ステータス画面

果樹園に平穏な収穫を

<オープニング>

「まずは、世界革命阻止戦、本当にお疲れ様」
 微笑むと、セルジュ(cn0145)は、フッっと微笑む。
 ねぎらいの言葉から始まった会話。
 ただし、それは勝利を喜ぶだけのものではなく、次の作戦への参加依頼だった。
「巨人達だが、その身体のサイズから言って、このシャルムーンで落ち着いて暮らすという訳にはいかないからね。マスターデモンの封印が完了したとはいえ、マスターデモン以外のデモン人間やレッサーデモン達は、封印されず野放しになっている状況だ。薔薇の痕方面に撤退していったようだが、どうも無人の状態で放棄されたガルシェンを占拠して拠点にしようとしている個体もいるようだ。そこで、君たちの手を借りたい」
 セルジュが促すと、
「私の名は、グランゼオラ。お前たちと行動を共にしたい」
 大きな剣を担ぐのは、赤い髪をなびかせた女性の賞金稼ぎだ。
 巨人なので言うまでもなくスケールが違う。
 男性なら……色々と、圧巻の光景だ。
 それは置いておくとして、彼女は話しだす。
「ガルシェンの農園付近の解放を頼みたいんだ」
 彼女の話では、果樹園に実った作物が、収穫の時期を迎えていることから、早く住民たちを家に帰してあげたいということらしい。
 20軒ほどの家が集まり、子どもたちが集まる公園もある。
 そして果樹が植えられた農園と農園を間に挟んだその先に、巨人達では入り込めない古いかつての居住区があるのだという。
「私達が、大昔まだ小さかった頃の町並みでね、サイズが小さいから探索できないんだ。あそこは朽ち果てた暗い廃墟が並んでいる。どうにも気になってしょうがない」
「そこで、彼女とともにガルシェンに入り、隠れているだろうデモン人間やレッサーデモンを駆逐して欲しいんだ。我々なら、彼女が入れない場所も調べることができるからね」
 セルジュが続けるように話す。
 敵の数は正確には分からないが、少ない数では無いと予測され、数は多めだと思って欲しい事。
「レッサーデモンはデモニスタのような技を使ってくるが、特殊攻撃の能力はない。心配なのは、デモン人間、奴らの得意な『暗殺』の能力だ。影から影へ移動することが出来るからね。特に、巨人の入れない大昔の町並みは、薄暗く影も多い。影がつながる限り、影の中をゆっくりと歩くくらいの早さで動き移動が出来る。もっとも、外にでると10秒程行動が全くできない状態になり、一度出れば24時間は再び影に潜る事が出来ないようだ。その辺りの特性も考えながら、君たちが戦いやすいような戦術を練って欲しいんだ」
 セルジュが見上げる先で、巨人の賞金稼ぎグランゼオラが頼むと一礼した。
「ガルシェンの巨人達は、大きすぎてシャルムーンの市街に入ることが出来ず、都市の外で野宿している状態だ。できるだけ早くガルシェンに戻れるように手助けしてあげて欲しい。よろしく頼むよ」


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参加者
月影の預言者・クロノ(c03800)
無限の胃袋・ミーファ(c07005)
燈し羽・リシフィア(c16309)
作物学の講師・シギュン(c18130)
スモーキーハッグ・マーシャ(c20433)
平原の騎士・セルマン(c33173)
傲慢の橙華・ボブ(c35109)
日輪の勇者・シフォン(c36108)

<リプレイ>

●小人気分?
「お、あの辺か? ……へぇ、サイズはでデカイが、他はなんもかわんねーなっ」
 スモーキーハッグ・マーシャ(c20433)は、巨人の賞金稼ぎグランゼオラの肩に乗り、ご機嫌な様子で町を指さした。
 ふむ、と立派な髭をはやした顎に手をやるのは、傲慢の橙華・ボブ(c35109)だ。
 グランゼオラの案内でたどり着いた果樹園。
 その何もかもが大きい、という点を除けば、至って普通見慣れた光景だ。
 それは、まるでこちらが小人になったかのような不思議な感覚だ。
「農園が関わるなら見過ごす訳に行かないな。カタが付いたら、ガルシェンの作物もゆっくり見てみたいしな」
 ランスブルグにおいて作物についての研究を進める作物学の講師・シギュン(c18130)にとって、今回の依頼はとても興味深いものだった。
「巨人さんの農園。楽しみなのら〜。お手伝いしたら、食べさせてくれるかな〜。期待しちゃうのら〜♪」
 無限の胃袋・ミーファ(c07005)は、ウキウキと果樹園の方を見た。
 美味しいものにありつけるかもしれない、それもお腹いっぱい。
 彼女も、やる気充分だ。
「さて、デモン人間の掃討戦と参りましょう。マスカレイドで無いとはいえ、危険な存在だ」
 平原の騎士・セルマン(c33173)が、落ち着いた調子で言うと、
「私だけでは手がまわらない部分が多い。今日は、よろしく頼む」
 と、グランゼオラは答えた
「無理言ってシャルムーンまで来てもらったのだから、ガルシェンに帰るまでしっかりと付き合わないとね。巨人たちが安心できるようサクっと終わらせよう」
 月影の預言者・クロノ(c03800)の言葉に日輪の勇者・シフォン(c36108)も頷き話す。
「巨人達が元の暮らしを取り戻せるよう、デモンやデモン人間はしっかり駆除しないと」
「そうだね。でも隠れる影も多そう。注意していこうね」
 燈し羽・リシフィア(c16309)は、そう言って持参したカンテラを確認した。

●作戦開始!
 シギュンの提案もあり、まずはやりやすい場所から探索することにした仲間達。
 道沿いに巨人の住居が立ち並ぶ場所へ、一丸となり、進む。
 道中、隠れることの出来ないレッサーデモンが道端から数体飛びかかってきたが、そんな襲撃は想定内だ。 
 仲間達は、あまり苦もなくそれらを撃退してみせる。
 住居にたどり着くと、巨人であるグランゼオラはわざと日差しを遮るように窓のカーテンを閉めていく。
 すると、
 音もなく、鋭い刃を閃かせるデモン人間が襲いかかってきた!
 このままでは強制的に影から出されてしまう事に焦ったのか、自分から先手を打って出てきたようだ。
 しかし、そもそも身体のサイズが違う巨人であり賞金稼ぎを生業とする彼女、そして奇襲があるだろうことを想定していた仲間達にとって、そんな小手先の攻撃が通じるはずもない。
 技を駆使し連携することで、比較的あっさりと敵を倒すことに成功した。
 仲間達は、この手法を使い居住区を隅々敵を探し歩きまわった。
 レッサーデモンも含め、そこそこの数を討伐し終わり、
「居住区は、これで終わりだね」
 クロノは、そう言って作った地図に討伐済みの印をつける。
 残すは旧市街と農園だ。
「ひとまず、皆でお茶しましょうかー」
 シフォンが仲間達にそう声をかけた。
「賞金稼ぎは女性の方もいるんだね。強さに性別関係ないのは、エンドブレイカーと同じだなぁ」
「まぁ、賞金稼ぎをやりたい女なんて少ないさ」
「なら、数少ない別嬪さんと仕事たぁ、こりゃ張りきるしかないねぇ。それにしても、俺らサイズの街じゃ不便っつっても、やっぱ羨ましいもんだねぇ。別嬪さんでパワーもがっつり出るたぁな。ガルシェンで暮らせりゃデカくなれっかね」
 軽口を叩くマーシャ。
 そんななか、これまでの探索した場所を地図に書き起こしながら思案気なボブ。
 旧居住区は、巨人が入り込めない場所。
 おおまかな広さ以外、立地に関する手がかりはない。
「この後は、今まで以上に気を抜けないね」
 リシフィアは言う。
 頷くクロノ。
「デモンとの戦いだけど、これが終わればようやく終演かな? 最後の公演、派手にいこうか」
「不毛な戦いは、もう終わりにしたいものですね。グランゼオラさん、この後は松明を持ってもらえませんか? できるだけ多く、暗い場所、影を照らしてもらえるとありがたい」
 セルマンが言うと、了解だと頷くグランゼオラ。
「松明持って、影を追い払いながら、歩き回るのら〜。あと、何匹……何人? いるかもわからないから、油断しないようにするらね〜」
 ミーファは、カップのお茶を飲み干し言った。
「それだけどよ、俺にイイ考えがあるんだ。のっちゃくれねーか?」
 悪戯な笑みを浮かべそう言うと、マーシャはウィスキーをスキットルから一杯、口に含んだ。

●旧住居跡
「しかし、まぁ情けねぇよな? コソコソ隠れてとんだチキン野郎共だなぁ!」
「ミーちゃんたちが恐いのかな? 弱虫だらけなのら〜♪ キャハハ!」
 静かな廃墟の入り口に、響き渡るマーシャとミーファの挑発的な言葉。
「僕達に負けて逃げ出したくらいだから、やっぱり隠れるくらいしか出来ないんだろうね!」
 追い打ちをかけるようにシフォンもそう聞こえるように大声で話す。
 旧市街の奥を照らそうと、グランゼオラが前に踏み出したその時だった。
 鋭い切っ先が、いくつも彼女めがけて襲いかかる!
 手勢が多い、受け止めきれない攻撃にさらされる彼女。
 しかし、
 カシーン!
 金属と金属がぶつかる音が響き渡る。
 彼女が深手を負いそうになった時、その切っ先を受け止たのはボブだった。
(「騎士として、約束を守らんわけにはいかんからな」)
 壮年と呼ばれる歳を迎えても、筋骨隆々とした体躯にまだ衰えはない。
 長年様々な仕事をこなしてきた歴戦の騎士は黙して語らず、しかし、己の意思は行動によって示した。
(「ガルシェンは、必ず奪還する」)
  影から現れた禍々しい黒い羽根を生やした3人のデモン人間たち。
 それとは別に、照らした暗闇の向こうからレッサーデモン達も複数こちらへと向かってくるのが見える。
「単純なヤツラで助かったぜぇ?」
 ニッと笑みを浮かべ前に立つマーシャは、巨大化した魔獣の腕で敵を叩き潰す。
 クロノのスッと上に伸ばされた腕、具現化した刺は檻となり敵の頭上に現れる。
「消えろ、跡形も残さずに」
 クロノの腕が振り下ろされると、ソーンの檻はデモン人間を押しつぶし消し去った。
 セルマンの白銀の刀身に輝く光が集まる。
 光は輝く大きな翼となり、彼が一閃横に薙ぐとデモン人間の二人をとらえた。
 敵は獣じみたうめき声を上げる。
 痛烈な一撃を喰らい後ろに下がるような素振りを見せたデモン人間の一人、しかしソレは叶わない。
「ゲハッ……!」
 突進したボブの重い一撃の前に、敵は崩れ落ちる。
「紡ぎ荒れる炎よ」
 リシフィアの舞に呼応し招かれた無数の神火が一斉に敵に襲いかかる。
 その攻撃に乗じ、シフォンは日光剣を引き抜く。
 美しい金色の細工がなされた鞘から引きぬかれた刀身に、みるみる集まる光。
「敵は全て斬る。……お前達デモン人間は、皆駆逐するのみだ」
 敵の体は眩い光の下、両断され倒れる。
 現れたデモン人間は倒れても、まだレッサーデモン達が残っている。
 少し下がった場所から、エンドブレイカーの仲間達を狙い攻撃を仕掛けてきた。
 しかし、レッサーデモン達が廃墟の奥から出てきてくれたことは、仲間達にとって大きな利点だった。
 この場所でなら、巨人であるグランゼオラも戦闘に加わることが出来る。
「のこのこ出てきたのが運の尽きだな」
 彼女の剣で蹴散らされたレッサーデモンに狙いを定め、シギュンはトルネードシュートを繰り出した。
 竜巻に弾き飛ばされ倒れる敵。
「これでもくらうのら〜」
 ミーファもすかさずオーラの幻獣『麒麟』を創りだし。その蹄で敵を踏みつぶす。
 こうして、マーシャの機転で引きずり出されてきた敵を倒した仲間達は、今度はカンテラを手に、旧住居の隅々を照らし潜んでいる敵を炙り出した。
 仲間達全員で用意した光源は、敵を潜む影から引きずり出すには十分で、奇襲をかけられず転がり出た敵を倒すのは、造作も無い事だった。
「ここは、これで完了だな」
 めずらしく口を開いたボブは、そう言って書き留めていた地図を仲間達に見せる。
 残すは、果樹園のみだ。

●果樹園
「おお〜でっかい! おいしそうなのら〜♪」
 ミーファが、そう嬉しそうに言った。
 その彼女の言葉どうり、頭上高く実るのは大きな果実だ。
 グランゼオラと変わらない高さの果樹は、規則正しく立ち並んでいる。
「松明の火が燃え移らないよう、少し注意が必要でしょうか? 建物の中でない分戦闘は楽かもしれませんが、索敵範囲が広い。陣を組み探せば多少安全だとは思いますが、影の中を移動し歩かれると厄介ですね。うまく見つけられればいいですが……」
「グランゼオラさんの話から、おおまかな地図を作り確認しながらきたけれど……ここを捜索すれば、もう他に隠れられる場所はないね。見渡した限り、レッサーデモンの姿は見えないようだし。やっぱり、問題はデモン人間かな」
 セルマンとクロノがそう話す。
「ためにし、何か影に放り込んで出てくるか試してみるか? って、こんな単純な事にはさすがにひっかからないな。ということで、これを試さないか?」
 シギュンはそう言って網を取り出す。
 影の側に網をかけ、こちらに飛び出すよう仕向けられれば……。
 シギュンがそう言いながら、果樹に近づいたその時だった。
 突如、影の中からナイフが飛んでくる!
「つっ!」
 肩に突き刺さるナイフ。
 マーシャとセルマンは、急ぎ側に駆け寄り前に出る。
 クロノも後方から敵を狙い討とうとするも、その姿が視えない以上、為す術がない。 
 とっさにボブが癒しの拳を飛ばす。
「卑怯な真似をっ! 出てこい、臆病者!!」
 睨むシフォン、しかし敵は姿を現さない。
「……チッ! さすがにバカばかりじゃねーか」
 こちらの敵は、挑発に乗るタイプではないらしい。
「攻撃武器は、ナイフだよね?」
「そのようだな」
 リシフィアはシギュンに問いかけ、その答えに頷くと星霊バルカンを喚び出した。
「探し物なら、任せて」
 星霊とともに、敵を探すリシフィア。
 仲間達も明かりを灯しながら、彼女に協力する。
 やがて……。
「そこにいるね?」
 一斉に、リシフィアの指差す方を照らす。
「クァ、チクショウ……!」
 逃げる場所を失い、デモン人間が影から転がり出てきた。
 しかし、敵はふらつきながらもナイフを手に、敵意を剥き出す。
「この期に及んで、マスターデモン達は討たれたというのに、まだ争いを望むのですか……! 全く救いようがない……!!」
 その様子を前にして、セルマンは悪意に対しての怒りを吐き出した。
「こんなヤツに、問答無用だゼ」
 ひと声かけ、飛び出すマーシャ。
 デモン人間との戦闘は、すぐに片が付き、シギュンのケガもそれほど重いものではなかった。

 そして。
「ありがとう、皆のお陰だ。これで、この果樹園は安全だろう。やはり、君たちを信じてよかった。感謝する」
 グランゼオラはそう言って頭を下げた。
 居住区、旧居住区、そして果樹園。
 様々な作戦を用い、エンドブレイカーの仲間達はうまく潜む敵の全てを討伐することに成功した。
 これで、巨人達も安心してここに住むことが出来るだろう。
「そうだ、良かったらここの果物を食べていってくれ。もう、食べごろのものもあるだろう。……あぁ、これなんか、ちょうど良さそうだな」
 そう言われてむしり取られたのは、大人の身の丈ほどある大きな赤い果実だ。
「僕達には、大きすぎるかな?」
「これ、食いきれるかぁ?」
 目を丸くするクロノに見上げるマーシャ。
「まぁ、とりあえず切り分けますか?」
「……ふぅむ」
 微笑むセルマンに無言で果実を眺めるボブ。
 そこへ、目を輝かせたミーファが果実に飛びつきかじり付く。
「いっただっきま〜〜すっ!! ん〜、おいしいのら〜! 皆も早く食べよう、なのら♪」
「……すごい、みるみる無くなるね」
「ミーファがいれば、これ1つ無くなりそうだね」
 その豪快な食べっぷりを見守るリシフィアとシフォンの二人。
「この大きさ、実に興味深いな!」
 食べることより、シギュンは果樹そのものに興味津々の様子だ。
 まずは少しずつ、こうして町を開放していけば、いずれ巨人達は住み慣れた故郷に帰ることが出来るだろう。
 こうして、この場所に穏やかな時間を取り戻したエンドブレイカーの仲間達は、シャルムーンへの帰路に着くのだった。



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参加者:8人
作成日:2014/11/14
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