ステータス画面

ツッコミ男はどこまで突っ込む

<オープニング>

 狩人である中年男が森に迷い込んでいた。
 森付近に存在する村の住民で、物心ついた頃から何かとツッコミしてきた男。今日の獲物を求めて、少しだけ森に突っ込んだ挙句に迷ったのだ。
 日が暮れて暗くなる森に、お先真っ暗の迷子男。
「ぐわっ!」
 剥き出しとなっている木の根に足を取られて、男は派手に転んだ。
「木の根かよ!」
 怒りを露にしながら、起き上がった勢いで前に進もうとした。だが前方にあった大木の幹に阻まれ、鼻を打ってしまう。
「大木かよ!」
 鼻を押さえた男がやはりツッコミした。
 ツッコミのレベルは、さておき……大木を避けて進むも、歩みが再び止められる。また何かに衝突したのだ。
 今度の障害物は生物のものと思われる弾力があった。
「何だ?」
 見上げた低身長の男は、高身長であるシカの頭を確認する。
「すまないね、って謝ってる場合の相手じゃない!?」
 ノリツッコミも何気に習得済みかよ。そうツッコミしてくれる余裕のある仲間達がいれば、どれだけ頼もしかったか。
 男はいつの間にか、四体のディアホーンに囲まれていた。彼の正面に佇むディアホーンの奥にも、二体のディアホーンが立っている。
 狩りに一生懸命で、残していた昼食を少し前につまんでいた男。仕留めた小物のウサギと合わせて、食べ物の匂いで引き寄せてしまったのだ。
 奥にいる二体のディアホーンが突如手を振りかざした。そして息の合った動作で交互に穴を掘り始める。冷めた眼差しで淡々と掘っていく。
「……?」
 二体のディアホーンは群の下っ端らしい。
 槍を構えた四体のディアホーンがにじり寄ってきた。
 男は慌てふためきながらも弓を構え、正面のディアホーンに矢を射る。だが防御されてしまう。
 抵抗を受けて、ディアホーン達が一斉に襲いかかってきた。
 男はふと掘られていた穴が見えて、その大きさで一つの真実に気づく。
「それ俺の墓穴かよぉー!」
 男の断末魔となるツッコミが森の周囲に響き渡った。

 徘徊しているディアホーンとは、森を歩き回っていれば遭遇できる。
 中年男が鈍臭かっただけで、足場もエンドブレイカー達が戦うのに支障は無い。注意が必要となるのは、遠距離攻撃の障害物となりうる木々だ。
 遭遇するディアホーンの数は『六体』です。『四体』以上を倒せば、二体逃しても成功となります。
 『槍』のアビリティがディアホーンの攻撃方法です。
 囲い込もうとする四体は、『槍風車』と『百烈槍』を使用してきます。穴を掘る二体の下っ端は、『百烈槍』以外使用しません。
 最初に、四体が囲い込もうとしてきます。穴を掘る二体の下っ端は戦闘が開始されると参戦です。
 四体以下になると、ディアホーンは隙を見て逃げようとします。先に囲い込もうとしたディアホーンが、木々を障害物にしながらの逃走です。
 その後、下っ端も木々を障害物にして逃げ出そうとします。
 断末魔がツッコミというのも悲惨な話です。ツッコミ体質の中年男が墓穴に突っ込まれないように、どうかお願いします。


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参加者
剣のスカイランナー・マコト(c00561)
氷雪華・サクラ(c01646)
みんなの恋人・アデルバート(c01702)
千刀狩の守人・ルーン(c01799)
もふ毛求めて・プレノア(c03487)
真銀のアリア・リセリル(c07186)

<リプレイ>

●ツッコミは計画的に
 エンドブレイカー達は森を進んでいた。日々ツッコミに勤しむ男の妙なエンディング破壊のためだ。
 どんな人物か、氷雪華・サクラ(c01646)は想像する。
「物心ついた頃から何かとツッコミしてきた男……ですか。いったいどんなにツッコミをしてきたのかが気になりますね……」
 サクラの頭にもやもやと、如何にも芸を嗜んでいそうな面の男が浮かぶ。
「まぁ、それは置いておいて、その人が被害にあわないで済むように私達が確実に倒しておかないといけませんね」
「ツッコミたい気持ちは、俺はわからないが。自分が物理的に突っ込まれるなんて思いもしないだろうな」
 みんなの恋人・アデルバート(c01702)がふと誰もが思ったはずの事を呟いた。
「自分で自分の墓穴を掘った形になるのか。おもしれーな。ハッハ」
 ディアホーン達のやる気や墓穴の用途についての一言だ。その通りになれば、彼らにとっては笑えない。
 周囲を見回しながら、もふ毛求めて・プレノア(c03487)は言った。
「見えてしまった楽しそうな人の死の終焉を打ち壊すのです」
 芸人さん気質の男を死なせないためにも、ディアホーンを排除だ。
 千刀狩の守人・ルーン(c01799)もプレノアと共に警戒していた。
「死ぬときまで自分を貫きとおせると言うのも立派な死に方かも知れませんが、まだ彼は死ぬべき定めではありませんね。被害が出る前にしっかり対処することにしましょう」
 ルーンが立派と言う一方で、剣のスカイランナー・マコト(c00561)は半ば呆れていた。
「年がら年中ツッコミ入れてるって……本人はどうかは知らねぇが。相手してる方はスゲェ疲れそうだなオイ。しかも断末魔までツッコミっつーのは……あれか、『プロ根性』って奴か?」
 村では案外好評の可能性もあるが、皆がそれを知る由は無い。 
「どんだけツッコんでんだよ」
 最後にツッコミする辺り、マコトもそれなりにツッコミ体質らしい。
「そのような愉快な方を亡くすのは色々と惜しいですよね。そうでなくとも、私達の出番なのですけど」
 水色と白の騎士服で固い雰囲気が漂う、真銀のアリア・リセリル(c07186) が締めの言葉を口にした。
 件の男が持つ性質ゆえ、イマイチ締まらないような。
 しかし、四方から殺気を感じれば、全員が気を引き締めるのは必至だ。
「私達を囲い込もうとしていますね。勇気と言うか無謀というか……」
 ディアホーン達が姿を現し、リセリルが独りごちた。
 臨戦態勢を取りつつ、六人はあえて敵を泳がせる。後始末に使える穴を掘らせておくのだ。
 戦闘要員のディアホーン達が少しだけ仲間と距離を縮めた。陣形を若干変えたが、依然として囲い込もうとしている。
 そんな中、下っ端のディアホーン達は後方で雑用に必死だ。何となく漂う哀愁。
 頃合を見計らって、アデルバートは言い放つ。
「その墓穴を、お前たちの墓穴にしてやる。せっかく準備してるみたいだが、残念だったな」
「それでは参りましょう! 一気に蹴散らしますよ!」
 リセリルが開戦を告げた。

●突っ込めエンドブレイカー!
 下っ端の一体にチェイスの印を付け、マコトは先手を打った。
「お前は絶対に逃がさないぜ」
 攻撃も先手必勝でバルカンのクロを呼び出し、プレノアは声をかける。
「ルーンさんは隣の鹿さんをお願いします」
 静かに、ルーンが頷いた。
「罠発動、肉を裂き骨をも砕くこの仕掛けもはや逃げられん」
 頼まれた対象にトラバサミと捕獲網を二つずつ。両足を挟み、両手を絡め取り、雁字搦めだ。
 仲間の大打撃を見やったディアホーンの顔面に、火炎弾がヒットした。クロの前脚から放たれたものである。発火現象で顔面と、蝋燭のように角の先端に点火。
 罠で豪快に敵を捕らえ、ルーンは暗い笑みを浮かべていた。
「皆、今こそとどめの時だ」
「まだ戦いは始まったばかりです」
 プレノアが落ち着いた様子で宥めた。
 とはいえ、ディアホーン達の撤退条件を満たすのは時間の問題か。だがまだその時ではない。
 攻撃を受けた二体は槍を回転させて竜巻を起こした。一体がアデルバートに風刃乱舞と風縛だ。もう一体もマコトを風縛し、ストームチャージする。
「気合入ってるとこ悪ぃが……隙だらけだっ!」
 つま先で地面をとんとんと蹴り、マコトが現状に思考を巡らせた。強力な攻撃を防御できないのは危険と踏み、次に備えた一体の上空に飛んだ。
「ご大層な角持ってんなら武器を使うなってーの」
 真紅の刀身『クリムゾンエッジ』で真上から斬りかかった。着地後、火事の真っ最中であるディアホーンの角に目がいく。
「ってその角が燃えてんじゃねぇか!」
 額に頭突きを当て、気勢を削いだ。再度ジャンプしてもう一体を倒し、元の位置に戻る。
 無傷のディアホーン達は激昂して向かってきた。一体が十連突きでマコトに傷を負わせ、最後に槍念の構え。
 もう一体の到着前に、アデルバートが『アンクルウォルター』を振るう。
「今、纏めて墓穴に突っ込んでやるぜ」
 地面を凍結し、手負いの一体に接敵した。真紅のバラがモチーフである武具の装飾に違わぬ、華麗な滑りだ。
 しかし、敵にはボケるように計三回も転ばれる。
 氷上ダンスの興を削がれた。攻撃の手が出ないまま、オーロラを発生させてリセリルに纏わせる。
「こいつはリセリルちゃんにお任せだね」
 移動してきたディアホーンが、防御不可のアデルバートに槍を突き出した。六人の中では唯一、仲間に力を貸せる彼を知らずの内に強襲だ。怒涛の三十連突きで、狩猟服の硬革を穿つ。
 サクラがすかさず、「コルリの教え」と「薬箱」の紋章を展開する。
「今、回復しますね」
 仲間の窮地を念頭に置き、優先したサクラの対応は実に早かった。紋章の光がアデルバートを包み込み、彼の傷を癒して守備も取り戻させる。
 サクラの機転で、リセリルはもう攻撃に集中するだけだ。もっとも近い敵に肉迫して睨みを利かす。
「あなた達の相手は私です!」
 竜の翼を模ったような刃のついたハルバード、『ゲオルギウス』を振り下ろした。白銀に煌く刃で全力の一撃と、矢継ぎ早に横薙ぎで渾身の一閃だ。
 オーロラを自身の力に変えたリセリルの猛攻は凄まじい威力だった。標的に直撃だけに留まらない。巨竜の羽ばたきが如き衝撃波が、近場の一体も巻き込んだ。
 衝撃波がマコトの横も通過し、炎に焼かれていたディアホーンを屠った。先程倒れていれば良かったものを……そう言わざるを得ない。吹き飛ばなかったのが幸いか。
 ようやく、下っ端のディアホーン達が前線の近くに辿り着いた。戦闘要員への接近を防ぐための殿に駆り出されるも、不完全な位置取りである。
 下っ端達の行動は移動だけに費やされたのだった。

●ボケツを掘った鹿頭の結末
 戦闘要員のディアホーン達と好機は逃せない。
 ヒュプノスのスノーを呼び出し、プレノアがルーンに目配せした。
「ルーンさん、もう一度です」
「ええ。確実に減らしましょう」
 プレノアに応え、ルーンは一瞬穏やかな表情を向ける。
 敵には冷たい視線を送った。
「ついでだ、貴様もまとめて喰らっておけ」
 連鎖戦術のトラバサミで弱り切った二体を纏めて狙う。
 しかし、本来の対象には槍で防がれた。
 スノーは催眠ガスを振り撒きつつ、狙いの一体を羊毛に包み込んだ。羊毛が心成しか陽気で育つように蠢き、敵の顔を埋め尽くす。
 悪夢な何かを見せられながら、昏睡状態に陥るディアホーン。
 難を逃れた最後の戦闘要員は下っ端達の脇を擦り抜け、やはり木々を背にした。厄介な逃げ方だ。
「逃げんじゃねぇ! テメェらが仕掛けた喧嘩だろうが!」
 マコトが声を轟かせた。突破口を開こうと、下っ端の一体に特攻をかけた。回転と急降下で突きを放つ。
 強制の殿役とはいえ、下っ端の壁は意外と厚く、二体同時に槍を操ってきた。
 深海の蒼を身に纏った鎧『DeepseaValkyrie』を穿ち、リセリルに十連突きだ。マコトお気に入りのロングコートも、八連突きで穿って槍を構え直す。
「自分達から襲ってきて、逃げようなんて甘いんじゃないですか?」
 リセリルは少しだけ追うように走り、下っ端の抑えに回った。大木を薙ぎ倒す思いで二度、全身全霊を込めた横薙ぎ一閃する。
 下っ端風情が、六人を相手にするのは無謀だ。
「今だよ!」
「まだまだ、これで終わりではないですよ」
 アデルバートに促されたのは、前衛寄りのサクラだった。「勇敢な者」の名を持つ靴、『ドレッドノート』で一歩を踏み出す。
「この蹴りは避けられませんよ」
 サクラは下っ端達の隙間をぬい、負け鹿にギリギリ蹴りが届く地点へ駆けた。
「この蹴りを受けなさい」
 長髪を翻したサクラが、手前の木ごと蹴り倒すつもりでキック連打した。ローとミドルを交互に、二度の乱舞でディアホーンをKOだ。
 戦闘要員が全滅し、下っ端達も逃げ時になった。だが彼らではどの群でも、結局同じ道を辿るかもしれない。それならば、いっそ一思いに此処で。
 プレノアのスノーは、跳躍で一体を眠りに誘って夢食い。食べた夢に気分を良くしてか、目尻が下がる。
 トラバサミでルーンが捕縛完了し、他の三人が昏睡中の一体諸共ケリをつけた。
 アデルバートは最後の一体に火炎、氷雪、雷鳴の斬撃を放つ。響く、それぞれの轟音。
 三属性の力は尚も迸り、静まる気配が無い。
「止めだ!」
 再び唸る力を解放し、アデルバートが三連魔天斬を繰り出した。
 そうして、ディアホーン退治は終幕。
 戦闘を終え、一先ず傷の手当をした。その後にプレノアのドローブラウニーで、効率良く掃除と埋葬だ。もちろん掘られた穴は有効活用。
「図らずも彼らの墓穴になりましたか……」
 プレノアが埋葬後にお祈りした。
 長居は無用で、六人は帰路につく。
「ツッコミ体質というのですかね……ある意味凄く愉快な方でしょうね。」
 道中で少し見たいと思いながら、サクラがぽつりとそう言っていた。



マスター:森高兼 紹介ページ
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いまいち
参加者:6人
作成日:2011/01/19
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冒険結果:成功!
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