ステータス画面

長首のキトラン

<オープニング>

 のっそり、のっそりとそれは移動していく。
 時折、木の上を駆け回る獲物を見つけては、首を伸ばしてその顎で食いちぎっては腹を満たす。
 しかし、その表情はどこか物足りなさそうで……その長い首を伸ばしては、周囲を何度も見渡し続けている。
 その唇の端から糸を引いて零れおちるのは多量の唾液。
 やがて、何かを発見したらしいその虎は、長い首の上に鎮座している顔に笑みを浮かべるとゆっくりとその体を動かしていく。
 その先には、森を切り開こうと作業を進めるきこり達の姿があった。

「どなたかエルフヘイム騎士団の依頼を受ける方はいらっしゃいますか?」
 エルフヘイム騎士団の兵舎の中、剣の城塞騎士・フローラ(cn0008)の声が響き渡る。
 その言葉に反応したエンドブレイカー達が彼女の元へ集まって行く。フローラが呼びだすという事は、またマスカレイド絡みの事件に違いないだろうから、と。
「エルフヘイム騎士団がレジスタンスの拠点へ向けて森を切り開いて道を作っている、という話は皆さんも聞いているかしら? 彼らは今もまだその道を開くための作業を続けているのだけれど……その作業をしている人達を動物のマスカレイドが襲撃しているらしいの」
 レジスタンスの拠点に到達する事はあまり好ましい事とはいえない。
 とはいえ、獣のマスカレイドを放置して多くのきこりや騎士の命を失わせるのはエンドブレイカーの矜持に反する。
「マスカレイドを倒す事だけでも、協力してくれないかしら?」
 少しだけ困った表情でフローラはお願いするのであった。
 騎士たちから寄せられた情報によれば、きこり達の命を脅かすのは、3匹のキトランという動物だという。
「キトランっていうのは、首がとっても長い獅子の一種なの。普段は木の上の小動物や木の実、鳥を捕食しているらしいんだけれど……」
 マスカレイドとなった今は、人間を襲っては食べようとしてくるのだという。
 その口に生えた牙による噛みつきは非常に強力。しかも、首がとーっても長いので離れた相手にだって噛みつける。そのため、かなりの注意が必要だ。
「それから、その首を使って近くの敵を薙ぎ払う攻撃も仕掛けてくるわ。足を払われたりして動きにくくなってしまう事もあるみたいだから、気をつけてね」
 首での攻撃なんてイメージだけではとても弱そうなのだが……マスカレイドと化したトキランの首での一撃は、かなりの威力を持っているのだという。
「3匹のうち、1匹は中心となるボスマスカレイドで、残りの2匹は配下マスカレイドよ。見た目的には変わりはないのだけれど、その能力には大きな差があるの」
 配下の二匹とは違い、ボスマスカレイドはなんらかの状態異常を与えると、それを癒しつつ攻撃を与える行動をとるのだという。
「緩やかな弧を描くように首をぐるーんって動かして、隙を見ては近くの敵に噛みつくらしいのよ……一見かわいらしく見えるかもしれないけれど、反撃のための予備動作でもあるらしくて、おまけにこの時の噛みつきは普段よりも強力なものになるそうよ」
 かわいらしいというよりも、シュールな気がしなくもない。
「今はまだ死傷者は出ていないけれど……どうやら、相手の目的は人を食べる事みたいなの。一歩間違えればすぐにでも死者が出てもおかしくないわ」
 事は一刻を争う。騎士団とレジスタンスの争いを抜きにしても、急いで解決しなければならないであろう。
 依頼を受けることを決めたエンドブレイカー達へ向けて、彼女は小さく呟くのであった。
「どうか、御武運を」


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参加者
蒼月を守護せし槍騎兵・ガウェイン(c00230)
斧剣使い・ゼク(c00842)
シュトルムトルッペン・クレーエ(c03948)
アマキツネの・カケル(c05038)
夜と真夜中の・ユエル(c05847)
紫電清霜・キール(c06094)
白影・ジェス(c11669)
大鎌の自由農夫・クエヒコ(c14594)
九つ頭の毒蛇・クライト(c17033)
戦うメイドさん・ヴィクトリア(c17185)

<リプレイ>


「カシアス老逮捕っすか……後方の事情は複雑になってきたっすね」
 エルフヘイム騎士団の進めていく森の開拓を見つめがら、シュトルムトルッペン・クレーエ(c03948)は呟いた。
 森を切り開きレジスタンスの拠点への道を繋げるこの作業、しかし未だレジスタンスにも騎士団にも不透明な部分は多い。
「背景がしっかりしないうちに拠点に騎士団が攻め込むのは避けたいところなんだがな」
 九つ頭の毒蛇・クライト(c17033)も懸念の言葉を零す。
 とはいえ、エンドブレイカー達は協力しないわけにはいかなかった。
「まぁ、マスカレイドを放っておくわけにはいくまい」
「そうやなぁ、人に害なす生き物なら処理せなあかんよなぁ」
 紫電清霜・キール(c06094)の言葉に、白影・ジェス(c11669)をはじめ一同は頷く。
 エルフヘイム騎士団の進める開拓を邪魔するのはマスカレイド。被害を受けるのは罪なき木こりや騎士。
 ならば、それを放置するわけにはいかない。
「しかし、ここまで多くのマスカレイドがいるとはな……マスカレイドにとって、レジスタンスの拠点に辿り着かれるのは拙い事なのかもしれんな」
「どうやらレジスタンスもマスカレイドの陰謀に絡まれているようだな」
 斧剣使い・ゼク(c00842)の憶測に、忍び装束に身を包んだアマキツネの・カケル(c05038)は確証があるわけではないが頷き返す。
「しかし、トラなのに獅子とは……世の中、よくわからない動物もいるものなのですね」
 世界情勢とは無関係にマスカレイドの事を考えるのは戦うメイドさん・ヴィクトリア(c17185)。
 その言葉に、蒼月を守護せし槍騎兵・ガウェイン(c00230)は力強く首を縦に振る。
「そうだナ! どんな奴か今からドキドキなんだゼ!」
「えぇ、興味深いですね……あっ」
 その時だ、木々の隙間から覗く黄色い影に気付いたのは。鷹の如く細めた青き瞳で森を見つめていた彼女はすぐにその正体に気付く。
「皆様、お下がりくださいませ」
「ヤツが現れた! 後は俺達の役目だ!」
 マスカレイドの姿を発見したヴィクトリアの言葉に続けて、騎士団員であるゼクが声を張り上げる。
 その声に気付いたきこりらは蜘蛛の子を散らすように逃げだしていく。
「さーてと、それじゃ面倒だけどぶっ倒させて……ふはっ」
 ちょっぴり高圧気味に敵を睨みつけようとした夜と真夜中の・ユエル(c05847)だが、その言葉は堪え切れない笑いに中断されてしまった。
 木々を抜けて現れたのは、通常よりも若干大きな体躯の獅子。
 だが、その首はまるで柱のように太く長く、その上にちょこんと乗っかっているのは通常サイズの獅子の顔。
 これでもかってくらいにアンバランスなその姿に、大鎌の自由農夫・クエヒコ(c14594)も大きく脱力。
「どんな姿でもマスカレイドですから気を抜いちゃいけないって分かってはいますが……」
 こちらの姿を視認してその長ーい首を傾げるキトラン。
「これはまた、面白い姿をしてるな」
「わー、本当に首長いっすねー。おおう、毛も思ったよりふわふわっす!」
 中には完全に油断したままキトランに近づく者もいた。クレーエはその胴体をなで、おまけに首にハグを一つ。
「ズルい! 僕も一緒に……」
「クレーエ、気をつけろ!」
 思わず一緒に突撃しようとするユエルを手で押しとめて、カケルが声をかける。
「あわわっ!?」
 間一髪。森の中からぬぅっと顔を出した別のキトランの噛みつきを、クレーエはぎりぎりで避けて仲間の元へ一目散で逃げる。
 森の中から姿を現したのは、最初に姿を現したものとほとんど変わらぬ姿の二体のキトラン。
「なるほど、事前情報通り見分けはつかないな……まぁ、相手からすればこっちも似たようなものだろう」
「だな。役者も揃った事だしきっちり引導を渡してやろうか!」
 全員を奮い立たせるようなクライトの言葉。それを受けて、3匹のキトランも対抗するかのように鳴き声をあげる。
「「「みゃおー」」」
 予想外の鳴き声にユエルは再び吹き出すのであった。


「アマキツネのカケル只今推参。その仮面を砕かせてもらう……覚悟!」
 口上を述べて真っ先に飛び出したのはカケル。
 キトランの傍へと一気に駆け抜けた彼は空を舞って2匹に次々に傷を負わせていく。
 それに合わせて放たれるのは赤き焔。
 カケルの軌跡をなぞるかのような動きで放たれたクライトのドラゴンブレスは同じく2匹に傷を負わせる。
「ちっ、さすがにそう上手くはいかないか」
 炎を与えられず、クライトは舌打ちを一つ。
 バッドステータスを与えて、見分けのつかぬ配下マスカレイドを炙りだす事こそが彼らの目的。エンドブレイカー達は次々に状態異常を与えるための攻撃を叩き込んでいく。
 キールの雷、ユエルの黒死弾、そのいずれも相手に傷を与えるにとどめるが、ついにクエヒコのトラップヴァインが一匹の足に絡みつく。
「よし、やりましたか」
 だが、キトラン達もただやられているわけではない。2匹はその大きく太い首をまるで大地を凪ぐように振り回す。
「ぐぅっ……まだいける! 皆、さっきのは外れだゼ!」
 それを受け止めるのは前に出て鎧を召喚していたガウェイン。
 呼び出した籠手を使って一撃を受け止める事に成功した彼は、続く足払いの一撃でバランスをくずしながらも、敵が月光首を使っていない事を示唆する。
(「マスカレイドとならず、おとなしく暮していれば平和でありましたのに」)
 こちらへの敵意をむき出しにして来るキトラン達に悲しみに満ちた目を向けながら、ヴィクトリアは脚を絡め取られたのとは別の個体に毒針を放つ。
「おーっ、よく目に刺せたっすね!」
 その毒針は遥か高みに存在するキトランの瞳を射抜き毒で侵す。
 その様子に思わずクレーエは拍手し……突然そのキトランが大きく首をぐるーんと回し始めた事に気付いて声をあげる。
「みゃおー!」
 長い首をぐにょりぐにょりと曲げながら顔を回すその姿に思わずユエルは目を輝かせる。
「うわぁ……シュール。やばい超シュール」
 だが、次の瞬間その首は素早く動いてすぐ傍らのカケルに食らいつく。
「ぐっ……灯台もと暗しとはいかぬか。獅子であれば相手に不足なし!」
 強烈な牙の一撃は忍び装束を赤く染める。だが、その戦意は未だ失われてはいない。
「アレが親玉だな。それじゃ、任せたよ」
「了解っす!」
「最初から全力でいかせてもらうよ!」
 キールの言葉に応じ、ゼクとクレーエが首を回した個体へ、ジェスは未だ攻撃を受けていない一匹へと接近して一撃を加えていく。
 ボスがどれかが分かれば、後は各個撃破に入るのみ。
 エンドブレイカー達は打ち合わせの通り狙いを切り替えていく。


「この盾は美味かったか?」
 ゼクはカギ爪のついた特製の盾で敵の牙を受け止めニヤリと笑む。
 ボスマスカレイドに相対するのは4人のエンドブレイカー。
 月光首で毒が治癒された後、彼らはこれ以上その強烈な攻撃を使わせぬよう、状態異常を与えないように気をつけて戦線を保っていた。
 月光首を封じてなお相手から受けるダメージは決して少なくはないが、それを耐える手段は豊富。
 ヴィクトリアが呼び出した風はゼクとクレーエの傷と麻痺を癒し、ガウェインはマントの力で強化された3度目のバトルアーマーで己の傷を消耗なく完全に癒す。
「この程度で倒せれるわけにはいかないゼ」
「とはいえ、さすがにボスだけあって強いっすね」
 クレーエの纏う獅子のオーラが首の長い獅子とぶつかり合う。
 相手を麻痺させぬよう、喉元まで出かかった咆哮を抑え込んで放たれたその一撃。その一撃を受けてなお、マスカレイドは立ち続ける。
 一進一退の硬直した戦況は続く。
 メイドであるヴィクトリアにとって、耐え忍ぶ事は得意とする所である。他の面々も耐久力には優れている。
 しかし、それでも限界がある。その均衡は永遠にし続けられるものではない。
 彼女は未だ決着のつかぬ、配下の相手をするエンドブレイカー達の方へと軽く目をやるのであった。

「サクサクッと終わらせたかったんやけどなぁ」
 真っ黒に染まった首を叩きつけられたジェスは、必死に呼吸を整えながら敵を見据える。
 獣と化した腕で相手の生命力を奪いつつ戦い続けてきた彼であったが、既に限界は近くまで迫っていた。
 彼は一人で一匹のキトランを抑え込んでいたのだ。消耗は当然。
「大丈夫ですか!」
 クエヒコの投げたライフベリーがその傷を癒す。
 だが、5人がかりで攻撃を加えられている配下のキトランが倒れてくれなければ、戦局は動かない。
「こっちは別にいいわ! さっさとそっちにケリをつけてくれ!」
 再びジェスに向けて振るわれる首。それにカウンターするかのように彼は腕を突き出す。
 脇目を振る余裕など、もはやなかった。

「ちっ、早く倒れやがれ!」
 ジェスと共にその首の一撃に巻き込まれたクライトだが、そちらへ目を向ける事なく自分の目の前の敵へと向けてジェスと同じように腕を獣化させ、黒く染まった首へと突き出していく。
 キールが漆黒の太刀を振るえば空間ごとその首を斬撃が襲う。近くの木に取り付けたロープを足がかりに空を駆けるカケルのサマーソルトが首を捕え、その体が揺らぐ。
 だが、まだ倒れない。
 予想よりも長引いてしまった戦闘。普段は自信に満ちた表情を浮かべているクライトの顔に焦燥の色が一瞬浮かぶ。
 ここまで戦いが長引いてしまったのには、理由があった。
 マスカレイドの見分けがついた直後、クエヒコは見分けをつけるべく墨の入った袋を投げつけて明確にそれがわかるようにした。
 だが、それぞれのキトランを仲間がマークしている以上、見間違いなど起きようがない。
 カケルは相手と空中戦を行うべくロープを木に取り付けた。
 だが、ロープを張った所で別に戦いが有利になるわけでもない。
 二人は無駄な手で時間を消耗してしまったのだ。
 さらに、後方より太刀を振るうキールも本来の力を発揮できずにいた。
 彼の身に付けた特注のアクセサリは遠距離攻撃のための力を大きく高めるためのものではなく……彼は彼の成しうる最高の一撃を放てない。
 それら自体はわずかな隙。個々だけであればなんら問題はなかっただろう。
 だが、綻びが繋がる事で相手は生き延びて攻撃の機会をより多く得る。
 その結果クエヒコやカケルは回復のために行動を消費し、相手はさらに攻撃の機会を得る。
 最初の配下マスカレイドの撃破が遅れる事は他の2体への攻撃がさらに遅れることへと繋がり、さらに回復に手が割かれる。
 悪循環が生まれていた。
「命令だ! とっとといってこい、な?」
 ユエルが狗に向かって言うかのように命令するのは黒鉄兵団。
 呼び出された騎士らは相手に突撃し、ついにその仮面を打ち砕く。
「みゃぁー」
 悲しげに声をあげながらついにキトランの一匹は倒れる。
 首が近くの木の枝に引っかかって変な方向に折れ曲がったのを見て吹き出しそうになるのをこらえ、ユエルは声を張り上げた。
「さ、一気に行くよ!」
「おう、ここからが本番だ!」
 果たして、先に力尽きるのはマスカレイドか、エンドブレイカーか……。


 二匹目の配下マスカレイドを倒す際にジェスが倒れそうになったものの、クエヒコの治癒のおかげでなんとか持ち直し……。
 彼らはついに十人そろってボスマスカレイドを相手取る。
「待たせて悪いな。親玉を落とすぞ」
 言葉と共に放たれた斬空閃が最後まで残ったキトランに襲いかかる。
 キールの一撃に続けてクエヒコの投げる20粒を超えるライフベリーがヴィクトリアとゼクを癒す。
「俺はまだ大丈夫! さぁ、終わりにするぞ」
「さぁ、これで決着っす!」
 壁として戦い続けていたガウェインは言葉の最後を独特のアクセントで言う余裕もないようで、クレーエと合わせて二人で獅子のオーラを纏ってうちかかる。
「よっし、あと少しだ、行くぜ!」
「うぉぉぉぉ!」
 クライトが吼え、渾身の一撃を首へと打ち込む。ジェスの渾身のタックルがさらに体を傷つける。
 その強烈な連携の前に、キトランは踏鞴を踏む。
 しかし、その獰猛さは衰えない。キトランは食欲を満たすべく首を伸ばしてその顎を開く。
「えっ」
 その牙がとらえたのは後方に位置するクエヒコ。
 回復を多用せざるを得ない状況を作ってしまった上、自らの消耗に注目していなかった彼はその強烈な一撃に耐えきる事ができずに倒れこむ。
「よくもっ!」
 伸ばした首へと側面から撃ちこまれたゼク渾身の振り落としは肉を裂き、首の骨へと到達する。
 痛みのあまり悶えるキトランにさらに黒鉄兵団が突きかかる。
「さぁ、お休みなさいませ」
 ヴィクトリアによって闘気を込めて突きだされたモップはその傷口をさらに抉り、キトランの首はありえぬ方向へと折れ曲がり仮面がひび割れる。
 そこへカケルの持った小刀が閃く。
 次の瞬間、ゼクのつけた傷口から先、キトランの首がボトリと落ちた。カケルの忍刀が断ち切ったのだ。
「任務完了」
 血煙の中で仄かに漂う待宵草の香りを吸いこみながら、エンドブレイカー達は己の勝利を確信するのであった。

「まだ動けるようになるには時間はかかりますが一命は取り留めました」
「そうか、ならよかった」
 騎士団の一員からクエヒコの容体を聞いて、クライトは破顔した。彼らに任せておけば、きっと傷も癒えるに違いない。
「中々の相手だったよ。また戦い以外で会いたいものさ」
 ゼクは右手でキトランの牙を握りこみながら、そう一人ごちる。
「戦わなきゃ可愛いなって思えたんだろうけどナー」
「結構惹かれるものはあったんだけどなぁ」
 スコップでキトランの死体を埋める穴を掘りながら、ガウェインとユエルは小さく漏らす。
「これでようやく埋めれるっすね……ってこれでも足りないーっ!?」
 大穴を掘ったにも関わらず、キトランの長い首は全然土の中に収まる気配はない。
 ガビーン、なんて効果音を出しそうな程ショックを受けるクレーエの様子にくすりと微笑みながら、ヴィクトリアは言葉を紡ぐ。
「さぁ、あと少し頑張りましょうか」
 さすが本職メイド。忍耐力はやっぱり高い。
 地道な作業を得意とする彼女を中心に、彼らは穴をさらに広げていくのであった。

 再び作業に戻る木こり達を見つめるのはキール。
 騎士団とレジスタンス、その二つの行く末はどうなるのだろうか……。
「まぁ、これで終わりかな」
 自分の手伝えることは無いとばかりに彼は首を軽く振って森に背を向ける。
 ここから先は、騎士とレジスタンスの領分だから、と。
(「何故、獣達は棘に捕われたのだろう……森を切り開かれる怒り? それともクライブの手駒なのか?」)
 去っていくキールの横で森を見つめながら考えるのはカケル。
 彼の疑問に答える者は誰一人としていない。
 森を駆け抜けていく風はただ、木々を揺らす乾いた音を返すだけであった。



マスター:商館獣 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/12/13
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冒険結果:成功!
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