ステータス画面

≪Studio【Tick Tuck】≫巨大6層スライム、出現!

<オープニング>


 旅団『Studio【Tick Tuck】』の工房にて。
「この前の落とし穴の部屋は面白かったね」
 湯煎したチョコレートの甘い匂いが漂う中、うっかりボコる群竜士・リチ(c33420)は、自分と同じ団員達へ話しかけた。
「また、天槍ダンジョンに行ってみたいね」
 つまりはそういう事である。
 また、バリバリと床が抜けてしまうアクシデント――もとい、罠のある部屋へ自ら飛び込んで、そのスリルを存分に楽しみたい。
 毎日のように街中を走り回って楽しい事を探しているリチだからこその願いであり、提案だった。


 かくして、天槍ダンジョン内部のとある大部屋。
「うわぁ、こんなに大きいスライム、リチ初めて見たよ!」
 リチが感動の声をあげるのも無理はない。
 今、彼女と彼女の誘いに乗って天槍探索へついてきた仲間達は、まるで山のように大きな――と言いたくなるレベルの、巨大なスライムと対峙しているのだ。
 口からだらだらと滴を零しながら、その巨体を生かしてのしかかって攻撃してくる。
 そして、この部屋のもう一つの特徴として、何故か床にはダルク金貨が散乱していた。
 せっかくの金貨が、自分達の靴跡やスライムの体液でドロドロに汚れてしまう様は、少し残念である。
「このお金、多分本物なんだよね?」
 戦うの忘れて拾い集めたくなっちゃうね――リチはそう呟いて、この巨大な敵がいる意味を悟った。
「きっと、このスライムは、そうやってお金に気を取られた侵入者をガバッと……」
 そう。この巨大なスライムこそが、この部屋に用意された侵入者排除用の罠なのだ。
「よーし、みんな、頑張ってボコっちゃおうね!」
 元気良く意気込むリチに合わせて、どんどん攻撃する仲間達。
 しかし。
 力を合わせての猛攻の末、そろそろ倒せるかと思った矢先の出来事だった。
 ――パァンッ!!
 巨大スライムは突然その身体を破裂させて、体液をそこらじゅうに撒き散らした。
「あっ!?」
 リチが飛び散る体液から顔を庇いつつ驚愕する。
 なんと、巨大スライムが破裂した後には、一回り小さくなった毒スライムが鎮座ましましていたのだった。
 一回り小さくなったとは言うが、それでもリチが見上げなければいけないぐらいに大きい。
「スライムさんの中に、また毒スライムさんが……!」
 リチは好奇心に満ちた眼をキラキラさせて、ボコるガントレットを手に攻撃の構えを取るのだった。
 戦いはまだ、始まったばかりである。
 ――果たしていつ終わるのか、いささか不安な戦いではあるが。


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参加者
翔る疾風・セナ(c02046)
魔法少女・ルア(c28515)
デモン機巧少女・ルミティア(c30986)
黄金戦姫・アンゼリカ(c32742)
うっかりボコる群竜士・リチ(c33420)
ドリルの魔獣戦士・ルエリィ(c34403)
紅蓮の如く・オータム(c34500)
シュトゥルムフロイライン・ルサリエ(c34957)

<リプレイ>


 天槍ダンジョン、スライムの間。
「まあ、大きなスライム」
 巨大スライムを目の前にしても、軽く驚くだけなのは、魔法少女・ルア(c28515)。
(「この先に待つものが何かはわからないけれど、おそらく大切なものが待ち構えていると思うの」)
 どうやら、彼女の意識は巨大スライムを倒した後の探索に持ってかれているらしい。
「天槍探検も最終段階……と思うと胸が高鳴るわ」
 そんなルアは心を落ち着けるため、しっかりと深呼吸してから、十字を切って何度も何やら唱えている。
「それにしても、だいぶ奥まで来たよね。気を引き締めていかないとね」
 うっかりボコる群竜士・リチ(c33420)は、ボコるガントレット片手に一度は真面目な表情を作ってみせるも。
「これって、スライムさんが合体しているんだよね」
 中にはどんなスライムさんがいるか、とっても楽しみだよ。
 子どもらしい好奇心には勝てないのか、すぐに瞳をキラキラ輝かせて巨大スライムを見上げた。
 小柄な体躯ながら、周りを明るくさせる元気が魅力のリチは、毎日町中を走り回るバイタリティの高さも有している。
 そんな彼女だからこそ、巨大スライムという珍しい敵との遭遇が嬉しくて仕方ないのだろう。
「こんなでっかいスライムも初めてみたけど、こんなおもしろスライムを見るのも初めてなの」
 何回弾けるのかしら?
 デモン機巧少女・ルミティア(c30986)も、巨大スライムを眺めやって顔を綻ばせている。
 自慢のメイガスが一度目の破裂でスライムの体液を浴びたというのに、一向に気にする事なく、いっかーい! と元気にカウントしていた。
 それだけ、ルミティアの戦闘に期待するところが大きいのだろう。
 そんな彼女の初手は、キルギミックなる暗殺シューズに仕込まれたナイフを用いてのアイアンドラゴン。
 何度か作り直しては小鉄竜を従属させ、その一方で鋼鉄竜をけしかけて、毒スライムへ咆哮を聞かせる手際は流石である。
  シュトゥルムフロイライン・ルサリエ(c34957)は、メイガスの中から弾んだ声音を響かせる。
「まぁ♪ こんな入れ子人形、エルフヘイムの実家にありましたわ!」
 お金に困った事がないせいか、彼女の興味も床に散らばる金貨ではなく、破裂したばかりのスライムへと向けられている。
 そう。ルサリエは、シルフェリオンという豪奢なメイガスを駆る、上流階級出身のお嬢様なのだ。
「とはいえ、感慨に浸ってばかりも居られませんわね……」
 ダンサーバレルなる2挺の紫煙銃を、メイガスの腕で器用にホルダーから引き抜いて、巨大な的へ照準を定め、牽制射撃を見舞った。
「敵を倒すだけ! シンプルで素晴らしいですわね!」
 ドリルの魔獣戦士・ルエリィ(c34403)は、いかにも楽しそうな様子で螺旋機槍を構え突撃する。
 ミラージュチャージからの連続突撃を試みるも、流石に表面の毒スライムが柔軟に形を変えるだけあって、その身体を突き抜けて奥のスライムへダメージを与えるには至らなかった。
 それでも、毒スライムは相当痛かったようで、巨体を揺らしてぶるぶる震えている。
 痙攣する度に針状と化した体液が飛んできた。
「ここの設計者は、また随分と珍妙なスライムを用意したもんだな」
 紅蓮の如く・オータム(c34500)は、降り注ぐ毒針を翳した両腕で受けながら、溜め息をついた。
「ま、たまには何も考えず無心で戦うってのも悪くねえな。全力でぶちのめしてやらあ!」
 そう気を取り直して棍を回転させると、次第に心の内から平静が生まれ、毒に蝕まれた身体を浄化していく。
「『竜』を纏いし拳士が一人、オータム・スカイ……参る!」
 そのまま回転棍撃を繰り出すオータム。
 自ら毒を振り払った気合いは相当なもので、渾身の一撃が毒スライムのぶよぷよした腹を貫く。
 ――バァンッ!!
 毒スライムが、低く篭ったような破裂音を立てて、周囲に飛び散った。
「にかーい! まぁこの程度で倒れるとは思っちゃないわ、こういうのは3回まであるものよ!」
 ルミティアが、いつも以上に高いテンションで嬉しそうにカウントする。
(「何も重なればいいってもんじゃないよね」)
 翔る疾風・セナ(c02046)は、内心呆れながらも、至って冷静に霊符へ神火を灯している。
(「まあ、金貨という大変分かり易い罠に、立ちふさがる6層スライム……」)
「天槍ダンジョンの謎を知るのに邪魔するなら容赦なく排除させて貰う。容赦はしない」
 そんな鋭い物言いと決意をもって、セナは霊気を注入した霊苻を、次に表面化したスライムへと貼りつけた。
 未だ仲間達の誰よりも背が高いスライムが、広がった神火で火だるまになってのたうち回る様は、無駄に迫力がある。
「よーしデカブツー! きっちりやっつけてやるからな!」
 黄金戦姫・アンゼリカ(c32742)は勇躍して、スライムを引き回すべくワッパーを投げつける。
 捕縛具に動きを阻害され、その痛みに苦悶するスライム。
「毒スライムさんの間にスライムさんがいる形で層になっているようだけど、毒スライムさん同士を混ぜ合わせるとどうなるのかな?」
 もしかして、何か大変なことになるのかな?
 リチは楽しそうな想像を頭で巡らせつつ、竜を帯びた拳で正拳突きを繰り出す。
 未だドデカいスライムに貼りついて攻撃するリチは余計小柄に見えるも、竜撃拳の威力は見た目に反して相当なもので、液状の身体であっても激痛を与えた。
「もう何も恐くない、といえば嘘になるけど」
 ルアはマジカルマスケットを構えて、空間の把握に努めながら射撃する。
「希望と共に戦っているのだから、もう大丈夫」
 二連続で跳弾した後に、紫煙弾は見事スライムの頭部へと減り込み、確かなダメージだけを残して消え失せた。
「森羅万象に宿りし『竜』は、あらゆるものを打ち砕くぜっ!」
 オータムは、スライムの表面へ両手を触れて、双掌波をぶっ放す。
 ぷよよよよん!
 爆発的な気を体内へ送り込まれて、スライムの身体が大きく波打った。
「スライムは所詮スライムですのね。壊し甲斐があるから良いのですけれど」
 ルエリィは、ナイトランスを回転させて乱れ突きを放つ合間にも、スライムとの意思疎通を試みていた。
 とはいえ、バトルトークでは本当にスライムが敵対すべき相手かどうかという、スライム側の事情を掴みやすくなるだけなので、さほど有益な情報は得られなかったようだ。
「そう簡単に私を食べさせてあげるわけにはいきませんわよ!」
 スライムの様子に過剰反応しながら螺旋突きを続けるルエリィ。もしかしたら巨大スライム達はお腹が減っているのだろうか。
「照準、オーケー。……ふぁーいやっ!」
 ルミティアは可愛らしい掛け声と共に、掲げたバトルガントレットRCの指先からミサイルを射出する。
 速射されたミサイルは全てスライムの顔に着弾、そして。
 ――パァンッ!!
「さんかーい! さぁさあ後がないんじゃなくてー?」
 甲高い音を上げて破裂し、ルミティアを喜ばせたのだった。


「どんどん出て来い! 殴り倒してやるからなー!」
 気合充分で殴りかかるアンゼリカの拳には、断罪の女神の紋章が浮かんでいる。
 断罪ナックルを腹に打ちこまれ、毒スライムは辛そうに体液を吐き出した。
「わっ、と」
 集中豪雨にも似た水量へ曝されたアンゼリカだが、少々の負傷や体液塗れになった身体を気にする事なく立ち上がる。
 そのおかげで、濡れて重くなった戦姫の衣は、アンゼリカの幼いながらも鍛え抜かれた肉体美をべったり貼りついた生地で露骨に透かしていた。
 それがぽたぼたと金髪から滴る水滴と相まって、普段の彼女からは想像つかないような、色っぽい雰囲気を作りあげている。
「えぇいっ! ……現在は何層目でしょう?」
 同じ事の繰り返しに焦れた声を上げて、ルサリエは左腕に嵌めたプレス機を天へ掲げてから、毒スライムをギチギチと挟み込む。
 圧殺すべく力の込められた鋏からは逃れられず、毒スライムは悲鳴のような鳴き声を発した。
 同時に、ルサリエの愛機シルフェリオが黒い雨のような体液で汚され、彼女の反射神経をも鈍らせていく。
 流線形のフォルム、アクセントに散りばめられた宝石、翡翠色と白銀の上品な塗装――ルサリエのセンスが光る外観なだけに、毒スライムの体液でベトベトになった様は悲惨の一言。
「今で4層目のはずだよ」
 セナは冷静に現状を把握すると、慣れた足取りで癒しの舞を披露、ルサリエの敏捷性を回復した。
「この先何が待ち構えていても、乗り越えられそうね」
 だから、一生懸命、頑張るわ。
 ルアは力強く呟いて、紫煙銃の照準をピタリと合わせると、迷いのない手つきで連射する。
 空間把握を極めた事による威力の増加は凄まじく、毒スライムの大きな身体をひしゃげさせた。
 ――バァンッ!
「よんかい……ですって……!?」
 まだ毒スライムの内側に新たな個体が控えているとは思いも寄らなかったらしく、ルミティアが心底驚いた顔をしている。
「ちっ、次から次へときりがないな……!」
 オータムは軽く舌打ちしつつ、めげずに棍障壁を張ってから暴風旋棍撃をぶちかます。
 べしょっ、と空気の抜けたふうな音を立てて、顔面が凹むスライム。
 とはいえ、すぐにぶよんと元に戻って、針状の体液を放射してきた。
「やれやれ、いい加減しつこいな……」
 セナも眉を顰めて神鏡を召喚すると、浄化の光を放つ事で、自らに刺さった針弾の侵食効果を治癒する。
「ただの単細胞だと思ってたけど、やりますわね!」
 ルエリィも浄化の螺旋を巻き起こして、浴びた体液による弱体効果を掻き消した。
 スライムのしぶとさと威勢に驚きつつも、戦闘自体を楽しんでいるようだ。
「吹き荒びなさい、紫煙の嵐ッ!」
 ルサリエは、何度も呼んだ雷により強化された紫煙弾で制圧射撃を見舞う。
 ――パァンッ!!
 5度目の破裂音。次第に飛び散る体液の量が少なくなると共に、みたび現れた毒スライムの大きさも、ようやく普通のスライムサイズにまでスケールダウンしてきた。
「やっぱり長い戦いになるなー!」
 アンゼリカも6層目の毒スライムを見て感嘆するも、まだまだ飽きてはいないのか、楽しそうに断罪スクリューブロウを放つ。
 バリバリッ!
 無残に形を歪める毒スライム。それでも痛そうに見えないあたりが不幸なところである。
 表面も内側も全部同じ体液なのだから仕方がない。
「うおっ、危ねぇっ」
 今まで破裂したスライム達の体液で足を取られないように、足を動かさずに移動して、毒スライムの猛攻を避けんとするオータム。
「この程度で倒れてたまるかよっ!」
 それでも体液の矢を多量に食らってしまったので、即座に体内の気を練って自らの腹部へ手を翳し、治療に努めた。
「ブヨブヨの毒スライムさんには、リチのパンチは届きにくいかもしれないけど、精神を集中させてみれば攻撃が伝わる場所もあるはずだよ」
 リチは、自らへ言い聞かせるようにゆっくり語り終えると、深く精神統一した上での心臓打ちを繰り出す。
 グリュッ!
「ここみたいにね」
 ビクビクと痙攣して痛がる毒スライムの身体から小さな拳を引き抜いて、断言する様は満足そうだ。
 バァンッ!
 リチが拳を抜いた瞬間、響き渡る高音。
 通常サイズの毒スライムも先の5体同様に破裂した。
 そして、その内側には――新たな個体の姿は無く、毒スライムの体液によって澱んだ空気があるだけだった。
「おわったぁ! 見たかスライム!」
 相変わらずの体液塗れでも、気にせず胸を張るアンゼリカ。
「皆、お疲れ様だよー、ついにスライムさんを倒せたね」
「お疲れ様なのー!」
 リチやルミティアとハイタッチを交わし、喜びを分かち合う。
「皆、大丈夫――!?」
 ルアは思わず厳しい口調で振り返るも、仲間達の和やかな様子を見て、ホッと胸を撫で下ろした。
 微かに口元が綻んでいる。
「はいよ、お疲れさん。全員無事で何よりだぜ」
 オータムは自ら持参したタオルを仲間達へ配ってから、自分も身体を拭き始める。
 ルエリィも人数分の着替えを用意していたらしく、一緒に配っていた。
「更にダンジョンを探索するなら、付き合うよ」
 受け取ったタオルでこちらも身体を拭くセナ。その声には、強敵を倒した達成感が滲んでいる。
「ふぅ……ようやっと、仕留め終わりましたわね♪」
 ルサリエはメイガスからひょこっと笑顔を覗かせるも。
「……毒まみれすぎて、拾うのは怖いですわね」
 足元を満たす体液に浸った金貨を見下ろして、のんびりと苦笑してみせる。
 元よりお金に執着しない性分なだけに、簡単に諦めのつくルサリエだった。
「そろそろ何かわかってもいいはずなんだが」
 同じく金貨に興味のないオータムも、部屋の奥の壁を丹念に調べて、秘密の扉でもないものかと首を傾げている。
「さあ、私はまだまだ戦えますわよ!」
 ついでに天槍を掌握するための何かも見つかりませんかしら?
 ルエリィもタオルで汚れを拭った後は、金貨などに目もくれず、ワクワクした様子で部屋を飛び出していった。
 視力を研ぎ澄ませて、他に敵がいないか探すつもりらしい。
「いっぱい汚れちゃっているけど洗えば大丈夫だよね」
 この天槍の秘密につながるものも、何か見つかるといいね。
 リチは素直にダルク金貨を拾い集めながら、仲間達の努力が実る事を祈った。
「空を飛べるものとかあればすっごいよな!」
 アンゼリカも無邪気に希望を語って、両手を広げている。
 そんな中、念入りに部屋を調べていたルミティアは。
「まさかまさかとは思うけど、実はここのダルクって、トラップとして散らばってるんじゃなくて……」
 かつてここで力尽きた誰かの『武器』だった、なんて事ないでしょうね。
(「ダルクが武器だなんて、我ながら突飛な発想だけど……」)
 力尽きた誰かは、スライムの毒液にかかれば跡形もなく、とかありそうだし……。
 なかなかに恐ろしい展開を思いついて、その可愛らしい顔を疑念に曇らせるのだった。



マスター:質種剰 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2014/06/13
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冒険結果:成功!
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