ステータス画面

領主館突入:陪葬

<オープニング>

●状況説明
「巡察役人の事件、騎士アンデッドの事件――双方の黒幕たる、領主マスカレイドの一件が動いた」
 斧の城塞騎士・ヘーゼル(cn0021)がエンドブレイカー達にそう切り出した。
 自分の手駒として利用していた近隣領主のピエールに正体が露見した事を知った領主マスカレイドは、紅華絢爛・セリ(c03885)や銀雷閃・ツルギ(c08167)が予期していた通り『配下のマスカレイドの軍勢を呼び集めて、戦力の集結を行って反転攻勢』の準備を始めた。
 配下の多くは『墓地からそのまま動き出したようなアンデッドとアンデッドマスカレイド』で、既に領主館を埋め尽くす程の数になっているらしい。
 幸いにも、この軍勢を率いる筈だった『騎士』をエンドブレイカー達が討ち取っている為、それらは統一された作戦行動を取れていない。しかし早急に、このマスカレイドの軍勢に対応する必要があるだろう。
 この状況に対して、付近の領主たちもまた動き出している。もふ毛求めて・プレノア(c03487)の提案通りに、事情を知る近隣領主のピエールとマスカレイド城主の令嬢とが、付近の領主への根回しを行ったことで、杖のデモニスタ・ギラ(c10826)が考えていた『ピエールを長とした領主討伐隊が組織』されたのだ。
 まさに、悪夢に咲く・リリーエ(c10739)が予期していた『死人騎士団VSアクスへイム領主連合』という構図が完成した。
「我々エンドブレイカーも、咲謳うアイスバーグ・ノシュアト(c02822)の尽力もあり、ピエールが雇った傭兵という立場で、領主館への突入戦の先陣として戦う事が可能になっている」
 更に後ろにアクスヘイム領主連合が控えており、戦力的には勝利は確実と思われるが、マスカレイドは可能な限りエンドブレイカーの手で討伐しなければならない。
 危険な先陣となるが、マスカレイドからアクスヘイムを守るために、この戦いを避けて通るわけにはいかない。
「しかし領主館の中枢では、静寂凍夜・レミ(c07864)が懸念していた通り……領主以外にも通常とは違う仮面を持つマスカレイドが現れているという情報もある。重々気をつけて向かうように」

●葬
「行く手を阻むのは、アンデッドマスカレイドが五体。そして取り巻きのアンデッドが十体の計十五体。マスカレイドといいつつ、騎士アンデッドほど強いものではない……しかしその数が多い」
 ただ、マスカレイドさえ討ってしまえば取り巻きは烏合の衆。
 我々が倒さずとも領主連合に任せれば良い、ヘーゼルはそう言った後「もし、アンデッドマスカレイドを余力を残し倒せたならば連戦も可能だろう」と付け足した。
 しかし一段落ちるとはいえマスカレイドはマスカレイド。油断は禁物である。
 侮りは破滅を呼ぶものだ、ヘーゼルは目を瞑り、短く忠告した。
「アンデッドマスカレイドたちは腐った外見に錆びた鎧を纏っている。五体全てが剣と盾を装備し、汚れた武器や彼らの身体には毒を付与する力がある。盾は単に防御のためだけではなく、攻撃のために投げつけてくる事もあるだろう。更に、この群れは取り巻き十体と共に、団結し個を狙う傾向にある」
 取り巻きアンデッドも同じく腐乱死体なのだが、彼らは特別武器は持たず、己の爪と歯で食らいついてくる。ただひたすらに、マスカレイドの指示に従って。
「この戦いに勝利すれば、いよいよ黒幕に剣を突き付ける事ができるだろう。重要な一戦となる……だが戦況の見極めも忘れぬよう」
 くれぐれも深追いはせず、生きて戻るように。
 ヘーゼルは最後にエンドブレイカー達に向き合い、告げる。
「哀れな死者に、再び眠りを。悪しき者の企みを打ち砕けるよう――武運を祈っている」


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参加者
遊悠月・ルゥ(c00315)
幻天弓・アゼル(c02796)
玄人・シンヤ(c03028)
遊び人のシヴァさん・シーヴァー(c03034)
空を駆ける新米探偵・ティルナ(c03037)
太刀の城塞騎士・ジュン(c05187)
断章の騎士・イクスヴァール(c05338)
霜剣・ノエル(c09561)
ルーガルー・ヴァイオラ(c12629)
銀の腕・ヴァレイシュ(c13222)

<リプレイ>

●宮
 アクスヘイム一の領主の、壮麗な屋敷。
 本来そのような形容が正しいはずの屋敷は、死臭漂う亡者達で溢れている。最近死んだような綺麗なアンデッドから、腐り果て、骨しか残っていない者――虚ろな瞳はどれも変わらず、エンドブレイカー達を不気味に見つめてくる。
「よくもまぁ、こんなに死人ばかり集めたものだな」
 淡々と断章の騎士・イクスヴァール(c05338)が口にする。
 如何なる感情を秘めているのか、あまり顔には表れないが、声音には呆れが滲んでいる。
「これじゃあ領主館というより死者の館だね」
 彼の言葉に頷いて、遊悠月・ルゥ(c00315)が微かに俯く。死者は静かに眠るもの、こんな処に引っ張り出すとは許し難い――ルゥはゆっくりと前を見据えた。
「やぁ、これだけの人数が争えるとは大きな……おっと、それどころではないですね」
 何かを言いかけた遊び人のシヴァさん・シーヴァー(c03034)が口を噤み、戯けたような様子で肩を竦めると、ルーガルー・ヴァイオラ(c12629)がくすりと笑う。
「いよいよって所ね」
 空を駆ける新米探偵・ティルナ(c03037)が口の端を持ち上げ、眼鏡を外す。
 あらゆる謎が一気に紐解かれようとしているどころか、解決の兆しさえ見えている。此処で何処まで領主マスカレイドの喉元に食らいつけるか、その一端を担う戦いが迫っている。愛刀を構え、ティルナは仲間を振り返る。
「一気にカタをつけたいモノだね」
「ま、ここらでキレイに大掃除しておこうぜ」
 応じるように幻天弓・アゼル(c02796)が頷けば、銀の腕・ヴァレイシュ(c13222)が煙管に新たな煙草を詰めながら、薄く笑んだ。
「準備に手を抜くな、か」
 何処で聴いた台詞だっただろうか、ふと思い出し霜剣・ノエル(c09561)は呟き、仲間と再度目標を確認する。狙うはマスカレイド、その殲滅。
「さあ、行こう」
 平凡だが強い意志の籠もった一言。それを合図に、彼らは二組に分かれ――といってもほぼ同じ場所だが――攻撃を開始した。

●窮
 目標となるアンデッドはマスカレイドを中心に、取り巻きとなるアンデッドが渦を巻くようにノロノロと動き回っていた。見張りか護衛のつもりなのだろう。だが間隔も動きもバラバラで、お世辞にも機能しているとは思い難かった。
 先陣を切ったのはルゥとアゼル――左右に分かれ、マスカレイド狙いの一撃を放つ。
 アゼルがくるりと掌の中で閉じた扇を回し、構え、扇を開く。
「さっさとお帰り頂こうか。永遠の眠りに、な。……ウル、好きに暴れて来い」
 燃える尻尾を揺らしバルカンが駆け抜け、火炎弾を放つ。火炎はマスカレイドにぶつかると腐肉を燃え上がらせた。
「ジュン・フジナミ……押して参りますっ!!」
 太刀の城塞騎士・ジュン(c05187)がナイフを投げ、更に前へと進み距離を詰める。合わせて雷の束が追い、炎に包まれたマスカレイドを撃った。
 サンダーボルトの行方を見送るとノエルが周囲を見渡し、戦場を確認する。
 眼前で二方向に分かれたエンドブレイカー達を前に、アンデッドは戸惑っているようにも見えた。だがそれは取り巻きのアンデッドの話。マスカレイドも冷静に二手に分かれ、それぞれ迎え撃つ。遅れて取り巻きもそれぞれ分かれて動き出す。
 玄人・シンヤ(c03028)が進路を塞いだ取り巻きのアンデッドの腕を掴むと、そのまま投げ飛ばした。開いた場所へヴァレイシュが飛び込む。
「難儀だねえ。二度も死ななきゃならんなんてよ」
 ヴァレイシュが咥えた煙管をくいっと上げて、鉄塊を振り上げた。攻撃でありながら守りを兼ねる構えをとる彼に、残ったアンデッドが後ろから両足両腕にすがりつく。
 傾いだ身体でマスカレイドが二体、盾を正面に構えヴァレイシュに迫る。予想以上に力強いアンデッドの足止めに彼は小さく舌打ち、焼かれていようと意に介さず剣を振り上げるマスカレイドを見、執念だねぇ、と小さく嘯く。
 彼の名をノエルが呼び、ジュンとシンヤがそんなヴァレイシュの前に立って剣を受け止める。アゼルが扇を操り水を喚ぶ。枷となるアンデッドを流すべく、彼は舞う。

 ルゥは別のマスカレイドにポイズンニードルを放ち、其れを合図にイクスヴァールはアンデッドとマスカレイドの間に割り込み、シールドスピアを振るいディフェンスブレイドで守りを固めた。
 最初に前に立った彼の周囲をアンデッドがぐるりと取り囲もうとすれば、許さじとヴァイオラがひらりと短い着物の裾を揺らし飛び込んだ。厚みのあるナイフを振るい、遠ざける。
 刃物への恐怖を彼らがもっているとは思わない。どちらを狙うか、単に攻め倦ねているのだろう。
「頭が……がら空きだ!」
 虚を突くようにマスカレイドの頭上へティルナが舞い降り、刃を繰る。身の丈を越える野太刀を手に、軽やかな身のこなし、そして軽やかな剣戟である。
 スカイキャリバーが腐肉を抉り、削る。
 しかしそれでマスカレイドの狙いはより近づいたティルナへ移ったらしい。切り裂かれ、べろりと剥がれた表皮をものともせず、盾を前に突き出して、揃って剣を振り下ろす。
 太刀を盾に受け止めたものの、逃れるには盾のブロックが邪魔をし、完全には躱せない。
 やや離れた位置からルゥが突破のためのターゲットへ、すかさずポイズンニードルを仕掛ける。
 眼鏡は今や懐に仕舞い、金色の冷たい瞳で討つべき敵を見据え――シヴァが大きく月を描くように太刀を振り下ろした。
「……さあ眠らせてあげましょう――……汝らの主も後から必ず届ける。殉じて先に、逝け」

●朽
 戦況は良しとも悪しとも言えぬ。戦力を分散した事で、敵も分散したが、数の上ではあちらが優位。狙われた者は程度はともあれ確実に傷を負った。
 マスカレイドが滅茶苦茶に剣を振り回す。乱暴な剣は基本も何もあったものではないが、軌道が読みにくい。
 敢えて前に出て太刀で弾き、そのまま更に踏み込んで、肩から当たりに行く。腐肉や腐臭に目を細めつつ、シヴァはマスカレイドを振り飛ばす。ティルナが跳躍し、身体に止まる毒を払う。
 ルゥが新たな攻撃先を示す。当然前衛が前に、後衛も動きつつ――しかし其処に確かに距離が空く。
 其処が気になったヴァイオラがやや下がり、ナイフを投げつつ戦場をみる。
「妙に雑魚どもの動きが遅いでよ、回り込まれないよう注意してな」
 彼女はルゥにさり気なく伝えると、彼は頷いた。イクスヴァールもやや下がり気味になって警戒している。
 前衛二人は注意深く、それでも前へと徹する。彼らを信頼しているが、迫る手が少ないことに不安が残る。
「兄者!」
 ヴァイオラは短く鋭く、声をかけた。その時――まるで死んだように大人しくなっていたアンデッド達がやおら起きあがって、二人を取り囲んだ。

「我が鎧に防げるものなしっ!!」
 ジュンの一喝と共に、マスカレイドは粗末な鎧を落とし、濁った血を吹きながら倒れ込んだ。
 アゼルが流水演舞で再び立ちふさがるアンデッドごとマスカレイドへ攻撃を仕掛ける。ややタイミングをずらし、ノエルがサンダーボルトを放つ。
「囲まれないように気をつけろ!」
 すかさず一声掛けて、周囲を見渡す。今、目の前にいるのは一体のマスカレイドと六体のアンデッド。飛ばされた盾を拳で受け止め、シンヤが逆の拳でマスカレイドへ竜撃拳を放つ。
「王手とは、確実に勝利をもぎ取るための一手の事を指す」
 彼はマスカレイドへ静かに告げる。
 突き出した拳にじわりと毒が回るが、再び拳を振るえば治ると割り切り、彼は退かない。
「フォローしてください!!」
 太刀を振り上げジュンが斬りかかる。横からアンデッド達が彼女の腕を取ろうとぶら下がる。其処へマスカレイドが錆びた剣を突き出す。ぐいと突き出された鉄塊がそれを阻み、そのままマスカレイドを無造作に殴りつける。
 ちらりと彼女の視線が彼を見た。ヴァレイシュは何も言わず、口の端だけで笑みを見せる。
 振り払われたアンデッドを流水が流し、空いた道を駆け抜けたノエルが剣を繰る。鋼の乱舞がマスカレイドの鎧を削る。
 背後に回り込んだシンヤが再び告げる。
「そしてその一手をより磐石にするための手段を、人は攻略という。……貴様らは領主を詰むための一手、より確実に勝つためにも敗北などする気はない」
 拳は鎧ごとマスカレイドを貫いた。

「……離れろ」
 告げる声音は低い。すぐにイクスヴァールが疾風突きで飛び込んだ。
 何処から切り崩すかのぅ、とナイフを手にヴァイオラはぐるりと見渡す。外と内側から、アンデッドの壁は崩れた。
「竜は流。生命の流れを操る私に毒など効かぬ」
 中心で太刀を構えたシヴァが長い髪を靡かせ、刃に付いた血を払う。その横から跳躍した影がしなやかな蹴りをもって着地した。最後にアンデッドを垂直に刺し貫いた太刀を引き抜き、ティルナが冷ややかな笑みを浮かべた。
 ヴォイドスクラッチの虚空の刃がマスカレイドの鎧に爪痕を残す。ルゥの攻撃を起点に、彼らは再び動き出す。
 静かに殺気を練り上げて、シヴァがゆっくりと太刀をマスカレイドへと向ける。
 挑発などと考える脳は無いだろう――マスカレイドは乱暴に盾を投げつけてくる。彼は太刀を真っ直ぐ突き出したまま正面からぶつかっていく。
「……全身の竜を練り上げた我が陰招、盾や鎧程度で防げるものかよ」
 無造作に見えるが一点を狙い正確に捌き、乱舞脚でマスカレイドを圧倒する。
 横から手を出すアンデッドの腕にいくつものナイフが刺さる。シヴァが振り返れば、重たいナイフを手にヴァイオラが薄く微笑み頷いた。
「その運命……断ち切る!」
 ティルナが高く舞い上がると、太刀を儘に操り、ぼろぼろに打ちのめされたマスカレイドを更に刻む。
 最後にイクスヴァールがシールドスピアを捻り刺す。崩れ落ちる仮面を、穏やかな瞳が見つめた。

●柩
「貴様らは所詮利用される者、俺たちのように意思を持っていればもっと良い勝負が出来ただろうな」
 牌を置き、シンヤが言葉をかけた。相手は正しく、物言わぬ動かぬ死者。
「……もう一度おやすみ。今度は静かに眠るんだよ」
 小さな吐息のように、ルゥが祈る。憤りや悲しみの果てに、送れるものはこれくらいしかない。
 結局一体も――敢えて見逃すつもりは無かったが――残らず討ち滅ぼす事になった。イクスヴァールは武器を下ろしたまま戦場を一瞥した。
 美しく手入れされた庭は見るも無惨に血と腐肉で汚れている。更には折れた剣や欠けた鎧、盾が散らばり、領主の庭とは思えぬ凄惨な様だ。
 状況が許せば埋葬してやりたいところだったが、時間はなさそうだ。
「此処までか……」
 ヴァレイシュが倒れ込んだ最後のアンデッドを踏みつけ、そう口にする。引き続き戦うか否か、状況判断は彼に委ねられていた。
 彼らの目標はこれで全て討った。大した傷は負っていないが、全身にずっしりと重く疲労感がのしかかる。
「無理したらいかんがよ。誰かに無理させたくもないもんで」
 彼の背後からヴァイオラが意見を述べる。他の者を信じ退くこともまた、重要な判断である。
「少し領主連合に任せ、一息つきましょう……」
 鎧の下、素顔は見えぬが、ジュンが疲労を滲ませ提案した。反論はない。領主連合か――シヴァが何か思うように呟いて、誤魔化すように曖昧に笑う。
 ほっとするには未だ早いとは思いつつ、ノエルが大きく息を吐く。
 今回は無事に皆で帰れそうだ――口にする以上に彼は安堵していた。今度は護りきれた――自身も、仲間達も。
「未だ戦えそうな気はするけれど、仕方ないわね」
 ティルナは名残を惜しみつつ、これからを思う。マスカレイドを排除し、戦力を割いた。他の部隊がもっと別の情報を得て戻ってくるやもしれぬ。本当の決戦はまだ先に待っている。
「本当に、この辺りの事件が片付いたら皆で美味い酒でも酌み交わしたいね……」
 ほうと息を吐き、ソルと名付けたスピカを傍にアゼルがしみじみと呟く。全くだ、応じる声には笑い声も混ざる。
 熱から醒めたような目でイクスヴァールがじっと屋敷を見つめた。何処か遠くで戦いの音がする。静かに迫る行軍の気配と相俟って、妙な昂揚感が場に残っている。
 この屋敷が死せる者達の柩となるまで、きっと静まることはないのだろう。
 善きエンディングを紡ぐため――戦いは続く。



マスター:神崎無月 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/07/22
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冒険結果:成功!
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