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爆発させたい訳がある

<オープニング>

●お前なんて爆発してしまえ!
「爆発しろ! 爆発しろぉ!」
 忌まわしき仮面をかぶったマスカレイドは、低い声で叫びながら杖を倒れた男の右足に近づけ、炎の弾丸を叩き込む。
 右足に熱さと痛さを感じながら、男は将来を誓い合った恋人の事を強く思い浮かべ、何としても生きて帰ると心に決めて、必死に逃げ出そうとした。
 しかし、どんなに足を動かしても、痛みや熱さを抱えたボロボロの足では逃げ切れるものではない。マスカレイドは簡単に男に追いつくと、腕や背中、腰などに次々と炎の球を叩きつける。
 それでも希望を捨てない男は、残った左足を必死に動かし逃げ続ける。マスカレイドはそんな男の姿を、邪悪な笑みを浮かべながら見つめ、じっくりとその姿を鑑賞してから、残された左足に絶望という名の炎を投げつけた。
「ひゃーっはっはっはぁー!」
 マスカレイドの笑い声が、他に誰もいないその場所に響き渡り、男はもう動くことすらかなわず、ただ、自らの死の時を待つことしかできなかった。
「爆ぜろ! この野郎!」
 マスカレイドはそう叫ぶと、杖を男の胸に軽く当て、特大の炎で男の体を包みこみ、真っ黒になるまで焼き尽くした。

●憎しみの炎
「最近、若いエルフの男が、マスカレイドに全身が真っ黒になるまで焼かれて、殺されているという事件がこのあたりで頻発しています」
 ソードハープの魔法剣士・フィール(cn0051)は、暖炉に目を落とし、下の方で炭になっている木を見て、丁度あのような感じでしょうか。と、苦々しげにつぶやく。
「この事件の犯人は、ティガーと言う名前の若い男です。彼はこのあたりに住んでいて、普段は真面目に仕事をしています」
 フィールは彼の仕事の時間と休憩の時間を書き示したメモと、仕事場と彼の家の位置を書いた地図をテーブルに置き、
「彼の行動は規則正しいので、仕事の休憩時間や、仕事場への行き帰りの時間を狙うことで、彼に接触して正体を暴くことが出来るはずです」
 と、言いながら、重要なところを指さして説明した。
「ですが、彼は普段はマスカレイドであることを隠しています。ただ逢うだけでは、犯人であることを否定されてしまうでしょう」
 フィールはエンドブレイカー達を見つめてから、
「彼が殺したエルフたちには、みなそれぞれ将来を誓い合った恋人がいたそうなのです。そこで、彼が皆さんのうち誰かを殺したい。と思わせることが出来れば、必ず正体を表すことでしょう」
 と、少し微笑んで告げた。
「マスカレイドは、杖を持って、炎の球を投げつけたり、炎に包み込む攻撃で攻撃してきます。それと、彼の行動パターンから、男性を優先して狙ってくるでしょう」
 フィールはそう言ってから、
「爆発しているかどうかはわかりませんが、比較的激しい音が出たり、周囲に被害を出しやすい攻撃ですので、戦う場所は選んだほうがいいかもしれません」
 と付け加えた。
「また、彼は戦闘になると、猫のマスカレイドを呼び出して、戦わせます」
 猫たちは軽い身のこなしと、鋭い爪が武器になるだろう。エンドブレイカー達は敵の姿を想像しながら戦うイメージを作り始めていた。

「残念ですが、マスカレイドとなったエルフを助けることはできません。しかし、彼によってこれ以上苦しむ人々を増やすわけにはいきません」
 彼には彼の苦しみがあるのかもしれない。とはいえ、それが他人を苦しめていいという大義名分には絶対にならないのだ。とフィールは主張する。
「それと、マスカレイドを倒した後にはエルフの男の死体が残ってしまうため、急いでその場を離れるようにして下さい」
 街の人々はマスカレイドの力を使って犯行を行っていたことは判らないので、一歩間違えるとエンドブレイカー達が犯人にされてしまう可能性もあると、フィールはエンドブレイカー達に説明する。
「万が一にも捕まってしまうと、都市警備隊での活動を我々が行うことが難しくなりますので、慎重かつ迅速な行動をお願いします。……それにしても、何故爆発なのでしょう?」
 ひと通りの説明を終えると、フィールは1人首をかしげた。


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参加者
切リ裂キ・ジャック(c00288)
焔嵐・エルシリア(c03242)
城塞騎士団指南役・シン(c04609)
リヴァ充爆破処理班の・ダガー(c04738)
驟雨・キシス(c05687)
雷牙瞬風・エリオス(c07140)
自分に正直な男・マルテル(c16131)
紫刻の幻影・クトラ(c16568)
魔想紋章士・テオドール(c17135)
紫煙・ジェイク(c17323)

<リプレイ>

●恋人たちを妬む者
 日も暮れかけて、道を歩く人達も少なくなった通りを、ひとりの男が前を行く若い男女に忌々しげな目線を送りながら歩いていた。どこかよそよそしいながらも、仲良く歩く男女は初々しい恋人たちの姿にも見えた。
(「折角だから、楽しみたいね」)
 驟雨・キシス(c05687)は、後ろを歩く男、ティガーに見せつけるように、隣を歩く焔嵐・エルシリア(c03242)の腰に手を回す。エルシリアは一度ぴくっ。と体をこわばらせるが、それに気づいたキシスは手を置き直して、彼女を安心させる。
 2人は微笑みながら寄り添い、エルシリアは顔をキシスの胸に埋めると、彼女の髪の甘い香りがキシスの鼻を刺激して、彼を軽く興奮させる。キシスはエルシリアの髪を優しく撫でると、後ろを歩くティガーに聞こえるように、
「喜んでもらえると良いんだけど」
 と、言いながら、彼女の首に用意していた首飾りをかける。エルシリアは首飾りを見つめてから、
「嬉しい。ありがとう」
 キシスに微笑んだ。
「この首飾りもエルシリアの輝きの前では霞んでしまうかもね」
「もうっ。口がうまいんだから。でも……嬉しい。この間の指輪も嬉しかったけれど……」
 キシスの甘い言葉に、エルシリアは薬指にはめた指輪をうっとりと見つめる。
 そんな2人の様子を見せつけられているティガーの後ろに、静かに尾行する男達の影があった。
「最近よく爆発しろ。って聞きますけど……流行りの言葉なんでしょうか?」
 そのうちの1人、切リ裂キ・ジャック(c00288)は怒りの感情を表に出し始めた男を見ながら、首をかしげて疑問に思う。
「良く分かりませんが……幸せな人を憎み、殺してしまうのは筋違いというもの」
 可哀想な人だな。と、ジャックは男の姿を見て同情した。
「寒いからって、屋外でエルフさん燃やしても大して温かくはならないよね。それなら、薪を燃やした方が燃焼効率良さそうなのにね?」
 ジャックのすぐ後ろを歩いていた紫刻の幻影・クトラ(c16568)は、無邪気な顔で微笑みながらつぶやく。
 男の心は普通の炎ではあたたまらない。彼は嫉妬の炎を燃やし、自らの心をあたためているようにも感じられた。
「ラブラブイチャイチャしている奴らは万死に値する。しかし、本当に殺そうというのなら話は別だ」
 城塞騎士団指南役・シン(c04609)は、男の心情に理解を示しつつも、事件を起こすこととは話しが全く別である。と考え、冷静に行動しようと努めながら、仲間と男の後を追う。
「あの男が、こんな道しか見出せなかったというのは個人的には哀れとしか言いようがないんだが……」
 隣を走るシンに話しかけながら、雷牙瞬風・エリオス(c07140)はすでに隙あらばキシスに襲いかからんとしている男を見て、
「自分が得られないものを持つからといってそれを阻止し、あまつさえ破滅させてしまうなんて言語道断。悔しければそれに見合う努力をすればいいだけのことです」
 と、吐き捨てるようにつぶやいた。
「手を伸ばしてみれば案外手に入れられたものかもしれないのにね。こういうの」
 夕日で長く伸びた男の影を見つめながら、魔想紋章士・テオドール(c17135)は、自らの過去と照らし合わせ始める。
「ま、これ以上被害が出る前にさっさと倒すか」
 サングラスをかけ、黒革ジャケット姿でタバコをくわえた紫煙・ジェイク(c17323)が仲間達に言葉を発したとき、丁度エルシリアとキシスが別れの抱擁をして、エルシリアは脇道に消えていく。
 彼女の得物を持ったテオドールが同じ道に入って得物を手渡すと、エンドブレイカー達はキシスに襲いかかろうとする男を、残りの仲間達が待つ静かな広場まで誘導した。
「ぬおおおおおっ! アベック、殺す!!」
 広場に隠れていた自分に正直な男・マルテル(c16131)は、演技とはいえ、キシスとエルシリアが恋人同士として楽しくデートしている姿をのぞき見て、深く、そしてなにより熱い嫉妬の炎を燃やし、血走らせた瞳で近づいてくるキシスを睨みつけ、今にも襲いかかりそうになっていた。
「ワタクシにはわかりますヨ! 貴方の気持ちガ!」
 そんなマルテルの後ろから、リヴァ充爆破処理班の・ダガー(c04738)が顔を出し、本当にキシスに襲いかからないか不安に思いながら、肩をポンと叩く。
 そうこうしている間に、キシスが広場にたどり着く。彼は足を止め、ティガーのほうを振り向くと、見下すような目線と、あざ笑うかのような笑顔で男を挑発する。それだけで、ティガーが正体を現すには十分だった。

●爆発しろ!
 マスカレイドは問答無用で杖を振りかざし、キシスに怒りの炎をぶつけようとする。しかし、
「待てい! その男を殺すのはこの私だ! 貴様などにやらせはせんぞ!」
 怒気せまる声で、マルテルがマスカレイドとキシスの間に立ちはだかると、永遠の敵を見るような目で睨みつけた。……キシスの方を向いて。
「知ったことか!」
 マスカレイドは迷わずに炎の球をマルテルの背中に投げつけ、怒りの炎が彼の体を包む。しかし、マルテルは炎に包まれながら、マスカレイドの方をちらりと向いてにやりと微笑み、
「甘い、甘いぞ! 貴様の嫉妬はその程度か! その程度で嫉妬を名乗るなど兆億百千万年早いわ!」
 炎をまとったまま、叫びながらマスカレイドの顔を思い切り殴りつける。その気迫にマスカレイドは気圧され、一歩、二歩と後ろへ下がる。そこへ、マスカレイドを追跡していたエンドブレイカー達も加わって、マスカレイドを挟み撃つ形になると、マスカレイドは配下の猫マスカレイド達を呼び出す。猫マスカレイド達は、素早い動きでエンドブレイカー達に襲いかかった。
 猫マスカレイド達は激しく上下左右に動きまわり、エンドブレイカー達の目を慣れさせずに死角を作り、死角から鋭い爪で引っ掻いてくる。
 エリオスは左手に持った鞘で右肩に襲いかかる猫マスカレイドの攻撃を受け流した。しかし、右に意識をむけた隙に反対側から襲いかかる別の猫マスカレイドが左足に爪を突き立てる。エリオスが足に喰らいつく猫マスカレイドを振りほどいていると、頭上からまた別の猫マスカレイドが激しく頭突きをしてきた。たまらず後退するエリオスの傷を、テオドールが鍵の力を使ってふさぎ始める。
「まずは動きを止めないとな」
 そう言うと、シンは不思議な色のきのこを取り出し、猫マスカレイド達に投げつける。もわもわと立ちのぼる煙に包まれた猫マスカレイド達は、煙の中で迷い始め、動きを鈍らせていった。
 攻撃する隙を探していたエルシリアは、動きを鈍らせた猫マスカレイド達をじっくりと狙って、まるで羽毛が生えたような純白の大きな翼を広げ、
「さ、派手にやるわよ」
 美しく翼を羽ばたかせると、無数の光の束を猫マスカレイド達に浴びせかける。
「これ、避けられる?」
 さらに、エルシリアの動きに合わせて、にっこり微笑んでいるクトラが闇色の邪剣を呼び出し、光の束に隠れるように、全く同じ軌道にのせて放つ。
 白色の光と闇色の剣によって、不思議な色に変色した光の刃が次々と猫マスカレイド達を傷つけていく。そのうち1体の猫マスカレイドが、刃に胸を刺され、ふらふらっと倒れそうになる。その隙をついたエリオスは、先程の攻撃のお返しとばかりに猫マスカレイドとの距離を一気に詰め、短い掛け声を発しながら右手に持った太刀を振り切り、猫マスカレイドの頭を叩き割った。
 煙に惑わされ、次々と放たれた光の刃に踊らされた猫マスカレイド達は、一旦距離をとって再びエンドブレイカー達の隙をつこうとする。しかし、
「行っておいで、コヨーテ」
 ジャックが呼び出したコヨーテのスピリットが、まるで猫狩りをするかのように駆け出し、逃げる猫マスカレイドの喉元を噛みちぎり、大きな声で吠えた。
 その声を聞いてコヨーテから距離をおこうとした猫マスカレイドの1体は、突然目の前に現れたツルのような植物に体を縛られ、身動きが取れなくなってしまう。シンが仕掛けた罠を踏んでしまったのだ。仲間が次々と倒される姿を見た猫マスカレイドは、さらに距離を置いて体制を立て直そうとする。しかし、夕暮れ時で長く伸びた彼の影は、まだテオドールの目の前に残っていた。テオドールは猫マスカレイドの影を白銀で出来た魔鍵で苦も無く捉えると、その動きを完全に封じ込めた。
「初紋章の犠牲者は猫かよ。ま、いいけどな」
 ジェイクは最近使うことができるようになった紋章術を使い、最後に残った猫マスカレイドに向けて、黒鉄兵団の幻影を呼び出し、その巨大なハンマーで猫マスカレイドを粉々に砕き、吹き飛ばして壁に叩きつけた。

●強い気持ち
 エリオス達が猫マスカレイド達と戦っている間、マスカレイドはキシスやマルテルに向けて何発も炎の球を投げつけていた。
「お前らに、俺の悔しさがわかるか!」
 そう叫びながら杖を振りかざす。
「それがどうした? お前は何をした? 良くなろうとする行動を起こしたか? 幸せを成就させる為の努力を惜しまなかったか? お前の現状は努力を惜しんだ結果にある、自業自得。そんなお前に掛ける情けは欠片も持ち得ない」
 ダガーは言葉の一つ一つに感情をこめながら紋章を作り出し、力を持った言葉をマスカレイドに叩きつけていく。その言葉に傷つけられていくマスカレイドは、大きな雄叫びを上げて、次々と炎の球を作り、見境なく投げつけ始めた。
 突如、マスカレイドの目の前に巨大なツル植物が現れる。シンが仕掛けた罠にはまったのだ。エンドブレイカー達は猫マスカレイド達を全滅させ、いつのまにかマスカレイドを包囲していた。
「お前さんの気持ちはわかる。そうだな、とてもよくわかる。だがこのまま死ね。お前さんが悔しい思いをしようが誰を妬もうが知った事ではないのだ!」
 シンの言葉に逆上するマスカレイドは、こんなもの! と叫びながらツルを引きちぎって脱出する。しかし、彼が抜けだした瞬間を狙い、エリオスがマスカレイドを睨みながら電撃を放つ。
「俺だって聖人君主じゃない……思うところがなくもないが、それはあなたを許せる理由にはならないのです」
 マスカレイドはエリオスの言葉にも反応して、怒りの矛先を変えて襲いかかろうとする。
「僕、煩いのも眩しいのも嫌いだから。さっさと影を縛らせて貰うよ」
 マスカレイドの怒りがエリオスに向いた瞬間、彼とは反対側にいたクトラが魔鍵の力で彼の動きを施錠する。自由がきかない体を何とか捻り、睨みつけてくるマスカレイドに、クトラは追い込まれたマスカレイドの姿を楽しみながら眺め、無邪気な笑顔で答えた。
 マスカレイドは炎を呼び出し、体の動く範囲で投げつけることの出来そうなキシスに向けて怒りの炎を放つ。
「そんな消えかけの蝋燭みたいな火じゃ、俺の相手は出来ないよ」
 キシスは棍に闘気を込め、弱々しく飛んで来る炎をかき消すと、マスカレイドの喉元に向け、捻りを加えた突きを放った。マスカレイドは鈍い声を上げてそのまま意識を失いそうになるが、
「……余所見は駄目、ですよ? もしかして、もう終わりですか? ……もっと遊びましょう?」
 まだマスカレイドに力が残っていることを見抜いていたジャックは、愛用のトンファーを回転させ、マスカレイドの頬をなんども叩き、休むことを許さない。
「や、やめ……」
「自分が傷つくのは嫌なのに他人は傷つけてもいいんだ? お兄さん、格好悪いね」
 逃げ出そうとするマスカレイドの背後から近づいたテオドールは、後ろを振り向いたマスカレイドを魔鍵をもつ左手でおもいっきり殴りつけ、いつの間にか動けるようになっていたマスカレイドの影を再び施錠した。
「……ば、ばくはぁつ……」
「爆発しろとか言ってるテメーが爆発しろ!」
 それでも戦う気力は失わず、枯れる声で爆発しろ! と叫ぼうとするマスカレイドの声を遮って、ジェイクは女王騎士の紋章を作り上げ、マスカレイドにこれでもかと激しい衝撃をぶつけ続ける。
「嫉妬とかみっともねぇんだよ。さっさとくたばれ」
 今にも崩れ落ちそうなマスカレイドだったが、ジェイクの彼を馬鹿にした態度に対して意地を見せるかのように、弱々しくはあったが、炎の球を作り上げ、ジェイクに向けて投げ返す。ジェイクは予想外の反撃に多少の傷を負って攻撃を中断する。
「それほどまでに、お前が他人に理不尽を振りまきたいのならば……私はお前を壊してみせるッ!」
 マスカレイドが誰かを攻撃しても、間髪を入れずに他の仲間がマスカレイドを攻撃する。ジェイクが攻撃の手を止めた隙に体勢を整えようとマスカレイドが考えた時には、彼の首を刈ろうと、ダガーが自らの持つ大鎌を振り下ろし始めていた。
 鈍い音がして、マスカレイドは地面に倒れる。しかし、マスカレイドはなおも立ち上がり、杖を握って抵抗を続ける。
「にしても、おかしな人ね。欲しいなら、手に入れる為に行動すべきなのに」
 と、エルシリアはつぶやく。今のマスカレイドのように、何度も攻撃を受けても立ち上がる。そんな気持ちが昔の彼にあったのなら、このような事にはならなかったかもしれないのに。と、エルシリアは考えながら天使のような純白の両翼を広げ、マスカレイドを見つめていると、マスカレイドはエルシリアに微笑みかけているようにも見えた。
(「……そんなわけないか。仮にそうだとしても、私にはどうすることもできない。でも……」)
「せめて、ド派手に焼き払ってあげる」
 それがこれ以上彼を苦しませないための最良の方法だろう。エルシリアは純白の翼を黒い炎に変え、特大の炎を作り上げると、マスカレイドを包み込むようにその炎を解き放つ。
 断末魔の声も聞こえない。大きな黒い炎の渦の中で、彼は文字通り黒焦げとなったのだった。

「じゃあね」
 クトラはマスカレイドが苦しむ姿を楽しく思い出しながら、あとでホットココアを飲んであったまろうと心に決め、黒焦げとなったティガーに一言だけ声をかける。
 ダガーはティガーの体や周囲の建物が燃えないように用意していた水をかけていく。
「おっと、タバコの火を消すのは勘弁してくれよ?」
 ジェイクはそう言いながら、ダガーを手伝い、水をかけ終えるとエンドブレイカー達は急いでその場を離れ始めた。
「ティガーとやら、お前は悪くない、悪いのは全て、世のアベックどもと、お前の良さを分かってくれない愚かな女どもだ! だが、お前は退治されねばならなかった、許せ、許せよッッッ」
 現場から逃げ出す道の途中、マルテルはティガーの哀れな境遇に共感して、大きな声で号泣しながら寒い風が吹き抜ける道を走り続ける。彼が今度生まれてくる時には、正しき嫉妬の同志として会えることを願いながら……。



マスター:きゅう 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/01/11
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