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腐りゆく沼

<オープニング>

●腐りゆく沼
 腐臭。
 その沼の近くを通るときはいつもいやなにおいがする。けれども沼の横を通らなければ目的の村までいけない。
 友人が恋人と結婚すると言うのだ。それを祝いにいくことは昔からの、幼い頃からの約束だ。
 友人に会いに行くときはいつも思う。友人も、この沼はどこか気味が悪いなといっていた。
 薄暗い中にぼわりと存在する沼。岸辺から少し離れた場所を歩いていても、どことなく恐ろしい。
 エルフの青年ははやく通り抜けてしまおうとその足を進めていく。
 こぽり。
 ふと沼から何か、小さくはじけるような音が聞こえた。
 そしてその足が止まる。
 こぽり、こぽり。
 再び響く音に青年は眉をひそめた。
 ひそめると同時に、恐怖に覆われる心。
 沼の中からぞろりとその体を引き出すアンデッドたち。
 驚き腰を抜かした青年はその場所にへたりこんでしまう。
 そして彼が友人の結婚式に出ることは、なかった。

●閉ざす事はなく
「おーい、時間空いてるかー?」
 酒場に入ればひらりと手を振って太刀の魔獣戦士・ミギナ(cn0032)が呼ぶ。
 その隣にはエルフの青年。
「このエルフのにーさん、ヨルドっつーんだけど、ちょっと護衛してくれねぇ? これから友人のいる村まで結婚式にいくんだと」
 そう言ってミギナは彼を紹介した、ちょっと料理を注文してきてくれと席を立たせる。
 真面目な表情はマスカレイドの話だ。
「あいつがアンデッドマスカレイドに殺されるってエンディングを見たんだ」
 ヨルドは友人の結婚式に向かうために沼の横を通る。沼の横を通らなければ村にはいけない。
 そこを通っているときに、アンデッドマスカレイドが現れヨルドの命を奪う。
 このエンディングを阻止するにはアンデッドマスカレイドを倒すしかない。
「あいつ、最近よく酒飲んでる相手でな。そんな不気味な場所通るなら一緒にいくやつ探してやるよって流れになって、お前らに話をふってるわけだ」
 不気味の悪い場所を一人で通りたがることはない。
 護衛を雇うほどのことはない。でも善意で共に行ってくれるならそれは願ってもないことだ、と彼は思ったようでミギナの提案に乗ったのだ。
「で、敵のアンデッドマスカレイド。ボスになんのは刃先が折れた鎌を持った半分以上崩れた体のやつ。人の形を取ってるのはそいつだけだったからすぐわかる」
 折れた鎌を二本その手にし、引き連れてくるのは獣のアンデッドマスカレイド。
 その獣は4体、同じように体が朽ち果て、腐っている。元は犬だったのだろうが、その面影はすでにないに等しい。
 どちらも腐臭を漂わせ、沼から這いずりでてくるのだ。
「良い事の前に死ぬなんて悲しいからな。あいつを守ってやってくれ、よろしくな」
 ミギナがそう言ったところにヨルドは帰ってくる。
「お、皆行ってくれるって」
「本当ですか、どうもありがとうございます。あの沼の横を通るのはどうにも苦手で……皆さん、よろしくお願いします」
 一行はヨルドと共に、村へと向かう。


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参加者
悪魔憑き・フィーネ(c00324)
祈護の光刃・シモン(c01103)
那由他刀・ルーン(c01799)
白銀の月影・ルシエル(c08810)
赤蝕・ルーク(c10363)
剣の白狼・オヴニル(c10954)
盾の青狼・リリア(c12183)
地刑星・アール(c14261)
朧火のリムセ・カミユ(c15321)
群竜士・リゼット(c16972)

<リプレイ>

●不気味な沼の傍
 ほとほととうす暗い道が森の中を続いてゆく。
「いやぁ、本当に助かりました。一人では心細くて……決して怖がりなわけじゃないんですけどね」
「皆で歩くとピクニックみたいで良いですね」
 ヨルドの言葉にくすりと笑いながら、悪魔憑き・フィーネ(c00324)は言う。
 彼を囲むように護衛の10人で歩けば確かに賑やかだ。
「結婚する友人ってどんな人なんだ?」
 道すがらの話にと祈護の光刃・シモン(c01103)が問えば、ヨルドは友人について話始める。
 その姿はやはり、祝い事に向かうのだから浮かれて楽しそうだ。
(「無残な未来を変える為の力だからな」)
 彼の姿を見ていると、無事に送り届けねばという気持ちが強まる。
(「結婚式か……結婚ね……」)
 地刑星・アール(c14261)はその話を耳にしつつ先を行く。良いなぁと思いつつも、その視線の先は遠い。
(「人生のよき日のお祝いに向かう人が人生の終焉を迎えてしまうとは何と言う皮肉でしょうか」) 
 那由他刀・ルーン(c01799)もまた、そう思っていた。
 ヨルドと、ヨルドの到着を待つ友人のためにもこのエンディングはブレイクしなければ、と周囲を見回す。
 すると視線のその先、樹木が濃く生茂るのが見えた。
「あ、沼はもうすぐです……本当に不気味で……」
「確かに一人では遠慮したい感じだ」
 白銀の月影・ルシエル(c08810)の呟きにそうでしょう! と力強くヨルドは言う。
 相当、苦手な場所らしい。
 どこかうす暗い、所所ぬかるんだような場所もある道を進み行く。
 こぽり。
 沼の側を歩く赤蝕・ルーク(c10363)は水が小さく爆ぜるような音を聞いた。
 沼に抜ける注意を、さらに深くする。
「何かいるようです。慌てず落ち着いて、仲間の指示に従って下さい」
「え……わ、わかりました」
 その言葉にヨルドは頷き、一歩後ろへ下がる。
(「ヨルドさんが来なければご友人の方も幸せになれませんからね。必ず守りましょう」)
 その様子にルークは安心してください、と声をかけた。
「……後ろに……」
(「……ハレの門出……斯様な善き日に……この依頼……必ず完遂する……」)
 ヨルドを背の後ろに隠すように剣の白狼・オヴニル(c10954)はかばう。
 そしてふと、視線が盾の青狼・リリア(c12183)と合う。
(「……とても他人事では……無い……からな」)
 オヴニルとリリアにとって、結婚式に向かうヨルドを無事に送り届けることは、今何よりもなしたい事だ。
(「折角の門出を不幸な事故で台無しにしたくない。できれば……良い想い出になりますように」)
 結ばれる二人にとっては、友人の結婚という幸せを目にせずヨルドが亡くなる事は防がなければならない事。
(「身を挺しても必ず遂行する……しかし……誰も悲しむ事の無い様に……生きて戻る」)
 オヴニルがそう、心に深く決めた時だった。
 こぽり、と再び沼が爆ぜる。
 それと共に水面は浮き上がり、中から鎌をもった、腐敗した手がゆるりと現れた。
「ひぃ! 沼から、何か出……っ」
「これから結婚式だってのに、邪魔するなんて無粋にも程があるね! 遠慮なくやっつけちゃうよ!」
 朧火のリムセ・カミユ(c15321)はヘッドの部分が巨大な、威圧感バツグンのビッグヘッドを構える。
「吉日をわきまえず出てくるとは、野暮ですね……」
「コイツらは私達でなんとかする。君は友人の結婚式に行け!」
 皆の一番前より、肩越しに群竜士・リゼット(c16972)はヨルドを見る。そしてその視線はオヴニルに、任せたというように向けられた。
 ざばぁ、とゆっくりとした音とともに人の形をかろうじて留めているアンデッドが現れた。
 その顔の部分には、マスカレイドの仮面。
 折れた鎌を振り上げ、少しずつこちらへと近づいてくる。
 それに続いて沼からさらに4体のアンデッドマスカレイドが現れた。犬の形を思わせるそれは人型のものの先をゆき、沼からでると共に身震いをする。その身体の一部は朽ち果て、腐臭を放っていた。
 犬のアンデッドマスカレイドの一体が、ぱっとこちらへ走り始めると同時に、他の3体も向かってくるのだった。

●腐臭を漂わせて
「逃げろ!」
 ルシエルに言われ、ヨルドは来た道を戻り始める。その傍にはオヴニルが付き、安全な場所まで共に走ってゆく。
 人型のアンデッドが鎌を掲げ、黒き雨を呼ぶ。黒き雨は一番前に立つものたちの体力を奪う。
(「こんな吉日に無粋な輩だ……それとも一緒に祝いに行こうとでもいうのか?」)
 思いながら、ルシエルは掌を人型へと向けた。
「残念ながらそんな姿ではご同行頂くのは無理だね。再び暗い水の底へ帰ってもらうよ」
 放たれた電光は空を撃ち人型のアンデッドの身を貫いた。
 と、一体の犬のアンデッドが突出してでてくる。
「どこへ行こうって?」
 その前に立ちふさがったのはルーク。
「お前の相手は俺達だ」
 静かに放たれた言葉とともに仕込み杖から引き抜かれた太刀はその身を捉える軌跡を描く。
「ちょっかいは出させん」
 犬型の合間をぬって、人型へとアールは接する。
(「攻撃の壁となって退路の確保だな……ヨルドが逃げる道を安全に」)
 やる事は、一つ。魔獣の腕を人型のアンデッドへと振り下ろす。
 リゼットは走りよってきた犬型へと竜の宿る拳を叩き込む。身体の中央を捉え、振りぬく拳に犬型の身は爆ぜるように持っていかれた。
「――盾の青狼、参る!!」
 リリアの放った気は二頭の竜の形と成りて犬型へと喰らいつく。
 また別の犬型が退避するヨルドたちを守ろうとするオヴニルの方へと走ってゆく。
 だがその間にフィーネが割り込みノコギリ大を振るう。それは硬き盾となる動き。
「と押しませんよ、くるくるくるくる〜」
 飛び掛ってきた犬の攻撃を、大鎌を纏うように受け流せば、その犬へとすばやく踏み込む影がある。
「この先は通行止めだお帰り願おう」
 犬型の身体を物干し竿に引っ掛け、向かう方向と逆に吹き飛ばしたルーン。
 その犬型の前に奇術師ゼペットの紋章がシモンより向けられた。そこから飛び出すのは鳩の群れ。
「護ってやらなきゃ男が廃るぜ」
 鳩たちは一斉に犬型の身を貫いてその仮面と共に身を沼へと還す。
「私のハンマー痛いぞー!」
 カミユはビッグヘッドを大きく振り回す。
 一回転目を犬型はさっとよけたのだが、二回転目はその巨大なヘッドが敵を捕らえる。
 がっ鈍い音と共にふらつく犬だが、倒れずにばっと助走をつけ飛び込んでくる。
 向けられた牙は遠慮なくカミユに傷を負わせてゆくものだ。
「痛っ! 倍返しするから!」
 カミユは地団駄を踏みビッグヘッドを向ける。だがその身を癒しの拳が撫ぜれば、その傷口はふさがれる。
 それはヨルドを戦闘の煽りを食らうことの無い無事安全なところまで送り、再び戦線へと戻ったオヴニルから。
「……待たせたな……」
 その言葉と共に前へと走る。
 犬を通さず、逃がす者を負わさずに向けていた気を攻勢へ。
 相対するアンデッドマスカレイドの仮面を砕くべく、それぞれの攻撃の手は激しさを増す。

●砕ける朽ちるその身
 人型のアンデッドマスカレイドは未だ黒き雨を呼ぶ。その範囲はさらに広まるとともに雨は毒気を帯びる。
「それにしても、まだ沼地にいるアンデッドが残っていたんですね」
 のんびりと呟きつつも、フィーネのその左目が光を帯びる。邪眼から放たれる光の一筋。それは人型の身を貫いた。
 それに続けてルシエルはマジックカードを放つ。
(「あの、沼地の魔女・ヴィオラを思い出してしまうのは僕だけだろうか……?」)
 星刃の魔力持つカード、そして鼓舞するカードはアールへ。
 その身を撃つ電光に人型は身を振るわせた。そこへ、ルシエルから鼓舞のカードを受けたアールの魔獣の手が向かう。
 振り下ろした爪は人型の身を裂き、その流れからの反動を使い魔獣の手の甲で殴打する。
 その攻撃のお返しというように、折れた鎌を回転させながら人型はアールへ斬りつける。
 ざくりと走る赤の一閃。
 痛みはある。
 だがそれを眉をひそめてやり過ごす。周囲に大したことない、と示すために。
 敵もやられてばかりはいないのだ。
 犬の牙はリゼットを捉える。牙は足へ深々と突き刺さり、その身より血を流させる。
「まだ、倒れる訳にはいかなくてね!」
 牙が離れると同時に、リゼットはシュトゥルムアングリフを構え直す。
 不屈の心、それとともに次の一手へのイメージがわき上がる。
 犬型たちは特に一人に対する事に固執することなく、それぞれの間を行きかう。
 ぱっと方向をかえ、走り始めた犬型にルークは魔鍵を投げた。
「そっちには行かせません」
 ガッと影を、このぬかるむ地面ごと突きぬくような魔鍵の一撃。
 それは丁度、仮面のある頭の部分の影へと落ちた。影の受けたダメージはそのままその身に突き抜け、仮面にヒビが一筋。
 それを見てルーンは棍を握る力を強めた。
 傍にいる一匹、そしてその仮面にヒビを走らせた一匹は、射程の範囲。
「我が棍は全てをなぎ払う螺旋の一撃」
 ルーンが振り切る棍は2体をまとめてその円を描く軌道に乗せる。棍にかかる重さを感じながら降りきれば、その重さは途中から軽くなる。
 攻撃の衝撃に仮面は砕かれ、途中でその身は朽ち果て消え去ったのだ。
 犬型の一体へ向け、シモンが描くのはブルームスターの紋章。
 先程犬型に攻撃を受け、その噛みつきによって受けた痺れに動きを阻害されつつも描いた紋章は、力ある声を響かせる。
 描かれたのは天揺らぐ悲劇をうたう紋章。そこより響く声に犬型はダメージを受けていた。
 そこへ、カミユのハンマーが向かう。ビッグヘッドの中心は、犬の仮面を捉えた。
 力の限り、勢いをつけて振り切られたハンマーにより、犬の仮面は打ち砕かれる。
 砕かれると同時に、その身は崩れ落ちぬかるむ地へと落ちて果てた。
 残るは犬型一体と、人型のアンデッドマスカレイド。
「現世に、お前達の居場所はない!」
 リリアが放つ竜。牙を抜けた竜の一体はその前をゆくオヴニルへ力を貸す。
 犬型に食らいついた竜、そのすぐあとに続くオヴニル。
「……剣の白狼、参る!!」
 投げられたナイフはその数を増す。ガガガッと仮面を突き崩す勢いで突き刺さるそれに犬の身が跳ねる。
 仮面を半分割られても、まだ倒れぬ所へルークの魔鍵が落ちる。
 影を貫き、仮面を砕けば残るは人型のみ。
「お前を、進ませなかったな」
 漆黒の瞳で真っ直ぐ人型を射る。応える瞳はないが、仮面へと魔獣の爪を向けるアール。
 そこへリゼットが踏み込み、その拳を突き出す。心臓を狙ったそれは確実によりダメージを人型へと与えるために留められる。ぐっとよりきつく握られた拳を人型へ撃ちこむために。
 攻撃を受けた人型にはさらにフィーネからの視線が突き刺さるかの如く。放たれた光線に貫かれ、その身体の一部がぼろりと崩れた。
 続けてルーンの棍が回転をつけて、その身を巻き込むかの如く振られた。
 人型の身はさらに崩れ、がくりとその場に膝をつかざるを得ない状況となった。
 シモンが描いたコルリ施療院の紋章は今まで人型と接していたアールの傷、そしてリゼットの傷も癒してゆく。
「……咆哮せよ……我が魂!!」
 畳みかけるべくオヴニルが放った獅子のオーラはその牙を向ける。
 と、同時に仮面へ走る日々。
「終わりにしよう」
 その言葉とともに放たれたルシエルの電光。
 うす暗い森の中に走る電光の一閃は、人型のアンデッドマスカレイドの仮面を打ち砕いた。

●幸せのカケラ
 人型のアンデッドマスカレイドが、その場に崩れるように倒れる。
 朽ちた身体は、さらに戦いで身を崩しもうほとんど残っていないような状態だ。
 今まで戦っていた相手の、その身体を見つめルシエルは瞳を伏せ黙祷を捧げる。
 だがそのままにはできぬもの、ルーンはフィーネの方を向く。
「無事に終わって何よりです、さて死体をここに残すわけには行きませんしお願いできますか?」
「時間も少しかかっちゃうので皆さんには先に行ってください」
 フィーネは頷いて、他の皆へと声をかける。
 一人で安全な場所にいるヨルドを迎え、そして結婚式へ送ることで護衛は完遂となる。
「さて、先を急ごうぜ」
 シモンが言ってそれぞれヨルドのもとへ向かい始める。
 残ったフィーネはそっと朽ちた身体へと触れた。
(「死者には安寧を。残る私達が代わりに生き抜きます……」)
 触れた指先から伝わることはないことは分かっているけれども気持ちをのせる。
 刻まれた刻印によって、やがてその身体は消え果てる。
 その様子をルーンも最後まで見守り、消え去ったあとは共に村へ向かった。
 二人が向かい始めること、皆は丁度村へと到着したところ。
「よし、到着っと。式、俺の分まで祝ってやってくれな」
「皆さん本当にありがとうございました。無事に結婚式に……」
「いいから、早くいかないと始まるよ」
 長々と礼を述べそうな雰囲気にルシエルが苦笑交じりに言えば、ヨルドは最後に一度頭をさげて賑やかな方へと走ってゆく。
「エンドブレイクするなら、やっぱりこういう気持ちいい結末がいいね!」
 うんうん、と何度か頷いて、カミユがにこっと笑顔を浮かべる。
 村の中央から響く祝いの声。
 それを遠目にルークは見つめる。
(「友人の結婚式、か……考えたこともなかった」)
 ふと思い浮かんだのは幼馴染の姿だ。
(「あいつらもいずれ結婚するんだろうか……想像はつかないが」)
 もし、そんな日がいつかくるのならば祝う約束をするのもいいかもしれない。
(「帰ったらヨルドさんと同じ約束を申し出てみようか」)
 どんな反応をするのか見ものだ、とその様子を思ってふと表情が緩む。
 遠くで祝う声を聞くのはルークだけでなくアールもだ。
 結婚か……と心の中で呟く。
 戦い終え、泥の跳ねたこの姿では祝いの席に水を差すことになる。
(「……良いなー」)
 口には出さず、遠目に式をみつつアールは何度も思うのだった。
「友人の式に間に合ったようでなによりだ」
 リゼットもまた、無事に事が終わり一安心。無事を見届けて帰ろうと身をひるがえせば、オヴニルとリリアもまた結婚式を見つめているのを目にし、肩を竦める。
「結婚式か、私には縁が無い物だが彼らにはありそうだ」
 オヴニルの後に、隠れるようにリリアは立って式を見ていた。
「花嫁さん……幸せそうですね……」
 その瞳には、憧れの色。そしてそっとその手は、オヴニルの手を知らずのうちに握っていた。
「……我等も……斯様に在りたいもの……だな……」
 ふれあった手を優しく、そっと包み込むようにオヴニルは握り返す。
 幸せの溢れる村が、悲しみの色を宿すことを無事に防いだ彼等は、そっと村を後にするのだった。



マスター:志羽 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/02/05
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