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千年森の護り手

<オープニング>

●仮面の消失と棘の循環
 炎のように燃え盛る、怒り。
 胸の奥に冷たく沈み固まった、憎しみ。
 それらはまるで……陽が昇ったあとの朝靄のように、儚く消え失せた。
 言葉の通り、何かが陽光のように心を照らしたのか。
 もちろん世界から全ての負の感情が消え失せた訳ではなかった。
 美しくはない……それでも、だからこそ、人を人足らしめる何かは厳然として、世界に、人の内に残っている。
 それでも……本来なら有り得ないはずの憤怒や憎悪は、理不尽な何かが掻き消されるように消滅していった。
 それは、エルフヘイムも同じだった。
 妖精騎士達によって守られ、棘に侵され、予言の戦士たるエンドブレイカー達によって解放された永遠の森にも……棘は残り、マスカレイド達は生まれていた。
 そのマスカレイド達が今、力を失い……次々と消滅していく。

 だが、マスカレイド達の内包していた棘(ソーン)までもが消滅した訳ではなかった。
 正常ではないソーンは渦を巻くように集まっていき……やがて、森を揺るがす嵐のように暴れ狂う。
 そしてそこから……ひとつの幻像が、生み出された。
 無数の樹木と蔓草を、茂みを、無理矢理かき集めたような……森の自然をむしり取り繋ぎ合わせたような、不格好なトカゲのような、竜のような、何か。
 それは……咆哮をあげながら尾と四肢を振り回すと、周囲の大地を抉り森の樹木を薙ぎ払った。

●歪みし森の幻
「みなさま、お疲れさまでした」
 氷月の妖精騎士・モニカはそう言って、集まったエンドブレイカー達に丁寧に頭を下げた。
 ラズワルド大戦で原初の災害竜『カラミティ』を倒した事により、新たな災害竜の発生は封じる事ができた。
 魔竜『大空を覆うもの』の撃破にも成功した事で、イブ・ザ・プリマビスタと此華咲夜若津姫の力も戻り、都市国家のマスカレイドに対して、制約を課す事もできるようになっている。
「また、勇者ラズワルドの敗北を感知した『大魔女・スリーピングビューティ』が都市国家に残ったマスカレイドを見捨てた事で、多くのマスカレイド達が消滅する事になったのだそうです」
 本来は、とても喜ばしい事なのですが。
 妖精騎士の少女はそう口にしてから、消滅したマスカレイドのソーンが集まって、イマージュマスカレイドが生まれ始めているのだと説明した。
 もちろんこのマスカレイドを倒す事ができれば、都市国家内部のマスカレイドの脅威は大きく減らす事ができる。
「皆さんには、このイマージュマスカレイドの撃破をお願いしたいんです」
 そう言ってモニカは詳しく説明し始めた。

 今回戦う事になるイマージュは、無数の樹木や雑草、蔓草が集まって獣のような形を作っている……そんな風に見えるマスカレイドなのだそうだ。
「マスカレイドが姿を現すのは、人気の無い森の中になります」
 所々に樹が生えてはいるものの間隔は広めのようで、動き回ったり武器を振るったりしても大きな不便は無さそうだと妖精騎士の少女は説明した。
 下草なども少ないようで足場の方も問題ないのだそうだ。
「マスカレイドには手狭ですが、生えている草木を意に介さず暴れ回れるだけの力も持っているようで、動きが鈍ったりという事は無さそうです」
 それだけに暴れ回れば森が大きく傷つけられる事になるだろう。
「動きを封じられれば良いのですが、その場合、マスカレイドは力任せの強力な攻撃を行ってくるようです」
 最初は妖精騎士や自由農夫のアビリティに似た攻撃を行ってくるようだが、こちらの戦い方によって戦法も変えてくるという事らしい。

 それでも、戦闘力は本来よりかなり低くなっているのだそうだ。
 それはイブ・ザ・プリマビスタと此華咲夜若津姫の力によるものなのだそうである。
「とはいえ複数のマスカレイドのソーンが集まったイマージュマスカレイドですし、油断はできません」
 撃破できずに成長されるような事になれば、かなり強力なマスカレイドになる危険がある。
 そんな事にならないように、確実に倒さなければならない。
「未熟ですが、私も同行させて頂こうと思います」
 精一杯がんばりますので、よろしくお願いします。
 そう言って妖精騎士の少女は、もう一度集まっていたエンドブレイカー達に頭を下げた。


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参加者
放浪者・カノン(c01644)
眠りの・イリック(c03275)
赤壁の城塞騎士・ジュン(c05187)
社会の理不尽と闘う男・ジョセフ(c11046)
燈し羽・リシフィア(c16309)
マリヤ・ルア(c28515)
空を求めて・ソラト(c33966)

NPC:氷月の妖精騎士・モニカ(cn0177)

<リプレイ>

●永遠森の、歴史
(「樹木で出来た竜か……一体どんな奴なんだろう」)
「強敵には違いないだろうが、放っておくわけにはいかないな」
 森の中を急ぎながら、放浪者・カノン(c01644)は浮かんできた想いを口にした。
 森への被害を少しでも抑える為には、出来るだけ早くマスカレイドを倒さなければならない。
 先ずはイマージュが現れる場所へと急ぐ事だ。
「エルフヘイム……懐かしい地です」
 社会の理不尽と闘う男・ジョセフ(c11046)は周囲に茂る森の草木を眺めながら、過去の旅を思い返した。
 今の彼はこのエルフヘイムで、人々に認められた地位に就いている。
 皆の脅威となる存在を逃す訳にはいかないのだ。
 強い決意と共に仲間たちを見回した彼の目に、氷月の妖精騎士・モニカ(cn0177)と路を急ぐ義娘、マリヤ・ルア(c28515)の姿が映った。
(「エルフヘイム……いろんなことがあったけれど、今となっては懐かしい故郷」)
「そんな故郷を護るために、一肌脱ぐとしますか」
 ルアは誰に言うでもなく呟いてから……妖精騎士の少女へと視線を向ける。
 義父のジョセフと共に改めて挨拶をしたのは、出発前の事である。
 以前に依頼で同行した事のあるルアがジョセフをモニカに紹介したのだが、ジョセフの方はモニカと初対面という訳ではなかった。
 親しかったという程ではなく、以前に言葉を交わした事があるという程度である。
 その事に関しては口にせず、唯……娘の友人となって欲しい、そばにいてあげて欲しいとだけ願って、ジョセフはモニカに言葉を紡いだのだ。
 昔に交わした言葉が少しでも少女の力になっていてくれれば、それで良い。
 似た境遇で親近感がある、友達でいられたらと言葉を紡いだルアの姿を思い出して、そして2人の姿に目を細めて。
 ジョセフは再び前へと、森の先へと視線を転じた。
 目的の場は近付いてきたが、未だマスカレイドが現れた様子はない。
 草木はそれぞれの居場所で茎や幹を天へと伸ばし、葉や枝を微かな風に揺らしている。

 その風景を瞳に留めながら。
(「エルフヘイム……時々来ますけど、自然豊かで素敵な所ですよね」)
「そんな自然を破壊するようなイマージュは、放っておけません」
 空を求めて・ソラト(c33966)は小さく呟いた。
「イマージュって、生物の頭にある妄想が具現化したものの筈なんだけど……」
(「逆に言えば元となる妄想が無ければ具現化しないわけで……」)
「じゃあこいつらの妄想元って何、というか誰なんだろうね?」
 落ち着いた態度で呟きながら、燈し羽・リシフィア(c16309)は静かに思考を巡らす。
 イマージュのマスカレイドとなれば、人々や動物たちの心の内にある何かにソーンが憑依したという事なのだ。
 かつて新しい森の主が誕生した際に起こった、力の一部を宿し暴走した植物たちによる事件。あるいは、樹木のマスカレイド達によって引き起こされた災厄。
 そういった出来事が生み出した、自然への不安や怯え……それらが棘によって集まり、具現化したのかも知れない。
(「如何であろうと、不要な草木は排除せねばならん」)
 赤壁の城塞騎士・ジュン(c05187)は無言のまま、仲間たちと共に森を駆けた。
 周辺一帯に集落はなく、猟師たちの狩場にもなっていないようだ。
 念の為にと地図で確認も行っていた眠りの・イリック(c03275)は、それを実感すると内心胸をなで下ろした。
 万一そのような場所の近くに一般人がいるようであれば、被害を出さない為にも迅速な避難を行わなければならない。
 そう考えた彼は、避難の手順等について考えていたのである。
(「……まあ『転ばぬ先の杖』さ」)
 その用心が無駄になって寧ろ良かったという表情を浮かべて、彼は意識をこれから始まる戦いへと傾けた。
 身辺の方は綺麗にしてある。
 死ぬ気はないが、どのような戦いであろうと必ず帰れるという保証はないのだ。

 一行が目的地に到着して……それほど経たぬうちに変化は起こった。
 竜巻か何かのように空気が渦を巻き、そこから草木や蔓が絡まり混ざり合った巨大な何かが……生き物のように蠢きながら、姿を現す。
 四肢と尾を持つ巨大な爬虫類のような、竜のような……あり得ない、存在。
(「ウッドドラゴン……略して……ウッディ」)
 取り留めなくそんな通称を考えながら、ジュンは現れたマスカレイドを観察した。
 マスカレイドも場所さえ違っていたなら世の中の為になっていたかも知れない……そんな思いが、ふと浮かんでくる。
 ……尤も、この場でもしも等というのは意味のない事なのだろう。
「悪気に侵された草木は排除せねば……いずれ森が枯れる。故に排除する」
 感情を抑えた落ち着いた調子で、彼女は静かに宣言した。
(「異変が齎すその先を見るのは『破壊者』じゃあない。市井に根差した生業を育んできた『探偵』の領域だ」)
「エルフヘイムは僕にとって、第二の故郷」
 同じように落ち着いた口調で、イリックも静かに口にした。
「心の故郷の浄化は即ち……僕の魂の浄化さ」

●恐怖より生まれしもの
 巨躯のマスカレイドが発する圧力に似た何かを物ともせず、真っ先に動いたのはカノンだった。
 霊剣ロストミリオンを手に一気に距離を詰めると、青年はマスカレイドの胴へと狙いを定め鋭い突きを放つ。
 光輝を宿した刃が固い幹のようなマスカレイドの体を貫き、守りの力を一時的に減退させた。
「今だ!」
「任せて下さい!!」
 カノンに応えるようにソラトが踏み出し、ルアがマジカルマスケットを構える。
「聖龍よ、ボクに力を貸して下さい。それ、突撃ですよ!」
 純白の龍の模様が施されたハルバードを高速で回転させながら、少年は樹木の竜へと突撃した。
 マスカレイドの強力な特殊攻撃を防ぐため、今回は動きを大きく封じないように戦うというのがエンドブレイカー達の決めた方針である。
 間合いまで踏み込むと、少年は薙ぐような一撃をカノンの攻撃によって傷付いたマスカレイドの外皮に叩き込んだ。
 周囲の樹木を利用して位置を取っていたルアが、マジカルマスケットに蓄積させた魔力を巨大な獣に向けて解き放つ。
 ほぼ同時にジョセフも、悪を浄化する正義の桜吹雪を森の一帯に巻き起こした。
「それじゃあ大掃除を始めようか」
 ソラトに続くように動いたイリックが、良く通る声で木々の間に歌を響かせる。
 その音色に呼び寄せられたかのように、巨大な幻の怪物がマスカレイドの前に姿を現した。
 怪物は天を仰ぐようにして咆哮のような音を響かせたのち、翼を広げ樹木の竜へと突撃する。
「よく分からない獣同士の対決って、ちょっと楽しいかもね」
 少し冗談めかした小声で呟きつつ、イリックは油断なくマスカレイドの様子を観察した。
 今までの攻撃で確実にダメージを与えている筈だが、敵は全くと言っていいほど堪えたようすを見せない。
 続くように動いたモニカが魔力によって編み上げた月光のカーテンを空に舞わせ、タイミングを合わせるようにして接近したジュンは、身に纏った英雄騎士の力で守りを固めつつ、強烈な打撃をマスカレイドに叩き込んだ。
 その攻撃を耐え抜いた獣は、力を蓄積させながら体の一部をカノンに向けて発射する。
 巨体に似合わぬ精度で放たれた樹木の弾丸は青年を傷付けはしたものの、即座に彼を動けなくするほどの力を持ってはいなかった。
 それを確認したリシフィアが神の力を宿す鏡を召喚する。
「散れ、彼方の光に」
 言葉と同時に神鏡から生み出された、悪霊を滅する浄化の光が……光の滴を舞い散らせるようにして、マスカレイドの体を貫いた。

●力持つ幻像
 樹木竜の攻撃には作戦らしきものは殆んど無かったが、それだけに全員が無差別に狙われる形になった。
 それを阻止するように、後衛たちが狙われぬようにと、ジュンは身を挺して竜の前に立ち塞がる。
 マスカレイドの体から伸びた無数の根が襲い掛かり、太い幹が彼女を押し潰そうとする。
 それに耐えながらジュンは機を逃さぬようにと巨大な野太刀を振るい、鬼を纏う斬撃を放って竜へのダメージを蓄積させていった。
「我が鎧に防げぬもの無しっ!」
 攻撃を堪え、時に英霊の加護によって弾きながら。
 赤壁の城塞騎士は怯む事なく、揺らぐ事なく、怪物の前に立ちはだかる。
 カノンも前衛の一人として位置を取りつつ、敵の守りを崩すように攻撃を繰り返していた。
 マスカレイドの攻撃は威力も高いが、こちらの動きを封じる手足を狙った攻撃の方も同等以上に脅威である。
 ソラトの方は戦いながら気を練る事で体内に竜を巡らせ、健全な状態を保てるよう心掛けていた。
 カノンの方はロストミリオンの力を強化する事によって自身の動きを補助させるつもりである。
 腕を傷付けられ必殺の一撃は狙えなくなったが、敵の守りを崩す事はまだできるのだ。
 仲間たちと声を掛けあい連携しながら、青年はマスカレイドへと霊剣の刃を振るう。
「それにしても、こんな強大なイマージュマスカレイドは初めてですな」
 マスカレイドの動きから目を離さないように注意しつつ、ジョセフは蓄えた力を斧へと注ぎ込んだ。
 そのまま渾身の力を籠め大きく振りかぶると、斧を樹木の竜へと投擲する。
 唸るような音を立てて放たれた斧は、弧を描くようにして獣の足や胴を切り裂いた。
 狙いを付けさせないように木々の間を移動しながら、ルアもデモリッションブラストによる射撃でダメージを積み重ねてゆく。
 イリックも味方の負傷に注意しつつ、幻獣を創り出す魔曲を響かせ続けた。
 前衛たちが集中して狙われる結果となった為、自分の動きが封じられるという事態は今のところ起こっていない。
 とはいえその分だけ、前衛たちへのダメージは大きい。
 長期戦に備え出来るだけ消耗しないようにと気を配りながら、イリックはHeretic's Forkの力を解放して味方の傷を塞いでいった。
 前衛の一人として戦線を支えるリシフィアは敵の範囲攻撃が封じられたのを確認すると、攻撃をアイスレイピアを振るっての刺突へと切り替える。
 少々の傷ならば敵から奪った熱を生命力へと変換する事で癒せるし、動きを封じる攻撃に対しては浄化の力を宿す神鏡を召喚すれば対処できた。
 どうしても巻き込んでしまう場合は仕方ないとしても……なるべく、周囲の木々には被害が出ないように。
「閉ざされよ、氷の扉」
 心の片隅に想いを留めつつ、少女は冷たき細剣を振るう。
 樹木の竜は相変わらず苦しむ様子は見せないものの、その巨体の各所には大小無数の傷がつき始めていた。
 ダメージは確実に蓄積している。
「まあ焦らずとも、僕たちなら大丈夫さ」
 圧力で陣形が崩れぬよう、敵の動きに充分気を配りながら。
 イリックは仲間たちを励ますように、落ち着いた声で呼びかけた。

●幻の結末
 周囲の木もろとも薙ぎ払うような強烈な一撃が、マスカレイドから放たれる。
 複数を巻き込む攻撃ではなくなっていたものの、その一撃は個人にとっては圧倒的な威力を保ったままなのだ。
 かろうじて攻撃を凌いだカノンは、戦闘力を回復させるために即座に剣の強化装置召喚の準備に入った。
 イリックも魔鍵の呪力を完成させる事で消耗を抑えながら、生み出した力でカノンの流血を停止させる。
 危険な状態ではあったものの、青年は倒される事なくマスカレイドが放った一撃を耐え抜いた。
 蓄積された敵の力は、全て放出されたのである。
 同等の攻撃を行う為には、またそれだけの時間が掛かる。
「皆さん、続けて攻撃行きますよ!」
 ソラトは仲間たちに呼び掛けながら、聖龍を手に大きく踏み出した。
 そのまま流れるような、舞うような動きで斧槍を振りかぶり、マスカレイドの胴を薙ぎ払う。
 合わせるようにモニカが月光のカーテンで竜の戦意を減退させた。
 それに続くようにジュンとジョセフが踏み出し、ルアが後方で銃を構える。
 オーラの戦旗でジュンがマスカレイドを薙ぎ払いながら、叫ぶように激励の言葉を発した。
 戦旗の巻き起こした風に舞うようにして浄化の桜吹雪が樹木の竜を包み、そこへ魔力の奔流が押し寄せる。
 たたみ掛ける攻撃も考慮したものの、カノンの負傷を確認したリシフィアは冷静に鳳翼の剣の力を解放した。
 人を傷つけぬ聖なる炎が青年の身体を包み込み……傷を焼き清め、癒してゆく。
 浄化の力によって腕に力が戻ったのを確認したカノンは、ロストミリオンを確りと握り直した。
 光輝を宿した必殺の突きに続くようにソラトの聖龍が振るわれ、銃撃が、生み出された幻獣が、先を争うようにマスカレイドへと襲い掛かる。
 その連携攻撃が、止めとなった。
 地鳴りのような咆哮を発した樹木の竜が、動きを止める。
 繋ぎ止められていた草木が解けるようにして、獣の巨体は形を失い……
 それすらも瞬く間に透けて、掻き消され……まるで、最初から存在しなかった、とでも言うかのように……
 恐怖から生み出されたマスカレイドは、森の緑の中へと……溶けるように消え失せた。

●傷付けど生きる森の中で
「すまないな」
 戦いが終わり、マスカレイドが消滅して……
 静寂を取り戻した森の中で、カノンは傷付いた一本の大樹へと詫びるように呟いた。
 イマージュは完全に消滅したものの、それが生み出した破壊の痕はそこかしこに残っている。
 大地は抉られ、周囲の草木は薙ぎ払われた。
 それでも……森がこれ以上傷つけられる事は防げたのだ。
 マスカレイドの残骸などが残るのではと警戒していたジュンは、イマージュが完全に消え失せたのを見届けると安堵しつつ周囲を見回した。
 他の土地や都市国家でも、幾体ものイマージュマスカレイドの出現が確認されている。
「……未だにマスカレイドの脅威は収まらないみたいですね」
 同じような事を考えていたソラトも、呟きながら周囲を見回した。
 到着直後とは違う、別の場所のような風景が一行の周りに広がっている。
 嵐の過ぎた後のような、傷付いた森。
 だが……森は生きているのだ。
 時は掛かろうとも草や苔が抉られた大地を覆い、新たな木々が根を伸ばし幹を太くして……枝を繁らせてゆく事だろう。
 その手助けを少しでもと考えて、カノンは仲間たちに呼びかけた。
 その時にこそ……のんびりとこの自然を楽しもうと考えて、ソラトが笑顔で頷きを返す。
 イリックも無言のまま、辺りを見渡した。
(「そう……美しいままで在ればこそ……」)
 続きを口の中で、小さく呟いて。
 イリックはカノンへと向き直ると、静かに肯定の言葉を口にした。



マスター:メロス 紹介ページ
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いまいち
参加者:7人
作成日:2015/01/07
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