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ラビシャン王国の襲撃:男の魅力は顔(だけ)じゃない

<オープニング>

 蹂躙。その村の状況を表すなら、その言葉が相応しい。
「いけいけ〜。おとこもえさもよりどりみどり〜」
 地面から巨大な蛇の怪物――サンドサーペントが顔を表出させ、建物を破壊しながら村中を縦横無尽に突き進んでいる。顔は細長く、開いた口は家屋を一飲みにできる程の大きさだ。地面の中を泳ぐ身体の大きさは、推し量ることも難しい。
「えものがにげるぞ。つかまえろ」
 その巨大蛇の口の中。長身な人間の背丈ほどの長さのびっしりと生え揃った牙の間に身を潜り込ませながら、ラビシャンが村人を逃がすまいと巨大蛇を操っている。
「おんなこどもはえさにしろぉ。おとこはらびしゃんがいただきだぁ」
 捕えられた村人は、男を除き巨大蛇の餌として口中に放り込まれる。魅了した男達を品定めするラビシャン達は、その殺戮を欠片ほどにも省みない。家畜の摂食を一々気にしないのは当たり前だから。
「いきのいいおとこがいっぱい〜、たいりょうだ〜」
 ラビシャンは男達を袋に詰め込んでいく。中にはラビシャンの露わな胸に手を伸ばしたり抱きついたりする男もいて少々手間取るものの、それも楽しい狩りの一環。
「おとこはおうこくへもちかえり」
 獲物の品定めと袋詰めを終えたラビシャンは、再び巨大蛇の牙に取り着き、帰還を開始する。
「ただしぃ、いけめんにかぎるぅ」
 ラビシャンの目に適わなかった男達を叩き潰しながら、巨大蛇は村を後にする。
 そうして、一つの村が壊滅したのだった。

「巨大な蛇を操るマスカレイドラビシャンの軍勢が、エルフの村を襲撃するようです」
 ノルンが語るエンディングは、一つの村が滅びるほどの規模のものだった。
「このまま放置することはできません。しかし、騎士団にエンディングを話しても信用してもらうことは叶いません」
 私達エンドブレイカーの泣き所ですね、とノルンは自嘲気味に呟いた。
「巨大蛇の戦力は強大で、危険を伴う戦いになります。ですが、皆さんにご協力頂かなければ村は滅びてしまいます」
 エンディングとして現れた以上、それは確実な未来。それを覆すことができるのは、エンドブレイカーのみ。
「マスカレイドを打ち倒し、村とそこに住む人々を救ってください」
 それに、とノルンは付け加えた。
「今回の襲撃を打破すれば、今度はこちらからラビシャン王国に攻め込み、マスカレイドラビシャンの女王を討ち取ることができるかもしれません」
 ともあれ、まずは目の前の脅威を排除することが肝心だ。
「今回の戦いは、作戦が重要になります」
 巨大蛇を操るラビシャンは、当然ながら障害となるエンドブレイカーの排除を巨大蛇によって行おうとする。わざわざ降りて来て、正々堂々と戦ったりはしない。
「ラビシャンさえ撃破してしまえば、巨大蛇は森に帰って行きます。ですから、いかにラビシャンを倒すかを考えてください」
 巨大蛇の口に突入すれば、直接ラビシャンを叩くことができる。広い口内は戦いの場としても不自由することはない。
 巨大蛇の口内への侵入自体はさして難しくはない。しかし、牙にこびりついた食い残しをついばむ肉食鳥が生息しているため、移動の際に障害となる。追い払えば逃げていくので脅威とはならないが、ラビシャンの元へたどり着くまでに時間が掛かってしまう。
「巨大蛇の侵攻を放置すれば、ラビシャンを撃破するまでの間に、村には少なくない被害が出てしまいます」
 正面から巨大蛇を撃破することもできるが、そのためにはかなりの戦力が必要となる。撃破に成功したとしても、肝心のラビシャンとの戦闘が厳しくなってしまう。それでも、村への被害は最小限に抑えられる。ただ食い止めて時間を稼ぐだけなら、戦力を完全に集中しなくとも可能だろう。
「戦いに持ち込んでしまいさえすれば、ラビシャンは巨大蛇を操作する余裕はなくなるので、村への侵攻は食い止められます」
 巨大蛇への対処や戦力配分は、慎重に行う必要がありそうだ。
「ラビシャンの数は3体。いずれも強敵です」
 語尾を伸ばすラビシャンは、爪の使い手。
 言葉を言い捨てるラビシャンは、星霊スピカとバルカンを駆使する。
 鼻に付く喋り方をするラビシャンは、群竜士の力を有している。
「敵戦力と状況を考慮して、作戦を立ててください」
 困難な戦いだが、力と知恵を振り絞り、連携を取って立ち向かえば必ず勝利できるだろう。

「マスカレイドラビシャンはいい男が目的のようですが、その判断基準は外面だけです」
 あまりそういった方面に興味のないノルンにとは、今一つラビシャンの行動が理解できないが、そもそもラビシャン自身にとってもさしたる理由はないのかもしれない。
 けれど、外見だけで優劣を決められるのは、男としてあまり気分のいいことではない。
「男性の皆さんは、ラビシャンに男の魅力は外見だけではないことを教えてやりましょう。女性の皆さんからは、そんなラビシャンに然るべき報いを与えてやってください。そして、何の咎もない村を、マスカレイドの魔手から守り抜きましょう」


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参加者
幻想書架の迷い人・シャオロン(c00633)
星霊画家・ヤマト(c01568)
大鎌の魔想紋章士・オルカ(c04237)
夜霧の森・ルシオ(c05863)
かたはらの夢・アズハル(c06150)
古龍蛇・ジョージ(c15355)
蒼鷹の事象学師・シュロッセ(c16138)
大鎌のデモニスタ・イーリス(c16575)
NPC:太刀の魔法剣士・ノルン(cn0085)

<リプレイ>

●陽動
 地響きと共に地中を泳ぐ大蛇の出現に、村の平和は脆くも崩れ去った。家屋を一飲みにできる巨大な口とそれに見合った巨体を目にすれば、平静でいられるはずもない。
 地を泳ぐ大蛇ことサンドサーペントはまだ村に到達してはいないものの、村人達の混乱は既に極限に達していた。我先に逃げ出す者、親しい人の姿を探し求める者、事態を飲み込めず茫然と佇む者。反応は様々だが、その命運が風前の灯であることは共通している。
 あと少しで村にその巨体が侵入するというところで大蛇の動きが止まり、獲物を値踏みするように鎌首をもたげる。その口の中では、3体のラビシャンが悠然と村を見下ろしていた。
「えさばにと〜ちゃく〜」
「おとこもえさもにがさない」
「やっちゃえぃ」
 ラビシャンの号令に従い、再び動き出そうとするサンドサーペント。
 その時、村からやや外れた方向から、力強い制止の声が村人の喧騒を貫き轟いた。
「活きのいい美青年はこっちだぞ!」
 星霊画家・ヤマト(c01568)の発したその言葉は、ラビシャン達の注意を惹くにはうってつけだった。ラビシャン達はサンドサーペントの動きを止め、ヤマト達を凝視する。
「素直に思った事言うけどさ、自分で自分の事を美青年とか言うのはどうかと思うよ」
 ラビシャン達の値踏みする視線を仕方なしに受け入れながら、夜霧の森・ルシオ(c05863)はぼやくのだった。作戦のためとはいえ、自身への過度な称賛などやってられないという様子だ。
「お〜。なかなか〜」
 ヤマトとルシオには、ラビシャン達は好感触だった。残りの2人の内、蒼鷹の事象学師・シュロッセ(c16138)は女性なので全く眼中に無かったが。
 そして、最後の一人となった大鎌の魔想紋章士・オルカ(c04237)は、一歩前へと踏み出し顔を覆う兜を脱ぎ去ると、腹の底から大喝した。
「御前達の命運、此処で刈り取らせて貰う。覚悟せよ!!」
 凛とした立ち居振る舞いと鋭い声音は、まるで舞台演劇の一幕のようですらあった。だが、ラビシャン達はオルカの彫りの深い品のある素顔に釘付けで聞いちゃいない。
「じょうだまだねぇ」
「あいつらつかまえる」
 満場一致を以て、ラビシャン達の当面の標的はエンドブレイカー達となった。サンドサーペントの進路は村を逸れ、代わりにエンドブレイカー達へと向かって来る。
「……男は乳、女は顔か。浅薄なものだな」
 世の多くの男性の精神構造を根本から否定する発言を漏らしつつ、シュロッセはあわよくば動きがを鈍らせられればと、魔鍵をサンドサーペントの影に投げた。が、嫌な予想ほど当たるもので、わずかに痛痒を感じたかどうかといった程度だった。サンドサーペンの動きに遅滞は見られない。
 同様に、ヤマトが投げた煙を散らすキノコとルシオが張り巡らせた蔓草も、サンドサーペントを足止めすることはできなかった。
 徐々に後退するエンドブレイカー達だが、それは作戦通りの行動だった。彼等の役割は、まず第一に村への被害を食い止める事。元より、サンドサーペントを撃破するという算段ではないのだから。

●突入
 シュロッセを除く陽動メンバーに目を奪われていたラビシャン達は、物陰に潜むエンドブレイカー達にはさっぱり気付いていなかった。
 陽動班がサンドサーペントを攻撃しながらゆっくりと後退してくれているお陰で、控えていたメンバーは易々とその口内へと突入する。
 広いサンドサーペントの口内を走る最中、その牙にこびりついた死肉をついばむ肉食鳥が襲い掛かってきた。エンドブレイカー達の攻撃の前に退散するも、数が多く手間取ってしまった。
 肉食鳥を掻き分け、ラビシャン達の元へと辿り着いたエンドブレイカー達。陽動班の男メンバーに夢中になっているラビシャンの前に、颯爽と躍り出る。
「美青年ならいるぜ! ここにも一人な!」
 自らをびしっと指し示し、高らかに宣言する古龍蛇・ジョージ(c15355)。
 突然の襲撃者だというのに、その言葉に応じてジョージの顔をまじまじと見つめるあたり、ラビシャン達の危機管理能力には疑問がないでもない。もっとも、奇襲を掛けず名乗るジョージも大したものだが。
「ん〜、ぱすかな〜」
「いらない」
「いいとおもうよぉ」
 結果は1対2だったらしい。意気込んでいた分、その反応に盛大にずっこけるジョージだった。
「さて、兎狩りの始まり始まり〜あるネ」
 そんな間の抜けたやりとりはそこまでにして、幻想書架の迷い人・シャオロン(c00633)が星霊バルカンを召喚し戦いの火蓋を切って落とした。狙うは他の2体よりも1歩後ろに位置取るラビシャン。
「こしゃくなまねを」
 バルカンの炎に焼かれつつも、同じく星霊バルカンを召喚し反撃に転ずる星霊術士ラビシャン。
「ラビシャン退治なのです〜。じぃぃぃ……」
 大鎌のデモニスタ・イーリス(c16575)は、擬音を口に出して星霊術士ラビシャンを見つめた。ラビシャンの豊満な胸を凝視している……わけではもちろんなく、その視線には呪いの力が込められている。
「おじょうちゃんにはようしゃしないよ〜。らびしゃんたちがようがあるのは、いけめんだけだ〜」
 女性には遠慮ないラビシャンの爪がイーリスの小柄な体を引き裂き、白い衣服を朱に染める。仲間を傷付けられることを見過ごせず、怒りの声と共にかたはらの夢・アズハル(c06150)の棍が前衛のラビシャン2体を纏めて打ち払った。
「い……イケメンに限るとか、そんな悲しいこと言うな……!」
 訂正。男を顔だけで判断されることを許せないアズハルだった。
「おのれぇ、はんさむとびしょうねんとだんでぃとようじょめぇ」
「らびしゃんおうこくに〜、てきたいするのか〜」
 人数では分があるが、個々の実力が高いラビシャン達の前にはさしたる優位とはならなかった。むしろラビシャン達の反撃に人数差を覆され、やや押されている。
 ちなみに、ハンサムはシャオロン、美少年はアズハル、ダンディはジョージ、幼女はイーリスを指す。さらに付け加えると、ヤマトを美青年、オルカをナイスミドル、ルシオをイケメン、シュロッセをラビシャン達より小さい、とそれぞれ呼称していた。
「らびしゃんおうこくはさいきょう」
 余裕から、ふんぞり返って勝ち誇り胸を揺らすラビシャン達。
 けれど、エンドブレイカー達に焦りはなかった。何故なら、背後から頼もしい気配が近づいてくるのを感じていたから。

●合流
「まだ、大丈夫? 誰か連れて行かれそうになってないかい?」
 先行した仲間達を気遣う言葉を添えて、ルシオは複数のライフベリーを投げた。それが体に触れた仲間達は傷が癒えていく。イーリスは口を開けてばくりと一齧りしていたり。癒しの効果に違いはないが、美味しそうにもぐもぐする。
 ルシオだけでなく、陽動を行っていたメンバー全員がこの場に到着していた。
 突入班と交戦状態になったことで、ラビシャン達はサンドサーペントを操作する余裕がなくなった。そのため陽動班も口内に侵入し、戦いに加わることができたのだった。
「遅参の儀、相済まぬ。これより参戦しようぞ」
 オルカが撃った呪詛塊は、星霊術士ラビシャンに痛みと毒をもたらした。星霊スピカで毒は消されてしまったものの、前衛ラビシャンを援護する余裕はなくなった。
 形勢が不利になったと見て、態勢を整えようとするラビシャン達。だが、エンドブレイカー達もそれを許しはしない。
「こいつ〜」
 立ちはだかるジョージに、邪魔するなと爪ラビシャンはその凶爪を激しく閃かせる。
「ちぃ、こっちも切り札を切らせてもらうとするか!」
 相対するジョージも、腕を魔獣化させ対抗した。
 互いの爪が敵に傷を刻み、体力を奪う。ジョージと爪ラビシャンは、流血に彩られた壮絶な応酬を繰り広げた。……のだが。形状が変化しているとはいえ、素手で攻撃するジョージはラビシャンの乳房に幾度も触れていた。彼の言う切り札とは、必然的にラビシャンの胸に触る手段ということではないのだが。
「お前達にとって、男は顔だけか? 見た目だけが大事だっていうなら、いくらでもイケメンの絵を描いてやるよ」
 ヤマトは言葉で群竜士ラビシャンの足止めを試みた。
「なにそれぇ。なんだかわからないからどうでもいいやぁ」
 けれど、ラビシャンには届かない。
「そっか。芸術ってものを教えてやりたいが、時間が無いのが残念だ」
 ラビシャンの気弾を受け、止む無くヤマトも言葉から攻撃の遣り取りに転じる。分かっていたことではあるが、彼が芸術に懸ける強い情熱は種族の違いの一言で済ませられるものではなかった。
「俺は弱いし、一人では何もできない。……けど、皆がいるから戦える!」
 巨獣の前に身を晒し、危険を引き受けながらもすぐさま駆け付けてくれた仲間達。傷付きながらも共に戦う戦友の頼もしさは、アズハルの動きを軽快にした。名前に愛情の言葉を与えた棍が、2体のラビシャンの足を悠々と払い除ける。
 敵前衛を仲間達が食い止めている好機を逃すまいと、シャオロンはシュロッセに呼び掛けた。
「シュロッセさん、いくあるヨ」
「……え? ああ、分かった」
 シャオロンの声に慌てて紋章を描くシュロッセ。星霊術士ラビシャンは、星霊バルカンに焼かれながら黒鉄兵団の幻影の突撃に曝された。
(「一応私も、それなりに悪くないモノを以ていると思ってはいるが……」)
 シュロッセの反応が遅れたのは、ラビシャンと自身の胸を見比べてそんなことを考えていたからだった。仲間の誰にもばれてないようで、ほっと胸を撫で下ろす。
「うさぎさん。残念ですけど、さよならです」
 イーリスの呪いの視線が、星霊術士ラビシャンを射抜く。
 それがトドメとなり、星霊術士ラビシャンはついに力尽き石と化した。

●決着
 戦いが大詰めを迎えている事は、サンドサーペントを村の反対方向へ誘導していた太刀の魔法剣士・ノルン(cn0085)も感じていた。
 サンドサーペントの誘導はノルン一人ではなく、大勢のエンドブレイカーの協力によって行われていた。
 また、混乱に陥っていた村にも、多数のエンドブレイカー達が支援に向かっている。
 巨獣の襲来を受けながらも、エンドブレイカー達の活躍によって、村への被害は幾人かの軽傷者と物資の破損だけに留まったのだった。
 そして、ラビシャンとの戦いにも決着が訪れようとしていた。
「之が貴様等の営みならば是非は問わぬ。が、其れも度が過ぎた」
 オルカの大鎌は、野性生物としての営みから逸脱した所業を断罪する刃となり、群竜士ラビシャンの毛皮ごと肉を切り裂く。
「らびしゃんおうこくはぁ、むてきなんだぁ」
 群竜士ラビシャンも竜を込めた打撃で反撃するが、それを受けたアズハルは怯まない。仲間の存在が、彼を支えている。
「清らかな風よ、生命を運べ!」
 癒しをもたらす風が、アズハルと仲間を回復する。
 ラビシャン達に残された戦力では、もはやエンドブレイカー達に打ち勝つことはできないことは明白だった。それでも必死の抵抗を続けるラビシャンに、ヤマトはせめてもの手向けの言葉を送る。
「最後に一つだけ、言わせてくれ。チラリズムは大事だぞ」
「おろかものめぇ、ろしゅつはおおいほうがいいにきまってるだろぉ」
 芸術という概念はない割に、変なところで知識が豊富なラビシャンだった。
「訳の分からん問答はそこまでにしておけ」
 これ以上は付き合いきれないと、シュロッセは黒鉄兵団の幻影に群竜士ラビシャンを撃滅させたのだった。
「うぅ……。じょうおうさまぁ……」
 くずおれたラビシャンに、シャオロンはこの結果は当然だとばかりに扇をびしっと付き付けながら告げた。
「ふっ……、所詮はそのうち型が崩れる胸しか取り柄のない兎ネ。そんなのより、つぶらな瞳にスベスベな乳白色の肌、可愛い八重歯付きな口! 星霊ジェナスが一番綺麗で可愛いに決まってるあるヨ」
 その意見への同調は一切無かったが、シャオロンの信念は揺るがなかった。
 ラビシャン側で唯一健在な爪ラビシャンも、この戦力差の前に進退窮まっていた。
「人の価値は顔だけじゃないよ」
 オーラの刃が生じた鞭を振るうルシオ。いいことを言っているのだが、仲間達の大半がお前に言われてもなぁ……という様子だった。
「私と語尾が被ってるんですよね〜。なので、勝負ですよ〜」
「そんなのしるか〜」
 爪ラビシャンの言い分はもっともだが、独自の思考を有するイーリスはやや不機嫌に、邪眼の力を全開で睨みつける。
 ボロボロになった爪ラビシャンを、ジョージは容赦ない一撃で打ち倒した。その際、またも胸に触れているが、きっと心臓を狙ったのだろう。
「服を着て出直して来るんだな♪」
 ジョージの決めの台詞に対して、最後の気力を振り絞ったラビシャンの答えは簡潔だった。
「……それだけはことわる〜。……がくっ」
 わざわざ力尽きる擬音まで言い残し、ラビシャン王国の襲撃者は敗北したのだった。

「なんとか、無事に終わったみたいだな」
「そうだね。誰一人欠けることのない、僕達の勝利だよ」
 戦いを終え、巨獣から降り立ったエンドブレイカー達。仲間を省みるアズハルの安堵に、ルシオが柔らかい口調で同意する。
「しかし、油断はならぬ。彼奴等は所詮一兵卒に過ぎぬ。元を断たぬ限り、幾度でも此度の如き戦は繰り返されるであろう」
 どこかへと去っていく巨獣を見送るオルカの指摘は、残念ながら正しい。今回は良かったが、次も上手くいくとは限らない。
「ラビシャン王国の女王とかいったネ。大元を断つしかないあるカ……。激しい戦いになりそうヨ」
 避けられないであろう戦いを予感し、エンドブレイカー達はどこにあるとも知れない敵本拠地を彼方に見据えるのだった。
「あー……。全員で目を逸らしているところを悪いが、これはどうする?」
 誰もが視線を意図的にずらしていたが、シュロッセは避けていても仕方ないと指摘した。
「やっぱり大きいですね〜」
 石像と化したラビシャンの胸をぺしぺしと叩くイーリス。
 放っておくわけにもいかないので持ち出したのだが、石化したラビシャンをどうしたものかと悩む一行だった。
「ヤマト、お前絵描きだろ。裸婦画のモチーフに持って帰ったらどうだ?」
「……いや、ちょっと遠慮したいなあ」
 破壊してしまえば話は早いのだが、それもちょっと後味が悪い。かと言ってこれを引き取りたいという者はいなかった。しかし、どこぞに放り出すなどという訳にもいかない。
 ああでもないこうでもないと協議していると……。
「お〜?」
 イーリスの手に押され、ぐらりと石像が傾いた。そのまま地面に激突し、衝撃で粉々に砕け散る。
「……」
 気まずい沈黙。
「ラビシャン王国、その邪悪な野望はこんなふうに打ち砕いてやるネ!」
 そんなこんなで見事にラビシャン王国の侵攻から一つの村を守り抜き、来る決戦へ意気を新たにするエンドブレイカー達だった。



マスター:流水清風 紹介ページ
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いまいち
参加者:8人
作成日:2010/11/22
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