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大魔女決戦:眠り姫の永眠

<オープニング>

 蒼穹の自由農夫・カディスラ(cn0170)は言った。
「みんな! みんなの活躍によって大魔女の城が攻略できるようになったよ! 本当にみんなのお陰だよ、ありがとう! 五将軍も六勇者も撃破して、配下の軍勢も殲滅された大魔女スリーピングビューティは、鉄壁の防御と信じた黒きエンドブレイカーの森を突破されてしまって、自分以外誰もいない城の玉座でエンドブレイカーが攻め寄せてくるのを待待っている! 黒きエンドブレイカーの森を作る代償として、城の中にいた配下を全て捧げている為から、城の中には大魔女しか存在しないんだ! 絶好のチャンスだよね!」

「そして遂に、6本の鍵を集めたエンドブレイカーが、大魔女の城の扉を開く!」

「……ところが、城の扉が開いて、意気揚々と攻め込むエンドブレイカーのみんなに、大魔女スリーピング・ビューティの哄笑が響き渡ったんだ。哄笑が止むと、大魔女は歌うようにエンドブレイカーのみんなに語りかけてきたんだよ」

『数万年に渡り準備してきた全てが、私の手から溢れ、露と消え去った』
「おおっ、凄い長生き……!」
『五将軍、六勇者、マスカレイド……。どれ一つとっても、世界を手にするに十分な力であったというのに』
「……六勇者は酷いよね。あんな扱いされて可哀そうだった。本当に可哀そうだった……!」
『だが、私は諦める事は無い』
「……ですよね」
『かつて、私は世界の全てを敵として、私一人の力のみで戦いを挑んだのだ』
「……でしたね」
『ならば、最後に頼るのは私の力のみ。お前たちまとめて、全て私が相手にしてくれよう』
「俺達だって、ここまで沢山の試練を乗り越えて強くなって、ここまで来たんだ! 負けたりしないさ!」
『遺失魔術『ギガンティア』。咲き誇る薔薇の花弁の如く、我が力は幾重にも重なりあう……。そして、全ての敵を葬り去る力を……』
「……っていうか『ギガンティア』?! 謎のギガンティアがついにここに……?!」

「大魔女の遺失魔術『ギガンティア』とは何か。エンドブレイカーのみんなは、警戒しつつ城の奥に進んでいくんだ。すると、目の前に『大魔女スリーピング・ビューティ』が姿を表したんだよ! 白く長い髪に、薔薇のような下半身。彼女が言っていた咲き誇る薔薇、それが幾重にも重なり合って……そう、薔薇で出来ているみたいだった」
 
「みんなは攻撃の体勢に入る。「大魔女への一番槍、いただきっ!」先頭のエンドブレイカー数名がそう言って突撃するんだ。他のエンドブレイカーもそれに続こうとするんだけど、今度は別の方向から『大魔女スリーピング・ビューティ』が姿を見せる!「先ほどの大魔女は幻術か? ならば」そう言って攻撃をしかけるエンドブレイカーのみんな。だけど、新たなスリーピングビューティは、次々と出現し襲い掛かってくるんだ。「どれが本物なんだ?」そんな時、大魔女スリーピング・ビューティの多重攻撃に混乱するエンドブレイカーのみんなに、大魔女達は声を揃えて答えたんだ」

「私達全員が、大魔女スリーピング・ビューティ本人なのだ。これこそ、最大最古の遺失魔術『ギガンティア』なり」

 こうして、大魔女スリーピング・ビューティとエンドブレイカーの決戦の幕が、切って落とされる!

「今回は俺達も参戦して頑張って、みんなの力になるよ! みんなの力を貸して欲しいんだ! そして、一緒に勝利を掴み取ろうよ!」
 カディスラは元気に叫んだ。


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参加者
氷の桜桔梗・アヤ(c03522)
運命の慟哭・シン(c04331)
赤色の瞳の魔物を宿す・サマエル(c11549)
主なき忠犬・ロベルティーネ(c14813)
求む平穏拒むは不幸・タケマル(c25048)
日輪の天剣騎士・レオンハルト(c35756)
平穏無事とはいかないけれど・シャティニュエール(c36173)

NPC:蒼穹の自由農夫・カディスラ(cn0170)

<リプレイ>

●眠り姫の永眠
 ふわりと浮かびあがる薔薇の花弁が舞う。その大きさに驚くほか無い。恐らく、全員の身長を足した位あるだろう。さらに浮かび上がっているので、見える範囲は薔薇の姿がほとんどだ。身体のほとんどは薔薇だと考えて良いだろう。
 そこに向かうは、氷の桜桔梗・アヤ(c03522)、運命の慟哭・シン(c04331)、赤色の瞳の魔物を宿す・サマエル(c11549)、主なき忠犬・ロベルティーネ(c14813)、求む平穏拒むは不幸・タケマル(c25048)、日輪の天剣騎士・レオンハルト(c35756)、平穏無事とはいかないけれど・シャティニュエール(c36173)だ。
 後方支援についている蒼穹の自由農夫・カディスラ(cn0170)は直接戦うメンバーに声をかける。
「俺は回復とサポートに重点を置いて立ちまわる! 皆、後方支援は任せて戦いに専念して大丈夫だから! 頑張ってくれ!」
 作物学の講師・シギュン(c18130)も声をかける。
「久しぶりだな、サマエル。加勢しに来たぜ。アイツがいるかぎり研究に打ち込めないだろ」
 サマエルの知り合いであるシギュンも回復支援のようだ。同じく回復支援に来たのはナイフの狩猟者・カイン(c22309)だ。
「微力ながら皆さんに手助けします」
「口惜しいが俺では役不足だ……頼むぞ!」
 我が往くは正義の道・ソウスケ(c25116)もカディスラと同じく回復と支援狙いだ。
 大剣振るう灰色狼・アレン(c36203)は攻撃の手助け……サマエルとシャティニュエールの親友を助けようと応援に駆け付けたのだ。
 後方支援は回復とサポート支援で充実している。だから、安心して戦う事が出来る。
「うふふふ、魔女さんは前みたくまた一人になってしまったわね……。でも、いくら寂しいからって巨大化した上に増えなくてもいいと思うのだけれど……」
 薄く微笑みながらロベルティーネは大魔女スリーピング・ビューティに囁く。そして、ちょっと対抗心を持ってシンを見た。彼は本来は口数が少ない筈なのだが、珍しく饒舌になっている。
「運命を操作し、創造神までも配下に置き、散々好きなようにやってくれたな。だが、貴様の命運もここまでだ」
 サマエルは普段は表情を変えない……むしろ無表情の彼女なのだが……今回ばかりは違っていた。狂気じみた笑みを浮かべている。
「貴女のせいでひどい目にあったわ。でもね恨んでいないのよ……お礼を言いたいほど感謝しているわ。だって……この手で貴女を殺せるから……これほど嬉しい事はないわ。フフフハハハハ」
 彼女にとって、大魔女との戦いは歓喜であるようだ。
 呆れるような澄んだ鈴の様な声が聞こえる。レオンハルトだ。
「……ようやくこの日が来たと思ったらこんな手を使うとはね」
 そして、口調が凛々しいものに変わる。
「我は盾、我は剣、我は炎! 我は仮面を滅するために目覚めし獅子! 我が名はレオンハルト――推して参る!」
 そんな中、のんびりした声が響き渡る。
「申し訳ないのですがぁ〜他の戦場で戦っている大切な人に会うためにぃココで寝ている場合じゃないのですよぉ。なのでぇ眠ってください……永遠にぃ」
 のんびりした声だがその言葉は決意に満ちている。
「へぇ、遺失魔法『ギガンティア』。それで全部? ――それだけでいいの? アタシ達を本気で止めようと思うのなら、100人でも200人でも持って来い!」
 意気揚々と言うシャティニュエールに恋人のタケマルが声をかける。
「シャティさん」
 拳を軽く突き出して、シャティニュエールの拳とコツンと合わせた。
「これで最後の戦いになるといいんだけどねぇ。……でも、シャティさんと一緒に戦えるのは嬉しいよ。行こう。決着をつけるために」
 士気は揚々、負けるなんて考えられない。一気に大魔女に攻め込んだ。

「うふふふ、大きな魔女さん、ごきげんよう……。一人はさぞ寂しかったでしょう? でも、もうそう心配はいらないわ。これでさようならになると思うけれどわたしが心ゆくまで遊んであげるわ……うふふふ」
 ロベルティーネの大剣のオーラは浮き上がる大魔女の下から吹き上げた。更に駆け抜ける様にシンの月の光が貫く。
「アヤ、サポートする!」
「ありがとうございますぅ〜」
 カディスラは樹の幹で大魔女を絡め取る。それにアヤは杖をかざした。高重力が押し潰すように大魔女を攻撃する。ひらひらと薔薇の花弁が舞った。更にサマエルが放つ重力が大魔女の薔薇を押し潰して行った。
 レオンハルトは剣で円を描いた後、フレイムソードを掲げる。
「日輪の輝きよ! 我が剣に宿れ!」
 彼の剣が光り輝いたと思うと、そのまま大魔女に一撃を喰らわせた。
「シャティさん行くよ!」
「任せて!」
 タケマルの放った鋼の竜が駆け抜けると攻防一体の構えをとったシャティニュエールの攻撃の連携が決まった。
 大魔女がふわりと手を上げる。そこには巨大な火の玉が出現した。散開して大魔女を取り囲んでいたエンドブレイカー達に炎の塊が降り注ぐ。
「ぐっ……!」
 何人かの声が聞こえる。全員では無いようだが、炎の塊に直撃したようだ。
「……散開の陣形を取ってみたが……これは関係なく全体に降り注ぐようだな……」
 シンが当たった傷口を押えながら呟く。全員に当たるように四散した所を見ると、どうやら全てに降り注ぐようである。
「……でも、あんまり命中率は思ったほどは高くないみたいだね。見た所、全員に当たっている訳じゃないようだし」
「1、2、3……8人いて3人ほど当たらないなら、余程運が悪くない限りは致命傷にはならないわね」
 タケマルの言葉にサマエルが頷いた。
「うふふふ、そうなると、しっかりした回復者と支援者がいるから……存分に戦えるわ」
 ロベルティーネがカディスラを見て薄く微笑みを浮かべる。彼は回復と支援に特化させていた。他にも回復や支援の応援に来てくれている人達がいる。すぐに、ダメージの回復にあたってくれていた。炎に当たった人達の怪我は回復に来てくれているシギュン、ソウスケ、カインがすでに治療してくれる。全員に回復が行きわたった事を確認してから、カディスラは支援に回る事にする。
「うん、気にすることなく戦って! 行くよ、ロベルティーネ!」
「うふふふ、ありがとう。では、遠慮なく行かせて貰うわね」
 カディスラは大魔女に大樹の幹を絡みつけ、動きを制限させる。その支援を受けロベルティーネは、大魔女に飛びかかって行く。カマキリの大きな鎌で激しく斬り付けた。そこにサマエルが月の弧を描くように素早く斬り裂く。
「ディオスさん今日はぁとても大変ですがぁがんばってくださいねぇ〜」
 のんびりした口調でアヤは星霊ディオスを放つ。ふわりと浮いた星霊ディオスは水を纏うと渦巻き放った。その光り輝く水の恩恵をシンが受ける。
「この一撃は僕だけの力では無い。僕を今まで支えてきてくれた者達の全ての想いが篭っている」
 シンの月の光が大魔女の身体を貫く。煌めき輝く月の様な光と共に。
 レオンハルトはフレイムソードで何度も斬り付けた。炎が渦巻く。シャティニュエールはアックスソードを構えると断ち斬り、そこにタケマルが深紅の球を蹴り上げ焼き尽くす。
 大魔女は薄く笑いながら口を開く。
 ……その相手はタケマル。彼は耳に詰めるものを忍ばせてはいたが……。
「……タケマル!」
 シャティニュエールが叫んだがもう遅かった。
「ふふふ、そんな小細工通用せんな、エンドブレイカー。そんなものでは私は倒せまい」
 痛恨の攻撃がタケマルを襲う。
「っ……まぁ、完全に防げるとは思っていなかったけどね。小細工はお嫌いかな? 大魔女様」
 そう言って倒れるタケマルの傍にシャティニュエールが駆け寄る。瀕死のダメージだが、まだ回復すれば戦える状態だ。
「タケマル、タケマル……!」
 すがりつこうとする彼女をカディスラが止める。
「心配しないで。気持ちは分かるけど、何のために俺達回復者がいるのか分かるよね? しばらく彼は動けないけれど、その分、シャティニュエールが彼の分も頑張ってあげて。だから、俺達を信じて!」
 カディスラはシギュン、ソウスケ、カインを見る。皆、激戦になるこの戦いの為に回復役をかってでてくれたのだ。勿論、カディスラもその一人である。
「……うん、必ず助けてね」
「任せて! ただ、まだ、いつ次の攻撃があるか分からないから、タケマルを回復させている間はサマエル、シン、アヤに任せるから、三人とも宜しくね」
 その言葉に三人は頷く。カディスラはタケマルを庇うと、他の人達と手当てにあたった。
「……くっ、大魔女! タケマルの痛み、私がはらしてあげるわ!」
 シャティニュエールが駆け抜ける。神聖なる光を帯びたアックスソードが彼女の怒りとともに大ダメージを喰らわせた。大魔女の薔薇がかつてない程、舞いあがり散っていく。
「さっすが、大魔女。フフフ、殺しがいがあるわ……!」
 サマエルは次々に重力の球を撃ちこむ。味方が瀕死に至った事で、逆に彼女の心の炎が更に燃え盛ったようだ。
「貴様は神様気取りでいるようだが、それももう終わりだ! 終わらぬ夢は無い事をその身に刻む!」
 レオンハルトはサマエルが抉った傷に目掛けて更なる攻撃を喰らわせ続ける。炎が舞い花弁が焼けていく。
「魔女さんはぁ愛を知らないのですねぇ〜。愛はなによりもぉ強いのですよぉ〜」
 アヤは炎と反対に渦巻く水の中から星霊ディオスを呼び出す。星霊ディオスは聖なる光を纏った水を放ち、大魔女さえ飲みこむ勢いで渦巻き水が輝く。
「うふふふ、わたしも彼を傷つけた事に怒っているのよ? さあ、覚悟してね、魔女さん」
 ロベルティーネが不敵に微笑む。大きなカマキリを思わせる大鎌が更に続けて斬りはらった。切り裂く勢いは強く、破滅への死神の鎌に似ていた。
 シンはムーンブレイドを構えた。光を讃える月の光が撃ち抜く。キラキラと輝く月の光は大魔女の破滅を意味するかの様な薄黒さを纏った赤い薔薇と対称だった。
 再び大魔女はその手を高く上げた。燃え盛る炎の塊が出現する。
 ここは皆の盾になりたいレオンハルトだが、どうやらそれは困難を極めるのは前の攻撃で分かっている。ならば、せめて注意喚起だけでも。
「皆、来るぞ! 防御の構えを!」
 再び降り注ぐ炎の塊の嵐。それは、火山の噴火さえ思わせるようなものである。
 何人かの痛みに呻く声が聞こえる。一撃必殺の様なものではないが、それでも堪えるものはあるのだ。
 サマエルが動く。
「これでも喰らえ!」
 反撃の一撃である。重力の球がどんどん抉る。薔薇を引き剥がすように撃ちこんだ。
「オラトリオさん負けてはダメなのですぅ〜」
「僕の前で倒れる事は許さんからな」
「大丈夫?!」
 アヤ、シン、そして体勢を整えたサマエルが回復する。そこに更に癒しの光が降り注いだ。カディスラと支援者の回復の光だ。
「戦線復帰―!」
「戻って来たよ、心配掛けたね。特にシャティさん」
 タケマルの微笑みにシャティニュエールは彼に駆け寄る。
「心配したんだよ! ……その様子だと完全回復みたいだね」
「うん、もう大丈夫だから」
「俺達回復陣営はまだまだ平気だから、頑張ろうね!」
 カディスラの言葉の後にアレンの言葉が響く。
「そうだ、大魔女の奴はもう大分弱っている! 気合い入れていけー!」
 改めて気合いを入れ直した。確かに与えたダメージはかなりのものになっている。ありがたい事にまだ大魔女は己の傷を『無かった事』にはまだしていない。確実に、着々と連携を取りながらの攻撃が功を奏しているのだ。恐らく、それを使ってきた時が彼女が追い詰められているという事だ。ただ、いつ『無かった事』にされるのかタイミングが分からない。そこは見極める必要がある。
「うふふふ、簡単にはいかなさそうね。さすが、魔女さん」
 黒いドレスをなびかせながら、ロベルティーネは飛びかかる。カマキリの大鎌が次々と薔薇を散らす。
「さて、先程のお返しをさせていただこうかな、大魔女様」
 タケマルは深紅の球を蹴り付ける。それに合わせる様にシャティニュエールが攻撃を叩きこんだ。サマエルは杖を掲げると重力波を撃ちこみ抉っていく。抉った傷にレオンハルトの炎の攻撃が叩きつけ、斬り払っていった。
「この月の力……撃ち放て!」
 シンは月の光を輝かせて大魔女の薔薇に向かって撃ち放った。輝く光がそれを包む。その光の上に水が渦巻いていく。
「ディオスさん頑張るのですぅ〜」
 アヤの放った星霊ディオスの放った輝く水の攻撃だ。月の光に合わさって綺麗に輝き、美しいが攻撃は強力だ。
 大魔女の様子が変わる。先程与えた筈の攻撃がまるで『無かった事』になっていた。
「我等の攻撃、『無かった事』にしてたまるか!」
 レオンハルトが傷が癒えたというより『無かった事』になった大魔女に向かって飛びかかり輝く光と共に一撃を喰らわせた。炎が渦巻き大魔女の薔薇が燃える。しかし、ついに大魔女が回復に動いた。次の動きは分からないが、動いていくしか他ない。
「シン、サポートする!」
 カディスラの放った木々が大魔女の動きを止めた。
「ありがとう、感謝する」
 シンは月の光を次々と撃ち放ち撃ち貫いていく。薄黒い薔薇でさえ輝くようだ。ロベルティーネはその切り裂かれた薔薇を更に切り裂きどんどんその傷を深くしていく。
「さあ、大魔女さん。先程のお礼をしてあげるよ」
 サマエルは次々にナイフを投げて突き立てていく次々と薔薇が散っていく。大魔女の薔薇が枯れたようなものに変わっていった。シャティニュエールは神々の炎を宿し、聖なる一撃をどんどん撃ちこんでいく。
「さあ、貴女も悪あがきはやめたら? 素直に私たちにやられるんだ!」
 サマエルの杖が次々と抉っていく。薔薇も本体も抉り続けていく。そこにアヤが更に重力を加えていった。重たい重力がさらに抉り薔薇が散り、確実に大魔女の力を落としていく。そこに炎が渦巻くレオンハルトの剣が次々と散らしていった。
 大魔女がふっと、微笑んだ気がした。実際はあまりにも大きくて表情がさっぱり分からないのだが。
「ふっ、お前ら小さな存在に私が敗れると思うのか」
 力ある言葉が発せられる。その相手は、今度はレオンハルト。
 だが、今度は違った。レオンハルトは言い返す。大魔女に負けない力強い言葉で。
「……舐めるな大魔女! 諦めの悪さだけがボクの取り柄だ!」
 レオンハルトの言葉は他の人達の言葉も代表している。誰もがこんな所で負ける訳にはいかない。大切な人を守るため、彼女にはない大事な物を示すため。そして、彼女を撃ち倒すため!
 その言葉に押されたのか、レオンハルトに大ダメージは来ない。大魔女を言い負かしたようだ。……もしくはその言葉が揺るぎない決意を感じたのかもしれない。
「よし、一気にいくよ! 頑張れ、シャティニュエール!」
「俺も支援する!」
 カディスラの放った大樹が大魔女を絡め捕り、ソウスケの銃が足止めをする。
「支援感謝するよ! サマエル、一緒に行くよ!」
「ああ、行こう、シャティさん!」
 シャティニュエールは亡き母が作ってくれ遺してくれたアックスソードを構える。アックスソードは神々しい光を纏い輝いた。その輝きと共に思いっきり大魔女に斬り付ける。広がった傷口にサマエルの放ったナイフが次々と刺さり彼女の薔薇がどんどん舞い散っていった。
「燃え尽きるんだ……!」
 レオンハルトの炎の一撃が更に燃え盛る。焦げるような……溶けるような……独特の香りが広がった。
「うふふふ、更に斬りつけてあげる。鉄屑……わたしに力を貸して」
 ロベルティーネは亡くなった養父が残した大剣に思いを託して飛びかかる。更に斬り付け裂いていった。大魔女の傷が確実に深くなっていく。
「アヤ! 私と一緒に撃ち放つんだ!」
「サマエルさん分かったのですぅ〜」
 二人は激しい重力をかけ続ける。重たい力は大魔女を抉り取っていった。もう、大魔女は倒れる寸前だった。
「これで……最後だ!」
 シンは彼女には決して似合う事のない、そして太陽とは対をなすもう一つの光……人々の夜を彩る光……月の光を撃ち貫いた。ぐらり、大魔女は倒れていく。誰もが勝利を確信した瞬間だった。

「ぎゃあああああああ!!」
 大魔女スリーピングビューティの断末魔が響き渡る。すると、浮いていたはずの大魔女の身体がまるで何かの大きな重さを持っているかのように変化をずるずると闇の色に崩れ原形をとどめぬように溶けていった。
 溶けた死体は『影』のようなものに変化し、地面へと染み込んでいく。そしてその『影』は何かに引っ張られるように急速に移動していった。
「追っていこう!」
 レオンハルトの言葉に全員が追いかけていく。
 すると、どこかで戦っていたと思われるエンドブレイカー達に合流して、沢山のエンドブレイカー達は、奥へ、奥へと移動していった。
 ……そして辿りついたのは……大魔女の城の最奥……大魔女の王座だった。
 その前に、50体以上の大魔女が致命傷を負って倒れていた。全てが実体だ。だから全てに傷を負っているのだ。なんだか、壮絶な光景だ。
「……大魔女さんの中で誰かが勝っていたら息があったのでしょうかぁ〜」
 のんびりした口調だが、アヤは同時に安心している。違う大魔女を相手に戦っていた大切な大魔女に勝利した事を。
「うふふふ、でも全ての『本体』が倒れてしまったら……生き残るすべなんて無いわ」
 ロベルティーネは薄く微笑んだ。
「……死体だね」
 大魔女の死体をエンドブレイカー達は確認した。本体が全てなので、一体死んでいれば全て死んでいるのだ。
 すると、大魔女の城ががらがらと崩れ始めた。大きな瓦礫が降って来る。
「脱出するぞー!」
 誰かが叫ぶ。このまま勝っても瓦礫に埋まってしまっては話にならない。急いで走りながらエンドブレイカー達は駆け抜けた。落ち崩れる瓦礫の中を助けあいながら、走っていく。
 やがて城から脱出した。見て回ると、誰もが無事に脱出出来たようである。
 崩れゆく大魔女の城を眺めた。ようやく終わった、そんな気持ちになった。
「ああっ!」
 サマエルが叫ぶ。何か思いだしたようだ。
「あのマスクは何故つけているのか? 聞きたかったのに。心残りね……」
 それが気になったようである。
 その頃、タケマルは恋人のシャティニュエールを抱きしめた。生きている事を確認するように大事に……けど力強く。そしてしばらくしてから冷静になる。顔を赤くして慌てて離れた。シャティニュエールも真っ赤になっていた。
 慎重な者もいる。
「これで終わりだとは思えん。まだ警戒を怠るな」
「……さあ、大魔女よ! 貴様の次の手は何だ?! 如何なる手段でも今の我等を止める事はできぬ!」
 シンとレオンハルトは次の手があると思っているようである。
 ……残念ながら、その予想は当たってしまった。
 崩壊した大魔女の城があった場所の空間が歪んでいったのだ。その空間からバリバリと破るように赤黒い巨大な腕が現れ、歪んだ空間を切り裂いてしまった。
 そして、その空間から巨大なエリクシルが姿を現し強く光を輝かせる。あまりに眩い光の為、誰もが目を開く事が出来ない。
 ……やがて目を開け、視認できるようになる。そこにはあまりにも巨大なエリクシル。あまりにも大きすぎてこの世のものとは思えない。
 その巨大なエリクシルの前に『大魔女スリーピング・ビューティ』の死体が召喚され、その巨大なエリクシルに飲み込まれていったのだ。
 巨大なエリクシルが脈動し始めた。どくん、どくんと、まるで生きているかのように。そしてその巨大なエリクシルの結晶は……大魔女の姿へと変化し始めたのだった。



マスター:白鳥美鳥 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:7人
作成日:2015/03/20
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