ステータス画面

領主館突入:腐敗の防壁の向こうに

<オープニング>

「おっとっと、みんな集まってるね」
 危うく卓を通り過ぎそうになったエアシューズの魔曲使い・ルトゥン(CN0053)が、引き返して椅子に腰掛けるとコップの水を一気に飲む。
「ふぅ……そうそう、ニュースニュース!
 巡察役人や騎士アンデッドとか、一連の事件を裏で糸を引いてた領主マスカレイドの事件なんだけど、大きな動きがあったみたいだよ。
 手駒にして利用しようとしていた近隣領主のピエールに正体が露見した事を知った領主は、『配下マスカレイドの軍勢を呼び、戦力の集結を行って反転攻勢』する準備を始めたみたいなのよ。紅華絢爛・セリ(c03885)や銀雷閃・ツルギ(c08167)が予期していた通りだね。

 配下の多くはアンデッドマスカレイドとアンデッドで、既に館を埋め尽くす程の数になっているらしいよ。
 この軍勢を率いる筈だった『騎士アンデッド』を皆が討ち取ったから、軍として統一された作戦行動を取れていないみたいなの。けど放っておいていい事は何一つないので、早急にこの軍勢にアクションを起こす必要があると思うんだよねー。
 あと1つ朗報もあるよ。付近の領主達が動き出してんの。もふ毛求めて・プレノア(c03487)の提案があったんだけど、事情を知る近隣領主のピエールとマスカレイド城主の令嬢フローレンスとが、付近の領主への説得を行った事が実を結んで、杖のデモニスタ・ギラ(c10826)が考えていた『ピエールを長とした領主討伐隊』組織されたんだよ。
 『死人騎士団VSアクスへイム領主連合』という状況。
 ……ノープロブレム、正に悪夢に咲く・リリーエ(c10739)が予期していた通りになったね。

 咲謳うアイスバーグ・ノシュアト(c02822)が尽力してくれたので、私達エンドブレイカーもピエールが雇った傭兵という立場で、領主館への突入戦の先陣として戦う事が出来るのよ。
 後ろにアクスヘイム領主連合の城塞騎士達が控えるので、戦力的にはまず負けないと思うんだけど、マスカレイドは可能な限り私達の手で倒して仮面を叩き割りたいところだね。
 先陣なんで危険だけど、マスカレイドからアクスヘイムを守る為、この戦いを避けて通る訳にはいかないよねー。
 静寂凍夜・レミ(c07864)が懸念してたんだけど、領主館の中枢では領主以外にも通常とは違う仮面を持つマスカレイドが居たという情報もあるので、くれぐれも用心して作戦に参加ね、命あってのなんとやらだからね」

 手帳をめくりながらルトゥンは続ける。
「アンデッド達はアンデッドマスカレイド5体程に普通のアンデッド10体ぐらいで1つの集団を形成しているみたい。騎士アンデッドを討ってなかったら、この集団を騎士アンデッドが率いたんだろうね。アンデッドマスカレイドさえ討てば、後は烏合の衆だろうし領主連合の騎士団に任せればいいと思うよ。
 余力があれば別の集団に戦いを仕掛けるのもありだとは思うけど、マスカレイドを侮ってると痛い目に会うだろうから、皆で相談して判断基準を決めておいた方がいいだろうね。確実に潰して次に備えて無理せず退くのも1つの手だとも思うし。
 何が良いエンディングに繋がっているかなんて判らないしね」

 更にページをめくったルトゥンの目が真剣なものになる。
「で、相手してもらう集団なんだけど弓を持った腐肉のついたゾンビの様なアンデッドマスカレイドが4体と盾を持ったゾンビ型アンデッドが15体という集団。その編成から判ると思うけど、盾を持ったアンデッドが壁になってその後方からマスカレイド達が矢の雨を降らせて来る。
 陣取っているのは通路で、並んで戦うと10人では苦しい感じ、8人ぐらいで丁度かな。盾アンデッドは2列になって通路を塞いでる。如何に突破してアンデッドマスカレイドを倒すかがカギになると思うよ。
 こっちも全員弓とか遠距離攻撃で撃ち合いってのも考えたけど、それだと盾アンデッドが邪魔しに来るんだろうなぁ」
 パタンと手帳を閉じたルトゥンは最後に告げる。
「ここで勝利すれば黒幕の領主マスカレイドを決着をつける事ができるハズ。しんどい戦いになりそうだけど宜しく頼むよ。盾のアンデッドは領主連合の騎士に任せちゃっていいから弓のアンデッドマスカレイド4体の仮面だけは確実に砕いてね」
 エンドブレイカー達は対策を考えつつ酒場を後にするのであった。


マスターからのコメントを見る
参加者
ぎんいろにゃんこ・レティーファ(c00039)
泡沫の旋律・ジゼル(c00456)
片翼の鵠・クリード(c00892)
狂剣・ルーファス(c01393)
空色笑顔の氷鎌使い・シグ(c01647)
千刀狩の守人・ルーン(c01799)
デイブリンガー・アスラ(c02268)
槍の呑んだくれ・グラリィ(c07490)
ハニーフェイス・カレット(c08089)
蝋燭の正しい消し方・ニャルラ(c08107)

<リプレイ>

●腐肉蠢く回廊
「この角を曲がった先に陣取っているはずです」
 千刀狩の守人・ルーン(c01799)は以前潜入したエンドブレイカーの一人であり、その中でも最も屋敷内を動きまわった者である。屋敷の構造はしっかり頭に入っており一行を先導していた。
 通路を進む度に、潜入時にしておけばよかった事やマスカレイドではない使用人達の顔が脳裏を過るが、都度頭を振って振り払う。今自分に出来る事を……瞳に決意を宿してルーンは歩を進める。
「この領主館広いねぇ。広さに戸惑いそうだよ」
 空色笑顔の氷鎌使い・シグ(c01647)が感想を漏らす横でハニーフェイス・カレット(c08089)が僅かに首だけ出して、ホークアイで角の先を見る。
「……これでは奇襲できないよねぇ」
「大丈夫大丈夫、なんとかなるよ」
 この角からアンデッド達までの間に遮蔽物が一切ない事を確認し、カレットがため息をつくとメイド服を着た片翼の鵠・クリード(c00892)が、その中性的な顔に笑顔を浮かべて角から出てアンデッド達と相対し、一行もクリードに続く。
「斬り込み部隊か〜……でもこれで〜、アンデッドの出現を〜抑えられるなら〜……」
「まずはお掃除ってことなのかなぁ?」
「これ以上マスカレイドを増やしてなるものですか……!」
 蝋燭の正しい消し方・ニャルラ(c08107)が、タナトスローブの中から出した白い顔に浮かぶ笑みを敵に近付くにつれて消していく。ぎんいろにゃんこ・レティーファ(c00039)は藤色のリボンを解いて戦闘モードに入り、横で泡沫の旋律・ジゼル(c00456)が頬を叩いて気合を入れる。
「……何処からこんなに集めたのやら。しかも俺らの進路は完全防備ときたか。まぁ完全……でもないんだけどな」
「盾2列とは……骨が折れそうだねこりゃ」
「何かを守るではなく何かを斬り捨てるのみ……こういう戦いは楽なもんだ。ただひたすら斬ればいい」
 デイブリンガー・アスラ(c02268)がその剣『龍凰輪舞陰陽剣』を鞘から抜くと、槍の呑んだくれ・グラリィ(c07490)が苦笑しながらぶやく。その横で狂剣・ルーファス(c01393)は鯉口を切り、のろのろと弓に矢を番えるアンデッド達を睨みつけた。

●こじ開ける盾壁
 走り出したエンドブレイカー達に挨拶とばかりに風切り音を唸らせ、30本程の矢の雨が降り注ぐ。
「あっ、やってくれたな……もう一度墓に入れていやる」
 ニャルラが肩にある首吊り黒猫人形に刺さった矢を引き抜きながら、猫にとり憑かれた形状の大鎌『猫憑き大鎌』を掲げると、周囲の空間が歪み邪剣の群れが現れる。
「さて……手筈通り右から……左だったか? まぁいい、とりあえず右から行きますか」
「突っ込んでしまえば敵さんも矢を撃てねぇだろう」
「盾供! 俺のしばれる刃を受けな!」
 盾陣の最も右端に向って矢で頬に一条の赤い線を作ったアスラが、その剣を切り上げ薙ぎ払う。被せる様にグラリィが盾アンデッドの急所に槍を突き入れ、シグがアイスレイピア『梟の眼光』の氷刃で切り裂く。
 マスカレイドが次の矢を番えて無いのを眼の端に確認するとグラリィとシグは跳躍する。
「まだ回復が必要な方は居ないよね? でしたら」
 キョロキョロと仲間を確認し、虹色のツーテールを揺らしてジゼルが大きく腕を振り下ろす。爪から放たれた衝撃波はニャルラの邪剣と一緒に右端の盾アンデッドを直撃し、盾を持ったアンデッド1体が崩れ落ちる。
 そこにグラリィとルーンが体を捻じ込もうとし、そうはさせじとアンデッドが隊列を埋めに掛る。
「させんよ、てめぇらが再び死体に戻るのは神の思し召しだ」
「わたしにできることがあるなら頑張るよ!」
 ルーファスのガントレッドから生じた雷撃が収束すると光線となってアンデッドを撃ち、レティーファが新緑の軽衣『frisches Gruen』を揺らしながら連続でナイフを投擲する。
「ここは牽制の方がいいかなぁ」
 カレットは密集している右端と、防御ラインをシフトしようとしているアンデッドを見ると方針を変え、何本かの矢を一度に掴むと、壁を形成しているアンデッドの左側目掛けて無造作に矢を放つ。
「ボクどっちでもいけるんだよねー」
 矢の雨を受けたアンデッド達の左端を抜ける様にクリードが跳躍すると、アンデッド達は右に偏るのをやめ陣列を維持する。クリードは2体の頭を靴についた刃で斬り付けて戻ってくる。2人の牽制で右端を抜けようとする者達への圧力が弱まる。
 グラリィとシグが上からアンデッドを薙ぎ、
「攻防一体のこの妙技、受けてみよ」
 ルーンがトンファーを高速回転させると盾ごとアンデッドを押し返し、小さく跳躍すると頭を叩き割る。
「よし、これで敵も矢を撃てないハズだ」
 グラリィが槍を振るいながら言うのを嘲笑うかの様に、大量の矢が降り注ぎエンドブレイカーと盾アンデッドに矢が刺さる。
「なんだと!」
 味方も巻き込んだ投射を行ったマスカレイド達は次の矢を番えようとしていた。
「アンデッドとは言え味方なのに」
 崩れるアンデッドを見て、ジゼルがアンデッドでもいいから会いたいと思った人の顔が脳裏をよぎる。
「一点突破だ。死して尚外道の所業、叩き斬ってやる!」
 腕に刺さった矢を抜いたルーファスの檄に、ルーンとアスラ、グラリィとシグが盾アンデッドを押し返す。そこに人が通れるぐらいの空間が空いた。
「道が出来た、突破だ!」
 戦闘モードに入り口調の変わったレティーファに続き、エンドブレイカー達がそれに続く。最後にアンデッドに矢の雨を放ったカレットが通過すると支えていた4人も力点をずらして中へ入る。
 遂にエンドブレイカー達は2重の盾壁を越え、マスカレイド達をその射程に捉えたのである。

●前門の弓、後門の盾
「うわぁ……痛いじゃないかよっ!」
 マスカレイドの動きを見てニャルラへの射線を遮る様に立ったクリードの体に3本の矢が突き立てられ、メイド服が破れ悲鳴を上げる。すかさずスカートの中から爪を出すと衝撃波を放ちマスカレイドを撃つと傷口が少し塞がる……が流れる血は止まらない。
「いけません」
 直ぐにジゼルが竪琴で心励ます旋律を奏で、矢を引き抜いたクリードは一息つく。
「二度と戻ってくるな!」
「貴様らは死んでるんだよ、大人しくしてな」
 ニャルラが交錯させた手から黒炎が生じ、爆ぜた黒炎に焼かれたマスカレイドの首をレティーファがそのナイフ『ルナティウム』で刎ねると黒焦げになった頭蓋骨の仮面が霧散して消える。
「アグレッシブでバイオレンスにだ!」
「撃たせはせんぞ!」
 ルーファスの無銘の大太刀とアスラの龍凰輪舞陰陽剣が、5本の矢を番えて放とうとしたマスカレイドを穿つ、大太刀が右胸に、龍凰輪舞陰陽剣が左腰に突き入れ、マスカレイドが崩れる刹那、最後の力を振り絞って矢が放たれる。
「ふむ、アンデッドの癖に中々根性ありますね」
「まったくだ」
 アスラが着ている武装ジャケット崩天麟駆に刺さった2本の矢を引き抜くと、ルーファスも甲種戦闘用外套に刺さった矢を引き抜き、別のマスカレイドに向き直る。
「我が刺突は森羅万象を穿ち貫く」
 そこには残像をもってマスカレイド2体を相手するルーンの姿があった。

「お前達はそこで大人しくしとくんだよ」
 壁を背にしたカレットは盾の群れに対してあらん限りの矢を放ち続けていた。命中してもしなくても牽制になり、仲間達がマスカレイドを攻撃する助けになっている。
 その矢を抜けてエンドブレイカー達の背後を襲おうとするアンデッドを、巧みな槍捌きで押し返していたグラリィであったが、隙を突かれて盾で吹き飛ばされ壁に激突する。
「グラリィさん」
 慌ててジゼルが掛け寄りグラリィを助け起こすと、頭を振って立ちあがるが、足元がふらついている。盾アンデッドとの連戦で、裂傷ではないダメージが蓄積されてるのだと判断したジゼルは竪琴を力強く演奏すると、大きな音はグラリィとアスラの傷も癒した。
「ありがとよ」
 グラリィはジゼルに向けて軽くウインクすると、槍を構えて再びアンデッド達に踊り掛る。
「みんな群がって邪魔や!」
「アンデッドから命を奪うのもどうかとは思うけどね」
 シグが大鎌『碧鷹の爪』を勢いよく乱舞させアンデッド達を薙ぎ払う。血と汗を流しながら鎌を回転させる横顔、その瞳は猫の様にも見える。クリードもシグの後ろから爪を振るって衝撃波による攻撃を続けていた。

●進退の時
 最後のマスカレイドが薙がれたルーンの太刀で崩れ落ち、ルーンがパチリと音を鳴らして太刀を鞘に納めた時、盾を持ったアンデッドは7体残っていた。
「どうする? 進むのか」
「私はいけるが、回復は大丈夫なのか?」
 アンデッドにナイフを投げ付けながらレティーファが問うと、ニャルラも邪剣を召喚しつつ、ジゼルを見る。
「あと1〜2回と言うところです」
「むぅ」
 ジゼルの答えにアスラが腕を組む。今の怪我を回復させただけで尽きるだろう。他者回復が出来るのがジゼルだけで、自己回復出来るのもアスラとルーンだけである。
「考えてる暇は無さそうだぜ、新しいお客さんだ」
 アスラの思考がルーファスの言葉によって中断される。弓マスカレイド達の死骸の向こうから蛮刀を持った骸骨の一団が迫りつつあった。中には見慣れた仮面がちらほらと見える。
「ねぇねぇ、後ろからも来たみたいよ」
 のんびりとした口調でカレットは言うが、その内容は一行が抜き差しならない状況に陥った事を意味していた。レティーファの目に映るは盾アンデッドの向こうの曲がり角から、カタカタと骨を鳴らして現れた新たな一団……30体は居る骸骨達。
「領主の騎士団達はまだ突入して来ないのかな? こままだとジリ貧だよ」
 クリードが唇を尖らせると、盾アンデッド達が骸骨の合流を待つ様に少し距離を取ったのでエンドブレイカー達は外向きに円陣を組む様な形となる。
「仕方ありません、退きましょう」
「でもどうやって?」
 ルーンの発言にグラリィが返すと、ルーンは静かに蛮刀を持った一団の方の壁を指差す。
「あそこの扉が見えますか? あの扉は館の外に通じており、出口までの距離もそう遠く……」
「決まりだ、行こう」
 ルーンの発言を遮ってアスラが即決すると皆走り出した。
(『ほっほっほ、ここからこっそり出れるんじゃ内緒じゃぞ』……無事で居てくれるだろうか?)
 ルーンはこの出口を教えてくれた陽気な老庭師の顔を思い出していた。
「最後っ屁ぐらいかまそうぜ、あの端の仮面ぐらいぶっ潰してやろう!」
 言うや否や、扉に一番近い位置に居たマスカレイドにルーファスが雷撃を飛ばす。
「貴様、面白いな」
「はは、それはいいな」
 ニャルが黒炎を放ち、レティーファも2本のナイフを投擲する。
「これが僕の置き土産ってね」
「行けぇ」
 カレットがありったけの矢を放つと、ジゼルとクリードの爪から衝撃波が迸りマスカレイドが崩れ落ちた。
 アスラが扉を蹴破るとアンデッド達が逃がすまいと殺到して来る。グラリィとシグが防ぐ中、次々と扉をくぐり、最後にシグがくぐった時、背中に蛮刀の一撃を受ける。
「そんな攻撃はアカンやん……!」
 転げ出たシグの後ろ、殺到するアンデッド達にニャルラの黒炎が炸裂し巨大な炎影を描く。ルーファスとカレットがシグに肩を貸し、一行は撤退する。
「ま、弓の奴らは倒せたし、最後っ屁もできたから良しとしよう。これも神の思し召しってな」
 ルーファスの声を最後にエンドブレイカー達は館を後にしたのである。



マスター:刑部 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/07/22
  • 得票数:
  • カッコいい9 
  • 怖すぎ1 
  • 知的2 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。