ステータス画面

ガルシェン防衛戦:二択の迎撃戦

<オープニング>

 帰還した薔薇の痕探索隊の報告書を配り、ソードハープの魔曲使い・ヴィーナ(cn0017)は集まったエンドブレイカーたちへ説明を始める
「砂月楼閣シャルムーンと薔薇の痕の間、そこには巨人の都市国家『骸殻荒野ガルシェン』が見つかったわ。勇者アリッサムは彼ら利用して、薔薇の痕から何かを手に入れたらしいの」
 勇者アリッサムは巨人たちを利用して薔薇の痕に住んでいた『ならず者』を掃討。
 かつての人類王都である薔薇の痕に至った後、そこに残された守護騎士ゴーレムを動かして今度はガルシェンへの侵攻を企てているという。
「アリッサムの狙いは『創世巨獣ガルシェン』の心臓……大魔女スリーピングビューティーの持つ『魔女の力』を獲得するためのもの、らしいわ」
 幸い、探索隊による決死の攻撃により、ガルシェンに向かおうとしていたマスカレイド化した巨人達は撃破された。
 このおかげで内部からの破壊工作などでガルシェンがすぐさま陥落するという事態は防げたが、時間はあまりない。
「ガルシェンの巨人達がどう動くかわからない状況での迎撃戦は、危険が伴うけど……新たな魔女の出現という可能性はほおっておけないの」
 危険な任務ではあるが、急ぎ薔薇の痕からガルシェンに向かい、アリッサム軍を迎え撃ってほしいとヴィーナは呼びかけた。

「ひとまず、わかっている範囲の情報を話すわね。まず敵は勇者アリッサムと人類王都に残されていた守護騎士ゴーレムの軍勢。戦闘能力はまだわからないけど、都市国家と戦える強力な戦力なのは間違いないわね」
 これに対する迎撃作戦は二つ。
 アリッサムがガルシェンに到達する前に迎撃するか、アリッサムがガルシェンに攻撃を仕掛けた後で都市国家に乗り込んで戦うかだ。
「ガルシェン到達前に迎撃する利点は、なにより都市国家に被害が及ばないことね。それに突破されない限り、虚をついてアリッサムが目的の物を奪うこともできない……これも大きいわ」
 その一方、ガルシェンの人々はアリッサムの裏切りを知ることができない。勇者アリッサムが攻撃される姿にガルシェンの巨人たちが参戦、挟撃される危険は大いにある。
「もう一つの、ガルシェンに乗り込む利点難点は正逆ね。巨人たちに協力してもらうことはできるけど、街には被害が出るし、アリッサムが隙をついて目的を達成してしまうかもしれない……」
 アリッサムの求める『創世巨獣ガルシェンの心臓』を守ることはできない。それがどこにあるどんなのものなのか、情報がないためだ。
「先手を打つか、待つべきか……判断はみんなに任せるわ。よく考えて、決断してちょうだい」
 薔薇の痕、骸殻荒野ガルシェン、新たなる魔女の誕生。調べること、阻止しなければならないことは沢山ある。
 それらを為すためには、ここでまずアリッサムを迎撃しなければならない。
「健闘を祈っているわ。気を付けて」
 竪琴に手をかけ、ヴィーナは祈るように一節を鳴らした。


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参加者
阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)
熊殺しの・リゼルグ(c03551)
陽溜りの花・セシル(c08808)
千夜一夜・モルティ(c10075)
虚空のナイフィスト・ユラ(c10324)
餓狼・リュウ(c15878)
獅子の槍・ウーイル(c17261)
万里流浪の義士・イーグル(c32873)

<リプレイ>

●決戦、守護騎士ゴーレム
 荒野、骸殻荒野ガルシェンを背にエンドブレイカーたちは迎撃の布陣をひいた。
「ソーンリングもありますけど、距離を置けば巨人たちとの遭遇も遅らせられますから……」
 陽溜りの花・セシル(c08808)の意見を受け、一行は前線へと進出しながら守護騎士ゴーレムと向かい立つ。
「ランスブルグより動けない天槍騎士団と団長のぶんまで、全力をもって防衛に当たらせて頂きます」
 騎士王の名を冠する突撃槍を掲げ、獅子の槍・ウーイル(c17261)は強く宣言して戦意を高めていく。
「しかし、『魔女』なんかになってどうするつもりなのかね」
「それにだ。魔女の資格とやらを有するのは、大地母神の骸を貪りし者のみとのことだが……大地母神ってのは此華咲夜若津姫じゃなく創世巨獣ガルシェンの事なのか?」
 一方、戦線を築きながら餓狼・リュウ(c15878)はふと思いを口にする。それに頷く熊殺しの・リゼルグ(c03551)。アリッサムの行動は判明し、取るべき対応は明確。
 だがそれがなんのためかと言われると謎はまだ多かった。巨人たちも恐らく知ることのない……そしてそれがまた今回の戦いでのエンドブレイカーたちの立場を複雑にもしてくる。
「都市を守るべく戦う我々の行動が、逆に都市の人々との敵対を招きかねないというのは……皮肉な状況ですが」
 たとえ信じてもらえなくとも、人々の都市国家を危険に晒すわけにはいかない。阿頼耶の狩手・ルーン(c01799)は思う。人として、不幸な終焉を破壊するエンドブレイカーとして。
「来ましたよ……!」
 ソーンリングを展開してきた虚空のナイフィスト・ユラ(c10324)の声が会敵を告げた。
「数だけはなかなかのものか。されど、我、難に臨みて退かず!」
 ざっと確認し、合口拵えの大太刀を抜いた万里流浪の義士・イーグル(c32873)が気合の声を上げて突撃する。
 防衛戦を切り裂かんと迫る大盾大剣の守護騎士ゴーレムは六体。似たり寄ったりの騎士然とした五体に、もう一つ。
「頭はマスカレイドか! 気をつけてください!」
 スピリットの警告にルーンが叫ぶ。彼の拡大した視覚が捕えたのはゴーレム頭部の仮面、そして禍々しく変質した異形の装甲。
 一閃。ルーンを援護すべく放った閃光手榴弾が切り払われた。宙に咲いた爆発の下、マスカレイド指揮する守護騎士ゴーレムとエンドブレイカーの前衛たちが激突する。
「成功させなければいけないの」
 ユラと二人、棘の結界を展開した千夜一夜・モルティ(c10075)が断ずるように言う。長い戦いの中で得た制御された棘の力……凝縮した衝撃波がゴーレムの装甲を十文字に裂く。
 アリッサムの本陣もガルシェンへと進撃しているであろう今、守護騎士といえ物言わぬゴーレムにてこずっているわけにはいかない。
「疑問の答えも、アリッサムに会えたら聞いてみたいものだからね」
 縮地を繰り返し、リュウの拳が次々と守護騎士ゴーレムの装甲を強烈にノック。ゴーレムの構えを護りの太刀へと変えさせて動きを封じていく。
 よろめいたゴーレムの隙を突き、ユラは生み出した鋼鉄の竜が守護騎士ゴーレムに食らいつかせた。
「始めるのですよ、ガルシェンと巨人たちと巨獣の心臓を守るために!」
「此処は我らが武の見せ所!いざ参る!」
 きしむ装甲。注意が逸れたゴーレムを逃さじと、鬼脈を切り裂くイーグルの太刀が両断した。


●動き出す、事態
 城壁の如き力場をまとった守護騎士ゴーレムにウーイルの槍が激突した。
「背負いし獅子と天槍に懸けてッ!」
 衝角を形成して食らいつくゴーレムの力場に、ウーイルは気合の声と共に穂先を回転。東方拵えの鎧がきしみをあげるなか、岩盤を穿孔する工具のように力場を槍が貫通する。
「今ならっ」
 こじ開けられた力場に、セシルはすかさず曲刀を振るう。破月を模した魔力の光輪がゴーレムの首筋を直撃、叩き落として機能を停止させた。
「これで二つ……」
「更にもう一つ、だ!」
 力場を砕くのはモルティの衝撃波。力場が四つに消し飛んだ後に叩き込まれるのはリュウとリゼルグ、断罪と破鎧の二重の拳。
「薔薇の痕探索隊の分まで、やらせてもらうぞ!」
 勇者アリッサムと決着をつけるための前哨戦と、リゼルグは気合を吐いて次の目標へと走る。消耗はあれど、戦いはエンドブレイカーの優勢へと傾き始めていた。
「いい調子とはいえ……あまり手間取ってもいられん」
 癒しの風を前線へと送り、ルーンは横目に荒野を見る。ちらほらと横切る巨体はゴーレムか? ガルシェンの巨人か? この状況では時間もまたエンドブレイカーたちの敵となる。
「脱獄は赦さない檻へ……!」
 ユラのナイフが妖しく輝き、デモンの操るソーンの檻がゴーレムたちを束縛する。力場と棘檻、二つの力が火花を散らして互いを削りあっていく。
 この小隊の守護騎士ゴーレムは白兵に特化した突破部隊であったらしい。飛び道具に気を払わずに済むことは後衛に立つユラたちに余裕と火力を与えてくれた。
「今こそ勝機! 一気に押し切るべし!」
 マスカレイドゴーレムと打ち合うイーグルが勢いよく飛ぶ。押し返されたように見せかけ、飛び退きざまに放つのは捕縛用のワッパー。切断されるより早くひかれる縄がゴーレムの巨体をよろめかせる。
「もう終わらせなければいけないの」
 果敢に飛び出したのは棘の刃を絡めたモルティだ。態勢を立て直そうと振るわれる大剣にもひるまず、少女は敵と同質の刃を深く突き立てた。
「っ……!」
 かすめる剣圧にローブが裂け、暗色の繊維から柔肌が覗く。だが鮮血は溢れない。棘の刃が吸い上げた力がモルティの傷を塞いだのだ。
「大丈夫ですか、モルティさん……!」
 強引な突破に驚いたセシルが駆け寄りながら魔鍵の癒しを呼ぶ。それにモルティは問題ないと首を振り、しかし刃をしまった指を荒野の一点へと向けた。
「アレを。見つけてしまったの」
「話に聞いたガルシェンの巨人……賞金稼ぎ風が数は四、あるいは五つ」
 ほぼ同時に気づいたルーンが、遠目に確認できた部隊を報告する。
「やり過ごせなくもない、が……」
 ソーンリングはまだ生きているが微妙な間合い。また放置すれば恐らく他の守護騎士ゴーレムと戦闘中の部隊へ向かう可能性もある。
 やり過ごすべきか、食い止めるか。リゼルグは一団を見据え、短く呻った。

●巨人との対話、戦い
 各々に武器を抜いた巨人を前に、ルーンは弓をおろし声を張り上げた。
「我々に君達巨人と敵対する意思はない。我々は滅びの未来を打ち砕くために来たんだ」
「だが貴様らは盟友と戦っている。ならず者!」
 上から叩きつけられる声は低く、重い。悩みながら会敵したエンドブレイカーたちは、巨人たちの空気を震わす敵意を感じ取りながらも懸命に説得の言葉を紡ぐ。
「私達は、ならず者じゃないの。あれを見て」
「巨大なる者よ! このゴーレムらはガルシェンを襲おうとしていた! 我等はそれに気づき、仕留めただけのこと!」
「ふむ……それは由としよう。が」
 モルティの反論、そしてリゼルグの指差す守護騎士ゴーレムの残骸に、長と思われる年配の巨人がちらりと目を向ける。説明に物腰は僅かに和らいだが、猜疑をはらすに足りた様子はない。
「そちらの者は『滅びの未来を打ち砕くために来た』といった、小さき者」
 物言わぬゴーレムでは証拠に弱いと判断したか。長は再び一行へと問いかける。
 刺々しいが戦士として共感を感じられる雰囲気に、ウーイルルが一歩前に出た。
「今、貴殿らの都市国家にあるというガルシェンの心臓が狙われているのです。騎士の名誉と槍にかけて、嘘偽りは申しません!」
「私たちに戦う意志はありません。どうか街へ戻り、ガルシェンの心臓の守りを固めてください。お願いします」
 ウーイルに続き、セシルが言葉を重ねると巨人たちがざわつく。それは想定されたことだったが……何か違う。
 セシルは何気なく白薔薇を咲かせた腕輪に手を添えていた。大切な人からもらったそれに、不安を超える力が欲しいと。
「要領を得ない……心臓とは、なんだ」
 はたして、ようやっと巨人たちが紡いだ言葉はエンドブレイカーたちにも予想外のことだった。
「それは、汝らが一番知っている事ではないのか?」
「なぜそのように思う? 何を知っているのだ、ならず者!」
 イーグルの問い掛けに血気盛んな若巨人がずいと前に出る。手で制する長も、困惑の表情が露だ。
「どうやら心臓はガルシェンの民にさえ秘密か、忘れられちまっているようだね」
「ここでも、ですか」
 リュウの呟きにぽつりと漏らすウーイル、どちらの声も苦々しい。人の記憶はうつろいやすく、叡智は時代の向こうに忘却されていく。
 多くの都市国家を回り、何度それを見てきたことか!
「知っていることを話せ、小さき者」
 怒気をはらみだした長の声にユラが必死に訴えるが、もはや言葉は激情を高めるに過ぎない。
「私たちが伝えたいのはアリッサムは巨獣の心臓を狙っていること、そのために一部の巨人を洗脳して操っていることだけです!」
「操られてなどおらん! 侮辱するか、ならず者!」
 交渉決裂、遂に若巨人が武器を振り上げた。
 説明を端折り過ぎたか、アリッサムの名を出したのが失敗だったか……どの道、説得には材料が足りない状況ではあったか。彼女は歯噛みして月影の妖刀を抜く。
「どうしても聞きいれないか……!」
「ここで邪魔されるわけにはいかない。敵対する気はないが、大人しく縛られていてもらおう」
 展開されたカーテンが斧の一撃を柔らかく流す。同時、言葉を継いだルーンの合成弓から展開された細糸が武器もつ巨人の手へと絡みついた。

●小さくとも一歩を
「この期に及んで……新手だ、備えを!」
 時間に利を得たのはアリッサム側だったか。イーグルは数を増して迫るゴーレムに仲間たちへ警戒を叫ぶ。
「そろそろ潮時か、な。皆は撤退して情報を伝えてくれ!」
 リュウは彼同様に拳を固めた巨人と打ち合いながら声だけで返した。
 理詰めで説得できずとも、拳を重ねて伝えられることはある。それは目の前の巨人も同じようで、その顔は怒りや苛立ちより戦士のそれをして見えた。
「なるほど、ならず者とは違うようだが!」
「盟友を信ずる心意気は立派なんだがね!」
 まるで演武のようにぶつかり合う大小の拳。その影でセシルやモルティら、後衛からエンドブレイカーは後退を始めていく。
「リュウどの、我々も退き時です! 何れ決着をつける時は来るでしょう」
「もう少し遊んでいきたかったがね……!」
 共に足止めにたったウーイルの呼びかけに、リュウは本気とつかぬ軽口で飛んだ。先に離脱した仲間たちの放った閃光手榴弾、展開する月光のカーテンが巨人たちの追撃を妨害する。
「私達の事を信用出来ないのならそれでもいい。ただガルシェンを……心臓を守って。きっと誰か、わかる人はいるはず」
 立て続けの消耗に荒れる息を整えながら、モルティは去り際、巨人たちへと呼びかけた。撃退したと判断したのか困惑しているのか、巨人たちの追撃の足は鈍い。
 この戦いは敗走かもしれない。
 だが次の戦いへ向けて、巨人たちとわかりあうために、少しでも前進となっていればとエンドブレイカーたちは願い、戦場を駆けた。



マスター:のずみりん 紹介ページ
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いまいち
参加者:8人
作成日:2014/04/30
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  • カッコいい9 
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