 引き抜かれる蒼剣と構えられる大盾。それらを前に、女王は気怠げに身を起こした。
「……良いわ。昼間はここに籠もっているだけだったし、丁度良い運動にはなりそうね。ただ」
 二人では少々、物足りないかしら。そう不敵に微笑みながら氷で出来た剣を手中に生み出す女王。それを自らの足下に突き立てるや、凄まじい冷気が洞窟内に吹き荒れた。
「そう決めつけないで、まずはお試しってな!」
 纏わりつく氷を砕きながら、盾を構えペンペロンが突進する。女王の元までたどり着くと、大盾を体術と組み合わせながら突き出す。盾下部につけられた突起と氷の剣がぶつかり、弾きあった。
「その程度では……」
「私を忘れて貰っては困りますね」
 大盾の背後、死角となった場所から鎖に繋がれた剣が飛び出した。リデルは鎖を巧みに操り、相手の氷剣を絡め取る。
「っ、小手先の技が得意なようですね」
 絡め取られた剣を迷わず捨て、氷に包まれた種子を飛ばして反撃する。リデルに対しダメージを与えるも、女王自身も傷を負った。周囲に種子を浮遊させながら、直ぐさま氷の剣を作り直し距離を取る。
「ジョ、女王様! 此奴ラ強イデス!?」
「応援ヲ、応援ヲ要請シマス!」
 と、その時、別方向からから悲鳴混じりの声が上がった。そちらを見ると、護衛の雪百合たちが正面入り口や足止め班の攻撃を食らい劣勢となっていた。しかし増援を呼ぼうにも、正面は既に塞がれている。
「奴らが通ってきた抜け道を狙いなさい。そこを護るのはたった二人。正面より狭い分、一度入れば追撃の心配がありません」
「リョ、了解デス!」
 氷柱を生み出し周囲を牽制、隙が出来た瞬間に雪百合達は駆けだした。花びらを構え、ノクスとラシッドに斬りかかる雪百合達。
「……悪いけど、君たちはもうここから出ることは叶わないよ」
 雪百合達の目的はエンドブレイカーを倒す事ではなく、それを抜けて外へと逃れる事。しかしそれを許せば、無数の配下達が大挙して押し寄せてくるだろう。それを防ぐためにもノクスは紺碧色の剣琴を掻き鳴らし、敵を狂乱の渦へと巻き込む。
「マダ、倒レナイノデス!」
 それにより一体が魂を引き抜かれるも、もう一体は耐えきり前進し続ける。凍った花弁が突き出されラシッドの頬を掠めてゆく。一筋の血を流しながらも、彼の表情が笑みから変わる事はない。
「1つ、1つ。私達は出来る事をやるしかない。貴方達に恨みはないけれど、マスカレイドは生かしておけないから……割り切らなければね」
 脇を擦り抜け、穴に飛び込もうとする雪百合。しかしそれは叶わない。張り巡らされていた鋼糸が雪百合の身体に絡みついたからだ。そのまま身動きの取れぬところを無数の妖精達によって串刺しにされ、呆気なく絶命した。
「護衛が弱いのか、それとも貴方たちが手強いのか……どちらにしろ、余り愉快ではないですね」
 倒れ伏した護衛達を一瞥し、冷たく言い放つ黒き女王。掲げられた氷の剣に映る顔は、それよりも尚冷徹な表情であった。

●黒の女王が白に舞う
 瞬く間に配下達を打ち倒され、ただ独りとなった黒き女王。増援も見込めない状況下にありながらも、その泰然自若とした姿に些かの揺るぎも見えなかった。
「……うふふ、かあいらしい子には牙が疼くね」
 幼さとある種の気高さを兼ね備えた姿に、フィグの笑みはより妖艶さを増す。ぺろりと軽く唇を舐めると、八重歯を獣のそれへと変じさせ虎のごとく地面を駆け抜ける。
「策もなく真正面からとは……愚かな」
 迫るフィグに臆することなく応じる女王。振るわれる氷剣は正面からフィグヘと向かうも、凍てついたままの足では避ける事は叶わない。強烈な一撃故に粉々に砕け散る氷剣、だが。
「枷なら日頃から纏っているもの、悪いものじゃあないわ?」
 氷の欠片を払い、フィグは相手の首筋へ牙を突き立てる。熱を奪われた身体へ、牙を通して精気が注ぎ込まれた。冷気を爆発させ、敵を引きはがす女王。
「く、無礼な……!」
「よそ見していて良いのか? お前の相手はこっちだぜ!」
 間髪入れずに横合いからファイトの声が響いた。咄嗟にそちらを警戒した女王の視界に入ってきたのは、ファイトの額に浮かび上がった石化の瞳。慌てて身をよじろうにも既に遅く、女王の腕が白から灰色に変わる。
「片腕は封じたぞ、いまだ!」
「叶うならば、不意打ちではなく正々堂々と正面から刃を交えたかったとは思うけれど……愛する氷の社で眠ると良い。悪意まで凍らせてね」
 名残惜しげに呟きながらも、ラシッドはファイトの呼びかけに応じて妖精の群れを召還する。ふらりと身体をよろめかせていた女王は、黒髪の奥に隠れた瞳でそれを捉えた。
「多勢にかまけて……少々、調子に乗りすぎではありませんか?」
「っ、これは」
 その瞳に映るのは黒より暗い激情。女王が腕を振るうと、周囲に漂っていた種子が妖精の群れへと飛び込む。内包された凍気を解放し、種子は妖精達を纏めて氷に閉じこめた。その余波はラシッドへ到達し、急速に熱を奪っていった。戦闘不能とまではいかないが、決して小さくないダメージを負う。
「仮にも女王を名乗る者。そう易々と討たれるとでも思いましたか」
 今まで平静を保ち続けていた女王の雰囲気が変わる。冷え冷えとする殺意と憤怒、その密度にエンドブレイカー達は思わずたじろいだ。
「……お前なんて、ちっとも怖くないぞ! 女王だってボコボコだー!」
 その空気を打ち破ったのは、威勢良く放たれたリコルトの雄叫びだった。挫け掛ける心を生来の負けん気で奮い立たせ、ハンマーを手に思い切り踏み込む。吹き付ける吹雪を重力でねじ伏せ、女王へと強烈な一撃を叩き込んだ。
「ぐっ、勢いだけで飛び込んだところで!」
「そういう手薄なところをフォローするのが仲間なのね。最後まで油断はしないわ」
 岩塊を押し戻し、突出したリコルトを切り捨てようとする女王。しかしその隙を埋めるようにモルティが攻撃を合わせる。棘が瞬時に実体化し、女王に絡みつき動きを封じた。その隙にリコルトは相手の攻撃圏内から離脱する。一時は気圧されていたエンドブレイカーだが、彼の攻撃によって本来の勢いを取り戻してゆく。
「こちらも負けてはいられないな……援護はお願い」
 仲間の攻勢に加わりながら、ちらりと背後の親友に視線を流すリデル。その先には微笑みを浮かべ、同じくこちらを見つめるノクスが居た。
「任せて。終わったら、美味しい紅茶でティータイムだよ」
 交錯は一瞬。背中へ投げかけられた言葉に後押しされ、リデルは蒼剣を手に一直線に敵へと疾駆する。そしてそれを追い抜くように、白鮫の星霊が激流と共に女王へと牙をむいた。女王の氷剣を腕ごと噛み砕くも、水流は凍らせられてしまう。だが、砕けた氷塊が雪煙となり視界を奪う事に成功する。
「はぁぁぁっ!」
「く、ぅぅううっ!」
 裂帛の気合いと共に放たれた奪命の斬撃は氷剣が生成されるよりも速く女王に吸い込まれ、大きく袈裟に切り裂いた。刃が引き抜かれると、傷口から血の如く白煙が流れ出す。
「おのれ、おのれぇ!」
 苦痛と屈辱で激高し、躍起になって雪煙を吹き散らそうとする女王。その目の前に、煙を突き破って一つの人影が現れる。
「エンドォ……」
 それは盾を構え肉薄してくるペンペロンだった。冷気や種子を飛ばし迎撃する女王だったが、尽くが盾に防がれ足を止める事すらできない。瞬く間に両者の間はゼロになる。
「ひっ!」
 ここで初めて、恐怖を見せる女王。その顔面に対して。
「ブレイクゥァァァ!」
 水平になった盾がめり込んだ。ぐらりと傾き、地面に倒れる女王。決着を告げるように、その身体からはらりと花弁が舞い散るのであった。

●静かなる先駆け
 配下達に気づかれることなく女王の暗殺を成功させたエンドブレイカー達。しかし、何時配下が戻ってくるかは分からない。早急にこの場を離れる必要があった。
「昼間に突入したけど、ここじゃどれくらい時間が経ったか分からないの」
「可愛い雪百合と戯れるのもきらいじゃないけど、バレたら元も子もないからねぇ」
 正規の入り口から外の様子を伺うモルティとフィグ。撤退までの僅かな間に、他の仲間達も出来る限りの事をしてゆく。
「……キミの氷が、溶けない事を祈るよ」
 ラシッドは女王や護衛の遺体を並べ、黙祷を捧げていた。棘に墜ちたとはいえ相手は女王。埋葬とまでは行かずとも、最低限の礼儀は表しておきたかった。
「……駄目だな。一通り見て回ったけど、何もねぇな」
 肉食竜や鷹、狼のスピリットと共に広間内を探索していたペンペロンは首を振りつつ戻ってくる。何かしらの手がかりは無いかと思ったのだが、空振りに終わったようだ。
「そ、それならとっとと帰ろうぜ。オレ、ハラへったよー」
 お腹をならし疲れた表情を見せるリコルト。その様子にリデルは先ほど聞いた言葉を思い出して笑みを浮かべ、つられてノクスもクスリと笑う。
「そうだな。では、撤収しようか」
「これで嫌な結界はなくなると良いね」
 正規の道は危険なため、元の抜け道から外へと離脱してゆくエンドブレイカー達。その最後尾、ファイトは一瞬だけ立ち止まり、広間を振り返る。
「砂月楼閣シャルムーン、か……これから何が待ってるんだろうな」
 そうしてその呟きだけを残し、彼も仲間の後を追うのであった。



マスター:月見月 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2014/01/24
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