ステータス画面

【エルフヘイムとレジスタンス】道程と邂逅

これまでの話

<オープニング>

 アクスヘイムの戦いが終わり、戦いを勝利に導いたエンドブレイカー達を中心に、アクスヘイムの復興が始まろうとしている時、旅人の酒場に、一人のエルフの少女が現れていた。
 放棄領域の盗賊街で捕まっている所を救出された彼女は、アクスヘイムの戦いを目の当たりにし、エンドブレイカーの力に感嘆して目を輝かせているようだ。
「みなさん、はじめまして。エルフヘイム都市警備隊のフルート・アロマーです。みなさんがアクスヘイムの終焉を打ち砕いた力を見込んで、お願いがあるのですが、お話を聞いて頂けないでしょうか」
 エルフの少女、フルートは、そう言うと、彼女の国エルフヘイムの窮状について、訴えかけてきた。
「エルフヘイムは、古の妖精騎士達の故郷として、厳しい戒律はあるといえども、平和で豊かに暮らしてきました。しかし、現在のエルフヘイムは、レジスタンスによる破壊活動が横行し、これまで存在しなかったような多数の化け物が市民生活を脅かすようになってしまったのです」
 ここで、フルートは集まってくれたエンドブレイカー達をぐるりと見回すと、一息ついて話を続けた。
「このままではエルフヘイムは終焉を迎えてしまうという予言を受けた私は、その終焉を打ち砕ける存在を求めて、長い旅をして参りました。そして、今、その終焉を打ち砕ける存在、すなわち、みなさんに巡り会ったのです! どうか、エルフヘイムの終焉を打ち砕くため、お力をお貸し下さい!」
 フルートは、感極まって涙ぐみながら、地べたに頭をすりつけんばかりにして、そう願いを告げたのだった。

「やあ、こんにちは。みんな、フルートの話を聞いてくれたかな」
 酒場の片隅で、ジュリアーノはエンドブレイカー達を集めて話を切り出した。
 曰く、都市国家エルフヘイムでも、問題が発生しているらしいとのことだ。
「ただ、エルフヘイムの周囲はアクスヘイムとは違い、棘(ソーン)に覆われる状態にはなっていないらしい。それなのに、エルフヘイムで棘(ソーン)の気配が強く感じられるのも確かなようだ」
 これは、どういうことだろう。思案げに首を傾げたジュリアーノは、テーブルを囲む面子に告げる。
「エルフヘイムのレジスタンスに接触して、情報を集めてきて欲しいんだ」
 それから、酒場のなかを見渡すと、声量を落として続ける。
「フルートは都市警備隊の一員なので、レジスタンスが悪いものだと説明している。けれど、エルフヘイムに立ち寄った事がある旅人からは『市民の支持はレジスタンスにある』という情報も入っているんだよね……」
 フルートの立場からすれば、まっとうな認識だろう。けれど、ひとつの組織に所属する以上、その位置からの観点しか得る事ができない。
「だから、皆には『レジスタンスがどんな活動をしている、どんな組織なのか』を調べて来て欲しい」
 レジスタンスが善なのか悪なのか。それを見定めること、事実を正しく知ることは、エルフヘイムの事件を解決する為に欠かすことが出来ない情報なのである。

 今回の目的は、エルフヘイムに行きレジスタンスと接触すること。組織の様子を見て来ることだ。
 エルフヘイム政府の情報収集や、マスカレイドに関する調査は、他の仲間が行う事になっている。
「ここに集まった皆は、レジスタンスの活動についての調査が主体となる」
 レジスタンスについてありのままの事実を調べ、ひいてはエルフヘイムで起こっている問題について確認して来ることが目標となる。
「勿論、調査はエルフヘイムまで無事に辿り着くことが前提だ」
 まずはエルフヘイムに無事到着するため、全力を尽くさねばならない。
 ジュリアーノは説明を続ける。アクスヘイムとエルフヘイムの間には、巨獣の荒野と呼ばれる難所があって、かなり危険な道中になると予想できるだろう。
「エルフヘイムへの旅については、旅程表を渡しておこう。良く確認しておいてくれ」
 そこで話を区切ると、ひとりひとりに旅程表を手渡していく。
 エルフヘイムが、今どういう状況なのか。正確な情報が無ければ、エンドブレイカーとして正しい行動を選び取ることができない。
「この依頼は、とても重要なものになるから、みんなで協力して頑張って欲しい」
 旅程表に目を通しているエンドブレイカーに、ジュリアーノは説明を追加する。
「巨獣の荒野にいる巨獣たちについては、できる限り安全に移動できるように、別の手を打って援護を行う予定だ。だからと言って油断はできないが、キミ達は無事にエルフヘイムへ辿り着くことを優先して動くのが良いだろう」
 エンドブレイカーが巨獣について訊ねると、ジュリアーノが巨獣を描いたつもりらしい絵を見せる。
 だが、溜息が出るほど下手すぎて参考にならなかった。
「それでは、良い旅を。無事の帰りと、朗報を待っているよ。いってらっしゃい」


マスターからのコメントを見る
参加者
クローリスに花束を・フリュー(c00601)
寵蜜妓・テオバルト(c00913)
靴紅柳緑・ヴェロニカ(c02508)
暁光の戦剣・レイチェル(c02732)
一刀・グラディウス(c03243)
輝紫の番犬・ラウレス(c06070)
埋火の・イジェ(c08154)
リネージュ・キャロル(c11702)
紫花流紅・ユーフェリア(c11719)
天爛・パルシェレート(c12136)

<リプレイ>

●旅立ちの青
 出発の日が来た。
 荒地の景色に馴染む茶色のマントを纏い、必要最低限にまとめた荷物を抱えて。
 旅の装いを整え、アクスヘイムを出た一行は巨獣の荒野へと向かった。空は、澄んだ青空。
 荒野の入口までの旅路には、レジスタンスとの接触を目指すこの班以外にも、エルフヘイムへ向かう別の班や、巨獣退治を目的としたエンドブレイカー達の姿も見えた。
 初日の野営は、荒野の入口で行われた。周囲には同様に野営する別班の明かりも見られ、アクスヘイムを出たとはいえ、まだ人の気配が感じられる比較的安心できる状況だ。
「冒険! 冒険! わくてかするんだなっ」
 天爛・パルシェレート(c12136)が瞳を輝かせて言うと、暁光の戦剣・レイチェル(c02732)もつられて笑みの表情になる。
「なんかこう、ワクワクするわよねっ。あ、でも勿論はしゃぎすぎないわよ」
 目的は忘れずに、旅を成功させる為に頑張るわ! と、レイチェルは拳を握る。
「エルフヘイムも気がかりだけど、道のりもわくわくするねえ、素敵な仲間と大冒険ってやつさ!」
 柔和な笑みを浮かべた埋火の・イジェ(c08154)は、さあて、どんな歌をつくれるだろうと、小さく曲を口ずさみ始めた。

 2日目、荒野へと踏み込む。
 巨獣ランドホエールを相手にする仲間達の姿を遠くに見ながら、戦場を避けて先を急いだ。8メートル近くある巨獣の姿は、離れた場所から見れば、人間との大きさの違いが良く判る。
 この巨獣退治に旅団の仲間が参加している筈のイジェは、目を細めて巨獣との戦いを見つめた。
「頼んだよ、怪我すんじゃないよ!」
 激励の声は、巨獣の唸り声にかき消される。
 少し前を歩いていた、輝紫の番犬・ラウレス(c06070)は振り返り、戦ってくれる仲間達に感謝した。必ず事実をこの目で、と心に誓って。
 アクスヘイムの方角には、遠く晴れた青空の下に斧のモニュメントが見えて、まるで見送ってくれているかのようだ。
 その夜は荒野の岩陰で野営する。クローリスに花束を・フリュー(c00601)は、自分の杖に絡みつく蔦や花に指先で触れながら、共に見張りを担当する靴紅柳緑・ヴェロニカ(c02508)に話しかける。
「はじめてのことばっかりでドキドキなの。エルフヘイムまで、皆で一緒に頑張りましょうなの」
 眠りについて身体を休めている他の者を、起こさぬよう気遣う小声での言葉に、フリューと視線を合わせたヴェロニカが、微笑んだ。
「うん、見知らぬ場所への旅は、どきどきするな。無事に辿り着けるよう頑張ろう。慌てず、新しい道を楽しむくらいの気持ちでいこう」

●荒野の茶
 3日目、荒野に入ってかなり進んだ。振り返ってもアクスヘイムはもう見えない。
 荒野のあちこちに巨獣の姿が見える。望遠鏡で周囲を確認し、巨獣から身を隠しながら移動する。
 時折聴こえていた獣の吼え声が、不意に近い場所で響き渡った。
 輝紫の番犬・ラウレス(c06070)が望遠鏡を覗き込んだ。黒い筒は、広い荒野を見渡せる。このまま直進して先に進めば、名も知らぬ巨獣の姿があることが判った。
「迂回しましょう」
 一行は進路を変え、巨獣の視線を遮る岩陰を進むことにした。これまでの道程は、手描きで簡単な図に記してある。進路は間違いない。余程のことが無ければ迷ったりしないだろう。
 岩陰に隠れながら進めば、吼えていた獣の横を通ることになる。岩壁を隔てた向こうに巨獣が居る。みんな無言で、静かに静かに通り抜けようとした。
 オオォ……ン!
 突然、至近で吼えた獣の声に、全員立ち止まる。
(「――やるしかないのか?」)
「今回は出来るだけ体力を消耗せん方がええんだが」
 どうしても戦わなければならないなら、先手を打った方が良い。一刀・グラディウス(c03243)は剣の柄に手をかける。
 オォン……!
 だが、巨獣は一行の隠れる岩壁ではなく、逆方向へと駆けて行く。巨体とは思えない速さで、荒野に居た別の巨獣に突進して行った。
「喧嘩か?」
 グラディウスが呟くと、寵蜜妓・テオバルト(c00913)が小型の望遠鏡を覗き込む。
「……違う種族の巨獣みたいだ。あいつ、肉食なのか?」
「肉食だと危険ですわね、……急いで離れましょうか」
 リネージュ・キャロル(c11702)の台詞に、仲間達は無言で頷いた。
 それから暫く黙々と歩いて、随分距離を稼いだ。空は変わらず晴れていたが、時々雲が掛かって薄暗くなる時間もあった。見上げてみれば、雲の流れは意外と速い。天候が変わり易いのだろう。
 その日の夜は、安全そうな岩山の上で野営することになった。
 夜の見張り番は、テオバルトとラウレス。
「昼間は驚いたな。そろそろ旅路も半分か?」
 残り少なくなってきた水筒の水に、ちびりと口をつけてテオが言う。
「吃驚しましたね。荒野はもう少し続くようですから、慎重に進みましょう」
 頷いて、ラウレスが答える。エルフヘイムで確かな情報を手に入れる為にも、皆で無事に辿り着かなくてはならない。
 小高い岩山の上から見上げる夜空は広く、明るい月が荒野を照らしている。つい見入っていると、不意に月が小さく震えて、――グラリと揺れた。
「うっわ……」
 揺れたのは月ではなく。足元の、岩だった。
 岩山が動いている。――否、岩ではなく。
「巨獣の背っ!? って、こんなにでかいもんだったのか……面白ぇ♪」
 咄嗟に荷物の革ベルトを掴んだテオバルトが、瞳を輝かせる。
 巨獣は、のそりのそりと歩き始めた。揺れる所為で他の仲間達も目が覚めたようだ。
「おおぉ!? すごいんだなー!」
 パルシェレートも瞳をきらきらさせている。上下に大きく揺れると、落ちないように巨獣の背にある出っ張りを掴む。
「静かに……刺激してはいけません」
 小声でラウレスが言う。
「あっは、やっぱり冒険はこうでなきゃ!」
 楽しげに声を上げるイジェ。巨獣の背から見渡す視界には、広い夜の荒野がひろがる。
「こいつの背中に自由に乗れたら都市間の移動も楽そうだな……」
 グラディウスがぽつりと呟いた。
 岩山のような巨獣は一行を乗せた侭、月明かりの下、荒野を進んで行く。

●水場の蒼
 夜が明けて4日目。巨獣に運ばれ辿り着いたのは、水場だった。綺麗な水と、植物があり、動物も居る。新鮮な果物も手に入った。
「荒野に水場……でも、こんな場所だし人間は流石にいないかな?」
 レイチェルは辺りを見渡したが、人の気配は無い。身体を休めながら、巨獣達を観察してみる。
 ここは巨獣達も決して争わない安全地帯らしく、動物の姿も見ることができた。水や食糧の補充を済ませた一行は、水辺の傍で暫し休息の時を過ごした。
 イジェが奏でるソードハープの音色に、巨獣の子供達が集まって来る。音を珍しげに聴く巨獣の子供に、そうっと近付いたフリューは手を伸ばして撫でてみた。小さくても巨獣の子、フリューより少し大きく、硬い肌をしている。
「イジェおばさま、もっと聴かせてあげて欲しいの」
 嬉しそうにフリューが巨獣の子供と触れ合う様子に、眦を緩めたイジェがハープの演奏を続ける。
「こうしてみると仔巨獣も大きいけど可愛いな」
 呟いたヴェロニカは、この仔達といつかどこかで戦うことになりませんようにと、心で願った。
 水面は日差しを受けてキラキラと輝いている。
 その水を使って湯を沸かしたキャロルは、持参したマイカップと紅茶の葉で、堂々とティータイム。
「簡単だけど、軽い料理を作ってみたよ」
 紫花流紅・ユーフェリア(c11719)の作った物は、水場で手に入った食材を使った簡素なもの。けれど保存食で荒野を歩いてきた仲間達には、充分なごちそうである。
 この日はみんな久々に美味しい食事を食べ、ゆっくりと眠る事ができた。勿論、見張り番はいつも通りのローテーションで行われる。

 5日目。ラウレスが僅かながら調達した魚を、ユーフェリアが料理して朝食にする。
「旨い」
 グラディウスがストレートに褒める。魚も果物も、水も美味しかった。みんな表情を綻ばせ、美味しい朝食を楽しむ。
「良かった。此処を出たらまた保存食だから、たくさん食べておいてね」
 ユーフェリアは、みんなが食べるのを見るのが嬉しそうだ。
 くんくんと匂いを嗅ぎながら近付いて来た巨獣の子供に、パルシェレートは果物をひとつ掌に乗せ、差し出して与えた。
 巨獣の子はざらつく舌で、パルシェレートの指についた果汁を舐める。
「うわーっ、くすぐったいんだぞー!」
 楽しい朝食の時間を終えると、一行は出発の支度を整える。名残は惜しいが、いつまでも水場で寛いでいるわけにはいかない。
「折角だから水浴びしていきません?」
 新しい都市に行くのだし、と、キャロルが思い切って仲間の女性陣を誘った。
「ここは水飲み場のようだよ、巨獣達も動物達も大事な水だ。……向こうの方で巨獣の子供が泳いでいたから、あそこなら丁度良いんじゃないかねぇ」
 イジェが指差したのは、数本の植物が茂る水場の下流。
「……巨獣の子と水浴びなの」
「巨獣の子と水浴びなんだなー!」
 瞳を輝かせたフリューとパルシェレートがキャロルについて行く。
「私も足を冷して行こうかな」
 レイチェルが続いて、「荷物は見ています」とラウレス。私たちはどうしようかと、ヴェロニカがテオバルトと顔を見合わせた。

●草原の緑
 水浴びも済ませて、草原地帯へと向かったのは昼が近付いた頃。
 仲良くなった巨獣の子供達が、水場の端まで見送ってくれた。
 ばいばい、と何度も振り返って手を振っていたフリューは、荒野を通っていた時より笑顔が多い。見渡す限り緑が続く草原は、風が吹くたびに草木の匂いがした。
 巨獣の気配は無い。けれど望遠鏡で警戒しながら進めば、遠くに獣の影らしきものは見える。一行は慎重に草原を進んで、日が暮れる頃には高い木の傍で野営することにした。
 見張りは木に登って周囲を遠くまで見渡して、翌朝はドローブラウニーで野営の痕跡を、今迄よりも念入りに綺麗に消す。
 6日目、再び草原を歩き出した一行は、遠くに巨大な緑を見つけた。
 まだ遠い、けれどもその大樹は高くそびえ立ち、一行の到着を待っているかのようだ。
 『永遠の森』エルフヘイムは、その名の通り都市全体が森のようだった。最も高い天辺に見えるのが、世界創世の時より存在すると言われる強靭な大樹だろう。まるで傘のように緑が覆い被さり、その下には大樹に寄り添うよう幾つも幾つも緑が茂っている。茂る緑の間には、積み重ねられた都市国家の姿が在るのが、近付くにつれて徐々にはっきりと見えてきた。
 ――エルフヘイムは、目前だ。今夜はまた草原での野営になるが、明日には辿り着くだろう。
 新しい都市への旅も、あとわずか。一行は自然に歩くペースが早くなる。
「エルフか。彼らがどんな所でどんな生活をしているのか、少し不謹慎かもしれないが興味深いね」
 そう言ってユーフェリアは望遠鏡を覗き込んだ。前方の大樹に惹かれながらも、辿り着くまでは草原に潜む脅威への警戒は怠らない。
 エルフヘイムへの到着は、第一の目標。そして、一行の真の目的は。
(「それにしても、レジスタンスか……」)
 最後尾を歩きながらレイチェルは、どんな理由で都市警備隊と敵対してるんだろうかと考える。
「到着間際になると気になって、色々考えちゃうね」
 ぽつりと呟けば、同じく最後尾を歩いていたグラディウスが顔を向けた。
「まぁ、行ってみん事には始まりませんかな」

●永遠の森
 そうして7日目、ようやく辿り着いたエルフヘイム。
 旅を終えた一行は、都市国家の入口付近にある、ひとつの町に入った。
「おやステキ、一曲披露したくなる場所だねえ」
 外観も大樹の緑に視線を奪われたが、中に入っても緑の多い景色にイジェは視線を緩める。
 町の入口から暫く進むと、住処らしき建物が並んでいた。建物の間にも、木など緑が茂っている。
 見上げれば上層の裏側である天井の合間に、やはり見える緑色。
 そして住民であるエルフ達は、誰もが皆フルートのような長い耳をしていた。
「うーむ、あのエルフの耳には何かありそうな気がしてならん」
 グラディウスがそんなことを言っていると、一行を珍しげに見て近付いて来るエルフが居た。
 ラウレスが旅人だと言うと歓迎され、それから外の様子を訊ねられたり、何処の都市から来たのかと訊かれたりする。一行の周りに集まってきたエルフ達は庶民で、概ねが好意的なようだ。
 長かったようであっという間だった7日間の旅。エルフヘイムに辿り着いたこれからが本番だと判っては居たが、ヴェロニカは旅の終わりの達成感に気持ちが満ちていた。荒野で巨獣と戦ってくれた人々、歓迎してくれるエルフ達、そして何より旅路を共にした仲間に、感謝は尽きない。
「ここは素敵な町だね」
 ユーフェリアが町の事を褒めれば、若い女性エルフが嬉しそうに「そうでしょう」と笑う。
 パルシェレートは旅に連れて来られなかった友達の仔豚の代わりに、頭の上に乗せたスピカをエルフの子供に見せた。
「あっ、星霊術士なんだね!」
 エルフの子供は、星霊を指差して「スピカだ」と、はしゃいだ。
 一行がエルフの住民たちとの会話に和んでいると、少し先にある広場でざわめきが起こった。
 見れば、物々しく武装した一団が広場に踏み込んで来る。あつらえたような、似通った立派な装備のエルフたちは、広場で何事か会話した後、ひとつの住居を指差して其処へ突入して行く。
(「政府の騎士だ……」)
 スピカにはしゃいでいたエルフの子供が、小さく呟いた。

「あんた達は、何なんだっ……何をするっ!」
 エンドブレイカーとエルフの住民達が見守る中、騎士が突入した住居から、エルフがつまみ出される。中に戻ろうとするエルフを、騎士は武器を向けて制した。
 悔しげに睨むエルフの目の前で、騎士は住居の中から数名のエルフを無理矢理引き立ててきた。やめろ、やめてくれと叫ぶエルフを払い除けて、騎士は引き立てたエルフを連行して行く。
 これは一体どういう状況なのかと、エンドブレイカー達が周囲を見渡せば、先程まで会話していたエルフの女性が小声で囁いた。
(「ハーフエルフ狩りよ……」)
 子供エルフを背後に隠したエルフの女性は、複雑な表情で様子を眺めている。
 連れて行かれるハーフエルフらしいエルフ達は、見た目では他のエルフとの違いは無い。
「助けて、殺さないで!」
「いや! 死にたくない、家に帰りたい」
 悲鳴をあげながら、ハーフエルフ達が騎士に連行されていくのが見える。
 静まり返った町の広場を、エルフの住民達はひそひそと囁きながら見守っていた。
「殺さないで」「ころさないで」
 ハーフエルフ達の悲痛な声が、エンドブレイカーの耳を苛むのだった。



マスター:藤宮忍 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/08/17
  • 得票数:
  • 楽しい1 
  • 泣ける1 
  • 怖すぎ2 
  • 知的12 
  • ハートフル9 
  • ロマンティック1 
  • せつない76 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。