ステータス画面

惑いの翅

<オープニング>

●穏やかな中に
「大きな戦いだったけど、ここは無事だったね! よかったー!」
「うん! お花一杯咲いてるー、ぐちゃぐちゃになってなくてよかったね!」
 アクスヘイムの戦い後、さまざまな場所は戦闘によって壊れ復興に力を向ける場所がほとんっだった。
 だがこの花畑は、戦闘で傷を負わなかったらしい。
 以前と変わらぬままそこにあり、子供たちの遊び場をなっていた。
「あ、ちょうちょ!」
 と、ひらひらと遠めに飛ぶ影がいくつかある。
 それは蝶の形をしており、さまざまな色を纏っていた。
「わぁ、綺麗……」
「そうだね……」
 普通の、蝶ならば良かった。子供たちが遠めに見た蝶は明らかにその大きさが人と同じ、もしくはそれ以上のものだったのだ。
 そしてその翅にある模様は、子供たちを惑わせる。ぼんやりとその翅を見つめる子供たちはその場所から動く事はない。
 やがて、その蝶たちは子供たちの頭上を舞い、その身に食らい付くのだった。
 戦いによって住処をなくし、新たな住処を求めていた蝶――アイズバタフライ。
 この花畑に舞い降りたそれは凶暴な肉食の巨大蝶だった。

●花園を守りに
「ちょっとご都合よろしくてー? 手ぇ貸してほしいんだけど」
 太刀の魔獣戦士・ミギナ(cn0032)はそう言って手をひらひら。
 何かと思えば、いつものごとくよろしくないエンディング打破のお話。
「アクスヘイムの戦いで住処を無くしたやつらが人里に現れてんだ。放っといたらやっばいことになる。てことで、ちょっと人助けしてほしいわけ」
 向かう場所はとある花畑。
 そこは戦いで壊される事なかった世界で、今も子供たちが遊んだりしている場所だ。
 そしてそこに現れるのは蝶。
 と言っても、ひらひらと飛ぶ小さな蝶ではなく肉食の巨大蝶なのだ。
「現れる蝶は8頭。大きさは大人一人ってとこだな。色はばらばらだが、特徴はひとつ。翅の模様が目玉みたいなんだ。それで人を惑わして食っちまう」
 気をつけていれば惑わされる事はないだろう。
 攻撃は体当たり、翅で叩きつけたりといったり。
 そして羽ばたきによって生み出されるリンプンは時折マヒや毒をもたらすものだ。
「数はいるが、気ぃぬいていかなきゃ大丈夫だろ。ただ戦いの場所では子供らが遊んでると思う」
 ただ子供たちも、危険だと分かればその場から逃げるだろう。
 アクスヘイムの戦いが終わり、エンドブレイカーの存在は人々の知るところ。
 自分たちがエンドブレイカーであることを伝えれば、言う事をちゃんと聞いてくれるはずだ。
「放っといたら子供らが命を落としちまう。だからみんなの力で助けてやってくれな。おそらくなんだが、子供ってのは好奇心強いから安全な場所で戦いが終わるまで見てるかもしれねぇ」
 戦い終わった後に、エンドブレイカーさんだー! とわらわら寄ってくるかもしれない。
「子供らにとっては助けてくれたやつってのはヒーローみたいなもんだからさ、無理にとは言わねぇけどもし暇があったらちょっと遊んでやってくれな」
 平和になる道を歩んでいるのだから、子供たちがもっと笑顔になる手伝いを。
 そう言ってミギナはよろしくと皆を送り出した。


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参加者
星光の導き・ルミネール(c00275)
継承者・ハヤテ(c00810)
微睡む游魚・ピエル(c01073)
常春・シャンナ(c01714)
紅華絢爛・セリ(c03885)
かたはらの夢・アズハル(c06150)
扇の魔曲使い・スリーゼ(c11291)
剣の巫女・アイルトルート(c11937)
藍沫シュヴィーエ・ハル(c13123)
陽だまりの迷い子・フラヴィ(c14702)

<リプレイ>

●惑いを貫く一閃を
 八色。
 それは子供たちの上で羽ばたく翅の色数だ。
 ぼぅっとして動かないままの子供たちの姿を目にし、紅華絢爛・セリ(c03885)はすぅっと息を吸い込む。
「君たちー! ここは危ないからすぐ避難して! 大丈夫、お姉ちゃん達はエンドブレイカーよ! すぐにあいつらやっつけるからね!」
「え……うわっ!」
 その声にはっと我に返った子供たちは、自分たちの頭上を飛ぶアイズバタフライの姿に驚く。
「異世界より光の矢よ、来たれ! ですよっ」
 頭上を飛ぶアイズバタフライたちの白い翅持ちが子供たちに襲い掛かろうと降下する。
 だがそれを常春・シャンナ(c01714)が身の丈ほどあるマルクトの鍵杖より放ったマジックミサイルが翅を打ち抜く。
「……ちゃんとカッコよくできてますかねー?」
 シャンナの呟きにこくりと頷いて微睡む游魚・ピエル(c01073)は走り抜ける。
 狙うのは、先ほど打たれた白いアイズバタフライだ。
 高速で踏み込み、突き出される槍はその翅の傷を広げ、そしてそれに続いて剣の巫女・アイルトルート(c11937)もふらりと高度を落とした白いアイズバタフライの下に潜り込むよう踏み込む。
 穏やかに荒れる場所を残しておくためにもと振るう太刀、護刀【符水】を左手で保持し、刀を鞘より抜くと同時に三日月の弧を描き切り上げる。
 それにより、アイズバタフライの翅の半分が地に落ちる。
 体勢を保てなくなった一頭に向かい継承者・ハヤテ(c00810)は心剣 拒絶之刃を抜き稲妻の闘気を乗せる。
(「今回の仕事も人助け、か……んな柄じゃねえっつーのに面倒くさいったらないぜ、ったく」)
 いやいやながら、と思いながらもやるべきことは成し遂げる。
 ハヤテの攻撃を受けた1頭は翅を砕かれ地に落ちる。
「おら達はエンドブレイカーだっぺ、ここは危ないから安全な所に避難するだよ」
 そして一頭を打ち倒す間に扇の魔曲使い・スリーゼ(c11291)は子供たちの下へ走り誘導する。
 危険を感じた子供たちは、セリとスリーゼの言葉に頷いて、戦いの場から離れてゆく。
 その姿をちらりと視界に入れながら、かたはらの夢・アズハル(c06150)は棍を振るった。
(「子供達が楽しく遊べる花畑か……戦いの傷からも免れたんだな」)
 足元に咲く花、そこにいる子供たち。だが彼らを襲う蝶がいては、安心して遊べない。
「俺たちの力で、可愛い子供達を守ってみせる、うむ」
 大きく横に払った棍は紫色を捉える。
 そしてその紫色を狙って、陽だまりの迷い子・フラヴィ(c14702)はぴょんと身軽に飛び上がり、槍の先を紫色に向け回転を加えながら突撃を掛ける。
「子供に悪さしちゃ、めー!」
 突撃を受けた紫色の前に、影がもうひとつ。
「よい子の味方参上ー、なんてね」
 遠目から見れば色とりどりで綺麗だったのに、近くでみればその大きさに迫力を感じる。
「子供達が泣いちゃうから、退場してもらおうか」
 藍沫シュヴィーエ・ハル(c13123)はそう言って、大剣を振り下ろす。
 続けて放たれた魔法の矢は紫色の身体を貫きゆく。
「襲われてしまった人達も大勢居ましたが……平和を勝ち取ったんです。だからこの目の前のエンディング、必ず阻止します」
 気持ちを言葉にして星光の導き・ルミネール(c00275)は星型の装飾にローズクォーツをあしらった癒し手のための銀の杖、Agape Fontaineをぎゅっと握り締めた。
 アクスヘイムの戦いから一ヶ月経ったか経たないか。
 エンドブレイカーにできることがあるのならば、それをこの場で成すのみ。

●きらきらと降るリンプン
 敵とみなし、アイズバタフライたちは降下する。
 その羽ばたきできらきらと降るリンプンを浴びアズハルの棍を降る動きが鈍る。
 縦への一掃のあと、横へ振ろうとしたがその腕が言う事をきかない。
「っ、マヒか……!」
 そしてその動きが止まった一瞬に、黒色が体当たりをしてくる。
 だがその黒色をフラヴィが逃がさず追った。
 飛び上がり、向ける槍の先は地に突き刺さるように。勢いを増し翅を貫く勢いで落ちて、そしてその槍先は翅を射止める。捕まえたその身に続けざまに攻撃を加えれば翅の一枚が破れる。
 とん、と足元の花を踏まないよう一歩を大きく踏み出し、ハルが大剣を振り下ろせば、黒色は地に落ちる。
「はい、次……赤色」
「周りを焼かないように気をつけて、インフェル」
 ハルが一番近くにいる次に狙う色を示す。
 その狙った対象を見て、ルミネールは召喚した星霊バルカンの頭を一撫で。
 ルミネールの言葉にバルカンは一声鳴いて、尻尾を振り上げ炎弾を飛ばす。
 赤色に踊る炎の色はその赤より鮮烈で鮮やかなものだ。
「こっちは橙!」
 そしてその赤色の隣を追い越して舞い降りる橙色。次に狙うのはそれだとピエルは声をかける。
 そのアイズバタフライへとシャンナが杖を向ける。
「虫さんは嫌いじゃないですけど何というか、あれですよねー、小さいならまだかわいいんですけど、こう大きいのはちょっと……ですねー」
 少し距離はあるが、その大きさは前衛で戦うものたちと比較すれば、自分より大きい事はよく分かる。
 足元に結界陣が広がり、放たれた矢7本が橙色の身体を打ち抜く。
(「……皮肉だよね。僕らのせいで、蝶達は住処を無くして……ここに来て僕らに倒される」)
 ピエルは橙色へと攻撃を繰り出しながら思う。
「……ごめん、なんて言えない」
 謝ってしまえば、それは戦ってきた自分たちのことを否定するような気がする。
 思いを振り切りながら放った疾風突きは急所を狙い貫く。
 だが橙色もやられっぱなしではなく、その翅を羽ばたかせきらきらとりんぷんをその場に落とす。
 そのリンプンにより身体がマヒする感覚感を持ちつつも、ハヤトは稲妻の闘気纏う一閃を放つ。
「――天醒、潰陥!」
(「仕事は仕事、金の為だ。ガキ共の終わりぐらい、すぐにぶっ壊してやる」)
 振り切った太刀と共に思うことは、金の為と思いつつも子供たちの未来に繋がるものだ。
 橙色の身体の上を斜めに傷が走り、どさりとその身体は地に落ちる。
 と、頭上すれすれを飛ぶ黄色いアイズバタフライが落とすリンプンに、マヒを受けるピエルとハヤトは重ねて毒をもたらされる。
 だが二人の背後からざぁっと風が吹く。アイルトルートの呼んだ癒しをもたらす風は、二人の身体よりリンプンを吹き飛ばし払ったのだ。
 だが、二人に向かう飛ぶ影一つ。
 体当たりすべく勢いをつけて降りてくる黄色。
 だが、その黄色に向かってほわん、と羊毛が体当たり。それはセリの召喚した星霊ヒュプノスだった。
「お待たせ! 子供たちの避難は終わったよ!」
 セリとスリーゼ、二人が戦いの中に加わる。
 残るアイズバタフライは4頭。
 一気に決着をつけるべくエンドブレイカーたちは地を蹴った。
 花の間を縫うように。

●止まる翅音
「ったくもう、あんた達に居場所はないよ!」
 花を避けて地を踏みしめ、セリはアイズバタフライたちへキッと視線を向けた。
 自分も、それは事故だったけど子供時代に辛い思いをした。だからこの場にいる子供たちにそんな思いをさせるわけにはいかないとヒュプノスを向かわせる。
 ヒュプノスの出す催眠ガスは、眠りの連鎖を与え黄色、そして緑色へとダメージを与える。
「黄色狙いますー!」
 再び放たれるシャンナの矢は黄色の翅をかすめる。
 その矢の飛ぶ下で闘うアズハルは赤色に向かって棍を払い動かす。
 それは触角を薙ぎ、赤色の動きがびくりと震えるように止まる。
「綺麗な蝶さん……ごめんね!」
 フラヴィは高速で踏み込み、連続での突きに、赤色はばたりと地に落ちる。
 と、青色がばさばさと大きく羽ばたく。それは毒を含むリンプンだ。
「っ、ちょっと痛いのくらい、ガマンってね」
 このくらいの毒ならば耐えられる。回復をお願いするほどでもないとして動こうとしたがスリーゼはその様子をしっかり見ていた。
「サポートするだよ」
 朗らかで楽しいステップを刻みびしっとポーズ決めれば、それは応援になる。
 ハルの体力を回復し、その身にチャージを。
「ありがと!」
 お礼を言いつつ大剣を切り上げた先、青色は羽ばたく翅の1枚を失う。
 青色の翅が落ちるのと逆に、飛ぶは毒針。
 ピエルは黄色のアイズバタフライへとポイズンニードルを飛ばしていた。
「ここは彼らにとって、大切な場所だからね。君達のせいじゃないのは分かるよ……でも、駄目なんだ」
 ここにいられては駄目だと、思って放たれた毒針は翅に刺さり、毒を含ませる。
 その毒に呻くように方向定まらぬようで最後の力で飛ぶ黄色は、ピエルの頭上を飛び越しアイルトルートへと向かう。
 アイルトルートはその体当たりを太刀を鞘に納めたままでいなし、去り際に抜き放ち黄色を斬り落とす。
 残るは青色と緑色。
 青色は翅を失いつつも再び大きく羽ばたく。そのリンプンにフラヴィがとらわれる。
「こ……この位のしびしび、動けば治るもん!」
 ぐっと痺れを堪えていればいつのまにかその傍には星霊スピカが。
「ルシア、いつもの様にお願いね」
 ルミネールのその言葉に応えるようにキュアスターが踊れば痺れは消える。
 スリーゼが誘惑魔曲を奏で、青色の闘う意思を封じる。
 それは好機。
「青!」
 ハルがかけた声にアズハル、そしてフラヴィが反応し連続で得物を向ける。
 そしてエトワールのインフェルも、これが最後と言わんばかりに一声鳴き、その前脚を地に大きく振りおろし炎弾を飛ばす。
 攻撃を受け、炎に焼かれ青色はその色を失い落ちる。
「クゥリ、お願いしますねー」
 シャンナは前衛で戦い傷をおうハヤテへと星霊スピカを走らせる。
 スピカによりハヤテは傷を癒し、そしてチャージを受ける。
「――臥龍、天醒!」
 緑色の蝶を狙い、太刀より稲妻の闘気が電刃となり飛翔する。
 緑色を真っ二つにするように飛んだその電刃を追って、ピエルも槍を高速で突きだす。
 そしてアイルトルートも距離を詰めて、綺麗な半月の軌跡を描いた。
 それでもまだ飛ぼうとする緑色のアイズバタフライへとセリはヒュプノスを向かわせる。
 セリのヒュプノスはぽよんと跳ねながら紫色へと向かう。
 それに合わせて、最後の攻撃をエンドブレイカーたちは向けるのだった。

●その視線は真っ直ぐで
 最後に残っていた緑色のアイズバタフライが地に落ちる。
 ぴくりとも動かないのを確認し、子供たちの方をみればこちらの様子をうかがっている。
「もう遊んで大丈夫だぞ、うむ」
 子供たちの方を向いてあまり見せることのないきらっきらの、満面の笑顔をアズハルは浮かべる。
 その笑顔に安心して、離れていた子供たちは再び花畑へと戻ってくる。
「エンドブレイカーさんたちありがとう! ねぇ一緒に遊ぼうー!」
「すごーい! カッコイイ! 英雄ー!」
「遊んでお腹が空いたら、おやつ食べましょうねー、クッキー持ってきたですよー♪ 」
 子供たちの言葉にシャンナは頷く。
 そしてフラヴィもぱっと笑顔を浮かべて軽くぴょんぴょんと飛び跳ねながら言う。
「わーい、年上の人以外と遊ぶの久しぶり! 鬼ごっこが良い鬼ごっこ!」
「鬼ごっこ? でもおねーちゃん、さっきぴょんぴょんしてた」
「身軽なのずるーい」
「えぇー! ……す、スカイランナーだからズルとか言っちゃ駄目!」
 そんな風に子供たちと遊び始めて。
「この子も、遊んでもらっていいかな?」
 星霊スピカを傍らに、ルミネールが言えば子供たちはスピカと追いかけっこをはじめる。
「スピカさんのお名前なんていうの?」
「あの子はルシアって言うの」
 服の袖を引かれ、問われたことに笑みと共に答え、ルミネールは少し考えて、逆にまた問う。
「他に秘密の遊び場はあるかな?」
「あるよ! こっちこっち! あ、でも皆には内緒ね!」
 手を引かれ、こっちと導かれる先に何があるのか。手を引かれゆくルミネールの姿をみて、スピカのルシアがその後ろを追いかけ始めれば、その後ろの子供たちもまた共に。
 ふと、戦闘によってか根が土より盛り上がっていた花を見つけ、アイルトルートはそれを埋めなおす。
 と、上からふわっと頭に飾られた花冠。
「おねーちゃん! 私も手伝う!」
 その言葉にアイルトルートは静かに、ふわりと笑みを漏らす。
「もこもこさん!」
 呼び出したヒュプノスと遊ぶ子供たちの姿。
(「今まで人知れず戦ってきたのは決して無駄じゃなかったんだね」)
 セリは自然と自分の表情が笑顔になるのを感じながら金の瞳を和らげる。
 子供たちと遊ぶ仲間たち。
 と、ぽつっと少し離れたところで一人遊びをしていた子供をピエルは見つけ、そっとそばに寄る。
「皆と遊ばないのかい? ……大丈夫だから。おいで」
 手を差し出せば、なんだか少し嬉しそうに握り返される手。
「何して遊ぼうか。鬼ごっこからお話、何でも出来るよ。あ、でも歌と踊りはあっちのお兄さん達がやってくれるって」
 そう言ってピエルはハルたちの方を向く。
 ハルは子供一人を肩車してきゃっきゃとアズハルたちを追いかけている。
「平和ってやっぱりいいっぺな」
「おねーちゃん花冠あげる!」
「ありがとだっぺよ。お礼におら、踊るだよ」
 扇を両手にぱっと広げて、スリーゼは舞う。それと共に踊る花びらに子供たちは笑顔だ。
「スリーゼちゃんの踊り、きれい……オレ達も踊る?」
 追いかけっこをやめて、子供たちと手を取り合ってくるくると。
 その姿を少し離れた木陰に座りハヤテは見ていた。
 共に戦った者たちはともかく、自分はヒーローという柄ではない。
「英雄か……」
 子供たちの相手を自分がしなくても仲間たちがしている。
 ずっと抱えていた英雄というものへの複雑な感情を、今とても感じている。
 混ざることはせずに離れて様子を見ているくらいなら……と思っていたら。
「あのおにーちゃん一人ぼっちー」
「んー、お兄さん歌ってって言ってごらん」
 ハヤテを指差す踊りの輪の中のハル。なんだろうか、と思っていればとたとたと走りよってくる子供たち。
「お兄ちゃん歌ってー」
「じょ、冗談じゃねえ。人前で歌なんて……」
 歌ってー、と見つめられ、その視線から逃げているとフラヴィもその声を聞きつける。
「……え、ハヤテさん歌うの!? 歌って歌って、早くー! 」
「ほら、皆で楽しく、ね」
「おにいちゃーん」
 じっと見つめられ、仲間たちからも言葉を向けられ、仕方ないとため息つきながらハヤテは立ち上がる。
「……少し、だけだからな」
 少し先をあるく子供たちの姿をハヤテは追う。
「あの人も、こんなふうに呼ばれてたのかな……」
 自分を拾ってくれたとある人物の姿を思いながら、ぽつりと呟きを漏らす。
 輪の中に加わり、歌えばあわせてスリーゼが舞う。
 いつまでもこの子供たちの上に平和があるようにと。
 穏やかな日々が続きますようにと、願いを込めて歌と笑い声が花畑に響くのだった。



マスター:志羽 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/08/24
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