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世界中のごちそうを食べ尽くせ!

<オープニング>

●終焉。そして大団円へ
「みなさん、本当に、本当にお疲れ様でした」
 大魔女スリーピングビューティ、そしてギルタブリル。
 文字通り『世界を終焉させる者達』との死闘から一夜明け、思い思いの夜を過ごしたエンドブレイカーたちひとりひとりに翼の魔法剣士・フィール(cn0051)はそう言って回る。
 その表情は少し疲れを見せてはいたが、エンドブレイカーとしての積年の想いを果たすことが出来たためか、体中から湧き上がる幸せな気持ちが、彼の表情を笑顔に変えていた。
「さあ、今日は祝勝会と行きましょう。料理も飲み物もありったけ用意しました」
 会場はとある小さなバーとその周辺。そこを一晩貸しきって行われるそうだ。

 ――BAR「エンドブレイカー」
 そう書かれた簡素な看板をかけた小さな建物。
 普段は別の名前で営業されているが、店主の好意で看板が掛け替えられた建物の周囲には、沢山のテーブルと椅子。そしてあちこちから用意された料理で溢れかえっていた。
「わわっ! 三塔タワーが崩れちゃうよ!」
「ペンギンさん逃げないでっ! ボクの口においでよ!」
 そんなテーブルを飛び回り、過去の収穫祭で評判になった料理や甘いスイーツを次々と口に運び、自らの空腹を終焉させていくのはアイスレイピアの魔法剣士・リコッタ(cn0109)だ。
「みんなお疲れ様だよ! 今日は美味しいものいっぱい食べて飲んで楽しもうよ!」
 彼女は世界中から集められた全てのごちそうを喰らい尽くさんと、尽きない食欲で飲み込んでいた。
「静かなのがお好きな方はバーの中も営業中ですので、そちらもご利用ください」
 フィールはそう言って建物の中に入ろうとして、
「もし食べたいものや飲みたいものがあれば何でも言ってください。無いものは何も無いつもりで用意しましたので」
 そう言って微笑み、今度こそバーの中へと消えていく。
「ボクも食べるだけじゃなくて、みんなと色々お話したいな!」
 リコッタは食べ物を口に運ぶのを止めずにもぐもぐと口を動かしながら器用にしゃべり、
「例えばこのあと……どんな楽しい冒険を始めよう? とかね!」
 そう言って紫蘇風味の揚げ林檎を、隣のテーブルという大海原にたわわに実るごちそうに向かって航海を始めるのだった。


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参加者
NPC:翼の魔法剣士・フィール(cn0051)

<リプレイ>

●いざ行かん、食べつくすために!
「いただきます!!」
 いつも食べている料理から、一度も見たこともない料理まで。
 所狭しとテーブルに並べられた世界中のごちそうを前に、蒼き旋風・アイン(c15661)は目を輝かせ、目についた料理を次々と手に取って味見していた。
「おっ、この寿司、ネタに脂が乗っていて美味しいぞ」
 特にアマツ料理に興味を惹かれた彼女は、新鮮な魚の刺身を使った寿司がぎっしりつまった寿司桶を片手に持ち、反対側の手で一貫ずつ口に運んでいく。
「あっ、お寿司だ! 美味しそう!」
 とろけるような刺身の食感に、膝くらいまである長いストレートなポニーテールを揺らしながら至福の笑顔を見せるアインを見て、アイスレイピアの魔法剣士・リコッタ(cn0109)がお寿司を食べたそうに彼女に近づいてくる。
「リコッタも食べるか?」
 彼女に気づいたアインは大トロの握りを手に取り、うんうんと力強く頷く彼女の口元に近づける。
「あーん………」
 リコッタは口を大きく開けてそれを待ち受けるが、アインはリコッタの口元に差し出した寿司を∪ターンさせて自分の口の中に入れてしまう。
「あーーーーっ!!」
 リコッタの歓喜の表情は歪み、今にも泣きそうな顔へと早変わり。
 アインはお寿司をもぐもぐと食べ、満面の笑みを浮かべると、
「ごめんな。ほら。いくぞ!」
 不機嫌な顔になったリコッタに謝り、自分が食べたのと同じお寿司をぽーんと放り投げ、リコッタは慌てて口を広げてキャッチする。
「んっ、おいひいお!」
 先ほどまでの顔はどこへやら。いつもの笑顔に戻って美味しそうにお寿司を頬張るリコッタの幸せそうな顔をアインはニコニコと見つめ、
「次はデザートだぜ!」
 奥のテーブルに鎮座する巨大なプリンを指さし、彼女を連れて走りだした。

●静かに響く歌声とともに
 テーブル一杯に並べられた料理を囲んで笑顔で談笑するのは『夜唄廃墟』の仲間たち。
「まずは……乾杯っ」
 奏燿花・ルィン(c01263)の音頭でそれぞれ手に持つ杯を掲げ、お互いのそれにコツンとぶつけて心地いい音を鳴らす。
「これはちょっと辛口。だけど細切り芋のしゃきしゃき感が最高なんだー!」
 ひよこ使い・ナハト(c00101)はキャラバンであちこち旅をしていた経験を活かし、数ある料理の中から特におすすめできるものを取り上げていく。
「そんでおれのおすすめはこれ! アクスヘイムの料理だったかな。鶏の唐揚げ、刻んだ葱とセロリ乗せ!」
 ナハトは相棒のひよこに細切り芋をつつかせながら、人数分の取り皿に小分けしたおすすめ料理を仲間たちの前に置いた。
 ルィンは一口ずつ摘んで、
「ナハトのオススメが外れるってこったねぇからなぁ」
 彼の見立ての鋭さに感心しながら舌の上で唐揚げを踊らせ、その味を堪能し、
「ナハト君ほんとに物知りね」
 陽凰姫・ゼルディア(c07051)も笑顔で葱を食べながら、
「まだまだ知らないものがたくさんあるわ」
 果物を割ってずっと彼女と連れ添った鸚鵡(オウム)のスウとゆずひよこのアルに食べさせる。
 果物も美味しそうだな。視線を2羽の口元に向けたルィンにゼルディアはくすっと微笑むと、
「じゃ、ルィン君には私が」
 甘い苺をつまんでルィンの口に届けた。
 静謐の花筐・サクラ(c06102)は目の前の料理を食べるよりも、仲間たちの楽しい会話を聞き、眺めながら雰囲気を楽しむ。
 そんなサクラのグラスにルィンは改めてこつんっと乾杯し、サクラは杯を傾け魚介を少しずつ口にする。
「……これは、どこの料理?」
 今まで味わったことのない不思議な味にサクラが首を傾げると
「アマツカグラの煮物じゃねぇかな」
 ルィンも同じものを一口つまんで首を傾げながら答え、
「うん、間違いないぜ!」
 ナハトも一口食べてそう結論付ける。
「サクラさん、この魚の燻製、肴にも合うんじゃないかしら?」
 ゼルディアの勧める燻製を摘んでサクラはその味の良さににこっと微笑んだ。
 ゼルディアの連れてきたスウとアルの2羽は、ルィンが美味しそうに食べている干葡萄に興味津々。
 おすそ分けして欲しそうに彼の手のひらを見つめていた。
「ゼルディアの愛し子にはちと早いんじゃねぇかい」
 ルィンは少し酸味の効いた干葡萄を渡していいものか悩み、
「お酒が入っていないやつなら、いいんじゃないかしら?」
 隣のゼルディアの許可が出たので酒漬けのものは自分の口へ、普通のやつをスウとアルの目の前におすそ分けする。
 スウとアルは争うようにその実をついばんで嬉しそうに鳴き声をあげた。
「甘いもの食べた後は、このお茶なんかいーぞ。口の中がすごいさっぱりするから!」
 おいしい果物を食べたあとは口直し。
 ナハトはお茶をぱっと手に取り杯に注ぎ、サクラは彼の知識に目を丸くして感心する。
「さっぱりするの? サクラさんも次、これにする?」
 ゼルディアは空になったサクラの杯を見て尋ね、サクラがこくりと頷くとナハトは彼女の杯にもお茶を注ぐ。
「今日は甘いものたくさん食べるから、そのお茶キープで」
 ゼルディアも一口飲んで気に入って、そのお茶を手放さないようにしながら果物の入ったかごを手元に寄せ、甘い果実を口に運んだ。
 ナハトのひよこは腹ごしらえを終えて、テーブルの上をのんびりお散歩を始め、まるで山を登るかのように、ルィンの腕から肩をお散歩コースにする。
「ナハトのひよこさんも、随分大きくなったんじゃねぇか?」
 ルィンはひよこが滑り落ちないように気をつけながら、その重みを感じてナハトに視線を向け、
「こいつとの付き合いも長いからな!」
 ナハトは笑顔でひよこをつまんでじっとその目を見つめ、目を細める。
 信じ合える仲間同士の宴は、ゆっくりとした時間を刻みながら続いていった。

●好きなものを好きなだけ。好きなペースで
「しかし何処も浮かれておるな」
 魔獣の刀撃・ダグラス(c04039)は街や仲間のエンドブレイカーたちの明るい雰囲気を感じ、
(「ま、あの大魔女を倒したのだから無理もないか」)
 できるだけ静かなところを探して一人で世界中の料理を喰いながら勝利を祝おうと考えていた。
「おっちゃん!」
 しかし、その目論見は外れ、彼を慕う子分の鋼鉄獣・リコルト(c24370)がその背中を追いかけて同じテーブルに座り、
「わーいメシ! 肉! 食い放題!」
 速さを競うようにたくさんの肉料理に手を付け、次々と胃を満たしていく。
「食いきれぬ程あるのだ、メシは逃げはせんよ」
 その様子を見てダグラスはがっつくリコルトにそう言いながら、肉のハチミツ漬けを用意してほしいとバーの主人に頼み、好みの酒も出してもらって自分のペースで嗜む。
「でっかい魔女ボコボコしたら、好きなだけ食わしてくれるって、おっちゃん言ったもんな!」
 リコルトはでっかい骨付き肉を両手で持ち、がつがつがっついた。
(「こういうのも悪く無いか」)
 子分と二人飯を食うのも楽しいだろう。そう思ったダグラスだったが、
「あら奇遇ね! ご一緒して良い?」
 そこへ一通り料理とお酒を揃え、座る場所を探していた嶺渡の狩人・ルファ(c06436)が現れる。
(「変にごねられる前に、席をずらして座らせてやるか」)
 ダグラスが何も言わずに席を空けると、ルファは彼の隣に座って笑顔を見せ、
「まずはビールとスペアリブ。いただきます」
 片手にビール、もう一方の手にスペアリブを持ち、猛烈な勢いで目の前の皿を空にしていった。
 ダグラスは2人が食べ過ぎで苦しまないか心配しつつ、
(「……料理の減りが異様に早まったのは何故か」)
 周囲の料理が盛りつけられた皿が次々と空になる様を見て苦笑いし、肉のハチミツ漬けと甘いデザートを少々摘む。
「負けねーぞ! モグモグムシャムシャだ!」
「ちょっと苦しいけどまだイケるわ! ……って、あれもう無いの? なら、こっちのをお食べ!」
 リコルトとルファは競いあうように皿を平らげ、どんぶりを空にする。
「おい、人の分まで取るな。せめてリコルトみたいにつまむくらいにしろ」
 ダグラスはルファが自分の食べていた肉も奪おうとするのを嗜め、
「なにそれうまそう」
 2人の皿から気になった肉料理をつまんでいたリコルトはルファが手に持つ酒杯に興味を示して手を伸ばす。
「リコルト、それはまだ先の楽しみね」
 しかし、ルファはそう言ってリコルトを押しとどめ、
「ほら、こっち飲んでろ」
 ダグラスがはちみつを混ぜたミルクをリコルトに手渡すと、
「おっちゃんありがとう!」
 リコルトは嬉しそうに甘いミルクを喉に流し込んでいった。

●宴の終わりと明日への道
 ひと通りの料理で満腹となった夜唄廃墟の仲間たちはゆっくり食休みにはいる。
「おいしい料理って、ほんと幸せな気分になれるよなあ……」
 ナハトは幸福感たっぷりに空の皿を見つめ、
「美味しいご飯を食べてる時って幸せになれるよね。でも……」
 ゼルディアも満足そうにしていたが、視線を仲間たちの方に向け、
「私はご飯は一緒に囲める心許せる人とでないとおいしいって思えないから、今こうしてご飯を囲める皆と出逢えて過ごせている事が幸せよ」
 といって、固い絆で結ばれた仲間たちを見つめて微笑む。
「おれな、皆と一緒に戦えてよかった」
 ナハトの笑顔に仲間たちも俺も、わたしもと異口同音で答える。
「皆と出会わなかったら、わたしはきっと今も独りで、独りが寂しいことに気付かないまま過ごしていたから」
 サクラはちょっと視線を落として仲間たちとの思い出を振り返り、改めて、信じられる仲間たちの大切さを噛みしめる。
「ひとりじゃねぇさ、ひとりだと思っててもな、意外と誰かと繋がってるもんだぜ。それが縁ってもんさ」
 ルィンはそう言ってサクラの頭にそっと手をおき、サクラはその言葉に首を傾げ考えながら、頷いて、
「みんなに、出会えてよかった。ありがとう」
 いくら感謝しても足りないくらいの気持ちを込めて、言葉を紡ぎ、笑顔を見せ、
(「少しずつ笑うことができるようになったのも、皆がいるから」)
 心のなかでもう一度、仲間たちに感謝の言葉をつぶやいた。
「そうそう、皆のこれからも聞きたいわね」
 デザートを堪能して食べる手を一休みさせたルファはダグラスとリコルトにそう問いかける。
 ダグラスは少し考えてから、
「平穏とは無縁の身、この腕を振るうに足る戦場を探して流れるまでよ」
 自らの太刀を見つめ、次なる戦場を探すと言い、
「もごごご、もぐもぐご?」
 口いっぱいに肉を頬張りながら、これからどうするかって? と言葉を紡ごうとするリコルトは、
「……どうすっかなー。森に帰ってみようかなー? そっから先はその時考えるぞー」
 口の中を整理してから育った森に帰ろうかと考える。
 ルファは2人が答えた後に。
「私は……他の世界を見てみたいわ。そこが戦乱の世界であってもね」
 となると、ダグラスさんと会えたりするのかしら?
 それはそれで面白いかもしれないと、微笑みあった。
「リコッタはこれからどうするとか、決めてるのか?」
 巨大なプリンを平らげたあとも、リコッタと息を合わせてあちこちのテーブルの料理を食べ尽くしたアインは、ふとそうやってリコッタに尋ねると、
「うーん。楽しければなんでもいいよ!」
 リコッタはあまり深く考えずにそう答える。
「そっか。私も今まで通り各所を巡るつもりだから、またどこか出会えるかもな!」
 アインの言葉にリコッタはその時はまた遊ぼうよ! と目いっぱいの笑顔を見せる。
 こうしてエンドブレイカー達は、明日に向かってそれぞれの道を歩み始めるのだった。



マスター:きゅう 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2015/04/13
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