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≪璃乃香≫唄の遺跡

<オープニング>

●風の遺跡
「こんなに無茶苦茶なトラップばかりの遺跡は初めてよ……!」
 これは、とある遺跡に潜入したトレジャーハンターが残した言葉である。
 ゴーレムにすごい勢いで襲われたり。
 突如、信じられないほどの強風によって吹き飛ばされたり。
 綺麗なピュアリィたちに着せ替えされたり口説かれたり襲われたり。
 途中、いきなりクイズを出されて回答を誤るとトラップが発動したり。
 ちょっと楽しかった……なんてことはない。本当だ。
 とにかく最初から最後までクライマックスだった。

●音紡ぎ
「一緒に遺跡探索に行かない?」
 猫耳と猫尻尾装備の陽凰姫・ゼルディア(c07051)が、ぴこっと首を傾げた。
 手には獣耳カチューシャを持っている。
 羶血の魔獣戦士・グラド(cn0013)は迷わなかった。
「遠慮します」
「待って! まだ話は途中なの!」
 最後まで聞けばきっと気が変わるはずだからとゼルディアは語り始める。
 行き先は『水神祭都アクエリオ』の地底湖から姿を見せた、古代遺跡。どこからともなく光と風が差し込む造りで、まるで木漏れ日を浴びているかのように白亜の回廊がきらきらと輝いている。
 そこに眠る『宝』を目当てにトレジャーハンターが遺跡探索に繰り出すらしいのだが、このまま放っておくと彼女たちはその遺跡に存在する恐るべきゴーレムの手にかかって命を落としてしまう、という悲劇のエンディングが見えたらしい。
「だから、私たちがなんとかしてあげられないかなって」
 どうもトレジャーハンターたちは、なんとかゴーレムを突破するものの最終的には数々のトラップによって心折れるらしい。
「ということは、誰かが先にトラップを作動させておいてあげればいいんじゃない? ほら、私たちはトラップ解除の達人ではないけれど、丈夫さと気合いと根性には定評があるし、いけるかなって」
 だって、私たちはエンドブレイカーだから!
 困難の排除はお任せあれだから!!

「そのゴーレムの見た目は、仮面をつけた煌びやかな道化師、というところなの。もしかしたら謝肉祭的なものに縁があった存在なのかどうか、想像の域を出ないけれど、とにかくこちらも『そういう』格好をすれば武力に訴えなくても通してもらえるらしいの」
 たとえば、猛獣使いなお姉様。
 眼鏡と髭がダンディなナイフ投げさんに、アシスタントさん。
 ジャグリングの上手な獣さん、妖精さん、かわいいマスコットが一緒でもいいかも。
「というわけでね、グラドくん、着てみる?」
 マスコット的な装備をずらりと並べて、ゼルディアはにっこり微笑んだ。
 グラドは彼女と目を合わせず、猫耳辺りに視線を向けてぼそりと呟いた。
「キツい」
「ふふっ、どういう意味? サイズなら大丈夫、豊富に取り揃えてあるのよ?」
「いや、だから……」
 あまり言うと他所からの視線が刺さるかもしれないから言葉を濁すくらいにはグラドも大人である。
「戦うと時間も大変だし、仮装すれば素直に通れるなら、それで良くない?」
「いっそ闘わせてくれ」
 なんとも煮え切らない男である。むう、とゼルディアは腕を組んだ。
 とりあえず押しに弱そうなので、グラド対策は適当に流れるまま流してしまえばいいだろう。

「ちなみに、その遺跡にある『宝』は、遺跡から持ち出せないものみたいなの。古文書によると、とても綺麗なものだっていう話なんだけれど……」
 ゼルディアは翡翠の瞳を穏やかに緩め、微笑んだ。
 みんなで見ることができれば、嬉しいなって。


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参加者
絶対自由・クローディア(c00038)
ひよこ使い・ナハト(c00101)
陽若竹・ランシェ(c00328)
奏燿花・ルィン(c01263)
静謐の花筐・サクラ(c06102)
陽凰姫・ゼルディア(c07051)
銀鋼の槌・ユーグ(c12503)
馥郁・アデュラリア(c35985)

<リプレイ>

●唄の遺跡
「お嬢さん、お手をど」
 優雅な仕草で恭しく手を差し伸べた奏燿花・ルィン(c01263)の足元が陥没した。
 あ、と静謐の花筐・サクラ(c06102)が小さな声を洩らす。慣れないヒールの靴に躓き、ちょうど壁に手を突いたらカチッと何やら音がしたが、まさかそのせいだろうか。
「まだゴーレムにも会っていないのに!?」
 手を差し伸べられていた陽凰姫・ゼルディア(c07051)が動揺する。
 程なく本隊に復帰したルィンは気取った洋装の襟を正し、ちょっぴり薄汚れた紳士帽を被り直すも、顔の半分だけを隠す仮面からは不敵な笑みを覗かせた。
 冒険は、まだ始まったばかり!
 気を取り直したゼルディアは仲間を見回し、粋を凝らした仮装に惚れ惚れすると羶血の魔獣戦士・グラド(cn0013)に微笑みかけた。
「サボテンとわんこ耳&尻尾、どっちがいい?」
「うっ、頭が……。サボテンはやめよう」
 台詞とは裏腹に結構平然と拒否した。
「染まってしまえば楽しいよ♪ みんなで渡れば怖くないの」
「ええ、グラド様。身も心も委ねてしまえば、羞恥も奇々怪々も馴染むものよ」
 死なば諸共なんて粋な言葉も。馥郁・アデュラリア(c35985)は愉快な謝肉祭への期待に胸を膨らませ、嫣然と頬を緩めながら微笑んだ。
「ハハハ」
 笑いが乾いている。
「トゲトゲわんわん」
 耳&尻尾大作戦で行くのならと、絶対自由・クローディア(c00038)はいそいそトゲトゲ首輪を装着する。
「締まってる締まってるぞオイ」
「癒し……」
 ほう、と娘は出来栄えに息を吐いた。
「主役級です!」
「どこの!?」
「……こ、ここの!?」
 切り替えしてから、思い出したように娘は言い足す。
「これをどうぞ。転がる巨石、バナナの皮対策に活用できます」
 彼女が取り出した、ありきたりながら精緻な作りの鼻眼鏡は、知人の変態執事から大量にむしり取ってきたものなので、幾つ壊れても困らない!
「なるほど。これを装備すりゃ、滑っても転ばねえって?」
「はい」
「…………」
「…………」
 クローディアは全力ダッシュした。グラドは無言で追い駆けた。
「甘いぜ、グラド。着ぐるみを着こなしてこそ、真のいけめん!」
 銀鋼の槌・ユーグ(c12503)はきりりと表情を引き締めて宣言する。
 獅子耳と王冠を頭に飾り、大きな蝶ネクタイを結び、獅子っ鼻まで装着したユーグは、状況に流されて彼らを追い駆けながらイイ笑顔で親指を立てた。
「張り切ってこーぜ!」
「おう! お祭り、おれ大好きだぞ!」
 主旨を忘却の彼方に放り投げつつ、ひよこ使い・ナハト(c00101)も走り出す。彼は巨大なひよこの着ぐるみ姿で、孔雀のように華やかな尾羽をぴょこぴょこ左右に揺らしながら通路を駆けた。
「あらあらまあまあ」
 彼らを見守り、アデュラリアはほのぼのと笑みを零す。そして、小唄を口ずさみながら女の子たちの手を取って、軽やかな足取りでその後を追った。
「ふふ……」
 陽若竹・ランシェ(c00328)も釣られて微笑む。初対面の相手も多いもので多少緊張していたが、皆の隙がない仮装、そして息ぴったり具合に思わず瞳が輝いてしまう。おかげで気負いなく輪に加われそうだ。
 今日はきっと、全力ではっちゃけるべき。そんな感じに空気を読み、彼も後に続く。
 8人のダッシュにより、がっこんがっこん次々に起動されていった罠は、ルィンが後で美味しくいただきました。

●道化の門
 そして噂の遺跡の守護者とご対面だ。
「よぅ! 玉乗りしよーぜ!」
 ユーグは道化師ゴーレムに語り掛けた。
 3秒待った。
「……いい度胸だ」
 すぱーんと小気味良い音を立て、付け鼻を手袋代わりに投げつける。
「決闘と行こうぜ! その仮面は俺がもらう!」
「わーい!」
 ナハトは己の務めを果たすべく道化師に駆け寄った。名づけて、その背にへばりついて遊びまくって相手を疲労させる作戦だ。その肩では、頭にリボンをつけたひよこも、ぴよ、と凛々しく鳴いている。
 そのときグラドはサボっていた。
「俺のナイフ投げに惚れるなよ?」
 仮装のクオリティ激高のルィンが放った数々の短剣が――道化師のみならず、その周囲で遊んだり決闘したりしていた男性陣にも――突き刺さり、見事なハート型を描き出す。
「これが大人の魅」
 髪を掻き上げ、もう片手で壁に手を突いた瞬間、彼の姿は反転する壁の向こう側へ吸い込まれた。なんということだ。遺跡の罠はすべて俺が引き受けてやるつもりだったのに――すまない、ルィン。ユーグは拳を握り締めた。貴殿の犠牲は決して忘れん!
 道化師に一礼したゼルディアがよいしょと道化師の肩に乗ろうとすると、思ったより貧弱な――アデュラリアくらいの背丈の道化師はガシャンと倒れた。
「違うの、重かったわけじゃないの。でも、言えば言うほど重かったみたいに聞こえるのはどうして!? 助けてルィンくん……!」
 しかしルィンはいなかった。
 クローディアは大好きな彼女を助けるべく、気合いを入れて高めの踵で床を蹴る。まず場の空気を換えよう。ファー付きの外套を靡かせ、召喚した小型恐竜に騎乗し、くるくると道化師の周囲を回る。手には飾りの鞭も準備した、猛獣使いだ。
「貴方とお揃いね。一幕の御手をいただける?」
 道化師姿の門番に微笑み、ビスチェドレスを靡かせたアデュラリア――ピエレッタは、目元だけを隠すマスクの下で蕩けるように瞳を細めた。みんなを巻き込み、くるりと輪になって御遊戯みたいにダンスを踊る。
 ランシェも愛の手(孫の手系マル秘道具だよ)を取り出して応えた。彼は趣味の雀要素をふんだんに取り入れ、雀風の仮面を被り、雀の羽根をつけて、全体的にも雀カラーで統一し、雀狩人――もちろん雀の心を狩る人という意味――というに相応しい様相である。
 紳士帽から取り出した薬玉でゼルディアが華麗にジャグリングを始めれば、それまで物陰で気配を殺しまくっていたサクラが、そっと扇で花を舞わせ始めた。仕草に合わせて、ふわふわ桃色ドレスとひらひら妖精翅が楽しげに揺れる。古今東西の絵本を読んで研究した成果か、道化師に敵視される様子はちっともない。着慣れない衣装に落ち着かない心地ではあるが、楽しい予感に胸が高鳴る。
 ゼルディアが高々とボールを放り投げれば、ランシェの弓矢が狙い違わず、ぱん、とボールを打ち抜いた。
 破れた薬玉から花弁と紙吹雪が、わっと辺りに降り注ぐ。
 同時にアデュラリアが傘を振るうと音を立てて花が咲いた。ご一緒に巡業できなくて残念、いつかまた、と名残惜しげにその花束を道化師へ差し出す。綺麗な連携に、ユーグが歓声を上げ、ゼルディアと共に拍手を贈った。
 ナハトがその辺にゴーレム突破法を落書きしたなら、ついに本命の探索が始まる。
 遺跡に眠る宝とは? そしてルィンの行方は……?

●尽きぬ罠
「この扉、服を交換しないと開かない気がする。ナハトさん交換しよう」
「おう!」
 クローディアの直感に従って、ふたりはいそいそと衣装替えをする。もちろん見えない気遣いは万全だ。
「どお? 似合ってる?」
 くるくる回る彼を見て、アデュラリアは微笑ましげに頷いた。
「ずるい! 私もしたい!」
 思わずゼルディアが拳を握り締める。
「着替えを?」
「着替えさせるのを!」
 ばーん、と乙女の道具袋から取り出したるはサボテン衣装とふんわり妖精さん衣装。
「どっちがいい?」
「二択……!?」
 ぷるぷる震えながらクローディアは提案する。
「そ、そういう乙女服は、サクラさんが似合いそうかも」
「クロさんだって似合うよ! 絶対!!」
 いつの間にか復帰していたルィンが、ぽん、とグラドの肩に手を置く。
「お嬢さん方のお色直しが何回あるか気になるな。ところで、あそこに更衣室があるじゃねぇか。グラドも行ってきたらどうだ?」
「遺跡に更衣室なんてねえよ……」
 あるのは罠臭漂う扉だった。
「大体、着替えの服なんてねえし」
「あら、ではわたくしが」
 着せ替えにも興味津々、少女のように瞳を輝かせていたアデュラリアがいそいそと扉に向かう。
「いやいやいや」
「アデュラリアさん、綺麗、好き。グラドさん、綺麗、ない」
 グラドは真顔で制止した。クローディアもカタコトで制止した。アデュラリアはちょっとしょんぼりした。
「男性陣のドレスはナシ。ランシェくんならまだしもっ」
「えええっ!?」
 みんなの会話を微笑ましく見守っていたランシェは、ゼルディアからの突然の飛び火に全力で首を振った。もちろん、縦にではなく横に。
 ふたつの扉の前で右往左往していた一行は、不意に転がってきた巨大な何かに巻き込まれてごろごろと下り坂を転がっていった。後には悲鳴だけが残される。
「……みんな、だいじょうぶかしら」
 ステルスしていたサクラが柱の陰から現れた。
 今回は罠を事前に発動させることが目的なのだし、積極的に罠にかかるのも良いことだろう。うんうん、と頷きながらサクラも仲間たちの後を追った。

「転がる岩はお約束、だが……」
 ユーグは回転する『何か』に巻き込まれたまま、苦悩していた。
 これはもふもふとして、おひさまの匂いがして、もふもふとする、もふもふ。回転しているのは、なんと岩ではなく猫だった。すごい、大きい。
「こんなところで猫なんて、嘘だろ……」
 岩なら戦槌で砕いて進めるが、猫は無理だ。不可侵だ。
 冷静に考えてみると遺跡にいる以上、不思議生物かゴーレムかの二択なのだが、でも、もふもふなんだ。攻撃なんて、できない。
 ユーグは猫と一緒に回転し続けた。にゃー。

「う、うーん……」
 ランシェは、はっと目を覚ました。
 全力ダッシュで逃げ続けるうちに、落とし穴に落ちていたらしい。急いでここから脱出しなければ、と床に手を突いたら、もふっと柔らかな感触。
「こ、これは、ふくら雀!?」
 何故か落とし穴の中には先客がいた。それも、ランシェより背丈の大きな、冬毛を纏う雀さんである。ふっくふく。
 そう! 本当の罠は落とし穴ではなく、この雀さんだったのだ。
「あ、あああ……!」
 罠だとわかっているのに出られない。ランシェは激しく葛藤した。

 合流を目指して歩みを進めていたサクラの瞳は、その表情こそ淡いながら、わくわくとした想いを隠し切れずにいた。
 ふと、道端での発見に目を瞬く。
「……グラド、何をしているの?」
「食事」
 彼は持ち込んだ干し肉を齧っている。
 さっきの回転する猫から、途中で振り落とされたのだろう。
「直接呑んでるんで酒は分けてやれねえが、肉ならまだあるぞ」
 どうしよう。休憩していていいのだろうか。
 しかし、先を急いだところで罠の餌食にかかるだけかもしれない。現実は残酷だ。

●深奥の光
 途中、猫に振り落とされたゼルディアは、自分はここだと後で同じ道を通る者がわかるように壁に印をつけた。ら、ガコンと不吉な音がして床がつるっつるの滑り台になった。
「きゃー!?」
 どこまでも全力で滑り落ちていく。
 衣装チョイスの正解を感じつつ、このまま落ち続けたら異界にさえ辿り着いて、あの子に再会できはしないだろうか――と思ううち、彼女の身体はようやく平らな床に転がった。
「ゼルディア様!」
 ちょうど同じ地点にいたアデュラリアが慌てて駆け寄ってくる。
 その足元で、ひとつだけ色の違う床が、コトンと音を立てた。
「きゃーーー!?」
 再び滑り台と化した通路をふたりは落ちていく。アデュラリアは滑りながらも彼女の白い手を握り、
「マダムが坂から放る如く無数の柑橘が転げても、この手を決して離さないわ……!」
 と誓う横を、ころころ転がっていくものがある。無数の猫(通常サイズ)である。
 なにこれかわいい。どきんと胸の高鳴りを感じてしまう。
 でも滑り落ちるのは止められない。

 行き止まりの道は壁に何やら書かれていた。
「謎を解けば道が現れるってか……?」
 気づいたら鼻眼鏡を装備していたルィンとユーグは顔を見合わせる。
「クイズといえばえ」
 危険なルィンが壁に近寄ろうと歩みを進めた瞬間、その足元が陥没した。
 なんということだ。動揺しながらもユーグは覚悟を決めて壁の文字を読む。
『嫁と言えば』
「ハッ! 答えはルィンか!!」
 ユーズは直感と度胸と愛嬌をフル活用して、ルィンが落ちた穴に飛び込んだ。
 みんな! クイズは最後まで読もうね!

「罠満載の遺跡、か」
 実に楽しそうな響きだ。
 天井から鳥籠で吊り下げられているナハトは、しみじみと呟いた。
「まさか床に落ちてたメロンパンがトラップだったとは……」
 人が入り込まない遺跡に落ちているものを食べるとおなか壊しますよ。
 ぴよ、とひよこが気遣わしげに鳴いた。
「あ、見っけ」
 揺れる籠の下でクローディアが足を止めた。
「お。どうしてここが?」
「ひよこの匂いで」
 そこに、あら、とアデュラリアもやってきた。
「もしかして」
「ええ、ひよこの匂いで」
 ひとりは心細いから、早々に合流できて本当に良かった。

「ここは! まさか禁断の!」
 ユーグは頬を染めながら輝く水辺にダイブした。
 ふわっと柔らかい! いい匂いがする! ぬるっとしてる!
「ぬるっ?」
「悪ぃな、俺の嫁さんはもっと綺麗なのさ」
 魅惑的な彼女たちに口説かれても、ルィンは余裕たっぷりで惚気た。
 そんな禁断の花園に辿り着いたゼルディアが見たものは、綺麗なきらきら光るキノコにイチャつかれている男ふたりの姿だった。
「求婚してくれたばかりで浮気!? ルィンくんのバカー!!」
「ゼルさん泣かせるなゼルさん泣かせるな」
 嫁とクローディアの本気がキノコと男たちに突き刺さる。
 綺麗なピュアリィも別の部屋にいるんですよ。

 紆余曲折の後、一行は遺跡の最奥に辿り着いた。
 差し込む陽射しが複雑に絡み合い、美しい光の鳥籠を映し出す場所で、吹き込む風がソプラノめいた旋律を奏でる。美しくも伸びやかな歌声が響く舞台を、ランシェは満面の笑みで、サクラは静かに見つめ続けた。
「見事な宝じゃねぇか」
「心に染み入る美しさってヤツだな」
 ルィンに言葉に、ユーグも応える。散々な目も、みんなと一緒だから面白く、傷だらけだって上機嫌なまま。
 持ち出せないから、より心を奪い、共に乗り越えた浪漫の果ての唄だから、またひとつアデュラリアの胸に光を燈し、煌めき続けるのだろう。分かち合えた今このときが最良の宝だとクローディアは瞳を緩める。
「みんなで一緒に来られて良かった」
 ありがとう、と零してから、ゼルディアは人数が足りないことに気づいた。
「あ! いたー!」
 遅れ馳せながら、ナハトが笑顔で手を振りながら走ってくる。
「そういや、途中でかい水溜まりに落ちたから、ヒーリングスパしてきた。帰りに全力で浸かろうぜ!」
「……そこ、キノコいなかったか?」
「えっ?」
 キノコは……。
 茹でキノコに、なった……。

 こうして今日の冒険は終わりを迎えたけれど、遺跡の唄はきっと、未来永劫、紡がれ続いていく。



マスター:愛染りんご 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2015/09/03
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冒険結果:成功!
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