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リコッタの秘密のお使い

<オープニング>

「お使いお使い、森にお使い♪ お使いお使い頑張ろーっ♪」
 ある晴れた日の昼下がり、レジスタンスの拠点には明るい歌声が響きわたっていた。
 その歌の主であるアイスレイピアの魔法剣士・リコッタは、レジスタンスの拠点にやって来たエンドブレイカー達を見かけると、
「こんにちはっ♪」
 と、すれ違いながら元気に挨拶して、そのまま森の中へ入ろうとする。
「森にお使いって……ひとりでかい?」
 エンドブレイカーの男がリコッタを呼び止め問いかけると、リコッタは立ち止まり、そだよっ。と軽く答えた。
「森は危ないから、一緒に行こうか?」
 男は彼女の身を案じてそう提案すると、リコッタは呼びかけた男をじっと見つめ、人差し指を唇に当てながら小首をかしげ、んー。と少し考える素振りを見せてから、
「心配してくれてありがとうっ」
 そう言いながら、ニコッと微笑んだ。しかし、そのすぐ後で
「でも……ごめんねっ」
 リコッタは両手を前で合わせると、微笑んだまま男を上目遣いで見つめ、
「クライブさんに、秘密のお使いだからひとりで行っておいで。って言われてるから、ひとりで行くよ♪」
 そう答えると、エンドブレイカー達に手を振りながら、森の中へと消えていった。

 リコッタが居なくなって周囲に静寂が戻る中で、残されたエンドブレイカー達は顔を見合わせる。
「森に秘密のお使いか……、何か怪しい気配がするな」
 リコッタが『秘密』とばらしてしまっている以上、それは完全に怪しいとも言えるし、逆に全く怪しくはないとも考えられた。
「……ついていってみるか?」
 このままリコッタの帰りを待つだけでは、謎は永遠に解決されないままかもしれない。エンドブレイカー達はお互いに頷きあうと、リコッタを追いかけようと森の中へと足を踏み入れた。
 
 風が枯れ葉を飛ばし、落ち葉を舞い上がらせる中、砂天の隼・クライアード(c02864)は、鼻歌を歌いながら楽しそうに歩くリコッタに気付かれないようにしながら、彼女に見えない印をつけ、その姿を見失わないように追いかけ始める。そのすぐ後ろでは漆黒の・クシィ(c07777)が、クシィの後ろから追跡する仲間たちに目印を残していく。
 くすみ月花・レクシナ(c08474)、音遊詩人・ラズリィ(c00727)、ポジティブハリケーン・ナナセ(c07962)の3人は、マントを羽織って目立たないように気をつけながら、何かあったときに対処できるように、先行する2人のすぐ後ろに続いていた。
 しばらく追跡を続けていると、リコッタは不意に立ち止まって後ろを振り向くと首を傾げ、アイスレイピアに手を伸ばしながら、エンドブレイカー達の方へ恐る恐る近寄ってくる。気づかれた? と思ったラズリィは隠れ続けていても無駄だろうと思い、影から顔を出すと、
「……キミたちかぁ。後ろでがさがさと音がしたから、おっかない獣がボクを狙ってるのかと思ったよ! で、どうしてこんなところに?」
 リコッタはそこに隠れていたのが仲間の顔であることを確認するとほっとして、険しい表情を緩める。ラズリィは真っ赤な帽子をかぶり直すと、にっこり微笑んで、
「驚かせてごめん。落とし物を届けに追いかけてきたんだよ」
 と、彼女を追いかけてきた理由を説明する。
「ほんと? ありがとう♪」
 リコッタは嬉しそうににっこり微笑むが、その後すぐに困った顔に変わり、
「あ、ボク、クライブさんに秘密のおつかいって言われたのにどうしよう……。ねえ、このことはクライブさんにはナイショにしてね。お願い♪」
 リコッタが頭をさげる姿を見て、ナナセは、
「じゃあ……自分たちも一緒に行って良いっすか?」
 と、リコッタに負けない笑顔で微笑み、交換条件を提案する。
「うん。みんな一緒だと心強いしね♪」
 リコッタはうんうんと頷いて微笑むと、さらに後ろを歩いていたエンドブレイカー達とも合流して先を急いだ。
 エンドブレイカー達は森の奥まで来ると、リコッタは森の老木に話しかけ始める。
「森の老人さん達聞こえてる? 森の老人さん達にリコッタが会いに来たよ。クライブさんからお願いがあるんだって」
 そうリコッタが言うと、老木がざわざわと動き出しはじめる。見習い衛犬・エキュー(c10551)は彼らがレジスタンスの協力者なのだろうか。と成り行きを見守っていた。
「この森を外から切り開こうとしている人達がいて困ってるんだ。だから、クライブさんから森の老人さんにお願いだよ。追い払って森を元に戻してちょうだい!」
 リコッタがそう言うと、周囲がざわついていて木々が次々と起ち上がり、まるで森全体が起ち上がったように見えた。不意に、静寂の星月夜・リシュリィ(c03105)が悲鳴をあげる。牙持つ灰色鴉・ログレス(c00473)は驚きながら彼女の目線の先を見つめると、木でできた人のような姿をした森の老人達の顔に、忌まわしき仮面が浮かび上がっていたのだ。
「リシュリィさん、後ろへ!」
 大剣の城塞騎士・ジン(c00662)は彼女をかばうように前に立ち、武器を構える。
「駄目だよ! この人達は味方だよ!」
 森の老人達を必死に説得するリコッタだったが、マスカレイド達は聞く耳を持たず、木が軋むような音を立てると、彼女を無視してエンドブレイカー達に襲いかかろうとした。空を夢見るケモノ・ヒナギク(c00373)は彼らを迎え討とうと武器を構える。リコッタはエンドブレイカー達の方を振り返ると、
「みんな、逃げて!」
 と、精一杯の声で叫び、エンドブレイカー達をかばうように立ちはだかる。森のざわめきは大きくなるばかりだった。


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参加者
空を夢見るケモノ・ヒナギク(c00373)
牙持つ灰色鴉・ログレス(c00473)
大剣の城塞騎士・ジン(c00662)
音遊詩人・ラズリィ(c00727)
砂天の隼・クライアード(c02864)
静寂の星月夜・リシュリィ(c03105)
漆黒の・クシィ(c07777)
ポジティブハリケーン・ナナセ(c07962)
くすみ月花・レクシナ(c08474)
見習い衛犬・エキュー(c10551)

<リプレイ>

●森の奥で
「嬢ちゃん、ここは俺達に任せて先に逃げるんだ」
 空を夢見るケモノ・ヒナギク(c00373)の声に、エンドブレイカーとマスカレイドの間に立つリコッタは彼の方を振り返りながら、でも……と、困ったような表情を見せ躊躇する。
「異常事態なんだ、仲間を置いていく訳にはいかない!」
 砂天の隼・クライアード(c02864)はそんな彼女の目をじっと見つめると、リコッタはわかったよ。と頷き、クライアードに従って後ろに走り始め、そんな2人を守るように、仲間達はマスカレイドの前に立ちはだかった。
「彼らを襲ってくる以上抵抗せねばならぬ、お主の友を傷つける事になるが許せよ」
 リコッタと目があった牙持つ灰色鴉・ログレス(c00473)は許しを乞うと、
「大丈夫。キミたちは大切な仲間だから……ボクだってみんなを守るために戦うよ!」
 彼女はニコッと微笑んで、彼らの一番後ろで武器を構えた。
「今はここから逃げるのが最優先です……集中しましょう」
 静寂の星月夜・リシュリィ(c03105)は状況の変化に戸惑い、目の前にいるエルフの少女を信じ切れず疑心暗鬼に陥っていた。しかし、今なすべきことだけを考えよう。と悩みを振り切り、竪琴を握って優しい音色を奏でながら、呼び出した星霊ヒュプノスに命じてマスカレイドたちを眠りの世界へと誘い、その動きを封じ込めた。
「マスカレイドの真っ只中に誰かを置いて逃げるなんてもう嫌だ! 絶対……全員で戻るよ」
 見習い衛犬・エキュー(c10551)は誓いを立てると、マスカレイドの腕に向けて鋭い爪を振るい、木の幹のような体に次々と深い傷を負わせていく。
「生きて帰って、皆で美味い飯でも食いに行きましょーね♪」
 ポジティブハリケーン・ナナセ(c07962)は明るくそう言いながら剣を十字に振るい、エキューがつけた傷をなぞってマスカレイドの腕を切り落とし、がら空きになった胴を横薙ぎにして討ち倒した。
「この状況、何が何だか今は理解できない。だからこそ、この情報は必ず持ち帰ってみせる」
 くすみ月花・レクシナ(c08474)は目の前に迫るマスカレイド達を睨みつけ、拳に力を込めて、
「そのためには……慈悲無く、刻み散らすのみ」
 黒い剣を無数に呼び出して次々と投げ放ち、マスカレイドに突き刺していく。
 続けて、音遊詩人・ラズリィ(c00727)の奏でる音色と、輝くような笑顔から紡がれる優しい歌声が、マスカレイドの木のウロコの中に潜り込み、マスカレイドが動き出し、襲いかかろうとする力と意志を刈り取っていった。
「あの者はもう落とせそうですぞ!」
 大剣の城塞騎士・ジン(c00662)は傷ついたマスカレイドを指さしながら、自らの持つ巨大な剣を力任せに振るい、マスカレイドを真っ二つにしながら吹き飛ばして、雄叫びを上げる。その姿にマスカレイド達は一瞬動きを止めた。
 その隙をついて、エンドブレイカー達は彼らに背を向けて逃走し始める。リコッタの案内でレジスタンスの拠点に向け、光る足跡のついた道を真っ直ぐに走り続けた。
 諦めずに彼らに追いすがろうとするマスカレイドの樹の幹のような胴を、漆黒の・クシィ(c07777)が振り返りざまに投げ放った斧が両断して、マスカレイドの上半身は切り倒された木のように崩れ落ち、その死体が他のマスカレイド達の行く手を阻む。エンドブレイカー達はマスカレイドから出来る限り逃れようと、後ろを振り返らずに走り続けた。

●森の中の逃走劇
 葉の落ちた木が目立つ森の中を、エンドブレイカー達はレジスタンスの拠点目指して真っ直ぐに走り続け、途中でマスカレイド達に追いつかれると、そのたびに素早く撃退した。しかし、マスカレイド達の追撃はますます激しくなり、思うように逃げることが出来なくなっていった。
「……見える範囲では、前には森の老人さん達はいないみたいだよ!」
 リコッタの報告を聞き、エンドブレイカー達は硬い表情で頷くと、目線をクライアードに向ける。
「任せろ、皆も無理はするなよ!」
 その意味を汲み取ったクライアードは、リコッタとともにいち早く森を抜けだそうと駆け出す。最悪でも、彼ら2人だけはレジスタンスの拠点にたどり着かせる。それがこの窮地に対して彼らの出した答えだった。
 もしものことを考え、彼らを見失わない程度についていこうとするエンドブレイカー達だったが、すぐに追っ手のマスカレイド達が現れ、襲いかかってくる。
 ヒナギクは素早くマスカレイドの1体に跳びかかり、頭に生やした鋭い角を突き刺すと、ナナセが剣を力強く振り下ろし、腕を切り落とす。マスカレイド達もツルを伸ばし、レクシナやエキューに向けて叩きつけるように振り下ろしたり、ナナセが振り下ろした剣に絡みついて、彼女の体勢を崩そうと反撃を試みた。
 手こずりながらも、エンドブレイカー達はマスカレイドを1体ずつ確実に仕留めていく。しかし、その間に、前を行く2人の姿がどんどん小さくなっていった。
「ここは任せて、先に行くっすよ!」
 このまま戦えば、マスカレイド達を倒すことは出来るだろう。しかし、この後で前を行く2人が襲われたときに助けられないのでは意味が無いと考えたナナセは、剣に絡みつくツルを斬り払いながら後ろを振り返り、事前の打ち合わせで決めておいたチームに分けることを提案する。
「早く行くんだ」
 マスカレイドを獣の腕で抑えつけながら、ナナセの考えに納得したヒナギクは、迷っている仲間たちに決断を促す。
「……幸運を」
 決意を決めたクシィは、その一言に沢山の思いを込めて会釈し、目をギュッとつぶると、仲間を置いていく辛さを振りきり、自分がなすことのために全速力で走り始める。
「心配だけど……今はやるべき事に集中しよう」
 エキューもまた、仲間たちを強く信じながら後ろを振り返らないように走る。続いて、レクシナは2人に置いて行かれないように仲間達から少しずつ距離をとり、残って戦う仲間達の方を見ながら一礼して、
「そうだよね。わたしたちみんなが、やり遂げないとね」
 そう言うと、ラズリィに行こう。と促して追いかけ始めた。

●男たるもの
 残ってマスカレイドたちと戦うエンドブレイカー達は敵を確実に倒していたが、殲滅速度は明らかに落ち、全滅させる前に次々と現れる増援に手を焼いていた。
「……ここは私が引き受けます。みなさまは先におきいなされ!!」
 一向に減らぬマスカレイド達に、ジンは覚悟を決めた顔で後ろを振り返り、にっこりと微笑む。その言葉の意味を感じ取ったリシュリィは止めようとしたが、決意の固い彼の顔を見て、言い争うのは彼の行為を無駄にしてしまうと感じ、口を閉ざす。
「儂もここで敵を食い止めようぞ」
 ログレスはジンの隣に立ち、目線を合わせてお互いに一度だけ頷いた。
「だったら、俺も……」
 ヒナギクもまた、彼らと運命を共にしようとするが、
「お主までがここに残っては、誰が姫たちを守るのだ?」
「お嬢様がたを守りぬく仕事、頼みましたぞ?」
 2人はナナセとリシュリィをちらっと見てからヒナギクに言い放つと、答えは聞かずにマスカレイドたちの方に向き直る。
 結局ヒナギクが折れて、女性2人とともにその場を離れ始めると、ジンは安堵してから、
「さて。大変なことになりましたな」
 次々と集まるマスカレイド達を見ながら、大剣を構える。
「なあに、壮年同士の老獪な連携で、道を切り開こうではないか」
 ログレスはこの危機的な状況を楽しむかのように笑い声を上げながら、マスカレイド達のツルを絡めさせる攻撃を丁寧に切り払っていく。しかし、マスカレイド達は2人を取り囲み、ツルや、杖から放たれる蜘蛛の糸で彼らの動きの自由を奪っていった。
「いかせはせぬ、いかせはせぬぞおお!」
 ログレスは肩や腕に絡みつく蜘蛛の糸を力づくで振り払い、雄叫びを上げてマスカレイドを威圧すると、力を纏ったシールドスピアでマスカレイドの胴を縦にまっぷたつに斬り捨てる。だが、その直後に左右から蜘蛛の糸を投げつけられ、まるで蜘蛛の巣に磔にされたかのように体の自由を奪われてしまった。
 身動きがとれないログレスを助けようと、ジンは大剣を振りながら近づこうとしたが、マスカレイド達が一斉に伸ばしてきたツルに全身を絡め取られて動きを封じられてしまう。次々とツルが絡み付き、動けなくなっていくジンは天を仰いで、
「申し訳ありませんお嬢様、しばらくお側を離れることを、お許しくだされ」
 と、自らが守るべき大切な人に別れの言葉を紡ぎ、
「皆、儂は必ず帰るぞ」
 ログレスは強い決意を残して、深い森の中へと消えていった。

●ひとりきりのステージ
 レジスタンスの拠点まであと少しというところで、クライアードとリコッタの2人はマスカレイド達に襲われていた。
「ここまで来て……」
 クライアードは苦々しい表情でマスカレイドを見上げた瞬間、マスカレイドは強い衝撃を受けたように遠くへ弾き飛ばされる。クシィがマスカレイドに向けて全力で走り、その胴に斧で木を切り倒すかのように激しく傷をつけて弾き飛ばしたのだ。
「今のうちに!」
 クシィはそう叫びながらマスカレイドに追い討ちをかけ始め、クライアード達をレジスタンスの拠点へと走らせた。
「木は木らしく、刈られる立場であるべき」
 続いてマスカレイド達に追いついたレクシナが、大鎌を風のように振り回して動きを封じると、ラズリィは歌声を響かせて彼らの敵対心を奪い去ってマスカレイド達を足止めする。さらに、その隙をついてエキューが獣の爪を振るい、次々とマスカレイドたちを切り倒していった。
 しかし、その間にも新たなマスカレイドがエンドブレイカー達を取り囲もうと現れ、彼らは息を付く間も与えられなかった。ラズリィはこれ以上ここで戦うのは得策ではないと言い、逃げるように提案してみんなで走り始めるが、途中で1人足を止め、囮となり、マスカレイドたちを迎え討とうとした。
「悪いがチケットは完売さ。持ってないならさっさと行きな!」
 ラズリィは慌てて戻ろうとするクシィににっこり微笑み追い返すと、ソードハープの弦に手をかけ、新たな物語の音色を奏で始め、襲いかかるマスカレイドたちの攻撃を派手なダンスでかわしながら、マスカレイドに向けてびしっと指を突き立て、爆発を引き起こさせる。
「じいさん達にはちとキツいかな? さぁ、ついてこれるか!」
 踊れるところまで踊り抜く。悲壮な決意を胸に秘めながら、ラズリィの足は巧みなステップを踏み続けた。
 ラズリィは自らの歌声とソードハープの旋律を絶やさないように口と手を動かし、時々観るものを惚れ惚れさせるようなポーズを決めてマスカレイド達を牽制する。
 ラズリィの若々しいステップにマスカレイド達は翻弄されていたが、それでも徐々に彼を追い詰めていく。ラズリィは脚に絡む蜘蛛の糸を振り払いながら懸命に動き続けようとするが、徐々に体が自分の意志に反するようになってくると、マスカレイドのツルや蜘蛛の糸が絡みつき、さらに動きを封じ込められる。
(「オレの物語はここまでか……最後まで自分の目で見られないのは悔しいね」)
 ラズリィは覚悟を決めてマスカレイドの止めの攻撃を待つ。しかし、ラズリィに攻撃しようとしていたマスカレイドは、攻撃の構えを見せたまま星霊ジェナスに頭から噛み砕かれ、崩れ落ちた。
 ジェナスの戻る先で微笑むリシュリィに、ラズリィは思わず笑みをこぼす。さらに、ヒナギクとナナセが協力してマスカレイドを倒す姿を見て、ラズリィは自分が助かったことを実感した。

●脱出!
 クライアードとリコッタは仲間たちの想いを無駄にしないように、ただひたすらに前だけを向いて森の中を走りぬけ、転がるようにレジスタンスの拠点へと駆け込んだ。
 追っ手を振り切った安堵感と、まだ森に残る仲間たちを心配する気持ちが混じりながら、2人は顔を見合わせ、
「巻き込んで済まない」
「ううん。こっちこそ、こんなことになってごめんね」
 息を整えながら、お互い相手に頭を下げて謝った。
 そうしている間に、エキュー達3人が森を抜けだして合流するが、そこにいるはずのラズリィが居ないことに気づき、クライアードは申し訳ない気持ちで顔をうつむける。
 リコッタも同じ気持ちだったが、こんな時だからこそ明るく気丈に振舞おうと考え、微笑んで場を和ませてから、
「……ひとりで行ってきなさい。ってクライブさんに言われたのに、沢山で押しかけたから、森の老人さん達が怒っちゃったのかも」
 と、今回の事件の原因を追求し始めた。そんなリコッタの様子を見ながら、エンドブレイカー達は彼女の様子や行動、言動から、実は彼女はマスカレイドなのではないか。という疑惑について考え始める。
(「言動におかしなところはなかったし……」)
(「僕達を仲間だと信じて疑ってないよね」)
(「……疑い過ぎたの、かな」)
 しかし、どれだけ疑いながら見てもリコッタはマスカレイドでは無い。彼らは彼女の言葉や態度からそう確信していった。
「……そうだ、クライブにマスカレイドのことを報告しないと」
「あ!」
 クシィが今回の事件を報告しようとすると、リコッタは思い出したように叫びだす。
「クライブさんは外せない緊急な用事があるから、今はレジスタンスの拠点から出かけていて会う事は出来ないんだよ! すっかり忘れてたぁ……」
 リコッタがどうしよう。と困り顔で考えようとした瞬間、ラズリィを助けたリシュリィ達が森から飛び出してきた。
 さらに、彼女達を追いかけていたマスカレイドたちが進路を変え、ざわざわという音を立ててどこかへ向けて歩き始めると、エンドブレイカー達は助かったことに安堵しながら、彼らを守るために森に残った仲間達のことを心配し始める。
「ところで、あのマスカレイド達は騎士団が作っている森の道に向かっているのか?」
 しばらくの間、マスカレイドたちがのっしのっしと歩く進路を目と耳で追いかけていたラズリィがみんなに確認すると、
「……この先にはレジスタンスの村があるっすよ!」
 彼らの行く先にあるものを思い出したナナセが大声で叫び、それと同時にエンドブレイカー達の顔が青ざめる。もし、彼らがレジスタンスの村を襲い始めたら、大変なことになってしまう。
「このまま放っておくわけにはいきませんね」
「急いでみんなに知らせて、村にたどり着く前に迎撃しよう!」
 リシュリィとヒナギクの言葉に仲間達は頷くと、リコッタの方に顔を向ける。
「緊急事態だと思うから、対応はみんなに任せるよ! もちろん、ボクにもお手伝いさせてね♪」
 レクシナは張り切るリコッタに、仲間のレジスタンス達に警戒するよう伝えて欲しいと頼むと、エキューは仲間を集めるため、拠点に向けて走りだした。



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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/12/24
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