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≪キリシマ探偵事務所≫四壁四獣

<オープニング>

「天槍……確かに興味あるよね?」
 未知の冒険に挑む探偵・ティルナ(c03037)が、眼鏡の鼻当て押し上げて微笑むと、
「あなたは人類未踏の場所なら何処でも興味あるんでしょう」
 飲みかけのコップを置いた紫風天翔・レイラ(c03886)が応じる。
 ここはティルナが所長を務めるキリシマ探偵事務所の一室。
 その部屋には、事務所に所属する幾人かが顔を揃えていた。
「階段が無いなら、わたしぃも行ってもいいですぅ」
 同じくコップを置いた星輝穿雲・ディーア(c02611)もにこにこ顔で顔を上げるが、
「誰も入った事ないのですから、階段があるかどうかは当然わかりませんよね?」
「まぁまぁ、あのでっかい竪琴の移動の事だろ? その辺りは手伝ってやればいいだけだよな?」
 本質を突いて肩を竦める野太刀のソーンイーター・クリストファー(c00489)を、軽く薄い・エリアル(c03086)が宥める。
 彼女たちの中で天槍に赴く事は既に決定事項の様で、ここに居ない他の者達にも声を掛け、準備を進めるのだった。

「この部屋は何かしら? 壁に絵が書いてあるわね」
 今までにない形状の部屋に行き当たり、覗き込んだティルナが声を上げる。
 おそらく上からみれば六角形になっているであろうその部屋は、ティルナの覗くのと正対した面にも入口があり、それ以外の四面には『獅子』『水牛』『河馬』『犀』の絵が描かれていた。
「どういう意味があるのでしょうか?」
「4つの動物の関連性がまったく分からないぜ」
 小首を傾げるレイラに、5秒で考える事を止めたエリアルが、お手上げといった仕草を見せる。
「けどぉ、向こうに通路が続いてますからぁ、突っ切って進みましょお」
 そう言って、ディーアが拳を突き上げる。
 確かに今までゴーレムにも遭遇しておらず、この向こうは少し雰囲気が違う気もする。
「ここで立ち止まっていても状況は変わらないでしょう」
「そうね。考えてても仕方ないわ、進むわよ」
 クリストファーにせかされる形でティルナが決断すると、一行は部屋の奥へと歩を進める。
 全員が部屋に中ほどまで進んだ時、勢い良く入口が封鎖された。
「なにっ!」
「罠なの?」
 とっさに皆が身構える中、四方の壁を突き破り、壁に描かれていた動物を模したゴーレム達が、勢い良く地を蹴り乱入してきたのだった。


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参加者
野太刀のソーンイーター・クリストファー(c00489)
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
怪しくない神楽巫狐・リーリア(c02014)
星輝穿雲・ディーア(c02611)
天槍ダンジョンに挑む探偵・ティルナ(c03037)
軽く薄い・エリアル(c03086)
紫風天翔・レイラ(c03886)

<リプレイ>


 天槍ダンジョンに挑む探偵・ティルナ(c03037)達は、四方の壁を突き破って現れた動物型ゴーレムの強襲を受けていた。
「カバからみんなをカバいますよぉ! リカバリーが大事ですぅ! ヒッポポタマスゥー!」
 左奥から突っ込んで来るカバに相対したのは星輝穿雲・ディーア(c02611)。
 彼女の身の丈を超える巨大な竪琴、インクレスパトゥーラを前にデモンで己の分身を作ると、2人で竪琴を支え、大口を開けて突っ込んで来るカバを押し留める。
「なんたる重量、なんたるピポポタマス!」
 2人のディーアの体は20cm程押されるが、なんとかカバの動きを押し止めると、デモンの分身と共に反撃に転じる。
 そのディーアの左でサイを迎え撃ったのはティルナ。
「派手なお出迎えだけど、たった四体で私達を止められるかしら?」
 僅かに口角を上げたティルナは頭上で振り回したワッパーを投じてサイの角を捉えると、サイの出てきた壁に向かって走り出す。ワッパーのロープがピンと張り、体を引っ張られるが、
「か弱き乙女なので力で対抗はできないけど、お前より頭は回るつもりだよ」
 ティルナは力で抗するのではなく、角を引っ張ることでサイの軌道を変え、上手く壁に突っ込ませた。普通の獣なら悲鳴を上げたであろうが、獣ならぬゴーレムのサイは、大きな衝突音にも関わらず何事も無かったかの様に向き直り、ティルナを目標に定めたのか前足で地面を蹴る仕草をする。
「そうそう、もっと私を楽しませてくれよ」
 そう言って笑うティルナから見て、ディーアを挟んだ反対側には紫風天翔・レイラ(c03886)。
「紫風天翔、レイラ。参ります!」
 言うや否やオーラの翼を纏ったレイラは、咆哮を上げ駆けくる獅子のゴーレムに突っ込んだ。
 牙を剥く獅子の鼻先に手を付いたレイラは、体を回転させ獅子の眼目掛けて蹴りを叩き込む。
 勢いを殺された獅子は不快げに首を振ると、間合いを測る様にレイラの周囲を回り始めた。
「ただで進めるとは思いませんでしたが、ゴーレムとは……マスカレイドでは無い様ですが、降りかかる火の粉は払わせて頂きます」
 キュっと唇を結んだレイラは、久しぶりの前衛に逸る心を押えながら、再び獅子へと躍り掛かった。

 3人がそれぞれカバ、サイ、獅子を押える間。
 残る1体の水牛を押し留めたのは野太刀のソーンイーター・クリストファー(c00489)。
「流石の突貫力と言うべきか? 普通の水牛より重量がある分……」
 野太刀の刃側で角を受け、ギリッと奥歯を噛み締めたクリストファーの体が押され、地面と擦った足の裏から煙が上がる。そこに後ろからクリストファーの頭上を越えた軽く薄い・エリアル(c03086)と、右から躍り出た怪しくない神楽巫狐・リーリア(c02014)。
「まっすぐ突っ込んで来るなら狙いやすいぜ、これでも食らいな」
「何だか久しぶりについてきたら、大変な状況に巻き込まれましたー、けどがんばりますー」
 エリアルの愛弓『スコールブラスター』から無数の矢が撃ち放たれ、狐の耳と尻尾を揺らしたリーリアが一回転させた得物の刃を突き入れる。経絡を突くその攻撃に圧力が弱まったのを見て、
「さぁ、反撃させてもらうぞ」
 クリストファーが棘を絡めた指先で水牛に触れると、水牛は弾かれた様に跳び退くと、踵を返して距離を取るが、
「逃がさないぜ!」
 その間にもエリアルが容赦なく矢を叩き込む。
「他の3体を押えるみなさんの為にも、早々に撃破しちゃいましょー」
 リーリアも声を上げ味方を鼓舞すると、纏めた緑の髪を躍らせ水牛のゴーレムを追い駆けた。

「うわっ!」
 サイがいきなりその首を大きく振る。角をワッパーで捉えたままのティルナは、不意の動きに対応できず、ロープに引っ張られその身を宙に投げ出す形となった。
 スカイランナーであればエアクッションやロープでなんとか出来たのかもしれないが、そうではないティルナの体は、そのまま壁に向かって飛び、地面を蹴ったサイがその壁目掛けて突っ込む。
「ちょっと、それはシャレにならないって!」
 宙を舞うティルナは、ぺっちゃんこになる自分を想像して声を上げるが、仲間達もそれぞれ別のゴーレムを相手取っており、とっさに動けるものではない。が、その刹那、突っ込んで来るサイの眼前で閃光が弾け、ティルナの体は壁ならぬ柔らかいものに抱き止められた。
「まったく。未知の探求は結構ですけど、危険もあるのですから、人数揃えてから出発してください」
 ティルナの体を抱き止めたのは阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)。置手紙を見ておっとり刀で駆けつけてきたのだ。ティルナを降ろしたルーンはティナが口を開くより早く、水牛目掛けて駆け出した。

 時間を少しさかのぼって見ると、
「……まったく」
 旅団の部屋でルーンは、手に取った置手紙を握り潰して嘆息すると、それを投げ捨てて駆け出す。
 くしゃくしゃになった手紙にはティルナの字で、『ちょっと天槍行ってくるよ』と書かれていたのだ。


「うわっ!」
 水牛が首を振り上げ角で突き上げえると、黒いコートをはためかせてクリストファーが吹っ飛んだ。
 ……だが、その動きで水牛の視界が逸れた瞬間を見計らい、姿勢を低く保って突っ込んだリーリアが、
「水月頂きました、これでだいぶ動けない筈ですー」
 突き入れたスターシャインの穂先を抜いて跳び退く。水牛は直ぐ様追おうとするが、その動きがぎこちなく、まるで糸に縛られているかの様だった。……否、縛られていた。
「どうした、獣。不思議か自分より遥かに小さく非力な私の糸を引き千切る事が出来ないのか」
 ルーンがその弦を手繰り、水牛の体を容赦なく締め上げる。
「そのデッカい図体動かないなら唯の的だぜ。目隠ししても全部命中できるぜ」
「もともと石のゴーレムさんは、石化してるのかどうか解らないですー」
 そこに追い撃ちを掛けるのはエリアル。
 言葉通り目をつむって宙を跳ね、踊る様にくるくる回りながら次々と矢を射掛けると、体制を立て直したリーリアも小首を傾げながらエリアルの矢に合わせ穂先を突き入れた。
 リーリアの刻む麻痺とルーンの機工弓【魔戯嵐屠】の弦により、水牛は動きを封じられている。
「なぜ千切れないのか教えてやろう。答えは簡単、柔よく剛を制す、力ずくに力ずくで対応していないのさ」
 愛弓の弦を手繰ったルーンが僅かに口角を上げる。
 言う様に水牛の動きに合わせて巧みに弦を操り、その動きを自由にさせないでいた。
「やられてばかりじゃ恰好悪いからな」
 そこに駆け戻ってきたクリストファーが、レイラが相手取る獅子を裂いた勢いもそのままに、流れる様な勢いで水牛にオーラを纏った太刀を叩き込んだ。
 その一撃に水牛がガクンと前足を折り、頭を地面にぶつけて動かなくなる。
「よし、次はカバだよな?」
 エリアルが体の向きを変え、ディーアが必死に押えているカバのゴーレムに向かって矢を放つ。

「我々を排斥する遺跡に一石を投じてやるですぅ!」
 大きな竪琴を挟んで互いに押し合うディーアとカバのゴーレム。
 そのガバの足には、ディーアがクリムゾンハウンドで喚んだ血の猟犬が咬み付いている。
「魂は自在にして変幻する本質があり。さらば其を縛る器も一つには非ず! 我は汝にて汝は我であり、我は我にて汝は汝なり、来たれアルターよ!」
 ディーアは再びデモンで己の分身を出し、押し切られそうになる竪琴を支える。
 とても他の敵を攻撃する余力はなく、ガバ一体を押えるのが手一杯だ。たまに出血量が増えた時に猟犬が他のゴーレムに駆けていくぐらいである。
「チャンスですぅ!」
 足元の猟犬を気にし竪琴への圧力を弱まったのを見たディーアは、分身と共に巨大な竪琴を持ち上げ、カバの横面を思いっきり殴打し、2人で華麗に荒ぶるディーアのポーズをとる。
 そのポーズに怒ったのか、カバが再び大口を開けディーア目掛けて突貫した。
 ヒュン! という風切り音と共にその左目に突き刺さったのをはじめ、次々とカバを穿つ矢はエリアルのもの。その矢に導かれるが如く、仲間達がディーアの横を抜けカバのゴーレムに躍り掛かる。
「……さぁ、反撃の時ですぅ! 覚悟しないヒポポタマスゥ、あっ!」
 仲間を追って駆け寄り、ズビシィと人差し指を突き付けたディーアが、カバに丸かじりされた。
「きゃー、ディーアさんが食べられたー!」
「わぁ、何やってんだ!」
 リーリアが悲鳴を上げ、エリアルが慌てて風を起こして手近なものをカバにぶつける。
「まったく世話のやける……」
「どうして竪琴を置いたまま前に出ますかね」
 クリストファーとルーンも、カバの口から足だけを覗かせバタバタしているのを見て悪態をついて攻撃を繰り出し、ルーンの閃光手榴弾に驚き開かれた口から、ディーアの体をリーリアとクリストファーが助け出した。
「死ぬかと思ったですぅ」
 ディーアの言葉とは裏腹に、連続攻撃を受け動かなくなったのはカバの方で、リーリアに回復を任せたルーン達は、獅子を相手取るレイラに加勢する。

 レイラと顔を蹴り上げられ暴走した獅子は、駆け回りながら互いに攻撃を繰り出していた。
 紫の風と灰色の獅子がぶつかり、互いに弾かれ着地する。そんな攻防を幾度となく繰り返す。
「なかなか……ですが」
 再び空中でオーラの翼と虎牙が交錯し、互いの体が弾かれる。
 レイラは壁に叩きつけられる直前に体を回転させ壁に足を付き、水泳のターンの様に反動を得て再び宙を舞う。振るわれる爪を受けながらも果敢に蹴りを叩き込むレイラ。しなやかな足が振るわれる度にチャイナ服の裾が舞う。
「もう少しで片付きますから頑張って下さい」
 そこに駆けてきたクリストファーが、獅子にオーラを纏った一撃を叩き込んで駆けてゆく。
 更にカバを相手取るディーアの方から、駆けてきた2匹の猟犬が跳躍して獅子に襲い掛かった。
 その間に呼吸を整えたティルナは、味方に視線を走らせ状況を把握し、オーラの翼を具現化させて飛ぶ。味方の回復に助けられながらも、レイラはよく獅子を抑え込んでいた。
「生命を育む風よ、癒しの息吹きとなり、我が友に再び戦いへ誘いたまえ」
 幾重かの攻防の後、連続で突き立てられた虎牙に片膝をつきそうになるレイラの耳朶を打ったのは、ルーンの声。その声は涼やかな風に乗って聞こえ、レイラの傷を癒し、その風に乗ってクリストファーが駆けてゆく。
「ご苦労さんだぜ、あと少し頑張っていこうぜ」
 サイの方へ矢を放ったエリアルが着地すると、ウインクしておでこに当てた指を切る。
 獅子のゴーレムは奔流の如きエンドブレイカー達の攻撃の前に、前肢と左牙を折られ、
「これで終わりです」
 最後はレイラが一閃した蹴りにより、その活動を停止したのだった。

 虚月輪に穿たれた傷をものともせず、サイのゴーレムは巨体を揺らしてティルナに突っ込む。
「何度やっても同じよ」
 その角を2つの刃で受け逸らし、ティルナが藍色の髪を躍らせる。
 突進を逸らされたサイはそのまま円を描く様にして再びティルナに向き直ると、今まで以上の加速で突っ込んで来る。
「本当にもう! しつこい男は嫌われるよ」
 真・発焔刀【BLAZEDGE】を鞘に納め片手剣となったティルナは、ギリギリのタイミングで身を翻すと、サイの横っ面に断罪の女神の紋章を浮かべた拳を叩き込む。
「えっ!」
 だが、その一撃でサイの体が前足を軸に回転し、強烈な尻尾の一撃を叩き込まれたティルナの体が吹っ飛ぶと、サイは直ぐに体の向きを変え、踏み潰そうと向かってくる。……が、そのサイの視界が光に包まれる。
「それ以上させないのですー」
 その光を放ったのは、両掌の中に神鏡を召喚したリーリア。続いて血の猟犬の群がサイの四肢に喰らい付く。
「お待たせしたのですぅ、後はこいつだけですぅ」
 両手首を赤く染めたディーアがいう様に、他の3体のゴーレムは瓦礫に変わり、他の仲間達も得物を手にサイのゴーレムを包囲しつつあった。
 宙を舞うエリアルから吸い寄せられるが如く矢が放たれ、クリストファーがオーラを纏った太刀で斬り付けたところに、
「獣相手に遅れをとるようでは、狩猟者の名折れ、私の本気を見せてあげましょう」
 ルーンの弦がサイの動きを縛る。
「仕掛けます……合わせてください、ティルナ」
「わかったわ、レイラ!」
 オーラの翼を纏うレイラがサイの体を切り裂いた所へティルナの拳。
 ティルナが両手を広げると、拳を繰り出す直前に放り上げた2つの刀が、くるくると回転しその手に収まり、それが合図であったかの様に、サイのゴーレムの体は崩れ落ちたのだった。


「何故動物型だったのでしょうか?」
「1体ぐらい持ち帰りたかったですぅ。今度来る時は捕獲作戦を考えましょう。どうせなら兎さん型とかがいいですぅ」
 壁画の後を調べるルーンの後ろで、ゴーレムの破片を拾い上げたディーアが唇を尖らせている。
「壁の奥にも何もないぜ」
「うーん、せめてお宝でもあれば雰囲気でるのだけどもね」
 肩をすくめるエリアルの報告に、ティルナも残念そうに眼鏡を上げた。
「さて、どうします? もう少し先まで進みますか?」
 ここまでのルートを地図に起こしたクリストファーが尋ねると、
「え、進むのではないのですか?」
「賛成ですー、罠のある部屋の先というのは大体何かありますからねー、ワクワクですー」
 まさかここで引き返すとは思っていなかったレイラが素っ頓狂な声を上げ、リーリアが探索の続行に賛意を示す。かくて一行は、四獣のゴーレムの部屋を抜け、天槍内部の探索を続けたのだった。



マスター:刑部 紹介ページ
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参加者:7人
作成日:2014/04/17
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