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決戦、妖精騎士:武侠戦線

<オープニング>

 スフィクス家の最奥、妖精騎士の寝所。伝令の妖精騎士に対し、異形の仮面を付けたマスカレイドの少女は、しかしその表情に苦悩の色を露わにして訴えた。
「いけません! あれなるは予言の戦士、私達妖精騎士が待ち望んだ『終焉を終焉させる者』です。どうか思い出して、妖精騎士の『誓い』を……」
 しかし、伝令は居住まいを正すと、彼女の訴えに驚くべき返答を返した。
「かしこまりました! 仰る通り、奴等が遺跡の守りを突破した所で、我ら精鋭に掛かればものの数ではありません。たちまちの内に蹴散らしてくれましょう!」
(「ああ、やはり言葉は紡げても、意味を伝えることができない……」)
 その少女の表情は、さらに深い苦悩の縁に沈んだ。
 長老の裏切りによりマスカレイドと化した後も、少女のみならず全ての妖精騎士は、ひたすらに抵抗を続けてきた。
 しかし仮面は肉体の自由を奪うのみならず、記憶を奪い、経験を奪い、意志や言葉さえも奪っていった。少女は、マスカレイドの支配によって身動きが取れぬまま、寝所での永遠とも思える時の中で、何度も仲間達の汚されてゆく様を見続けてきた。そしてその汚染は、遂には少女自身をも支配してしまったのだ。
 しかし、何よりも許せないのは、マスカレイドが妖精騎士の『誓い』を奪ったこと。
「結局私達は、あれほど待ち焦がれていた救世主に、悪意を持って弓を向けることしかできないのか。私達は一体何の為に、悠久の時を眠り続けてきたのか……」
 そのような少女の苦悩に気付くこともなく、伝令の妖精騎士は、少女から受け取ったと信じ込んでいる偽りの命令を、全ての妖精騎士に伝えるのだった。
「妖精騎士伯ウェンディ様の命である! 妖精騎士よ、寝所を荒らす不逞の輩を殲滅せよ!」

「アイネイア様、あれに見えるは」
「ああ、間違いない……敵だ」
 アイネイア、と呼ばれた妖精騎士の女が木陰から見据えるのは、前線を突破してきたエンドブレイカー達。丁度前線を突破してきたばかりらしく、腰を下ろしている者、武器の手入れを始める者など、様々だ。
 寸感としては、組織化された集団ではないらしい。年齢や容姿なども様々で、規格統一された武装を持っているわけでもなさそうだ。
「これならば、我らだけでも殲滅は可能なのでは?」
 アイネイアに付き従うエルフの騎士マスカレイドが言う。しかしアイネイアは、その言葉に鋭い視線を投げて返した。その射殺すような眼差しに、マスカレイドは己の失言を悟ったようだ。
「差し出がましい事を申しました」
「彼らは前線を突破してきた実力者だ。こちらも相応の対応をするのが礼と言うものだろう」
 アイネイアの斧槍が鈍く輝く。森の中では取り回しが難しい筈のそれが、彼女の最大の武器でもあった。
「では、やはり」
「ああ……正面から堂々と打ち崩す。それが私のやり方だ」
 ブン、と振られた斧槍に、真白き妖精が止まる。相棒の姿に目を細めて微笑んだのも束の間。
「待たれよ、侵入者!」
 アイネイア率いるマスカレイドの精鋭部隊は、今まさに遺跡へと踏み入ろうとするエンドブレイカー達に猛然と襲い掛かった。


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参加者
斧剣使い・ゼク(c00842)
白蕾・シェーラ(c01095)
黒鋼・エドガー(c01811)
心涙武曲・メグル(c01869)
月仰ぐ翠鴉・シャラ(c03272)
月下美刃・シキ(c04313)
灰ノ残骸・デュカ(c05551)
紫電・アコニタム(c10753)
恋する少女・ラーラ(c13184)
蠅虎の・ヒェンヒェン(c13270)

<リプレイ>

●対峙
「待たれよ、侵入者!」
 遺跡の入口に至ろうとした一行の前に、突如として響く声。周囲に警戒をしていたお陰でいち早く相手の影に気が付いた白蕾・シェーラ(c01095)が静止をかける。その目の前、遺跡の入口に立ちはだかるように、複数の影が姿を現した。
「貴君らが今し方踏み入ろうとするは神聖なる妖精騎士の寝所! 早々に立ち去られよ!」
 影は四つ、その中心に立つエルフの女騎士が朗々と警告を告げる。だが、それが最早適わぬ道理である事は、その場に集う全員の共通認識であったろう。
 女騎士の携えるハルバードの切っ先に、真っ白な妖精が留まる。それを目の当たりにした蠅虎の・ヒェンヒェン(c13270)は、警戒の色を一層強めた。噂に聞く妖精騎士。そのひとりが今、目の前に立ちはだかっているのだ。
「……チッ、ありゃァ相当やべェ相手だな」
 その危惧はあながち間違いではない。既にエンドブレイカー達は、その実力に気が付き始めていた。自然体でいるようで隙の無い所作に、心涙武曲・メグル(c01869)が唸る。
「説得は無駄なのよね、売られた喧嘩なら買うわよ」
 相手が何者であれ、その先に進む理由が彼らにはある。なればこそ、何が立ち塞がろうとも先に進まねばならないのだ。これ以上の悲劇を食い止める為にも。
 エンドブレイカー達が構え、戦闘の意思ありと判断した女騎士は、愉しそうにその口元を釣り上げる。それはさながら、好敵手を見つけた武人のように。斧槍を両手に構え、臨戦態勢を取る。それに応えるは斧剣使い・ゼク(c00842)の咆哮。
「妖精騎士とお見受けした! 待ちかねたようだが押し通らせて貰う!」
 轟く声に目を細め、女騎士は斧槍を高く掲げて応報する。
「左様! 我が名は妖精騎士アイネイア! 貴君らにはここで果てて頂こう!」
 互いの視線が火花を散らす。来るべき時の訪れに、互いが自然と足を踏み出した。
 名も無き戦の火蓋は、切って落とされたのだ。

●不測
「まっ正面からってのは、嫌いなやり方じゃねぇぜ。だが、こちらも退く訳にはいかないんでな。このまま突破させてもらうぜ!」
 真っ先に動いたのは、黒鋼・エドガー(c01811)。抜き放った剣を頭上で高く振り回したと思いきや、姿勢を低く構えて疾駆する。雄叫びを上げながら迫るエドガーの頭に、二本の角がそそり立った。そのまま、前に立つエルフの騎士へと頭から突撃する。二本の角に突き上げられ、エルフ騎士が後ずさった。その後を追うようにして、シェーラと月仰ぐ翠鴉・シャラ(c03272)が駆け抜けようとひた走る。
「……邪魔をされるなら……排除してでも、通ります……」
 シェーラは道を切り開くべく、その手にハルバードを握りしめる。だが、残る二人のエルフ騎士は立ち塞がるどころか、その道を明け渡すかの様に身を引いた。その眼前に開けた視界に、アイネイアが迫る。
「私が奥に引っ込んだままだと思ったか?」
 アイネイアの渾身の力を込めた横薙ぎがシャラを打つ。咄嗟にトンファーをねじ込ませて直撃こそ防いだものの、振り抜かれた斧槍の勢いまでは殺せない。シャラの身体が浮き、数メートル後ろへと押し戻された。
(「やはり強い、ですね……」)
 口元に浮かべた笑みはそのままに、シャラは心の中で驚嘆した。こちらの行動に合わせたかのような動きに、敵の柔軟性を思い知らされる。
 一方のシェーラは、手にしたハルバードを地面へと突き、棒高跳びの要領で斧槍を振り抜いたアイネイアへと飛んだ。鈍く光るハルバードが、アイネイアへと迫る。その一撃は、瞬時に身を捻ったアイネイアの肩を掠めるに留まるが、それでいい。元より彼女を引き付ける事が、この二人に与えられた役割なのだから。
 他方、残されたエルフ騎士達をエンドブレイカー達が取り囲む。アイネイアに対峙する二人へと攻撃が行かぬ様、分断を図る作戦だ。
「色々釈然とせんが、戦いでしか解決できんのなら分かり易いわい」
 月下美刃・シキ(c04313)がひとりごちた。本来であれば戦う必要のない相手であるが故に、その心情は如何程のものか。しかし、互いに退けぬとなれば答えはシンプルなものだ。戦って、勝つ。それだけなのだから。
「さて……いざ尋常に勝負、と言っておこうかの」
 言葉と共にナイフを手にし、優雅に宙を舞う。空を裂き、急降下したナイフの切っ先が、エルフ騎士の一人へと突き刺さった。更にヒェンヒェンが巻き起こした竜巻が、騎士の身体を苛んでゆく。その風に防ぐ術を失った騎士の胸元へと、メグルの雷を帯びた一撃が叩き込まれた。よろめく騎士の動きに、マヒの様子が見て取れる。
 だが、そこで騎士の行動に目を光らせていた灰ノ残骸・デュカ(c05551)の表情が変わった。ひとりの騎士をこちらが集中攻撃している間に、残りの二人が位置取りを微妙に変えていることに気が付いたのだ。そしてそれは、次の数秒で意味を持った。
「ッ! 拙い、離れろ!」
 デュカが叫ぶ。騎士達の陣形は、明らかに連携を意識したものだった。相手もこちらと同じ考えを持って動いているのだ。つまり──集中攻撃による各個撃破を。その標的は、恋する少女・ラーラ(c13184)!
「え……?」
 ひとりの騎士に攻撃が集中した事で、後衛への道が幾分か開けていた。各々が反応するより速く、騎士達が駆ける。見た目にも幼く、命のやり取りに不慣れな様子が、ラーラを最初の標的とする判断材料となったのだろう。騎士達の剣に、次々とオーラが纏われる。
「行かせる訳にはいかん!」
 ゼクが騎士達を止めるべく疾走する。だが、一歩及ばない。既にラーラの目前に迫った剣の輝きは、凶暴な肉食獣の牙の様ですらあった。
 しかし、そこに滑り込むように紫電・アコニタム(c10753)が立ちはだかる。盾を構え、ラーラを守る様にして不動の構えを取った。身体全体を盾としたアコニタムへ、次々と騎士達の剣が打ち込まれる。
「ぐ……うぅッ!」
 アコニタムの唇から苦悶の吐息が漏れた。だが、かろうじてその場に留まり、騎士達を睨み付ける。強力な攻撃の連打を受けた身体は悲鳴を上げているが、まだここで倒れる訳にはいかないのだ。
「大層な歓迎だ。礼を尽くさねばな……」
 デュカの眼が怒りの色に染まり、幾重もの剣戟が騎士へと打ち放たれる。戦いはまだ始まったばかりなのだ。

●苦戦
 アイネイア率いる精鋭部隊は、名に恥じぬ強さを持っていた。少数精鋭であるが故か、エルフ騎士達は決して分断されぬように立ち回る。アイネイアの抑えに回っているシャラとシェーラも回復こそ受けているものの、いつまでも戦い続けられる訳ではない。
 だが、それはアイネイア率いる精鋭部隊にも同様の事が言えた。彼らには致命的な弱点として、癒し手がいなかったのだ。彼らは長期戦には向いていないという欠点を孕んでいた。
 しかし。それでも尚、騎士達の振るう剣に迷いはない。それは、ここが彼らにとって神聖な場所であるが故なのか。
「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっ!!」
 ゼクの裂帛の気合いと共に、獅子のオーラが騎士を打ち据える。堪らず膝を付き、崩れ落ちる騎士。それを見逃さず、ラーラの誘惑魔曲が闘志を奪う。
「お願い、此処を通させて!」
 それは、譲れぬ思いの表れか。ラーラの歌声に気力を奪われた騎士が、動きを止める。更にアコニタムの盾が追い打ちをかけてゆく。
「先程のお返しですよ!」
 鎖の繋がる盾が騎士の顔面を打ち、仮面を粉々に粉砕した。空中に溶ける様に消えたそれを見届け、残る二人の騎士へと視線を送る。
「次は、どちらの方ですか?」
 既に疲労はかなり蓄積されている。それでも気力で立ち続けるのは、意地か、誇りか。薄く開かれた紫の瞳が、騎士の動向を見据える。
 その前方、アイネイアを相手取る二人は、かなり厳しい状況下に置かれていた。メグルやラーラ、ヒェンヒェンの支援を受けて尚、アイネイアの攻撃力は二人の体力を確実に削り取っている。
「……っ!」
 シェーラのハルバードがアイネイアを狙う。アイネイアの左腕へと深く突き刺さったそれは、だがしかし致命傷とまでは行かない。斧槍が引き抜かれたその個所へと、更にシャラの黒き魔獣の腕が繰り出される。流れ出すアイネイアの血を吸ってか、幾分かシャラの体力が回復したようではあるが、それも気休め程度にしかならないか。
「貴君らの強さは認めよう……だが、我らとて退けぬ理由がある。命を懸けて守るべき人が居るッ!」
 アイネイアが斧槍を軸に飛ぶ。既に幾度目かの傷を負い、冷静ではなくなっている筈のその切っ先は、狙い違わず目前のシェーラへと襲い掛かった。
「うっ……!?」
 その肩へと足を付き、屈み込む様にしたアイネイアとシェーラの眼が合う。ニヤ、と笑うアイネイアの腕が、シェーラの肩口へと一気に斧槍を振り下ろした。それを見たメグルが、すかさず癒しの風を送り込む。
「しっかりしなさいよっ」
 かろうじて意識を繋ぎ止めたシェーラに檄が飛んだ。だが、メグルの体力もかなりの消耗を受けている。これ以上の長期戦は、どちらにとっても致命的なものになると思われた。

●拮抗
「単純にブン回すと思ったら、間違いだぜ!」
 エドガーの振るう大剣が、見た目からは想像もつかないトリッキーな軌跡を描いて騎士を打つ。堪らずに吹き飛んだ騎士の顔から剥がれ落ちた仮面が、宙で割れ消えた。だが、エドガー自身も深い傷を負っており、その場に膝を付いてしまう。それを見て取った最後のエルフ騎士が、エドガーへと剣の乱舞を叩きつけた。
「ぐっ……畜生……!」
 エドガーの意識が黒く染まり、堕ちる。エルフ騎士による連携を通じた連続攻撃は、エンドブレイカー達にも相当の痛手を与えていた。だが、彼らの闘志は、そんな事では揺らがない。
「儂の事も忘れては困るのう?」
 エルフ騎士の背後に、シキが迫る。空中からの回転下降による斬撃は、エルフ騎士の体力を大きく奪っていった。更にシキに合わせるようにして、デュカの揺らぐ斬撃がエルフ騎士の身体を蹂躙してゆく。
「これで、終わりにする!」
 デュカのフェイントを織り交ぜた刺突がエルフ騎士の急所を貫く。更にそこへ、駄目押しとばかりにヒェンヒェンの打ち放つ竜巻が騎士を巻き込み空中へと打ち上げた。宙へと放り出された騎士は、最後の力を振り絞ってアイネイアへと叫ぶ。
「アイネイア様! 例えこの場は落ち延びようと、どうかウェンディ様をお守りください!!」
 それは恐らく、忠誠心による信念の言葉。棘に侵食されてさえいなければ、仲間として手を取り合えたかも知れない、そんな相手だったのに違いない。騎士の最後の言葉を耳にし、アイネイアに動揺が走る。だが、それも一瞬の事。
「貴君らは流石だな。前線を突破して来ただけの事はある」
 相手の力量を素直に認め、賛辞を贈るアイネイア。しかし、その瞳は諦めてはいない。それが証拠に、手にした斧槍は未だ構えられたまま。
「ならばこれで……どうだッ!!」
 アイネイアの周囲を、真白き妖精が跳び踊る。するとその軌跡に、無数の妖精が姿を現した。妖精達は皆、手に手に針を持って武装している。そしてアイネイアがその指を鳴らすと、一斉にエンドブレイカー達へと襲い掛かる!
「何じゃ、これは!? 耳が……!」
 シキの精神を苛む様に、妖精の羽音が煩く飛び回る。思わず耳を抑えたゼクの胸板に、針を持った妖精が突撃して行った。ひとつひとつの手傷は然程ではなくとも、数が揃えばそれは立派な攻撃と言える。だが、それで挫けるゼクではない。
「なかなか効いたぞ、だがまだ甘いっ!」
 胸に受けた傷をものともせず、ゼクが剣戟を放つ。その軌跡はVの字を描き、勝利を導かんとするかの様でもあった。それをハルバードで受けるアイネイアも、傷口から血を吹き出す。やはりアイネイア自身の傷も、決して浅くはなかった。
「なら、これを贈りましょう」
 トン、と後ろに下がったシャラが、竜の如き火炎をアイネイアへと吹き付ける。炎に包まれながらも、退く様子を見せないアイネイア。戦況は遂に、最終局面へと突入した。

●逃走
「ハルバードか……妖精騎士って奴の技を勉強させて貰うかねェ」
 我流の槍術を駆使して渡り合うヒェンヒェンが展開した罠の数々に、見事に足を取られたアイネイアがよろめく。その隙を見て、シャラとシキがほぼ同時に攻勢を仕掛けた。魔獣の爪に、空中からの斬撃にその身を刻まれるアイネイア。だが、それは彼女にとっても絶好の好機だったに違いない。不意に死角から全力で振るわれた斧槍から発せられた衝撃波が、二人を次々と打ち据える。
「まだ、こんな力が……!?」
「しくじった、のう……」
 全力で振り抜いた斧槍の威力は、シキたち二人を吹き飛ばすに十分な威力を持っていた。樹に、岩肌に叩きつけられて気を失う二人の様子に、アコニタムも苦い表情を隠せない。
「……お前達を止めなくては」
 デュカが意を決した様に言う。見ればヒェンヒェンも、ゼクも、メグルも、皆が同じ面持ちでいた。ここまで来た以上、全力で突破する。それが、彼らの進むべき道なのだ。
「行くわよ、カノコ!」
 メグルが鷹のスピリットを呼び出し、デュカを貫いた。デュカの身体に力が漲る。
「……有難い……!」
 受け取った力を込めて、デュカの斬撃が奔る。合わせるようにして撃ち出されたアコニタムの盾と相まって、アイネイアに深刻なダメージを与えてゆく。
「まァだ倒れねェのかよ!?」
 ヒェンヒェンの驚きも尤もだろう。いくら妖精騎士とは言え、これだけの手傷を負えば普通は闘志も折れる。だがそれでも立ち続けるのは、ひとえに妖精騎士としての信念か、あるいは忠誠なのだろうか。
 しかし、そこでラーラは気付く。アイネイアが涙を流していることに。斧槍で己が身体を支えながら、それでも懸命に、堪えるように。そしてアイネイアが正面を睨み付けた次の瞬間、アイネイアが跳んだ。
 一瞬屈んだと思った次の瞬間には、空中を経てアコニタムへと飛び掛かる。咄嗟に盾で防御しようとするも、全身に力を漲らせたその勢いには反応し切れなかった。倒れ行くアコニタムの身体を蹴り、アイネイアは距離を置く。
「……退かせてもらう……!」
 そう、一言だけ呟き。アイネイアは何かを振り切るようにして、遺跡内部へと走り去る。先程の涙のせいか、誰も追う気にはなれなかった。それは、武人としての誇りを曲げてでも亡き同朋の願いを聞かんとした彼女への、言い切れぬ思いのせいなのかもしれない。

 妖精騎士との戦いは、ひとまずは勝利と言って良いだろう。だが、その傷跡は決して浅くはなかった。それでも、先へと歩を進めるのがエンドブレイカーの務めだと信じよう。この先に、災いが棲むと言うのなら。



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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/02/24
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  • カッコいい15 
  • せつない1 
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