ステータス画面

カシアスの乱:波濤寄す

<オープニング>

 騎士団総帥ドンチャッカが、騎士団を総動員して森に向かってから数日後。
 閑散とした、エルフヘイム騎士団の本部に彼らは現れた。
「あ、あなたは……」
 受付の若いエルフは、目を剥いて驚きを表す。
 それもそのはず、彼の目の前に居たのは、過去の罪状を暴かれ投獄されたはずの有力貴族カシアス老と、失脚した筈の騎士団副団長。
 そして、ひらひらと飛ぶ小さな妖精を連れた、若い女性のエルフの3人だったのだから。
「よ……ようせい??」

 若いエルフは、カシアス老にも驚いたし副団長にも驚いた。
 しかし、妖精を連れた若い女性のエルフに対する驚きは、それを上回った。
 それは、エルフヘイムの伝説上の存在である証。
 エルフヘイムを救った真実の救世主、妖精騎士の証であった。
「その通り。このお方こそが現代に蘇った妖精騎士ドロシー様だ。さて、そなた。妖精騎士の御前で、何の許しがあって頭をあげるのか」
 カシアス老の勝ち誇った声を聞いた若いエルフは、ただただ平伏するしかなかったのだった。
 現れた3人に、マスカレイドの仮面がある事は、平伏した彼には知るよしもなかった。

 その後、レジスタンスの拠点を隠す森の中。
 崖下で起きた獣達と騎士達の対峙はそのまま戦闘へともつれ込んだ。
 奇しくも攻撃の主軸が前衛で獰猛に攻撃を繰り返すという点で共通した両者の戦いだったが、戦況が容易に騎士側の優勢へと傾いた理由は、騎士側が数で優っていた事、他者を癒す技を持っていた事の他に、連携の有無だろう。
「はっはー! さぁすが俺の部下共だ、良いじゃねぇか!」
 弓の騎士によって負傷を癒された隊長が野卑な励声を上げる。
 すぐ目の前では防御を固めて仮面の大熊を止める剣使いがおり、アイスレイピアの騎士と槍の騎士は複数人掛かりで鎧のように大熊の身を覆っていた剛毛を砕き、守りを崩していた。
「ランドス隊長、とどめは任せましたぜ!」
「毎度この瞬間がたまんねぇなぁ!!」
 ハンマーが振り下ろされる。それは三度重ねた力の蓄積によって三倍に強化された威力をもって、爆発するような衝撃で大熊を叩き潰した。
 勝利の後、騎士らは先行部隊へ合流する為にレジスタンスの拠点へ向かう事となる。
「てめぇら解ってんな? ぜぇんぶ、妖精騎士様の仰せの通りに、だ」
 騎士達が卑しい笑い声をたてる。
 目的は拠点の壊滅であり、ハーフエルフの回収だ。
 獣の血肉がこびり付いたハンマーを掲げ、これからの殺戮を思ってランドスも白い仮面の下で低い笑声を漏らした。

●暗雲、更に濃く
 語り手・ルーク(c05200)が危惧していた事が現実になってしまった――。
 そう、固い表情で扇の群竜士・シモン(cn0063)が語り出した。
「カシアス老が動いた。事態はかなり悪化してる」
 騎士団総帥ドンチャッカはエンドブレイカーに全面協力を約束したが、騎士団全体の意思が統一された訳ではない。
 戒律至上派と騎士団副団長が総帥不在の隙を突き、反乱を起こしたのだ。
 この反乱には、投獄されていた筈のカシアス老の姿があるという。
 軍獣単位・オズワルド(c09213)の予測通り、どうやら何者かに拉致され、そこでマスカレイドにされたのだろう。
 現在は騎士団副団長を含め、彼の旗下に置かれた全ての騎士がマスカレイドとなってしまったようだ。
 カシアス老は新たな騎士団総帥として、同じくマスカレイドとなった妖精騎士を任命。ハーフエルフの住むレジスタンス拠点に向けて進軍を開始した。
「このままだと拠点の壊滅は必至だ。不幸中の幸いというか、騎士団側の開拓に協力したやつなら詳しいと思うが、レジスタンス拠点への道を繋ごうとすると出てくる獣のマスカレイドがいたろ? あいつらが騎士のマスカレイドの前に立ち塞がる」
 レジスタンス拠点を攻める騎士マスカレイドと、守る獣のマスカレイドは敵対関係に当たるのだ。
「マスカレイドだ、両方とも見過ごす訳にはいかないが、両方とも同時に敵に回すのはきつい。だから今回は両者の対立を利用して戦った方が良さそうだ」
 獣マスカレイドは7体。狼型が5体、自らを強化する事のある噛み付き攻撃を行う。素早い代わりに体力は低い。
 大熊型は2体、ドレイン効果を含む近接爪攻撃と、意識を集中する事によってダメージの回復や毛皮を鎧のように固められる技を持つようだ。動きの遅さを補う体力の高さを誇っている。
 対する騎士マスカレイドは10名。ハンマー使いの隊長を中心にした戦い方を組んでいるらしい。
 これらを一網打尽にするにはなんらかの方策が必要となるだろう。
「ドンチャッカ側の動きだが、今回の乱で制圧された騎士団本部奪還に向かうんでこっちに手は裂けないだろうな。レジスタンス側も相変わらずクライブ不在なんで組織的な動きは期待できない。つまり、俺達でやるしかないんだ」
 言い切った後、必要以上に力んでいる自分に気付いてシモンが少し笑った。
「まぁ、要するに今回も頑張ろうぜって事だ!」
 強い意志を持つエンドブレイカー達なら混迷する事態も切り拓けるぜと、皆への確かな信頼を込めながらシモンは言葉を結んだ。


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参加者
虎熊童子・マクシミリアン(c00495)
不均等な二律背反・ユミナ(c01686)
貴方を護ると誓う盾・メニメ(c04707)
飴色鼠・キルフェ(c05383)
樫の槍・マヌア(c06020)
天黎凛花・マグノリア(c09731)
紅蓮姫・サラ(c10601)
社会の理不尽と闘う男・ジョセフ(c11046)
リーベディッヒ・カエコ(c12550)
鬼梟・ダズ(c18088)

<リプレイ>

●襲撃の時
 仮面の獣達が吠えた。
 睨み合いは終わったのだと、次々に地を蹴り飛び掛る狼達を、前に立つ騎士達が受け止めていく。その様子は高波を堰き止める堤防に似て、狼達の牙は傷跡を付けこそすれど堅固な構えを崩す事はなく、逆に先頭に立つ男が振り下ろしたハンマーの衝撃によって獣達の牙城にひびが入った。
 戦闘がそのまま続けられたのならば、両者の戦いは騎士達の勝利という形で決着しただろう。
 しかし、それを掻き乱す存在が崖の上から銀の髪を靡かせながら飛び込んできた。

「うわぁっ!! だっ、誰だお前っ!?」
 崖上から騎士マスカレイド達の背面へ降り立ち、大剣でを構える女――紅蓮姫・サラ(c10601)へ誰何の声が飛んだ。
 騎士達へ降り掛かるのは、それだけではない。
「後ろぉ、何が起きてる!」
 後方の異常に気付いたランドスが振り向こうとした瞬間、崖上から彼を狙って炎弾が降り注いだのだ。
「なんとも異様だ……」
 樫の槍・マヌア(c06020)がマスカレイド同士の戦いを見て呟いた。
「……今だね、仕掛けよう」
 崖の上でマスカレイド達の激突を見ていたエンドブレイカー達が、サラが駆け下りるのを見て天黎凛花・マグノリア(c09731)が放った炎弾を合図に7名の仲間が崖を駆け下り始める。
 崖を降りるタイミングについて齟齬はあったが、両者が激突した時は、騎士達が周囲への警戒を疎かにする時でもあった。奇襲としての効果は薄れたが、作戦自体に滞りはない。
「伝説の妖精騎士を騙り、秩序を乱す彼らに従う偽りの騎士たちよ! わたし達はドンチャッカ総帥の指揮の下、あなたたちを粛清する!」
 不均等な二律背反・ユミナ(c01686)が、駆け下りる勢いのままにサラの側にいる弓兵へ距離を詰める。
「11が騎士筆頭、ユミナ・アロケス。いざ、参る!」
 高らかに名乗り上げると、真紅の大剣で勝利を表す衝撃を重ねて弓兵へと叩き込み、その斬衝が消える前に社会の理不尽と闘う男・ジョセフ(c11046)が戦斧を振り抜いた。発生した衝撃波は別の弓兵諸共に薙ぎ飛ばしている。吹き飛ばされた弓兵は仲間から離れた木にぶつかって止まる。
 騎士達の陣形は隊長を先頭とした変形の鋒矢であったが、このジョセフの一打によって最後尾弓兵2名が分断された。狙って作った状況ではないが弓兵から先に倒すには良い形だ。
 空中に足場を作って跳ばすとも一気に詰め寄れると判断した飴色鼠・キルフェ(c05383)が、奥歯で飴を噛み込みながら連続して飛び上がり、孤立した2名の弓兵の頭上から突撃を加えていく。
「戦況を乱していきます!」
 崖の上には合図を出したマグノリアの他に、リーベディッヒ・カエコ(c12550)と虎熊童子・マクシミリアン(c00495)が残っている。回復とバッドステータス付与が主な役割だ。
 先に着弾した炎によってランドスが怒りの波動に包まれているのを見たカエコが「頑張ってくるねおねえーちゃん」と、姉から貰った大切なカエコの杖を振りバルカンを喚ぶ。バルカンの炎は、最も崖に近い場所で前線を堅守していた剣兵を同じように怒りの波動で包んでいった。暴走が解けるまで、ランドスと剣兵1名は獣側から動く事はない。
 マクシミリアンも、トラップをばらまき、マキビシでランドスの動きを阻害していく。
「よぉ、偉大なるスフィクスはお前等に、ココで獣と戯れろって言ってたのか?」
 揶揄を込めて言うも、マスカレイドである彼らがまともに答える事はない。例えマスカレイドでなくとも、挟撃となった状況で敵と話す義理などありはしないのだろう。
「アホな戒律に囚われて冷や飯を食わされた挙句、ニセの妖精騎士に惑わされて、こんな所で遊んでやがる」
 アイスレイピア兵がキルフェに氷柱を、槍兵がジョセフに竜巻を撃ち出しながら怒号を飛ばすのを眺めて、マクシミリアンは喉の奥でくっと笑った。

 眼下では乱戦となりつつある。
 マヒを受けたキルフェのカバーも兼ねて鬼梟・ダズ(c18088)が弓兵の1名を倒すまではエンドブレイカー達の予定通りだったが、獣側にいた3名の剣兵が背面を庇う為に後方へ移動。内2名はサラ、ダズへ攻撃を加えて防御を固め、障壁の役割を果たそうとしている。
 生存している弓兵2名も、マヌアが獣じみた声を上げて近付くも、すぐさま剣兵の後ろまで退いてしまったのだ。
「私たちが失敗するわけには行きません」
 妖精騎士の足止めを行っている仲間達を思えば、ここで最善を尽くすしか手は無い。
 マヌアと同様に主軸の攻撃に遠距離アビリティを選択していた為、崖を降りながら攻撃出来る者と比べて一手遅れがあるが、この場での最善は道を拓く事だと、貴方を護ると誓う盾・メニメ(c04707)が目の前の剣兵へ盾を向けた。

●戦場、乱れる
 幾度か剣兵と殴り合って気付いたが、弓兵から後方の剣兵へと癒しの力が飛んで来る頻度が低い。槍兵もこちらへ来ない。
「其は幽界の導にして、厄災の調……」
 それはマグノリア達の攻撃が的確に働いている結果でもあり、前方の獣達も騎士達に楽な戦いをさせていないからだろう。敵の敵は味方という事か。
「最後の弓兵、倒れました!」
 マクシミリアンの蓄積した力を解放した高威力の矢によって弓兵が全滅した事をカエコが伝える。
 剣兵に遮られる事なく弓兵を狙える位置にいた3名は、仲間の回復やバッドステータス付与に手を裂きながらも、癒しの力の連発で自らの力を殺ぎ続けた弓兵へ着実にダメージを与え続けたのだ。
「偶にゃ乱戦も悪かねえな」
 隣接する剣兵を吹き飛ばしたダズが大して面白くもなさそうな顔付きで呟いた。

「わたしは騎士として、勝利をここに誓うわ!」
 サラの腕を弾いた剣兵をユミナが斬り付け、ジョセフが渾身の一撃で撃ち薙いだ後に目を細めた。平静を装ってはいるが内面ではクライブの不在に対して苛立っている。折角救った者達を失う訳にはいかないが、剣を受けた脚が付いてこない。
 サラの再度の殴打で力尽きた剣兵の一人が落ちる。
「騎士様は人攫いも仕事の内なのな。ご立派なもんだ」
 挑発に答える声は無い。今はマヒも癒した後だと、キルフェがトンファーで殴りつけながら抑える隙間を縫うように、マヌアの槍風車がアイスレイピア兵を穿つ。
 道ははっきりと拓いた。残る剣兵にとどめを刺しながら、アイスレイピア兵と槍兵へと肉薄していく。
 この2名、特にアイスレイピア兵に防御を崩される者は多く、剣兵が立ちはだかっていた時は敢え無く十字剣を見舞われる羽目になった者もいたのを思い出せば厄介と言えたが、主力の攻撃をランドスに任せる彼らだけでは圧倒的に火力で劣り、決定力に欠けている。
 一度だけ偶発によってダズが深手を負わされたが
「愛し穢れを抱き、人恋う花は地に帰す……」
 マグノリアが澄んだ歌唱で柔らかな花吹雪を舞わせて、傷を癒すと共に鼓舞をした。
 ダズもアイスレイピア兵が倒れたのを見て崖に寄る。これからランドスとの戦いに移るならば回復力の底上げが必要な筈だ。仲間が大ダメージを負ってから移動した後にファルコンスピリッツを飛ばしていては間に合わない可能性が高い。それならばいっそ、ランドスに取り掛かる直前に動いた方が良い。
 槍兵の鎧装着や篭手装着に手こずらされながらも、じっくりと押し包んで倒した。

●波濤寄す
 エンドブレイカー達が見たランドスは、虚脱や死んだ数匹の獣と剣兵の遺体の只中で、肩で息をしている姿であった。
「ったくよぉ、本当に気に喰わねぇよなぁっ!?」
 満身創痍と呼ぶに相応しい有様だが、闘志は残っているらしく、大きく振りかぶったランドスが裂帛の気合を繋ぎながら直下にいた狼の頭を無残に潰し、ユミナにまで衝撃とダメージを及ぼした。
「きゃぁっ!?」
「呼んでも誰も来やしねぇ、いつものように戦えやしねぇ。俺の思うとおりになりゃしねぇ!!」
 ランドスの激昂を無視して、メニメが一歩前に出た。獣は狼が2匹、大熊が1匹生き残っているようだ。それを確認してからランドスを見据える。
「一つ問います、貴方の騎士としての誇りは、一方的な虐殺を許すのですか?」
「害虫は踏み潰される為にいるんだろうが」
 メニメの質問を鼻であしらうランドス。所詮はマスカレイドなのだ。
「結局は暴れたかっただけか? それだから俺みてぇなヤツにデカイ顔されるんだよ!」
「上からごちゃごちゃうるせぇ! 文句は降りて来て言えやぁっ!!」
 マクシミリアンが問うも、怖くて降りてこられないのかお嬢ちゃんと挑発を投げ返された。その態度の悪さにマヌアが苦々しげな表情を浮かべる。
「殺しを楽しむ頭がないだけ、獣どもの方がヒトよりかわいげがあるか」
「……貴方はこれ以上先に進めません、私が止めます」
 メニメが盾を投げた。ランドスはその一撃をハンマーでそれを叩き落すように防ぐが、盾が戻ると同時に駆け込んできたサラの攻撃を避ける事は出来なかった。サラは獣爪でランドスの胴を裂いた後、サードアームでランドスの腕を掴んだ。
「強い奴と戦えて嬉しいぜ、でも弱者を蹂躙して当然だっていうてめぇは気に喰わないんだよ」
 睨む強い瞳に舌打しながらランドスが髪を振り解く。
(「彼らの事を想う貴方。……ごめんなさい、見る事無き貴方。私は大事な存在に手を掛ける」)
 今や倒れた騎士達や、これから倒す者を慈しんできただろう者を想いながら、言い訳だけは思わずに、マグノリアは三度目になる日輪の輝きを宿しながら熱でランドスを焼き焦がす。
 あとは力押しの一手だろうとヒュプノスを召喚していたカエコだが何故か違和感がある。包囲を始めた仲間達へ叫ぶ。
「何か変です! 皆さん気を付けて下さい!」
 その声に、空中殺法での攻撃を考えていたキルフェがスカイキャリバーへと切り替えた。急降下突きから、連続ジャンプの代わりにトンファーで浅い殴打を与えて着地したキルフェが、解った違和感の正体を口にする。
「さっきの攻撃はハイパー消費してねぇて事か」
 獣相手に溜めては放ち続けた力が、今のタイミングでは十分に溜まっているという事だ。
 どうやら先ほどの攻撃は獣とエンドブレイカー達への牽制且つ自分の強化を狙ったものだったのだろう。
 次は確実に強化を重ねに重ねた脅威の一撃が来るに違いない。
「悪いな、頼む」
 飛ばした鷹がマグノリアの元まで届いた事にほっとしながら、ダズが回復を頼む。
「貴様が地を舐めるのが早いか、撃つのが早いか。競ってみるか!」
 ジョセフの言葉にマヌアの攻撃が重なり、まだエンドブレイカー達を敵と認識していない大熊と狼も牙と爪で立ち向かっていく。
 二勢力からの集中を受けて、立っているのもやっとの態のランドスはハンマーを前に出して耐えていたが、その闘志は既に風前の灯火だ。それでも蝋燭は消える直前が最も輝く。
「俺がなぁ、この俺が、負けるなんざ……ふざけた事があって堪るかよぉっ!!」
 総身に満ちた力を全て込め、ランドスが地面を強打すると地が震え、爆発のような威力を持った衝撃波が周囲に広がった。それに巻き込まれたジョセフやユミナ、狼はただでは済まず、狼は息絶え、その前の攻撃の余波を受けていたアミナはとうとう膝を折ってしまう。
「ざまぁ、みやがれ……」
 笑おうとしたランドスの脇腹に盾がめり込んだ。盾に繋がる鎖を握っているのはメニメだ。
「止めると言ったはずです」
 メニメの静かな呟きは聞こえたのか、内臓を潰されたランドスは仮面の下から血泡を溢しながら倒れた。末期の言葉はなかった。
「ったく……考えを改められねぇからこうなったんだって、わかんねぇのかよ……」
 マクシミリアンはその死を言葉で見送った。

●鼎足折れて
 使い手を亡くしたハンマーが音を立てて倒れる音と同時に、生き残った二勢力の対決が始まった。
 とはいえ、騎士マスカレイド達にひしがれた獣のマスカレイドは壊滅状態にあり、大熊1匹だけが生き残っている状況だ。
 ランドスの最後の一撃で痛打を加えられたが、十分な回復手段を用意しているエンドブレイカー達は、疲労している者は多いものの、致命的な傷は癒されていた。
 ランドスが攻撃に使った力をマグノリアは人を癒す力に使ったのだ。彼女の桜花演舞が大半を癒し、カエコが補佐的にヒーリングサークルで受けた被害は補えた。
 慣れた様子で大熊の攻撃から身を守ったダズの後ろから、ユミナが溜め続けた力を放つ時だと、振り翳した大剣で大熊を薙ぎ払う。
「はああああっ! 一刀、両断っ!」
 吹き飛ばされた大熊を追ってジョセフが走る。
「これで終わりだ」
 ユミナが負わせた胴の傷をなぞるように剣を振るう。ザン、と肉を断ち切る小気味良い音の後に、ズシン、と地響きを立てながら大熊が崩れ落ちた。木に凭れかけて一時の午睡に就くような姿で、血に塗れた大熊は二度と目覚める事の無い眠りに就いた。

 鉄の臭いがする。
 血の海の中、波濤に揉まれながらも勝利を掴んだエンドブレイカー達が立っている。
 ここでの戦いは終わった。
 だが、本当の敵がまだ待ち構えている事を、そこにいる誰もが悟っていた――。



マスター:山崎おさむ 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/02/07
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  • カッコいい13 
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