ステータス画面

ピュアリィは装飾品がお好き?

<オープニング>

●俺の宝物
(「どこで落としたんだ……」)
 男はいつも身につけているペンダントがなくなっていることに気がついた。服のポケットにも荷物の中にも家の中にもない。
 それはかつて一緒に暮らしていた女性からもらったお守り。仲たがいして別れてしまったけれど、今でも大切に思っている女性からの。
 確か今朝放棄区域を発掘している時はあった。
 発掘中に住み着いていたバットハーピーに見つかり、全力で逃げて先程帰宅したばかり。帰宅するまでの間は確認していない。
(「落としたとしたら逃げた時か」)
 椅子に座り、テーブルに肘をつき、左足のかかとをリズミカルに床と打ち合わせながらどうするべきか考える。
(「やっぱ探すしかねぇよな」)

●ペンダントを取り戻せ
「発掘を生業としているタイガという中年男性が、放棄区域でバットハーピーの餌食になるエンディングを見ちまった」
 トンファーの群竜士・リー(cn0006)は事件を探しに来たエンドブレイカーたちに、近々に対応が必要な事件の一つを語った。
「発掘中バットハーピーに襲われたタイガさんは逃げる途中で大切なペンダントを落としてしまった。気付いたタイガさんはそれを探しに放棄区域に戻ると、発掘現場に何体か集っていたバットハーピーの1体がそれを身につけていた。
 だが何とか取り戻そうと追跡して住処になっている建物に潜入したところ、バットハーピーたちに見つかってしまう。相手はマスカレイドではないピュアリィ類だが多勢に無勢、タイガさんはバットハーピーに……というわけだ。
 目標は2つ。『タイガさんの命を守ること』と『ペンダントを取り戻すこと』だ。
 タイガさんとは寄り道せず放棄区域の入り口で待っていればじきに会える。説得して同行するなり任せてもらうなりするといいだろう。そしてバットハーピーの巣を突き止め、ペンダントを取り戻すんだ」
 すべきことを語った上で、リーは続いて話を戦場のことに移す。
「バットハーピーはピュアリイ類でもよく知られている種族だが、念のために説明しとくぜ。
 外見はコウモリの翼みたいな腕、コウモリの脚、コウモリの耳をもつ人の女性だ。
 その区域のバットハーピーは脚のカギ爪に加えて超音波を使う。
 屋外で戦っても隙を与えず倒さなければ、身の危険を感じて頭上に逃げられる。頭上から音波ばかり使われても面倒だ。だから屋内で対処したほうがいいだろう。
 肝心の巣となっている建物は場所が見えなかったが、扉は無く入り口から入ってすぐが巣になっていた。空間は結構広かったな。入ってすぐ戦闘になると思っておくといい」
 一通り説明を終え、リーは皆の顔を見回して想いを伝えた。
「この事件、俺たちでなくても腕が立つ者ならどうにかなる類だが、エンディングを知ってしまったのも何かの縁だ。そして救える命なら救いたい。
 どうだ? 引き受けてくれないか?」


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参加者
竪琴のデモニスタ・シュネー(c01190)
太刀の星霊術士・カノー(c01650)
アックスソードの魔獣戦士・セラエ(c02074)
トンファーのスカイランナー・アスティ(c02556)
アイスレイピアのスカイランナー・レイユ(c02806)
大剣の魔獣戦士・グリード(c03428)
アイスレイピアの星霊術士・ソナタ(c03903)
ハルバードの城塞騎士・エルンスト(c07227)

<リプレイ>

●嘘も方便
 町はずれにある門扉にタイガが訪れた時、彼は何事かと足を止めた。
 扉の向こうは放棄区域。何か特別な用事が無ければ訪れることはない場所。そこに幼い少女から彼と近い歳の男性、豪快そうな体格のいい青年や銀髪の華奢な青年、少し大人びた少女など様々な年恰好の8人もたむろしていたからだ。
 その8人もまたタイガが来た事に気がつくと幼子を除く7人が一瞬視線を交わし、間をおかずに彼に歳近い男がタイガに話しかける。
「貴方は何用で?」
 穏やかに話しかけてきた男――ハルバードの城塞騎士・エルンスト(c07227)が名前を名乗る。それに対しタイガは名前だけ名乗り、用事を答える義理もないだろうと質問をはね退ける。すると問答を黙って聞いていた体格のいい青年、大剣の魔獣戦士・グリード(c03428)が間に割って入った。
「アンタ、一人で出て行くっつー事はこの辺にゃ詳しいのかい? どうもハーピーが出るって聞いて今から俺達で潰しに行く所なんだが……心当たりはないか? もし知ってら案内しちゃもらえねぇか」
 グリードの言葉に大人びた少女が彼の脇を軽く肘で突く。何だよと尋ね返そうとする彼を制して少女、アイスレイピアのスカイランナー・レイユ(c02806)はタイガに顔を向けた。
「事情はグリードちゃんが言った通りよ。私たちは討伐依頼を受けた冒険者なのだけど、この辺の地理に明るくなくて困っているのよ。よかったら協力してもらえないかしら」
 ともすれば荒っぽいグリードの言葉をレイユが和らげつつ再度頼みこむ。その様子にタイガは少し悩んだ後、条件を提示してきた。
「バットハーピーならついこの間見たぞ。俺は普段発掘で通っているんだが、今日はハーピーが持っている装飾品に用事がある。ハーピーの持ち物を俺が選んで貰い受けるという条件でいいなら案内するが」
 基本報酬は依頼人から出ているのだろう、とタイガが言葉を締める。もっとも討伐依頼自体が出まかせのため金銭的な報酬は出ないのだが。
「ようは君はハーピーのお宝さえ手に入ればいいんだね。なら退治は僕達に任せてその後で手に入れればいいよ」
 案内してもらうという形で彼を間近で護衛し、不幸なエンディングを破る。
 華奢な青年、アックスソードの魔獣戦士・セラエ(c02074)はそのための取っ掛かりができたとして、タイガに是と答えた。

●ゴミ山の乙女
 タイガがバットハーピーに襲われた近辺。ここに来るまでの間、一同はハーピーが持っている装飾品がペンダントであることを彼の口から聞いていた。詳しいことは教えてもらえなかったが、それは祭りの露天で売ってるような光るだけの安物だという。
「汚れた場所好きではないのだけれど……仕方ないわね」
 レイユは建物と目の前のガラクタとの間から、不快感を押し殺しながらじっと別のガラクタ山の頂きを見つめた。
 ガラクタで構築された山にたむろしている数体のバットハーピー。彼女たちは鋭い爪がついた足で山を構成しているガラクタを持ち上げては下の方に転がして捨てている。ペンダントを拾ったように何か宝を期待しているのか、それとも山の下に隠れているかもしれない小動物や虫などを探っているのか。彼女たちが何を目的としているのかはわからない。
(「空を飛べる相手か。スカイランナーとはいえ空は飛べないから、きっちりしとめたいね」)
 そのためにも飛べない場所にいるところを狙わないと。トンファーのスカイランナー・アスティ(c02556)は今か今かとバットハーピーたちが巣に帰ろうとするのを待つ。
 放棄されたとはいえまだ生きている星霊スピカの太陽光が、白からオレンジ色に変わる。
 夕焼けに世界が染まる中、一体のバットハーピーの胸元にキラリと何かが光ったのを太刀の星霊術士・カノー(c01650)が感じ取る。
「あのハーピーがそうでしょうか」
 皆にそれを伝え、カノーはバットハーピーを視界に納めたまま、目を凝らして見ているタイガにわずかに視線を送る。
「あれだな。石英の細長い石が付いている。間違いない」
 若干焦りを見せるタイガに、アイスレイピアの星霊術士・ソナタ(c03903)は強めに腕を握る。
(「巣で逃げ場を塞いで取り返そう。方々に逃げられると面倒だ」)
 小声で促され、タイガはわかっているさと悪態をつきながらも落ち着きを見せる。
 その様子を見ていた、竪琴のデモニスタ・シュネー(c01190)。区画の入口で会った時と同様に他の誰にも関心を示さずバットハーピーを見ていたが、一瞬だけ感情がこもっていない視線をタイガに向けた。
(「あのひとが何をヤッキになっているのかわからない。……というか、どうでもいい。
 わたしはテキをこわすだけ。こわしてころして、つよくなる。もっともっとつよくなって、いつかこの手で……」)
 シュネーにある種病的な熱情が沸きおころうとした時、羽音がそれを遮る。バットハーピーたちが一斉に同じ方向に飛び立ったのだ。
 急ぎアスティがガラクタを駆けのぼって着地地点を目で追い、酒場で聞いた建造物の特徴と場所を一致させ、皆に伝える。
「行こう」
 ソナタは特にタイガに向けて言い、巣に向けて駆けだした。

●巣の襲撃
「他に出入り出来そうな場所はなし。窓も空気穴程度のものだ」
 周囲を確認したエルンストの言葉。入口さえ封じれば逃げられる恐れはないという確信。
 真っ先にグリードが大剣を構えて突入。入ってすぐにバットハーピーがいることはわかっている。建物に入った直後、側にいたバットハーピー1体を蹴り飛ばし、得物を大きく横に振りまわして無理矢理場所を開けさせた。
 突如の侵攻で後ずさるバットハーピー。彼女らの混乱に乗じて他のエンドブレイカーたちも突入し、入口をシュネーとソナタの遠距離戦に強い2人が封鎖する。タイガもエンドブレイカーたちに混ざって件のペンダントを探そうとしていたため、カノーが制止するべく声をかける。
「タイガさんは後列に、ソナタさんとシュネーさんと一緒に」
 彼の言葉を右から左に流そうとしたタイガだが、後方からソナタもまたタイガを止めた。
「倒すのは他の人でもできる、でも逃がしたら終わりだ」
 詰めを誤らないために、今度はその言葉に従おうとするタイガ。だが反撃姿勢に出たバットハーピーは彼にも区別なく襲いかかる。ナイフを構えて防ごうとする彼だが、襟元を強い力で引っ張られて後方に軽く投げ出され、元いた場所に鈍い金属音が代わりに残った
「エルンスト!」
「大丈夫だ、問題ない!」
 タイガを引きもどし代わりに鎧の上から爪の一撃を受けたエルンスト。セラエの言外の問いに応えを返してハルバードを縦に構えながら石突きで突き返す。セラエもその返事から言葉通り問題ないことを確認し、初めに吹き飛ばされたバットハーピーに向かって全力で十字に斬りつけた。
「シュネー! ソナタ! 上のは任せた!」
 バットハーピーの中には天井の梁の所まで飛び上っている者もいた。グリードの声に反応してシュネーは攻撃的な旋律を竪琴からがならせ、ソナタは星霊バルカンを呼び出す。
「ころすわ」
「いけ、バルカン。……あ、でも熱いから遠くで。遠くで」
 セラエの元から飛び出したバルカンが尻尾をしならせて炎を飛ばしバットハーピーの体を燃え上がらせ、シュネーの琴の音がバットハーピーの鼓膜を撃ち、耳から一筋の汁を流させる。
(「あれは……」)
 カノーが仲間との集中攻撃で弱ったバットハーピーを袈裟切りで仕留め次の標的を探した時、ペンダントを身に付けたバットハーピーを乱戦の中で見つけた。
「次はこいつです!」
 カノーが向かう標的にレイユが立ち向かい、アイスレイピアで切り抜けると共に皮膜でできた翼を凍りつかせる。
 たけ狂ったハーピーが破壊の力をもった悲鳴を上げ2人が耐えながら応戦している所に、アスティは床と壁を足場に高く跳躍、天井をも下から蹴りつけて勢いをつけ、その首を切り落とした。
 ゴトリと落ちる塊と、楔から解放されて床の石材と打ちあって高い音を響かせるペンダント。装飾品は大きく弾み、エンドブレイカー達が持つ照明の光を照り返しながらタイガの足元へと落ちつく。
「それを拾って下さい」
 ハルバードの先端で敵の肩を貫いたエルンストは、敵を見つめたまま後方のタイガに語りかける。
 タイガは急ぎ、そのペンダントを懐にしまいこんだ。

●終焉の崩壊
 エンドブレイカーたちは優勢であるものの、バットハーピー達の抵抗は大きく皆の負傷もそれに比例していった。
「ぐぅっ!」
 バットハーピーが放った超音波の残響がタイガの体に残り、苦しめる。
「いけない! スピカ!」
 カノーが急ぎスピカを呼び出して治療に当らせる。タイガの傷は塞がるものの、残響の悪影響を中々取り除けない。治療に力を注いでいる所に別のバットハーピーが鋭い爪をカノーの突き立てる。そのままトドメを刺そうともう一つの脚でカノーを引き裂こうとしたバットハーピーだが、逆に彼女自身が引き裂かれて絶命した。
「余裕があれば協力しないでもなかったが、悪いな。何でもかんでも守れるほど器用じゃねぇんだ」
 グリードはバットハーピーの亡骸を打ち捨て、魔獣化させた腕を元に戻す。
「君達に恨みは無いけどね……人を襲う輩をほおって置くわけにはいかないんだ」
 もう一体のバットハーピーも、セラエの憐憫の言葉と共に縦に断ち切られる。
 バットハーピーたちにもう動いている者はいない。息が残っているものもいるかもしれないが、当初カノーが予定していた尋問を仕方なく彼自身が中止した。それを聞いてエルンストが倒れているバットハーピーにそれぞれ急所を突き立て、死亡を確実なものとする。
 一同は放棄区域を抜け、街の入口をくぐった。
「貴方のおかげで仕事を果たせました。ありがとう」
「協力ありがとう。ペンダント、戻って良かったな」
 別れ際、レイユがタイガに礼をいい、ソナタが互いの目的達成を喜ぶ。
「ああ、こちらも助かった。ありがとう」
 エンドブレイカーたちの本当の目的を知らないまま、タイガも素直に彼らに礼を返した。そして彼を岐路で見送り、その背中が見えなくなるのを確認する。
「不愉快な結末破壊完了。次のエンディングが見えるまで日常に帰ろうか」
 仲間に向けて小さく頬笑むアスティ。互いに別れを告げ、一同はそれぞれの日常に戻っていった。



マスター:閂守仁 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2010/03/22
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