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ゼルフォニア沖海戦:光の黙示碌

<オープニング>

●燦然光獣、現る
 大海を航海する巨大な島。終焉に抗う勇士号は、燦然鉱脈ゼルフォニアとの距離を着実に縮めつつあった。
 その船上に立つのは、伝説の勇者ラズワルド。ここまで順調な航海を続けられたのも、偵察や哨戒に来たマスカレイドが、全て彼の手によって屠られた故のこと。
 船はいよいよ、燦然鉱脈ゼルフォニアの沖まで到達した。しかし、その先を見据える勇者の顔は、何故か険しいものであり。
「このまま、ゼルフォニアに上陸できればと思ったが、そうもいかないか……」
 ゼルフォニアの城壁から解き放たれた光の群れ。その中でも一際巨大な光は、奇怪な人型をした怪物だ。そして、その周囲を舞うの光の玉は、全て金属で出来た天使型のマスカレイドだったのだから。
「燦然光獣・レイレギオか、厄介な相手だ。燦然鉱脈ゼルフォニアの守護獣は『ゼルフォニア鉱の反射器』の効果を無効にする能力がある。戦って勝てないわけでは無いが、この船が破壊されてしまえば、大魔女に打ち勝つ事は不可能となるだろう」
 その間にも、迫り来る数多の光の群れ。彼らを全て倒さぬ限り、大魔女の座す地へ足を踏み入れることは叶わない。

●堕ちた天使
「いよいよ、勇士号が燦然鉱脈ゼルフォニア沖まで移動したか……。このまま一気に攻め込みたいところだったが、そうも言っていられないようだな」
 漆黒のメイガスの中で、疾風のスカイランナー・マクガフィン(cn0191)は、いつになく重たい口調でエンドブレイカー達に告げた。
「燦然鉱脈ゼルフォニアから、勇士号に向けて敵さんがやって来たぜ。まあ、この程度は予測の範疇なんだが、今度ばかりはラズワルドちゃんの力だけじゃ、どうにかなりそうな相手じゃないんだ」
 マクガフィンの話では、敵は巨大な人型をした怪物に加え、多数の天使型マスカレイドがいるらしい。中でも、巨大な怪物は『燦然光獣・レイレギオ』と呼ばれ、燦然鉱脈ゼルフォニアの守護獣であるという。
「レイギレオの特殊能力には、『ゼルフォニア鉱の反射器』の効果を無効にする能力があるらしいからな。おまけに、一定時間につき一度だけ、どんな攻撃も完全に無効化する能力も持ってるって話だ。一対一じゃ、どんなに頑張ったところで、伝説の勇者でも絶対に勝てないってわけさ」
 だが、この敵襲を切り抜けねば、大魔女への足掛かりは断たれてしまう。そうさせないためにも、まずは勇士号を破壊しようと向かって来る天使型マスカレイドを撃破し、勇者ラズワルドと共に燦然光獣・レイレギオを撃破する必要がある。
「敵の天使型マスカレイドは、既に何体か、勇士号の森に入り込んだみたいだな。このまま放っておけば、内部から破壊される可能性もある。その前に、なんとしても見つけ出して、敵を撃破して欲しい」
 マクガフィンの話では、確認された天使型マスカレイドの中には、武器を装備した者もいたらしい。エンジェリックウイングや、神々しい見た目に変化したデモニスタ似のアビリティを使用する他、当然ながら武器のアビリティも使って来ることだろう。
「手始めに勇者ちゃん達には、この天使型マスカレイドを倒して、持っている翼を奪って欲しいんだ。燦然光獣・レイレギオのエネルギーを受けて飛行を可能とする、『燦然光翼』っていう特殊装備らしいからな。これを手に入れて、空を飛ぶことができるようになれば……空中で戦っているラズワルドちゃんの、救援に向かうことも可能だぜ」
 だが、それでも敵とて、決死の覚悟で挑んでいることに違いはない。彼らも、元はゼルフォニアの正規兵だった者なのだろうが、今となってはエンドブレイカーを迎え撃つために出陣して来た決死隊なのだから。
 また、燦然光獣・レイレギオに至っては、その巨体と能力だけでも恐ろしい相手だ。
 身の丈は、こちらの優に20倍以上。並の巨獣と比べても数倍近い体躯を誇る、超巨大な光の怪物である。加えて、自身の周囲にはあらゆる攻撃を弾くエネルギーフィールドを張り巡らし、おまけに一定時間につき一度だけ攻撃を無効化する能力まで保持しているとなれば、その強大さは筆舌に尽くし難い。
 正に完全無欠の決戦兵器。しかし、そんなレイレギオにも、いくつかの弱点が存在するのだと、マクガフィンはエンドブレイカー達に語った。
「エネルギーフィールドが弾くのは、あくまで攻撃だけだからな。飛行して、フィールドの内側に入ってしまえば、こっちの攻撃も敵さんに届く。後は、ラズワルドちゃんと協力して一斉に攻撃を仕掛ければ、攻撃無効化能力も、大して意味を成さなくなるはずだ」
 もっとも、飛行して救援に向かえるのは、奪った翼の数と同じ人数だけだ。天使型マスカレイドを倒した後は、その辺りも考慮する必要があるかもしれない。
「この戦いは、燦然鉱脈ゼルフォニアへ向かう、俺達への最後の試練だな。これを突破すれば、いよいよ大魔女に迫ることができるってわけだ」
 しかし、その一方で、勇士号が失われれば大魔女の元に向かう術もまた失われる。
 全ては、この戦いの結果次第。だからこそ、決して敗北は許されない。そう、最後に結んで、マクガフィンは改めて、エンドブレイカー達に依頼した。


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参加者
空の宅急便・カナタ(c01429)
銀灰・クニカラ(c01967)
真銀のトロバイリッツ・アルメイア(c02067)
マスター番長・ガナッシュ(c02203)
銀狼の暴君・ジョン(c02337)
天狼の黒魔女・サクヤ(c02573)
万里流浪の義士・イーグル(c32873)
暴食の黄卍・ヴァーグ(c35110)

<リプレイ>

●舞い降りた翼
 終焉に抗う勇士号。小島ほどもある巨大な船の森の中に、それは静かに舞い降りた。
「でっかいなぁ〜ん……。ラズワルド大戦で出せなかったの、運ぶのすら無理だったから、とかかなぁ〜ん?」
 上空を覆う巨大な光。遠間に浮かぶ燦然光獣・レイレギオ姿を見つめながら、暴食の黄卍・ヴァーグ(c35110)はノソリンの上で思わず呟く。
 今、この瞬間にも、あそこでは勇者ラズワルドが戦っているのだ。一刻も早く彼の下に向かうためにも、まずは森に潜入したマスカレイドを倒さねばならない。
「さて……敵はどこに忍び込んだか……」
 星霊と共に、周囲の様子を探る天狼の黒魔女・サクヤ(c02573)。だが、敵も敢えて隠密行動を取っているだけあり、そう簡単に尻尾は掴ませない。
「むぅ……。やはり、空を飛んでおるのじゃから、木の上を隠れながら移動しておるんじゃかなろうか?」
「オッケー! だったら、葉っぱが音を立ててないか気をつけてみるね」
 マスター番長・ガナッシュ(c02203)の言葉に、空の宅急便・カナタ(c01429)は元気よく答えて耳を澄ませた。
「だったら、ここは私に任せときな」
 カナタに代わり、真銀のトロバイリッツ・アルメイア(c02067)が周囲へ意識を集中させる。どんな不自然な音でも聞き漏らさない。風の音、水の音、それらに混ざって翼の音が聞こえては来ないか。木々の梢を不自然に揺らす音はしないかと。
「此度の戦は、ゼルフォニア攻略の山場……。確実にマスカレイドを仕留めて、急ぎラズワルド殿への救援に向かわねば」
「ああ、そうだな。耳だけじゃ足りねぇなら、目でも探すぜ」
 万里流浪の義士・イーグル(c32873)の言葉に、メイガスの中で銀狼の暴君・ジョン(c02337)が頷く。彼の隣では銀灰・クニカラ(c01967)もまた周囲に不自然な臭いが漂っていないか、可能な限り空気の色を探ろうと努め。
 目を、耳を、そして鼻を使い、時に肌に触れる風の感触まで気に掛ける。五感を徹底的に研ぎ澄まし、どのような些細な変化も見落とさないよう意識を集中させる。
「……あれは!?」
 数秒が悠久にも感じられる時間。それだけ張り詰めた空気の中で、誰ともなしに声を上げた。
 目の前で光る、金色の輝き。間違いない。あれが勇士号に侵入した、天使の姿をしたマスカレイドだ。
「見つけたぜ! さぁて、派手にやるか!」
 帽子の日除けを軽く押し上げ、アルメイアは斧を片手に目の前の敵を見据える。そんな彼女の声に気付いたのか、光り輝く天使達もまた、エンドブレイカー達の前に舞い降りた。

●光の使徒
 森に降り立った三体の天使。勇士号の破壊を目論む彼らに対し、最初に仕掛けたのはヴァーグだった。
「全部ぶち壊すのは大変だろうけど、まずは目の前のから一つずつ着実にですとろーい! なぁ〜ん!」
 月剣を掲げ、空間を斬る。放たれるのは、黄金色の祝福を齎す魔力の奔流。
 攻撃を真正面から受け、竪琴を持った天使が眩いばかりの光に包まれた。間違いなく直撃。確かな手応えを感じるヴァーグだったが、それでも敵とて、やはりゼルフォニアの守り手を担うだけのことはある。
 輝きに飲み込まれながらも、竪琴を持った天使は何ら動じることなく翼を広げた。
「……なぁん!?」
 虹色の羽が宙を舞う。気が付いた時には、それらはヴァーグの周囲を取り囲み、彼女の身体から瞬く間に力を奪って行く。
「まるで効いてないってか!? だったら、こいつはどうだ!」
 間髪入れず、魔曲を紡ぐアルメイア。そちらが天使の姿で来るならば、こちらは終戦を告げる神の音色を聞かせてやろうと。
「さあ! 貴様の未来を置いていけッ!!」
 全ての戦いを終わらせる、未だ存在しない歌。エンドブレイカーのみに許される力の前に、竪琴を持った天使の身体が一瞬だけ揺らぐ。
「天使なんてくそ食らえだな。今さら神頼みするような、柔な精神は持ち合わせていないんでね」
 この隙は逃さない。敵の動きが乱れたところで、ジョンが間髪入れずに槍を構えて前に出た。
 そちらが天の使いを名乗るなら、こちらは地獄を見せてやろう。文字通り、無数の槍で刺し貫く、鮮血を呼ぶ地獄絵図を。
「ああ、一つ頼んでみてぇことはあったな。そいつはな……お前らの滅びだよ。さぁさぁ! 俺を存分に楽しませてくれよ!」
 それだけ言って、槍を大地へと突き立てる。瞬間、無数の槍が天使達の足元から生え、彼らの身体を翼諸共に貫いた。
「チャンスじゃ! 畳み掛けるぞい!」
 妖精の弾丸を撃ち出しガナッシュが叫ぶ。サクヤも軽く頷いて、狂乱の楽曲で敵を迎え撃つ。そんな中、カナタはなにやら斜めに構え、少しばかり愚痴を零すような口調になって。
「ふ……折角天槍でゼルフォニア鉱見つけたのに! しかも、最初にそれがゼルフォニア鉱だって解読したのボクだったのに! 無効化とかやってくれるじゃないのさ!  嫉妬!」
 えっと……まさかとは思いますが、今回も嫉妬戦士爆誕なノリなんですか?
 周りの仲間達から、思わず注がれる微妙な視線。頼みますから、敵を暴走させる前に、あなたが暴走しないでくれと。
「……あ、いや、今日は嫉妬戦士じゃナイデスヨ? とりあえず、ゼルフォニア鉱をスピカの置物にはできない分、あんたらスクラップにしてくれるわー!」
 そう言って、星霊バルカンを呼び出すと、杖を持った天使に向けて火炎弾を放たせる。何か、最初の方は声が裏返っていたような気がするが、それはそれ。
「とりあえず、手数を封じさせてもらいますか」
 駄目押しに、クニカラが軽く手首を払うような動作から、手にした炎剣を小さく振るった。
 途端に、敵の足元から湧き上がる紅蓮の炎。足場を奪われ、狼狽する天使達の姿が、赤い輝きの向こうに包まれる。
 このまま行けば、数分も掛からずに押し切れるのではないか。ならば、下手に戦いを長引かせないためにも、一気に仕掛けるべきだろう。そう、誰ともなしに思った時だった。
 杖を持っていた天使が翼を広げ、凍れるような微笑を浮かべた。ヒーリングフェザー。光の羽を飛ばすことで、味方の傷を癒す技だ。その力に、たちまち竪琴を持っていた天使の傷が塞がって行くが、それだけではない。
「これは……羽か?」
 舞い散る光の羽を見つけ、イーグルが怪訝そうな顔をした。次の瞬間、横薙ぎに払われた敵の刃が、輝く光の奔流となり、エンドブレイカー達を真一文字に斬り裂いた。
「ちっ……こいつは……」
「光翼斬か! ……やってくれるわい!」
 ジョンが、ガナッシュが、それぞれに口にする。クニカラとイーグルも巻き込まれてはいたが、辛うじて致命傷になることは避けられた。
「マスカレイドの似非天使……中々やるようだが、難に臨みて退かず!」
 鮮血を振り払い、ワッパーを構えて投げるイーグル。竪琴使いは、既に体勢を整え終えている。ならば、ここで足を止めなければ、戦いの主導権を敵の方に握られてしまう。
 攻防一体の構えから、敵を引き摺り、引き付ける。彼が相手の手数を封じたところで、他の者達も流れを押し戻さんと動き出す。
「これでも食らえなぁ〜ん」
 再び炸裂するヴァーグの月光煌星砲。対する竪琴使いの天使もまた、幻影の翼で迎え撃つ。
「回復なんざ、味な真似しやがって! だったら、次は貴様の未来を貰ってやるぜ!」
 先程の戦いの流れから、アルメイアが狙ったのは杖を持った天使だ。動きを完全に封じられずとも、少しでも手数を減らせれば、それでよい。
「おっと! お前さんの相手は俺だぜ?」
「付け入る隙を与えさせてはならんからのう。とにかく、攻撃あるのみじゃ!」
 剣を持った天使を槍地獄の一撃で抑えるジョン。その一方で、ガナッシュは竪琴を持った天使を狙い、世界樹の弾丸で手足を射抜く。
 徐々にではあるが、確実に天使達は疲弊の一途を辿っていた。身体へのダメージは少なくとも、身体の自由は奪われつつある。そして、それを見逃し攻撃の手を休めるほど、ここに集まった者達は甘くない。
「このまま畳み掛けるぞ。カナタは厄介な回復を封じてくれ」
「オッケー、任せて!」
 サクヤの奏でる剣琴の音色が、天使達を熱狂の渦に包んで行く。激情の旋律が齎すは五光乱舞。それらに怯んだところを狙い、カナタのバルカンも再び火炎弾で攻撃を。
「やった! 今度は上手く決まったよ!」
 怒りの波動に当てられて、杖を持った天使が我を忘れたように暴れ出す。これで敵は、傷を癒す術を失った。ならば、後は厄介な技を使う者から倒すのみ。
 敵の翼から飛来する光線。だが、それらを難なく捌き、クニカラもまた炎剣の一撃で視界を奪う。
「これは好機! 此処で一気に押し潰……」
 敵の一体は既に満身創痍。ならば止めをと踏み出そうとしたイーグルだったが、しかし敵も、やはり一筋縄では行かない相手だったということだろうか。
「……ごふっ」
 炎の壁の向こうから繰り出された敵の刃が、彼の腹部を一直線に貫いていた。舞い散る光翼は血に染まり、紅い洗礼の如く周囲の仲間達へと降り注いだ。

●死闘、その果てに
 状況は一変した。敵の一撃がイーグルを刺し貫いたことで、こちらの陣形に綻びが生じ始めた。
「すまぬ……。ここは一度、退かせてもらう……」
 溢れ出る鮮血を抑え、後退しつつもイーグルは己の身体オーラの炎で包み力を溜めた。もっとも、それだけで事足りる程、彼の傷は浅くは決して浅くはなかったが。
 ワッパーで防御できていなかったならば、恐らくは倒されていただろう。見兼ねたヴァーグが星霊オラトリオを呼び傷を癒さんと試みるが、敵も更なる追い打ちを仕掛けてくる。
「……ぐぅっ!?」
 竪琴を持った天使による、三度目のミラージュフェザーがイーグルを襲う。弱った者から確実に仕留めようというのは、どうやら敵も同じらしい。
 たまたま、当たり所が悪かったのだろうか。否、それだけではないはずだ。
 相手の連携と搦め手を警戒するあまり、直接的な攻撃が疎かになってしまったこと。加えて、敵の回復手段を封じる役が、いささか少なすぎたこともある。それらが敵に、体勢を整えるだけの隙を与えてしまったのは紛れもない事実。
 幻影を見せる羽に力を奪われて、今度こそイーグルの身体が大地へと沈んだかに見えた。が、完全に崩れ落ちる瞬間、彼は辛うじて太刀を大地へと突き立てて、その場に気力だけで踏み止まった。
「無茶は禁物じゃぞ! ここは、わしらで立て直す!」
「負けんなよ! 行くぜ!」
 こんな場所で、犠牲者を出すわけにはいかないのだ。アルメイアの戦歌が、ガナッシュの創造した世界樹の花の幻影が、それぞれにイーグルの身体を癒して行く。その横で敵の抑え役に徹するのは、他でもないジョンの駆る漆黒のメイガスだ。
「言ったはずだぜ……貴様の相手は俺だってなぁ!」
 今度は小細工など使わない。真正面から、無数の槍先で敵を突く。そのまま、彼の勢いに乗るかのように、サクヤとカナタも同時に仕掛けた。
「琴には琴だ。これが受けられるか?」
「飛ばない天使はただの天使、よね! 行っけぇ!」
 広がる熱狂の渦の中、飛翔するのは星霊ジェナス。五色の光に照らされて、竪琴を持った天使が膝を突く。そこを狙い、鋭く光る星霊の牙が、敵の身体を音を立てて噛み砕いた。
「畳み掛けるなら、今だねぇ」
 残る敵は、後二体。機を逃さず踏み出したクニカラが、封魔の斬撃で敵を斬る。刃が振るわれる度に刻まれるのは、蜘蛛の巣のような網目の紋様。そこに浮かび上がる幾何学的な図形や文字が、そのまま力となり杖を持った天使の身体を蝕んで行く。
「このまま行けば、押し切れるなぁ〜ん!」
 ノソリンの上からヴァーグが叫ぶ。その言葉通り、ここで手を休める者は、この場には誰一人としていなかった。
 飛来する光線や翼による突風を物ともせず、エンドブレイカー達は一斉に攻撃を仕掛けて行く。星霊ディオスの聖なる水が敵を押し潰し、その流れに乗って星霊ジェナスもまた剣を持った天使に体当たり!
「仕留めるぞ。合わせられるか?」
「任せとけって! さあ、仮面付! 廻り廻って、貴様の未来を見失えッ!!」
 重なる楽曲と即興曲。サクヤとアルメイアの二人が奏でるのは、狂乱と変幻の二重奏。
「残りは一体じゃな。一気に行くぞい!」
 杖の天使が倒れたことで、駄目押しに世界樹の弾丸を放つガナッシュ。続けて、クニカラの斬撃が敵の構えを崩したところで、魔獣化したジョンのメイガスが飛び出した。
「どうした? もっと俺を楽しませてくれよ? それとも、その程度でおしまいか?」
 装甲を食らい、剛腕で殴る。原初の獣へと姿を変えた彼の前では、さすがの天使型マスカレイドも成す術なく屠られるのみだ。潰され、殴られ、引き裂かれ。満身創痍となった敵の前に、止めを刺さんと立ちはだかったのはイーグルだった。
「此処で一気に押し潰す!」
 手にした太刀を蜻蛉に構え、静かに間合いを詰めて行く。敵の放った突風が頬を掠めたが、それでも彼は怯まなかった。
 先程の返礼をしてやろう。そしてなにより、障害は真っ向から斬り伏せるのみ。
 振り下ろされる鬼斬剣。それはさながら、彼の生き様である不退転を体現するかの如く。
「我が渾身の一撃をいざ! チェストォォ!!」
 仮面が砕かれ、金色の髪が宙に散る。最後の敵が倒れたことで、ここに燦然光獣への道は開かれた。

●飛翔せよ、蒼き空へ!
 光の使徒を打ち倒し、エンドブレイカー達は改めてラズワルドの救援に向かう術を手に入れた。
「これ便利じゃのう。そう言えば、ラズワルドはどうやって飛んでるんじゃろう?」
「確かに……。しかし、お喋りをしている時間はなさそうだな」
 ガナッシュの問いに、諭すようにして答えるサクヤ。クニカラも、それに頷く。翼を得たのは、彼ら三人。残る者達は真の戦場へ向かう彼らへと、可能な限りの回復を施した。
「もう少し傷が浅ければ、私も向かいたいところでしたが……」
「三人とも、ボク達の分まで頑張って行って来るなぁ〜ん」
 少しだけ自嘲気味に告げるイーグルと、星霊達と共に見送るヴァーグの二人。
「私の力、お前らに全部賭けたぜ……。行って来い!」
「でかぶつ倒して帰ったら、存分に祝勝会でもあげようぜ。美味いもん、たっぷり用意しといてやっからよ!」
 同じく、アルメイアとジョンの二人もまた、飛び立つ仲間達を送り出す。
「きっと世界で一番空に憧れた星霊術士、だけど、今日は! 飛ぶ余裕が! ない、か、ら!」
 カナタに至っては、何故か号泣しながら全力で手を振っていた。
 こんな時でなかったら、本当は自分も空を飛びたい。しかし、それが我儘だと知っているから、敢えて信じ、見送るという道を選んだ。
「頑張ってよ! 必ずだよ!」
 空へと響くカナタの声。輝く翼を背に備え、三人の姿は上空に聳え立つ巨大な光に向かって消えて行った。



マスター:雷紋寺音弥 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2015/01/23
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