ステータス画面

くらげが群れでやってくる。

<オープニング>

 まだ残暑厳しい秋。
 その村の近くにある冷たい湖では、村の男達が魚を取り、女達はそれをさばき、そして子供達は暑さを忘れるかのように泳ぎ遊んでいた。
 だが、そんな湖にマスカレイドが現れる。
 ふよふよとした巨大な体で水中を漂い、獲物を捕まえたら長い触手から放つ毒と麻痺で溺れされるマスカレイドとその眷属が。
 その名は、くらげ……。

「そんな訳で、湖に現れるくらげマスカレイドとその配下のおおくらげを退治して欲しいんだ」
 そうリーが切り出す。
 彼が視たエンディングでは、くらげマスカレイドを知らずに湖に入った子供達が襲われ溺れ死ぬところであった。
 そんな不幸なエンディングはブレイクしなくてはならない、そうリーは言う。
「敵は5メートルほどのくらげマスカレイド1体と、3メートルほどのおおくらげが10体、攻撃方法は全部同じだ」
 彼が言うにはくらげ達は触手を武器にし、近寄ってきた敵をまきつけたり毒や麻痺のある触手で攻撃してくると言う。
 またマスカレイド化したくらげは表面が変化しているらしく、遠距離からの攻撃は受け流す事が出来るらしい。
 くらげ達はえさを求めてかそれともマスカレイドの指令かは解らないが、浅瀬に近いところにいるが場合によってはエンドブレイカー達の攻撃が届かない深い所に潜って逃げる可能性もあると言う。

「このまま放置すれば子供達だけじゃなくこの村の台所事情もピンチになる……頑張ってくれ」
 倒したあとは水遊びでもして残暑祓いをするのも良いしナ、そうリーは締めくくるのであった。


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参加者
スカーレットの魔音切り貼り人・フィル(c00260)
不均等な二律背反・ユミナ(c01686)
千刀狩の守人・ルーン(c01799)
白夜・ラビ(c03369)
全身全霊の障壁・サークル(c03518)
ディスパーサー・ベネデット(c04616)
月華心中・ディア(c05633)
雷牙瞬風・エリオス(c07140)
空に恋した少女・アルシェル(c11312)
常に惰眠を貪る・エレジー(c15928)

<リプレイ>

●出て来た出て来たおおくらげ。
「クラゲって、光が当たってぼんやりとなっている時はいいですよね」
「そうか? くらげってぶよぶよして気持ち悪いと俺は思うけど」
 戦いを前に、湖面に漂うおおくらげを見下ろしながらそう呟く月華心中・ディア(c05633)に、ディスパーサー・ベネデット(c04616)は嫌悪感を顕にして言う。
「そんな事よりおおくらげを干して乾かして干物にすれば美味しいのかが問題ですね……どうかしましたかラビさん?」
 干したくらげを三杯酢できゅっとすれば美味しいかも知れない、そう考えていた千刀狩の守人・ルーン(c01799)であったが、隣に立つ白夜・ラビ(c03369)が異常なほどに汗をかいているのが気になった。
「な、なんでもねぇよっ! 俺はくらげなんてちっとも怖くはねぇんだぜ!! さぁちゃっちゃと片付けちまおうぜ!!」
 そう言うとずんずんと湖面に向かい歩き出すラビ……いったい彼に何があったのか、そのうち話してくれるでしょうと仲間達はその背を追いかけるのであった。

「こ、これは……! なんて毒々しいおばけクラゲ……!」
 湖面にふよふよと浮かぶおおくらげを前に、空に恋した少女・アルシェル(c11312)が驚愕の声を上げる。
「(決まった……! く〜、コレを言う為にこの依頼を引き受けたのだ!!)」
 念願のセリフを言えた為か、感慨深そうな彼女を横目に、エンドブレイカー達は用意したバケツの中身を湖に……おおくらげ達に向けて撒いていく。
「まずは撒き餌を撒いて……これで逃げないと良いけど」
 空っぽになったバケツをひっくり返したスカーレットの魔音切り貼り人・フィル(c00260)は、真紅の魔女帽を深く被りなおした。
 足元の先では各人によって投げ入れられた小魚や肉などと言った餌におおくらげが群がり、ちょっと気色悪い光景が広がっていた。
「相手は水中を自在とは行きませんが、動き回れる水中生物です……湖の深い所に潜られては手出し出来ませんからね」
 特に私のような金属鎧を着ていては……そう答えるのは全身全霊の障壁・サークル(c03518)
 確かに彼のようなフルプレートな装備では、水中に逃げ込んだくらげを追えばそのまま帰って来れなくなるエンディングがエンドブレイカーでなくても簡単に予想出来た。
 それを防ぐため、彼らが考え出したのが撒き餌作戦であった。
 くらげ達の好きそうな餌を予め撒いておく事で、浅瀬に彼らを引き留め、深い所へは逃がさないと言う訳だ。
 ただ戦闘が始まれば餌を気にしていられなくなるかも知れない為、エンドブレイカー達はもう一つの作戦も用意した。
 それはこの後の戦闘でお見せする事になるだろう。
「そうそう、後はわたし達に任せてなの」
 自信満々に楽しげにそう言い切るのは、不均等な二律背反・ユミナ(c01686)……そう、彼女と、そのチームがもう一つの作戦のキーであった。
 ……出番を前に否応なしにも力が入ると言う物だ。
「さて……そろそろ始めようか」
「併せますよぉ、何時でもどうぞだねぇ」
 準備が全て整ったのを見計らい、雷牙瞬風・エリオス(c07140)が一歩前に出る。
 それに続くは、常に惰眠を貪る・エレジー(c15928)だ。
「アビリティの雷撃じゃ複数巻き込むのは無理だけど……」
 マヒって浮かび上がれば楽になるからね、と敵の一体に向けてサンダーボルトを放つ。
 同時にその攻撃に併せるようにエレジーもレギオスブレイドの刃を飛ばす。
「どうやら普通のくらげには遠距離攻撃は効く様ですねぇ」
 攻撃を食らい浮かび上がってきたおおくらげの姿を確認した仲間達は、一斉に湖面に向け駆け出すのであった。

●引っこ抜いては投げ、引っこ抜いては投げ。
「みんな、やっぱりマスカレイドくらげには遠距離攻撃は通じないわ!」
 踊るようにステップを踏みながら、魔鍵を軽く回しながらシャドウロックをマスカレイドくらげに向けて撃ち放ったフィルは、通じなかった攻撃を見て仲間達に声を上げる。
「俺達は予定通り一体ずつおおくらげを倒そう……それじゃ、始めようか?」
 唇に指を当てたディアが仕込み杖から刃を引き抜き斬り込む姿は、まさに妖艶でまるで戦いを愉しんでいるかの様。
「まずはコイツからだぜっ!!」
 眼前の敵に向かいレギオスブレイドを放つラビ……攻撃を受け流したマスカレイドくらげの時とは違い、おおくらげの表皮を召還した邪剣の群れが食い荒らすように切り裂いていく。
「ひゃっほうっ! コイツらには効くぜ!!」
 楽しそうにブルウィップ……Викторを振るい邪剣を召還するラビ。
 だが闇雲に攻撃している訳では無かった……仲間達と協力し、一体ずつある目標へ向かって攻撃していく。
 そして出来上がったのは、くらげ達の向こうへ続く一本の道……そこをユミナ達が駆け抜ける。
「吹き飛び……なさいっ!」
 幅広の大剣……Durindanaを横薙ぎにワイルドにフルスィングするユミナ。
 その一撃を受けて一体のおおくらげが岸へと吹き飛ばされる。
「小さいからって、甘く見ないことね!」
 勝ち誇ったように胸を張る彼女……これがエンドブレイカー達が立てたもう一つの作戦。
 逃げようとしたり、岸から遠いくらげを次々と岸へと吹き飛ばし、逃げられないようにしてから倒す……なんと言うか豪快でかつ効果的な作戦であった。
「来たね……我が一撃、食らいたまえ」
 振りかぶったハルバードを浜辺に打ち上げられたおおくらげに向け投げ放つベネデット。
 弧を描いて飛ぶ肉厚の刃がおおくらげを切り刻む。
「もう一体飛ばしますよ」
 構えたシールドで水面を豪快に叩くサークル……シールドバッシュでまた一体吹き飛ばされたおおくらげは、仲間達の手によって屠られる。
 だが、ある意味安全な岸と水の中にいる彼等とではおおくらげ達に攻撃される頻度が違いすぎる……そうこう言っている間に取り囲まれ、毒やマヒをもたらす触手に襲われるサークル達。
 しかし、それも予想していたとばかりにエレジーが動く。
「皆さんの回復は任せてだよぉ」
 構えた夢を見る鍵の鍵先から放たれた呪力が水中に立つ仲間達の傷をみるみると塞いでいく。
「さぁ、もうこれで大丈夫だよねぇ」
 その彼の声に、水に腰まで浸かる彼等からあぁばっちりさっ! と、そう返事が聞こえて来た。
 回復もばっちり、作戦も順調、戦闘の継続になんら支障はない。
 だが何か不満そうなのはアルシェルだ……スカイキャリバーで空中を駆けつつ、おおくらげを確実に仕留める彼女だが、何か口をもごもごとさせている。
「(針も飛ばしてこないし覆い被さる攻撃もしてこない……やっぱり偽者か……)」
「うぉぉぉぉっぉぉぉぉぉっぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁっぁぁ、飛んでけぇぇぇぇっ! ……あ、あぶないっ!?」
 彼女が残念そうに空中に飛んだ時、ルーンの焦ったような声が聞こえてきたが……考え事をしていた為か反応が一瞬遅れてしまったアルシェル。
「ンンンーッ!?」
 次の瞬間、一本釣りされたおおくらげがアルシェルに激突、覆い被さられたまま地上に落ちる1人と1体。
「大丈夫かアルシェル!?」
 慌てて駆け寄ったエリオスが逆手に持った朱色の鞘でおおくらげを引き剥がすと、月光斬で止めを刺す。
 だが、アルシェルはと言うと、ほ、本物だ〜……と、訳の分からない事を呟きながら、幸せそうに目を回しているのであった。

●遅い秋の暑気払い。
「マスカレイドと言っても所詮はくらげ……陸に上がった何とやら、かしら」
 夕日が湖面を赤く染め、夜空が顔を覗かせる湖の湖畔でユミナは戦闘を振り返る。
「くくくっ、この私から逃げられると思ったのが運の尽き!」
「うわっ、アルシェルさん何をするんですかー!?」
「おかえしですよーっ!!」
 湖では暑気払いとばかりに真紅の水着に着替えたフィルと、水着に着替えるのも面倒だったのかそのままの姿のベネデットとディア、こんな事もあろうかと服の下に着込んでいたのか青いビキニが透けているアルシェルが楽しそうに水遊びに興じていた。
 エンドブレイカー達の予想以上に上手く行った吹き飛ばし作戦……それはおおくらげだけではなく、マスカレイドくらげにも有効であった。
 配下のおおくらげを全て倒され、逃げようとしたマスカレイドくらげを、ルーンの一本釣りで岸へと投げ飛ばす。
 そこに仲間達が一斉に襲い掛かる……水中では遠くからの攻撃なら受け流す事の出来る表皮を持っていても、水の無い陸に上げられた動けないマスカレイドくらげに待ち受けていたのは、エンドブレイカー達による容赦ない攻撃の雨であった。
 そして仮面は叩き割られ……湖の村に訪れる筈の悲劇のエンディングは、エンドブレイカー達の手によって見事ブレイクされたのである。
「実はサ、今だから言うけどナ……笑うなよ? 昔くらげに大事なところ刺されてからサ、ちょっと苦手だったんだゼ?」
 そう苦笑しながら告白するラビに、サークルが優しく背を叩く。
 戦闘後も相変わらずのフルフェイスで表情は見えないが、きっと優しい目をしているのが雰囲気で解った彼は優しさで思わず涙ぐむ。
 その時、泳いでいたフィルが急に泳ぎを止め、きょろきょろと辺りを見渡すとこちらに向かって声を飛ばす。
「ねぇ、くらげいないかしら!?」
「あぁ、大丈夫だ……水が冷たくなってきた、体を冷やさないようにな」
「ありがとーっ♪」
 木陰で足だけ水に浸していたエリオスの返事に、安心して泳ぎを再開するフィル……その姿を見送ったエレジーは、体を横にし星空を見上げる。
「星が綺麗だねぇ……手が届きそうだよ」
 手を伸ばした先には、何時しか満天の夜空が宝石のように輝いているのであった。



マスター:瀬和璃羽 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/09/29
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  • 楽しい9 
  • ハートフル2 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
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