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エンディング・オブ・エンドブレイカー!

                                   

<オープニング>

 エンドブレイカー達が大魔女スリーピング・ビューティを撃破して、10年の月日が流れた。

 マスカレイドの脅威が消え去り平和となった世界で、領主となったエンドブレイカー達が、これから開催される祝賀会の計画を練っていた。
 自分の領地だけの祝賀会では無い。
 全ての都市国家を挙げての大祝賀会だ。
 既に、領地の人々は祝賀会の準備で大忙しで、町には活気があふれている。
 10年前にエンドブレイカー達が調査を行い、建設されることが決まった主要都市国家間を繋ぐ大街道。それが、ついに全線開通するのだ!
 マギラントやアマツカグラといった、海で隔てられた都市国家との間にも定期船が就航し、都市国家同士の行き来は、10年前に比べ遥かに安全で楽なものとなっていた。
 こうした交通の発展に、携わった人々の並みならぬ努力があったことは、エンドブレイカーのみならず、多くの者の知るところである。
「あいつらにも、ひさしぶりに会えるかな」
 今も冒険にでている昔の仲間を思い、ペンを置く領主となったエンドブレイカー。
「というか、招待状はちゃんと届くんだろうな」
 そう言うと、彼は、少し心配そうな表情をしたが、大丈夫だろうと結論付ける。
 既に多くのエンドブレイカー達が、招待状を配るために各地に散っているのだ。
 彼らにまかせておけば、地の底だろうとどこだろうと、招待状が届かないという事は無いだろう。
 彼ら領主だけでは無く、図書館の館長や、孤児院の院長になった者など、立場のあるエンドブレイカー達は、多くが祝賀会の準備に携わっている。
 各地で活動するエンドブレイカーが、一堂に会するような機会は、そうそうあるものでは無い。
 多くのエンドブレイカー達は、その日を待ちながら、祝賀会の準備に勤しむのだった。

 一方その頃、滅びの大地の都市国家の一つでも、エンドブレイカー達が招待状を受け取っていた。
 主要都市国家間を繋げる街道が、ついに開通したという記念の祝賀会の招待状だ。
「へぇ、全線開通か。凄いねぇ」
「10年か、長かったような短かったような」
「短いに決まってるよ。みんな、がんばったんだね」
 彼らがいる滅びの大地の都市国家は、エンドブレイカー達が危険を排除し、勇士号を使い滅びの大地まで移住希望者を連れてきて、近年ようやく『世界の瞳』がつながったばかりだ。
「よし、俺達も負けてられないな!」
「祝賀会に出るまで、もう一仕事するか」
 エンドブレイカー達は、口々にそう言うと、また仕事を始めた。
 世界の瞳の扉は繋がっており、移動するのは直前で大丈夫なのだから。
 この招待状は世界各地のエンドブレイカーにも届けられた。
 都市国家に住む者は勿論、海賊群島や人魚の国に住むエンドブレイカーや世界の果てを冒険するエンドブレイカー、果てはフェルプールの集落で暮らすエンドブレイカーまで。
 全てのエンドブレイカーが招待され、都市国家に暮らす全ての人々が祝う祝賀会が開かれるまで、あと少し。

 外世界の危機に呼応して、新たな扉が繋がった『世界の瞳』中枢でも、エンドブレイカー達は、招待状を受け取っていた。
「今から、外世界の危機を救いに行くから忙しいのに」
「そう言わないで、ちゃんと読んで下さいね。大切な連絡ですから」
 そう言われて招待状を開くエンドブレイカー。
「ふーん。10年ぶりの同窓会になるのかな? ここしばらく、外世界ばかり行ってたから、たまには良いか」
「そうと決まれば、早く危機を救いに行くぜ」
「えっと、今回の外世界は、どんな所だったっけ……」
「巨獣の背中に街が乗っかってる世界だってさ。その巨獣を殺そうとする殺戮巨獣が現れて、街ごと巨獣が食われてしまうらしい」
「それじゃ、俺達の仕事は殺戮巨獣の撃破か」
「腕がなるぜ」
 そう言って、外世界への扉をくぐるエンドブレイカー。
 世界の危機を救った後は、旧交を温めるのも楽しいことだろう。

 全ての主要都市国家が街道でつながった記念の祝賀会。
 かつて、自分が住む都市国家以外の存在すら知らなかった人々にとって、この日は、新しい時代の節目となる記念すべき一日となるだろう。
 全ての都市国家、全ての領地、全ての町、全ての村で、この慶事を祝う催しが開かれる。
 勿論、その主役はエンドブレイカーだ。

 祝賀会を主催するのも、招かれるのも、芸をするのも楽しむのも、エンドブレイカー達は、思い思いに宴を楽しむことになるだろう。
 そして、10年ぶりに出会う仲間に報告するのだ。
 自分がどんな10年を過ごしてきたか。
 恋人は出来たか結婚はしたか、子供が産まれたか……。
 どれだけ多くの悲劇のエンディングを打ち砕いてきたか。
 未開地を探索して、どんな素晴らしい発見をしたのか。

 それはきっと、とても楽しい祝賀会となるだろう。


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<リプレイ>

 世界を救ったエンドブレイカー。
 世界を完膚なきまでに救ったエンドブレイカー。
 自分達の世界を救っただけでなく、数多の世界を救ったエンドブレイカー。
 あまつさえ、数多の世界を救い続けるエンドブレイカー。
 エンドブレイカーとは、終焉に抗う英雄譚の主人公であり、人々に、夢と希望を与える光である。

 だが、そのエンドブレイカーの活躍も、次第にその趣を変えつつあった。
 マスカレイドの元凶である、大魔女スリーピング・ビューティと、世界航行存在『ギルタブリル』を撃破してから10年。
 世界は概ね平和になり、『終焉に抗う勇士』であるエンドブレイカー達の本領を発揮する機会は次第に減っていったのだから。
 あれから10年。エンドブレイカー達は、エンドブレイカーとしての使命を終え、新たな力を世界に振るい始めている。
 日々の生活を紡ぎ、そして、歴史を創っていく。それは、新たな未来を創りだす事に相違なかっただろう。

 あるものは、領主として領地を発展させ、あるものは、商家として流通を発展させ、あるものは、教育者として次世代を育成している。
 それは、エンディングをブレイクするような、わかりやすく爽快な仕事ではなかったが、それだけに、やりがいも大きかった。
 そして、そんな未来を創る仕事の集大成、都市国家間を繋ぐ街道が、遂に完成する……。
 その完成式典を間近に控えて、世界中の都市都市は騒々しくも浮き立っていた。

●都市国家の日常〜戦神斧のもとにて
 アクスヘイムの大領主、九龍公・シーヴァー(c03034)の庭園には、シーヴァー公と彼に親しい者が集まり、午後のお茶を楽しんでいた。

イラスト:弥音

 アクスヘイムの復興に尽力したシーヴァーのペンドラゴン領は、不貞領主の粛清などを通じて領地を広げ、いまでは、アクスヘイム随一の大領地となっている。
 そして、大領地の投手に相応しい家庭をも築きあげていた。
 年齢を重ねても人形のような美しさを保つ、玲瓏の月・エルス・ローラス(c00100)は、彼女の8歳になる娘と共に、お茶会に参加する。
 このお茶会は、彼女達の親睦の場であり、息抜きであり、そして報告の場でも合った。
 エルスが報告するのは、辺境の危険生物の同行。
 宵闇の黒猫・ケイ(c03134)は、エルスの報告に思案顔。エルスの報告にあった危険生物が、騎士団に入れた長男に調度良い敵だと考えたようだ。
 そして、その事を夫のシーヴァーに伝える。
 アクスヘイムが平和なのは良いが、後継者候補を鍛えなくて良いということには決してならないのだ。
「まぁ、若いわりには、良くやってるほうだよ」
 武豪ドラドの継承者・ガル(c26044)はフォローを入れたが、無茶ぶり自体に異論はなさそうだ。
 10年で身長が15cm以上伸びた彼女は、ペンドラゴン領の治安を担当しており、ケイの長男の直属の上司でもあり、彼女の同意で、騎士団若手による危険生物撃破任務が確定する。
「おー、よしよし、お腹がすいたのね」
 一方、3人の娘とともに赤ん坊をあやしていた、踊りとお歌とお茶が大大大好き・アッサムカルカッタ(c18412)は、急に泣き出した4人目の娘の授乳を始める。
 4人の娘を運だとは思えない引き締まった体は、踊り子として鍛えている成果だろうか。
 上の娘3人も、母親譲りの美貌で招来が楽しみだ。
 そんな奥方達と子供たちの様子を、花蘇芳・シャナ(c08903)は、微笑ましく見守るも、あと一人は男子を産んでもらいたいものだと、閨の計画について考えていた。
(「シヴァ様には、もう少し頑張っていただかなくては」)
 そのほほ笑みを向けられた、シーヴァーは、無言でお茶を啜り、宮宰・シルベスター(c05709)に、助けを求める。
 シルベスターは、心得たとばかりに、今日の茶会のゲストに話を振った。
 滅びの大地の都市国家、草帆光風フラセイルから戻ってきたばかりの、翠龍姫・シャルティナ(c05667)だ。
 お茶菓子をはむはむと食べていたシャルティナは、家宰のシルベスターに促されて、フラセイルの土産話を披露する。
 ぼんやりマイペースだが、なかなかの活躍話に、場の雰囲気がほんわりとなる。
 やはり、シルベスターは頼りになるようだ。
 と、そんなお茶会の場に、代官である太刀の自由農夫・ライヤー(c10003)が書類を抱えてやってくる。
 祝祭の警備担当のルーガルー・ヴァイオラ(c12629)も一緒な所を見ると、警備関係で何かトラブルがあったのかもしれない。
 アクスヘイムの祝祭を担当するペンドラゴン領の領主夫妻は、後数日に迫る祝祭の準備の為、執務に戻っていくのだった。

 一方其の頃、エルスが報告した辺境の危険動物がいるというアクスヘイム辺境では……。
 放棄領域近くの森を自分達の楽園とする妙齢の女性達が、危険動物の処理について話し合っていた。
 この話は、周辺の村の顔役として子供たちの教育を進めている、枯れた金糸雀・リーラ(c31580)から持ち込まれた話である。
 リーラの娘の、狩りぐらしの・シャオリィ(c16970)から薬草の見分け方を教えてもらい森に入って採取していた子供たちが見かけたらしい。
 村に被害が出たという話では無いが、子供たちが危険ならば、なにか対策が必要だろう。
 そこで名乗りをあげたのは、リーラの義理の娘であるはぐれの森の・サイレント(c02623)。
「村に近づく脅威は、討伐なの」
 リーラは少し心配そうな表情をしたが、はぐれの森の・アレサ(c05153)が、一人ではいかせないから大丈夫と請け負ったので討伐の許可を出した。
 アレサは、サイレントの付き添いをした後、街道完成の祝祭の準備の様子も見てくると言う。
「ディの宿屋にいけば、知り合いが来てそうです」
 そういう、アレサの表情は、再開の期待に妖艶に艶めいた。

 危険動物といえど、歴戦のエンドブレイカーの敵では無い。
 軽く片付けたサイレントと別れて町に出てきたアレサは、一応、その事を騎士団に報告する。
 祝祭準備で騎士団も忙しい筈なので、手間を省いてあげようという心意気だ。
 アレサの報告を聞いた、騎士団長の二律背反系魔法剣士・ローウェン(c35126)は、ちょうどお弁当を持ってきてくれていた妻の花紡ぎの妖精騎士・ルシア(c33314)と娘のリアナに、苦笑をこぼした。
「まだまだ、私も現役ですし、人の事は言えませんが、後進を鍛えるのは難しそうです」
 善意の村娘が、騎士団で対応すべき危険生物をちょちょいと狩ってしまうのでは、騎士団若手の訓練は、なかなかすすまないだろう。
「あらあら。でも、可愛いリアナの為には、このくらい安全な方が嬉しいわ」
 そのルシアの言葉に、ローウェンは優しく微笑んだ。
「そうですね。リアナが大人になるまでは、私達がアクスヘイムの平和を護り続けましょう」
 その言うローウェンに、小さなリアナは、あーあと手を伸ばした。

 アクスヘイムで郵便配達を行なっていたフェーンレディ・ビヘイビア(c01731)は、10年の間で事業を拡大し、郵便配達会社を設立し、自ら社長になっていた。
 そして、郵便配達は、その仕事上、アクスヘイム中の情報が集まってくる。
 その中には、ローウェンが「後進を鍛えるのは難しい」と苦笑した事例が幾つも集まっていた。
 たとえば、放棄領域で空になった住居をアジトとしていた盗賊団は、噂を聞いてやってきたイジィエム族の蛮人・ボルトマ(c03155)によって討伐されている。
 そこは、イジィエム達が移住する前に住んでいた場所だったらしく、放っておけなかったのだろう。
 ガーシュインカンパニーを設立した、世界を駆け巡る萬屋・ジョバンニ(c00896)は、どんな小さな不幸を見逃さずに解決しようと活動しており、その活躍話を郵便配達員から聞かない日が少ないくらいだ。
「10年か、いろいろあったけれど、夜はなべて事もなしね」
 フェーンレディはそう言うと、目の前の仕事に取り掛かった。
 祝祭への招待状や、連絡を取り合う友人から友人への手紙が、山となっており、社長自ら仕分け作業に狩りだされているようだった。

 フェーンレディが仕分けた招待状を貰った一人。
 フローレンスからの招待状を手にした黒彩弓の狩猟者・グラッド(c10516)は、久しぶりにアクスヘイムに足を踏み入れていた。
 マスカレイドと戦った戦乱の時代。
 そして、その戦乱が終わり、復興がはじまり……、その集大成としての街道建設がある。
 もしかしたら、この街道建設が、世界中の人々が共通の目標に向かってともに進める最後の事業かもしれない。
 グラッドは、そう感慨を持ちながら、活気あふれるアクスヘイムの町を目に焼き付けるように歩いていく。
 考え過ぎかもしれないが、今この時が、世界の黄金期であるのかもしれないと。

 グラッドが歩く街路では、孤児院の子供たちが楽しげに駆け抜け、祝祭準備にせいをだす商店の手伝いなどに精を出す。
 アルカナ魔法教会のシスター・ベル(c00107)の孤児院の仔達は、楚々とした風情で礼儀正しく仕事をこなしつつ、ここぞという時にチラリとみせる色気で、男達を誘惑もしている。
 アルカナ魔法教会の孤児は、玉の輿率が高いので有名だが、そこにシスター・ベルの指導があったかどうかは定かでは無い。
 天誓の聖女・マリア(c23662)の孤児院の子供たちは、マリアの子供たちに率いられ、率先して働いている。
 マリアの6人の子供たちが、それぞれの世代の孤児達にリーダーシップを見せているため、マリアの孤児院の子供達は団結力が強く、建設作業など、多人数で作業をする仕事ではひっぱりだこのようだ。

 シスター・ベルの子供達が多く働く商店街も、祝祭を前にして賑わっていた。
 雲外蒼天・リシェル(c13724)の店も、祝祭前の大売りだしでてんてこまい。両親の商家を継いで独身ながらも辣腕を振るう彼女のは、独身である事以外は、本当に順風満帆である。
 虚月・レクサス(c03071)と夜霧の舟・エルナンド(c04241)のお菓子屋『星ノ音』も、お祝いのお菓子作りの下ごしらえに、孤児達が大活躍。
 器用に特性アイシングクッキーを作りながらエルナンドは、レクサスに微笑みかける。
 こういう子供がいてくれると和むよねと。
 少し不器用にワッフルを焼いていたレクサスもほんわりと同意したが、子供を手に入れる方法についてはアイデアは無さそうであった。
 こうして、孤児達が商店で働けるようになった事には、雪祈華・フィリア(c02091)が、自身が館長を務める星霊図書館で、子供たちに勉強を教えた功績も大きい。
 読み書き計算ができれば、孤児だって働ける。その事実が、孤児達のやる気を大きく引き上げたのだ。
 この教育で識字率の上昇は、スタイリッシュキャット・リーリエ(c00937)と、ハッピーエンドの欠片を探して・エルリア(c22468)の開いた、トートの書架という本屋の売上にも貢献していた。
 最初は貸本から始めたが、どうしても手元に置きたい本を買い取らせて欲しいという依頼が入り、その後、本を買うという文化が庶民にも広がり始めたのだ。
 まだまだ、庶民が気軽に購入するという状況では無いが、活字文化が定着すれば、アクスヘイムの文化は、飛躍的に上昇するのは間違いない。
 文化と言うなら、蒼鴉の魔女・マリアネラ(c07640)の洋品店も忘れてはならない存在だ。
 彼女こそ、他の都市国家に比べて、地味な印象のあったアクスヘイムのお嬢様がたの装いを、最新流行にまで引き上げた功労者である。
 祝祭に、マダム・マリアネラのドレスを用意しようとするお嬢様がたや奥様がたの為、マリアネラのサバラ洋品店の灯りは、ここ最近消えることが無いくらいなのだ。
 反面、赤烏・ソルティーク(c16063)と銀狼・シオン(c02524)の武器工房シュバルツナハトは、知る人ぞ知る名店という風情。
 武器の需要が減り、多くの鍛冶師が包丁などの台所用品や、家財道具の工房に切り替える中、武器を作り続ける彼らは、知り合いからの依頼を楽しそうにこなしていく。
 彼ら2人は、時には、武器を作ると同時に、その武器を必要とした理由を聞き、依頼者と共に終焉を打ち砕く、そんな活躍もしているらしい。

 勿論、何かを生み出すだけが文化では無い。
 モノを作ったら、それが必要な人の元に届ける必要がある。
 そして、そのモノをどれだけの速度で、届ける事ができるかは、文化の発展に非常に重要なのだ。
 もし、家にいながら、簡単な連絡で欲しいものが何でも手に入るような物流が実現したら、世界の構造が根底から作り変えられてしまうに違いない。
 そんなアクスヘイムの物流を担うのは、笑顔と元気のはなまる運送・リン(c00726)と快足ジェット・クレス(c03636)。
 リンは、エルフヘイムの街道を利用していち早く都市間運送業を開業した、笑顔と元気のはなまる運送だ。
 規模は小規模ではあるが、庶民が比較的手軽に、都市と都市の間をつなぐやりとりができるという衝撃は、小さくなかったらしい。
 都市間街道がつながった今、そのビジネスモデルの発展が期待されている。
 クレスの運送業は、アクスヘイム内だけの運送業だが、物を運ぶだけでは無くその想いを共にというモットーで、その贈り物に効果的な演出まで考えてくれる。
 自分の家族宛てのサプライズプレゼントや、毎日あっている恋人への恋文の配達など、必要だから運んでもらうのでは無い文化として、クレスの運送業が注目を浴び始めているようだ。

 だがやはり、いまの時期、商店街でもっとも活気があるのは飲食店だろう。
 花を愛でる狐・パル(c15545)の経営する居酒屋、雅楽多屋も、昼間から、多くの人で賑わっている。
 パルが次々と料理を作り、お嫁さんの一人の解放せし者・フローディア(c28784)が、それを客に配膳する。
 赤の舞姫・タツヒメ(c30422)のダンスショーが始まれば、店の盛り上がりは最高潮だ。
 そうして日々、労働にあけくれて疲れたパルを癒やすのは、炎百合の茨遣い・リリーエ(c10739)の膝枕。
 周囲には、たくさんの子供たちの賑やかな寝息が聞こえてくる。
「幸せだねぇ」
「少し忙しすぎですけれど……」
「でも、これだけ忙しいと、パルが浮気する心配もないですよねぇ」
「幸せだねぇ」
 パルはいつか、お客に刺されるかもしれない。

 少し路地裏に入ると、同じ酒場でも、趣の違う店がある。路地裏にある酒場のマスター・リョウ(c00461)が、マスターをする路地裏の酒場だ。
 客よりも手伝いの孤児達の方が多いのではという店だが、古馴染みには何より心地よい店だ。
 今日も、マスターの古馴染みが顔を出す。
「この10年いろいろありましたが、楽しかったですよね」
 杖の星霊術士・ティーナ(c08543)が杯を傾ける。
「あぁ、何もかも失った筈の居場所ですな、この店は」
 盾の城塞騎士・レーナス(c01113)も、静かに杯を傾ける。
「まぁ、私は、まだまだ忙しいけどね」
 萬屋として忙しく働く、孤月・クロス(c08537)は日々の疲れを癒そうと、酒と一緒に出されたつまみをつまむ。
 なじみ達に酒とつまみを出し、たわいない言葉をかわしながら、リョウはタバコの煙をふぅと吐いた。
 祝祭の喧騒が、路地裏のこの店まで響いてくる。
「フッ、騒がしいものだな」
 その騒がしさもまた人生。彼らはそう思いつつ、酒を酌み交わした。

 その騒がしい喧騒の原因は、砕喰鬼・グラナス(c00175)と砕けぬ薄氷・ニクス(c00730)の経営する食堂であった。
 物知らずの旅人が、この食堂で食い逃げをしようとしたのが運の尽き、大立ち回りの上、案の定捕まってしまったようだ。
「あの食堂で食い逃げしようとするとは、よそ者だね」
「あそこは、食い逃げ不能の店で有名だというのに」
 見物に来た周囲の町人たちの呆れ顔が印象的だった。

 そんな騒ぎもある大通り。
 サニー・デイ(c01039)の酒場兼宿屋も、多くの宿泊客でごったがえしていた。
 奥さんの暁のアルフェッカ・ティルティアラ(c04513)が、身重で働けないという事で、デイは大忙し中の大忙しだ。
 アルフェッカは手伝いたそうに様子を見るが、入ってきた客を見て少し安心して顔を引っ込めた。
 やってきたのは、焔獣・ネスティ(c00836)だ。
 デイも気づいたようで、すぐにネスティを厨房に引き釣りこみ、給仕を押し付けた。
 もとから、手伝うのにやぶさかえはないネスティは、愛想よく給仕をし、後から店に来た、花宵揺・イーファ(c01696)に気軽に手を振った。
「おー、イーファじゃん。久しぶり。今、こっちの席片すから待ってろな」
 なぜ、店で働いているのか不思議に思ったイーファだったが、
「ただいま」
 と挨拶しつつ、店を手伝うことにした。
 2人の手伝いで、なんとか繁忙期を乗り切ったデイは、アルフェッカと共に、2人を心から歓迎した。
「明日も頼むね」
 と。

 さて、こんな商店街を少し離れると、マリアの子供と孤児達が忙しく働く、準備中の会場に出る。
 会場の大元は、星霊建築で用意され、空飛ぶガテン・フランク(c01852)の建築事務所が中心となって、最終工事の真っ最中だ。
 工事現場では、多くの人足達の為に、食欲業を制す・アニー(c19876)が炊き出しも行なっている。
 『食欲は業を制す』がモットーのアニーさんの炊き出しボランティアは、アクスヘイムの名物で、みな、美味しそうに食べ切ると、アニーに、ありがとうと言って仕事に戻っていった。

 会場予定地には、アクスヘイム中の領主達も集まっている。
 祝祭の段取りの最終確認を行いつつ、警備計画などの詰めも行なっているようだ。
 イーロス伯爵領の、紳士・シャガルドール(c15269)は、招待客の席順を良く確認する。
 自分も含め多くの領主が招待状を送っているので、その席をきちんと確保するのは重要な課題だ。
 今日は午後から昨日偶然見たエンディングをどうにかしなければならないから、確認は迅速にせねばならない。
 贖罪の小夜啼鳥・メロウリア(c10458)は、自領から運び込んだ果実酒の納品で忙しい。
 祭りの舞台を楽しむ人々が、荒廃から復興した彼女の領地の果実酒を楽しんでくれる事は、それは素敵な事だろう。
 メロウリアと同様、少領地からスタートした、臆病スフマート・イチイ(c12858)は、少しづつ所領を増やしてきた事で、様々な特産品を持つ事で有名だ。
 街道完成を商機ととらえて、領地中の特産品を少しづつサンプルに持ってきたようだ。
 ゆくゆくは、商品の売り込みに街道を通って都市国家をめぐる事を楽しみにしているようだ。
 スノウフレーク領の領主、再興を誓う月剣の騎士・シャルナ(c36302)も、自領の特産品『スノーフレーク』の売り込みのために準備に余念は無い。
 会場を花で飾るならば、是非スノーフレークを。営業トークも冴え渡る。
 近々、アルトリンデ領を引き継ぐ予定の、樹氷の華・コルネリア(c12931)も、この祝祭を契機に、自領の発展に結び付けたいと、集まった領主達に挨拶しつつ情報交換に精を出す。
 アルトリンデ領をアクスヘイムの流通網に組み込めれば、領地は大きく発展することだろう。
 止まぬ砂塵のたゆたう微笑・グルドヒェン(c02225)は、招待客の宿泊先の手配を請け負っている。更に、準備で忙しく裏方にまわる領主達に、後日、一杯やりましょぉと声をかけてもいるようだ。
 素直になれないお子様冒険者・レミット(c04319)は、冒険者稼業の合間に、領主をしている家族の手伝いで会場予定地で書類をもって確認作業を行っている。
 冒険者稼業の相棒と仲睦まじく一緒に書類を持って駆け巡る様子は、明らかに恋人同士の雰囲気で、周囲もそうみなしているのだが、レミットがそれに気づくのはもう少し先であるようだ。
 クラウゼヴィッツ家の白緑・アルトゥール(c01240)は、会場に付属して建てられた臨時の本部で、反転・クラウス(c12274)から進捗の報告を聞きつつ、指示を出す。
 会場設営は、クラウゼヴィッツ家に任された為、アルトゥールもクラウスも、なかなかに忙しそうだ。
 フリューゲル領領主の怨憎真紅・シャルル(c00340)は、鉄壁のお手伝い・セレン(c14927)セレンと共に、会場周辺のドロースピカの調整の指揮を執る。
「若様、ご立派ですよ」
「この10年、領主見習いとして勉強した成果ですね」
 2人の活躍で、ドロースピカの準備は滞り無いようだ。

 と、その会場に、アクスヘイムを守る2名の城塞騎士に先導された、1人の斥候が駆けつけてきた。
 何事かと問う領主たちに、
 城塞騎士の代表たる、銀雪の煌翔・アシェル(c12971)が、情報を伝える。
 斥候として、アクスヘイム周辺の臨検に出ていた、月輪・ユキト(c01079)が、アクスヘイム洋上に外洋船が現れるのを確認したらしい。
「あれは、マギラントに向かっていた外洋船に間違い無い。まさか、祝祭に間に合う日付で戻ってこれるとは思わなかったが」
 そういう、アシェルに、領主たちからも感嘆の声があがる。
 並の帆船ならば、最速でも、海賊群島を抜けたあたりが良い所なのに、既に視認できるところまで来ているというのは素晴らしい。

「港には、うちの城塞騎士団を向かわせています。荷揚げもあるでしょうし、折角なら、積み荷を祝祭に間に合わせたいですからね」
 アクスヘイムの城塞騎士・ゲンマ(c05197)の言葉に、領主たちは同意し、ゲンマはすぐに踵を返した。
 そのゲンマに駆け寄って動向を申し出たのは、朱き暴風・オデッド(c31743)。
 父親から交易商を継いだ彼女は、会場で紹介される特産品の目星をつけにきていたのだが、外洋船が来たのならば、いち早くその積み荷を確認したいと、名乗り出たのだ。
 ゲンマは少し渋ったが、オデットの、
「貿易商人が居たほうが話が早いですよ♪」
 という言葉に動向を許す。
 商機を逃さぬ目利きは、貿易王になるための条件の一つだろう。

 そして、一方洋上の外洋船。
 高い操船技術を誇る、双爪乃獣戦士・リュウガ(c12878)。
 船首像職人であり、海のことならなんでもござれの、千の腕を持つ・ジュアン(c34900)。
 長期航海による病気の蔓延を防止するために船内に畑を作った事で、上陸回数を大幅に減らした、陽だまり農夫の・カッペニア(c14160)。
 食事と温泉で船員の健康管理とストレス管理に尽力した潤雨奏月・ナガツキ(c02096)。
 孤児院長もしており、卒業した孤児を船員になれるように教育してきた、いつか其処に帰る場所・アムオス(c06013)。
 そして船団の代表者である、碧之神奈備・カナト(c02601)。
 彼らは、アクスヘイムの陸地を指差して歓声をあげていた。特に望遠鏡で陸地を発見したジュアンは誇らしげだ。
 カナトは、冷静に慎重に羊皮紙の地図を広げ、海図で正確性を確認していく。カッペニアがその背後から楽しそうに地図を覗き込んだ。
 料理中だったナガツキも、彼らの声を聞きつけ甲板へやってくる。

イラスト:工藤くぬぎ

「大幅に記録更新の新記録だな! やったな!」
 リュウガが、バンバンと船長のカナトの肩を叩く。
 アムオスは、この情報を船員に伝えるべく、船室に向かっていた。
 そして、数時間後。
 カナト達の外洋船は、様々な積み荷と、上陸を喜ぶ船員、そして、外洋航行記録の新記録を手土産に、無事、戦神海峡の港へと到着したのだった。
 祝祭直前に、外洋船到着という朗報は、アクスヘイム中に知らされ、お祭り気分を更に盛り上げた。
 あたかも、祝祭の前夜祭のような盛り上がりになったのだ。
 その知らせは、アクスヘイムで平凡に暮らしてた、代理中・レイ(c00998)と、妖眼の斑猫・パーフ(c10803)、村一番のぷち賢者・ナールディア(c30782)と君だけの騎士でありたい・ダグラス(c31804)、標得し旅人・クルード(c16997)と戦うメイドさん・ヴィクトリア(c17185)という3組の夫婦にも届いた。
 レイとパーフは、3人の子どもと一緒に、その話を聞いて、昔の冒険に想いをはせる。
 子供のいる幸せは冒険に勝るが……。
「また冒険したくなったか?」
 そう聞いたレイに、パーフは、
「私は、今が一番幸せだよ。幸せにしてくれて、ありがとう」
 と答え……、そのうち家族が1人増えるかもしれない。
 ナールディアとダグラスは三男三女と自家の畑で取れた夕食を食べていたところだが、すわお祭りだと子供たちが駈け出したので、結局町の祭りに顔を出すことになる。
 クルードとヴィクトリアの夫婦は、少しだけ大きくなったヴィクトリアのお腹をさすりながら、町の喧騒をよそに、静かに過ごしたのだった。
 一方、いきなり始まったお祭り騒ぎでは、肝っ玉母ちゃん・シーラ(c15741)が、近所の主婦達を集めていた。
 各家の夕食をもちよって、ビュッフェ形式で振る舞うという、準備のいらないお祭り料理は、シーラならではの知恵であろう。
 シーラの仕切りで、外洋船到着のお祭り騒ぎは、深夜まで楽しく続き……、本番の祝祭に向けた、絶好のリハーサルとなったのだった。
 そして、最後。
 アクスヘイムの闇の闇。
 アクスヘイム闇ギルドの長である、白銀の闇・ルミリア(c02918)は、全てを見下ろして腕を組み、高らかに高笑いしていた。
「街道が開通し、外洋船航路も確定したとなれば、アクスヘイムの発展は間違いないですわ! いまこそ、闇ギルド長としての私の腕の見せ所ですの」
 ルミリアの計画通りいくかはともかく、アクスヘイムの明日が明るいことだけは間違い無いようだった。

イラスト:藤科遥市


●都市国家の日常〜世界樹のかたわらで
 エルフヘイムにある森の一角、そこが森の善き魔女カッコカリ・メローネ(c00446)の住まいだ。いつものように、近隣住民の相談に乗ったり、ちょっとしたひと悶着を解決したりしているが、至って穏やかな日々を過ごしている。
「今日も、いいお天気ですね」
 メローネは澄み渡る空を眺めながら、自分の畑へと向かった。

「クライブ、そろそろ休んだ方が良いぜ」
 蒼の守護者・ガイヤ(c20902)は、森の守り人の一人として、働きづめにならないよう、声をかけている。もうすぐ祝賀会、ガイヤはその準備に大忙しだ。
 森の守人である狂獣縛鎖・クロード(c02208)も、始めは苦労ばかりだったが、今はその業務にも慣れてきたようだ。
「まさか、自分がここまでこの森に惚れ込むとはな……」
 感慨深げに自分の守る森を眺めながら、クロードはその決意を新たにする。
「あの事件を切っ掛けに、自分なりに大切な事がわかった気がする。これからも同じだ。いつか俺がくたばるその時までな」
 コールドゲヘナ・ミラ(c20746)は、エルフヘイムで孤児や住む場所を無くした者達を支援する活動を行っている。その仕事も落ち着いたのを見計らい、一冊の絵本を作成した。
「喜んでもらえるように頑張るの」
 祝賀会で発表するために、まずは傍にいた夫に最初の読者を頼んだのだった。
 エルフヘイムの農村の領主として、空色天地槍・リィズ(c14025)は忙しい日々を送っている。
「じゃあ、この辺の野菜を運んでいこうか」
 祝賀会の為に用意した安全で美味しい野菜を選びだし、さっそく皆と会場へと運んでいく。会に来た人達の笑顔を思い浮かべながら。
 星霊建築士・ロニー(c07582)は、いつしか現場で働くよりも設計図を描くことが多くなっていた。ロニー自身はまだまだ現場で働きたいとは思っているが、元々建物のデザインをしたかったので、それはそれで良いかと思っているようだ。
「だが、まぁ、まだそんな年寄りでもないけどな!」
 と、いい笑顔で力強く、笑ってみせた。

 大人になった破竹円舞・デイジー(c05482)は、エルフヘイムの自然を守るため、日々、植物研究に没頭している。
「エルフヘイムは自然でいっぱいだから、まだまだ未知の植物があるかも知れないね」
 今は街道調査で森林伐採された場所の植物を復活させようとやっきになっているようだ。
 星舞幻奏・クレア(c12658)は、彼女が星霊術を教えている子供達とその星霊達とで祝賀会の飾りつけを行っていた。
「久しぶりに皆さんとお会い出来るのがとても楽しみですね、怪我などしてなければ良いですけど……」
 ちょっぴり心配げだが、懐かしい面々に会えるのが楽しみなようだ。
 かつてラビシャン王宮と呼ばれていた場所は、花の宮殿と呼ばれるに相応しい花園に生まれ変わっていた。その領主である聖邪の天秤・トゥー(c01081)は、それを感慨深げに見つめている。
「文化遺産修復くらいのつもりだったんだけど、領主会議にまで顔を出すようになるとはね〜」
 そろそろ各地の領主達が、式典を飾る花を貰いに来る時間。それが終わったら、アクエリオにいる妻と子供達の元へ行くとしよう。
「え? 祝賀会?」
 辺境の村で薬草を分けてもらう交渉後に、アヴァルナ・ルーイン(c28973)は、その話を耳にした。
「忙しいんじゃろう? 息抜きにどうかね?」
「……まあ、そこまで言うなら行ってくるわ。話を聞かせてくれてありがとう」
 ルーインは肩に停まる妖精に、楽しげに声をかける。
「皆に会うの楽しみね、ナビィ?」

 退かない媚びない顧みない・エレノア(c04817)は、祝賀会で披露する出し物の準備に大わらわだ。彼女が十年前に結成した美少年歌劇団は、ダイナミックな歌やアクロバティックな踊りとで、一定の人気を獲得し、派生した他の劇団も増えている様子。
「みんな、素晴らしいわ! このままの勢いで、次の演目見せて頂戴!」
 傍にいる助手の女性が気になるが、エレノアは真剣な眼差しで準備を進めている。
 いつものように水の容器・ジュビア(c18530)は、エルフヘイムの森の境界で見回りをしていた。朝露に濡れた葉にそっと触れていると、後ろから村人の声が聞こえてくる。
「ジュビアさん、これ持って行ってくれ。朝採れたばかりなんだ」
「わざわざ持ってきてくれて、ありがとう」
 もうすぐ祝賀会。かつての仲間に会うのもいいかもしれないと、再び森に視線を移した。

 裏も表もありません・シャルロ(c10720)と闇色ウィケッド・ゼノン(c20598)は、双子の子供と共に買い出しに来ていた。
「本当に……幸せな人生を送れるなんて思ってなかったなァ……」
 昔を思い出し、ゼノンは幸せそうに笑みを浮かべる。と、そのとき。
「ゼノン」
「……ばか、するなら家でにしろよなァ……」
 愛おしさを感じてシャルロは、そのままゼノンの肩を抱きしめて。ゼノンは頬を染めながら、帽子で顔を隠すのだった。
 かつて訪れた場所で、愛しき笑顔の守護蒼翼・ユウヤ(c08699)と紅焔の邪眼・ミレイ(c22522)が植えたのは、一本の若木。その下で誓い合ったことを、昨日のように思い出される。
 その若木が生えている場所に、二人の子供を伴って訪れていた。
「それにしても……ミレイは年々綺麗になっていくから最近心配だよ?」
 そう言ってユウヤが、ミレイの首筋に唇を落とすと。
「私の笑顔はユウヤ……貴方だけのもの、よ」
 ミレイは恥ずかしそうに照れて見せるのであった。
 ナイトランスの魔獣戦士・クレイン(c12076)は、領地の政務の合間に力が衰えぬよう、訓練を欠かさなかった。その訳は……。
「本当はもっと早く出かけるつもりだったのだがね……さてと、出かけようか」
 十年前から使っていた道具達に語りかけながら、館を後にする所で、子供に声をかけられた。クレインはにっと笑みを浮かべ。
「探索に」

 今日は家に客が来ることになっている。
 社会の理不尽と闘う男・ジョセフ(c11046)はエルフヘイム中央政府の立法者として忙しい日を過ごしながらも、その準備に余念がない。仕事の合間に集めた史料を手に取り、思わず笑みが零れる。
 と、扉を叩く音と共に懐かしい声が聞こえた。
「待っていましたよ。さあ、お入りなさい。それと……おかえり、アメリア」
 実家のお花屋さんを継いだ、春ノ夜ノ夢・リーリンブルム(c20612)。もうすぐ祝賀会ということでいつもより注文が多いようだ。
「遅くなってごめんね。こんな感じでどうかしら?」
 見事な花束を渡して、リーリンブルムは笑みを浮かべる。彼女の傍には三人の女の子が楽しげに彼女の手伝いをしていた。
 かつての妖精騎士仲間達との思い出の花畑。その近くに家を構えて住むのは、世界樹の巫女、陽翠・テッラ(c21259)。
「おはようございます。さて、今日は何の話をしましょうか?」
 返事はなくとも、毎日欠かさず世界樹に語り続ける。いつか返事が来るのを待ちわびながら。

 恵まれない境遇の子供達のための学校を設立したのは、夜明けに伸びる影・セイロード(c14386)。セイロードはその学校の先生として今日も深夜まで働いているようだ。
「……後ろに残る昏い影まで、抱きしめて。この夜明けの空を、生きてゆきます」
 静かにそう、明るくなる空を見上げたのだった。
 ここは、幽星の黒獅・イスラティル(c03535)と眠る光の歌声・リィンティア(c05773)の家族が経営しているお菓子屋。エプロン姿の二人が仕事に精を出している。
「エプロンより鎧が似合うと言われ続けるのは辟易するが。なに、獣の腕で優しくしてやれば……」
「子供達が真似したらどうするんですか! めっです!」
 そう言いながら仕事を続けていると、花底蛇・ヴァシュカ(c02255)とウィキハーツ・ラヴ(c04541)が店にやってきた。さっそくイスラティルとリィンティアは、花がいっぱいの庭のテラス席へと二人を案内していく。
「ところでヴァシュカ、お前を紹介しろってお嬢さんたちから頼まれたんだけど」
 席についた後、ラヴが切り出した。
「……突然のモテ期は丁重にお断りしたいんだけど」
 ヴァシュカはそう仲間に告げたのだった。

イラスト:桐嶋たすく

 静謐の花筐・サクラ(c06102)は、旧スフィクス領の領主館の最奥にある書庫で、埃にまみれた書物を修繕、修復している。作業が一息つき、館の窓を大きく開けて、青い空を見上げた。
「わたしの黄金の旅鳥、わたしはここにいるわ。……気が向いたなら立ち寄って。沢山話したいことがあるの」
 祝賀会が開催される一週間前に、森籃の菫・イレーネ(c20721)は里帰りをしていた。
「久し振り、ね。お土産はアクエリオのオレンジ酒。ふふ、とうとうわたしも飲めるようになったのよ! ……果実酒が精一杯だけれど。地図作りも世界中に花を咲かせよう作戦も順調よ」
 そう懐かしき桜の大樹に向かって、報告するのであった。
 宿命の炎嵐を身に纏わせた聖女・ディルシィナ(c35325)は、感慨深げにその巨大樹を見上げた。
「これを見たら、きっとシュシュが羨ましがりますわね」
 と、巨大樹を調べていたディルシィナの元に一通の手紙が届く。差出人の名はグルドヒェン。
「あら、仕方ないわね。一度戻りましょうか」
 調査を切り上げ、ディルシィナは自らの旅団へと戻っていくのであった。
 祝賀会のために、大鎌の自由農夫・リドル(c18813)は、お祝いごとに使われる果物の収穫をしていた。
「うん、これくらい採れば大丈夫かな? ……あれ?」
 誰かがやってくる。その人物を見た途端、リドルはその者が森を荒らしに来た不埒者だとわかった。すぐさまリドルは彼らに詰め寄る。
「そうはさせないよ!」

 森に囲まれた一軒の家。そこでは、パンツ姿で走り回る男の子を、抱きし哀歌を紡ぐ蒼碧の風・ルキラ(c16918)が追っていた。その様子を碧雷の魔法騎士・リュアン(c01105)が二人の子供を抱えながら、温かい眼差しで眺めていた。
「ルキラ、そんなに慌ててるとまた転ぶぞ? ルアも少し落ち着きなさい」
「一体、誰に似たのかな……あっ、ダメ! それで外に行かないでーっ!」
 玄関で男の子を捕まえると、お隣に住んでいる夢現を彷徨う唄・クラスティーダ(c01510)と天光の聖騎士・エルト(c22576)の家族と遭遇した。彼らも幼い子供を4人連れている。
「ご、ごめんね……いつも騒がしくて」
 そうルキラが頭を下げると、クラスティーダとエルトは。
「賑やかなのはお互い様ですよ」
「お互い苦労してるね……って、こらー! 少しは落ち着きなさ〜い!」
 さほど気にしていない様子。どうやら、この賑やかさはまだまだ続くようだ。
 今日もまた、忙しい執務を終えて、帰宅するシュトゥルムフロイライン・ルサリエ(c34957)。
「只今戻りましたわ、セシリー」
「お帰りなさい、ルサリエ」
 出迎えるのは、しっかり者のメイドさん・セシリー(c17640)だけでなく、よちよち歩きの子供も。ルサリエはその子を抱き上げると。
「今日も有り難うございます」
「ルサリエの笑顔のためですから」
 そう言って、二人はそっと唇を重ねた。
 気弱な紋章士・ヴァジル(c17963)は、エルフヘイムでレジスタンスと騎士団の仲介役として活動を行っていた。その一方で、都市国家を水路で繋ぎ、全都市国家で水不足が起こらないようにしようという大計画にも進んで着手している。
「まさか私がここまで率先して立つなんて……それもこれも私が成長した証でしょうか?」
 そんな彼の楽しみは、孤児院サンフラワーのみんなと祝賀会で会うことだ。
「はーい、みんなおはよー!」
「「おはよーございまーす!!」」
 愛を奏でる金糸雀・ロスヴィータ(c35354)は、魔鍵の妖精騎士・ヴィルヘルム(c35353)の経営する孤児院で元気に働いている。その傍には二人の子供達の姿も見えた。
「おはよう、ヴィー」
「あ。おはよ、ヴィルー♪」
 いつものように今日も、ロスヴィータとヴィルヘルムは日課のキスを欠かさない。
 昼は食事を夜はお酒を楽しめる飲食店『Liebste』を切盛りするのは、母の愛は強し・ユエ(c17467)。本当は自分も祝賀会に行きたかったのだが、店があるためなくなく留守番することにした。
 愛する夫と息子を見送り、後は開店準備をするのみ。でも気になるのは……。
「いいの? リア、一緒に行って来て良かったのよ」
 店の手伝いをかって出たパパママ大好き・イリアス(c36652)のこと。イリアスはそんなユエの言葉に首を横に振ると。
「ウチはママの手伝いがしたいんや」
 二人の顔に満面の笑みが浮かぶ。元気な声と共に、また店は開いた。
 エルフヘイム郊外の小さな村。そこに住む一組の夫婦がいた。
 最近の竜炎使い・ファング(c15842)の楽しみは、柔らかな隷嬢・オパミーコ(c16314)のお腹に宿る新たな命のこと。祝賀会に合わせてファングが用意したのは。
「ミーコと結婚して、子供もたくさん生まれて、俺にはたくさんの宝物が出来た。それに比べりゃ大したもんじゃないが、改めて受け取ってくれ。これからも俺のそばに居てくれな」
 この10年で少しずつ貯めたお金で作った、記念の指輪。
「出会ってから今まで、とてもたくさんの幸せをいただきました。どうかこれからも、ともによろしくお願いします」
 オパミーコは嬉しそうにそれを受け取ると、さっそく指に嵌めて見せていた。
 世界中を回って旅をしていた春潤す雨の・テオ(c21066)とプレナイト・ソフィー(c21512)は、故郷の村へと戻ってきた。
「……ねぇテオ、お話したい事があります。わ、わ、わたしをお嫁さんにして下さい」
 ソフィーの告白にテオは驚いた表情を見せたが、すぐに嬉しそうにソフィーの頭を撫でた。
「先に言われちゃったな……この村に戻ったら、夫婦として君と暮らしていきたいって思ってたんだ。今までもそうだったけど、これからもずっと隣にいて欲しい」
 そういって、二人は強く抱きしめ合った。
 天桜爛漫・パルシェレート(c12136)が個人経営しているエルフヘイムのとある孤児院。
 そこにたっぷりと稼いできた一笑懸命・ヴァント(c18172)が帰ってきた。
 二人の子供達がそれを出迎え、一層家が賑やかになる。そんな様子を見て、パルシェレートは思わず口にした。
「パル、とっても幸せだぞ! でもね一番は、ヴァントたんと一緒に生きていける事かな」
「くうっ! さすが俺の嫁!!」
 ヴァントはパルシェレートを抱きしめ、共に居ることを改めて決意したのだった。
 アウトロー・トリエラー(c02678)は、天光の騎士・フィン(c32563)と並んで買い物を楽しんでいた。
「はぁ、まだ仕事の途中だったのに……」
「こうでもしないと、祭りになんて出ていかねぇだろ。働きすぎだ」
「そ、そんな事ないよ。終わったらちゃんと行くつもりだったし。でも……ありがと」
 その後、二人で懐かしい者達を思い出し、彼らに会いに行こうと盛り上がっていた。

 コードネームはラントワール・セレス(c02606)は、バルバ親善大使として、人とバルバを繋ぐ役職に力を入れていた。書籍管理をする永世の黒・オルティウス(c20113)もその手助けをしている。
 そんな中、二人の間に生まれた子供は6歳を迎えていた。
「エンドブレイカーになってもおかしくない年ですね」
「脅威は去っても怪我はさせたくないのだがな」
 子供の成長に目をみはりながらも、幸せな日々を過ごしているようだ。
「久し振りじゃな。挨拶も土産話も、旨い酒と共に語るがよい」
 鉄山候・エルムリヒ(c01495)は、息子の幻奏卿・ハインリヒ(c02642)を部屋へと出迎える。ハインリヒは報告を兼ねて、これまでの物語を歌い上げた。と、そこに酒瓶とグラスが運ばれてくる。「さて何に乾杯する? 過去の武勲か、それとも……」
 そういうエルムリヒに、ハインリヒは、にっと笑みを浮かべて。
「ではこの物語に乾杯を!」
 古き知識を読み求める者・キール(c20632)は、六英雄とアヴィンの物語を正確に記録するため、遺跡に行ったり、勇者ラズワルドや此華咲夜若津姫、創世神イヴから話を聞きながら、書物に残す作業をしていた。元の図書館司書に戻ったといった方がわかりやすいだろうか。
「さて、そろそろ時間ですか。今日はVIIさんが新作を出すと聞きましたし、どんな銀細工を作ったのか楽しみです」
 さて、話題に上がった灰彩狼・ズィヴェン(c20573)は、店に新作の銀細工を並べるのに忙しそうだ。ふと、ズィヴェンは手を止め、隣で手伝う荊棘色戯曲・リーフ(c14700)を見た。
「後、俺がドッカ行く時ァお前も道連れダぜ?」
「……師匠こそ、何処かに行ったりしないで下さいねッ」
 リーフが最高傑作を作り上げるのが先かは、神のみぞ知る話である。

「いってらっしゃい、あなた」
「ああ、行ってくる」
 黒影の重騎士・ジョルディ(c00919)はそういって、風抱く射手・リラ(c09433)に出撃前のキスを送る。ジョルディは、都市警備隊指南役と新設の部隊『外世界救援隊』隊長を兼任していた。
 傍には9歳の息子の姿も見える。
「征くぞジョナ! 我々重騎士の本分は……守りに有り!」
 その言葉を受け、元気よく頷く息子の姿にジョルディは満足げな笑みを浮かべた。
「ジョナ、お父さんをちゃんとサポートしてあげてね」
 そして、彼らは旅立つ。外世界で戦っている仲間の元へと。

●都市国家の日常〜水瓶の都にて
 アマキツネの・カケル(c05038)とレディハイウインド・ユリシーズ(c01014)は、手に手を取り合い、背に子を負って領地の屋根を飛び移る。やがて一番高い場所から見下ろした先には、シレーナの街並みが広がっていた。
「いい? 父さんの言うことをよく聞いて」
 そうユリシーズが促せば、幼い子供たちはこくんと頷く。
「大丈夫だ、自分の思う道を進めばいい」
 世界は人々の意志や願いから形作られている。そう語って、カケルは慈しむように子らを見つめた。
 また、別の街では。
「こーら、早く準備しなさい! 言うこと聞かないと、お祭りでお菓子買ってやんないぞ!」
 可愛い子と楽しいことが好きな・オリヒメ(c33287)は5人の子をそう叱りながら、窓の外を見やる。
「さぁ、パパに会いにいくわよー」
 祝賀ムード一色の街では、きっともう騎士団長の素敵な顔をした彼が待っている。
 真紅の銃撃者・リディア(c17248)は、温泉街建造のための指導者育成に力を入れていた。その合間、ふとした時間に、彼女は遠い世界で戦う父のことを想う。祝賀会で会えたら、その時は。準備した武器と防具にちらと目をやり、短く息をついて、リディアは執務へと戻る。
 緋燕飛舞・ローザ(c01277)は、夫の名代としてアクエリオに駐留していた。水上ホテルやゴンドラ業の運営に手腕を発揮する傍ら、ふたりの子供を育ててきた彼女は、娘の髪にリボンを結びながら感慨深く呟く。
「この子達もアクスヘイムまで行けるようになるんだ……」
 これからは、子供たちと一緒に夫に会いに行ける。それが、何より嬉しかった。

 旅の間に出会ったいくつかの少数民族をまとめ、彼らの領主となった護剣・リスト(c01364)は、今日この時で旅人は終わりだと言って笑う。そんな友人の話を聞いて、夢物騙り・ロウェル(c13367)も音楽と芸術の街を作ることになったのだと自身の近況を語る。
「お前の街は明るくて毎日が華やかだと聞いている」
「そうだ、祝賀会が終わったら私の街を案内しよう」
 それは、思わぬ申し出だった。喜んでと答えるリストの笑顔に、ロウェルは頷いて笑みを返した。
 天華の欠片・キリィ(c01934)はアクエリオに屋敷を移し、貴族としての生活を送っていた。
 少しでも多くの人が穏やかな日々を過ごせるように。そう願いながら、白夜に見る夢・キース(c00638)は公私にわたってそんな妻を支えている。
「忙しいね、キース。でも幸せよ、私」
 ふたりの愛の結晶を宿したお腹を擦りながらキリィが呟く言葉に、キースも頷く。戦いの記憶よりも、もっともっと沢山。これからは、幸福な記憶を作っていこう。
 紋章院の名誉学長としての講義、剣や魔法の教授と、彩風輪舞・フェルネス(c16239)はアクエリオの社交界で華麗な活躍を見せていた。けれど、それ以上に大切なものが今の彼にはある。
 最愛の家族の姿を思い浮かべて、彼は優雅に家路を急いだ。

 ちりん、と仕立て屋のドアベルが鳴る。訪れた客が親友の蜜契・エミリア(c12784)であることを見て取るなり、紡ぐゆびさき・リラ(c14504)は楽しげに笑んだ。
 ドレスを整えながら語り合うのは、懐かしい友達のこと、パパになった愛犬のこと、他にも色々。変わらない温かさにもう一度笑い合って、リラは紅薔薇をエミリアの髪に挿す。
「ね。次は私の番」
「さあお姫様、終わらない夢を見せてあげるわ!」
 請えば、エミリアは悪戯な笑みと共に白薔薇の冠を魔法のように取り出した。
 お得意様だけが相手とは言え、夜来香・ヘミソフィア(c03151)の仕立て屋は今までで一番の忙しさを迎えていた。それもその筈、もうすぐ街道開通の祝賀会があるのだ。
「……感傷に浸ってる場合じゃない、仕事を急がないと」
 ランプの光に目を細めたのも束の間、彼女はそうして今夜も針を取る。
 祝賀会の参加者からの注文を捌いているのは、トンファーの群竜士・ルフィア(c23458)の工房もだ。
 各都市のモチーフを取り入れた宝石細工のアクセサリーは、ガラスのアクエリオ様と並んで街の人々に大人気。長いリストを指でなぞって、ルフィアは新しい宝石を指でつまんだ。
 数年間姿をくらませていた雪翳・ギル(c22498)が戻ってきたのは、アクエリオの宝石工房だった。
 細工職人間での事業を支援し、また住み込み弟子を雇うことで身寄りのない子供を受け入れるなど、ギルの仕事はいち職人のそれに留まらない。
 そんな彼の傍には、黒白のコリー犬が家族のように寄り添っている。
 小さな洋服店を営みながら、ラングドシャ・ネミッサ(c18684)は慎ましい生活を送っていた。彼女が玄関まで見送るのは、不変蒼刃の軍士・フリューゲル(c08174)。両腕と背中に3人の子供たちをぶら下げたまま、フリューゲルは最愛の妻に微笑んで。
「ミッサ、いってくるね?」
「いってらっしゃい、フーくん♪」
 ようやく子供たちを下ろした彼も、今では迷彩服から妻のお手製コーディネートに着替えている。
 そうして護衛任務に赴く彼に、ネミッサは気を付けてねのキスをひとつ。子供たちを抱き寄せて見上げた空は、青く綺麗に澄んでいた。

 ラーラマーレの街を、一風変わったゴンドラが行く。漆黒ノ竜・リューウェン(c02487)の操るそれは、『花竜庵』の夏限定支店を兼ねた特別船。ゴンドラでの優雅なティータイムは、観光客にも大人気だ。
 これからもこの船を、店を大切な人と守っていけたらと、リューウェンは眩しい天を仰いだ。
 少し大人を知った・シンシア(c05622)は、間近に迫った料理店のオープン準備に追われていた。元々こんな予定はなかったのに、巡り合わせとは不思議なものだ。
 祝賀会の日に合わせて開店する彼女の店は、皆に美味しさを届ける幸せの店。料理修業の日を思い返しながら、シンシアは改めて袖をまくった。
 色めき立つ往来を小料理屋の窓越しに眺めて、アブソルート・フェイ(c02600)はあれやこれやと昏鐘・セシリオ(c14450)に話しかけてみるけれど。
「ねー、聞いてるー? ……んー、今日も美味しい。……ていうか腕上げた?」
 作る料理を後ろからつまんでやると、ようやくセシリオも振り返る。
「お前は変わらねえなァ」
「そう? 変わったと思うけど」
 笑い合いながら、互いに思う。この穏やかな10年は、誰のおかげだろうと。けれどそれを口にはせずに、ふたりの男はもう一度ただ笑った。

 星空のように優しい歌声が、街外れの店から聞こえてくる。ここは、燦然世界・ニヒト(c05909)の蜂蜜料理専門喫茶。かつてマギラント大祭で好評を博した『蜂蜜祭都ハニーアクエリオ』を看板メニューに据える隠れた名店は、今日もひっそりと繁盛中。
 寡黙な母娘が稀に披露するデュエットも、店の密かな名物だとか。
 立派なお菓子屋さんを目指して新作の開発にいそしむ導く灯火・ニコル(c11346)を、芯の強い娘になった蝋燭の正しい消し方・ニャルラ(c08107)が陰ながら支える。そんな生活が10年目に入る中、いよいよ迫った祝賀会のことを語らいながら、ふとニコルはニャルラを見つめて。
「二年後には成人だから、正式な結婚もその時かな? そのぅ……子供は何人くらいがいいかな?」
「ふふふ〜、成人したらすぐにでも〜って所ですかね〜? ……その〜、家族は多いほうが〜?」
 柔らかく、温かく、頬を染め合いながら。穏やかな時間が、過ぎていく。
 喫茶店兼情報屋として店を構えて早10年。皆が集まり、助け合える場所として、『Chat noir』は多くの人に愛されていた。
 不運に振り回されていた過去を思って、求む平穏拒むは不幸・タケマル(c25048)が苦笑を零せば、平穏無事とはいかないけれど・シャティニュエール(c36173)が不思議そうに夫の顔を覗き込む。何でもないと笑い、彼女の手を取って、タケマルはそのまま立ち上がる。
「じゃあ行くとしようか、シャティ」
「うん、そろそろ祝賀会に向かおっか!」

 エンブレ学院の教壇から、天鳴空啼狐・ソウジ(c00485)は狐憑・エヴァンジェリ(c05333)をじっと見つめる。そろそろ返事をと請うても適当に誤魔化す彼女に、ソウジは軽く天を仰いで歩み寄った。
「三十路を越えたガーディアンに、貰われてはくれませんかね?」
 言葉を受け、エヴァンジェリは彼の胸へと祝賀会の招待状を叩きつける。
「招待されてるらしいぞ、ついでだ連れてけ」
 それが、彼女の答えとなった。
 エンドバンカー・サイオン(c17807)と玉兎詩人・ファーレン(c26768)は、ふたりで住む場所を探して街を行く。
「お店から毎日船で通える距離で、水路の傍で静かで緑豊かで、庭とかも造れて……。欲張りすぎでしょうか?」
「いや、折角ですから理想は全部目指しましょう!」
 ファーレンが笑えば、サイオンがそう返してまた笑う。家は、サイオンに――ふたりにとって、特別な意味を持つものだから。指を絡めて、ふたりは家族の温もりを確かめ合う。
騎士団の休日に妹夫妻のもとを焔の騎士見習・カーティス(c22147)が訪れるのは、すっかり恒例行事となっていた。
 レーヴェ領主夫妻として星鍵銃士・アルトリウス(c00280)は土地復興や観光拡大に注力し、素直になれないツンデレ騎士・ティアリス(c22148)はランスを振るって民を守ってきた。そして、ふたりの間に生まれた娘と息子は――。
「うん、幸せだわ」
 何故かカーティスを追い回す娘を見守りながら、ティアリスは微笑む。
「鍵は僕に振るために渡したものじゃないぞ、一旦止まれ」
 家宝の魔鍵を向けてくる息子を両手で押し留めながら、アルトリウスも妻の言葉には頷いて。
 そして、小さな甥と姪を抱き上げてカーティスが呟く。
「これからもこのふたりの為に戦っていくと、誓うよ」

 移動菜園管理者・エリック(c15639)が10年の歳月をかけて育て上げた農園は、今では三人の妻とその子供たちを養えるまでの規模になっていた。
「ただいま戻りました。今日もいい感じに収穫できましたね」
 エリックと共に畑から戻ってきたのは、赤にして朱項蘭・ティア(c04056)。おかえりですよとふたりを出迎えて、白と黒の千変万化・シルヴィーア(c05614)が大きなお腹を撫でる。そんな彼女と順番にただいまのハグとキスを受けて、街の小さな郵便屋・カルミア(c23148)は頬を綻ばせる。
 けれど、次の瞬間彼女は慌てたように駆け出して。
「ぁ、いけない、シチュー焦げちゃう!」
 ぱたぱたと彼女が台所に消えてから数分、4人と子供たちは皆でテーブルを囲んでいた。
「2人目は僕が考える約束でしたね」
 そうシルヴィーアにエリックが言えば、妻たちの楽しげな視線が一斉に彼へと向かう。面映ゆげに頬を掻いて、エリックはゆっくりと唇を開く。
 優しく奏でるは妖精組曲の音色・エリーゼ(c06134)の経営する孤児院は、すっかり軌道に乗っていた。12歳の娘が彼女を手伝い、8歳の息子は楽器を奏でて幼子をあやす。
 そんな子供たちに笑みかけて、エリーゼは来るべき祝賀会に思いを馳せた。
 修道女エリザヴェータ・ルア(c28515)は、自らの修道院を拠点に救貧活動に身を捧げていた。恵まれない人々と接する日々の中で、彼女は思う。こうして生きて、人々のために働くのが、自分の使命なのではないかと。

 アインシルディゲリッター・クレーエ(c03948)の孤児院を一隊のキャラバンが訪れていた。

イラスト:四季野なつ・はる

「元気だった?」
「皆元気そうで何よりだ♪」
 オーバー・ヒィト(c06785)とフレジリングヘザー・クロシェット(c01679)が口々に呼びかけ、夕昏に灼く瞳・クィンベル(c16756)が子供たちへのお土産にと綺麗な石を取り出してみせる。
「祝賀会か――行きたいのは山々だが、うちのチビどもの世話はどうするかね」
「キャラバンの仲間が子供達の面倒見てくれるってさ」
 呟くクレーエに、すかさずクロシェットが笑ってみせる。良かったねと微笑むヒィトに、ふとクィンベルが目を向けて。
「ヒィトもすっかり頼もしくなって」
 言いつつも頭を撫でるのは、もはや癖のようなもの。照れたり不思議がったりと忙しく表情を変えながら、ヒィトは密かに3人を見回す。人生の先輩達にいつか並び立てるように、もっともっと頑張ろうと。

 ディオス研究第一人者・アズライト(c22348)は、放棄された下層地域の再生を目指して星霊建築の研究を続けていた。バルバに襲われることもあれば、各都市国家の情報交流に反対する人との交渉もあった。だが、止めるつもりなど元よりない。
 10年経っても研究は道半ばだが、これからも都市国家に貢献するため、愛した人たちの幸せなエンディングのため、身を捧げよう。そう、彼は思う。
 ゴーレム研究のために走らせていたペンを置き、二律背反・ネルフィリア(c25320)は小夜啼嬢・チェルシー(c31137)の帰宅を息子と共に出迎えた。互いの仕事を労い合って、そのまま家族のお茶会が始まる。
「是非聞きに来て、すっかり私の代表作と成りそうだよ」
 己の謡う歌劇の評判をチェルシーがそう語れば、ネルフィリアは愛しげに微笑んで。
「私が書いた脚本の歌劇ですからね」
 そうして、温かな時間が流れていく。
 アクエリオの秘密を解き明かすため、うっかりボコる群竜士・リチ(c33420)は探索を続けていた。マスカレイドが滅んだからと言っても、油断は禁物。
 入念な準備を整え、仲間を募って、彼女は今日もアクエリオの地下を目指す。
 むひょろぽう・ペンペロン(c03137)の働きの甲斐あって、アクエリオの人々には遺跡探索がスリリングなレジャーとして浸透しつつある。
「行くぞ皆、気合を入れろよ!」
 まだ見ぬ冒険に思いを馳せて、ペンペロンはぐっと拳を握った。

 夜蒼の星・ウィスカ(c06768)はアクエリオの交通技術発展のために力を尽くした。河川を利用した交通技術の他、水門と水圧を使った船舶の移動や開閉式の橋掛技術などを仲間と共に開発した彼女は、多くの弟子や同志に囲まれて今日も忙しく働いている。
 灰色の月・シャノン(c33282)もまた、彼女と共に交通と交易の発展に注力した者のひとりだ。仲間たちのサポートをこなしながら、シャノンは各地で同じ思いを胸に働く皆のことを思い出して微笑んだ。
 司書を務める傍ら、幻想書架の迷い人・シャオロン(c00633)はエンドブレイカーの冒険を文章に起こしていた。ふと見た窓の向こうには、余所からの客を自らガイドする水神の姿。
「神という自覚は何処いったネ」
 小さく笑って、シャオロンは再び机に向き直る。
 アクエリオに響く小さな朗吟歌・フィアレナ(c23015)は、来る水神祭、そして祝賀会の大混雑を予想しながら『Little Melodies』の社員にこう告げた。
「決して笑顔を忘れずに。我々ゴンドラ乗りはお客様を笑顔と唄でもてなし、お客様の心を運ぶ担い手です」
 アクエリオの星・リィナ(c01845)と銀に煌めく星灯り・ラテリコス(c03207)は、今もステラマリスで働いていた。家督も領地も手放して一緒に来たことを後悔していないかとリィナが問うと、ついて行かなければそれこそ後悔していたとラテリコスは答えて。
「これからもずっと、共に歩んでいけたら」
 そう、リィナの頬に軽いキスを落とした。瞬き、次にゆっくりと大きく頷いて、リィナは愛用の櫂を取る。休憩時間も、そろそろ終わりだ。

 堂島ハイローラー・アバンザ(c29157)は流しの商売を続ける傍ら、同業者のための組織を立ち上げて忙しく過ごしていた。そんな折、祝賀会の報せが舞い込んで。
「祝い事といえば私の出番、盛り上げにかかりますよー」
 顔を綻ばせて、彼女はギターを抱き寄せた。
 黒鬼・ダリス(c02328)の商売を、緋獄・カルディノ(c02329)が執事として、そして妻として支える。ふたりの間には、3人の子供たち。そんな時間を過ごしている事が、戦場で生きていたころには想像もできなかったとカルディノは思う。
「こんなに幸せで……これまでの戦いの日々が嘘みたいだな」
 妻に寄り添い、そう囁いてから、ダリスは資料を手に取った。街道が開通するのに合わせて、都市国家間の貿易を活性化させるためにも、まだまだ歩みは止められない。
「此処、クロノグラフも盛り立てねばの」
 遂に街道が繋がると聞いて、領主たる天嶺戀花・マグノリア(c09731)はそう呟いた。
「そうだな……道ができても、ここまで人が来なきゃな」
 耳かき捜査官・フート(c04482)も頷き、これからの未来を思う。水神祭目当ての観光客も、きっと増えるだろう。ならば実行委員長として、いい催しを用意せねばとも。
 そんな夫に、マグノリアは双子の頭を撫でながら笑みかける。
「皆が、この子達が楽しめるようなお祭りになると良いの」

●都市国家の日常〜紫煙の街にて
 領地の復興の目処がつき、廻り巡りて回帰せよ・ソル(c07090)は他領や他の都市国家との交易に力を入れていた。そんな夫をサポートする傍ら、廻るセントウレア・ナギサ(c21540)は活発に世界を飛び回っている。やるべき仕事は、いくらでもあるのだ。
 そして、ふたりの間には3人の子供も生まれていた。両親の外見や気質をそれぞれに受け継いだ子供たちとも一緒の賑やかな生活は、これからもずっと続いて行くだろう。
 農場経営アドバイザーとして、汎用人型音波兵器・ヒョードル(c14289)は農業振興に全力を尽くしていた。結果、この10年で収穫高は右肩上がりだ。
 夜には人々との親睦を深めることも、無論忘れない。乾杯の声が、今夜も響く。
 弟と世の女性だけの味方・エリック(c13978)も、領主として忙しく働いていた。
 今でもやることは多いが、領民の幸せな姿を見ていると、エリックにもまた笑顔が浮かぶ。
「女の子がそうだと特にねっ」
 楽しげに呟いて、彼は再びペンを取る。
 深紅の守護者・ミラーネ(c23762)と傍らに在りし黒華の姫君・キリナ(c26974)は、ラッドシティの新たな領主となるために赤薔薇領の騎士団を引退した。
 10年間務めた団長と副団長の地位を返上して向かう土地の名は、サンライズ領。それはミラーネの名から、そしてキリナのこれからの名から取られた地名だ。
「新天地へ出発だ!」
「これからも……ううん、一生よろしくお願いするね……旦那様♪」
 養子たちとも寄り添い合って、新たな生活が始まる。

 ヘキテン村で妻と子を得、灘の鬼将・マサヨシ(c32163)は穏やかに暮らしていた。
 麹産業によって、彼の村は街と呼べる程に発展した。だが、彼は己をあくまで領主代行と考えている。正式な領主への何度目かの誘いに苦笑して、マサヨシは村の景色を見やった。
 鳥曇・アサノア(c19009)は、領地の特産である作物を収穫するため畑に来ていた。我先にと巨大な西瓜に挑戦する子供たちを、ヴェルマーテ・パンペリシュカ(c33981)ははらはらと見守って。
「大きいのは、まだ、パパにお任せしよう、ね」
 案の定地面に転げて泣きわめく子に寄り添いながら、パンペリシュカはそう囁く。その横でアサノアが見渡すのは、笑顔と自然に満ちた領地の姿。随分賑やかになったものだと笑んで、彼は愛する妻の手を取った。
 シャーフ村の穏やかな時間を、ふわふわ眠り姫・ロゼリア(c00690)とおおきなリボンの・メリィメロゥ(c02401)は今日も満喫していた。羊を追ったり、雑貨屋を切り盛りしたり、併設の喫茶店でウェイトレスの仕事をしたり。けれど30を過ぎても、二人の危なっかしい言動は変わる様子をまるで見せない。
 そんな2人のため、と言うよりはむしろ村のため、ティアオイエツォン・アミーシャ(c02403)は実質の村長として政務や雑務を一手にこなしていた。
「……ん?」
 ふと見れば、窓の外にはサボって羊と昼寝している姉と村長の姿。
「……仕置きが必要なようですわね」
 びしりと額に青筋を浮かべて、アミーシャはゆっくりと椅子から立ち上がる。
 木を育て歩む者・フォムルス(c16410)は、山湖漁村の親方として堤防工事を完了させた。
「そろそろ村の運営から開放されてライブソイル探しの旅に出たいねぃ……」
 だが、すぐに投げ出す訳にはいかない。村の未来を見据えて、彼は頭を捻り始めた。

 アスルフロイライン・ティスカ(c10332)は故郷を離れ、杖の星霊術士・ミナ(c28404)の住むリンクイードで彼と結ばれた。
「『ミナちゃん』は止めろよなまったく……」
 子供たちからの呼び名にぶつぶつ文句を言いながらも街を巡回するミナの元に、お手製アイスを手にしたティスカが駆けてくる。どうやらひと仕事を終えて休憩しようとしていたようだ。彼女をノソリンの後ろに乗せて、ミナは巡回を再開する。
「結構板についてきたな、星霊建築士殿?」
「へへ、照れるね。ウチだけの力やないけど」
 のどかな語らいを乗せて、ノソリンはすっくりと歩みを進めていく。

 雪割りの花・カレン(c03490)は、領地に今日も木を植える。広大な森を作るという彼の夢が叶うまでには、途方もない時間がかかるだろう。
 だが、だからこそ彼は木を植え続ける。彼の死後になっても、森は大きく豊かになり続けてくれるだろうから。
 フェルプールの集落周辺の土地を買い取った数学屋・キッド(c02698)は、地域の開拓と維持に力を注いでいた。猫とフェルプールに囲まれたキッドの生活は、微妙に干からび気味ながらも幸せな笑顔から推し量れることだろう。
 彩茜樹・ピノ(c19099)は、周辺の領主たちと協力して地域の発展を目指してきた。
 その甲斐あって、今では更に多くの人が彼の領地を訪れている。
 さて、次は仲間たちにも領地の目玉をお披露目しよう。特製のショコラを前に、ピノはそんな笑みを浮かべた。
 治安の安定を目指した魔棘の赤弩・ルーファス(c30443)を、赤弩の守り手・テレーズ(c28377)が助ける。そう決めてふたりが10年守ったテレーズの故郷は、今や立派な街となっていた。
「10年前は、本当にスラムといっても過言ではない状況でしたのに」
「お前の故郷を、最高の街にしてみせる。……お前の笑顔には、いつも助けられてるからな」
 領主として夫として、ルーファスはそう誓う。頷いたテレーズの手が、ルーファスの手を握った。
 活人拳・ウァッド(c02372)のノラント村は、この10年で温泉街へと成長していた。どこからか上がって来た触手温泉の企画書を投げ捨ててから、彼は祝賀会に向けての更なる準備に頭を捻る。新しい宿が完成するまで、あと少し。
 ワインの産地として、また保養地として、雪下山水・ソフィア(c02845)のリーベフリードは育て上げられていた。彼女の傍らには、夫にして騎士団長の灼撃の・リョウ(c11025)の姿。
 祝い酒の提供、カクテル職人の手配、警備の配置。祝賀会についての長い打ち合わせをようやく終えて、ふたりはどちらからともなく見つめ合う。
 指と指が絡み合おうとしたその時、ふと視線を感じて振り向けば、子供たちがじっとふたりを見つめていた。くすりと笑んで、夫妻は子供を抱き寄せる。
 シュテルン領の守り手として、代世紡ぎ・アルスト(c19493)は領内の薔薇園の管理を行っていた。名物として誇れるだけでなく、大きな薔薇園の維持は雇用対策の一環でもある。
 祝賀会にはこの薔薇を持って行こうと鋏を鳴らす彼の横では、夜陰に咲く六花・ルーシア(c27132)との間に生まれた息子が同じように花を摘む。
 そんな2人を愛おしげに見守りながら、ルーシアもまた祝賀会のための料理を作る。傍らの、娘と共に。

 祝賀会は、芸術街アルテニアの本領発揮。そう思えば、木陰の詩唄い・ユリアス(c20700)の仕事には一層熱が入った。
 かつての子供たちが、今では街を動かす若手となっている。そのことにも小さく笑って、彼は領民たちに手を振った。
 チェリエーゼの執務室で、陽だまりの銀兎・フラヴィ(c14702)は難しい顔をしていた。祝賀会をどうやって盛り上げるかが、目下の悩みごとだ。
 楓奏風琴・アリス(c03143)はそんなフラヴィの頬をむにーっと引っ張って、アドバイスをひとつ。
「難しく考えずに貴女の楽しいと思う事をやればいいと思いますよ?」
 その言葉に頷いて、フラヴィは休憩にティーカップを傾ける。小さかった彼女が立派に領主を務めているのが感慨深くて、アリスは密かに微笑んだ。
 夢歌い・ヤクモ(c01272)は、観劇の郷と知られる自領で祝賀会の日を初演とする芝居の稽古に精を出していた。内容は、六勇者の旅の物語。
「来てくれると良いのね」
 勇者張本人に送った招待状のことを思って、ヤクモは再び稽古に戻る。
 議長・イェフーダー(c03663)は、今も議会の頂点にいた。彼女が今取り組んでいるのは、勿論街道開通記念祝賀会の準備だ。
 お祭り前の都市の熱気は、領主のひとりとして会議室にいるユリアスの表情からも窺い知れる。芸術街を治める彼は、この祝賀会で自領を大いに盛り立てようと意気込んでいた。
 スーツを着こなす大人になった小さな竜眼・カシム(c31419)もまた、議会の立法担当としての活躍を続けていた。イェフーダーと共に会議室全体を見渡す彼の目が、ふと花咲く正義・カレン(c01117)の方で止まる。丁度、彼女は勢いよく手を挙げたところだった。それを受けて、イェフーダーが彼女に発言を促す。

イラスト:MAO..AZ.

 出された意見にユリアスが笑顔で頷き、カシムも資料にペンを走らせる。これはケチっている場合でもないと、イェフーダーも軽く目を細めた。
 宵咲の薔・ユエル(c03933)も領主であり友人であるカレンを手伝って、あれこれと忙しく働いていた。この準備がひと段落つく頃には、約束通りふたりで買い物に行こう。ふと目に入ったリボンを売る店をしばらく見つめて、ユエルは誰にともなく笑う。
 緋焔昇華・シズク(c25988)は、大使館の一室から街を眺めていた。もうすぐ、街道が開通する。
「きっと、都市国家間を、人々を繋ぐ、大きな一歩となるでしょう」
 誰もが気軽に都市国家間を移動できるようになる。それが喜ばしくて、シズクはひとり微笑んだ。
 巡回判事長官に出世した灼滅の枝・エターナル(c05517)は、バリバリに犯罪者を捕まえる日々を送っていた。
「駄目よ、咎人さん……ここから先は行き止まり」
 弱きを助け、強きを穿つ彼女の放浪は、まだまだ終わらない。
 ラッドシティ警察犯罪課も、祝賀会の準備に忙しい。ドンチャッカとともに、棍の自由農夫・トマリ(c14000)はその最前線にいた。
 設営にプログラム作り、長老の暴走阻止など、やることは多い。額を拭って、トマリは街を駆け出した。
 流離いの・エルヴィン(c20729)は、今も犯罪課幹部の地位にいた。都市の復興と発展も、随分と進んだ。祝賀会が終われば、仕事も一段落つくだろう。ドンチャッカがたまの休暇に旅に出るなら同行しようと思いつつ、エルヴィンは執務に戻っていく。
 ラッドシティのピースメイカー・グレンフォード(c26732)は、その揺るがぬ正義を認められて騎士団の一隊を預かる隊長となっていた。
 彼の働きで、街の治安は陰ながら今日も守られ続けている。

「お茶をお持ちしました、マスター」
 外務大臣としての旅行記を閉じた宵桜・リーゼロッテ(c24177)の執務室に、暁風・サーシス(c18906)がそう言って入ってくる。
「ありがとう、名前で呼んでくれてもいいのに」
「あなたのお仕事中は、こう呼ばせてください」
 拗ねた表情で返した後に笑みを浮かべれば、夫たる人は我儘でしょうかと首を傾げて焼き菓子を並べる。それを手伝うのは、5つになる娘。家族3人の時間が、始まる。
 境界の護り人・ガーランド(c26922)は、警察や自警団とは違った形でラッドシティ辺境を守護していた。密猟者を捕らえた彼の元に、空駆ける太陽・シルグ(c30756)が駆けてくる。
「ただいま。警察呼んできたぞ!」
「おっと、シルグさん、お帰りなさい」
 運び屋として働きつつ、シルグはガーランドの活動を手伝っている。誰にも住みやすい都市を目指して働きながら、ふたりは来るべき祝賀会に思いを馳せる。
 母と父、それぞれの責務を共に継いであちこち飛び回りながらも、蛮族令嬢探偵・アリス(c34059)は探偵であることを諦めていなかった。押しかけ探偵助手・ヒルデガルド(c33828)に預けた事務所に戻るなり、彼女は瞳を輝かせて。
「ヒルダ君、事件ですの!」
「今度はちゃんと報酬あるんだよね? 先生は貴族でも、ボクは生活かかってるんだよ?」
 惣菜売りで事務所の運営費を稼ぐ助手の小言は笑顔でかわして、アリスは颯爽と走り出す。

 自鳴琴探偵・フィリプス(c02017)がオルゴールギルドを立ち上げてから、13年。街もギルドも、すっかり立派になっていた。
 祝賀会のため、今までにないオルゴールを作ろうと、フィリプスは職人たちと共に寝る間も惜しんで働いている。
 昏錆の・エアハルト(c01911)と弟子たちが総出で作っているのは、エンドブレイカーのエンブレム。
「よし見せてみろ」
 弟子のひとりが差し出す完成品に慎重に目を凝らして、彼はひとつ頷いた。きっとこの紋章が、皆の存在証明となる。
 黒の野獣・レジェロ(c04702)と白夜・ラビ(c03369)の店は、祝賀会直前ということもあって今日も大繁盛。各地の雑貨や細工を扱う店には、老若男女さまざまなお客の来訪が絶えない。
 中でも人気なのは、ラビが手ずから作った旅靴だ。
「これからもふたりで、色んなとこいって仕入れして店でかくしてこう、な!」
「俺はガーディアンだからなあ。一生ずっと、お前を護ってやるぜ」
 顔を見合わせて、ふたりはにっと笑い合う。
 魔道書から花を・リオ(c27473)は、ステンドグラスのような虹色の装丁の魔道書を手にひとつ頷いた。ようやく完成した魔道書の力は、まだごく弱い。
 表紙をひと撫でして、彼は館長室の扉を開く。すっかり立派になった書架が、そうして彼を出迎えた。
 漆黒の・クシィ(c07777)は、技術研究に没頭する日々を送っていた。
「将来的には、外世界のような宇宙船を作ってみたいね」
 機械好きのクシィにとって、それは心を惹かれてやまない技術。夢に向かって、彼の挑戦は今日も続く。

 十数年前からの馴染みのパブで、酔いどれ大工・ロレンス(c07016)は杯を傾けていた。
 同じテーブルには、おしどり夫婦となった灰白小鳩・ロシェ(c06958)と夜曲ニ舞ウ銀隼・カミリア(c25120)が座っている。劇団に移動食堂に旅大工、それぞれの近況を報告し合いながら、3人はゆっくりと杯を進めていく。
「今回の大道具も大好評でした!」
 先の巡業でロレンスに頼んだ仕事を絶賛するロシェが、彼に父親を重ねて見ているのは、まだ秘密。そんな夫を愛しげに見つめ、カミリアは子供たちと一緒に悪戯っぽく彼をせっつく。
「……ロシェ、そろそろ準備しないと間に合わないんじゃない?」
 祝賀会での上演まで、もう少し。
 青空の下、顕栄の燈・ジークリット(c29208)は錬金術の教室を開いていた。知識と言う財産を隠して溜め込むのではなく、一般に浸透したものに。そんな目標のもと、彼女は子供たちにせがまれるまま、今日もその技を語り教える。
 地狂星・メランザ(c26024)は、近隣の子供たちに武術を教えて暮らしていた。彼女の家には、いつからか1匹の狼が住み着いている。だが、彼はいずれ別の場所で子を育み、死んでいく。その生命の循環を教えるのも己が役割だろうと、メランザは思う。
 辺境近くの宿屋、宿屋『紫と緑の龍玉亭』。そこは魔鍵の星霊術士・キャロル(c27596)が切り盛りし、黄龍に近づきし者・ヘカテイレス(c00644)が名物料理を提供する冒険者の宿だ。
 最近は宿の評判も随分と上がり、ふたりの生活は順調そのもの。群竜士の訓練に食堂の手伝いにと朝晩駆け回る息子のことも、祝賀会の日には仲間たちに紹介しよう。もちろん、とびっきりのおもてなしも用意して。
 祝賀会にはお酒がつきものと言うことで、翠玉の渡り風・ユラ(c06069)は経営するパブの酒蔵を開け放つ。
「10年もののお酒、ぜーんぶ振舞っちゃうわよ!」
 ケチってどうするのよと気前よく笑って、彼女は早速状態チェックに取りかかった。

 泥む朱・エノヴァ(c21549)の来訪に、目映・トゥエトリーナ(c03874)は驚いたように瞬いた。施療院に彼が何の用かと思えば、彼は幼い子供を連れていた。どうやら祭りの準備ではしゃいでいるうちに怪我をしたらしい。安心させるように身を屈めて、トゥエトリーナは治療を始めた。
 生家では見送ることしかできなかったが、今は違う。そう言う彼女に、エノヴァは彼女らしいと笑って。
「あのさ、祝賀会の当日ってあいてる?」
 誘いには、柔らかな笑みが返ってきた。
 預かる子供たちと一緒に、夢見る星・エヴァノ(c06472)は祝賀会の準備を進めていた。はしゃぐ子たちの、この笑顔を守ることが自分の務めだと心得て、エヴェノもまた、笑う。
 そんな彼のもとへ見物にやって来たブラックヒストリー・フィリアス(c03260)の仕事は、便利屋組合の組合長。
「ふふん、工作なら便利屋様にお任せさ!」
 そんな彼女が何者なのかと問われれば、エヴァノは満面の笑みを浮かべて。
「フィリアスは僕のお嫁さんだよ!」

 かつての修行を活かし、やさし葉の森の・シレラ(c11722)は薬草医として貧困層向けの施療院を営んでいた。
「皆さんが健やかに生きられること。それがわたしの生きがいなのですよ」
 街を見守りながら、シレラはひとりそう呟く。
 君に捧げし金の翼・ヴァルイドゥヴァ(c01891)は、屋敷で猫たちの世話をする日々を送っていた。
「お互い家族がいっぱい増えたね」
 そう話しかければ、年老いた最初の家族が短く鳴いた。庭先では、ひとりと1匹の子供たちが今もじゃれている。
 ブランドオーナーとして築いた富を元手に、ラヴーシュカ・リュドミル(c18973)は子供の貧困対策を進めている。将来世界を担う彼らに、惜しみない投資を。そんな思いを胸に秘めて、彼女は駆け寄って来た子供たちに笑みかけた。
 人を救うことを信条とするラッドシティ警察犯罪課・カイン(c22309)は、ボランティアも積極的に行っていた。その活動を買われ、警察に新設されたボランティア課の長に就任した彼は、家で待つ娘の笑顔を心の糧に今日も働いている。
 ノソリンに乗ったおじさまと娘が、貧しい子供にお菓子を配って回る。そんな噂の根元には、毒芹の粮・ラグランジュ(c02051)とその指先で支配する・リフィンエリザ(c20694)がいた。
「次はお祭りの日にくるよ。さあ、お菓子の準備だリフィン君!」
「仕事が終わったら私たちもお茶にしましょうね。おじさま用の『特別』なお菓子がありますよ」
 ウィンクで子供たちに別れを告げて、ふたりはそのまま帰路につく。やりくりは大変だけれど――今の生活は、幸せだ。
「8人ってお前……」
 兄夫婦の八度目の出産祝いに駆け付けながらも、氷晶の十字架・クロイツ(c01293)は呆れの色を隠さず呟いた。紫晶の車輪・クラウベルト(c20394)は、そこへさらりと訂正を入れる。
「8人目と9人目の子だ」
「ぇぇぇええ!?」
 驚く義弟に、ハンマーの天誓騎士・プリン(c36750)は双子を抱いたまま笑って。
「目指せラグビーチームですよ」
 開いた口が塞がらないと言いたげな顔をしつつ、クロイツがお祝いのフルーツ盛り合わせを差し出せば、夫妻は同時に唇を尖らせる。
「酢昆布じゃないのかよ……」
「こういう時は、酢昆布でしょう酢昆布」
「普通酢昆布渡さんだろって!」
 これからもきっと、この騒がしくも心地よい時は流れていく。

 酒場で酔い潰れた奏歌流朗・サラ(c30116)を、夜天・イニス(c28397)は黙々と彼女の家まで運ぶ。
 何故こんな世話をしてくれるのかと苛立ち気味に問われて、イニスは胸の内で自らの想いを数え上げる。そして。
「遅くなってすまなかった。結婚しよう」
 しばし、沈黙。
「文句言ってやろうと思ったけど、惚れた相手にそんな申し訳なさそうな顔されたら流石に言えないわ」
 返事の代わり、サラはイニスの唇に口付けた。
 アイゼンベルクの狂犬・ゼスティア(c00269)の生きる場所が戦場であることは、今も変わらない。だが、そんな彼にもひとつ変わった点がある。
 子供たちが寝静まった頃を見計らい、彼は孤児院の扉をくぐる。そこには、孤児院の主である禁色を纏う獣・インディア(c04103)がお酒と温かい食事を用意して待っていた。
「……タダイマ」
「おかえり」
 それは、いつからか特別になったふたりの言葉。ふたりの場所は、ずっとここにある。

 隆盛なる・セッド(c07215)は、警察のお世話になっていた。喧嘩やセクハラで時折連行され、その度血気盛んな人々と牢屋で仲良く生活している彼が警察を住まいにしているというのは、本人曰くあくまで噂。
 素敵な齧られ帽子の・ゼルガ(c01231)の任地に、ある日獅子搏兎・ライソウル(c18155)がひょっこり現れた。
「……黒いの、唐突な訪問だな」
 変わらぬ悪戯好きを笑えば、やはり変わらぬ笑い声が返る。
「見つかったか? ……野暮な話、だが」
 問われて、ライソウルは困ったように顔を歪めた。
「……バァカ、気づいても言うなッての」
「いつかは、見つかると良いな」
 彼の旅の目的を指して、ゼルガは呟く。声に、ライソウルはただ空を見やった。
 戦いの後、野良烏・ロシェス(c02005)はひとり故郷に戻っていた。貧困街の面影は、そこには最早ない。陰ながらの尽力の結果に目を細め、ふとロシェスは思う。
「久々に会いてーなー」
 祝賀会の日には、旧友たちにきっと会える。
 スイカランナー・カヘル(c03172)は、世界の瞳を利用した運び屋を続けていた。街道の開通は、もうすぐだ。
「……その時は私はお役御免かな」
 その思いは脇に置いて、カヘルは再び走り出す。次の仕事は、各地の仲間に祝賀会の招待状を配ることだ。

●都市国家の日常〜三塔のもとで
 マギラントでは、エンドブレイカーたちの働きもあり、三塔が共同で事業や研究を行う機会も増えてきた。クライブリック家の当主となった音紡ぎの六絲・ノード(c05310)も、そうしたエンドブレイカーのひとりだ。
 彼らの呼び掛けには、技術者や研究者となったエンドブレイカーも数多く集まった。
 そのひとりとして、衝天する鋼鉄・ハイゼルレーテ(c23907)は銀の塔で開発中のメイガスの図面を持ってやって来た。
「私だけでは流石にメイガスの自作までは辿り着けないと思いますが、皆さんで協力すればきっと!」

イラスト:渡辺純子

 瞳を輝かせて言うそう彼女に、未知なる大剣士・ルイフォード(c25171)が笑みかける。緑の塔で彼が現在行っている研究は、自然との共生に関するものだ。彼の見せた資料を興味深げに読んでいた荒野の山羊使い・セヴェルス(c00064)が、ふむと顎を擦って。
「自然の傍に居ることで若さを保つ、か。魔術的にも検証してみたい話だね。だが、ここの計算は――」
「そこは、まだ考え中なんだ。でも――」
「おや、それなら解決法は作れますよ? 銀の塔でこの前開発したのですが――」
 活発に議論を戦わせる仲間たちを、ノードがゆるりと見守る。一領主としても、この賑やかさが頼もしく思えたのだ。
 研究会を終えて共同研究室から出たセヴェルスを、思わぬ客が待っていた。ふらりと訪れたスタァダストインクルージョン・シャロン(c03375)が、久しぶりと艶やかに笑む。10年の歳月がたっても、彼女の美しさは変わらない。
「遺失魔術、失われた音。わたしには、新しい音」
 旧友の研究内容を聞いたシャロンは、楽しげに歌声を響かせた。
 瀟洒な血濡れの従者・フレイ(c00306)は、黒の塔主のメイドとしての仕事に専念していた。祝賀会前の忙しさに、時には休みたいとも思うけれど。
「はーい。今行きまーす」
 塔主の呼び出しに、メイド長候補は即座に駆けて行く。

 ココウノケダモノ・ガルシア(c05652)は、世界の将来を見据えた事業に着手していた。それは、各都市国家の詳細な地図の作成と販売だ。
 街道が開通し、都市国家間の交易が活発になれば、きっと彼の地図が役に立つだろう。
 自由騎士を退いた朧銀・メリザンド(c26269)は、故郷に戻って小さな図書館を運営していた。主な蔵書は、両親から受け継いだ薬草学の書だ。
 植物の専門書ならここが間違いないと謳われるその場所で、彼女は静かに暮らしている。
 白妙の亡霊・ヴァリオ(c29255)は代筆業の傍ら、猫屋敷の世話をして暮らしていた。
 知識欲を満たしてくれるこの都市での、静かな生活は悪くない。家族や友達に囲まれて幸せそうな愛猫を眺めながら、ヴァリオはそう思う。
 『どじっこ何でも屋』の看板を掲げる紫色の眼鏡どじっこ皇女・ヴァゼル(c13187)は、今も変わらず敏腕どじっこ男の娘として活躍していた。様々な問題を解決したり、時には拡大させたりしながら、彼はのんびりとした暮らしを楽しんでいる。
 五年前に実家の古書店を継ぎ、朝露の調べ・ヴィンテ(c33589)は各都市国家の書物を手広く売っていた。
「この本はこの棚に……目録を作り直さないと」
 個性豊かな書物たちを求めるお客で、彼女の店は今日も賑わっている。

「無事に帰って来てくれて、良かった……逢いたかった」
 帰宅した黒鋼・エドガー(c01811)を、白皙・サージュ(c00336)はそう言って迎える。地下施設の主たる研究者の表情ではなく、妻としての表情を浮かべる彼女を、傭兵団長の仕事に出向いていたエドガーは愛しげに見つめて。
「さぁて、それじゃ会えなかった分、たっぷりと抱きしめようか」
 子供たちの呆れたような視線も構わず、エドガーは家族を纏めてぎゅっと抱き締めた。
 マスクド・ヴァイダー(c20526)は、奥様は自由農夫・マルチナ(c32852)とタリスの小さな呉服屋で平凡に暮らしている……というのは、仮の姿。
「待てぇい!」
 夜の街での騒動に、颯爽と仮面の男が駆け付ける。それは牙なき者にとっての希望、悪にとっての絶望だ。
「何かあったら正義の味方は来てくれるのに、父ちゃんはすぐ逃げる……」
 そんな息子たちのぼやきに、マルチナは謎のヒーローの正体をいつ明かそうかと微笑んだ。
 夜機巧少女・ルミティア(c30986)が拓いた土地は、かつては放棄領域だった。だが、今では三塔のあらゆる分野から人が集う職人街として活気を見せている。
 だが、これは夢の出発点に過ぎない。ぐっと拳を握って、ルミティアは天を仰いだ。

●都市国家の日常〜天津太刀の都にて
 ホウチョウボリの領主兄妹、祭祀の炎剣・タイガ(c25304)と星詠の炎剣・ツバキ(c34798)は領地の港を感慨深く眺めていた。豊富な魚介と名産の包丁が作り出す魚料理のおかげで、最近は観光地としても発展してきた街だ。
「いやあ、立派なもんだ」
 婚約者のツバキを抱き寄せながら、紅蓮の如く・オータム(c34500)も息を零す。力仕事の現場で先頭に立ってきた彼もまた、復興の立役者のひとりに相違ない。
 けれど、ある意味ではここからが本番だ。他の都市との交易に、技術交流。それに。
「そろそろ僕も告白しにいこうかな?」
 兄の言葉に一度瞬いて、ツバキは微笑む。
「オータム、お赤飯も追加で用意して頂けますか?」
 今より幸せな未来の予感は、遠くない。

漢字で書くと山岡志津摩・シヅマ(c25203)は、自領『若竹の里』の開発に力を注いだ。武に生きてきたシヅマにとって、慣れないことだらけの事業ではあったが、友人や民たちの協力で里は美しく発展した。
 その里へ難民の受け入れを手配する傍ら、神楽の火公子・ヒュウガ(c25201)は火神楽神社の主として祭祀を執り行い、また妹のホークウインドと呼ばれたい・スナ(c25202)と協力して文献調査をも進めてきた。土地に対するわだかまりの解けた、心からの笑顔で兄の仕事を見守りながら、スナは人々に手を差し伸べ続けている。
 そして、牙持つ灰色鴉・ログレス(c00473)にとってもアマツカグラは特別な地だ。亡き妻の愛した都市国家に腰を据えた彼は、生き別れていた娘夫婦と孫に囲まれ、楽隠居の身を満喫している。
 猛る烈風・アヤセ(c01136)の治める花咲郷を家族と共に訪れた翔る疾風・セナ(c02046)は、思わず感嘆の息をついた。祝賀会のために育てられた花々が一斉に咲き誇り、さながら花の絨毯のようになっている。
「立派になったね」
「うん。セナの神社も」
 違う土地で違う仕事に就きながらも、双子の交流が途切れることはなかった。互いの心を支え合って、ここまで来たのだ。祝賀会の日には久々に酒を酌み交わそうと約束して、ふたりは笑う。

 夜ヨリホカニ・サツキ(c31518)は、各地域からの情報収集と発信に重きを置いた活動を続けていた。復興が進んでも、各所にまだまだ問題はある。よりよい都市を作るため、それらの解決に向けて、彼女は今日も都市を駆け巡る。
 芙蓉の街の領主となった水天武侠・ソーヤ(c03098)は、住民たちと協力しながら祝賀会の準備を進めていた。あれから十数年、芙蓉の街は観光と芸事の地として順調に発展を続けている。
 学問と武芸。それが、卯花残・シャクナク(c25296)と華節陽伯・スイエン(c25289)が領地で奨励する2つの柱だ。自衛の技としてシャクナクが武芸を教え、スイエンは神楽巫女として人々を導く。
 そして、ふたりの間には4歳になる女の子が居た。父から色を、母から質を受け継いだ髪を揺らして笑いながらあちこち跳ね回るやんちゃな我が子に、ふたりは同時に笑みを零す。
 アヤヌイ領主と古書店主を兼ねる鳴弦の巫女・アサキ(c07497)は、多忙な日々を送っていた。領地の仕立物は評判となり、彼女のもとにも仕立ての依頼はやまない。夜なべ仕事の最中、泣きついてきた子を抱き締めて、彼女は祝賀会の日を想う。
 月の音色・メイプレティオ(c30067)は、彩音の里の住民たちで結成した楽団の練習を付けていた。祝賀会では、式典を盛り上げるための演奏を行う予定だ。
 音楽の里として祝いに彩りを添えるため、彼らは楽器に想いを込める。
 ジギタリスの花の鈴・ピアナ(c05698)は領内の児童保護と女性の地位向上に務めていた。
 本人の意思に反して苦界に居る少女を、ひとりでも多く救いたい。その思いを胸に、ピアナは日課のパトロールへと向かう。
 実家を復興させた孤黒・アオイ(c25344)は、人々が貧しさを理由に手を汚す事の無い、豊かな国を目標に働いていた。食料供給、治安維持、そして――婚礼を挙げ、子を成した。彼女を慕う領民たちの笑顔が、今日も街には溢れている。

 阿麻美許曽の八咫烏・アマミ(c02063)に、故郷の記憶はない。
「これがかつての姿であったのか……?」
 だが、自らの手で再興した社は今、都市国家中でも名を知られるものとなっていた。人々の賑わいに耳を傾けて、アマミは感嘆の息をついた。
 陽焔の媛・ヒノエ(c25219)は故郷に戻り、復興に尽力していた。その傍ら、失われた歴史や伝承の再編纂を行い、アマツカグラの伝統を守る活動にも熱心に取り組む彼女は、復興に研究にと忙しく過ごしているらしい。
 孤月・センリ(c25623)は、戦乱の犠牲となった無縁仏の墓守を自ら買って出ていた。休憩がてらに村の寺子屋に向かうと、丁度こちらも休憩に入ったらしい白刃・コノエ(c25641)が出てきたところだった。なんとはなしに同道すれば、やがて辿り着いたのは天花・シュンファ(c02349)の建てた社。小さい、けれど祈りと憩いの詰まったその場所で、3人はしばし言葉を交わす。
 と、そこにふらりと現れる2つの影。振り向けば、珍道中――もとい、武者修行の旅を続けていた朱刃・アトリ(c00843)と天藍・セイラン(c04867)が立っていた。これまでも月に一度程度は村に顔を出していたふたりだが、今回は街道開通記念の祝宴に合わせて帰ってきたらしい。
「楽しげな子供達を見ていると、此方まで温かな気分になってきますね」
 そう言って、アトリはコノエの教え子たちと声を立てて遊ぶ。その様子を見守りながら、セイランとセンリは杯を合わせた。復興した郷の姿に僅かに、けれど確かに笑みを浮かべる友の横顔に、センリもゆるりと口元を緩めて。
「どうかこの平穏が末永く続きますよう」
 呟くコノエの言葉に、シュンファが深く頷いた。この手で取り戻してきた平穏が、こんなにも愛おしい。

 星火燎原・コハク(c26292)はエンドブレイカーとして胸を張って故郷に帰ったのち、実家の神社の再興に成功した。10年の歳月が経った今、離れた人が戻り、新しい人を迎えた街と神社は、元の賑わいを取り戻しつつある。
 黒瑪瑙の月の・フレドリカ(c26075)は、夫と共に下町で学問所を開いていた。基礎の学問のみならず、望む人には惜しまず紋章術を授けた彼女の働きで、アマツカグラの魔想紋章士は大きくその数を増やしたという。
 ガッコの先生・ネイハム(c36139)の料亭は手頃な価格で美味しい料理が食べられるとあって、近所の人々の憩いの場となっていた。そんな彼も、祝賀会の準備には裏方として参加するため、店の裏口を潜ろうとして。
「動ける人は頑張って動いてもらわなくちゃ」
 身重の妻、先生の教え子で嫁・ミスティナ(c36140)を振り向けば、檄と共にお弁当を差し出された。愛妻弁当を手に、ふたりの娘にも見送られて、お父さんは今日も頑張る!

 心情涙・フレス(c09173)が構えた小さな店も、今ではそれなりに大きくなっていた。
「ヤツには感謝って所か」
 人気商品のひとつをちらと見て、キセルの煙を吐き出す。遊びを待っている我が子のためにも、とフレスは店の仕事を急いだ。
 宴会好きの破戒坊主・エンカイ(c29015)は、マギラントとの貿易の売上で寺院を建て、その主となった。訪れるエンドブレイカーの宿として繁盛する立派な宿舎を眺めて、彼は満足げに大声で笑う。
 想義塾塾長・エドワード(c06131)は、12年前に開いた想義塾で若者たちと世界の復興、発展について論じ合う日々を続けていた。そんな折、祝賀会の報せを受けて、彼は微かに笑みを見せる。
「ではこの日は全休講とし、宴に参加しよう」

 主を失い、生きる道に迷った者。平和の中で、己の意義を失った者。そうした忍たちを集めて、朧千刃・シグレ(c25987)は小さな里を興していた。首領格として若い忍たちを導きながら、シグレは平和な日常のありがたみを噛み締めている。
 駆ける情熱・カルロ(c22554)と空想総譜の独り言・ロネ(c13372)は、ネドコ村の発展を影に日向に支えてきた。職人を呼び、産業を育て、治安を守りと、仕事を数えればきりがない。それを成し遂げられたのは、きっと仲間と家族がいたから。
 道場と神社でそれぞれの仕事を終え、竜星の戦人・ウォリア(c17006)と暁天の焔・ナナセ(c07962)は折華街に構えた家へと戻る。縁側で寄り添い合い、池の睡蓮を眺めながら、ふたりはこれまでの時間を想う。
「あの頃はまだ、こんな幸せな未来を想像する事すら出来なかったけれど」
「……あの頃から、ふたりで歩き続けて未来がある」
 傍らには、愛し子の笑顔もある。穏やかな日々の幸せを噛み締めて、家族は昼食に手を合わせた。
「拙者の大それた夢も形を成せたようでござるな」
 祝賀会の準備をしながら、黒の刹那・ソウク(c25724)は独りごちる。男女としての幸せまで手に入れた今、本当に満たされていると心から言える。見守る鳳雛・ヒナ(c25284)と娘の視線に歩み寄れば、『仕事しろなのじゃ』とお叱りの声。
「あとお主も揉み過ぎなのじゃ」
 母親の胸に手を伸ばし続ける娘を羨ましげにちらりと見れば、たちまちソウクの鼻先にひと振りの剣が飛んできた。

自らを陥れ、かつての階級から追い落とした者への復讐を果たしたマーウォルス・ファーティマ(c13093)。だが、上層階級に戻ることはかなわず、彼女は一時は自暴自棄になっていた。
 そんなファーティマを見出し、自身の城へと誘ったのが天罰騎士・キリスティア(c01561)だった。弱者を救うことを矜持として努力を重ね、遂に一城の主にまでなったキリスティアは、戦友と更に親密な関係を築きながら身寄りのない人々を救い続けている。
「また旅に出たりはしないのか」
 猛る怒槌・キエン(c19823)のその問いに、道に降りた・シカタ(c18499)は答える。
「探し物が見つかったからね。当てもない長い旅の中で」
 かつてはたどたどしかった語り口も、今では自然なものになった。ひとつ頷いて、キエンは出てきたばかりの診療所を一度振り向いた。
 そうして祝いの準備に沸き立つ街を眺めながら、ふたりはゆるりと歩を進める。
 次に行くなら、それは帰るための旅に違いない。

●都市国家の日常〜槍都にて
 ランスブルグの国立図書館の館長をしている、心はいつも十七歳・アメリア(c20558)は、その役目を果たしながらも、この世界の歴史を纏めている。まだまだ完成には程遠いが、それでも確実にその文量は少しずつ増えている。
「さて、取材の旅に出かけるか……義父と話せるのは久しぶりだな」
 今回の行く先はエルフヘイム。里帰りもかねて、養父を訪ねるつもりだ。
 祝賀会前日、撫子騎将・ケイト(c00857)は、ランスブルクの騎士達と共に街の見回りをしていた。
「そういえば、もうすぐ祝賀会なんでしたっけ。……ずっと会えなかった方達にも会えるんでしょーか? って、あそこで喧嘩してる人発見!」

イラスト:成千佳

 功績を認められ、いつの間にか女王仕えの騎士となった、いつか空も射抜いて・リリウム(c35470)が、喧嘩の現場を見つけたようだ。
「あれは……オレの知っている人です! ちょっと行ってきます!」
 どうやら、小さな世界のガーディアン・ユンシア(c19879)の顔見知りなようだ。さっそく駆け出していく。
「手こずりそうだな、私も手伝うとしよう」
 紅華騎士団の団長、紅華騎士・プライムベリー(c22871)も合流したことで、騒ぎはあっという間に収まっていく。
「わたくし達で護っていきましょう。今日という平和な日々を……」
 そんな様子を見ながらケイトは、自分の率いる新生凛馬騎士団の団長として、改めて心に誓ったのだった。
 獅子の槍・ウーイル(c17261)は、引退した団長に変わり、新たな団長として、その任に当たっていた。
「間もなく祝賀会であります! 我ら騎士、都市国家交流の安全を守るものとして、一丸となってことにあたるであります」
 団長になってもまだその口調のようだ。彼いわく、初心を忘れないためらしい。
 信仰と人々を守るため、教会を中心に都市の守護に当たる騎士として、修道騎士・アイリス(c15123)も警備に参加している。
「さあ、当日を無事迎えられるよう、本日も頑張りましょう。人々に、神の恵みのあらんことを」

 武芸の演武を究めて、都市国家各地で公演するのは、澄音・ミラ(c25342)。現在は、ランスブルグで公演を行っている。また、アマツカグラの文化を伝えるための活動もやっているようだ。
「実はこれ、友達がやりたかったこと……外の国に行って、歌い踊ること。だから、わたしなりに、ホタルのやりたかったこと、やろうって」
 お守りの蛍石に触れながら、そう旅のきっかけを話してくれた。
 戦いの後、陽だまりの中の笑顔・リィナ(c13285)は、まだ復興が終わっていない故郷の為に、子爵の一人として活動を続けていた。時には現地の民らに話を聞いて改善案を立案することも。
「あたしは貴族といっても、そんな偉い訳じゃないですから。皆さんあっての貴族ですからね。それに……あたしの故郷はここですから、もっといい場所にしたいんです」
 彼女はそう笑って、今日もまた街に向かう。
「しゃーっはっはっはっはっは! ランスブルグにその人ありとうたわれる予定の『鮫鎚の星霊建築士』ユースフィラだぞっ!」
 目指せ二代目サメ娘・ユースフィラ(c29293)は、今、ランスブルグにて戦いや老朽化などで修繕が必要な建物を中心に星霊建築を施していた。これが終わったら、ユースフィラは旅立つ予定だ。あのリリアナに出会えたらと。
 ランスブルグ土木建築庁にて勤務するのは魔法鎧の半身・サリー(c34219)。メイガスに乗りながら、開通前の街道を確認している。
「特に問題はなさそうだね」
 部下達と祝賀会に間に合うようにと、更なるチェックを続けていた。
 そして、街道に問題がないことを確認した誓剣の乙女・リスティーナ(c34850)は感慨深げに完成したばかりの街道を眺めていた。
「ようやく道がつながる日が来ましたね……これまでの悲劇、決して忘れたりはしません」
 祝賀会で報告するのが楽しみだ。
 ランスブルクの騎士団で、格闘術の指南役を続けている神に愛された格闘天女・カレン(c00737)は、祝賀会の一環として、格闘技の大会を提案した。力を試してみたいという弟子達の気持ちを汲んでのことである。
「皆、開催が決定したわよ! 今から準備だけど、大丈夫よね?」
 もちろん、カレンも優勝目指して参加予定だ。でもその前に大会の準備を進めなくては。

 バルチモア伯爵として、国と領地の為に力を尽くすのは、想花落月・ダスティン(c34603)。
 それだけでなく、都市間の行き来をしやすくするため、空飛ぶ船の開発や巨鳥を飼い馴らす研究を続けていた。青い空を見上げながら。
「天槍は美しいですね。世界に、天槍の加護があるように―!」
 そう願う。
 ランスブルクの犯罪捜査官に就いて、様々な事件を解決していた赤色の瞳の魔物を宿す・サマエル(c11549)の元に一通の招待状が届いた。
「皆には悪いけど、この日は休むわ。祝賀会に招待されてね、断る訳に行かないのよ。ん……どうしたの? そんな驚いた顔して?」
 同じ職場の同僚達には、エンドブレイカーだということを告げていなかったらしい。大変驚かれたが、そういうことならばと協力してくれたようだ。
 10年前は作り始めだった木漏れ日の娘・ディア(c01888)の霊園も、10年を経てだいぶ形になってきていた。霊園とはいえ、どちらかというと綺麗で心地よい場所になっている。
「ようこそ、レインシャルト霊園へ」
 そう言ってディアは、今日も訪れる者達を温かい笑顔で案内している。
「あれからもう10年か早いものだ……」
 碧眼に映る夕焼け空・リア(c07859)は世界中から集めた酒を元に酒屋を経営していた。
 今では、世界中の酒がここで買えると、ランスブルクでも有数の酒屋になっている。
 もうすぐ祝賀会。そのための酒を新たに調達するため、リアは再び旅立つ予定だ。
 ランスブルグで育ての親のアルメリシア商会を引き継いで、明空のリズム・ベル(c03346)は冒険商人となった。あちこちを旅しながら、旅の危険が減っているのをその身で感じていた。きっとこれからももっともっと発展していくことだろう。
「さしあたっては、祝賀会だね」
 そして、ベルの旅も続いていく……。

 征服者・ヴィンツェンツ(c15253)は、書類仕事していた手を止め、家族のいるリビングへとやってきた。どうやら、お腹の大きい紫炎の薔薇・リセリア(c00615)を囲んで話をしている様子。
「ほらほら、ヴィンも耳、当てて聞いてみる? 遠慮しなくていいよー?」
 男女の双子と幼い男の子を傍に、リセリアはヴィンツェンツを招いた。
 彼はそっとお腹に耳を当てながら、口元が緩んでいく。
「リア……幸せだな」
 子供達にからかわれながらも、ヴィンツェンツは幸せそうに呟いた。
 夜、3人は主には内密に話し合っていた。
「どうやら、今のところ不穏な動きはないようだ」
 先日、緋の炎翼獅子・レオンハルト(c35756)が入城しジョナ1世と話したことは記憶に新しい。そこにこっそりと同行した青空を見上げる・ラッシュ(c35589)の報告によると、今のところ目ぼしい動きはないようだ。だが、ここで安心してはならない。
「そうですか。また何か動きがあれば知らせてください。それと……この老いぼれに代わって、坊ちゃまを頼みますぞ」
 執事・ヴィクトル(c35987)引退の時はまだ先だが、既に後継者は決めている。ここにいるラッシュと。
「与えられた役目、全力で果たして見せます」
 魔鍵の錬金術士・コーデリア(c36329)だ。
 彼らに支えられながら、一方のレオンハルトは自分なりの考えでランスブルグの問題に立ち向かっていた。
「ありがとう。ナナミさん」
 その傍らには彼と結婚し結ばれた、無垢なる漣・ナナミ(c34823)が常に寄り添う。
「こちらこそありがとうね、レオンハルトさん」
 彼らは願う、これからも幸せな日常が続きますようにと。
 ランスブルグの紋章院教員暦10年、永遠なる乙娘の子・シシャモ(c16129)は、数多くの生徒を紋章士として輩出してきた。昔に比べ最近の生徒は、実力はあっても粗暴だったり臆病だったり、性格に難がある者が増えた気がする。
「それでも手塩にかければわかってくれる。わしももう70も超えとるし、彼らが立派に成長すればいつでも安心して逝けるのう」
 もうすぐ祝賀会。懐かしい者達との再会を胸に、シシャモは出かける準備を始めた。

 ランスブルグの紋章院アカデミアにて、誇り描く・タラン(c16629)は、副教頭として教鞭をふるっていた。その傍らには、同じアカデミアで教師となった銀の令嬢・ナディーヌ(c35780)がいる。
「ランスブルグもこの十年で随分発達したな。だからこそ、その伝統を未来を担う新しい人材が必要なのだ。アカデミアの教師たちはそれを育てる立場であることを、常に忘れてはならない」
「ふふ、10年たってもタラン先輩は相変わらずですね」
「言葉使いはこれから直していけばいいだろう」
「はい。……『あなた』」
 その後、二人が結婚するのだが、それはまだ先の話。
 アカデミアの魔想紋章学部長を続投するのは、魔弾の射手・クロウリー(c16216)。
 今は祝賀会の準備に忙しいようだ。特に招待状作成に頭を悩ませている様子。
 手書きするしかないと心を決めたとき、講義が始まると知らせが届く。これ幸いと、クロウリーは逃げるように術士服を翻して教室へ向かった。
「さあ諸君、『授業』を始めようか」
 作物学の天才学者・シギュン(c18130)は、領主となり自らの土地で作物の研究を10年間続けていた。長年の研究の末、痩せた土地でも育つ作物の人工栽培に成功させていた。そして今、新たな研究が行われている。
「これで上手く行けば良いが……よし成功だ!」
 完成したのは、少々形が良くないが、美味そうな香りのケーキ。
「あの二人、驚くだろうな。母さんがケーキを完成した事を」
 果たしてその結果はいかに……?
 親の後を継ぎ、領主と王家直属の魔想紋章士となった終焉を望むエンドブレイカー・セオドール(c36212)は、紋章の研究と依頼を受けて施設に掲げる紋章の作成を行っていた。
「あれからもう10年も経つんだね。嬉しいことも辛いことも色々あったけど、だからこそ、今僕はここにいる。自分が今幸せだって、心から思えるよ」
 そう言いながら、結婚して生まれた娘に手を焼いている様子。

 遥碧・セレスト(c03512)は、ランスブルグの治療院院長として、忙しい毎日を過ごしている。
 医術だけではない、高度な紋章術をも統合した医療環境の確立を目指しながら、人員体勢の立て直しや紋章院と施療院による技術向上、そして技術者の育成に尽力を注いでいる。
「討つ力だけじゃなく、護る力を。それがガーディアンたる僕の根幹であり信条だよ」
 それが最愛の妻であり、マスターである彼女の笑顔にも繋がると信じて。
「まさかこうなるとは思っていませんでした」
 埋火の・フューリア(c35050)は、かつてマスカレイドに滅ぼされ、地図から消えたスピラーレ村の管理をしていたのだが、彼女が助けた人々がやってきて、住まわせてほしいと頼まれたのだ。
 今ではそれなりに人も増え、少ないながらも農作物も採れるようになった。
「まだまだやるべき事は沢山ありますが……今はそれさえ楽しく感じます」
 当時、一般的ではなかった教育や学校の体系化、組織化を志し、星霊教会司祭・フィリル(c04593)は、ランスブルグの文部教育局長として、小規模な学園訓練校を設立させた。最近では、あの学園の生徒さんなら是非欲しいと言われるほどにもなっている。
「……聖職だけは今でも少ないですね。設立時から神学科あるのに」
 そう呟くも、他都市との交流から生まれるニーズに対応すべく、今日もフィリルは奮闘する。
 世界を変える存在になりたい・クリームヒルト(c25643)は、ランスブルグの民生委員として働いている。向上していくランスブルグの生活水準を更に高めるために今日も日夜働いている。
「明日は農村地帯を訪問して、食料の増産について話しあう……と、これは早く起きなきゃ間に合わないよ! 今日は、早く寝ないと!!」
 急いで支度を済ませると、すぐさまベッドの中に潜っていった。

 ランスブルグで歌劇作家兼歌劇場の支配人として、ト短調の奇譚・ジャン(c30071)は、芸術の一層の発展に貢献している。そんな彼を支えるのが妻の爛夜の幻・ロリーナ(c27621)。
「ねえジャン、祝賀会何を着て行こうかしら? ドレス、どっちが良い?」
「ロリーナ、祝賀会に着る服なぞに何を悩む。君が着れば何でも美しい」
 そういうジャンの言葉にくすりと笑みを浮かべ。
「あのね、わたし……少しだけ太っちゃったの。あのね、少しだけよ。きっと幸せ太りなの」
 ドレスを投げ出し、ロリーナはジャンに抱きついた。
 実家の薬屋を継ぎつつ、二人の子供の面倒をみるのは、月・サヤネ(c34076)。
「なあに、サーニャ。お父さん? 今は旅に出てるの。そう、またいつものよ。ティエレンはそんな所はお父さんに似ないでね。料理が動くのも」
 と、家の扉が開かれた。そこにいたのは、旅に出ていた草・ティルキア(c33712)の姿が。
「……あら、噂をすれば。おかえり、あなた」
「ただいま、愛しい我が家族よ」
 無明彷徨う魔犬・カインツ(c12457)の故郷で、誓いの星乙女・アストライア(c17171)は、彼と共に夫婦として暮らしていた。
「ありがとう、アストライア。キミは確かに私を幸せにしてくれた。共に幸せになれて本当によかった……これまでも、これからも共にいよう」
「いいえ、幸せだとあなたがそう思えるのなら…それはきっとあなたもそう在れる様に努力して下さったからですよ」
 そう言ってアストライアは、子供達にキスをした後、カインツの頬にもキスを落とした。

「お疲れ様、少し私の休憩に付き合わないか?」
 飲み物と茶菓子を手にやってきたのは、黎明の氷花・レオノーレ(c04664)。執務室では、書類仕事をする黄昏の叢雲・エスティール(c02815)の姿も見える。
「今年も麦の収穫量は去年並みの豊作になりそうだよ。これで当分は安心かな」
 今では二人は結婚し子供もいる間柄。自らの領地と家族の為に休憩後もまた、仕事に励む。
 今日もまた、銀の剣に選ばれし騎士・ローラント(c00434)は、妻の先駆ける翠華・ファラーナ(c11114)と、その子供達と共に、領地の視察へと向かう。けれど今日は、ちょっといつもと違うようだ。
「まあ、みんな一緒にですか?」
「ええ。大切な家族と、今の領地を残したいと思いまして」
 大地を耕す領民や家畜を背景に、幸せな家族が描かれた絵画が完成した。
 今日は新米銃騎兵少尉・エカチェリーナ(c36800)が所属する紫煙銃騎兵中隊の訓練日。
 真銀の騎婦人・エミリアムレ(c34629)は、彼女が育成した軍馬をエカチェリーナ達、騎士達に送り届けていた。
「この子らを……よろしくな……」
「はい、お任せください。それと……いつもありがとうございます」
 見事な訓練成果を見せることができて、エカチェリーナもエミリアムレも満足げだ。
 街道整備の人材斡旋を中心に、各方面への人材斡旋と情報収集を担っていた皓の紆雪・マオ(c34616)。それももうすぐ終わりを告げようとしていた。
「それにしても君さ、10年もよく飽きないね」
 ふいに隣にいる春告げプリムローズ・エルザ(c34611)に声をかけると。
「全然、飽きないよ?」
「しょうがないな。じゃ、結婚しようか」
 驚くエルザにマオは、サプライズだと、ピンクゴールドの指輪を薬指にはめてあげたのだった。
 ランスブルグ第三階層の北都中心街の自宅にて、水底の燕・ポーシア(c15100)は賑やかな休日を迎えていた。
「父様を起こしてきて。朝ごはんですよーって」
 数分後、子供達に乱暴に起こされたであろう、虚空・アーサー(c21426)が下りてきて、子供と共に食卓へと座る。
「しょうがないなあ。はい、あーん」
 子供にせがまれ、あーんをしてやるアーサーの姿に、ポーシアは幸せそうに瞳を細めた。

●都市国家の日常〜白砂の国にて
「灌漑設備はこの土地じゃ生命線、もう一頑張りしましょうや?」
 領主たる気ままな山の民・シャルムーン(c19856)の励ましに、領民たちが頷いた。領主として忙しく働きながら、彼女はある勇者の名を持つ我が子に笑みかける。
 剣の錬金術士・ローレルン(c35786)の領地を訪れた紫水晶の欠片・ティノクス(c08490)は、兄たる人と近況報告に花を咲かせる。
 別々の都市に住む兄弟が協力してきたお蔭で、都市国家を超えての交易も随分と進んだ気がする。これからの交易発展についてふたりが相談しようとした矢先、ローレルンの娘が呼んでいると声がかかって。
「あー、えっと、連れてきて頂けますか……」
 困ったように答える兄に、弟は小さく苦笑した。
 残光する音色の剣・ジグ(c00960)の領地は、劇的な治安の改善を見せていた。随分と苦労もしてきたが、褐色の肌が美しい妻と巡り会い、子供にも恵まれた今は、確かに幸せだ。祝賀会の準備に追われながら、ジグはそう実感する。
 刃鶉火・フェタム(c13322)は領地を発展させる傍ら、自警団とその訓練所を設立して治安改善に努めた。そして妻であり補佐役である雪消初花・スーリア(c00156)は領内を巡回し、夫の自警団に情報をもたらすことで更なる平定を目指す。
 そうしてふたりが守って来た土地は、いつしか多くの旅人が行き来する街となっていた。祝賀会に向けてスーリアが作る曲を聴きながら、フェタムはかつて都市国家の王女であった勇者に思いを馳せた。
 いち自警団員として暮らしてきた土地で、ラウディーアルケミー・リィヤン(c34109)は笑みを浮かべる。
「そろそろ頃合……いや、年貢の納め時かな」
 人々の信頼を買い、領主に推されるまでになった彼は、ガラじゃないと思いつつも前向きに未来を想う。
 シャルムーンに建てた家に帰って来た獅子星・ウセル(c00535)は、このタイミングで戻れて確かに良かったと微笑む。
「あぁ、街道の調査とかやってたわね」
 懐かしむように微笑んで、アゾートアズール・キウ(c06943)がウセルの手の甲に手を重ねた。10年間を、そしてそれより昔の冒険を思い返して、ふたりはさっと口付けて。
「よし、行こうか」
「ずっと一緒に」
 そして10年前、ふたりで繋いだ手の間に、もうひとり分の小さな手が繋がる。
 幸せを運ぶ唄・ヒカタ(c11770)とアップルバスカー・マニート(c13989)は祝賀会に参加するため、アクスヘイム経由で旅行の真っ最中。
「この街道のルート調査には僕も参加したんだよ」
 ヒカタの言葉に半信半疑の表情を見せた息子たちも、街道の景色に目を輝かせる。
「船が出るようになれば移動も今より楽になるね」
 港を作る計画を思いだしてヒカタが言えば、マニートも頷いて。
「船旅なら赤ちゃんが一緒でもきっと安心よね」
 そう、お腹を擦った。

●都市国家の日常〜骸殻の底にて
「おぅ、お疲れだったである」
 剛斧の蛮族・カジミール(c05537)は、戻ってきた巨人達に、やたら偉そうに労いの言葉をかけた。
 巨人達は肩に、スコップやクワなどをかかえ、倒木や土砂を積んだ荷車を引いている。
「皆のおかげで、工事の難所が片付いたと感謝されていたのである。これで、予定通りに工事が進むのである」
 バンバンと巨人達の足の脛を叩いて、ニッと笑って感謝の意を表すカジミール。
 それに答えて、巨人達も豪快に笑い返した。
 カジミールから、街道工事の手伝いに出ていた巨人達が帰ってきたと聞いた、ガルシェン暫定領主の昼の月光・ラヴェンダー(c00803)は、急いで食い物屋に連絡する。
 仕事帰りの男達を、美味しい料理でもてなそうという、彼女なりの優しさだ。
「巨人の皆も、世界の瞳の扉で移動できれば、街道工事もだいぶ楽だったわよね」
 現在は工事の手伝いの時間よりも移動に時間がかかりすぎるのが難点だろう。
 暫定領主の護衛騎士も兼務する、天誓騎士の双竜の守護騎士・ラーズ(c00881)は、ラヴェンダーからの注文を、巨人のおばさん連中に伝えに行く。
「街道完成の前祝いというところですね。楽しみです」
 巨人のおばさん達の料理は豪快で大味だが、素朴で温かい。
 ライフワークとしてガルシェンの文化や伝説を調べているラーズは、このガルシェン料理が、巨人化の影響でだんだんと食材を大きくしていきつつ、初期の料理の雰囲気を残している事も確認しているようだった。
 夕食は、巨人のおばさん達が作った、心尽くしの宴会料理。
 多くの巨人と人間達が集まり、工事に出向いていた巨人達をねぎらい、そして、大いに飲み食いする。
 領主代理のラヴェンダーは空気が読めるので、挨拶は短めに切り上げる。
 長い話をしても、誰も聞いてくれないだろう。
 逆に、巨人達に熱弁を振るうのは、竜の掌握・フリオ(c01043)。
 フリオは巨人達に対して、街道が通ったことで、他の都市との交流ができるようになった事。
 シャルムーン以外の都市国家も、面白い所がたくさんある事を熱弁。
 巨人達も、最初は話半分だったが、巨大なクアエリオの水瓶の話を聞けば、その水瓶で泳いでみたいと目を輝かせたのだった。
「……いや、それは難しいか? いや、アクエリオ様は、太っ腹だからな、遠くから来た巨人達に水浴びくらいさせてくれるぜ」
 フリオは、軽く請け負いながら、巨人達に、都市国家の話を語り続けるのだった。
 そんな楽しそうな宴会を見つつ、嫉妬の紫珀・イジス(c35113)は、
「ガルシェンの環境も随分と変わりましたねぇ」
 と感慨にふけっていた。
 巨人達の座るテーブルの上には、人間の客も座れるテーブルが付属し、共に同じ料理を楽しめるように工夫されている。
 なにより、まとめ役だった長長髭の鯨髭の爺さんが引退する時に、当時駐在員だったラヴェンダーを次のまとめ役に指名したのが大きい。
 巨人達がまとめ役のような面倒な仕事を好まなかったからというのが本当のところだが、あれから、巨人と人間とが同じ仲間として本当に認め合うようになったのだと思う。
 イジスは、がルシェンでの大祝賀会の準備も進めているが、格式張った大祝賀会よりも、こういった身内の集まりのような宴会で、肩を並べるようになれた事が、一番嬉しかった。
「体の大きさが全く違う巨人達とさえ、わかりあえるのです。都市国家の垣根なんて、内も同然でしょうね」
 街道の開通で、都市国家間の軋轢を危惧する話も聞くが、そんなことは、全くの杞憂だとイジスは判じて、上機嫌に、隣の巨人が苦心して継いでくれたエールのジョッキを手にとった。
 お返しに、巨人のジョッキにエールを満たすのは、結構大変だが、それもまた楽し。
 こうして、ガルシェンの夜は更けていくのだった。

●辺境の冒険〜アクスヘイム近郊
 銀鷹・ジャフウティ(c17845)と愛しの歌と舞・サキ(c09449)は、ふたりの間に生まれた子供たちを連れて辺境を旅していた。
「ネイト! アトゥム! 射て!」
 父の指示に従い、少女と少年がバルバ目掛けて矢を放つ。目に見える範囲の敵が全て倒れたことを確認してジャフウティが振り向けば、サキは扇を振って笑ってみせた。
「こっちは大丈夫よ☆」
 安堵の息をつき、ジャフウティはサキの髪に口付ける。10年の月日を経て、彼女はずっと綺麗になった。そう囁けば、サキも幸せそうに彼の腕へと自分の腕を絡めて。
「アナタもとても素敵よ☆」
 フライハイの体得に成功した銀羽の黒猫・アムネリア(c13537)は、断崖絶壁からふわりと舞い降りた。近づいてくる地上の景色を楽しみながら、彼女は特訓の日々を思い出す。
「……あの特訓、大変だったなぁ」
 今でこそしみじみと思い出せるけれど、当時は本当に死ぬかと思ったものだ。時の流れを感じながら、アムネリアは地上に降り立った。
 黒猫の放浪人・サイラス(c29128)と赫灼の狼・アドルフ(c01936)は、盗賊退治や獣退治を請け負いながら辺境を転々と渡り歩く生活をしていた。今日も、ふたりは流れついた集落で頼まれた獣退治の為に森の奥へと踏み込んでいる。
 視界も足場も悪い戦場になりそうだが、ふたりの胸中に不安はない。
「ま、さっさと片付けて、村に戻って一杯やろうよ」
 サイラスの言葉に、アドルフはニッと笑って答えた。
「同感。久しぶりに飲み比べでもしてみっか?」
 これまでずっと共に死線を潜り抜けてきたコンビなら、どんな相手にも負ける気がしない。そんな自信が、ふたりの瞳に満ちていた。

 森林地帯を抜けて崖を登り、白狼紅盾・ライナス(c03263)は遂に山頂へと到達した。この辺りで最も高い場所から眺める空の青と大地の緑は、息を飲むほどに美しい。
「今度、鍛錬を兼ねて道場のみなで来てもよいですかね」
 次の辺冒記の執筆メモを取りながら呟いて、ライナスは握り飯を頬張った。
 黒き魔物・ロゼ(c00871)は、成長した娘にエンドブレイカーの素質があると気付いたときに旅に出た。傍らには、双爪の四方神獣・クラト(c11509)の姿が共にある。
「小さい貴女に探索は辛いでしょうが、これもエンドブレイカーの仕事よ」
 ロゼの言葉に、少女は真剣な目をして頷く。
「この秘境の探索が終わったら帰れます。頑張りましょう」
 少女を守り抜こうと心に決めて、クラトも彼女を励ました。探索の後には、きっと楽しい語らいの時が待っている。
「こういう岩場ばかりの場所は疲れるなぁ……」
 ぼやく彩歌・ノア(c10055)に小さく笑って、黒焔・グレン(c09850)はひょいと彼に手を差し伸べる。短く感謝を述べて、ノアがその手を取った。
 そうして、どれほど歩いた頃だろうか。ようやく開けた場所で座り込み、ふたりは紅色に染まる空を見上げる。
「未開の地でも外から見える空は同じなのだな」
 グレンが呟けば、朝焼けに見惚れていたノアも頷いて。
「ずっと先の未来には誰かがここに住むかもしれないし、誰も住まずにこの景色が続いていくかもしれない」
 たとえどちらだったとしても、世界はきっと続いていく。

 天元突破冒険者・ランディ(c04722)は今、、空飛ぶ巨大な敵に襲われていた。
 この不利を覆すべく、彼は意を決して遺失魔術を唱える。そうして、空中での激戦が始まった。
 首筋に迫る爪を紙一重でかわして、ランディは必殺の剣を叩き込む。
「……全てを斬れ……雷光烈斬牙……!」
 ランディの一撃に敵が倒れ、荒野に断末魔が響く。
 知らない場所には、新しい出会いがある筈。そう信じて、蒼天の繊月・ミステリア(c05721)は未開の辺境を探索していた。隣を行くのは、ベリョーザ・アリシア(c08478)だ。
「うん、友達が増えるのはいいことだしね」
 この旅のことを、アリシアはそう評する。トラブルに巻き込まれることもあるけれど、それを解決することで更に多くの人々と交流を重ねてきた。
「今日はどんな出会いが待っているのでしょう。でも、偶には古い仲間に会いに行くのも楽しみですね」
 ふと、重ねた月日を思い出して、ミステリアは来た道を一度だけ振り向いた。
 蒼空奏想・パルティナ(c03293)は、辺境で生き物の調査と保護活動を行っていた。いつか見た、沢山の動物が絶滅してしまった外世界のような悲しい道を辿らないためにも、人と動物や植物の共存を目指したい。
 その思いを胸に、彼女は今日も働いている。

 紅玉の片割れと謳う少女・ロディ(c10986)は、水棲生物を調査する旅に出た。その途中、ある海で見つけた洞窟がクラーリンの集落だと気付いて、早速彼女は声をかけてみる。
「ねぇ、私とお友達になりましょう?」
 うまく友好を築けたなら、その時はこの近くに住んでみよう。そう考えて、彼女はクラーリンたちに手を振った。
 人魚海領主・フリードリッヒ(c15026)のもとに、その日春風亭での日々を共にした懐かしい面々が訪ねてきた。
 旅館の女将・カタリナ(c00034)は、兄が暮らす地の豊かな海の幸に目を丸くしながらうきうきと笑う。
「これは、私も台所に立たないといけないかしら」
 旅館の調子はと聞かれれば、風上の赤い猫・ティムス(c01482)が義兄に笑って頷く。
 いずれはここに移住したいと、閃光輝斧・ディーナ(c14745)が目を輝かせて辺りを見回す。
「明日は、人魚海でバカンスと行こうじゃないか」
 とっておきの絶景を見せようとフリードリッヒが持ちかければ、ディーナのみならず、ティムスとカタリナの子供たちからもわっと声が上がった。
 そんな光景を微笑ましく見守りながら、カタリナは夫に寄り添って。
「ダーリンとは幼馴染で許嫁だったけど、なんだか、前世があってそこで出会ったような気もするのよね」
「最初は許嫁にはびっくりしたけど……今になっては親に感謝だね」
 そう、ティムスも笑う。夫妻へこれまでの感謝を伝えようと、ディーナがふたりを振り返って。
「好きです……あ、違うのです、ありがとうなのです」
 言葉に、誰からともなく笑いが零れる。温かな語らいは、夜が来てもきっと終わらない。
 赤氷華・ヴァルヴァラ(c20669)は、人魚の国で未知の洞窟が見つかったと聞き、探索に赴いた。その結果を、彼女は笑顔でこう語る。
「いい物がありましたの」
 それは、洞窟の最奥の眺め。昼は陽光で虹色に煌き、夜は月光で白く輝き、そして唯一新月の日には青く染まる場所。これだから旅は止められないと、ヴァルヴァラは次の景色に想いを馳せる。
 紫之月の傘・ユウカ(c27954)と杖の魔想紋章士・フランソワーズ(c34605)もまた、人魚の集落を訪れていた。そこで教わった料理をユウカが再現したと聞いて、フランソワーズは味見をさせてもらう。
「んんぅ……美味しいわぁ……」
 頬に手を当てる彼女に、ユウカもくすりと笑んでフォークを取って。
「行く先々の食べ物は旅の楽しみの一つですよね」
 そうして美味しい料理をシェアしながら、フランソワーズはユウカに聞いてみる。
「ここまで来てよかったって思わない?」
 誘いをかけてくれた本人に、ユウカはしっかりと頷いた。

 一通の招待状が、魔獣の暴風・カノン(c22918)と朱華炎刃・シャーリー(c28829)の旅に終止符を打とうとしていた。祝賀会の街へと移動する途中、カノンは足を止めてシャーリーへと向き直る。
「この冒険が終わったら、新しい道のりを一緒に過ごしてくれますか?」
 求婚に、シャーリーはゆっくりと頷く。そして、聞いてほしいことがあるとお腹を撫でた。その仕草に、そして告げられた言葉に、カノンは顔を輝かせる。
 どこに住もうか、子供は双子がいいな、そうしたら名前は? 最後の旅路で語らう未来は、大きな幸せへと続いていく。
 青空の笑顔・ソラ(c09534)と真鍮の歯車・ナット(c07449)の郵便局は、今でも元気に営業中。街道の開通で主要都市間の流通が便利になるとあって、今は辺境の人々の思いを届けるお手伝いをしようとふたりは頑張る。
 そんなふたりの元にも、ある日一通の手紙が届いた。祝賀会を報せるそれを読んで、ソラはようやく恋人と呼べるようになったナットに笑いかける。
「素敵なことだね」
「ああ、素晴らしいことだな」
 でも、まずは皆に頼まれたこの手紙たちを届けよう。ずっしりと重い鞄を引っかけて、ふたりのスカイランナーは立ち上がる。
 暗黒姫・ヴェロニカ(c13774)とレディバガール・シャラーレフ(c04126)の姉妹は、とある集落を探していた。その休憩中、大トカゲの身体を拭いてやりながらシャラーレフが唸る。
「全然見つからない……ヴェロニカなにか思いつかない?」
「つーかよぉ……んなわけわからん集落より、大事なコト忘れてねーか?」
 呆れたようにヴェロニカが言うと、シャラーレフがあっと叫んだ。
「祝賀会、アイツと一緒に行くって約束してたんだった!」
 間に合うように探索予定を調整してくれていた姉に、妹は思いっきり抱きついた。
 『探す旅』から『証明する旅』へと旅の意味が変わろうとも、餓狼・リュウ(c15878)は歩みを止めなかった。
 とある辺境の村で旅の相棒に手紙を手渡され、彼はその内容に苦笑する。
「招待状で『いいかげんに顔見せろ』とはあの人らしい」
 相棒に支度をするよう言い、自身の荷物をまとめ始めながら、リュウは遠い旅団の面々を思った。
 幸福の暁・アウローラ(c28353)は、復興の終わらない土地を巡って再建を手伝う日々を送っていた。
「お外にお出かけは本当に楽しいなぁ」
 次の場所を目指しながら、歌うように彼女は呟く。
「兄ちゃん、次はどんな所があるんやろね?」
 楽しげに振り向いて、アウローラは瞳を輝かせた。
 また、蒼き旋風・アイン(c15661)も、同じくマスカレイドの爪痕が残る土地を訪れては復興に手を貸していた。その働きも、10年が経過した今、いよいよ大詰めを迎えようとしている。
「報告がてらに祝賀会に参加だな」
 招待状に目をやって、彼女は呟く。かつて荒れていたこの地は、今ではすっかり緑に満たされていた。

 何故だかバルバたちに慕われるようになった雷掣一本鎗・ベンジャミン(c06139)は、辺境で彼らの集落を取り仕切る長のような存在になっていた。
 彼らを纏め上げ、共同で生活する今の暮らしは充足感に満ちたものだ。だが、と彼は思う。
「自分が人間であることを忘れそうになるのは、ちっと問題だな。あとは、嫁も」
 陽凰姫・ゼルディア(c07051)は未だ知らぬ歌を、奏燿花・ルィン(c01263)は失われた伝承を。互いの求めるものを探しながら、ふたりは旅を続けていた。そんな折、祝賀会の噂を聞いて、そろそろ主要都市へ戻ろうかとルィンは考える。
「街道がつながったら、もっといろんなところに一緒に旅できるな」
 繋いだ手の主にそう言えば、彼女はにっこりと頷いて。
「でも、世界はまだまだ広いから。この先も、世界の果てまでずっと一緒に」
 祝賀会で皆に会ったら、その後はまた、ふたりで広い世界に旅立とう。
 這い寄れもふ毛・プレノア(c03487)は、建築旅団を立ち上げ、多くの都市国家を渡り歩いていた。目標は、星霊建築による生活水準の向上だ。
 その働きとともに、星霊術士たちが引き連れる星霊の群れも、旅団の名物として行く先々で知られていくことになる。
 この世界の空に限りなく近い場所を求めた空渡・ラグアス(c00405)は今、雲よりも高い場所にいた。目の前には、白い鉱石でできた遺跡の最上層が広がっている。
 花の髪飾りをひとつ拾い上げ、そろそろまたアクスヘイムに帰ろうかと考えて、彼は目に沁みるような青空を仰いだ。
 黒の断罪者・クリスティーナ(c03928)は、発見されたばかりの未開地域の調査に赴いていた。そこに先住していた見たことのないピュアリィとの交渉を無事に終え、彼女は呟いた。
「どんな姿をしていようと生物は分かり合えるのですね」
 昔に比べれば、随分と知り合いも増えたものだ。彼らの幸せな表情を想って、クリスティーナはふと微笑む。
 アッシャレ・ジーユ(c16905)は、未開の地で働く人々の護衛として働いていた。
「何が起こるか分かったもんじゃないしねぇ」
 そうして人々を危険から守る傍ら、彼は自由農夫としての研究にも余念がない。見知らぬ植物を足元に見つけて、ジーユは早速スケッチを取り始めた。
 傭兵・ダラントス(c01996)は、今も傭兵として旅を続けていた。今、彼の旅には恋する少女・ラーラ(c13184)ひとりが付いている。
「ガーディアンとしてついていくのは当然なのよ」
 と胸を張るラーラも、今ではすっかり大人になった。ふとそう実感して、ダラントスは彼女に向き直る。
「あー……良ければ、結婚するか?」
 その言葉に、ラーラが瞬いた。次の瞬間、彼女はダラントスに飛びついて。
「でも待ってダラン、あたしってお年頃なの、恋愛も楽しみたいわ。まずは彼氏彼女として改めてお付き合いしましょ♪」
 そんな彼女を、これからはきちんと愛し、守ろう。ダラントスは、そう心に誓った。

 皓夜の・シュウヘイ(c32937)の呼びかけで、3 in the KEYの面々は辺境の農村で開かれる夏の収穫祭に参加するために集まっていた。
「おやまぁみんな久しぶりなこって」
 久しぶりに見る顔に皺が増えたことを、玄人・シンヤ(c03028)がからかう。尾崎・ナオ(c08194)の腕にべったりくっついたままで、目指すは最強の魔法剣士・カエコ(c12550)がそちらに視線を向けた。顔をしかめた姉に肘で制されようとも、彼女はめげない。
 アクスヘイムとエルフヘイムの間にできた宿場村で、希望奏でる演奏家・フォルティ(c10453)は冒険者ギルドの支部長として働いていた。彼の仕事を補佐するのは、妻である女神の踊り手・ミューティア(c10454)。
 冒険者たちを送り出したふたりの元に届いた招待状を見て、フォルティは笑う。
「当日はどんな公演しようかな」
 既にダンスの練習中だとミューティアが答え、旅芸人時代の衣装を着てみせる。
「今夜は特別に先行開演でフォルちゃんと子供達にも見せてあげるね〜」
 そう、彼女は無邪気に笑った。
 雑草王・アーク(c03534)は各都市国家の友人に声をかけ、森と荒野と砂漠の丁度分かれ目に当たる位置に小さな街を作っていた。
「長いことふらふらと放浪する生活してるとな、なんかを作っていく事をしたくなったのさ」
 計画を立てた理由を、彼はそう語る。『フリーウィンド』と名付けられた彼の街には、今日も自由の風が吹いている。
 星詠みの渡り鳥・ノイシュ(c03964)がノソリンで運んできた野菜を、努力の天才・テオバルト(c02419)は露店に並べたりカレーに入れたりと大忙し。そうして出来上がったカレーを、ナオが接客スマイル全開で祭りのお客に売っていく。
「カレーいかがですかー? 新鮮な野菜が沢山入った夏野菜カレーですよー」
 そうしてあっと言う間に野菜もカレーも売り切れた出店を見て、テオバルトは笑う。
「街道が完成すれば、もっと人も増えるでしょうね」
 野菜を育てた農夫のひとり――シュウヘイが、楽しげに頷く。
「でも、まだ夜は少しモンスターが心配なんだ」
 討伐を団長に頼めば、彼女は二つ返事で引き受けて。見回してくる視線に、それがこの旅団には似合いかとシンヤが腕を伸ばした。
「さぁて、久々に暴れてやるか。腕がなるってもんよ」
「遊びに行こう、片目の海哥。あと……まあ、カエコも」
 シルバーコヨーテをひと撫でしたナオがちらりと視線を向けた先で、カエコがぱっと顔を輝かせてレイピアを抜く。彼女たちの後に続くノイシュの愛刀も、有事に備えて手入れは万全。
 さあ、冒険は終わらない!

●辺境の冒険〜海賊群島
 山奥の秘境を踏破した後、サンストーム・アルウィン(c27981)は海の男になっていた。荒波に踊る船の上で、アルウィンは遠い仲間たちとの繋がりを想う。
「ちっさい出会いを重ねていけばまた一つ絆の輪が広がンだ。そういうの、オレ、好きだからよ!」
 祝賀会での再会を楽しみに、アルウィンは力いっぱい船を操る。
 妖艶な女性になり、ラッドシティで働く永遠を孕む刹那・ナルシュナイヴ(c00458)は、ちょくちょく海賊群島へも出かけていた。お目当ては、10年の交流ですっかり仲良くなったピュアリィたちだ。彼女たちと色んな意味で戯れる日々に、ナルシュナイヴはうっとりと吐息を零した。

●辺境の冒険〜エルフヘイム近郊
 ここはエルフヘイムの秘境。まだ見ぬふわもこな動物を探して、今日もまた月影に舞う銀狼・ゲオルグ(c15479)は森の中にいた。
「ふわもこアニマルを見つけたら何をするかだと? そんなことは決まっている。まずは優しく撫で撫でして、嫌がられないようなら抱き締めたりするのだ!」
 一度、それらしき動物を見つけ、逢瀬を存分に楽しんだが、それ以降、その動物に出会えなかったのは、気のせいだろうか?
 自分が育った辺境の森に戻り、鋼鉄獣・リコルト(c24370)は、獣達と共に自身も獣のように暮らしていた。獣達を率いて狩りをしたり、人を襲うものが近くに現われば蹴散らしにいったりしている。そのため、リコルトのいる森には、人を助ける謎の獣がいるという噂が広まっていたり。
「シュクガカイ? それって食えるか? ……何? メシいっぱいでる? 行く!」
 途中、かつての仲間に再会し、祝賀会の話を聞いて、リコルトも参加を決めたようだ。
 夏といえば水着だろ水着っ・レオン(c06178)は、里帰りするというドンチャッカと共にエルフヘイムを訪れていた。
「それじゃあ、行ってくるぞ、レオン」
「ああ。存分に里帰り、楽しんで行ってくれ。俺はこの宿で待ってるからさ」
 故郷の知人へと挨拶に向かうドンチャッカを、レオンは笑顔で見送った。
 エルフヘイムを拠点にしている柘榴の燈火・ミステル(c01987)は、諜報員として都市国家間の情報収集をする傍ら、一般人が都市間を移動しやすいように徒歩で地図を描いてきた。
「水飲み場も休憩所も書いたし、後はその場に住む生き物を書けばいいかな?」
 まだまだ書くべき場所は多いが、エルフヘイム周辺の地図はもうじき完成を迎える。

 冒険商人として旅を続けるのは、愛しき月を抱く陽の紅蓮獣・トモヤ(c08696)と蒼月の夢・シェミア(c19503)。彼らの傍には、二人の子供の姿も。
「そういえば開通式典があるって話があったね……行ってみる? 母さんお祭り好きだから行ってると思うし」
「そうだね……わぁ、久しぶりだから、早く会いたいな、サキお母さんたちに♪ 二人目の子も見せたいし。それに、他のみんなも……元気にしてるかな?」
 二人は懐かしそうに祝賀会会場へと向かった。

 色図鑑を作るキララ・サヤ(c23230)と地図を作るみらいのあしおと・マシェリ(c32443)。
 そんな二人は共に過ごしながら、目的を果たそうとしていた。と、そこへ、花想いの蝙蝠・サイガ(c36686)がやってきた。サヤはマシェリの地図に暁色の花弁を添えて、そっと送り出す。
「……今日の、色。あなたの往く路の彩りになれば」
 送り出されるままにマシェリは、サイガの元へ。
「マシェリさんが好きです。……10年前抱きしめた時、答えはもう出てたんです。自分と、時を刻んで頂けないでしょうか。よろしくお願いします」
 サイガは小さな時計がついた鍵を取り出し、マシェリに手渡すと。
「――はい、喜んで!」
 マシェリはそれを笑顔で受け取ったのだった。
 世界を巡って数年後、狩人・セシル(c07401)は思うところがあり、その旅を終えることに。その後、エルフヘイムへ移動し、エルフとなって森で狩猟生活を続けている。
「今日も、森の恵みに感謝を……」
 変化は少ないものの、平穏な日々を過ごしながら、今日得た獲物を手に森に感謝を捧げるのだった。
 秘境の森に牛ぐらいの巨大蛇が現れ、森の動物達を丸呑みしている噂を聞きつけ、天空星・キリン(c07183)はその捕獲に向かった。幸いにもその巨大蛇は大きい割には、大人しい蛇だったらしく、捕獲もスムーズにできた。
「よしっ。お前の本当の居場所に連れてってやるぜ!」
 辺境の村で討伐依頼をこなし、醒魔剣士・アスティア(c36094)と星光の治癒士・ルミネール(c00275)は拠点にしている宿へと戻ってきた。
「また手がかかりなし……いえ、村を襲う脅威を無くせた事を喜ばないとね……」
「……きっとティアさんの妹さんも見つかりますよ」
 労いながら、ルミネールはそう元気付けると。
「ありがとう、ルミネさん。そのこれからも一緒にいてくれるかしら?」
 そういうアスティアにルミネールは優しく微笑みながら、頷いてくれたのだった。
 フライハイを習得した赤き炎を纏いし輝く花・ルイナ(c00768)は、空を飛びながら、未開の地を探索していた。
「これは……地底湖でしょうか?」
 上空から見つけた穴をたどっていくと、地底湖を発見。ルイナはそれを手に持った用紙に記録すると、再び訪れることを誓い、この日の冒険を終えたのだった。

 廃墟同然の辺境の故郷に戻ってきた黒鳳・ヴァレリー(c04916)は、この10年をかけて、故郷の復興に努めていた。そんな故郷も少しずつ人が戻り。
「闇の深い森はどうなったんやろ? 灯りや光咲く植物らと上手く共生できとるのか。それとも違う場所を通したんか……久しぶりに歩いて確かめながら祝勝会いこか!」
 そういって、ヴァレリーは旅支度を始めたのだった。
 街道が整うまで毎度通って調査をしているうちに、銀翅・サリエラ(c18146)は冒険暮らしがクセになったようだ。
「これこれ、この大きな白い花。花びらを乾かすとこの白いまま固くなるから、このまま紙みたいに使えるのよね」
 変わった植物を見つけながら、活用しているようだ。
 辺境での野宿で、焚き火を囲みながら赤案山子の・ジュリア(c17193)と地雄星・ヴェルデ(c07079)は思い出話をしていた。
「今だから言えるけど……告白される前からまだかなーって思ってたんだよね」
 照れくさそうにそういうジュリアに。
「……ジュリアさん、これからもずっと大好きですよ」
 幸せそうに言うヴェルデの言葉に、ジュリアは思わず頬を染めた。
 空ばかり見てる・ルスラン(c35273)は、辺境に戻り狩猟者として、野獣の荒野で巨獣を狩ったりして暮らしていた。そして、祝賀会が行われることを聞きつけ、エンドブレイカーではない弟や妹を連れてエルフヘイムを目指していた。
「今日はここで休むとしましょう。この街道も旅がしやすくなりましたね」
 ルスランはそういって、弟達と野営の準備を始めたのだった。

 楽天弓・アルバ(c03383)は、先ほど立ち寄った村への道案内を記す木の札をぶら下げていた。
「これでまたあの村に遊びにいけるっすね!」
 人がいる所を見つけたら、ぶらりと立ち寄り、そして、その場所への道しるべを作る。そんな活動をしている間に知り合いがたくさんできていくのだが、それはまた別の話。
「カイジュさん、待ってください」
「ああ、すみません。早すぎましたか」
「もう。置いていかないで、って言ったでしょう?」
 青空に響く歌声・カイジュ(c03908)は、梅桃の村の準備を村人達に任せ、陽光香・ラフィニア(c04595)とその子供達と共に辺境に咲く花を集めていた。祝賀会を飾り付けるための花だ。
 花を集める道すがらカイジュは、子供達に今までのことを歌で聞かせるのであった。
 辺境でピュアリィの研究をしながら、お前はイイ男になるんだ・カノー(c01650)は、快賊一家の肝っ玉母さん・マリス(c08452)と共に過ごしていた。二人の子供に恵まれ、研究成果を手に、祝賀会に向かうところだ。
「それじゃ、世界の瞳を使ってお披露目といこうか!」
「ええ、行きましょう」
 辺境の部族の集落や温泉郷、火山など、旅をしてきた真我・プネヴマ(c32102)と暁の探求者・エレナ(c24446)の二人はエルフヘイムの開通式に間に合うよう、急いで帰る途中だ。特に期限を決めていたわけではなかったが、式が終わればこの二人の旅を終わりを告げるだろう。
「良ければ、もう暫く……私と共に世界を見てくれないだろうか」
 そう思い、プネヴマが告げると。
「もうしばらく、なんて半端じゃイヤっすよ……貴方のそばで世界が見たいから」
 エレナは差し出されたプネヴマの手をきゅっと握ったのだった。

●辺境の冒険〜アクエリオ近郊
「やっぱり辺境のほうが戦いがいがあって楽しいですわ、ふふ」
 仕留めた巨獣を見上げて、スタイリッシュフルフラッター・コットン(c16776)はそう笑みを零す。薬になるという肝も、持ち帰りきれないほど取れそうだ。
「兄様を呼んでこないとだめですわね。とりあえず、近くまで運びましょうか」
 呟いて、コットンはゴンドラに巨獣の肝を運び込む。
 忘れられた領域の奥で、悠久の羅針盤・シエリ(c11842)は『お姉様』と慕うジェリファンと一緒にいた。初めは半ば強引に居つく形で始めた生活だが、今ではすっかり幸せなふたりの時間を手に入れた。『お姉様』と見つめ合いながら、シエリは心の底で思う。
 この時が、永遠に続けばいいのに……と。
 草原を行く白き武闘姫・エミリー(c24506)の後ろには、ラビシャンご一行がくっついていた。襲われたところを返り討ちにしたら、どういう訳だか懐かれてしまったのだ。
「強くておっきいアナタについてったら、いい男もいっぱい集まってくるよね!」
 そんなラビシャンたちに本当のことを言う訳にもいかず、エミリーはすっかり困り顔。
 様々な音色を探して、藤弦の楽師・シリル(c03560)と皎漣・コヒーレント(c12616)は旅を続けていた。
「ね、コヒーさん。貴方が聴いて下さるから音色は弾み、色づき、染みこんでいくのですわ」
「ずっと覚えているよ」
 シリルが素直な胸の内を語れば、コヒーレントもゆっくりと頷く。これまでに聴いて、覚えて、奏でてきた音のひとつひとつが、今もふたりの中に確かにある。
 そんなふたりだから、いつまでも、どこまでも、一緒に行ける。そんな気がした。
 伝承と物語の探求者・チャンドラ(c26564)は、過去の伝承を求めてあちこち足を伸ばす生活を送っていた。遺失魔法や遺跡を発見できれば、後世に役立てられることは更に増えるだろう。
 編纂したい資料を抱えて自宅へと戻る道すがら、チャンドラは遠い未来に思いを馳せた。
 男の子が笛を吹き、女の子がリュートを奏でる。そして真銀のトロバイリッツ・アルメイア(c02067)が歌うのは、滅びの大地の都市国家の歌だ。
 狙いは、彼女が見てきた都市の復興への人集め。再びあの街たちを蘇らせようと、今宵も彼女は蘇ろうとする都市の姿を歌う。
「さあ、今宵の物語は――」

●辺境の冒険〜ラッドシティ近郊
 鬼眼公主・フューリー(c36118)と夜陰の蝶・ルフティネ(c35056)は、都市国家間に宿場町を作ろうと活動していた。交易品を売り、歓楽施設を建て、憩いの場を設け――と、その事業は実に多岐に渡る。
「ルフティネは結婚して幸せになる道もあったじゃろ?」
「いいんだよ。好きでもない男と一緒になるより、仕事が恋人でも。フューリー姐さんこそ、生き生きしてるじゃないか」
 けらりと言葉を交わし合って、ふたりの女はすっかり栄えている町の光景を見渡した。
 イデアルエナジー・アキラ(c00208)は、世界中を渡り歩くグルメ旅をしていた。
 狩猟で日銭を稼ぎ、『美学』に反する悪人を退治しつつ、あくまでマイペースにスイーツを食べ歩く生活は、きっと今後も変わらないだろう。
「まぁ、悪くない。これもまた美学だ」
 呟いて、アキラは次の都市へと向かうのだった。
 蒼き弥生は四季を往く・カゲツ(c35292)は、バルバたちを引き連れて辺境を旅していた。
 彼らに言わせると、カゲツは旅するバルバの『長』らしい。
 バルバたちの勧めで長く伸ばした髪を辺境の風になびかせて、カゲツはふと兄のことを思う。たまには会いに行って、話をするのもいいかも知れない。
 斧剣使いの傭兵・レテイシャ(c04739)は、辺境の遺跡探索に精を出していた。が、部下の声を聞いた彼女は慌てて遺跡を飛び出していく。そう、祝賀会がもうすぐ始まるのだ。
「世界の瞳の扉もないここからじゃ間に合わない……いいや!」
 地を蹴り、空に舞い上がって、彼女は宴の会場をまっすぐに目指す。
 騎士団長となった盾の城塞騎士・オルティアーナ(c04910)は、ラッドシティのみならず都市国家外まで足を伸ばすことも多かった。
 忙しいのは確かだが、地位を返上することなど考えもしない。それほどに、彼女はクロクス領に恩義を感じていた。だからこそ若手を育て上げることで報いようと、オルティアーナは決めている。
 無窮の野・エルンスト(c07227)は、傍らのラバに笑いかけた。
「間に合うかなぁ?」
 世界の果てを目指して地図を作ってきた彼は今、世界の瞳の扉からは遠く離れた荒野にいる。ラッドシティまでの道程を歩く足取りに、けれど焦りの色は見えない。
「ま、行けば誰かには会うだろ」
 友人たちと交わした約束を思い出して、エルンストはそう呟いた。
 風纏い・アラレズ(c34367)も、ラッドシティの周辺で何でも屋として見回りや討伐を行っていた。その合間には冒険に出かけ、お宝探しも欠かさない。
「……しっかしまあ、今日の仕事は地味、地味、ほんっと地味ね」
 舞い込んだ仕事をあらためる彼女は、適度にスリルがあって適度に自由な今の暮らしを気に入っている。
 夜明けの空を越えて・フィーオ(c01465)もまた、地図を書くためにラッドシティから単身旅していた。
 雲に包まれたこの土地の計測もようやく終わり、遂に最後のひと筆だ。
「祝賀会、どうにか間に合いそうですね」
 あらわになった世界の形を誰より先に目にする喜びに微笑んで、フィーオは遥か西の空を見やった。
 青空を翔る・ファシオ(c36601)は運び屋家業の傍ら、未開の地の調査を行っていた。人が住めそうな土地かどうかを調べ、都市からの道程を記し、世界中の地図を作ろうと彼女は働く。
「祝賀会までには、地図仕上げんとな」
 眠い目をこすって呟き、もうひと頑張りとファシオは腕をまくった。
 驟雨・キシス(c05687)と雪傘・シンファ(c11921)は、星空の塔と名付けられた遺跡の最上階にいた。
「綺麗な星空! やっぱり空に近い場所だと一層綺麗でありますね!」
 声を弾ませるシンファを愛しげに見守って、キシスは取られた手を握り返す。
「これまで、一緒にいてくれてありがとう。これからもよろしくね」
 繋いだ手が、こんなにも温かい。その温かさに勇気を出して、シンファはずっと一緒に冒険してきた恋人に訊いてみる。
「その、キシス殿。今度街に戻ったら……私達も、赤ちゃんの作り方、調べてみましょう、か」

●辺境の冒険〜マギラント近郊
 マギラントで航行技術を学んだ火群綴りの・アクス(c02064)は、手に入れた船で南の海へと旅立った。目指すは、まだ見ぬ土地ひとつ。始まる冒険の予感に胸を躍らせて、アクスは遠い水平線を見やった。
 冰睛の星狗・ライヒェ(c02963)は、かつて魅せられた考古学の道へと進んでいた。藍方石の遺跡での探索を切り上げ、文字や紋章のスケッチを抱えて、彼は辺境の研究所へと戻る。
 部屋に戻り、山と積まれた調査報告著の方に目をやれば、見覚えのない封筒が増えていた。それが一通の招待状だと気付いて、彼は封筒にひょいと手を伸ばす。
 まだ見ぬ世界を求めて、烟霄・セティ(c29380)は気ままな旅に出た。知れば知るほどその先の知識が欲しくなり、故に彼の旅には果てがない。
 けれど彼の足跡には、点々と桜の苗木が残されている。あちらこちらに芽吹いた花が、セティの刻んだ時の証明だ。懐かしい笑顔を思い浮かべて、彼は手記を片手にまた歩き出す。
 戦場のナガレモノ指揮官・リヨ(c25480)はひとり探索任務へと向かう準備を進めていた。
 机に飾った肖像に目をやり、えへへ、と一度顔を綻ばせて、彼女は鏡に向き直った。昔の仏頂面は、リヨの顔からは消えている。多くの出会いが、彼女の表情を柔らかなものに変えていた。
「未開の地へといざゆかん」
 笑顔で言って、彼女は基地を飛び出していく。

●辺境の冒険〜アマツカグラ近郊
 黄金の種馬・マルーシカ(c36445)は、ピュアリィとの共生に関する研究の一環を兼ねて、かつて滅んだひとつの集落を復活させようとしていた。
 そこに住まうピュアリィを集め、人に害を為さぬことを教え、彼女らを満たす。やるべきことは山積みだが、マルーシカは決して努力を惜しみはしない。これは、彼の故郷復興の事業でもあるのだから。
 獅子の魔獣戦士ズーレッド・ショウタロウ(c01555)は、故郷ユキノシタ領と旅団のある南の島を行き来しながら生活していた。今年もよく育った旅団名物のスイカを、祝賀会では仲間たちに振舞おう。そんなことを考えて、彼は広い畑を見やった。
「まだまだワシ達の活躍の場も残されておる様じゃな」
 未開の秘境を旅しながら、空之器・ショウキ(c28460)は独りごちる。
 行く先々で輸送や護衛の依頼をこなしながら、彼女は行く当てのない旅を続けていた。これ以外の行き方を、ショウキは知らない。彼女を繋ぎ止める何かが現れるその日まで、ショウキの旅は終わらない。
 未開の土地を探索する途中、蒼き疾風の・ヨベル(c20415)は祝賀会が近いことを思い出した。そして、彼は咎の旋律・オルク(c30041)に持ちかける。
「あれから10年か〜。あ、たまには手合わせでもせん?」
「まぁ、たまにはな」
 引き受けたのは渋々だが、それで手を抜く訳ではない。岩がちな荒野にしばし剣戟が響いた後、オルクは満足そうに短く笑った。一敗を認めたヨベルもまた、楽しかったと笑みを浮かべる。そうして、ふたりは再び書きかけの地図を手に進み始めた。
 ブルーティッシュエッジ・ジン(c04552)と聖なる星・ユニ(c25052)は、己の足でずっと旅していた。野営にもすっかり慣れたユニが、スープ皿を持ちながら街道開通祝賀会の話を出せば、もうそんな時かとジンは呟いて。
「ユニ、一緒にアマツカグラに行かないか」
 不意に、彼はそう切り出した。そこは彼の故郷であり、悲しい記憶が眠る場所。そこに誘われた意味を考えて、ユニはゆっくりと微笑んだ。
「……うん」
 これからは、ずっとふたりで。永遠の伴侶となって、あの街で暮らそう。

●辺境の冒険〜ランスブルグ近郊
 学士・ルピー(c15057)とブレイブハート・ユート(c27247)は、未だ世界の瞳が繋がらない土地の地図を作ろうと冒険を続けていた。ひとりでは難しくても、ふたりなら大丈夫。そんな気持ちで過ごした時間は、いつの間にか10年にのぼって。
「思えばユートとは長い付き合いよね」
 野宿のさなか、ルピーがふと呟く。我知らず、ユートはこれまでに何度か考えていたことを口にしていた。
「ルピー、結婚しよう。嫁にきてくれ」
 あまりにも色々な手順をすっ飛ばした、しかも今更な告白に、ルピーが吹き出す。けれどそれは、とても温かな笑い声だった。
 好奇心に任せるまま、ヴィントシュピール・ユウカ(c07635)は秘境探索に赴いていた。少しくらいのピンチはあるけれど、冒険は概ね順調だ。いつかは外世界にも飛び出したいと鍛錬を積みながら、彼女はまだ見ぬ土地に踏み込み続ける。
「待ってろ世界! 私は世界を渡る、風になる!」
 その力強い笑顔が、衰えることはない。
「随分遠くにまで来てしまいましたね、罪を作ったあの日から」
 重ねた旅の時間を想って、往にし方の柘榴・エリーザベト(c20451)は呟く。その手の中には、彼女の生まれ故郷からの招待状があった。帰るのは怖いような、楽しみなような、不思議な気分だ。まずは、墓参りに行くところからだろうか。始まりの日を思い出しながら、エリーザベトは『帰路』を行く。
 デスペラードガンスリンガー・アレイシア(c32575)は、各地を放浪する合間に、闘技場にもよく顔を出していた。
「強いですねーみなさん」
 目の前では、彼女を打ち負かしたチームが激闘を繰り広げている。
 どれだけ負けても大会に行き合えば参加してしまうあたり、自分も魅入られているなとアレイシアは思う。
 怠惰の藍刻・ラズリ(c35112)と焔棘・ケーナ(c10191)は、ランスブルグとガルシェンの間に横たわる山脈の調査に赴いていた。
 ラズリが資料をあたって調査ポイントを絞り、ケーナは危険を顧みず実地で働く。互いに支え合ってきた日々を思い返して、ふたりは頼もしげに視線を合わせた。
「まだまだ足りねえ俺だが、これからもよろしく頼むな」
「末永く、な」
 風渡る草原に、風紋・ジスラ(c20900)は立っていた。どことなく故郷に似たその場所で、彼はそっと目を細める。好奇心を満たすために旅暮らしを選んだが、不意に郷愁が起こる日もある。ここは故郷に似た、けれど遠く離れた場所であって、故郷ではない。
「祝いの日に、間に合うと良いな」
 呟いて、彼はゆっくりと歩き出す。
 紅月の双眸・ユン(c00020)は、未開地域の遺跡探索を行っていた。やはり机に向かうよりも、直接出向く方が自分には向いていると、彼女は思う。
「ここには何があるかな」
 期待と不安に胸を高鳴るのは、今も変わらない。祝賀会に向かうためにも、今回の調査は早く終わらせよう。そう決めて、ユンは次の遺跡へと潜っていく。

●辺境の冒険〜シャルムーン近郊
 姿をくらましていた這い寄る混沌・ライル(c00158)は、その日辺境の村でおやあと声を上げた。
 かけた声に、月虚の謳い手・エスト(c00886)が振り向いて微笑んだ。行商を続ける彼女も、知り合いに会うのは久しぶりだという。
 次の村への道ゆきまでを共にするのも、一興だ。あれこれと話し合いながら、ふたりは並んで歩いて行く。
 くろねこマスター・フィオリス(c00380)が次なる魔法店の舞台に選んだのは、辺境だった。そして、今日はいよいよその開店の日。
 シルバーローズ・リィナ(c03431)はクリップボードを片手に在庫をチェックして回り、旅の武具収集家・トガ(c23780)は旅先で手に入れてきた珍しい道具を目立ちそうな棚に並べ、響き重なる子守唄・ミルフィ(c00385)は忙しい皆のためにバスケットいっぱいのサンドイッチを差し入れる。
 辺境出店のきっかけを作った愛こそすべて・レイラ(c04704)は、いつお客様が来てもいいようにと店内を隅から隅まで掃除していた。
「フィオ様の為ならこの程度、苦労のうちにも入りませんわ♪」
 ……とは、本人の弁。
 ともあれ、重ねた準備は万端だ。カウンターに座って、或いはそれぞれの持ち場に立って、魔法店の店員たちはその時を待ちわびる。
 そうして、遂にその時がやって来る。ちりりんと鳴ったドアベルの方を、5人は同時に振り向いて。
「いらっしゃい、ませ……♪」
 フィオリスの声に、声音の違う4つの「いらっしゃい」が、重なる。

イラスト:野崎 熾竜

 こもれびはんたー・リシリア(c12930)は、自然豊かな土地を巡る旅を楽しんでいた。木漏れ日を浴びたり、日だまりでお昼寝したりと穏やかな旅を満喫した後、彼女は今盟約の地を目指している。祝賀会を前に、思い出深い土地を巡ろうと思ったのだ。
 10年前の大冒険を思い返しながら、確かな足取りで彼女は進む。
 逃げ水を追う者・スラト(c05886)は、辺境の集落や遊牧民、旅人などを相手に行商をしていた。保存食や飲料水の他、各地の特産品や装飾品も扱う商売は、なかなか順調だ。
「間に合うヨウに家に帰りタイところデはありマスが……」
 祝賀会の噂に、スラトは困ったように呟く。今自分は一体、どのあたりにいるのだろうかと……。
「見た事ない物を見るのは楽しいでござるゥ」
 遂に見つけた遺跡を前に、元気の申し子・パノーニャ(c18081)はわくわくと拳を握る。無邪気な恋人に微笑んで、自由と冒険を求めて・ルシア(c04535)は手の中の招待状に目をやった。
「どうにか、土産話も持って行けそうですね?」
 かつて滅ぼされ、地中に埋められた都市の遺跡。その入口に置かれたピュアリィ――スフィンクスの像を見て、静かな旋律ウムル・アト(c18337)は密かに期待する。ピュアリィと人類の間によいよい関係を築こうとシャルムーン周辺を巡っていた彼女にとって、この遺跡には興味深いものが多いのだろう。

イラスト:佳凪

「この都市では、スフィンクスと人類が共存していたのでしょうか?」
「だとしたら、是非見てみたいものがありますねぇ」
 アトと同じく人類とピュアリィの共存を目指してこの地にやって来た星輝穿雲・ディーア(c02611)も、目を輝かせて遺跡の奥を見る。彼女の活動がピュアリィたちにも知られつつある今、何か得られるものがあればきっと役に立つだろう。
 さて、果たしてこの先には、何が待っているのだろうか。手に手を取り合って、パノーニャとルシアは石像の傍をゆっくりと通り抜けた。
 愛と正義の小悪魔・アイリス(c03373)は、まだ見ぬおっぱい……もとい未知の種族を求めて秘境を探検していた。初めて出会う種族や部族にも、料理と音楽を架け橋にして、彼女は積極的に交流を試みている。時には、彼らとの間で一夜のアバンチュールもあったとか。
「前々から疑問だったんだが、何で着いてくんだよ? アマツで仕事してんじゃなかったのか?」
 蒼天月華の閃刃・マサミ(c06239)が問うと、焔拳投閃・キミカ(c33915)はどこかに仕えるのは柄じゃないと答えてから唇を尖らせて。
「っていうか、根っからの風来坊のあんたを放っておくと他の奴らが心配するのよ!」
 言うなれば、彼女はお目付け役ということか。苦笑を零して、マサミはそろそろ行くぞと歩き出す。風の向くまま続ける長い旅は、まだ当分終わらない。
「砂漠の中にこんなオアシスがあるなんて驚いたでしょ?」
 棘喰・ガーラルド(c29038)は、招待状を届けに来た運び屋に悪戯っぽく言ってのける。この土地に技術を持ち込み、集落を築いたのは、何を隠そうこの人だ。
「今は、用心棒兼教師と……あとまあ、……ね?」
 この地に住まうピュアリィに目をやって、再び彼は口元で笑った。

●辺境の冒険〜ガルシェン近郊
 薔薇の痕の管理人となった竜剱・ノイズ(c08532)は、かつて人類王都であったその場所にもう一度都市国家を建国するという大きな夢を掲げていた。
 都市整備に精を出す彼女を手伝う為に、千年画廊・ラス(c05348)もまた辺境で様々な活動に注力した。辺境の整備事業はもちろん、都市運営の計画や人材の取りまとめだって必要なのだ。
 目標は未だ遠いかもしれないけれど、それでもふたりは未来を目指して突き進む。
 辺境の厳しい自然の中を渡り歩いてきた爆笑する筋肉魔人・オルトラ(c24254)は今、鬱蒼と生い茂るジャングルにいた。10年前より更にマッシヴになった肉体を惜しみなくさらけ出すようにポーズを取って、彼は腹の底から笑う。
「バーッハッハッハァッ!」
 そんな筋肉魔人の背後には、同じポーズで笑い声を上げるバルバの群れの姿があったという。
 月下に詠う・ツクヨミ(c13634)は、エンドブレイカーたちの評判が未だ及ばぬような土地に赴いては終焉を終焉させる者の物語を歌っていた。神々しさすら覚えさせる美貌と、少年のような無邪気さを併せ持つ吟遊詩人の残す歌は、彼の行く先々で覚えられていくことになる。
 紅蓮姫・サラ(c10601)は、休暇を取ったドンチャッカの旅に同行していた。ある時は共に未知の巨獣と戦い、ある時は飲み比べ、またある時は背中を預け合う。そんなスリルに満ちた旅も楽しいけれど、とサラは思う。
「でも、鈍感な隊長でも偶にはあたしに女を感じて欲しいんだよね」
 隣を行く彼には聞こえないよう、彼女はこっそりと呟いた。
 ミートテイカー・トラ(c35801)は、野生の勘を取り戻すべく過酷な旅に身を投じていた。全てを自給自足で賄うのみならず、敢えて街道以外の場所を通りながら都市国家間を移動するというのだから凄まじい。
 旅の最中に誰かに教えた話が街道建設に役立ったという話を噂に聞いて顔を綻ばせながらも、彼女の心は既に次の旅路に向いている。
 花翔の風・テロス(c07527)は、気の向くままに旅を続けていた。前人未到の地を行く彼女は、その先々に悪戯トラップを仕掛けてきた。よく考えたら、誰かが引っかかる瞬間は見られないと気付いて――それでも、テロスはにっと笑う。
「ま、そのうちここを通った人が伝えてくれるかもしれないか」
 きっと、それは彼女がこの道を越えていった証にもなる。
 流火七夜・カラク(c25294)は、今も辺境で働いていた。辺境でしか取れないものを商人に伝え、発展の橋渡しをしているのだ。
 商人の来訪もなく、巨獣の襲撃もなかったある日、のんびりと過ごしていた彼女のもとに一通の知らせが届く。突然のことにぱちりと瞬いて、次に知らせの理由を聞いて、カラクは静かに笑みを浮かべた。
 密林の守り手・コルヌコピア(c14689)は、仕留めたばかりの猪巨獣の上で休憩中。
 激闘で上がった息を整える彼女の豊かな胸元を、幾筋もの汗が流れ落ちる様子は、見る人が見れば目のやり場に困ったかも知れない。けれどそんなことは露ほども考えず、コルヌコピアは空を見上げる。同じ空の下にいる仲間たちを思って、彼女は軽く息をついた。

●滅びの大地のエンドブレイカー〜復興編
 滅びの大地。
 かつて、大魔女によって、全ての都市国家が滅ぼされた大地は、現在、復興の大号令と共に発展を始めようとしていた。
 復興初期は、世界の瞳の転移で移動できるエンドブレイカーしか復興に携わることができず、復興は遅々として進まなかった。
 しかし、都市国家間活性化計画を推進する薔薇の牆・アナム(c06804)達によって、移民船団が組織され、外用船団を利用して滅びの大地の都市国家に移住するものが現れてから、状況は大きく動き出したのだ。
 特に復興を開始した都市国家で、代理者が現れ始めると、滅びの大地移住は、ひとつのムーブメントとなったのだ。
 世界の瞳の扉で繋がっているのならば、滅びの大地と放棄領域に大きな違いは無い。
 更に、初期から開拓に参加すれば、ゆくゆくは自分の子孫が、都市国家の重鎮になれるかもしれないのだ。
 まずは、海から近い所にある都市国家から復興が始まり、次第に内陸へと進んでいく。
 それぞれの都市国家の人口は、多くて数千人、少なければ数十人ではあるが、足りない人ではエンドブレイカーが手を貸す事で、問題なく復興が進んでいるようだ。

 そんな滅びの大地の都市国家の一つ、花朝酔生フロルカリマでは、狂気の天秤・ヒム(c16638)が、数百人の移住者達と力を合わせて復興に勤しんでいた。
 ヒムの担当は、ライフラインの確保。
 そして、水と食料を確保した後は、特産品の復興。
 特産品を大量輸送するのは難しいが、エンドブレイカーが手荷物で運べる程度の特産品であれば、輸送コストはほとんどかからない。
 現在、花朝酔生フロルカリマでは、養蚕を初めてフロルカリマ伝統の絹織物や民族衣装の再興を目指しているようだ。
 ヒムに誘われてフルカリマにやってきた、機廻曲詠いノ紅竜飛竜騎士・オウ(c19501)は、フロルカリマ伝統の建築物の補修を手がけ、ゆくゆくは芸能の都として観光地として、発展させていきたいと意気込んでいる。
 と、そんな時に発生する爆発音。
 慌てて兄のヒムと一緒に駆けつけたオウは、そこで懐かしい顔を見つけたのだった。
「やれやれ、あの遺跡はここに繋がっていたわけか」
 煤けたカウボーイハットを片手に肩をすくめたのは、調べる者の代行者・ヴァン(c15390)。
 嫌な予感がしたんだよなとぼやく彼は、養子ででしのラリーと共に、フロルカリマの復興の手伝いをする事となった。
 その後、遺跡探索も手伝ってもらったので、ウィンウィンとなったけれど。

 霧氷の蒼剣士・ポウ(c07468)とマシュハティク・スラク(c01308)は、華燭絢爛ベルフェリシアで、仲が良くなったマウシャン達の向日葵畑を見にきて、その景色に大満足。
 この後の、祝賀会の約束もできて、更に大満足。
 しばらく、向日葵畑で過ごしていると、彼らの所にマウシャンが駆け込んでくる。
 人見知りのマウシャン達によると、なにやら探検家風の人間がやってきたらしい。
 ポウとスラクは、マウシャン達に安心しろと言うと、やってきた者達の所へと足を運ぶ。
 そこに居たのは、滅びの大地の都市国家の植物について研究している、白雪に紛れし小花・ユーリ(c30911)と夜が訪れる刻・シキミ(c32374)の2人だった。

イラスト:ゆゆまつ

「このヒマワリは凄いんだよっ! どうして、こんなに大きくてたくさんあるのだ?」
 ユーリの質問に、スラクはマウシャンたちから聞いていたアレコレを説明する。
 その内容を、シキミが書き留めて、ヒマワリ談議でひと盛り上がり。
 その後4人は、どうやら安全そうだと感じて出てきたマウシャンも交えて、楽しく過ごしたのだった。
 ユーリ達以外にも、都市間をまたにかけて復興に従事するものは多い。
 シャルムーンのよろず請負屋をしていた、暴食の黄卍・ヴァーグ(c35110)は、世界の瞳が通じた滅びの大地の都市国家でも、よろず請負屋を営業。
 復興途上のまちまちで、ちょっとした困りごとから、悲劇のエンディングまで、解決に導いている。
 夜風・サスケ(c13730)と凶星氷蝶・リン(c17201)は、移民が始まったばかりの都市を拠点にして、様々な危険の排除を行う仕事についている。
 エンドブレイカーが自由に行き来できない都市国家での冒険は、自分達がやらねばならないというやり甲斐があり、なかなか充実している。
 充実しているといえば、
「リン、ちょっといいかな」
 リンの頬に優しく触れるサスケ。なかなかに甘々な雰囲気だ。
「よし、ほっぺのご飯粒が取れた!」
 このあと、サスケはリンに怒られました。

 一方、拠点を定めて探索を進めるものには、燦然鉱脈ゼルフォニアを中心に探索を続ける霊銀のベアトリクス・アレクシア(c02594)などがいる。
 燦然鉱脈ゼルフォニアは、ゼルフォニアの戦いの被害もあり、復興はあまり進んでいないが、それゆえに、探索のしがいがあると、アレクシアははりきって、辺境の探索を続けていた。
 ゼルフォニアのような伝説の生き証人に出会える事を願って。

 天崖峡谷グランケイヴでは、黒き雷神・ライズ(c02228)らがアンデッドを討伐し、チッタニアン達と一緒に楽しく暮らしている。
 人間の数が少ない滅びの大地の都市国家では、バルバやピュアリィとの共存も選択肢の一つになっている。
 近づきすぎれば、傷つけ合ってしまう種族問題も、ある程度距離をおけば、うまくいくこともある。
 人間の数が増えていけば、問題が出てくるかもしれないが、それは今考えることでは無いだろう。
 グランケイヴに近い海沿いの海岸には、外洋船が発着する船着場を要する新しい港町の建設も始まっている。
 霧氷荊の冠・マウザー(c11248)は、個人的に仲良くなったバルバ達や、超獣武神バルカイザー・バルドゥイン(c04209)という強力な労働力を使って、順調に工事を進めており、周辺の発展に大きく寄与している。
 港町に代理者はいないので、世界の瞳の扉で移動する時は、工事を手伝ってくれているチッタニアンと共に、グランケイヴまで戻る必要があるが、まぁ、些細な事だろう。
 マウザーの港町が発展したことで、復興が進んだ都市国家の中に、石英輝城ジオロジテアがある。
 グランケイヴからも比較的近い、ジオロジテアは、本格的な復興が始まる前から、燈し羽・リシフィア(c16309)によって、測量や調査が進められていた為、外洋船からの移民団の受け入れがスムーズに行われ、他の都市国家に比べて、早い速度で復興が進んでいる。
 移民団を率いて、ジオロジテアにやってきたのは、紅蓮凍土・レンフェール(c00907)と燃やせばよろしい解決ですな・アニス(c02475)の夫婦。
 移民後は、移民団の人々の危険になるゴーレムや罠の解除などを行い、住民たちの生活の安全を守ることに尽力していた。
 ある程度の安全が確保できた頃には、街道完成の祝賀会の時期になっていたので、
「ねぇ、レフェ? 祝賀会が一段楽したら、少し旅に出てみませんか? 平和になった世界を貴方と二人で回りたいのです」
「そうですね、アニスとなら二人でどこへでも」
 と、2人で、旅行してから帰還する予定を立てているらしい。
 ジオテリアから更に平原を進むと現れるのが、草帆光風フラセイル。フラセイルは帆船のような形が特徴の都市国家だ。
 帆船と言いつつも内陸にあるフラセイルは、豊かな田園地帯が広がる、滅びの大地を代表する穀倉地帯だ。
 咲きそめ・デジレ(c18812)と花遊ぶ庭・セヴラン(c21743)の夫婦も、このフラセイルを拠点に活動している。
 知り合いになったディアホーン達の移動手段を真似れば、周辺の探索は、スムーズに行えるだろう。
 セヴランが、ディアホーヌに、奥さんの可愛さを歌にして広めて、デジレに怒られるという一幕もあったが、その甲斐もあってか、フラセイルの衛生都市国家と思われる小規模都市国家を発見してもいる。
 その都市を見つけた日は、雨上がりの虹の綺麗な日であった為、その都市国家は『雨が唄い、虹が包む都市』と名づけられたのだった。
 同じくフラセイルの衛生都市国家を発見したのは、【機動武闘團】の面々。好戦的なバルバ達が救っていた都市を制圧した彼らは、その町に闘技場を見つけると、都市の名を『撃砕煌武アヤカヘイム』となずけると、機動武闘團の拠点としたのだった。
 都市国家に比べて人間が少なすぎる滅びの大地だから行える、とても贅沢な使い方だろう。
 更に、赤い髪の令嬢・セリカ(c30534)が、代理者に選ばれた事で、利便性が大きくあがり、定期的に機動武闘團の闘技大会が開かれるようになったようだ。
 セリカになついている花の妖精姫・アメリア(c34101)は、始終アヤカヘイムに居着いていて、遊びに来る仲間達を出迎える。
 更に、運命の車輪・アイリーン(c29061)が、アヤカヘイムの名物である闘技場の運営に才覚を見せ、だんだんと大会が本格的になっていった。
「これ、そのうち、客取れるんじゃない?」
 アヤカヘイムが闘技場都市として有名になる未来も遠くないかもしれない。

 フラセイルで一番成功したエンドブレイカーといえば、懐の鋭刃・リッキー(c10802)であろう。
 フラセイルの肥沃なライブソイルを利用した希少植物の栽培は、世界の瞳の扉を通じて、世界中に販路を広げ、フラセイルに大きな富をもたらしたのだ。
 更に、彼の運営する広大なフォーゲル農園は、移民希望者に大きく門徒を開くと共に、引退したエンドブレイカーの第二の人生の場としても活躍するのだった。
 引退後は田舎で農園主を……というスローライフの夢は、是非フォーゲル農園で。
 日日是好日・マーズ(c34336)も、フラセイルのライブソイルに魅せられた一人。
 フラセイルで見つけた、珍しいライブソイルに種を植え、有用な希少植物ができれば、滅びの大地の他の都市国家に持ち込んで、根付かせるように実験を続ける。
 大魔女とマスカレイドに散々に荒らされまくった滅びの大地を復興させるには、都市国家の再建だけでは無く、土地の再生が不可欠、フラセイルはその始まりになるだろう。
 マーズは今日も土いじりに精を出している。

 マウザーの港町からフラウセイルまでは、滅びの大地の大動脈といえるだろう。
 この大動脈から、様々な小さな道がわかれ、それぞれの都市国家へと続いていく。
 道と言っても、整備された街道では勿論ない。
 エンドブレイカーが道に迷わずに移動できる目印がある……という程度のものだが、それでも、無いよりはあった方が勿論良い。
 特に、穀倉地帯のフラウセイルからの道が繋がるか繋がらないかは、養える住人の数にも直結してくるのだから。
 そんな道無き道で活躍しているのは、蓮泉の水精・ニンフ(c13873)。
 食料の豊かな場所から、食料の食料の足りない場所へ。
 食料の足りない場所からは、特産品を代わりに運んでくる。
 まだまだ、行き来できる都市国家の数は少ないが、ゆくゆくは、滅びの大地にも街道をという野心もあるようだ。
 滅びの大地という言葉が過去になり、希望と活力溢れる北の大地と呼ばれる日まで、ニンフの活躍は続く。
「あれが、幽玄奏歌グランシャリオかい? なかなか洒落た都市国家だね」
 商隊に便乗して各地を巡っていた、モダン武芸者・ヤナギ(c05699)がニンフに確認する。
 今回の隊商の目的地は、グランシャリオ。黒き森を抜けた白亜の都だ。
 数々の舞台装置が残る演劇の都は、今、滅びの大地でも大きく注目された学術研究都市になりつつあるが、その分、食料が足りずにフラウセイルから輸入しているらしい。
「さて、なにか楽しい事があるかな?」
 ヤナギはそう言うと、荷車を飛び降りて、都市の探索に赴いた。
 グランシャリオの遺跡群に魅せられたエンドブレイカーといえば、時の旅人・ルイカ(c28323)であろう。
 高い錬金術の才能をもっていた彼女は、今では、グランシャリオ研究の第一人者として、滅びの大地を代表する錬金術士の一人である。
 彼女によって、古の遺跡の秘密が解き明かされれば、何か良い事があるかもしれない。
 ランビニオン・レギネー(c00311)と大自然に属す孤独の命火・セルトシュシュ(c36668)の2人も、グランシャリオを拠点として活動していたが、趣はちょっと違う。
 人が集まるが自給自足できないグランシャリオの状況を打開するため、グランシャリオの土を改良し、畑を作ろうと奮闘しているのだ。
 都市全体がカラクリのようなグランシャリオなので、作業はなかなか難航しているが、成果はもうすぐ出ることだろう。
 レギネーは今日もシャベル片手に土いじり。
 セルトシュシュは個人的に雇った遊牧民族の男達と共に、植樹を中心に活動している。
 植樹という技術が広まれば、都市国家の周囲だけでなく、近隣地域も豊かになっていくことだろう。
 このグランシャリオを中心とした滅びの大地中西部は、技術・魔術的に見るものが多い都市国家が多く集まっている。
 白麗彫塑ピグマリアもその一つで、住人が蝋人形にされた悲劇の都市だが、それが原因か、当時の技術や記録が多く残されている事で、重要な研究対象になっている。
 ピグマリアで活動する、プレニルニオの雫・ジェルゾミーナ(c34864)は、古代の知識を発掘しつつ、薬草の研究をしているらしい。 古代の技術は現代に比べて優れている事も多く、その成果は、医療の現場で大きく評価されているらしい。
 ピグマリアから更に北に向かうと、奏彩楽都カンターレがある。
 幻奏調律士・サクラ(c01323)のような魔曲使いにとって、この都市の復興は悲願なのだろう。
 かつての自分のような身の上の子供達を集めて、移民船に乗せ、共同生活をしながら、カンターレの復興を行う、孤児院のようなものの経営を始めている。
 小さい頃から芸術に親しみ、カンターレの復興に携わった子供たちは、遠からず自分以上の魔曲使いになるだろうと、サクラは期待しつつ、たまの休みは皆で温泉に向かっているらしい。
 ねぼすけ群竜士・ルヴァリス(c13302)と幻謡凰蝶・シェナム(c00119)も、カンターレの復興に尽力する夫婦だ。
 彼らも孤児を連れて、カンターレに移住しており、カンターレは、子供達の歌声の響く、美しい都市へと変化し始めている。
 シェナムが経営する宿屋『眠る狼と歌う胡蝶亭』は、子供達の歌声を聞きに来るエンドブレイカー達の定宿としても、人気を博しているようだ。

 このカンターレを過ぎると、滅びの大地の自然は急に厳しくなる。
 ここより北にある都市国家は、氷原燈花フローライトと氷雪の里アイスヘイムの2つ。
 フローライトは氷の湖の都市で、アイスヘイムは極寒の山の上にある都市国家だ。
 このカンターレと北の2都市国家との間。
 季節の狭間のような森は、その環境からか特異な生態系がうまれているようで、滅びの大地の中でも、特に強力な巨獣が闊歩している場所でもある。
 数は少ないが出会ったら、歴戦のエンドブレイカーでも苦戦を免れない。
 そんな巨獣を遠巻きに見つめる一団がいた。
「あれだ。オレ一人じゃ手に余るんで、皆を招集させてもらった」
 囁きながら天槍・ラティクス(c00649)が振り返る。そこに並ぶのは、久々に再会を果たした風鳴りの塔の仲間達だ。
 ここまで来る間、結婚して母になっても相変わらずな不撓不屈・モニカ(c15138)が皆にきゃーきゃー抱き着いたり、紅響の陽炎・ジル(c05123)と鴉羽・ゼロ(c09427)が「ゼロが服着てる!」「俺も41だぞ? 服くらい着るわ!」などと賑やかにやり合ったり、それを見てみんな変わんないな、と薔嵐カプリチオ・アリスティエラ(c01927)が本当に変わらない外見で嬉しそうに笑えば、少しは渋さが身に着いたかなと思っていた空の器・クロービス(c04133)が密かに残念がったり……。
 賑やかにやってきた一行だったが、戦いを前に気を引き締める。
(「……それにしても、巨獣相手でここまで揃うとは……」)
 皆の姿を見つめ、蒼穹を明かす藍の猟矢・キニーネ(c00117)は、そう懐かしそうに目を細める。案外理由なんて、なんでも良かったのかもしれない。

イラスト:上弦 幸平

「そんじゃ行こうぜ」
 愛用の武器を構えたラティクスは、そう言って自ら先陣を切った。
 何も考えず、ただ敵に向かって突っ込むだけ。だが大丈夫。周囲には頼もしい、いや頼もしすぎるほどの仲間達がいる!
「あたし達の力、まだまだ衰えちゃいないんだってところを見せてあげよう!」
 アリスティエラがクリムゾンハウンドをけしかければ、すぐさまクロービスがクリスタライザーを飛ばし、ブランクを感じさせないコンビネーションを発揮する。
 攻撃に気付いた巨獣は大きく吼え、ズシンズシンと重く、しかし素早い動きで体当たりを仕掛けてくる。大きく開いた顎は、噛みつきの前兆だろう。
「サポートは、任せてね」
 そんな敵の影を花の詩・シャルロット(c06521)のシャドウロックが貫き、敵の動きを乱す間にジルが回復手に回る。
「しっかり支えないと……子供の手前、恥ずかしいところは見せられないからね」
 月氷の深海・セラフィーナ(c02496)も援護に回り、彼女の元から現れた星霊ディオスが祝福の聖水を与えていく。
 折角の機会だからとセラフィーナらが連れてきた子供達は、今頃後ろの物陰から、この戦いを見つめているはずだ。
「赤き衣のイヴよ! 我が紋に宿り、かの敵をくれないで染めよ!」
 イヴの紋章を刻むのは、今ではすっかり故郷のランスブルグで立派な騎士となった煉朱・カイン(c17183)だ。その鍛錬と研究の成果は、仲間達の間を縫って巨獣を苛んでいく。
 吼え猛る巨獣の叫びすら凌駕するほどの声量で、響くのはゼロの誘惑魔曲だ。死角に回り込んだキニーネの矢が見事に突き刺さる中、モニカが距離を詰めた。
「もらったぁ!」
 急所を見事に突いたモニカの一撃に、巨獣が末期の悲鳴をあげて倒れていく。それはまさに武闘派集団と呼ばれた風鳴りの塔らしい、見事な勝利の瞬間だった。
「ははは、さすがだな」
 一人じゃどうにもならなかった敵が、いとも簡単に倒れていく。ラティクスはその光景に思わず笑顔を見せた。
「やったねセラちゃ……あれっ、雪?」
 嬉しそうに笑ったシャルロットが、ふと舞い降りてくる白いものに気付く。雪はあっという間に勢いを増して吹雪と化した。
「このままじゃ、凍えてしまうね」
「はやくカンターレに戻りましょう」
 ゼロ達が咄嗟に脱いだ上着を子供達にかけると、一行は早足で家路につく。今度は来ていない皆の家族も交えて、ゆっくり語り合おうと約束を交わしながら。

 その吹雪の向こうの都市国家に暮らすのは、十七夜・ナヤセルディ(c25935)と懐冬・ソナタ(c03903)。
 ナヤセルディが住んでいるのは、氷原燈花フローライトで、時計塔やゴーレムのお世話押しながら暮らしている。
 厳しい環境で自給自足しながら、銀色の光を放つを微笑みながら、フローライトが花に包まれる都市になるようにと、寒さに強い品種の育成にも余念がないらしい。
 一方、ソナタは、氷雪の里アイスヘイムを拠点に活動している。
 まだまだ移住者を募れる状態では無いが、バルバやピュアリィ達とも一定の協力が成立した為、遠からず本格的な開拓が始まるかもしれない。
 もし、アイスヘイムが復興したならば、ソナタとキングバニーの象徴の武器をかけた決闘は、建国神話として語り継がれることだろう。
 多くのエンドブレイカー達が知る、北限の都市国家はアイスヘイムとフローライトである。
 だが、それよりも北に都市国家がある事をしるものが2人だけ……。
 その氷雪の都市国家では、2人のエンドブレイカーが、吹雪の中、身を寄せあっていた。
「アンタの言うとおり、雪と氷に閉ざされたクッソ寒い場所……あったわね」
 棘食系女子・カルメン(c29082)は、氷雪の都市国家で吹雪を避けながら、眼鏡の位置をくぃっと直す。
「あぁ、ガーディアンの我が儘きかせてくれた、スカード様には感謝だな」
 滅びの北風・ヤンネ(c01189)は、自分の防寒マントでカルメンの体を包む。
「で、これからどうする?」
 と問うカルメンに、ヤンネは少し困ったように、ごまかした。
「とにかく、吹雪が止むまで待つしか無いな」
 2人の探索の旅は、もう少し続くらしい。

●滅びの大地のエンドブレイカー〜探索編
 桜雪祈・サキメ(c00696)は、猫の秘境を求めて世界を巡っていた。共に行く桜月祈・サキ(c01313)は、人類未踏の地を巡る旅の筈がどうしてこうなった……などと考えることをとっくにやめている。
 太刀を振るう機会があるという事にどこか馴染んでいる感覚に、サキはひとつ苦笑する。
「あ、あそこに猫っぽい動物が……!」
「人の住まない土地で一人で突っ走るな」
 と、草原に佇む妙にでっかい影を見つけて駆け出そうとするサキメの首根っこを、サキはむんずと捕まえた。サキメの猫馬鹿っぷりは、まだまだ留まるところを知らなさそうだ。
 アクエリオでしばらくゴンドラ探偵をしていたチェルヴィエーロ・シルヴィオ(c05317)は、アラバルデロ・フェルナンド(c05315)の思いつきに同行する形で滅びの大地までやって来た。
「俺、世界が平和になったら、世界中の美味いものを食う旅に出るって決めてたんや……」
 と、フラグっぽいことを言うフェルナンドにツッコミを入れたのも随分前のことだ。それに……実はグルメなシルヴィオとしては、過去に食べられていた料理には興味がある。
 そして、見つけたレシピをフェルナンドが早速再現してみたという。蓋を開けた鍋を覗き込んで、ふたりはにっと視線を合わせた。

 滅びの大地にて、開拓が始まった村に現れた野生動物を撃退した大志を抱く少年・リスタ(c23847)は、照れたような素振りで。
「今さらかもしれねーけど。オレさ、ユウカと結婚したい。これからもずっと一緒にいてくれよ」
 そのリスタの言葉に驚きつつも、破戒巫女・ユウカ(c27051)は戸惑いながらも。
「こんなおばちゃんでいいのかしら?」
 それでも一番だというリスタに、ユウカはぎゅっと抱きついた。
「これからもよろしくお願いします」
 この開拓村からはるか東方では、とかげの馬車に揺られながら、かっとび特攻・イクサ(c03593)と黄金の林檎姫・ルゥル(c02933)は、世界一の林檎を探していた。
「イクサくん、祝賀会行ってみたかったりした?」
「大丈夫だよ。きっと、みんなまた会える!」
 この旅が終わったら皆の顔を見に行こうと決めた、そのとき。
「あ、あれ!」
「……お?」
 どうやら、森の奥で求めていた物を見つけた様子。二人は思わず笑顔でそれに駆け寄るのだった。

 破軍星・ディルアーク(c18214)は、朱い小鳥・セシリア(c03521)と結婚した後、共にとある遺跡の最深部までたどり着いた。
「もっとこう、派手な武勇伝を持って帰りたいなと思っているんですよ、本当は。……そうしたら君は、僕に惚れ直してくれますか?」
「あら、惚れ直すですって? わたしはあなたにずっと惚れっぱなしなのよ。だからそんなことは言わないで、ね?」
 そういって、セシリアはくすりと微笑み、彼にそっと口づけをした。
 ご機嫌かけあしロンド・カペラ(c36243)は、子供ができても冒険することを止められない。今日もお買いものに行くと言って、家族みんなで滅びの大地へ。
「……したのはいいけど、迷ったああ! ここ、どこおおお!?」
 仕方なく棒を倒し、その方向へ向かうと古い都市国家を見つけた。
「やったあ! ほら、おかーちゃん正しいでしょ? ほめてほめて!」
 その様子にいつもだいたい不機嫌な・エドガー(c36257)は思わずため息をつく。
「多分死ぬまでこんな生活が続くんだろうな。まあ、退屈はしないか」
 滅びの大地で冒険を続ける三人は、酒場に集まって話をしていた。どうやら、赤毛の・エリーザベト(c22117)が新たな依頼を見つけてきたらしい。
「だって、ねぇ。一宿一飯の恩義というものがあるじゃない? 村がモンスターに襲われるのとか、見てらんないじゃない? ほら、報酬も出るのよ? ……幾らって、それは……こ、この子のお小遣い、全部」
「……ま、いっか。何にせよ、やらなきゃエンドブレイカーじゃないでしょ?」
 しどろもどろになるエリーザベトに、晨明に駆ける・ヴィル(c27184)は、その依頼に参加することに同意する。もちろん、一緒にいる何時か星に届いて・ジニー(c27183)も。
「じゃあ、決まりだねぇ! さっそく明日、そこに出発だよ!」
 こうしてまた、仲の良い三人は、新たな事件を解決しに向かうのだった。

 恐らく、自分はくだらない理由でくだらない死に方をする。フローライン・バルトロメイ(c30048)は、そう思って生きてきた。けれど今、平和になった世界に死に場所はないと彼は思う。
 先行く少女の後ろをゆっくりと歩いて、バルトロメイは遺跡調査へと向かって行った。探索の途中、常夜の歌姫・ヤト(c04397)は野営の焚き火の傍でギターを取り出した。誘われたように集まって来た動物たちに歌声を披露しながら、随分と奏でる歌も増えたと彼は実感する。
 重ねた経験は、全て歌の糧となる。そしてそれは、人生も同じ。
 同じ空の下に居る仲間たちを思い出して、ヤトはもう一度高らかに歌った。
 苦難も幸福も全て分かち合って、赤き静焔・ジゼル(c08357)と白い羽根・ニーナ(c01336)は10年間共に歩んできた。視界一面が空の青に染まる場所で、愛しい人の手を取って、ジゼルはこの空の先にあるものを想う。
「そう、この最涯ての空すらも越えて、もっと、先まで。わたしは、ニーナとふたり、歩いてゆくわ」
 言葉に頷き、ニーナも手の中の小さな温もりを握り締める。この手を離さず、いつまでも、どこまでも。ふたりで歩いて、生きていこう。

 復興を手伝う傍ら、勇気の鈴・リン(c05168)は珍しい食材を求めて旅を続けていた。
「食材食材〜」
 そうご機嫌で見上げた空には、何やら見慣れぬ影。鳥か龍かと思ったら、
「……え、空飛んでるのに、魚? なんでもいいや、食べればわかるよね!」
 笑顔で開き直って、リンは早速捕獲にかかる。
 洞窟の奥で、ロックドハート・ミーシャ(c15940)は遂にお目当ての泉を発見した。体の成長を促すと言われる輝く水を、彼女は迷わず掬って飲み干す。だが、これといって体が大人っぽくなる気配はない。
「次は、次こそはー!」
 それでもめげずに、彼女は次の目的地を目指して旅に出る。
 氷月の双舞・セリカ(c01569)は、アイスヘイムを再び訪れた。滅びの大地も少しは平和になっただろうか、かつて出会った生き物たちは元気だろうかと胸を躍らせながら、彼女はフライハイで空を駆けていく。
「これからも世界は広がっていけばいいよね
 空の上から見渡した景色はどこまでも真っ白く、広い。
 見渡す限りの雪景色の中に、炎焔地に走る・アストラ(c36093)はマントにくるまって潜んでいた。厳しい冒険のお供はフレイムソードと強い酒、それに彼女の内なるデモンだ。
「さて、あの光はなんじゃ? 宝の眠るダンジョンか、はたまた血に飢えた悪鬼羅刹の群れか――」
 目を凝らした先に光るものを見つけて、アストラは呟く。
 野生の戦士・マークス(c03816)とリトルブルー・リリアベル(c34615)は、滅びの大地にある山を自らの足で登っていく。
 そうして辿り着いた先では、一面の雲海が夕日に照らされて待っていた。
「修行は私には理解出来ませんが、この景色は綺麗です」
「これだから冒険は止められないな」
 リリアベルの言葉に、マークスも笑う。彼が帰りはフライハイで行こうと持ちかけると、リリアベルは微かに肩を震わせて。
「て……手を繋いでもらえますか?」
 問いに、マークスは迷わず彼女の手を取った。
 決戦の後絵を描き始めた混色の黒・ブレンド(c28782)は、世界を回って気に入った景色を描き続けていた。
「どうせ描くなら誰も見たことない景色を描いてみたいしね」
 そう言う彼が辿り着いたのは、雄大な景色を見渡せる山頂。覚え書き程度にメモを取って、彼は都市の方角を振り返る。この眺めを描くのは、祝賀会の光景を描いてからだ。
 フルグリエンス・アーネスト(c01379)は、夜紫の星巫女・エミリー(c21297)と手を繋いで最後の一歩を登り切る。険しい山の頂上に至れば、眼前に広がるのは見たこともないような神秘的な眺め。
「すげえな。ここが世界で一番高い場所じゃねえか?」
 呟くと、素敵ですねとエミリーが笑った。冷たい空気の中、身を寄せ合ってふたりは遠い景色を見つめる。
 舞い降りた翼・セイカ(c05718)は、世界の果てと呼んでも差し支えないほどの場所にいた。
「もう10年にもなるのですね……」
 旅の年月を思って、彼女は小さく息をつく。祝賀会では仲間たちにも会えるだろうかと考えて、セイカはぐっと顔を上げた。
「さて、もうひと頑張りしましょうか」

「やっぱり未知の物を探求するのっていうのは楽しいよね」
 紫刻の幻影・クトラ(c16568)は、そう目を輝かせる。いずれは時空を渡りたいと野望に燃える彼は、その方法を探して遺跡研究の真っ最中だ。
 そうこうしているうちにあっと言う間に10年が経ったと、紫薔薇の聖痕・ヒナ(c01505)は今になって驚きを覚える。
「クトラ様、早く来ないと置いてっちゃうよー」
「って、ヒナさんが先に行っちゃうの!?」
 遺跡の奥へ進む階段に足をかけて手を振れば、すぐにクトラが追ってきた。
 銀灰・クニカラ(c01967)は、同志と共に水晶帝都クリスティアの探索を続けていた。発見から10年が経ってなお、この都市には謎が多い。
「文献探しは一時中断かな」
 呟いて、襲い来たゴーレムの拳を舞うように避け、クニカラは封印の一閃を見舞う。
 黒き片翼・ディーン(c29066)は、密林に覆われた廃墟を探索していた。
「ふむ、かろうじて星霊建築の加護は残っている、と」
 残されたものをくまなく見て回る彼の傍らには、ひとりの少女冒険者の姿があった。
「押しかけ女房ならぬ押しかけ冒険仲間ってのもどうかと思うんだがな……」
 困ったように呟いて、ディーンは再び探索へ戻る。
 モンテルノで目にした壁画が、鉄屑野郎・マリス(c16798)の迷いを払った。
 命がその時間で為した事は残り、継がれる限り生きるのだと信じることのできた彼は、この地を歩んで未踏の領域に挑もうと心を決めた。
 人の生きた証を見出し、伝える為に、今日も彼は未知の大地の地図を書き続けている。
 滅びの大地の地図を描く事を志したのは、マリスだけでは無い。
 砂柩・ゼス(c00490)と花紺青・ユウ(c01588)も、都市国家の無い自然の多い場所を巡って、地図の作成に余年は無い。
 多くのエンドブレイカーは新たな都市国家や遺跡の探索を行っているが、彼ら2人は、ありのままの自然の景観を楽しむために旅を続けているようだ。
 加えて行なっている地質調査の資料は、未来の子孫たちが有効に使ってくれるかもしれない。
 そんな国の名を持たない辺境で戦う2体の獣。
「オレはオレより強い奴に会いに行く!」
 それは、強敵を求めて、滅びの大地の荒野を突き進む、わんぱく戦士・コンラッド(c00353)と、たまたま遭遇した巨獣狼の姿であった。
 激戦の末、自慢のアルティメットビーストで巨獣狼を撃破したコンラッドは、へへんと笑うと、
「お前は強かったぜ。が、俺の方が強かった。それだけじゃん」
 と勝ちゼリフを言って、再び次の強敵を探す旅を続けるのだった。

 アルマースの錬金術士・プレセア(c21627)と灰摺り剣誓・アトリア(c28513)は、『時間の流れを変える力を有する都市国家』を求めて旅をしていた。
「私が玉座に座ってもよかったんだよ?」
 そう言うアトリアに、プレセアは首を横に振ってみせる。姉妹と呼び合うふたりの年齢は、旅の間に逆転したけれど。
「ふふ、だけどね……そのおかげで今ふたりきりで旅が出来て。ちょっとだけ、幸せなの」
「私もよ。貴方はかけがえのない大切な妹」
 アトリアの言葉に、プレセアはそう言って微笑んだ。
 裸の鎧を纏う男・ライデン(c04776)は、ある植物の粘液によって成り立つ集落に行きついていた。そこでは今、圧政を敷く女王に代わる王を決めるべく、伝統競技の大会が開かれているのだという。
「ならばわしが参加し、この国を解放しようではないか!」
 早速まわし姿になって、ライデンは意気揚々と会場に向かう。

●外世界の冒険
 斬奸執事・ラッセル(c30352)は平和になったこの世界を離れ、外世界の旅に出た。
「お困りですか? この老骨で宜しければ、お力になりましょう」
 そう人々に手を差し伸べるラッセルは、今日も今日とて理想の主を求めてさまよいながら、ついでとばかりに理不尽な終焉を打ち砕いている。 戦いの場を求めて、サイレントファントム・ルティナ(c11676)も、エンドブレイカーのすべき事を求めて、外世界へと向かっている。今日もその地の人々のため、その弓を引く。
「……全てが終わるその日まで、私は、戦う……」
 マスカレイドがいなくとも、エンディングに映る闇を払うためにも。
「貫け、ブレイドホリィ!」
 亜人に襲われそうになっている少女とその母親を守るため、レイダー・ソシエゴ(c14053)は、その亜人を倒した。名を尋ねられたソシエゴはこう言う。
「俺はエンドブレイカー……終焉に終焉をもたらす者だ」
 と。
 また、別の亜人の世界では突如現れた男によって、全ての武器と兵器を破壊された上、トップ同士の会談を行い、休戦協定が結ばれていた。今では、その地の子供達がこぞって彼の真似をする。
「聞け悪人ども! 俺の名は! エンドブレイカー! ソウスケ・アオノ!」
 それが、我が往くは正義の道・ソウスケ(c25116)が、成した偉業である。

 青い夕陽が降りる頃。
 怯える老人と少女を、影の形をした何かが襲い掛かる。
「前行くから後ろは任せたよウサムネっ! 弱点を確実に狙いに行くよっ!」
「任せるが良い。隙を作るのも、追撃せしめるもいつも通りでござる」
 太陽の娘・ラブラドライト(c11943)がガントレット片手に、二人の間に割り込むように影へと攻撃していく。邪気眼竜・ウサムネ(c22688)がフォローしてくれるものの、なかなか戦闘が思うように進まない。そう感じた時だった。
「其の声、その姿……よもやラブか!? いやはや、斯様な所で出くわすとはのぅ。良かろう、久々の共闘じゃな」
 そこに通りかかった、ラブラドライトの兄、緑を纏いし御魂狩之護刀・ショウキ(c10227)が参戦したお蔭で、影を打ち破り、老人と少女を救うことに成功したのだった。
 謎の生命体に襲われている宇宙船を救出したのは、マスター番長・ガナッシュ(c02203)。
「なるほど……そういうことならば、大規模襲撃を仕掛け、大元を破壊するべきじゃのう」
 その後、謎の生命体の巣を見つけ撃破したが、ガナッシュの伝説はまだまだ続くようだ。
 獅士哮牙・イウェイン(c06629)は、知的だが不定形の生物のいる世界で、奮闘していた。なぜなら、彼らがいがみ合いの末、激突し滅亡するエンディングをみたからだ。意思疎通は難しいが、それでも、彼らの為にコミュニケーションを取り続ける。
「剣での戦いだけがエンディングを終わらせる力ではない。こういった折衝・対話での戦いもある」
 ラピュセル・アルトリア(c02393)は、火山だらけの惑星にいた。次元移動存在の残党が火山に攻撃することによって火山の噴火を誘発していたのだ。それを止めるために、今日もアルトリアは山を駆け上る。
「貴方達が壊すなら、私が守ります! 貴方達がエンディングを作るなら、私が打ち砕きます! 何があっても!」
 自らの力を高める為に収れんを積みつつ、外世界の脅威を探し続けるのは、壊し屋・ジョルジュ(c01908)。移動要塞ともいうべき、破壊兵器と現地で出会った者達と共に戦い続けている。
「壊し屋の終焉にはまだまだほど遠いな……次の奴は一体どんな姿をしているのやら」
 何とか勝利を手にしたジョルジュはこの話を祝賀会の土産話にしようと心に決めた。
 一方其の頃、緑豊かな碧い星は、人々が機械兵やドラゴンの群に襲われていた。
「貴様等が斃すべきは目の前の同胞ではない! 争いを助長し、拡げている存在は他にいる!」
 韻律の継承詩・ルセラ(c02718)は、彼らを救うため、戦い続けていた。苦戦しているところに、見知った仲間が近づいてくるのが見え、思わず笑みが零れる。
「愛妻メイベルが笑顔で送り出してくれたのだ。再び笑顔で、おかえりなさいの言葉を聴くまでは俺は倒れぬぞ」
 合流した相棒と共に今、勝利をものにした。
 普段はアクエリオの懲罰騎士団の団長として活動している自堕落系懲罰騎士・ダレン(c34576)。持ち前の正義感か好奇心からか、たびたび外世界に出かけているようだ。世界を滅ぼす存在の孵化を阻止するために戦っていた。
「しっかしまあ、数ばっかりが多くて手応えが無いモンだな。まっ……ちゃちゃっと片付けて、美人サンが待ってる酒場にでも遊びに行くとしますかね!」
 世界全体のシステムを乗っ取ろうとするエンディングを知り、爪の天誓騎士・リリィ(c34328)は、母親と共に機械的な敵を粉砕していた。
「マギラントの領主として働くのも大事だけど、外世界の悲劇のエンディングも打ち砕かないとね!」
 そういってリリィは、隣にいる母親と息を合わせて強烈は一撃を放った。

 ここは、魔法少女が支配する幻想世界。その魔法少女の魔法によって、天空に紡ぐ詩・シアン(c28363)と焔の・アセルス(c03225)が鏡の中に閉じ込められた。不安がるアセルスの手を、シアンが握る。
「確かに動きにくいですけど……。でも、繋いだ手の温度は変わらないでしょう?」
「……まあ、たしかに。シアンがいりゃ、怖いものはないな」
 その間に魔法少女プリンセスヒロイン・パフェヌ(c16979)と蒼剣魔狼・サリオス(c16955)はこの地にある最強の剣を求めていた。それさえあれば、鏡の中に閉じ込められた二人を助けられる。
「魔法少女の力で作られた最強の剣は、恋人同士の愛の力があって初めて使えるはずよ」
「ええ!? 聞いてないぞ、そんな恥ずかしい話!」
 そんなサリオスの言葉も気にせず、パフェヌは続ける。
「パフェヌのお腹の子の為にも悪しき終焉破壊しないとね、パパ☆」
「いや、それは……子供が生まれるまでパパはやめろよ、いや結婚式はまだしてないけどよ」
 そして武器を得た彼らは、いよいよ決戦へと向かう。星を探す娘・ナージャ(c02152)も駆けつけ、戦いは一層、激しいものに。
「さあ、僕の口付けで燃やし尽くしてあげるよ!」
 その派手な一撃で、ナージャはその戦いに終止符を打ったのだった。

イラスト:影月凍

 生活すべてを管理していたマザーコンピュータの暴走により、その地の人類は滅亡の危機まで追い詰められ、荒廃していた。そこに降り立ったのは、銀河旋風・リーナ(c32966)。
「なるほど。対集団戦に特化した敵ね。なら、単独で突っ込んだらどうなるかしら?」
 エンドブレイカーにしかできない作戦。リーナは単独で敵の軍勢に立ち向かい、マザーコンピュータを撃破したのだった。
「砂漠に爪、そして喋れぬ姫か。なんで僕が関わる外世界のエンディングはどれも、故郷を襲った三勇者のどれかを連想させるような形になるのかなぁ。まぁ安心してお姫様。キミの終焉は僕が……俺が必ずぶち壊す!」
 闘拳と剣斧の天誓騎士・グリム(c35430)の口調が変わると共に、黒い光のようなオーラが右腕の闘拳に集中する。
「さぁ化物、押しきらせて貰おうか!!」
 破城鎚・アイネアス(c00387)は習得した遺失魔法『フライハイ』を使い、上空からの落下の勢いを利用して、雑魚を掃討、返す鎚で巨獣に一撃を加え、その地に住まう人々を守った。と、現地の者達から名を尋ねられる。
「アイネアス・バルソー、城塞騎士である。この終焉、変える意志があるのであれば手を貸そう」
 今日もまた外世界で戦う二人組がいる。
「ほらほら、行くよサイ! 外世界の危機は待っちゃくれないってね!」
「え〜??? いやいや! もちろん行きますよ!」
 にらみを利かせるスクラップマシン・オート(c34187)に、白い牙・サイ(c00411)は大人しく従う。今は、大量発生した巨大な蟻と戦っていた。
「どっからでもかかっておいで!」
「ボクのハイパーブレイドタイフーンで吹っ飛びな!」
 その後、オートとサイは、希望の本を守る戦いや、マスカレイドに似た英雄を退治することになるのだが、それはまた別の話。
 鉄腕少女・クリスティーナ(c16253)は、巨大な昆虫に襲われている人々を助けるために戦っていた。
「いけ! 自慢の怪力と家宝の長ロングナイトランスで突撃だ! 困っている人に手を差し伸べるのは、力を持つ者の使命ですの!」
 勝利したクリスティーナは、派手な力技で事件を解決に導いた。
 黄金の閃刃・ジル(c04412)と迷子天使・アイリーン(c04416)が迷子になりながらやってきたのは、一面海の世界。
「姉さん、援護して!」
「おっけー! 回復と援護は任せて」
 ジルが前に出て攻撃し、アイリーンが援護していく。敵である巨大な深海イカを見事倒した二人は、水着姿で喜び合うのだった。
 勘を頼りに嶺渡の狩人・ルファ(c06436)は、魔獣の刀撃・ダグラス(c04039)のいる巨大な船の甲板へとやってきた。
「こんな所まで追ってくるとは余程暇と見える」
「……そうね。暇だから落ち着くまで居座るわ」
 聞く耳持たないルファにダグラスは。
「……止めても追って来るなら、最初から手元に置いた方が幾分かマシか。生き残れ、そしたら貰ってやるよ」
「!? ……あなたもね。いえ、私が残す。そして、ずっと傍に……」
 そして二人は巨大な渦の魔物を撃破し、共に行く道を切りひらいたのだった。

「まったく、手間のかかるウサギだった……」
 仲間と共に外世界を旅していた天蒼牙・シャオリィ(c00368)は、時間を操る黒いウサギに捕まって、同じ時を過ごしていた。それも何とか撃破し、疲れた体で懐かしい家にたどり着く。
「これは……手紙?」
 しばらく会っていない友に会うために、シャオリィはまた、家を出る。
「……アルトース。囲まれているわ」
 いち早く気付いたのは、黒き護刃・ヤンカ(c11423)。けれど、赤き戦槍・アルトース(c18777)は気にしていない様子。敵は銀色の金属で象られた鳥。人々を襲う敵であった。
「さて、この敵の数……今回も中々やり甲斐のある仕事みたいだな!」
「そうね。いつも通りに倒しましょう。そしてこの終焉に終わりを!」
 敵に大打撃を与えるために、二人は手にした武器を構えた。
 いくつもの世界を渡り歩き、猫好きの巫覡・アイリス(c21895)は、各世界に住まうエルフ達の助ける日々を過ごしていた。
「エルフといっても、ボクとはなんか違うとゆーか、世界ごとになんか微妙に違う感じ?」
 今、アイリスは魔王と呼ばれる敵を倒して、エルフの勇者とか、伝説のエルフの再来とか言われてかなり歓迎されていた。
「名残惜しいけど……祝賀会がボクを待っているの。みんな元気かな?」
 忍びに酷似した悪しき存在が私腹を肥やしている世界で、今、まさに罪なき子供が処刑されようとしていた。その瞬間、鋭い手裏剣が放たれる。敵が怯んだ隙に子供を救出したのは、マスカレイドスレイヤー・ケンドー(c34766)だ。
「悪しき存在……滅ぼすべし」
 そのまま敵を倒し、その世界を救ったのだった。
 アマツカグラと似た悪鬼羅刹に滅ぼされる寸前の世界に、彩雲の巫女・ミスズ(c05739)はいた。
「大丈夫です。怯えることはありません。悪鬼は、私達が倒してみせます!」
 悪鬼に怯える人々を神楽舞で元気づけ、共に戦うことで救ってみせた。その後、ミスズの舞を伝えていきたいという人々の声に恥ずかしそうに、嬉しそうにミスズは頷いた。
 機械生命体と激しい戦いを繰り広げるのは、揺光の騎士・ジークハルト(c31731)。
「出たな……貴様達の好きにはさせんぞ! 断罪をその身に受けるがいいッ!!」
 そして紫の閃光が煌めき。
「命運尽きたな……滅び去れッッ!! チェック……メイト……!!」
 こうしてまた、不幸なエンディングが打破された。
 敵の持つ宇宙船を奪い、古龍蛇・ジョージ(c15355)は、一騎打ちで敵のボスである幻影の貴婦人を打ち倒した。
「悪いがね、女だろうと悪いエンディングをブレイクするためなら容赦はしないのさ……しかしちょいとやり過ぎちまったか……こっからどう帰るかねえ」
 そう言って、ジョージは葉巻に火をつけ、空を見上げながら頬を掻いた。
 ハルバードの城塞騎士・ティス(c20319)は、氷に覆われている世界にいた。迫りくる巨大な火の玉流星群を撃退するためだ。
「さーて今日も槍振るっちゃうぞ! ってわぁぁぁ!?」
 足を滑らせているようだが、たぶん、大丈夫だろう。
 いばら姫・チサカ(c34909)のいる世界は、バルバのような獣人達が暮らす世界。魚のような敵が世界に降りてきて、海を一気に増やして世界全てを水没させてしまうという、エンディングだったのだが……。
「いやあー、話の分かる相手でよかったよ! これで解決なのね!」
 事情を説明したら、魚のような敵は理解してくれたために、そのエンディングを回避することができた。
 人と人の争いの末、滅亡するエンディングを見た世界で煉獄の紅蓮王・タダシ(c04307)は、手っ取り早く一つの勢力へ肩入れして勝利させようと戦っていた。その間も、残してきた娘のことが思い出される。
「あいつ、領主の仕事うまくやれてるのかね? 補佐も幾人かいたし、メイン産業の温泉施設建築も済ませてきたが心配でたまらん」
 戦いが落ち着いたところを見計らって、タダシは故郷であるアクエリオへと戻っていくのであった。
「ふう……何とかここも解決しましたね」
 鈍骨喰・サンディ(c02629)は、帝政国家に対してレジスタンス活動を行っている世界に到着し、そこでの問題を解決した。だが、彼女の戦いはまだ終わらない。感謝されどもその地に愛着はなく、いつもまわっている仕事の一つを終えただけなのだ。サンディの旅はまだ続く。

 虚ろの従者・ゼフィリス(c01487)もまた、一つの世界を解決に導いていた。常に光に満たされた世界の古代遺跡にデモンのような存在が封印されており、夜を否定したためにより強力な夜の王が生まれたのだ。ゼフィリスは否定ではなく共存の大切さを伝え、暴走することなく、デモニスタのような力が振えるようになっていた。今はその彼らと共に夜の王の元へ向かっている途中だ。
「拒絶ではく、共存のため、分かり合うための戦いです。この様子なら何の問題もないですね。……これなら、間に合いそうです」
 懐から取り出した手紙を見つめて笑みを浮かべた。
 水底の棺・トレイル(c06908)もまた、外世界にいる。そこでは自分勝手に土地開発を進める人間達に怒り狂った植物達が、人間には致死的な毒を大気へと放っているらしい。まずは毒汚染の進行を抑えるために強い毒を持つ植物だけ戦闘不能にし、その後、人々へ、植物との和解を勧める予定だ。
「これが終わったら、アクエリオに向かいましょうか。祝賀会が楽しみです」
 雨音・ココ(c30874)がたどり着いた世界は、天使に滅ぼされそうな悪魔の世界だ。ココの目に飛び込んでくるのは、業火に包まれた街。天使達から逃げ惑う悪魔と遭遇し、矢を射て救出した。
「僕はこの平和な世界を守るために来たんだ。詳しい話を聞かせてくれるかな?」
 その後、ココの提案した作戦により天使達を撃退したのは言うまでもない。
「え、私がブレイクしてきたエンディングの話ですか……? その世界は女性ばかりの世界で、彼女達は錬金術によって子を成してきました。でも、錬金術の暴走で……」
 暴走で発生したスライム達を卑しき黄金・ファルティアナ(c36186)は、ぼろぼろになりながらも撃破することができたようだ。話を聞いた者達の多くが顔を赤くさせていたのは、たぶん気のせいだろう。

 地面や建物が一面、黄金色に染まっている。白金の狙撃手・サリア(c02780)のいる外世界は全てが黄金で出来た世界であった。そんな世界も金属を錆びつかせる力を持つ鉄の巨人が襲撃してきているらしい。
「つまりこれは大儲けのチャンスってことねっ!」
 鉄の巨人を倒したサリアは、お土産の黄金を持って祝賀会に参加していた。
 遺失魔法『フライハイ』を会得した猛牛娘・スティニア(c00506)達は、世界の覇権を握ろうとしている軍事大国の飛空艇に突撃していた。激しい戦いの末、見事、勝利を収める。
「ふぅ……祝賀会には何とか間に合いそうだな。……この仕事が無ければ、息子達も一緒に参加したのだがな」
 白木香の娘・ロゼ(c03121)と白旋風・パルス(c00131)は、男女でいちゃつくと、炎に包まれた巨人が現れるという世界に来ていた。その巨人を退治するため、二人は……。
「あーん」
「美味しい?」
 とロゼお手製のお弁当を食べさせ合っていた。その後現れた巨人は、二人の慣れた連携で危うげなく倒すことに成功。
「今度は怪物がいないときに、お弁当作ってきたら、食べてくれますか?」
「ええ、今度はお休みの時に。ゆっくりと旅にでもいきましょうか」
 二人はそう、約束を交わしたのだった。
 その世界では、音楽がエネルギーとして活用され、音に満ち溢れていた。
「みつけた。あの道化師が操っていたのか」
 道化師が奏でる笛の音に子供達がぞろぞろとついていく。それを見つけた夜霧の森・ルシオ(c05863)はすぐさま、道化師を撃退することができた。後は子供達の心を取り戻せるかどうか。きっとそれも時期に解決することだろう。
 氷の桜桔梗・アヤ(c03522)は、飛竜のダギと共に、かつて戦った場所を見回っていた。撃破した闇の天使は復活することなく、空は限りなく澄み渡っている。
「ここはもう〜大丈夫なようですねぇ〜。次はダギさんのことだけですねぇ〜」
 アヤはダギと共に帰れる方法を模索しながら、大切な人のことを思い浮かべた。
 ここは、悪しき為政者によって、クラシック以外の音楽が禁じられた世界。それを止めるためにラッシュビートプリンセス・シンシア(c33799)は、パンクなサウンドで抵抗していく。
「それじゃあ、シンシアちゃんのハイパーパンクサウンドを聞くのですよぅ〜!」
 自由を取り戻した世界に、新たな音楽が生まれた。
 斬りたいだけの・アサクリア(c00675)がたどり着いた外世界は、神の軍勢と名乗る者達が世界を制圧している世界だった。そこでは、最後の決戦とのことで、アサクリアが飛び入り参加したのだが。
「あの程度の力で神を名乗るってのがお笑いだったぜ。まぁ、数だけは居たもんだからさ、兎に角斬りまくれて爽快だったな」
 どうやら物足りない様子。また大魔女のような敵と戦えることを待ち望んでいるようだ。
 黒衣の双剣士・ユエイン(c00108)の目前には、滅びをまき散らす魔人が立ちはだかっていた。
「カレンやユエルたちに、祝賀会までに帰ってくるように言われたしな。あの二人を相手にするのに比べたら、魔神など何ほどでもない」
 そう言って、ユエインは魔人を撃破し、その足で祝賀会へと急いでいったのだった。
 迷子の狼・セルヴェイル(c01107)は、自身を顧みずに危険に満ちた外世界へと向かい続ける。理由を問われれば、そういう病気だからだと彼は答えることだろう。
 そうして、今日も彼は誰かを救うべく世界の瞳の扉を潜る。
 蒼飾の美少年・ブレス(c15251)は外世界を救いつつ、永遠の若さを求めて旅をしていた。今訪れているのは、世界の危機に少年神が現れると伝わる世界だ。
「まさにオレ向けだね」
 にやりと笑って、彼は目の前の終焉を打ち砕きにかかる。
「今回こそ……このイケメン、アンド美女だらけの世界に残るんだぁぁぁ!」
 ハーレムクイーン・バクコ(c35333)の叫びが、どこかの世界に響き渡る。彼女の願い、ハーレム獲得が叶う日が来るのかどうかは、誰も知らない。
 多くの世界を旅するうちに、導主・エセルバート(c15339)はあるアイデアを思いついていた。
 それは、実現すればもっと多くの世界を救えるだろう壮大な計画。そして、実行するには多くの困難や問題が伴うだろう計画だ。けれど、と蒼天の翼・テフ(c36261)は彼の手を握る。
「次はどこかな? エセルさんと一緒なら……何も怖くないしどこでも戦えるから」
 同じ景色をずっと見てきた彼女のサポートが、エセルバートを支えている。

 チアリーダー・ティア(c00009)は、人々と一緒にチアリーディングの真っ最中。この世界では、応援の強さが味方の士気をそのまま左右するのだ。
 懸命な応援が実を結んだことにほっと胸を撫で下ろして、ティアは紅潮した頬を拭った。
 フルムスアーラ・ユウ(c27076)は、大切なものを失う悲しみを誰にも味わわせたくなくて再び剣を執った。平和な世界にいても、きっと自分の過去に目を向けてしまうから。だからたとえ終わりがなくとも、一歩ずつ進んで行こうと彼は思う。
 火毒・エウリード(c03240)もまた、終わりなき戦いに身を投じていた。降り注ぐ攻撃を打ち払い、彼は果敢に突き進む。
「さァて、次に俺の相手してくれンのはどいつだ?」
 誇りと魂を懸けた戦いに喜びを覚えながら、そう彼は吼える。
 魔剣・アモン(c02234)とハムスター・シシィ(c03556)は、エンドブレイカーの能力を受け継いだ娘と共に猛スピードで空を駆けていた。彼らを運ぶのは、一騎の飛竜だ。
 かつての戦友である彼の背に乗り、再びこの世界を汚そうとする者へと3人家族は立ち向かう。
「シシィ、最後の一撃は一緒に決めるよ!」
「うん、いっくよーっ!」
 愛する夫からの合図に、シシィも大きな声で応える。そして、ふたりの一撃が悪しき終焉を打ち砕く。
 外世界からふらりと戻った代行者・ボーン(c10145)に、梅華蝶風・ベリエラ(c02362)は久しぶりと笑いかけた。
 訪れた先の世界で弟子をとり、技を教えている最中たと語るボーンの傍らで、追想のスリズィエ・アテナ(c03766)は軽く目を閉じて。
「あっという間の10年でした」
 身寄りのない子らと過ごしているという彼女の言葉に、ベリエラも頷く。これまでと同じように戦いの旅を続けてきたベリエラにとってもまた、10年の歳月はさして長いものでもなかった。
「例え救えぬ者はいるとしても……無茶だからと言って目の前で苦しんでる者を見て『仕方がない』で諦められないのでな!」
 それこそが、彼女たちがエンドブレイカーたる所以なのだ。
 気まぐれ春風・カプリス(c01381)は、娯楽に飢えた世界を巡っていた。戦いばかりではなく、心の渇きもまた脅威ということだ。
「ぼくの歌と踊りで少しでも希望をもってもらいたいなって」
 そう言って、彼女は笑顔を浮かべる。

 月光と戦歌の護り・フィーロット(c24962)はマスカレイドのいなくなったこの世界を離れ、戦いを続けていた。とある脅威に蝕まれた世界を破滅から守るべく、そして世界の聖女を異形化から解放すべく、フィーロットは得物を握る。
 世界で一番熱い男。ある世界の人々は、紅衣の報復者・クウィル(c03503)をそう呼んだ。
 己の魂に燃える正義を掲げ続けるその姿から付けられた呼び名に小さく笑い、けれど光栄なことだと呟いて、彼は剣を振り上げた。
 ガヴェインの親友・クレア(c29098)は今、科学の発展した世界での冒険を楽しんでいた。大切な人たちとはなかなか会えないが、それでも会いたいときにはすぐ会えるのだ。彼らへのお土産を一杯に抱えて、クレアは久々の帰路に就く。
 蒼魔天征・リゼル(c02036)は自警団に所属し、外世界で警護の仕事があれば優先的に引き受けるという生活を送っていた。加えて、自警団の経営する喫茶店を外世界にもどんどん広めようと、彼女は忙しく働いている。
 真理の探究者・ルーシー(c03833)は、あらゆる知識が自動収集され、その全てが本となる世界にいた。
 学者にとっては夢のようなこの地に伸びた魔の手から『智』を守るべく、彼女はエンドブレイカーとして立ち上がる。
 世界に蔓延る石化の病を唯一治せる薬草を守り抜き、茜染む斧鉞・ジーク(c03342)はラブ・デージー(c07420)を振り返る。
「手伝わせて悪かったな」
「いいよ、他ならぬ友達の頼みだし」
 にっと笑うデージーに、何度助けられただろうか。そう思って、ジークが譲り受けた小さな種に目を落とす。この種が、探しているものの糸口になればいいのだが……。
 そんな彼は、けれど昔よりずっと強くなった。そう、デージーは素直に思う。

 愛色・ギフト(c02054)が訪れた世界では、お姫様の誕生会の真っ最中。立派なケーキに添えるのは、彼女が教えた素敵な紅茶。
「戦わずに助けられるのも嬉しいです♪」
 お茶の淹れ方を人々に教えながら、ギフトは思う。
 おっぱいマイスター・リチャード(c02998)は、黒コートをなびかせて飄々と笑う。
「乞われて助けないのは男じゃないっすからね〜」
 そうして、彼は世界を救いにかかる。戦いの後も留まれるなら、美女とのアバンチュールが待っている!
 至極平均的なエンドブレイカー・キヨカズール(c01091)は、種族も様々な仲間たちと共に冒険を続けていた。いつか種族の壁すら越える友情の輪を広げるという夢のため、紫アフロを揺らして彼は行く。
 荒れた世界で、向日葵と太陽・リノ(c27816)と夢雲・モルラ(c32051)は暴れる獣を打ち倒そうとしていた。その道中、すっかり大人の顔でリノが呟く。
「戦う力が世界の未来に繋がる。そういう事を教えてくれたのは先生のお陰だ」
「どっちが幸福だったか。そんなの分からないけど……戦えない人達の為に、未来の為に戦える力を、僕は誇りに思ってるよ」
 そう微笑んで、モルラが掌を見つめた。。
 祝賀会までもう少し。それまでに、この仕事を終わらせよう。
 天昇瞬地・サイクス(c14074)は、帰ってくるなり祝賀会の報せに目を輝かせた。
 それが1週間後のことだと聞けば、彼は少しの力で大ジャンプできる世界へ続く扉に手をかけて。
「大丈夫、絶対勝って間に合わせるから!」
 超弩級肉体派錬金術士・ダリウス(c26110)は、圧政を敷く独裁者に単身戦いを挑んだ。その世界で鬼神の如き強さを発揮した彼は、敵の大軍をちぎっては投げちぎっては投げ、悲劇の終焉を完膚なきまでに打ち砕いたという。
 知識を求め続ける者・レイ(c00801)は、外世界の文明調査を行っていた。
「外世界の知識は変わっていて楽しいですからね、執筆や研究も進むものです」
 後世に知識を伝えるための執筆作業をしながら、彼はそう呟いた。
 ハンマーと星霊術士・マクシーム(c09211)は、かつて居た残虐な領主のことを思い出していた。いくら命を救っても、彼の奪った命が戻るわけではない。
 それでも、彼はエンドブレイカーなのだ。だから、今日も彼は外世界へと誰かを救いに向かう。
 榛洛・イーツァ(c19102)は飛竜騎士となり、理不尽な終焉に立ち向かっていた。
「外世界にもいっぱいいろんな生き物がいるんだ」
 飛竜の背から見下ろす景色に目を輝かせ、祝賀会には土産話もたくさん持って行こうと彼は思う。
 男神と女神が戦争をしていた世界で、日晴猫・ファミリア(c14712)は文明の復興を助けていた。過去の戦いを吟遊詩人として歌にしながら、彼女は同じくエンドブレイカーである恋人とともに新生した世界の繁栄を目指す。
 天猛星・アゼル(c21551)は、かつて出会った姫巫女にもう一度会いに行くことにした。専門家として、歌が苦手な巫女に手ほどきができればと考えたのだ。
「これで音痴もマシになるよ」
 巫女に練習法を伝授して、彼女はそう笑う。
 穿つ鉄拳の・デリック(c13022)が仲間と共に対峙した敵は、あまりにも強力だった。けれど自分が食い止めれば他は撤退できると判じて、デリックは言い切る。
「俺も後から行く」
 思い残すことは、何もない。静かな心持で、彼は敵へと向き直る。

 危険を排除し人々を支えるのはハウスキーパーの使命。ファイティングハウスキーパー・エマ(c21742)は、その意思のもとに戦いを続けていた。
「伊達や酔狂でハウスメイドやってるんじゃないよ!」
 まだまだ、彼女の活躍も終わらない。
 炎の世界の中、黒衣の怪盗・レモン(c03906)は精霊の加護を得て戦っていた。
「侵略者は炎が苦手だからこそ、炎を弱らせる」
 そう見抜いた彼は、名もなき仲間たちと共にひとつの種族を救いに向かう。

 剣のスカイランナー・レイル(c00075)も、外世界の危機に立ち上がったひとりだ。
「大分やばい事になってるじゃないか。久々の仕事で気合が入るな」
 辿り着いた世界を見回して、すぐに彼は状況を把握する。さあ、新たな旅の始まりだ
 鮮血姫・アリシア(c31077)は親しい人たちに別れを告げ、単身外世界の戦いに乗り込んだ。
「……まぁ、結局これがわたしには一番って事なの」
 狂気めいた光を瞳に宿して、彼女は得物を構える。戦いの日々は、彼女が斃れるまで終わらない。
 闘神邸の面々は、巨大な手の形をした次元移動存在との決戦に挑んでいた。
「貴方はマシュマロより強いのかしら?」
 ドリルの魔獣戦士・ルエリィ(c34403)が不敵に笑えば、主なき忠犬・ロベルティーネ(c14813)が嗜虐的な表情とともに武器を構えて。
「せっかく大きい図体なんだから簡単に壊れてしまってはダメ、よ?」
 刹那、武骨な大剣の一撃が『手』に食い込む。
「あら、痛かったかしら……?」
「ロベルティーネさん、援護します!」
 折れぬ大樹・ユーフィ(c34276)が、聖剣に宿した白焔で『手』の分身体を薙ぎ払う。彼女と並び立つ銀牙狼・アルジェン(c02363)も両手の剣を掲げて、オーラの門から英霊の軍勢を呼び出した。
 仲間たちが切り開いた道に踏み込んで、狼の眼・ギセン(c31381)が吼える。
「異界の終焉どももよく聴いておけ、俺の名は小夫義仙。いざ、参る!」
 今こそ懐かしい顔ぶれに、己の神火がどれだけ獰猛になったかを見せる時。振り下ろした刃が、唸りを上げて敵へと喰らいつく。
 儘色カンターテ・ティコ(c16378)が前衛に立つのを見て、赤青オルビス・アルカ(c23651)はその背を守ろうと心に決めた。そして放った魔術の一撃が、前衛を叩き潰そうとした『手』を容赦なく焼き焦がす。
「……何で10年経ってまだ別世界で戦闘してんでしょ?」
 辺境でルエリィとの冒険を続けていた三歩下往く・オデット(c33077)はそう首を傾げた後、気を取り直して空間を切り裂く。月光煌星砲の直撃を受けた『手』が痛がるように無秩序に暴れて、前線に立つエンドブレイカーたちを巻き込んだ。
「ふふ、ヒーローのようだ」
 額から血が流れ落ちるのも厭わずに、銀雷閃・ツルギ(c08167)も全力の一撃を叩き込む。まだまだ、膝をつくには早い!
「手、止めるね」
 ティコの突き出す紫煙樹の枝が、『手』の指を締め上げて味方の勝機を作る。それを見逃さず、黄金戦姫・アンゼリカ(c32742)が突っ込んだ。既に鎧は砕け、その下の肉体も傷だらけだ。けれど鍛えた体が、いや魂が、彼女の本当の鎧なのだ。
「みんなの心の輝きが、究極の光」
 呟くと同時に、アンゼリカの拳に光が宿った。峻烈に輝く断罪の拳が、次元移動存在の核を確かに捉える。
 そして、断末魔が響いた。砕け散り、虚空に吸い込まれるようにして消えていく敵に、オデットが叫ぶ。
「あっ、お宝! まだお宝がーっ!」
 くずおれる彼女の姿に笑って、ルエリィが得物を足元に突き立てる。
「まあまあ、それより次の冒険ですわ!」
「此処まで来た以上……神を目指しましょう」
 全てを守ろうという思いを込めて、アルジェンがそう言う。
「無事な事を伝えねばならないな」
 振り返り、呟いたツルギの気持ちは、待っている大切な人に向けたもの。
 それぞれの思いを胸に、エンドブレイカーたちは勝利の報告へと向かう。

イラスト:黒無


●街道開通祝賀会〜戦神海峡の祝宴
 祝賀会ムードの街並みを歩いて、追憶の真白き儚花・レイシー(c30360)は、周りの賑やかさに圧倒されていた。いや、それよりも行くべき場所がある。
「これからわたくしのもう一つの『家族』とお会いするのです。楽しみにしていてくださいね」
 傍にいた娘を抱き上げレイシーは、伴侶となった夫と共に、懐かしい酒場のドアを開いた。
 はるばるランスブルグから、アクスヘイムの祝賀会にやってきたのは、若草の騎士・ヘレネ(c05137)。10年ぶりに会う旧友を訪ねてきたのだ。
「……それで、私も結婚したんですよ」
 その証にと、手に付けた銀の指輪を見せて、照れたようにはにかんで見せる。
 閃光の・エクレール(c02687)は、つい先日、副団長からエストハイム城塞騎士団の団長に就任することができた。習得したばかりのフライハイを使い、賑やかなアクスヘイムを見下ろしている。
「……少しでもラズワルドに近づいたかしら?」
 ラズワルドと出会ったら、そのときは手合わせを願い出ようと心に決めて。
 嫉風・ジェラ(c13218)はエンドブレイカーに目覚めた場所である、アクスヘイムの下層にいた。
(「……華やかなものね。街道ができても、人々が救われても。私は変わらず……心はずっとここにいた」)
 鮮やかに見える世界を眩しそうに見上げながら。
「……ああ、空が、光が妬ましい。巡る風までもが嫉ましい」
 そう呟きながら、瞳を閉じた。
 海道開通に微力ながらも力を貸した揺らぎなき・オールド(c16522)。彼もまた、祝賀会に参加していた。最近、鎧が重く感じるのは、自身の年齢のせいだろうか?
「ああ……今宵の酒はまた格別ですなあ。どうか未来に光あらんことを」
 そう言って、オールドは楽しげに酒を酌み交わしていた。
「皆の衆、これより隠れ家の隠れ家による隠れ家の為の祭典、『隠れ家カーニバル』を開催するんだよう!」
 そう高らかに宣言したのは、虎乙女・サクラ(c00954)。いろいろ説明があるのだが、ぶっちゃけ、ただのテンション高い宴会だったり。10年経っても、カレーや奥の秘密基地である『隠れ家へよーこそ』は今日も営業中だ。
 かつて空き家になっていたバーは、大団円の・ラズネル(c00050)の手によって、開店時と変わらない酒場へと、いやそれ以上の賑わいを見せていた。
「一号店を構えた場所が、ここでしたねぇ」
 懐かしく思いながらも、その手が休むことなく、新たな客を迎え入れる。
「いらっしゃいませ。大団円を、あなたに!」

 【すたらぼ】の4人が久しぶりに祝賀会で再会した。
「街道開通おめでとうなのよ!」
 リトルナイト・アミカ(c21487)は、ここ十年で年相応の大人びた姿に成長していた。仲間と共に歌ったり踊ったりしている。
「お祭ですから、皆で歌を披露しましょうかー」
 ダンシングブレード・エリーシャ(c15180)は、ドールワークで人形を動かしたり、見事なジャグリングを見せている。と、その隣でくノ一姿のおひさまのこ・メイリル(c20566)が、見事な早着替えを披露した。
「ニンニンなのよ♪」
 最後にスターベル・エリコ(c04572)が、セクシーな衣装に身を包み、見事な歌を響かせる。
「晴れのこの舞台に♪ まだまだ続く、皆の晴れやかな人生に♪」

『お元気ですか? 私は元気です!』
 この10年、そんな書き出しで、白妙・イエト(c10946)は数多くの手紙を送ってきた。もうすぐ、彼らがイエトのいる屋敷に帰ってくる。ふと、懐かしい声に振り向けば。
「……やぁ、元気そうだね、イエト」
「あのお転婆な嬢ちゃんが、今じゃ淑女そのものだ」
 虚構のレセフェール・リーベル(c05754)と森牙・イルヤナ(c02439)が驚けば、イエトはしてやったりと嬉しそうな笑顔を見せる。
「あのね、本当に有難う! ……10年分のお話、今日は沢山聞かせてね?」
 イエトはそう言って、屋敷の扉を開き、二人に中へ入るよう促したのだった。
 紐のデモニスタ・ダーヴィト(c35417)は、借りている部屋の窓から、祝賀会ムードが高まる街を見下ろしていた。傍には多少大人びてきた(?)甘味の剣士・アイシャ(c35418)の姿も。
「あ、そうです! 私はガーディアンですから、マスターをこれからも養ってあげるんですっ。というわけで! 私がどどんとお嫁さんに貰ってあげますですっ!」
「ヨメ。俺が、嫁?」
 ぽかんとして、ダーヴィトは思わず笑ってしまう。その様子に慌てたアイシャはというと。
「…え? お嫁さんじゃおかしいです? わわ、やり直しですーっ」
 そんなアイシャを楽しげに眺めながら、ダーヴィトはまた絵筆を取りたいと思い始めるのだった。
 細工物屋キリコヤの屋根に上がり、祝いの灯を見ながら酒を飲むのは、徒花の藤・トウジュ(c14333)。
「星は見えますか?」
 そんな彼のところに梯子を上って屋根にやってきた金鎖の烏・キサ(c01950)も加わる。
「おう、よう見える。でも今日は地上の方が綺麗やで」
 手を貸しながら、彼女を傍に置く。そして……。
「お疲れさん、やな。でも……この先も俺に付き合ってくれな」
「ずっと、共に……歩いてまいりましょう」
 その後に囁かれたキサの感謝の言葉は、トウジュに寄り添うかのように届けられた。
 こちらは【茜さす空の彼方】の面々。久しぶりの再会に。
「ああ、皆! 会えて嬉しいわ」
 穏やかだが、全員に熱い抱擁を交わしていくのは、リチェルカーレ・ルエラ(c10306)。
「土産も持ってきたぜ。ほら、タオ。欲しがってた酒と、こっちは子供用のジュース。それと……ディアネーラには、これな」
 暁の朱梟・シュリ(c19933)が土産を手渡していけば。
「まあ、ありがとう。嬉しいわ。ほら、あなた達もお礼を言って」
 辿り道・タオ(c02608)が嬉しそうに酒とジュースを受け取り、傍にいた子供達と共に礼を述べる。
 そして、追想花・ディアネーラ(c04657)はというと。
「シュリさんはお土産を有難うございますね。また孤児院にも遊びに来てくださいね?」
 お礼にと、自身が経営している孤児院の子供達が描いた似顔絵とお手紙を差し出し、シュリを驚かせていた。
 そっと寄り添ってくるタオに、緋霄・クレス(c02885)はその穏やかな笑みを深くさせる。
「久しぶりに皆に会えて嬉しいし、幸せだよ」
 そう言ってクレスは、タオの手をそっと握り、皆の輪の中へと入っていった。

「遂に街道が全線開通とはめでたい事です」
 アクスヘイムの都市国家間交易商人である、白薔薇の添星・オッターテイル(c08867)は、祝賀会に参加していた。懐かしい仲間の顔を見かけ、思わず声をかけている様子。
 この祝賀会が終わった後は、世界の瞳を使わずに街道を通りながら、各都市をゆっくりと行商していくつもりだ。もちろん、エルフヘイムの森に眠る友の墓参りも忘れずに。
 アクスヘイムの田舎の村で暮らす永遠の二四歳・ハルティス(c14465)は、エンドブレイカーということで村を代表して、村の作物を積んだ荷馬車でやってきた。荷物は祝賀会に使用する食材となる予定だ。仕事を終えたハルティスは、せっかくだからと会場を回ってみるが、見知った顔は見つからない様子。
「まあ、あの人達には宴会よりも、冒険が似合いでしょうね」
 アクスヘイムの都市国家間活性化計画支部長として、主に辺境の有害巨獣の駆逐やアンデッドの討伐をしている流離う茨・ミァン(c29014)は、どうやら同性にモテて困っている様子。
 忙しい日々を過ごしながら、もうすぐ始まる祝賀会に思いを馳せていた。
「アクエリオも祝賀会ね。勇士号の宴会でみんな会えるかしら?」
 仲間との再会が楽しみだ。

「お芋と南瓜、チーズも揃えて上出来! カノン様あの頃と比べてどうでしょう?」
 こちらは【フラット】の皆が集まるバーガンディレース・ラーレ(c02476)の家。ラーレの作った一口コロッケを食べて、藍奏づ矢風・カノン(c03340)は。
「コロッケは美味しいですよ。……初めて作った歪なものが懐かしくなるくらい」
 とその時。
「ふふん、1週間ぶりね! 洗練された私の味にひれ伏すが良いわ!」
 バーガンディランス・ティアナ(c01457)が作りたてのミートパイやアップルパイを片手に突撃、いや、普通にやってきた、ことにしよう。ちなみにこの勝負はラーレ、ティアナ共に料理が美味しかったということで、引き分けとなったのは言うまでもない。
 久しぶりに再会した常磐の城塞騎士・ユイ(c03108)と森の弓手さん・パトゥーシャ(c00347)の傍には子供がいた。久しぶりと挨拶する間もなく。
「おまえ、俺のお嫁さんになれ」
 ユイの空色の瞳をした息子が、パトゥーシャの銀髪の娘にそう言い放つ。
「わたしより熱烈速攻なプロポーズですね」
「……あはは、パティ、ゴメンね……」
 銀髪の娘は母の背中に隠れながらも、首を縦に振っていた。

 今日は久々の休暇。思いっきり羽を伸ばそうと思っていたが。
「とは言っても、やっぱり何かしてないと落ち着かないな。よし、久々にみんなに料理を振る舞おう! 料理できる子は手伝ってね?」
 黒銀の執行者・ルナ(c01436)はそういうと、故郷で作った果実酒やジュースを持ってきて、美味しい料理を提供するのであった。
 昔馴染みのフローレンスへ10年目の成果報告をするため、アクスヘイムの祝賀会に出席するのは、その名は禍剋・キリヤ(c02553)。
 キリヤは都市間街道建設企画調整役として、10年間、現場で指揮を執り、困難な調整に当たってきていた。
「約束しただろう、あんたは縦、俺は横に世界を繋げるんだ。まだこれからさ」
 いつしか、そんな彼を世界の壁を砕いた音――『砕音』と呼ぶようになるのだが、それはまた別の話。
 白影虎忍・ゼロ(c08351)は都市国家間横断レース立案者から総合主催者になる為、街道の全線開通を機会に都市国家間横断レースの開催を高らかに宣言する。
「俺様がこのレースを開催する理由は只一つ、『エンドブレイカー達の事を後世まで受け継ぐ為』だ。それがこの『エンドブレイカーロードレース――EBR2』だ!」
 各地の都市国家を巡るこのレースは、プロアマを問わず、条件さえ満たせば、誰でも参加できる。恐らく市民を熱狂させる熱いレースになることだろう。

「祝勝会ですかぁ〜お祭りモードなのですねぇ〜♪」
 王道滅却紅蓮の炎・ファルゥ(c05128)は、辺りを見渡しながら、笑顔を見せる。
「未来のみんなに、い〜っぱい楽しいことありますように〜なのですぅ♪」
 そう、花びらをふぁさーと撒きながら、街の散策を楽しんでいるようだ。
 アイギスオブフィデリティ・ヴァルトロム(c01192)は、領主補佐として、祝賀会の準備に追われていた。会場設営に贖罪の準備などで、ここ数日は働きづめ。今日も朝から料理の仕込みに追われている。
「……忙しいとは思います。ですが、戦いのような殺伐とした空気はなく……素晴らしいことと思います。願わくば、この平和が恒久にあらんことを――」
 騎士の正装で祝賀会に参加するのは、門の剣士・ヒュリス(c06589)。
「おぃーっす!! ひっさしぶりだぜー!!」
 リンゴ箱に隠れていた箱の人・アルバ(c03315)を取り出し、嬉しそうにゆさゆさとその肩を揺らしていた。
「僕の隠形を見抜くとは、流石ヒュリスさん♪」
 アルバの目が回っているのは、気のせいだろうか? いや、それだけではない。
「紹介するぜ。俺の嫁と娘だー!」
 そういって、ヒュリスが紹介したのは、妻のメルティースウィート・キャロル(c22078)とその娘だ。
「ご無沙汰しています、お元気そうですね。私たちあの後結婚したんです。こっちは娘よ」
「初めまして、ナナミと言います。よろしくお願いしますね。実は私も今、子を宿しています。もし生まれたら会わせたいですね」
 そう巫跡・ナナミ(c35798)も笑顔を見せる。今日は賑やかなパーティになりそうだ。
 こちらも楽しい祝賀会に参加している星詠み王子・マティ(c00319)と黒羽の匣・ブランク(c14405)。マティが飲んだ杯には。
「わあ、綺麗な指輪!」
 ブランクがあらかじめ仕込んだ指輪がはいっていたのだ。喜ぶマティにブランクは手を取り口づけすると。
「生涯を共にする伴侶となってくれないか」
「俺も、クーのこと、だいすき!」
 マティも用意していた指輪を渡して、キスを返すのであった。

「あまり遠くに行くんじゃないぞ」
 そう、はしゃぐ子供達に声をかけるのは、黒き太陽・ラスティニャック(c31977)。その腕の中には眠ってしまった小さな赤ちゃんがいた。そして、隣にいる三日月の歌姫・ユリオール(c31865)の腕の中で眠る子とそっくりな様子。
「レイもノエルも、早々に寝ちまったな」
「そうだね。レイくんもノエルくんも疲れちゃったのかな」
 そういって、二人は幸せそうな笑顔を浮かべた。
 こちらは、【カレッリ新聞】に所属する三人と一匹。
「ゼェゼェ……もう一歩も動けんぜ俺ァ」
 新聞屋・カレンデュラ(c03741)が寝坊したお蔭で、猛烈ダッシュする羽目になった。今は何とか祝賀会に間に合い、休憩がてら酒やご馳走を貰っている。
「はいはい、一休みしたら取材しますよ!」
 そうカレンデュラに一言申すのは、真面目な陽溜りの花・セシル(c08808)。今日は三人で取材に来ているのだ。
「真面目だなお前さんは。もう少し融通効かせても良いと思うんだが。アルヴィもそう思うよな?」
「融通利かせた結果、いつも大変な事になってるじゃないですか。それはそれとして、これは有り難く頂きます」
 春告げの唄・アルヴィ(c32493)を買収しようと音楽チケットを取り出したカレンデュラは、成果もなくそのチケットを奪われてしまったようだ。だが今日は、新聞に掲載する楽しい話を大勢から聞くことができそうだ。

●街道開通祝賀会〜永遠の森の祝宴
 竪琴の音に合わせて、美しい祝いの歌が響いていく。
「さあいこう〜希望を求めて〜夢を求めて〜新たなる道を進もう〜私たちに必要なのは〜未来を紡ぐ幸せの糸〜♪」
 未来と希望の歌姫・ユーミ(c22019)はその音楽で祝賀会を盛り上げていた。
 と、その陰で妙な闘志を燃やしている者がいる。
「どーせあたし以外に歌いまくろうって連中多いんだろうけど、望むトコにゃ。みーんな迎え撃ってぶっ潰してやろうにゃ!」
 念願のアイドルになったクロスオーバー・アイクル(c21074)は、ユーミの後に熱い歌を歌い上げていた。その後ろには。
「何で私がこんなことを……」
 バックダンサーとして、虎トンファーの群竜士・サンフォクス(c03891)が見事なパフォーマンスを見せていた。
「ここからアクエリオまで続く街道調査に関わった身としては、祝賀会に参加せずにはいられねぇだろ! 世界に乾杯ー!」
 凄い賑わいにテンションも上がりっぱなしの風のように・アゼス(c15084)は、そう楽しげに近くにいる人々とグラスを掲げている。
 こんな賑やかな催し物に参加するのは初めてな白花の旋律・メリエル(c20774)。周りに圧倒されながらも楽しそうに歩きまわっていた。
「色んなものに縛られて怯えて暮らしていた時期が嘘みたい。これが、私の故郷……何だか誇らしい気持ちです。こんな幸せな時がずっと続くように私も頑張らないと、ですね」
 クライブと祝賀会に参加しているのは、クライブさんだけのマリー・マリー(c15534)。クライブの腕に抱き着いて、楽しそうにしている。
「想えばトマトをぶつけられた時から運命ははじまっていたのですぅ」
 森辺の謡い・ロナ(c21126)は、一人で故郷の祝賀会に参加していた。他の家族はシャルムーンの祝賀会に行ってしまったので、ちょっぴり寂しい気持ちも。
「10年以上も前だけど戒律から解放された日の事、僕は忘れないよ。今日からの新しい時代もこの森の都市が栄えますように!」
 興が乗ったロナは続けて、永遠の森を讃える歌を歌った。

 エルフヘイムにオルムステッド領を復興し、領主となった蒼の貴姫・レノール(c21020)は、懐かしい仲間の元にやってきた。
「遠方より帰れないので祝辞を贈る、のだそうだ」
 友人から頼まれた祝辞を伝えるために。
 それを聞いた恵みの壌・ブリジット(c16209)はというと……。
「あののっぺり兄はどこほっつき歩いてんのよ……都市交流の立役者でしょうが!」
 怒りを爆発させている。そんなブリジットを臥した獣・カーリグ(c13476)が宥める。
「この間会った時はいつも通りだったがな。まぁ、あいつなら苦境でも知恵を絞って何とかするだろう」
 そういって笑みを零すのであった。
 幸せな鐘の音が響く。
「レンツはすっかり落ち着いたイケメンになっちゃって、可愛かったワルドは超美人だし、この幸せ者めー。おめでとう、幸せになれ!」
 不器用に笑いながら涙するのは、渡り風・テオドール(c30059)。
 彼の前には、とびきり綺麗な純白のドレスを着た月喰いデモニスタ・ワールドエンド(cn0190)と、正装した久遠の残照・ロレンツォ(c31495)の姿が。
「約束の木でのプロポーズから10年。この日をずっと待っていた」
 思わずロレンツォはワールドエンドを抱き上げ、幸せそうに笑い合う。
「愛しています。今までも、これからも。ずっとずっと!」

 一人一品持ち寄って、【空色オムニバス】の同窓会が開かれていた。会場は世界樹のふもと。
「お帰りなさい!」
 そう声をかけるのは譚花・セラ(c03612)。セラが用意してきたのは、世界樹で見つけた花の塩漬けを具にしたおにぎり。
「皆さん、お元気そうでなによりです」
 今朝狩った猪で猪鍋を作って持参したのは、空追い鳥・レラ(c05439)。
 風の旋律・メロディ(c05247)は、各地のお酒を持ってきたのだが。
「これはアクエリオで美味しかった果実酒。こちらは日本酒、これが……」
 なにやらかなりたくさん持ってきたようだ。
「ワシは辺境の菓子と酒を……メロディ嬢と被ってもうたか」
 菓子は被っていないのでセーフ。嘘吐狐・マンジ(c01090)もやや遅れてやってきた。
 この同窓会で、セラとマンジが同棲するような話も出て盛り上がったようだが、まずは祝杯を手に皆、笑顔で告げる。
「「乾杯!」」
 と。

 こちらは、【緋兎】の面々が開く同窓会。
「これまで沢山の冒険を経験してきましたけど、こうやって皆様と祝賀会に参加できて、よかったと思いますわ」
 仲間達とカードゲームを興じながら、気高き薔薇の槍姫・ロゼッタ(c00618)はそう口を開いた。
「ええ、そうですね。それに……最後の戦いから、もう10年も経ちましたか。早いものですねぇ」
 豊穣の舞姫・マリーリナ(c20431)もカードを手に感慨深げに瞳を細める。
「ああ、そうでした! 今日はおみやげを持ってきたんですよ。その名も『世界の瞳サブレ』!」
 そう言って紫幻の銃弾・ライア(c30904)が取り出したのは、世界の瞳を可愛くディフォルメしたサブレだ。
「さっそくいっただきまーす! ……はぐはぐ、これは美味しいですね、もぐもぐ」
 フレイムアクセルの懲罰騎士・ハゥリス(c22270)はそのサブレを貰って嬉しそうに食べている様子。もちろん、ハゥリスもカードゲームに参加しているのだが……。
 それよりも気になるのは、この2人。
「単刀直入に……好きです。一目拝見した時からからずっと好きでした」
 壁に手をついて、真剣な眼差しで告白するのは、万里流浪の義士・イーグル(c32873)だ。告白された混世魔王・ファウナ(c22864)は、驚きながらも。
「あの頃と違ってもう若くないし、6歳の息子がいるコブ付きのおばさんだよ。訳あって子の父親はいないけどね? それでも良いって言うんなら……」
 ファウナの言葉の前にイーグルはこう宣言する。
「貴女の過去に如何様な事があれ、私は貴女の全てを受け入れましょう」
「……うん、10年の時間を改めて一緒に埋めようか」
 この日、二人にとって、いや【緋兎】のメンバーにとっても思い出に残る記念日になった。

「兄さんも、街道調査は苦労なされたのですね、でもそれが今になって人々の役に立ってますので、誇るべき事です」
 薔薇揺り籠の蝋燭・ミント(c12096)は、兄である薔薇園の守り人・バジル(c12095)と共に街道調査の話をしていた。二人とも別々の場所を調査していたので、異なる部分もある様子。
「一緒に居たかったですけど、生きていたらまたいつでも会えますし。互いに自分の道を歩んで行きましょうー」
 帰り支度をするミントに、バジルはそう言って長い間見送っていた。
 ここは、ワイルドファイヤー・コーキネア(c00088)と花に捧ぐ・レア(c14963)が経営している『彩り酒場』。今日は祝賀会ということで、人も多く大賑わい。二人だけでなく、その子供達も頑張って店を手伝っているようだ。と、レアは懐かしい顔を見つけて声をかける。
「あら、お久しぶりね。元気だった?」
「こっちの3人は俺達の子供さ。これからも御贔屓に頼むぜ」
 コーキネアはちゃっかり営業するのも忘れずに。賑やかな酒場の夜はまだまだ続くようだ。
「今もエルフヘイムに居るなら、一つ頼まれてはくれないかい?」
「道案内?」
 そう菩提樹の檻・シェイド(c18863)に頼まれ、蜂密ヴァニラ・イチハ(c26152)は首を傾げる。
「其の場所には、独特の色をしたライラックと薔薇が咲いて居ると聞いたよ」
 そこに心当たりがあった。なぜならそのライラックはイチハの植えたものだから。
「……いいですわよ。招待してさしあげますの」
 懐かしい花々に出会えて、二人も思わず、顔を綻ばせた。
 祝賀会の席で盛り上がっている2人組がいる。
「ねぇコハネ。この先もずっと、僕と笑っていてくれる?」
 そう切り出したのは、オラトリオの愚者・ディルティーノ(c13407)。
「もちろんですよ、ディー! だって僕達、『兄妹』なんですから!」
 そんな不安げな言葉に、マレフィカの灰兎・コハネ(c10655)は元気よく答えた。
「…そうだね、愚問だったね。ありがとう、僕の大好きな弟!」
 二人は乾杯すると、ディルティーノからは感謝のキスを、コハネはお返しと力いっぱい抱きしめたのだった。

●街道開通祝賀会〜水神祭都の祝宴
「あの時、調査してきた道が開通したんですね……」
 渡る風を抱く白き腕・ネニュファール(c36148)は、感慨深げに呟いた。
 明日、旅立とう。そう自らに約束して、彼女は想い人の表情を思い出すように目を閉じた。
 斧の魔獣戦士・ニフィアン(c34335)は、領地に作った噴水を祝賀会に合わせてお披露目する。
「ここの領主にふさわしいシンボルになってくれたらいいな!」
 未来への願いをこめて、彼女は沢山の花を噴水に飾った。
 宿屋の娘として、楽園インフェクティド・イブ(c22293)は懐かしい面々を出迎える。祝賀会の日は、宿の仕事も大忙しだ。
 でも、ひと段落したら必ず会に顔を出そうとイブは決めている。だって、言いたいお礼が沢山あるから!
 蒼海の人魚・ダミア(c01660)は、篭一杯の手作りお菓子を持って会場にやって来た。
「よーし、お祝いのために作ったお菓子を配るですよ♪」
 星霊たちに篭持ちをお願いして、ダミアは笑顔と甘い匂いを会場に振り撒く。
 刀刃の小花・セシリティア(c05824)は、今もパン屋の看板娘をしていた。
「今度お店に寄ってくださいね。割引しちゃいますよ……た、多分」
 小さな店なので沢山のパンは焼けなかったけれど、その代わりに。そう、彼女は微笑む。
 舵輪の・リリア(c14179)は、普通に祝賀会に参加する気などなかった。お祭りと言えばかき入れ時、かき入れ時と言えばお祭りだ!
「アクエリオ様も一ついかがですかー?」
 ゴンドラにお祭り価格の料理を並べて、彼女は声を張り上げる。
 守るための犠牲・シオン(c35852)は、祝宴に合わせたちょっとお洒落な服装で祝賀会の裏方仕事に励む。
「自分独りで全てをこなさなくても良かったんですね」
 そう微笑む彼女は、長い旅のうちに何かに気付いていたようだ。
 幻を謳う・グロー(c12883)は交易による多大な利益をもたらした功績を買われ、祝賀会の貴賓席に座っていた。最近は本業の芸術活動ができないほど忙しいが、今日くらいは懐かしい人々と目一杯楽しむのも許されるだろう。
 九霄・ヤミー(c07173)は、高台から祭りの風景をのんびり見下ろしていた。世界を巡ってきたけれど、やはりこの街が一番好きだ。
「貴婦人。後で魚でも食いに行きやすかね」
 愛猫にそう呼び掛けて、彼はふらりと喧騒の中へ向かう。
 蒼穹の戦女神・キリィ(c00002)と天壌の白鴉・メノ(c11527)は旧知の仲間たちへの挨拶を済ませ、そのまま近況報告を楽しんでいた。
「キリィが一番のお得意様かしら。たまに手伝ってくれたりして」
 アクエリオで開いた喫茶店のことをメノは楽しそうに語るけれど、その横顔は何かが物足りないようで。ふと思い立って、キリィは彼女に笑みかけた。
「少しお休みをもらって……どう?」
 開通した街道を通って、また二人で旅に出るのも、悪くない。
「全てのはじまりはアクエリオだから」
 ソルヴィエーガ・リューシャ(c22224)は、この祝賀会に来た理由をそう語る。どれほど遠くに行っても、彼女の始まりの地はここなのだ。ご馳走を堪能しながら、リューシャは懐かしげに視線を巡らせた。

 宵待月・キサ(c01964)の働く学校で待ち合わせて、金色ノ兎・メルティア(c13082)は祝賀会へと向かう。並んで歩きながらふとアクエリオの空を見上げれば、大きな月が浮かんでいた。
「やっぱりこちらのお月様が良いな」
 月に伸ばした両手でぎゅっとキサの手を握れば、キサは驚いたようにメルティアの名を呼んだ。手を離し、駆け出す彼女は十年で綺麗な大人になった。
「今度は、月が迎えに行こう」
 小さく笑んで、キサはゆっくりと歩き出す。
 聞き覚えのある声に、碧瓏・アクアレーテ(c09597)は振り返る。間違いようもない、赤桜・サーシャ(c18099)が確かにそこに居た。
「おかーさぁーん!」
「……おかえり、サーシャ」
 抱きついてきた彼女をしっかりと受け止め、アクアレーテはサーシャの髪を撫でる。
「ふっふふ〜おかーさん。ただいまっす〜♪」
 嬉しそうな声に、アクアレーテの胸も熱くなる。今日は夜が更けて朝が来るまで、二人でたくさんたくさん話そう。
「アクエリオの街も賑やかになったわね」
 紫蘭の妖精騎士・リアノン(c20845)がそう言った矢先に突然駆け出した風の血を継ぐ白頭鷲・レグルス(c07252)を追ってみれば、銀風の淑女・サフィア(c03892)の姿がそこにあった。
「お帰りなさい、レグ。アラン、リアも……」
「サフィさんもお元気そうで良かった」
 微笑むサフィアに、闇風の継承者・アラウン(c20575)が深く頷く。
 立ち話もなんだからとレストランでテーブルを囲んで、4人は積もる話に花を咲かせることにした。
「……でさ、俺は違うと言ったのにリアがそうだというから酷い目にあったんだ」
「ちょ、酷いわねレグ。貴方だって賛成したじゃない。大袈裟ね」
 変わらず軽妙に言葉をぶつけ合うレグルスとリアノンの姿を、懐かしげにサフィアが見守る。仕返しとばかりにリアノンが悪戯顔を見せれば、慌てたレグルスがアラウンに助けを求めて。
 愉快な仲間との冒険はまだ続きそうだと、アラウンはもう一度笑みを浮かべた。

 空翔る天馬スカイウォーカー・ディヴァイン(c03131)と鋼の桜・ルカ(c05852)の酒場に、懐かしい顔が集っていた。
「ディーに嫁と娘とはな」
 手伝いに来た弓の狩猟者・ティベリア(c03157)が差し入れを手渡しながらそう口にすれば、ルカが楽しげに笑って酒瓶を取った。
 注がれたお酒を飲みながら、それいけ弐槍で駆ける戦乙女・ティファナ(c05979)は唇を尖らせる。
「ラズワルドさんにまた負けたんだよ……」
「あらん、ファナったらまた挑んだの?」
 白薔薇詩篇・ノシュアト(c02822)の問いに、ティファナはがたっと立ち上がって。
「だって! ノシュ姉を悲しませたんだからうがーっ!」
 吼え猛る彼女をよしよしとなだめながら、ノシュアトは少しだけ切なげに笑った。そんな二人を見かねてか、ディヴァインもグラス片手にカウンターに座って。
「そろそろ許してやれよ」
 そんな変わらぬやりとりが懐かしくて心地良くて、ティベリアはふと相好を崩す。ちらりと目が合ったルカが、ひよこのラベルの酒瓶を軽く持ち上げてみせた。
「ティベリアはんも、どう?」
「頂こう」
 ゆっくりと、賑やかに。祝いの時が、流れていく。
 空愛す栗鼠・チナ(c23562)は、娘の手を引いて祝賀会の会場を歩いていた。
「お父さんとお母さんはね、昔……アクエリオで出会って。それからここの皆と沢山の冒険をしたんですよ?」
 そんな話に目を輝かせる娘を、火煙崇灰・カザリ(c25567)は愛おしげに見守る。と、チナがぱっと首を巡らせて。
「わ、あそこにいるのは!」
「あんまりはしゃぎ過ぎるなよ? 新しい家族がびっくりしてしまうだろう」
 懐かしい顔の方へ駆け出そうとする妻に、カザリはそう呼びかけた。

「ところで二人が祝賀会にだなんて、どういった風の吹き回しだい?」
 宵柩の狼・アルデュイノ(c04693)の問いに、翡翠のアルテサノ・ジークリード(c26164)がまず答えた。
「仕事さ。それとまあ、一応挨拶回り」
 人形師の彼は、この祝賀会にも多くの人形を納品したという。
「俺は面白そーさから」
 続いて、紅塵・ルイ(c19553)がにっかと笑う。そしてジークリードがそう言う君こそと視線を向ければ、アルデュイノは悪戯っぽい笑みを浮かべて。
「俺は懐かしい顔が見れそうだと思ってね」
 華麗なウインクに、また笑い声が上がる。
「俺も面白れー人生の師匠に会ったって気分だよ」
 呟くルイに、ジークリードが深く頷く。そして、3人の手が重なった。

 娯楽倶楽部のメンバーがこれだけ揃うのは、久しぶりのことだった。元気そうな姿をわいわい皆と喜び合いながら、樂霊のパフィオペディラム・ニクス(c16752)はにっと笑った。
「オルノースとエリアルはちょくちょく会ってるとは言え、こういう場だとなんとなく久々に感じる」
「大魔女との闘いからもう10年も経つだなんて、色々あったわね」
 夜叉舞・アヤメ(c26331)が感慨深げに呟けば、依雨のミルシアリア・スピネル(c21708)も深く頷いて。
「オル兄さんとエリアルは相変わらず仲良さそうだな」
 視線と言葉に、気分はもう休憩・エリアル(c22430)は幸福な者・オルノース(c22594)の手をぎゅっと握った。
「私達は相変わらずラブラブですよ! ね、オル♪」

イラスト:桜木晶

 寄り添う二人の傍には、三人の子供たち。両親に負けずにはしゃいでいる彼らを見て、泡沫の夢・サーニャ(c02729)は思わず笑みを零す。
「皆可愛いなぁ……」
「やろ? ほれユリーク、お兄さんお姉さんに遊んで貰い」
 どことなく自慢げに笑って、司祭さん子育て奮闘中・イリーク(c22485)も息子の背をぽんと叩く。まあ、と目を輝かせたアヤメの周囲に、早速子供たちが群がった。
「ルークにスピネルも相変わらず可愛え」
 イリークの笑顔には、赤蝕・ルーク(c10363)がジト目の睨みを返して。
「俺はもう26ですよ?」
 そう抗議しつつも、ルークの声はどこか楽しそう。
 紫暗の侍少年・アハト(c31356)は、それを見守るサーニャの脇を軽くつついて。
「久しぶりに会えて良かったですか?」
 問いには、嫌じゃないと答えが返った。素直じゃないですねと微笑んでみると、照れ隠しなのかぽかりと殴られた。
「そういう所も、僕は大好きなんですけどね」
 そう呟けば、え、と面食らったような声。ふいとアハトから顔を背けて、サーニャは呟くように言った。
「私だってこれからも一緒にいたいし……これからも、よろしくな」
 変わらず幸せそうな仲間たちの姿を見て、チュロスを制する者・クロス(c23934)はそっと恋人はチュロス・ファティエル(c21295)の手に指を絡めてみる。
「その……今度は、僕たちがああなりませんか?」
「ぼ……えっと、私でよければ、喜んで……!」
 耳まで真っ赤になりながらのファティエルの答えに、一同から喜びのどよめきが上がった。
「ふふ、おめでとう♪」
 ぱちぱち手を叩いて、エリアルが新たなロマンスの始まりを祝福する。
「皆と会えて今日も俺シアワセー♪」
 オルノースが気持ちよく突き上げたグラスに、皆の声とグラスが重なった。

 人波の中、ふたつの体がぶつかった。互いに出かかった謝罪の言葉は、次の瞬間笑みに変じて。
「ただいま戻りました」
 廻星・ラチカ(c11483)の声に、竪琴の星霊術士・リンリィル(c14295)が頷く。
「……待ってた。だから今度は隣でラチカの世界をみせて」
 ふわり抱きついて囁けば、ラチカはゆっくりとリンリィルの耳元に唇を寄せた。
「俺の世界は随分前からたった一人の物ですよ。だから、アンタの世界も頂けますか?」
「お前らー! 今回は俺様が祝賀会を盛り上げてやる、ありがたく聴きやがれー!!」
 大型ゴンドラのステージ上から星屑のプリズム・ナヅキ(c00086)がびしっと指を突き付けて叫べば、たちまち客席から歓声が上がる。
「ナ・ヅ・キ! ナ・ヅ・キ! 10年経ってもその見た目とか羨ましいぞぉー!」
 最前列から全力でコールする、行かずウィドウ・ユーミィ(c03017)。
 詩花の風・サーシャ(c03239)も、パートナーの伴奏をしながらにっこりと頷く。
「うん、今日もとっても可愛いよっ♪」
 そしてナヅキが片手で合図を送った先からは、猫まっしぐら・ティセ(c00571)を先頭に影縫い・ヒョウカ(c00401)と黒騎士・メリーヌ(c00153)が登場する。観客の視線が集まる中、ティセが脚で投げ上げた西瓜を、メリーヌの太刀とヒョウカの二刀ナイフがずばずばと空中で華麗に切り分けた! 舞うような動きに、一段と歓声が大きくなる。
「いつもより多く切っております!」
 そうしてカットした西瓜は、客席の皆に大盤振る舞い!
 てきぱきと配膳を手伝いながら、蒼海の防人・ハジメ(c01531)はステージをちらりと見やって懐かしそうに笑う。
「まぁ、ナヅキもそうやが皆も相変わらずやね」
「ホントだぉ」
 経営する宿の先代店長の呟きを聞いた気侭な冒険者・ライス(c12588)も、そう楽しげに呟いた。

 妖精の吟遊詩人・ミュゼッタ(c20897)と信天翁・パスカル(c19822)は、祝賀会に合わせて公演ツアーを行っていた。はじまりは、思い出の地であるアクエリオ。ギターの弦を直しながら、パスカルは共に過ごした全ての時が宝物だと目を閉じて。
「俺は、いつか姉さんより先に逝ってしまうけれど」
「なら、貴方が残してくれたものを、命ある限り守りましょう」
 外見ではすっかり年上となった義弟の言葉に、歌姫はそう微笑む。
 ゴンドラ上で、小犬のバラード・プリス(c00625)率いる水上わんわん交響楽団の特別演奏会が始まった。頬撫でる柔風・フィアレリス(c05361)の爪弾くギターに合わせて、空駆ける辺境娘・ティカ(c25659)のフルートが華麗な旋律を披露する。
 けれど、そこに乱入してくるのは子供たちの明るい笑い声。きゃっきゃと四方からじゃれつかれたプリスは、指揮も忘れて悲鳴を上げる。
「アッー! 耳引っ張らないで痛い痛い!」
 銀色の黒アゲハ・イヴリシア(c30361)がその光景にくすくす笑えば、我が子に便乗したフィアレリスがプリスにぎゅっと抱きついて。
「ああもう、これじゃあ演奏会が続けられないよ〜!」
 ティカの困り声が、水路の上に響き渡る。けれど娘と息子を押さえつけるその表情も、どこか楽しそう。
「でも、こういうのが幸せなんだと思う……」
 イヴリシアの呟く声に、家族の頷きが重なった。
 エンブレ初のロックギター弾き・ガルバード(c18200)は、芸能事務所の社長として祝賀会中のイベントをプロデュースしていた。
「さあ、南瓜みたいに水着パレードよ!」
 景気良く笑って、彼はコンテストを兼ねた行列の開始を宣言する。
 演奏で宴を盛り上げた後で、凍月の旋律士・リコリス(c01337)は思う。
「これからも私が戦い続けるのはきっと無意味ではないのですよね」
 皆の笑顔が、そう思わせてくれた。片隅の席にいた水神にそう言って、彼女は小さく笑った。

 もうすぐ始まるゴンドラパレードを前に、水神神官・タンドリー(c23226)は部下のみならず旧友たちにもびしばし指示を飛ばしていた。
「うむ、いきなりこき使われるのか」
 ぼやきながらも、真面目に警備をこなす守護の盾・ヴェルナー(c04573)。生真面目ねえと笑って、深く青き・オーシャン(c35811)もまた祭りの警備に戻る。
「容赦ない! でも兄らしいね〜♪」
 そんな光景に笑った風の祝子・イストテーブル(c14196)が、スピリットに跨って水神を呼びに行く。アクエリオ様にも乗って貰う為に特注したゴンドラを見て、オーシャンは目を丸くした。
「あら、派手なゴンドラねえ」
「予算、大丈夫かって? 遊覧の目玉にすればすぐ回収できるよ♪」
 にやりと笑う神官長の姿に、ヴェルナーは早めに彼を何とかすべきかと思いかけて。そして、懐かしげに呟いた。
「10年、か」
 そこへ、花篭を抱えたイストテーブルが水神を連れて戻って来た。さあ、パレードの始まりだ!
 仮面エルフのゴンドラ乗りこと風待紋章・イルッカ(c20672)は、祝賀会の日もお客を乗せてゴンドラを漕いでいた。
「祝賀会ゴンドラレース、ってな!!」
 これでこそアクエリオだろうと笑って、イルッカはゴンドラの速度を上げる。
 風来の調・ソラリス(c20045)の漕ぐゴンドラから、おおらかミセリコルデ・トウキ(c28122)が祝いの花を撒く。ここまで長かったようで、あっと言う間だったようで――二人は、ふと顔を見合わせた。
「……こんな風にゴンドラの上から眺める景色がオレは好きだよ」
 冒険ゴンドラ乗りの需要も増えるかな、などと考えながらソラリスが言えば、トウキもにっと笑みを返して。
「俺はお前の傍でこれからも幸せを見つけていきたいと思う」

●街道開通祝賀会〜紫煙群塔の祝宴
 祝宴会のその日に領地に戻り、黒犬・マードック(c04042)は傍らの白詰の庭・プティパ(c13983)と子供たちに話しかけた。
「長い長いハネムーンになっちまったもんだ。なぁ?」
「でもその分お土産も沢山」
 頷いたプティパが微笑んで、背中で泣き声を上げ始めた末っ子をあやす。息子を肩車し直しながら、マードックは前を見つめて。
「さぁ、領の連中にただいまを言いに行くとしようか」
 きっと、領民たちの笑顔がその先に待っている。

 懲罰騎士団内で出世を重ねた切り込み刑事・エルザ(c35000)は、祝賀会の風紀を守るべく張り切っていた。はしゃぎ過ぎて羽目を外す者にはびしびしと注意しつつ、彼女は賑やかな街中を颯爽と歩いて行く。
 喧騒の中、金の瞳の・フォーリア(c27168)は屈強な作業人たちに次々指示を飛ばす。ムンディス商会の代表となった彼女にとって、祝賀会はビジネスチャンスに他ならない。
 活力に満ちた金の瞳は、商会の未来を予感させる輝きに満ちていた。
 憤怒の赤妃・ヴェーダ(c35108)は自領の酒を振舞いながら、10年という月日を思う。
 派手に変わり映えはしないが、どうしようもない状況は確かに減った。これが積み上げた成果なのだろうと独りごち、彼は新しい酒瓶を取り出した。
 終わりなき幸せを願う燃焼農夫・ガルソ(c25746)と最強妻犬・ロイ(c11935)は、祝賀会の料理作りをひと段落させて休憩中。そこへ、奏でる春音・ガク(c29095)がデザートの皿を持って顔を出した。ふたりに差し入れ、ということらしい。
「わぁ、美味しそう。上手にになったねぇ」
「……後は、お皿洗いぐらい俺に任せて休んでよ」
 ロイが褒めると、ガクは照れたように顔を逸らした。すっかり頼もしい青年に成長した息子の背中に、ガルソは短く呟いた。
「サンキュな」
 ガクの歩みが一度止まって、そのまま洗い場へと消えていく。
「本当にいい子に育ってくれたね」
 微笑んで、ロイは懐かしいレシピで作られたゼリーに視線を落とした。
 グルメ街クチーナで店を開いた鉄鍋の料理人・ルディエル(c04624)も、ここぞとばかりにその腕を振るっていた。
「今日こそこれまで磨いてきた腕を振るう時だぜ!」
 街道がもたらす未来を思いながら、彼は鍋を持つ手に力を込めた。
 僻遠の女戦士・イネス(c07050)は、祝賀会に合わせて街道開通記念杯のドッグレースを開いていた。会場は、勿論彼女の住まうバウ村だ。
「さあ、お兄さん一口いかが?」
 人をどどーんと呼び込もうと、イネスは元気よく声を上げる。
 劇団を設立して各地を飛び回っていた柔颶・アイル(c11507)は、旅の間に経験した様々な人との交流を芸術作品にして祝賀会で披露する。技術や文化の伝承と発展の一助になれたらと笑う彼は、確かに10年前より頼もしげな顔をしていた。

 メイガスから顔を出すなり、暁の少女・シーダ(c19865)は懐かしい面々に笑いかけた。
「やっほ〜、みんな元気にしてた?」
 思い出すのは、犯罪課のメンバーとして戦った日々。すっかり美人に成長した今も、変わらぬ明るさで彼女は笑う。
 ラッドシティの交易委員長として、また大商人として忙しく働く血塗れ烏・ネヴァン(c10007)も、今日ばかりは仲間たちとの会話に花を咲かせていた。最近は恋や闘争をする暇もないと、彼女は少しだけ苦笑気味。
 夢醒宵葬曲・シャポリエ(c00974)と楽園綺想曲・アーデルハイド(c18273)は、父娘で仲良くデート中。
「新しいお洋服欲しいな。大好きな店が沢山あるの」
 娘のおねだりを快諾して、シャポリエは感無量とばかりに天を仰ぐ。
「俺の愛娘は10年前から可愛かッたが、10年経ッてみればどうだこの! 此ァ――男も放ッておかねェ筈だ!」
「男の人? ふふ、大丈夫」
 そう、アーデルハイドはくすくす笑う。娘はまだまだ、当分パパのお嫁さん!
 10年という時を思いながら、朱陽ノ戦姫・レイ(c29148)は記念すべき日を楽しんでいた。彼女自身も故郷で結婚し、子供を設け、昔とは違う暮らしをしている。
 子供たちへのお土産を忘れないようにと、レイは楽しげに露店に向かった。
 矛盾・キース(c30687)の構えた酒場は、今日はお休み。二人分の酒を手に、彼は夢幻鏡・ヴェリア(c08339)との待ち合わせ場所に向かう。短くなった髪に目を見張ると、ヴェリアは小さく笑った。
「そんなに驚きましたか? 貴方は変わりませんね」
「お前も髪以外全然変わってないな」
 そうして兄弟で語らうのは、会わない間の日々のこと。酒場の話に、旅の話。また旅に出るという弟の髪を撫でて、兄はもう一度笑う。
「たまには帰ってこいよ」

 ラッドシティの未来のため、伴侶と共に奔走してきた勇士猫・アナスタシア(c32832)には新たな目標ができていた。平和で豊かな未来を築く為、新たな形で正義の味方を続けようと、アナスタシアは大切な家族に誓う。
 数々の冒険を潜り抜けた海のもずく・アウグスト(c27266)と二言目には冬眠したい・グローフェザウラウ(c27886)は、骨休めに参加した祝賀会でご馳走を堪能していた。
「このもずくスープなかなかいけるぞ」
「もずくとなりかけた身としてはなんか感慨深いぜ」
 とある海での冒険を思い出して、アウグストはしみじみと呟く。
 この祝賀会が終わったら、久々に旅団でのんびり過ごすのも悪くないかも知れない。
「ちょっと会わないうちに兄ぃも草臥れたね」
 金の憧憬・ラウンド(c35833)の軽口に、静寂の大盾・ジーク(c34966)は顔をしかめた。
「落ち着いたって言え」
 睨みは、やはり笑い飛ばされる。注がれた酒を飲み干して、ジークは話題を切り替える。
 仕事のこと、店のこと、家族のこと。多くを語らううちに、ふたりの表情は自然と晴れていく。
「うっし! 今日は久々に潰れるまで飲むぞ!」
「まあいいじゃん、こんな日くらいはさ」
 そして、幾度目かの杯が合わさった。
 カウンターでビールを飲んでいたスパークリングハート・ジョット(c26752)の耳に、覚えのある声が飛んできた。
「けっ、好きなだけ飲んだくれられるって聞いたから参加したのになーんーでお前がいんだよ、あー?」
「絡んで来てんのはテメェの方だろ。もうかれこれ10年近く付きまといやがって」
 静灰の狐・シューラ(c28919)に言い返せば、そこからはいつもの口喧嘩だ。悪態をつきあう時間が、実はお互い嫌いではないけれど――そんなことは、絶対に言うものか。
 スモーキーハッグ・マーシャ(c20433)と炎印の騎士・ロイ(c14920)は、夫婦で酒盛りを楽しんでいた。
「今までありがとう。これからもずっとよろしく」
 杯を進める前に、ロイがそう囁く。竜のように飲みまくるマーシャに潰されて甘えるのも、勿論幸せだけれど――その前に、伝えておきたかったから。
「これからも振り回すわよ?」
 満面の笑みをマーシャが返した、一瞬後。
 ふたりの唇が、熱くひとつに重なった。

 紫煙銃の錬金術士・リオ(c26178)とフラスコ生命体・フローレンス(c27967)の指先が、色とりどりの花火を街に打ち上げる。
「このよき日を、この花火を見る誰かと、分かち合えますように」
 フローレンスの祈りに、リオも頷いて空を見上げる。
「こうしてボクが幸せになるなんてね」
 この幸せを誰かにお裾分けしたって、きっと罰は当たらないだろう。少しでも多くの幸せが降り注ぐようにと願いを込めて、ふたりはもう一度指先を天に向けた。
 名誉領主としての祝賀会の仕事を終えて、赤蝶花・ガウラ(c16139)は凶夢の悪魔憑き・ロイ(c22673)の元へ駆け寄った。イブニングドレスの裾が、ふわりと揺れる。
 勇士号に向かう前に一度帰って着替えたいという彼女の肩を抱き寄せて、ロイは微笑む。
「隣家に預かってもらっている息子の様子も見てこないとな」
 支度を終えたら、今度はふたりで懐かしい仲間たちに会いに行こう。そう笑い合って、夫婦はラッドシティの祝賀会を後にする。

●街道開通祝賀会〜三塔戒律の祝宴
 メイガスの改良研究に従事する機動要塞・リディアーナ(c11502)は、祝賀会での試作機発表にすっかり緊張していた。
「最終調整、頑張らないとね」
 心を落ち着けるように呟いて、彼女は自らの手で作ったメイガスを見つめた。
 放浪技師・ヤルミラ(c32484)も、工房から祝賀会に顔を出していた。
「さ〜て、お祝いで酒も甘いものもお国が出してくれるから、しっかり食ってもっといろいろ作んなきゃね!」
 発明の日々は、まだまだ終わらなさそうだ。

 Conquistadorの面々がひとつ所に集うのも久方ぶりのことだった。
「あの大魔女のオバさんが死んで10年」
 呟いて、月の揺り篭・カノンティーナ(c04771)はその後の日々を思う。
 再会を喜びながらも、やはり何かを思い出すような天狼の黒魔女・サクヤ(c02573)の表情に、月紅の雪彪・シュナイエン(c15238)はぱんと手を叩いて。
「10年前の事を泣いてる子や後悔してる子は顔をあげなさい。今日はとことん楽しまなくちゃ損よ!」
 気遣うように恋人に寄り添っていた月媛の守護者・ホムラ(c03918)が、その声に頷く。
 闇紡ぎ・アルテミシア(c20667)もまた、コップを取りながら微笑んで。
「こうやって悲しみや辛い記憶も思い出に変える事ができるようになったのは、エンドブレイカーとなって皆様にお会いできたからこその成長なのでしょうね」
 そう、今日は祝いの席。辛かった過去も懐かしい思い出に変えて、存分に語らおう。
 あれやこれやと昔話をしながら、やがて10年前の笑顔で騒ぎ始める仲間たちを、闇狼・ヴォルフ(c03621)は静かに見守る。『いつものこと』と呼べる仲間の無茶を止めに入ることすら、懐かしくて楽しい。

 古き森猶予いしは月の眼の獣・ルキオラ(c21934)は、塔主を退いたクックベリーに想いを告げた。思えば騎士となったのも、彼女のためだった。
 思わぬ告白に目を丸くしていたクックベリーが、やがて幸せそうに頷く。
 碧空の騎士・シュクル(c15303)と人魚の踵・ファラーシャ(c29228)は、ふたりの娘を連れて旧友との昔語りを楽しんでいた。
「退屈で腐った目をした人がもっといるかと思ったンですが」
 周りを見渡したシュクルが戯れにそう呟けば、ファラーシャが小さく笑って。
「事件とあらば放っておけない人たちばかりだもの。退屈の方から、逃げていきそうよ」
 違いないと笑みを返して、シュクルは妻と娘たちを促す。そろそろ、懐かしいあの船にも向かう時間だ。

●街道開通祝賀会〜霊峰天舞の祝宴
 剣の忍者・ヤトビ(c26674)は、交易港の埠頭にじっと立っていた。
「おおう、ついにこの日が来たで御座る」
 アマツカグラに安全な海路を開くために尽力した彼もまた、世界から感謝される一人に相違ない。
 祭りに沸く街中を煌雪華・ユキノ(c17681)と連れ立って歩く途中、魁刃・ナガミ(c08545)が目にしたのは酔って暴れる太刀使い。これは仕方ないと酔っ払いの武器を軽く弾き、そのまま太刀の峰でぽかりとやって、彼は苦笑を口元に浮かべる。
「剣だけでは、つまらんぞ」
 そうして戻った夫に、ユキノは無言でただ笑いかけて。
 幸せな喧騒の中に消えていくふたりの後ろを、とてとてと小さな影が追いかけた。

 花嵐の仲間たちを見つけるなり、戦忍衆・スミカ(c32751)は声を上げていた。
「皆! 久しいな!!」
「皆さん、ますます素敵になられまして!」
 天まで響く声・オーエ(c33910)が変わらぬ元気のよさで喜べば、煌く星・キオロ(c25646)もにっこりと頷いて。そうして、話は早速皆の近況へと移っていく。
 月渡り・レン(c06967)は変わらず刀を振るい、飛脚屋姐さん・マナコ(c34693)はすっかり飛脚問屋の女将に。身を乗り出して聞いていたスミカも、話を振られれば後進の育成に心血を注いでいると笑った。
 キオロは旅の薬師に、オーエは立派な領主に。それぞれが自分らしく歩んでいることに、誰もが嬉しそうに微笑んで。」
 団長としてそんな皆を繋いだレンに感謝の言葉が集まれば、レンは思わず涙ぐむ。
「私こそ……かん、感、謝……っ」
「ほな……皆のずーっと変わらへん友情を願って、乾杯!」
 彼女の背中を軽く叩いたマナコが、元気よく杯を突き上げた。
 遥々やって来たぴよたん刑事・キサラ(c05188)に、鈴蘭の見る夢・エリシア(c07352)はぶんぶんと手を振った。
「きーちゃん! 来てくれてありがとう」
 この日を楽しみにしていたと答えて、キサラは友人に自らの手で育てた小さなブーケを渡す。
「これからもずっと親友ね」
 花々に顔を埋めて喜ぶ妻の姿に、鳴けど飛ばず・チャイカ(c28448)は感慨深げに眼を細める。その傍らで、二人の子供たちも嬉しそう。
 演奏を乞われれば、チャイカは静かに楽器を構えて。
「俺たちの……いや、全て、すべての未来のために」
 そうして流れ出すのは、懐かしく美しい一曲の旋律。
「あの頃を思い出すなぁ」
 呟くキサラに、エリシアがゆっくりと頷いた。

イラスト:墨本リュウ

 かつての想い人と恋のライバルが連れてきた女の子の姿に、ピンクタイフーン・レピス(c15528)は微笑んだ。話を聞いたときにはあのウブな彼が、と驚いたが、目の前のセイヴァーセイバー・ラーズエル(c04538)はすっかりパパの顔をしている。
「はじめまして。パパの愛人だよ♪」
「レピス、余計な事言わないの!?」
 悪戯心を起こしてそう名乗れば、ラーズエルが慌てて叫ぶ。一方少女のママたる竜の末の太刀使い・ヤマナ(c05779)は、さらりと呟くように返した。
「私は特に構いませんが」
 これが妻の余裕というものだろうか。そんな母親と更に焦る父親に挟まれた娘に、レピスは改めて自己紹介。そして、3人の思い出話が始まっていく。
 宴席の片隅で、花老陰伯・エンシ(c25291)は静かにお茶を飲んでいた。自らを影と称する彼には、あくまで目立つつもりはない。
 すっかり様子の変わった、けれど確かに故郷と呼べる場所での祝宴を、エンシはのんびりと見守る。
 紫花流紅・ユーフェリア(c11719)は、随分と長い付き合いになった妖精に呼び名をつけてみた。
「……リル。というのは、どうかな?」
 くるりと回る妖精に笑んで、彼は扇を取り出す。祝いを込めて、さあ、ひとさし舞ってみよう。
 舞台で舞を披露する少し前、見習い巫女兼自由農夫・リク(c25561)の方をちらりと見て、純白のナガレボシ・シロ(c02654)は小さく笑った。
「緊張してるの? まだまだだねー」
 手を握られたリクが、瞬く。落ち着きを取り戻した瞳で、彼は微笑んだ。成長した弟の面差しに、シロが目を細める。
「そろそろ出番かな。行こうリク」
「うん。姉さんと僕の舞、皆さんに楽しんでもらおう!」
 頷き合って、姉弟は舞台へと踏み出していく。
 宴もたけなわといったところで、穢死檻の巫女・シュプリムント(c25576)が立ち上がる。どこからか持ってきた棒状のものを使った即席のポールダンスを一発芸として披露すれば、たちまち喝采が彼女を包んだ。
 いつになく多くの人で賑わう街並みに、オイランファランクス・スズネ(c28494)は平和の訪れを実感していた。
「天下泰平世は事も無し、今日も酒が美味い」
 誰にともなく微笑んで、スズネは杯を傾ける。

●街道開通祝賀会〜山斬烈槍の祝宴
 勿忘草・ヴリーズィ(c10269)は、ランスブルグの賑やかな祝賀会に参加していた。
 芸術振興協会長として着任して早11年。芸術の芽はいたるところにあったが、ここまで根付くとは、感慨深いものだと、同じ歌劇団の歌手や生徒達と共に合唱を披露していた。
「次の舞台、主役の皇妃役を頂戴したから、是非観劇なさってね」
 そういって、ヴリーズィは優雅に一礼して見せた。
 こちらはパレードに参加している、武舞の憐花・ルネ(c28493)。劇団員達と共に踊りなどを披露しながら、パレードを盛り上げていく。
「そういえば……あの人はまた、風のようにあちこち旅してるのかな? 逢えたらいいな……きっと、逢えるよね」
 ルネはふと、大切な人の事を思い出すのだった。
 ナイトオブランスブルグ・ジェイナス(c15904)は、この輝かしい祝賀会の席で、ランスブルグ宰相となった。
「初めての仕事が祝賀会の差配だ。どの都市にも負けない最強の祝賀会にして見せるさ」
 そう言いながら、ジェイナスは、忘れられない彼女のことを思い出していた。
「……お久し振り? もう2、3年ぶりかしら」
 親しげにジョナ1世に声をかけるのは、蒼氷の瞳・アリーセ(c34080)。
「ずっと前に言ったわ……何かあれば貴女の下に駆け付けると、貴女が続けている限りは、ね? 出来れば、貴女の創る未来をまだ私に見せて頂戴」
 アリーセがそういうと、ジョナ1世は、その時はよろしく頼むなと微笑んだ。
「や、ジョナ。元気そうで何より。無事に今日を迎えられて感慨深いねぇ」
 二人っきりになれるところを見計らって、永遠に幼き金色の魔女・アナスタシア(c34608)もまた、ジョナ1世に話しかける。最後には、今後を願って乾杯を交わしていた。
 その裏で、乳白色の回収犬・テティ(c10575)は、給仕として祝賀会に参加していた。
 飲み物食べ物が参加した者達に行きわたるよう、運びながら挨拶を交わす。
「お久しぶりですね。この料理もいかがですか? それと……夢幻亭もよろしくお願いしますね」
 赤風のスカイランナー・スライ(c32682)は、伝令ギルドの長に就任し、ジョナ一世陛下の目として、耳として、言葉として活躍中だ。今回は主催者側として、招待状や伝令を送っていた。会も半ばに差し掛かったところで余裕が出来たスライはジョナ1世の元へ。
「もしよろしければ、いつかのように一緒に踊っていただけるっすか?」
 差し出された手に、ジョナ1世は笑顔でその手を重ねた。

 都市間貿易振興部長として、ランスブルクの名産品を他の都市国家に売り出してきたランスブルクの貿易商人・ソフィー(c28815)。
「オオトカゲ、オオトカゲはどうかな? 荷物を運ぶのに超便利だよ。今回は開通記念として半額にしとくよ」
 ムラのある商売を続けるソフィーは、なんとかこの運搬用オオトカゲを売り出し、ジョナ1世に借金を返すのだと躍起になっている。
「ほら、もう迷子になるんじゃねえぞ?」
 迷子になっていた子供を無事、母親に引き渡すのは、ランスブルグ広域自警団の団長として現役で活動している揺籃スカーレット・ジャンカルロ(c35401)だ。
「なあ、皆、見えてるか? あの時ぶち壊されたランスブルグの姿を。この都市は、世界は、こんなにも平和になったんだぜ?」
 誇らしげに笑って、ジャンカルロはまた見回りに戻るのであった。
 幻想の・リナリア(c11514)は、無理を言って、ドレスではなく、昔旅をしていた時の服装で祝賀会に参加していた。
「街道開通によって世界は狭くなるのか、それとももっと広くなるのか……そう考えると何だかワクワクしてしまいますね」
 そういって、祝賀会が終わった後、こっそり旅に出かけた様子。
 過去の実力を取戻し、さらに強くなって故郷に帰還したのは、眠れる龍・ヘイフォン(c36062)。その後、妻とも復縁し、今は娘とランスブルグ観光に来ている。
「父さんはこのランスブルグの闘技場で優勝したこともあるぞ!」
 そう自慢げに娘に話しかけていた。

 清き純白・スーリス(c28034)の家に、貴き黄金・ディムナ(c35459)と守護騎士・オーシン(c35779)がやってきた。
「ああ、姫殿下の御息女は美しい。いや、私はロリコン等では決して……幼き頃の姫殿下を思い出し微笑ましいと思っているだけで御座いますとも!」
 そんなことを言っているのは、スーリスの娘の父親を血眼で探していたオーシン。
「結局、この姪は誰が父親なんですか?」
 思わず、光の民の王となり妻を迎えたスーリスの弟、ディムナが尋ねると。
「大切なのは、この子がわたくしの産んだ愛娘であること。今、わたくしは幸せですよ」
 そういってスーリスは、膝枕で眠る娘の頭をなでながら、幸せそうに微笑んだ。
「折角だし乾杯しようか。何に乾杯しようか、街道完成を祝ってか、それとも、子どもたちの明るい未来にかな」
 そういって、ワインを勧めるのは、凍翼の騎剣士・ハイド(c01339)。炎筆・シフィル(c17537)は微笑みながら、それを受け取ると。
「そうですね、街道完成祝いに、これからを託す子ども達の明るい未来に、これまでとこれからを平穏に過ごせる時を作り上げた私達に……!」
「では、乾杯」
 その後、ハイドはシフィルの手の甲に口づけを落とし、ダンスの輪の中へと向かうのだった。
 少しでも力になればと、幸せを呼ぶ黒きディーヴァ・マロン(c35988)は配膳を、電光戦記・アカツキ(c30989)は、遺失物の受付をして、祝賀会を支えていた。これが終わったら、勇士号の祝賀会にも参加する予定だ。
 アカツキがマロンの体調を気遣うと、マロンは恥ずかしそうに大丈夫と伝えて。
「……この子が生まれるこの時代が、平和で本当によかった。みんなにありがとうって、伝えなくちゃ、ね」
「ああ、皆が一丸となって勝ち取った平和だ。その礼を言う為にも、遅れぬうちに勇士号へ向かおう」

 【星芒の灯火】の面々もまた、ランスブルグの祝賀会に参加している。
「最近は酒を探しに外世界をまわってるんだが、抜群に美味いのに製造元を除けばこの瓶一本しかないってレアもんだ。皆気に入ると思うぞ」
 持ってきた酒とジュースを皆に振る舞うのは、杭打士・ザルフィン(c25413)。
「存分に飲めば良いさ。二日酔いになっても良い薬があるしな。そういえば、ステラもそろそろ落ち着い……いや、無いな」
 子供を抱えながら、抽象迷宮・ハーヴェイ(c16044)がそういうと。
「昔のように冒険をする事は無くなってしまったから、それが少し残念かしらね。あーあ、誰か心がときめくような冒険に連れて行ってくれないかしら」
 ため息交じりにタイニーロード・ステラ(c16557)がうるんだ瞳でそう告げる。
「心ときめく冒険か……。久しぶりに私達でというのもいいな。独身貴族、満喫しているようだな。時折その身軽さが羨ましい」
 夫であるハーヴェイと見て、子供の頭を撫でると、緋炎蒼水・ファニファール(c15723)も幸せそうに微笑んだ。
 エルフの魔想紋章楽士・セラフィナ(c22763)、鞭の神楽巫女・ケルティア(c28578)、メイスの殴打神官・アリエラ(c35882)の三人は子供を連れだって、祝賀会に参加していた。懐かしい顔ぶれに思わず話に華が咲く。
「あーちゃんとこはどないしてん?」
「ん〜? いつも通りですよ〜? 悪人を懲らしめたり、悪人を懲らしめたり、結婚しているなら子供の世話をしたり。あ、家事も割と得意なのですよ〜」
「さよか……確か子供も居ったんやったよなぁ? あー、なんやこの行ってみたいようで行くのが怖い感覚は」
「………」
 ケルティアとアリエラが楽しげに話しているのを、セラフィナが楽しそうに聞いている。と、セラフィナに歌のリクエストが。
「それじゃ、一曲歌わせて頂くわ」
 セラフィナは、自分の子供を幼馴染の二人に預けると、ステージで見事な歌を披露したのだった。
 一人娘の手を繋ぎながら、白昼の梔子・ハインツ(c28109)と花歌の守り手・クロエ(c28868)は、お祭りで賑わう街を歩いていた。
「さて、今日はどこを回ろうか。せっかくだから、思い出の場所をまわるのもいいし、出ているお店を見て回るのも楽しいかも、ね」
「じゃあ、お店を回りながら思い出の場所に寄ってくのはどうかな? その方が、この子も楽しいんじゃないかなって」
 照れたようにクロエがそう提案すると、ハインツは笑顔で頷いた。
 会場の隅で子供を見ながら、のんびりと竪琴を奏でるのは、アルペジオ・ナテリアーナ(c13526)。そのお腹が大きい所をみると、新たな命が育まれているようだ。
「懐かしい人達もおられますね。ヴァリオさんはご挨拶などに回って下さいな」
「そうだねナテリー。オレと貴女の大切な仲間達に挨拶して来るね」
 ナテリアーナに呼ばれて、夫の雲外蒼天・ヴァリオ(c29261)が身重の妻の代わりに、知り合いへと声をかけに立ち上がったのだった。

●街道開通祝賀会〜砂月楼閣の祝宴
 シャルムーン祝賀会の主催者を見つけ、千の緑陽・シシリー(c02098)は声を上げた。
「ピュアリィ相手に頑張ってるわりに相変わらず元気そうで安心だわ♪」
 声に、ピュアリィ生死不明十二回の男・レイジュ(c00135)は笑顔で応える。
 そして、砂月楼閣シャルムーンでの祝賀会は彼の挨拶とともに始まった。
「この道は僕の子供みたいなもんだよ」
 彼が街道のことをそう評すると、暁星の影・ガーネ(c17815)が感慨深げに頷いて。
「私達が十年前に調査した街道がとうとう出来上がるんだな」
 彼の手の中にあるのは、都市の歴史を記した本。そんな兄と祝賀会に集まった人々を見比べて、自由の空・ディーナ(c00728)が呟く。
「10年前には考えられなかったこの賑やかさ。私達は歴史を刻んだんだな」
 そして式典のメインイベント、ステンドグラスの除幕式が執り行われる。
 色とりどりの光を見上げる群衆に向けて、月の剣に導かれし騎士・ローゼリィ(c00261)が竪琴を奏で始めた。流れ出す音に乗せて彼女が歌うのは、アクスヘイムからシャルムーンまでの街道調査の日々のこと。
 懐かしい冒険の歌に耳を傾けながら、エンドブレイカーたちもまた、揃って真新しいステンドグラスを見上げた。

イラスト:弐壱百

 ぎんいろわんこ・レイ(c03414)、大鎌の星霊術士・セイ(c03812)、そして深淵の星・マリア(c06609)と漆黒の月・アニー(c01008)は祝賀会で偶然の再会を果たしていた。
「いや〜、あれから師匠を追いかけてたんだけど見失っちゃって」
「私も姉の消息を追っていたのですが……」
 そう語ったレイとセイが、顔を見合わせて苦笑を零す。
「未知の世界を旅するというのはやはり楽しいです」
 外世界を旅していたというアニーは、そう言って笑った。危険もあったけれどと付け足せば、行動を共にしていたマリアが拳を握って。
「お姉ちゃんと一緒なら、例え火の中お風呂の中、です!」
 言葉に、皆の笑い声が重なった。
「また皆で旅団を作って行動するというのもいいかもしれませんね」
 ふと、アニーがそう呟く。瞬いて彼女の方を見た三人の瞳は、確かに楽しげに笑っていた。

 農園で自ら品種改良したフルーツの数々を、気ままなグルメおばさん・カッツェ(c08344)はここぞとばかりに気前よく振舞う。
「小ぶりだけど味が濃厚で美味しいわよ〜」
 果実のひとつを手にとって、誇らしげに彼女は笑った。
 ランスブルグからやって来た氷砕狂華・ベティカ(c24206)は、一参加者として祝賀会の異国情緒を気楽に堪能していた。さて、旧友たちも同じ会場にいる筈だ。懐かしい顔を探して、ベティカはゆっくりと歩き出す。
 燎の聖女・アムルダード(c36520)と灼誓光騎・ワルフラーン(c36410)は、賑やかな宴席をそっと抜け出した。兄妹が向かったのは、ふたりの両親が眠る墓。
 しばらく胸の内で両親に語りかけた後で、ワルフラーンはアムルダードの方を見やる。
「おれとしては、早くお前が結婚して幸せになってくれれば肩の荷が下りるんだが」
「私のことよりまず兄さんです。早くお嫁さんを貰って下さいね」
 言葉に、どちらからともなく笑いが零れた。

●街道開通祝賀会〜骸殻荒野の祝宴
 巨人たちと協力して街道整備を進めてきた覆面猛虎・グィー(c06772)も、開通の立役者の一人としてガルシェンの祝賀会に参加していた。友人からの祝いの手紙に目を通して、ふと懐かしげに彼は微笑む。
 雪待天泉・ケイカ(c30158)は、祝賀会に集まった人々の話ににこにこと耳を傾けていた。
「僕? 僕は相変わらず服飾店の店長してて……」
 自身の話もと乞われれば、彼女はそう言って巨人との平穏な暮らしを語り出す。

●街道開通祝賀会〜エンドブレイカー大同窓会!
 永久紡ぎ・パストラル(c35334)が、甘いプレリュードを宴に捧げる。
「――皆々様に栄光あれ! 皆々様に幸福あれ! そして、皆々様に終焉に負けぬ未来の祝福あれ!」
 未来への想いを込めて、彼女はそう歌った。
 再会した氷華凛舞・リージェ(c32434)を前に、風切羽根のカナード・ファイト(c31917)は目を丸くして笑う。
「相変わらず美人さんだな」
「そういうファイトさんは女性を口説くのがお上手になられましたね?」
 微笑んで、リージェは懐かしい記憶を語る。と、ふとファイトが真剣な顔をして。
「……今でも、大好きだって言ったら驚くか?」
「――私もずっと、あなたのことが好きです」
 胸を一杯にしながら、リージェはしっかりとそう答えた。
 催しの数々を物珍しげに見回す息子の姿に、白銀の迷い子・リティア(c31015)と蒼き碌風・テラ(c31704)は微笑み合う。
「これを幸せと言わずに何を幸せと言うんだろうね?」
 囁いてテラがこっそりと口付ければ、街中ですよと言葉でだけ咎めたリティアからキスの仕返しが。
「益々君に敵わなくなったよ」
「10年前は顔を真っ赤にしてばかりでしたから」
 最高の褒め言葉だと笑って、リティアはテラをもう一度見つめた。
 従光の魔想紋章士・フォルト(c34866)と月兎・ダイアナ(c34807)は、広げた2枚の地図を前に笑い合う。時の玉座に座ってきたと告げるダイアナに、フォルトは一度瞬いて。
「私と同じ時を過ごしてくれるなら本当に幸せだ」
 地図が表すのは、10年間のふたりの軌跡。そしてこれからは、ふたりが同じ時間を歩んでいく。なりたいもの――君がいる私になれたとフォルトが言えば、ダイアナは彼に抱きついて。
「離さないわ、あたしだけの貴方」

 愛してると先に言った方が勝ちで、敗者は勝者にちゅうすること。唐紅の虎狐・ラサティ(c02695)に告げられたバトルのルールに苦笑しながらも、飄飄蒼空・キドー(c05202)は誘いを受けて立つ。
「お腹が大きくなると動けなくなりますから。動いておきたくて」
「マジで!?」
 驚き、これは降参だとキドーは両手を上げて。
「愛してるわ、ラサティちゃん」
 降参したから自分の負けだと口付けてくるキドーに、ラサティはそっと寄り添った。
 勇鷹騎士・ベネデット(c04616)と花翳・マリアム(c04615)は、10年前の思い出話に花を咲かせる。苦労をかけたと言いつつも、ベネデットの目に浮かぶのは謝罪ではなく感謝の色。
「また次の十年後も、こうして一緒に居てくれるか?」
 二度目のプロポーズのようにそう言うと、マリアムの頬が赤く染まった。
「私も……貴方のこと、愛してる。これからもずっと一緒にいるよ」
 ゆっくりと力強く頷いて、彼女は幸せに微笑んだ。

 嫉妬の雄叫びと共に勇士号に飛び込む、自分に正直な男・マルテル(c16131)。彼にとっての悪とは、即ちアベック!
 息巻く団長に続いて、肉食系自由エルフ・ヘフリー(c20964)が手裏剣の如くバナナの皮を撒き散らす。
 だが、ヘフリー自身もバナナの皮を踏んづけて派手にすっ転び、勢いよく前方へと突っ込んだ! そして、その先には仁王立ちするマルテルの姿が。
 こうして、不運な嫉妬戦士たちはバナナによる自爆で華々しく退場したそうな。

 大魔女は滅びたとは言え、問題はまだまだ山積みだと屍兵・ヴィルヘルム(c00968)は思う。この世界の平穏を守るためなら、どんな役を引き受けても構わないとも。
 未来を思い、平和を願いながら、彼はゆっくりと目を閉じる。
 幼かった影姫・アレクサンドラ(c01258)も、すっかり大人の女性に成長していた。友人との酒を交えた語らいを楽しみながら、彼女はふと微笑む。
「今の私は本当に幸せですよ」
 あの時諦めなかったから、きっとこんな今がある。
 こうして過去に浸り、未来を想える日々を勝ち得たことは、確かにエンドブレイカーたちの誉れだ。そう、薄暮の魔女・アトロポス(c17639)は思う。
 平穏を喜び、謳歌しようと微笑んで、アトロポスは杯を傾けた。
 パーティらしくブラックスーツに蝶ネクタイを締めて、黄金騎士・ハインツ(c00736)は最愛の人と宴の時を楽しんでいた。
「遠い昔に、去っていった仲間達に、そして我等の未来に」
 そうカクテルを捧げ持って、彼は微笑む。
 星薙の・リーフ(c21945)は船上にカクテル・バーを開いて仲間たちをもてなしていた。バーとは名乗ったが、お祭りなのでお代は結構。
 と、お客の中にある顔を見つけ、リーフはとっておきの一品を作り始めた。
 大梟の樹に住む・レムネス(c00744)は、今日の為に大きなケーキを用意した。周りをプチケーキや果物細工で飾ったそれは、目にも舌にも嬉しい逸品だ。
 食べてくれる人の笑顔が見たいからと笑って、早速彼はケーキを切り分ける。
 強欲の緑深・ルン(c35111)も、10年で鍛えたお菓子作りの腕を存分に振るっていた。滅びた都市や外世界からも集めたレシピで宴会のお菓子を作りながら、まだまだ未知は沢山だと彼は思う。職人の道のラストは、果てない。
 鉄鍋を振るって、咲き乱れし氷の華・アセトア(c02003)はライブクッキングを披露する。
「……まぁ、エンドブレイカ―に食べられないものは無いだろう」
 激辛料理の山を前に呟いて、アセトアは額の汗を拭った。

 紫雷・クロエ(c07289)は、気ままに酒を飲みながらナンパに勤しんでいた。けれど成果は芳しくなくて、彼は勢いよく立ち上がって。
「26番! クロエ・アルナーグ!! 歌うぜ!!」
 祝宴の時間は、まだまだ終わらない。
 盾の群竜士・マリキ(c15684)がダンスを披露し、リーちゃんの好きな一番凄い・フジコ(c02882)は刺身を振舞う。盛り上がる祝宴の光景を眺めながら、傲慢の橙華・ボブ(c35109)ものんびりとマイペースに同窓会を楽しんだ。

 フライハイを修得したことで郵便事業を大きく展開させた銀翼飛翔・ニヴィアン(c36260)は、その魔術で勇士号の上空を飛んでいた。懐かしい顔を探しつつ、共に戦った日々を思い返して、ニヴィアンはふと微笑んだ。
 移動花屋となったみんなの恋人・アデルバート(c01702)は各地で仲間たちを見守る生活をしていたが、こんなに多くの人と同時に会うのは久々だ。全力で楽しもうと決めて、アデルバートは皆に手を振った。
 ノブレスオブリージュ・スティア(c10668)の抱えてきた大きな荷物は、1枚のステンドグラスだった。詩を添えてもいいかも知れないと笑って、この場の皆で考えてみませんか、と彼女は仲間たちを振り返る。
 白兎診療所の面々を見回して、白兎の憂鬱・ユリアン(c15637)は杯を掲げた。
「まあ今日は心行くまで飲みたまえ」
「バーセットは相変わらずの独り身か?」
 放浪の鍛冶士・アルフレッド(c00577)の問いに、剣の城塞騎士・バーセット(c07953)は知らん知らんと目を逸らす。
「結婚〜? あんまり興味ないな〜」
 お菓子を食べて色んな土地に行く方が楽しいと言う純真の白蘭・アリステル(c03126)の変わらない甘党ぶりには、誰からともなく笑いが漏れる。
「まあ……それなりにやってるよ? 裕福とは言い難いが、守るもんも色々出来ちまったし、な?」
 自分の近況を聞かれたアルフレッドがそう頬を掻く。その後を引き取るように、ユリアンも唇を開いた。
「継げる物も増えたぞ? 脚とか腕とか、絆とか、な」
「何を継げるようになったって?」
 バーセットの言葉に、アリステルがくすくすと笑う。さあ、今夜はどこもかしこも無礼講だ。

イラスト:日吉 明

 BABELの面々は、とっておきの赤ワインで乾杯!
「外見は変わったけど、笑うと皆顔はあの時のままだね」
 ナイトランスの自由農夫・ベネディクト(c34979)の言葉に、新緑に謳う小鳥・フェイラン(c03199)が久しぶりのような、そうでないようなと頷く。
「ルカノスは若いままですね!?」
 眩暈の尾・ラツ(c01725)が上げた驚きの声に、空とビブリア・ルカノス(c26263)はラツだってと笑う。そうして語るのは、10年の間に変わったこと、変わらないこと。
 そこへ、バトルロワイヤルを開催するとの声が聞こえてくる。
 迷わずがたがたと立ち上がって参戦を叫ぶ仲間たちに、ファウンティナ・アルカナ(c02976)は苦笑して。
「もう、みんな子供みたいなの」
 呟きつつ、彼女もまた、戦いの輪へと飛び込んでいく。
「心はいつだって子供さ」
 豪語するルカノスが槍を広げ、歌を準備するフェイランにベネディクトが頼もしげに笑い、ラツがナイフ片手にリングの中心で声を上げる。さあ――お祭りはこれからだ!
 機装妖精・エスス(c34103)の姿は、エルフの特性もあって昔とさほど変わらない。
「カッコイイお兄さんはいないかな〜」
 仲間との合流を目指しつつ、そうして彼はカッコイイお兄さんに会えそうな宴席を巡る。
 10年経っても、紺青の空・クラース(c13158)と朱弦烈火・ルッツ(c01102)の仲良しぶりは変わらない。抱き合って再会を喜んだ後、ふたりは早速互いの近況を語り始める。
「へ? 僕?」
 家族との幸せを話したクラースに小突かれて、ルッツは思わず目を泳がす。
「あ、誤魔化した!? よーし、今日は飲もう沢山話そう?」
「ご、誤魔化してないし。わ、わかった飲もう飲もう!」
 わいわいと賑やかに、ふたりの酒は進んでいく。

 銀弓の狙撃手・リェル(c00914)と合流するなり、竪琴の魔曲使い・ファラ(c01394)はこう言った。
「兄さんにお知らせがあります。実家に帰ったら家族が増えていた模様」
 弟とか妹的な意味でと付け足せば、リェルは引きつった顔で天を仰ぐ。
「あの人達は――」
「仲が良いのは結構なことだと思うよ。ボクから見た兄さん達も父さん達と殆ど変わらないし」
 ファラの言葉に、褒められているのかとリェルは首を捻る。彼らの関係も、どうやら昔と変わらないようだ。
「勇士号に来るのも久しぶりになるんですねぇ」
 愛と正義は言葉・エルスマン(c21411)が呟けば、子供たちを連れた月に駆ける妖精騎士・ジョーガ(c23446)も頷いた。
 懐かしさからエルスマンが昔の冒険譚を語り出すと、二人の子もそれに聞き入って。
「お母さんは、昔騎士だったの?」
 無邪気な問いに、ジョーガは思わず口ごもる。昔のじゃじゃ馬ぶりを封印した彼女の赤面が愛しくて、エルスマンはジョーガの頬に軽く口付けた。

 外世界も含めた各地に散っていた機動武闘團のメンバーが集うのは、久しぶりのことだった。
「私が訪れたのは赤い魔女の支配した世界ね」
「私はアクエリオで、マギラントから購入した船団であちこちと貿易しているんです」
 蒼い髪のエトランゼ・ハルナ(c20456)は外世界での戦いを、黄央の盟主・レオナ(c26057)は父から継いだ商会の仕事を、それぞれ誇らしげに仲間たちに語る。
 それを聞き、塔主の仕事に打ち込んできた銀の塔主・トウカ(c20010)も、いずれ後継者ができたらまた冒険に出たいとひとつの夢を口にして。
「お待たせ!」
 知り合いへの挨拶に勇士号中を駆け回っていた三節棍の赤い群竜士・アヤカ(c14761)が輪に戻って、勇者の伝説の綴り手・アキホ(c19159)が彼女に皆の近況を教える。歴史書の編纂を目指すアキホの分かりやすい説明に、アヤカはなるほどと頷いて。
「さあ、今日は楽しみましょう!」
 光り輝く紅い刃・アリカ(c32337)の声に、皆が立ち上がる。再会を祝して、輝かしい未来を願って、乾杯の声が船上に響いた。
 勇士号に集った顔ぶれを前に、竪琴の奏者・スノゥ(c19554)は小さく笑みを零した。
「みんな大きくなったわね」
「母さんも変わってないねぇ」
 都市国家を巡っていた銀目の踊り子・タージェ(c19470)も、久しい再会にそう笑う。
「遅れてごめんなさい、みなさん元気だった?」
 そこへ現れるのは、アマツカグラから合流した日輪の勇者・シフォン(c36108)と月下に翼・ノノヴァン(c35656)。警備の仕事を引き継いできたというシフォンを労ってから、世界樹の妖精術士・シル(c25139)が面映ゆげに微笑んで。
「えへへ、ちょっとご報告が……」
 そうしてお腹を擦りながら告げられた言葉に、水天の妖剣・クリム(c20805)の手からグラスが落ちた。
「よかった、本当に良かった……」
 感無量で妻に寄り添うクリムにおめでとうと笑んで、スノゥは娘に悪戯な表情を向ける。
「タージェはいつになったらそういう人が現れるのかしらね?」
 問いに、タージェは首を横に振った。そんなやり取りの平和さに、シフォンがほうと息をついて。
「まだ拙いけれど、一曲いいかしら?」
 ノノヴァンの申し出を断る者など、いる筈もなかった。10年の想いを込めた美しい声に皆で聴き入る時間は、ゆったりと流れていく。

イラスト:damdam

 久しぶりに会う仲間と飲み交わした後、漢・アナボリック(c00207)は人知れず宴会の席を離れた。
「世の中そう言う事もある」
 星空に親指を立ててそう言うアナボリックは、非常にイイ笑顔をしていた。

 色とりどりの光の下で、終焉を終焉させる探偵・ティルナ(c03037)は感慨深げに呟いた。
「改めて見ると懐かしくなるわね」
「この祝賀会が終わったら、他のところに取り付けた分も見に行きます?」
 紫風天翔・レイラ(c03886)がそう言って笑う。そう、彼女たちの頭上には手作りのステンドグラスがきらきらと輝いていた。
「また次の10年後にもこうやって集まってパーティしたいですねー♪」
 エンドブレイカーたちの歩んできた軌跡を描くステンドグラスを見上げて、怪しくない神楽巫狐・リーリア(c02014)がそう言えば、深い頷きが重なった。
 歪んだ棘に満ちた世界で無数の仮面を打ち砕き、そうして光は――自分たちは、更なる未来へと進むのだ。

イラスト:シロタマゴ





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いまいち
参加者:1049人
作成日:2015/09/17
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